(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の基板加熱装置をプリヒート装置及びプリヒート装置を備えたはんだ付装置に適用した場合の実施の形態について説明する。
【0016】
<本実施の形態のプリヒート装置及びはんだ付装置の構成例>
図1は、本実施の形態のプリヒート装置の一例を示す全体構成図、
図2は、本実施の形態のプリヒート装置の一例を示す要部構成図で、
図2(a)は、本実施の形態のプリヒート装置の側面図、
図2(b)は、本実施の形態のプリヒート装置の正面図である。また、
図3は、本実施の形態のはんだ付装置の一例を示す構成図である。
図3では、はんだ付装置を上面図で示す。
【0017】
まず、本実施の形態のプリヒート装置1Aの概要について説明すると、プリヒート装置1Aは、基板11を加熱するヒータ2と、基板11の温度を測定する温度センサ3とを備える。プリヒート装置1Aは、前処理装置であるフラックス塗布装置12でフラックスが塗布された基板11が処理部4に投入され、処理部4に投入された基板11の温度が温度センサ3で測定される。この測定された基板11の温度を基にヒータ2の出力が設定され、後述する基板11のプリヒートの温度制御が行われる。
【0018】
プリヒート装置1Aは、プリヒートの完了に連動してヒータ2の出力を低下させ、プリヒートが完了した基板11が、後処理装置であるはんだ槽13に排出される。
【0019】
以下に、本実施の形態のプリヒート装置1Aの詳細について説明する。処理部4は、基板11を支持するガイド部材40と、ガイド部材40で支持される基板11の下側に配置される構造物を保護するガラス板41を備える。このガラス板41は、一例として透過率の良い石英ガラスで構成される。ガラス板41を配置することによって、基板11に塗布されたフラックスが垂れてもこのガラス板41の表面に付着するので、ガラス板41の下側に配置されるヒータ2等の構造物にフラックスが付着することが防止される。フラックス成分の大半は溶剤が占めており、ガラス板41の配置は、通電時に溶剤の発火点を超えるヒータ2に、フラックス中の溶剤が直接付着するのを防止するという安全性を配慮した構成である。また、ガラス板41はヒータ2の近赤外線を透過しやすいため、蓄熱し難く、且つ、ガラス板41の表面温度を後述するようにセンサでモニタしており、ガラス板41の表面温度を発火点以下で管理している。更に、フラックスが垂れたとしても、ガラス板41の表面に垂れて付着するだけであるから、付着したフラックスの除去も容易になる。
【0020】
プリヒート装置1Aは、基板11を加熱する上述したヒータ2として、処理部4に投入された基板11を加熱する下プリヒートヒータ2Aを備える。下プリヒートヒータ2Aは加熱手段の一例で、ガラス板41の下側に複数本のヒータ20を設けて構成され、処理部4に投入された基板11を、下方から後述する温度制御に基づいて加熱する。ヒータ20は本例の場合、図示しないがハロゲンランプで構成される。
【0021】
プリヒート装置1Aは、処理部4に投入された基板11を加熱する横プリヒートヒータ5を備える構成としても良い。横プリヒートヒータ5は加熱手段の一例で、ファン50とヒータ51を備え、処理部4の側部に設けた吹出口52から温風を吹き出して、処理部4に投入された基板11を側方から所定の温度で加熱する。
【0022】
プリヒート装置1Aは、処理部4に投入された基板11を加熱する上プリヒートヒータ6を更に備える構成としても良い。上プリヒートヒータ6は加熱手段の一例で、処理部4の上側に設けられ、処理部4に投入された基板11を上方から所定の温度で加熱する。
【0023】
プリヒート装置1Aは、上述した温度センサ3で、処理部4に投入された基板11の温度を測定する。温度センサ3は温度検出手段の一例で、処理部4に投入された基板11の表面温度を非接触で測定可能な放射温度計で構成される。
【0024】
なお、処理部4に基板11が未投入の状態での処理部4の温度を予め測定して、処理部4に基板11が投入された際の温度制御を補助するように構成しても良い。すなわち、フラックス塗布装置12で基板11のフラックス塗布処理が終了し、基板11を次工程である処理部4に投入する前に、処理部4の温度としてガラス板41の基板11側の表面温度を図示しない熱電対で測定し、所定の温度になった場合に、基板11を処理部4に投入するものである。処理部4に基板11を投入する前に処理部4の温度を基板11のプリヒートに適した所定の温度にしておけば、処理部4に投入された基板11の温度制御が容易になる。
【0025】
以後においては、この基板11の未投入の状態での処理部4の温度を予め測定して行なう制御を投入前制御と称し、処理部4に投入された基板11の温度制御を投入後制御として説明を行う。
【0026】
本発明においては、投入前制御と投入後制御の両制御を行う場合について説明するが、本発明においては、投入前制御を省くことも可能である。
【0027】
本実施の形態のプリヒート装置1Aは、はんだ付装置10に組み込まれる。次に、本実施の形態のはんだ付装置10について説明する。はんだ付装置10は、基板11にフラックスを塗布する上述したフラックス塗布装置12と、フラックスが塗布された基板11をプリヒートするプリヒート装置1Aを備える。
【0028】
また、はんだ付装置10は、プリヒートされた基板11のはんだ付を行う上述したはんだ槽13として、本例では、異なる形状の電子部品のはんだ付を行えるようにするため、第1のはんだ槽13aと第2のはんだ槽13bを備える。更に、はんだ付装置10は、はんだ付が行われた基板11を冷却する冷却装置14を備える。
【0029】
はんだ付装置10は、第1のはんだ槽13aと第2のはんだ槽13bが並列する配置で設けられ、フラックス塗布装置12及びプリヒート装置1Aと、冷却装置14が並列する配置で設けられる。
【0030】
はんだ付装置10は、パレット10aにセットされた基板11を、作業台10bからフラックス塗布装置12に搬送し、フラックス塗布装置12からプリヒート装置1Aに搬送する供給搬送機構15を備える。はんだ付装置10では、パレット10aにセットされた基板11が、供給搬送機構15によってフラックス塗布装置12からプリヒート装置1Aの処理部4に投入され、プリヒート装置1Aでは、投入された基板11が載置されたパレット10aを所定の位置でガイド部材40に支持される。
【0031】
はんだ付装置10は、プリヒート装置1Aに投入された基板11を、第1のはんだ槽13a及び第2のはんだ槽13bに搬送すると共に、第1のはんだ槽13a及び第2のはんだ槽13bに搬送された基板11を、冷却装置14に搬送する搬送ロボット16を備える。
【0032】
搬送ロボット16は、基板11がセットされたパレット10aを保持する保持部16aをプリヒート装置1A及び第1のはんだ槽13aの並ぶ方向に沿って矢印A1方向に移動させる第1のガイド部材16bと、保持部16aを第1のはんだ槽13a及び第2のはんだ槽13bの並ぶ方向に沿って矢印A2方向に移動させるとともに回転可能に保持部16aを保持する第2のガイド部材16cから構成されており、第1のはんだ槽13a及び第2のはんだ槽13bの上方に設けられる。
【0033】
搬送ロボット16は、第1のガイド部材16bにガイドされて第2のガイド部材16cが矢印A1方向に移動することで、第2のガイド部材16cに支持された保持部16aが矢印A1方向に移動する。また、保持部16aは、矢印A3方向(
図1)に昇降する。また、保持部16aは、第2のガイド部材16cにガイドされて、矢印A2方向に移動可能となっている。さらに、保持部16aは矢印A4で示すように回転可能なようになされている。すなわち、搬送ロボット16によって、基板11がセットされたパレット10aを上下方向、左右方向の移動、及び、回転可能に搬送されるようになっている。
【0034】
これにより、搬送ロボット16は、保持部16aがプリヒート装置1Aと第1のはんだ槽13aの間で移動し、第1のはんだ槽13aと第2のはんだ槽13bの間で移動し、第2のはんだ槽13bと冷却装置14の上流側のロボット排出位置17の間で移動する。そして、保持部16aでの基板11の脱着及び保持部16aの昇降と、保持部16aの各処理部間の移動で、基板11がセットされたパレット10aをプリヒート装置1Aから第1のはんだ槽13aに搬送する。また、基板11がセットされたパレット10aを第1のはんだ槽13aから第2のはんだ槽13bに搬送する。更に、基板11がセットされたパレット10aを第2のはんだ槽13bからロボット排出位置17へ基板11がセットされたパレット10aを搬送する。なお、第2のはんだ槽13bでのはんだ付け作業が必要ない場合には、第2のはんだ槽13bを経由することなく、A1方向への移動と同時にA2方向への移動を組み合わせた移動によって、基板11がセットされたパレット10aを第1のはんだ槽13aからロボット排出位置17へ斜めに移動させることもできる。
【0035】
はんだ付装置10は、搬送ロボット16でロボット排出位置17のガイド部材17aに搬送された基板11がセットされたパレット10aを冷却装置14に搬送し、冷却装置14から作業台10bに搬送する排出搬送機構18を備える。
【0036】
プリヒート装置1Aは、本例では、搬送ロボット16によって処理部4の上方に基板11を上昇させて、第1のはんだ槽13aに排出する搬送経路が構成される。そこで、処理部4に投入された基板11の温度を測定する測定位置と、搬送ロボット16による搬送経路から退避する退避位置との間で温度センサ3を移動させると共に、測定位置において基板11の大きさに合わせて温度センサ3を移動させる温度センサ移動装置30を備える。
【0037】
また、プリヒート装置1Aは、処理部4に投入された基板11を加熱する加熱位置と、搬送ロボット16による搬送経路から退避する退避位置との間で上プリヒートヒータ6を昇降させる上ヒータ昇降装置60を備える。
【0038】
<本実施の形態のプリヒート装置及びはんだ付装置の制御機能例>
図4は、本実施の形態のプリヒート装置の機能の一例を示すブロック図であり、次に、各図を参照して、本実施の形態のプリヒート装置1A及びはんだ付装置10の制御機能について説明する。
【0039】
本実施の形態のはんだ付装置10は、マイクロコンピュータ等で構成される制御部100を備え、フラックス塗布装置12、プリヒート装置1A、はんだ槽13及び冷却装置14と、各搬送装置が制御部100に制御される。
【0040】
制御部100は制御手段の一例で、記憶部101に記憶されたプログラムを実行して、操作部102での操作に基づき、はんだ付けの一連の処理を行う。制御部100は、作業台10bのパレット10aにセットされた基板11をフラックス塗布装置12に投入し、基板11にフラックスを塗布する動作を行う。また、フラックスが塗布された基板11をプリヒート装置1Aに投入し、基板11をプリヒートする動作、及び、プリヒートが完了した基板11をはんだ槽13に投入し、はんだ付を行う動作を行う。更に、はんだ付が行われた基板11を冷却装置14に投入し、基板11を冷却する動作、冷却された基板11を作業台10bに排出する動作を行う。また、この一連の制御において、本例の場合には基板11がセットされたパレット10aの移動が、以下の手順で行われる。まず、(1)作業台10b〜フラックス塗布装置12〜プリヒート装置1Aへの移動は、供給搬送機構15によって行なわれ、(2)プリヒート装置1A〜はんだ槽13〜ロボット排出位置17までの移動は搬送ロボット16によって行なわれると共に、(3)ロボット排出位置17〜冷却装置14〜作業台10bへの移動は、排出搬送機構18によって、それぞれ行なわれる。
【0041】
制御部100は、プリヒート装置1Aでの制御では、ヒータ駆動回路22により下プリヒートヒータ2Aの出力の切り替えを行う。また、プリヒートが完了した基板11のはんだ槽13への排出と連動して、下プリヒートヒータ2Aの出力を切り替える。ヒータ駆動回路53により駆動される横プリヒートヒータ5及びヒータ駆動回路62により駆動される上プリヒートヒータ6の出力は、本例の場合では一定となるように設定されている。
【0042】
制御部100は、プリヒート装置1Aへの基板11の投入前には、下プリヒートヒータ2Aの出力を待機運転出力Pwaに設定する。制御部100は、基板11が投入されたプリヒート動作時には、下プリヒートヒータ2Aの出力を、待機運転出力Pwaから、加熱運転出力であるプリヒート運転出力Pwcに設定するとともに、設定された運転出力Pwcを維持する制御を行う。基板11のプリヒートの完了後には、下プリヒートヒータ2Aの出力をプリヒート運転出力Pwcから待機運転出力Pwaに設定して、下プリヒートヒータ2Aの出力を低下させる。
【0043】
制御部100は、基板11に対してはんだ付の一連の処理を連続して行う自動運転中には、基板11へのフラックス塗布終了に基づいて、プリヒート装置1Aへの基板11の投入前にガラス板41の基板11側の表面温度が図示しない熱電対により測定され、熱電対により測定されたガラス
板温度に基づいて、下プリヒートヒータ2Aの出力を、待機運転出力とプリヒート運転出力の間に設定された暖気運転出力Pwbか、プリヒート運転出力Pwcに出力の切り替えを行なう基板投入前制御を行うように構成しても良い。この投入前制御によって、基板11が長時間プリヒート内で加熱されることに伴い発生する、搭載部品の基板11からの脱落や部品自体の熱破壊を回避できる。しかしながら、基板11のサイズや、搭載される電子部品の点数などから、この投入前工程は必ずしも必要ではない。
【0044】
制御部100は、基板11がプリヒート装置1Aに投入されると、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、温度センサ3で検出された基板11の温度に基づき設定する。すなわち、制御部100は、フラックス塗布装置12から基板11がプリヒート装置1Aに投入されると、温度センサ3で基板11の表面温度を測定し、プリヒート前の基板11の表面温度である開始基板温度taを検出する。
【0045】
制御部100は、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、温度センサ3で検出された開始基板温度taに基づき、記憶部101に記憶された開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)で設定する。
【0046】
図5は、開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)で設定される基準値の一例を示す説明図である。開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)では、開始基板温度taの複数の基準値が設定され、基準値毎に下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcが設定される。また、プリヒート動作で到達すべき基板11の最終目標温度である温度計最終目標温度tbが、開始基板温度の基準値毎に設定される。
【0047】
プリヒート装置1Aでは、温度センサ3で基板11の表面の温度が検出される。一方、はんだ付装置10ではんだ付が行われるのは基板11の裏面である。このため、基板11の裏面の温度がある一定の目標温度Tとなるようにプリヒート動作が行われる。但し、基板11の裏面の温度が目標温度Tとなるように加熱した場合に、プリヒート前の開始基板温度taによって、温度センサ3で検出される基板11の表面温度が異なる。そこで、開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)では、プリヒート動作で到達すべき温度計最終目標温度tbが、開始基板温度の基準値毎に設定される。
【0048】
制御部100は、開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)で設定される開始基板温度基準値ta
1〜ta
nに基づき、温度センサ3で検出された開始基板温度taに対応するプリヒート運転出力Pw
1〜Pw
nと、基板11の温度計最終目標温度tb
1〜tb
nが算出される。
【0049】
制御部100は、プリヒート動作中に温度センサ3で温度計経過基板温度tcを検出して、下プリヒートヒータ2Aの出力補正を行う。
【0050】
制御部100は、温度センサ3で検出された基板11の温度計経過基板温度tcが、任意のタイミングにおいて到達しているべき基板の温度となるように、下プリヒートヒータ2Aの出力を切り替える。
【0051】
任意のタイミングにおいて到達しているべき基板温度は、以下のように求められる。プリヒート動作を開始してから、温度センサ3で検出される基板11の温度が温度計最終目標温度tbに到達するまでの時間をプリヒート時間Tmと称す。また、プリヒート時間Tmで基板11の温度が温度計最終目標温度tbに到達するために、任意のタイミングにおいて到達しているべき基板の温度を経過目標温度tdと称す。
【0052】
経過目標温度tdは、開始基板温度ta、温度計最終目標温度tb、及びプリヒート時間Tmから、基板11の温度をプリヒート時間Tmで温度計最終目標温度tbまで上昇させるために必要な単位時間当たりの上昇温度teが次の(1)式により求められる。そして、開始基板温度taに上昇温度teを加算することで、所定時間毎の経過目標温度tdが求められる。
【0053】
単位時間当たりの上昇温度te
=(温度計最終目標温度tb−開始基板温度ta)/プリヒート時間Tm・・・(1)
【0054】
図6は、経過目標温度の設定例を示すグラフである。ここでは、所定のプリヒート時間Tmで、基板11の裏面の温度を120℃に加熱するプリヒート動作を考える。開始基板温度taが30℃であるとき、プリヒート時間Tmを20秒に設定して基板11の裏面の温度を120℃になるように制御したところ、基板11の表面の温度は92℃であったとする。
【0055】
以上の条件で経過目標温度tdを求めると、開始基板温度taが30℃、温度計最終目標温度tbが92℃、プリヒート時間Tmが20秒である設定における単位時間1秒当たりの上昇温度teは、(1)式から3.1℃であり、所定時間1秒毎の経過目標温度tdが、
図6(a)のグラフ及び
図6(b)の図表に示す値に設定される。
【0056】
制御部100は、プリヒート動作に関連する上述した各設定値の設定を可能とするため、プリヒート動作設定画面110を表示部103に表示し、操作部102での操作により設定値の変更が可能に構成される。
【0057】
図7は、プリヒート動作設定画面の一例を示す説明図である。プリヒート動作設定画面110では、プリヒート時間設定項目110aで、プリヒート時間Tmの設定が行われる。また、待機運転出力設定項目110bで、下プリヒートヒータ2Aの待機運転出力Pwaの設定が行われる。
【0058】
更に、基準値設定項目110cで、開始基板温度基準値ta
1〜ta
nと、プリヒート運転出力Pw
1〜Pw
nと、温度計最終目標温度tb
1〜tb
nの設定が行われる。また、出力補正設定項目110dで、下プリヒートヒータ2Aの出力の補正値が設定される。
【0059】
<本実施の形態のプリヒート装置及びはんだ付装置の動作例>
図8は、本実施の形態におけるプリヒート動作の一例を示すフローチャート、
図9は、ヒータ出力と温度変化の遷移を示すグラフで、以下に、各図を参照して、本実施の形態のプリヒート装置及びはんだ付装置におけるプリヒート動作について説明する。本例において、
図8では、前述した基板投入前制御を加味したフローチャートとなっている。また、
図9において、実線で示すグラフは、基板投入前制御を行う場合の運転出力変化を示し、一点鎖線で示すグラフは、基板投入前制御を行わない場合の運転出力変化を示す。
【0060】
制御部100は、はんだ付装置10の電源が投入され次いでプリヒータON状態になると、
図8のステップSA1で自動運転モードとなる。プリヒート装置1Aでは、自動運転を開始すると、制御部100は、
図8のステップSA2で、下プリヒートヒータ2Aの出力を待機運転出力Pwaに設定して、ヒータ駆動回路22で下プリヒートヒータ2Aを駆動する。本例では、下プリヒートヒータ2Aの待機運転出力Pwaは5%に設定される。
【0061】
また、制御部100は、ヒータ駆動回路53で横プリヒートヒータ5を駆動する。本例では、横プリヒートヒータ5の出力は固定される。例えば、横プリヒートヒータ5の出力が16%に固定される。
【0062】
制御部100は、
図8のステップSA3で、基板11をプリヒート装置1Aの前段のフラックス塗布装置12に搬送し、ステップSA4で、フラックス塗布装置12に搬送された基板11へのフラックスの塗布が終了したことに基づいて、ステップSA5で、ガラス板41の温度が所定の温度(本例の場合、140℃)以上になっているかどうかを、図示しない熱電対により、処理部4に基板11が未投入の状態で測定する。
【0063】
検出したガラス板41の温度が基板投入温度未満、本例では140℃未満であると、ステップSA6で、プリヒート装置1Aへの基板11の投入は開始せず、下プリヒートヒータ2Aを待機運転出力とプリヒート運転出力間に設定された暖気運転出力Pwbで駆動する。
【0064】
ガラス板41の温度が基板投入温度以上、本例では140℃以上であると、制御部100は、
図8のステップSA7で、供給搬送機構15を駆動して、プリヒート装置1Aへの基板11の投入を開始する。また、上ヒータ昇降装置60を駆動して、上プリヒートヒータ6を加熱位置に下降させる。
【0065】
制御部100は、
図8のステップSA8で、基板11がプリヒート装置1Aの処理部4の所定の位置に搬送されたことを検出すると、ステップSA9で、プリヒートを開始する前の基板11の温度情報を取得するため、温度センサ3で基板11の温度、本例では基板11の上面の温度を測定して、開始基板温度taを検出する。
【0066】
制御部100は、温度センサ3で検出された開始基板温度taに基づき、
図8のステップSA10で、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを設定する。上述したように、開始基板温度基準値ta
1〜ta
nと、プリヒート運転出力Pw
1〜Pw
nと、温度計最終目標温度tb
1〜tb
nを対応付けた開始基板温度−ヒータ出力テーブル(TB1)が予め設定されている。
【0067】
制御部100は、温度センサ3で検出された開始基板温度taが、開始基板温度−ヒータ出力テーブルTB1で設定された第1の開始基板温度基準値ta
1の範囲に含まれると判断すると、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、第1の開始基板温度基準値ta
1に対応した第1のプリヒート運転出力Pw
1に設定する。
【0068】
同様に、開始基板温度taが第2の開始基板温度基準値ta
2の範囲に含まれると判断すると、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、第2の開始基板温度基準値ta
2に対応した第2のプリヒート運転出力Pw
2に設定する。また、開始基板温度taが第3の開始基板温度基準値ta
3の範囲に含まれると判断すると、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、第3の開始基板温度基準値ta
3に対応した第3のプリヒート運転出力Pw
3に設定する(
図7参照)。
【0069】
制御部100は、
図8のステップSA11で、設定されたプリヒート運転出力Pwcで下プリヒートヒータ2Aを駆動する。
【0070】
基板11のプリヒートを開始すると、制御部100は、
図8のステップSA12で、出力補正を行う。出力補正では、基板11のプリヒートを開始すると、制御部100は、ステップSA12aで、プリヒート中の基板11の温度情報を取得するため、温度センサ3で基板11の上面の温度を測定して、温度計経過基板温度tcを検出する。
【0071】
上述したように、プリヒートで到達すべき基板11の温度計最終目標温度tbと、温度計最終目標温度tbに到達するまでのプリヒート時間Tmが設定され、基板11の温度をプリヒート時間Tmで温度計最終目標温度tbに上昇させるために必要な、所定の単位時間毎の経過目標温度tdが設定されている。
【0072】
制御部100は、
図8のステップSA12bで、単位時間毎に検出した温度計経過基板温度tcを経過目標温度tdと比較して、経過目標温度tdに対する温度計経過基板温度tcの高低に基づいて、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを調整する。
【0073】
制御部100は、温度計経過基板温度tcが経過目標温度tdより低いと、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、予め設定された補正値に基づき上昇させる。また、温度計経過基板温度tcが経過目標温度tdより高いと、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを、予め設定された補正値に基づき低下させる。
【0074】
本例では、
図7で説明したプリヒート動作設定画面110の出力補正設定項目110dで、出力補正における下プリヒートヒータ2Aの出力の補正値が設定される。制御部100は、出力補正設定項目110dで設定された補正値に基づき、経過目標温度tdに対する温度計経過基板温度tcの高低によって補正値を設定し、下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを調整する。
【0075】
制御部100は、
図8のステップSA13で、プリヒート時間Tmが経過したか判断し、プリヒート時間Tmが経過したと判断すると、ステップSA14で、温度計経過基板温度tcが温度計最終目標温度tbに到達したか判断する。
【0076】
温度計経過基板温度tcが温度計最終目標温度tbに到達すると、ステップSA15で温度センサ3を退避位置に移動させた後に、基板11を排出し後段のはんだ槽13に搬送するとともに、下プリヒートヒータ2Aの出力を待機運転出力Pwaに切り替える。ここで、プリヒート時間Tmが経過した後、所定の許容待機時間が経過しても、温度計経過基板温度tcが温度計最終目標温度tbに到達しない場合は、タイムオーバエラーとする。このタイムオーバエラーは本発明を実施する通常の使用であれば、基本的には設定されたプリヒート時間で到達すべき温度になるので発生しないが、例えば、寿命によるヒータ出力の低下等という異常な状態時に発生するものである。
【0077】
複数枚の基板11を連続して投入してはんだ付を行う処理では、次の基板11がフラックス塗布装置12に搬送されたことを検出すると、上述したステップSA4の処理に戻り、投入された基板11の開始基板温度taに基づき下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを自動的に設定する。
【0078】
以上のように出力補正で、基板11の温度計経過基板温度tcに基づき下プリヒートヒータ2Aのプリヒート運転出力Pwcを調整する。そして、プリヒートの完了に連動して下プリヒートヒータ2Aの出力の待機運転出力Pwaに低下させるプリヒート動作が連続して行われる。
【0079】
<本実施の形態のプリヒート装置及びはんだ付装置の作用効果例>
本実施の形態のプリヒート装置1Aでは、プリヒート動作時は、下プリヒートヒータ2Aの出力を上昇させる。また、プリヒート動作の開始前と終了後、及び、連続処理で先行する基板11のプリヒートが完了してはんだ槽13に排出され、次の基板11がフラックス塗布装置12から投入されるまでの間のプリヒート動作間では、下プリヒートヒータ2Aの出力を低下させる。
【0080】
このように、基板の投入毎にプリヒートヒータの出力を切り替えることで、プリヒートヒータを一定の出力で駆動する運転と比較して、消費電力を低下させることができる。
【0081】
また、プリヒートを開始する前の開始基板温度taに基づいて、プリヒート運転出力Pwcが設定されるので、予め設定されたプリヒート時間Tmで基板の温度を温度計最終目標温度tbに上昇させるために、最適な出力でプリヒートヒータを駆動でき、消費電力を低下させることができると共に、予め設定されたプリヒート時間Tmで確実に基板の温度を温度計最終目標温度tbに上昇させることができる。
【0082】
更に、プリヒート動作中の温度計経過基板温度tcに基づいて、プリヒート運転出力Pwcを調整することとすれば、任意のタイミングにおいて到達しているべき温度に基板の温度を追従させることができ、予め設定されたプリヒート時間Tmで確実に基板の温度を温度計最終目標温度tbに上昇させることができる。