(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。実施形態では、通信確立に先立ってADC(アナログ−ディジタルコンバータ)のサンプリングクロックを自動発振(自走)させてデータと非同期のクロックでサンプリングを行い、復調前の変調方式に依存しない機能ブロックからサンプリングデータを取得して周波数解析によりビート周波数を検出する。検出されたビート周波数に基づいて、局発光の周波数を送信光源の周波数と一致または近接させる。これにより、変調方式にかかわりなく局発光の制御を行い、誤動作を防止(Qペナルティを低減)する。
【0014】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の光通信システムで用いられる光送信機10の概略ブロック図である。
図2(A)はSP−QPSK(Single Polarization Quadrature Phase Shift Keying)光送信機10Aの構成を、
図2(B)はDP−QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)光送信機10Bの構成を示す。
図3はSP−QPSK方式の光受信機20Aの概略ブロック図、
図4はDP−QPSK方式の光受信機20Bの概略ブロック図である。
【0015】
実施形態の構成および手法は、偏波多重が行われる場合にも行なわれない場合にも適用可能である。変調フォーマットもQPSKに限定されず、振幅方向に多値化された変調方式など、任意の変調方式に適用可能である。実施形態の手法および構成は、偏波多重がある場合(
図2(B)および
図4)も、ない場合(
図2(A)および
図3)もほぼ同じであるため、光送信機10Aと10Bを「光送信機10」と総称し、光受信機20Aと20Bを「光受信機20」と総称する。以下では、SP−QPSK方式の光送信機10Aと光受信機20Aを例にとって説明し、DP−QPSK方式について重複する説明を省略する。
【0016】
図2(A)を参照すると、セレクタ14は、制御部13の制御の下に、シンボルマッピング部11の出力と、信号源12の出力とを選択する。シンボルマッピング部11は2ビットのデータを受信し、同相成分(In-Phase)と直交成分(Quadrature-Phase)で表わされる4種類の位相情報に変換する。
【0017】
セレクタ14は、起動時には信号源12からの出力を選択するように構成される。信号源12で生成される信号は、無変調の信号(連続波)か、または変調度の小さい信号である。これらの信号によって生成される光信号の詳細については、
図5および
図6を参照して後述する。セレクタ14を用いない場合は、通信開始に先立ってシンボルマッピング部11が一定期間同じデータを出力することによって連続波を出力する構成としてもよい。
【0018】
セレクタ14の出力は、シリアライザ15に入力される。シンボルマッピング部11やセレクタ14の処理は比較的低速で行なわれるため、セレクタ14の出力信号はシリアライザ15でシンボルレート相当の速度に変換される。シリアライザ15をDAC(ディジタル−アナログコンバータ)に置き換えてもよい。DACを用いる場合は、オーバーサンプリングにより、シンボルレートの数倍の速度に変換する。
【0019】
シリアライザ15の出力はドライバ16で増幅され、ドライバ16から出力される駆動信号で変調部17を駆動する。変調部17は、LN変調器、半導体変調器など、任意の構成である。変調部17で、図示しない送信光源からの搬送光が駆動信号で変調され、光信号が伝送路2に出力される。
【0020】
図2(B)の光送信機10Bは、2ビットで表わされる4種類の情報を、互いに直交するX偏波とY偏波に割り当てて出力することを除いて、
図2(A)の光送信機10Aと同様の動作をする。
【0021】
図3は、光受信機20Aの構成例を示す。伝送路2から受信された光信号は、90度ハイブリッド光ミキサ21に入力され、局発光源22からの局発光で検波される。検波された光信号は、図示しないフォトダイオードおよびトランスインピーダンスアンプにより電気信号に変換される。アナログ電気信号は、サンプリングクロック源23からのサンプリングクロックに基づいて、ADC(アナログ−ディジタルコンバータ)24でサンプリングされる。通常は、シンボルの2倍以上の速度でサンプリングされる。
【0022】
サンプリングされた信号は、波長分散補償部25で光伝送路の波長分散の補償を受け、CDR(Clock and Data Recovery)26で、データからクロックが再生される。CDR26の出力をADC24、またはサンプリングクロック源23にフィードバックして、周波数・位相を制御してもよい。
【0023】
CDR26の出力は、偏波分離(トラッキング)部27に供給され、伝送路2での偏波回転の影響を抑制する。さらに、周波数オフセット及び位相補償回路28で、送信光源と局発光源22の周波数オフセットと位相を補償する。これによって、
図1(C)に示したようにシンボルが確定される。デコーダ29は、送信側で行われたシンボルマッピングと逆の操作を行ってデータを復号する。
【0024】
実施形態の特徴として、起動時にサンプリングクロック源23を自動発振させ、ADC24にて、データと非同期のサンプリングクロックで、送信側から送られてくる局発光調整用の光信号をディジタルサンプリングする。ADC24や波長分散補償部25など、変調方式に依存しない(復調前の)ブロックからサンプリングデータの一部が取り出され、周波数解析部31に供給される。以下の例では、ADC24の出力を用いて説明するが、波長分散補償部25の出力も使用可能である。
【0025】
光送信機10から送信された連続波の信号は、光受信機20のADC24で、送信光源と局発光源22の周波数差に応じたビート波形として観察される。「ビート」とは、周波数がわずかに異なる2つの波を重ね合わせたときに生じる周波数差に等しい「うなり」をいう。
【0026】
図5(A)に示すように、振幅変調のない信号で光パワーが一定の連続波が光送信機10から送信される場合は、光受信機20のADC24のサンプリング出力は
図5(B)に示すビート波形となる。この例では、ADC24のサンプリングレートは100ギガサンプル/秒、周波数オフセット(ビート周波数)が1GHzである。このビート波形を周波数解析部31でFFT(高速フーリエ変換)すると、
図5(C)に示すように、周波数オフセット1GHzが検出される。
図5(C)では99GHzにも信号成分が見えている。これは折り返し成分であり、ナイキスト周波数以下(本例では50GHz以下)をモニタできれば周波数オフセットを推定可能である。
【0027】
図6(A)に示すように、弱い変調度の信号で変調された連続波が光送信機10から送信される場合は、光受信機20のADC24のサンプリング出力は、
図6(B)に示すビート波形となる。この例では、振幅変調速度は250MHz、ビート周波数は1GHzである。送信側でかけられた振幅変調は、データ変調で用いる振幅変調度よりも小さい。ADC24で観察されるビート波形を周波数解析部31でFFT解析すると、
図6(C)に示すように、1GHzの周波数オフセットが検出される。
【0028】
通信確立に先立って光送信機10から出力される局発光調整用の光信号は、受信側でビート波形が検出できる波形であればどのような波形でもよく、
図5(A)の連続波や
図6(A)の連続波に限定されない。
【0029】
また、実施形態では周波数解析部31は1024ポイントでFFTしているが、FFTの周波数分解能はサンプル数が多いほど高くなるため、サンプル数をさらに多くして周波数オフセットをより正確に推定してもよい。周波数が解析できる方法であればFFT以外の方法を用いてもよい。周波数分解能が低くてもよい場合は、FFTの周波数分解能はデータ点数とサンプリング周波数で決定されるので、必要な分解能に応じてADC24から取得するデータを間引く、サンプリング周波数を変更するなどしてもよい。
【0030】
上記では、データと非同期の自走したクロックでADC24を動作させてデータを取得する例を説明したが、CDR26よりも前段にある波長分散補償部25から非同期のクロックでサンプリングデータを取得し、周波数解析を行う構成としてもよい。ビート周波数ではCDR26でクロック抽出できないことから、クロックを自動発振(自走)させてサンプリングを行う。
【0031】
図4の光受信機20Bは、受信した光信号を、図示しない偏波スプリッタでX偏波とY偏波に分離して90度ハイブリッド光ミキサ21に入力し、局発光を図示しないビームスプリッタで分離して90度ハイブリッド光ミキサ21に入力して、X偏波とY偏波の各々を検波する。90度ハイブリッド光ミキサ21からX偏波とY偏波の同相(I)成分と直交(Q)成分が出力される。起動時にサンプリングクロックを自走させて周波数解析を行い、ビート周波数に基づいて局発光を送信光源の周波数に一致または近接させる動作は、
図3の光受信機20Aと同様である。
【0032】
図7は、光送信機10の動作を示すフローチャートである。まず送信光周波数が選択される(S101)。送信光源は選択された周波数で発光する。制御部13は、データ信号の送信に先立って、無変調の光信号(
図5(A)の連続波)、もしくは変調度が小さい光信号(
図6(A)の連続波)を、時間αだけ送出させる(S103、S104)。
【0033】
通常の光通信では、周波数グリッドが50GHz、もしくは100GHzと定められているため、この周波数間隔で周波数が設定される。時間αは、受信側の周波数解析時間、局発光の制御時間などを考慮して決定されるパラメータである。
【0034】
時間αが経過したら(S105でYes)、変調信号(データ信号)の送信を開始して(S107)、処理を終了する。
【0035】
図8は、光受信機20の基本動作を示すフローチャートである。まず、送信側と同様に局発光源22の周波数f0を選択する(S201、S202)。局発光源22から連続波CWを出力し(S203)、波長が安定するまで待機する(S204)。その後、ADC24(あるいは波長分散補償部25)からサンプリングデータを取得し(S205)、周波数解析部31で周波数解析を行う(S206)。
【0036】
周波数解析により、送信側から送信された光信号を受信しているか否かを判断する(S207)。通常の波長多重伝送では伝送路2に光アンプが挿入されるため、受信側にASE(Amplified Spontaneous Emission:自然放出光)雑音が入力される可能性があり、雑音か送信光かを判断する必要がある。
【0037】
図9(A)に100GHzサンプル/秒でノイズを受信した場合の時間波形を示す。この信号波形を周波数解析すると、
図9(B)のように種々の周波数成分が含まれている。
図5(C)や
図6(C)と異なり、ピーク部分のパワースペクトルの値も小さくなっている。そのため、ステップS207で、周波数解析結果に基づいてASE雑音と送信信号のどちらを受信しているかを判別する。ASE雑音を受信している場合(S207でNo)は、送信側からの光信号を受信するまでS205〜S207のループを繰り返す。
【0038】
ASE雑音と送信信号を区別する方法として、パワースペクトルのうちパワーが一番大きい成分と、2番目に大きい成分の差を計算し、その差が所定の閾値以上であれば光信号を受信していると判断してもよい。あるいは、N番目(Nは2以上、かつFFTのポイント数の1/2以下の整数)までのパワーが所定の閾値を超えるときに光信号を受信していると判断してもよい。パワースペクトルの大きさは必ずしも絶対値を用いる必要はなく、最大値で正規化された相対値を使用して解析を行ってもよいし、振幅スペクトルを用いてもよい。
【0039】
送信側からの光信号を受信していると判断された場合(S207でYes)、周波数解析結果に基づいて、パワースペクトルが最大のビート周波数f_B1を記憶し(S208)、局発光源22の現在の局発光周波数fにf+f_B1を代入する(S209)。局発光の周波数制御範囲は有限なので、設定された局発光周波数f(f+f_B1)が、あらかじめ定めておい周波数オフセットの許容範囲内(制御範囲内)かどうかを判断する(S210)。許容範囲を超える場合は(S210でNo)、局発光の周波数fを元の値(f=f−f_B1)に戻し(S222)、アラームを発生して(S223)、処理を終了する。
【0040】
局発光周波数fが制御範囲内にある場合は(S210でYes)、局発光周波数をf=f+f_B1に設定し(S211)、波長が安定するまで待機する(S213)。待機(wait)期間を置くのは、波長は通常は温度で制御されているので、安定するまで若干の時間がかかるからである。
【0041】
その後、再度ADC24からデータを取得して(S213)、周波数解析を行う(S214)。周波数解析で得たパワースペクトルが最大のビート周波数f_B2を記憶し(S215)、局発光を変更する前のビート周波数f_B1と比較を行って、局発光の周波数の調整方向を確認する(S216)。たとえば、送信光源の周波数がf0であり、局発光源22の周波数がf0から−1GHzまたは+1GHzずれている場合、いずれの場合も、サンプリング出力のビート周波数(周波数オフセット)は1GHzとなる。ビート周波数だけでは局発光源22の周波数のずれが送信光源からプラス方向にずれているのか、マイナス方向にずれているのか、その符号までは検出できない。そこで、f_B1とf_B2を比較することによって制御の方向を判断する。
【0042】
f_B2がf_B1よりも同じか小さくなっている場合は(S215でNo)、周波数オフセットが小さくなっていることを示すので、正しい方向に調整されたとして処理を終了する。
【0043】
f_B2がf_B1よりも大きい場合は(S215でYes)、局発光の周波数制御後にビート周波数が大きくなったことを意味し、逆の方向に調整されていることになる。そこで、当初の周波数f0からf_B1だけ小さい値になるように調整する(S217)。この場合、S216の段階で、局発光の周波数はf=f0+f_B1になっているため、S217で現在のfから(f_B1)の2倍を差し引いてf=f0−f_B1になるように調整する(f=f−2×f_B1)。
【0044】
次に、調整後の局発光の周波数fが制御範囲内(許容オフセット内)か否かを判断する(S218)。局発光制御の範囲内であれば(S218でYes)、局発光周波数をfに設定して(S219)処理を終了する。局発光制御の範囲内にない場合は(S218でNo)、fをもとの値(f=f+2×f_B1)に戻し(S221)、アラームを発生して(S223)処理を終了する。
【0045】
図8の処理は、説明を簡単にするため、局発光の周波数制御を1回だけ行う例を示したが、実際は、周波数オフセットがゼロまたは最小になるまで、制御を繰り返すのが望ましい。
【0046】
図10は、局発光の周波数制御を繰り返し行う例を示す。
図8と同じ工程は同じ符号で示し、説明を省略する。
【0047】
まず、制御回数カウンタ値Nを初期化する(N=0)(S301)。次に、局発光周波数f0を選択する(S201)。その後の局発光源22からの連続波CWの出力、波長の安定化、ADCからのサンプリングデータ取得と周波数解析、送信された光信号を受信しているか否かの判断(S202〜S207)は
図8と同じであるため、説明を省略する。
【0048】
入力信号が送信側からの光信号であり、かつ周波数解析結果から得られる周波数オフセットが許容範囲内の場合は(S303でYes)、局発光の周波数調整が適切になされたとして処理を終了する。周波数オフセットが許容範囲にない場合は(S303でNo)、局発光周波数の制御を行って(S305)、制御回数カウンタ値Nをインクリメントする(S306)。その後、Nが規定の回数未満であるかを判断し(S307)、規定の回数に達するまでS204〜S306を繰り返す。所定の回数に達したところで(S307でNo)、処理を終了する。
【0049】
図11は、
図10の局発光制御ステップS305の詳細を示す。局発光制御ステップは
図8のステップS208〜S223と同じである。すなわち、1回目のADCサンプリングデータの周波数解析結果から最大ピークのビート周波数f_B1を取得して局発光の周波数をf=f0+f_B1に設定し(S208〜S212)、2回目の最大ピークのビート周波数f_B2と比較して周波数調整方向を確認する(S213〜S216)。周波数オフセットが大きくなる方向に調整されている場合は正しい方向に戻して(S217〜S218)、調整後の局発光周波数fが局発光制御の範囲内にあるときは調整後の周波数に確定する(S219)。局発光制御の範囲内にない場合はアラームを発生して処理を終了する(S221〜S223)。
【0050】
図10のように局発光の制御を複数回繰り返す場合、ビート周波数の平均値を求めて周波数オフセットを推定してもよい。
【0051】
このように、通信確立前に光送信機10から調整用の連続光を送信し、光受信機20A(20B)でサンプリングクロックを自走させてデータと非同期のクロックでサンプリングし、局発光源と送信光源の周波数ずれをあらかじめ解消または最小にする。これによって、ホモダイン検波に対応可能となる。また、イントラダイン検波においてもデータ送受信中のバーストエラーの発生やクロック抽出回路の誤動作を防止、周波数オフセットによるQペナルティを低減することができる。
【0052】
なお、伝送路で偏波が回転している場合、SP−QPSKでは偏波状態によってはビート信号の振幅が小さくなる可能性がある。その場合は
図8または
図10のフローを最初から実行するか、もしくは一定時間の待ち時間(wait)を挿入してADC24からサンプリングデータを取得してもよい。DP−QPSKの場合、4チャネルから同じ周波数のビート信号が取得できるが、偏波状態によってX方向とY方向のチャネルに出力されるビート信号の振幅が異なる可能性がある。この場合、振幅が最大となるチャネルで周波数解析を行ってビート周波数(オフセット)を検出してもよい。DP−QPSKの場合、送信側で生成するビート検出用信号はX方向、もしくはY方向のいずれか一方だけでもよい。
【0053】
あらかじめ決められた時間が経過しても周波数解析部31でビート周波数を検出できない場合は、コントロールプレーン経由で光送信機10に再度連続波を出力するように通知してもよい。
【0054】
また、
図2で起動時にセレクタ14で信号源12を選択する替わりに、シンボルマッピング部11が同じデータを出力して連続波を出力させる構成としてもよい。
【0055】
実施形態では、ADC24のサンプリングレートが100ギガサンプル/秒の場合、50GHz未満のビート信号を測定できる。すなわち、局発光源22の周波数を既存の50TGHzグリッドから25GHz離れた周波数に一致させてから通信を確立することが可能となる。これは、将来の可変グリッドあるいはグリッドレス構成に有用である。
【0056】
さらに、局発光の周波数を送信光源の周波数に合わせるので、Qペナルティの発生を抑制することができる。
【0057】
<第2実施形態>
図12は第2実施形態の光受信機40の概略ブロック図である。送信側の構成は第1実施形態と同様であり、たとえば、
図2(A)の光送信機10Aを用いる。
図12はSP−QPSK方式の光受信機のブロック図であるが、主要な動作はDP-QPSKも同様であるため、図示を省略する。
【0058】
第1実施形態との差異は、受信フロントエンドに、光信号を分岐するカプラ53、光信号を電気信号に変換するO/Eコンバータ54、光パワーをモニタするパワーモニタ55およびコントローラ(第2制御部)56を追加したことである。
【0059】
受信された光信号はカプラ53で分岐され、一方が90度ハイブリッド光ミキサ41に入力され、他方がO/Eコンバータ54に入力される。パワーモニタ55は、O/Eコンバータ54の出力強度を測定して受信パワーを取得し、取得した受信パワーを周波数制御部52に通知する。コントローラ56は、90度ハイブリッド光ミキサ41に内蔵されているトランスインピーダンスアンプ(TIA)の利得を制御する。TIAに設定される利得は、周波数制御部52にも通知される。周波数解析部51は、ADC44でサンプルされたデータから、Peak-to-Peak、もしくはRMS(Root Mean Square)法などでビート振幅を計算し、FFTの結果であるビート周波数(周波数オフセット)とともに、周波数制御部52に供給する。
【0060】
ADC44でサンプリングされたビート信号は、振幅が同じでもビート周波数が異なるとパワースペクトルの値が変化する。ビート信号の振幅は、90度ハイブリッド光ミキサ41に入力される受信光のパワー、局発光源42の光パワー、90度ハイブリッド光ミキサ41に内蔵されているトランスインピーダンスアンプ(TIA)の利得などによって決まる。
【0061】
そこで、周波数制御部52は、送信側からの光信号を受信しているか否かを判断する際に、
図13に示す閾値テーブル61を用いて適切な閾値を選択する。閾値テーブル61は閾値Pを、光受信パワー、局発光パワー、TIAゲイン、FFT後のビート周波数と対応づけて格納する。これらのパラメータの外にも、プリント基板の配線特性などを考慮してもよい。また、閾値テーブル61に替えて、閾値テーブル61に記述されるパラメータ間の関連性を規定する近似式を用いてもよい。
【0062】
たとえば、ADC44のサンプリングレートが100ギガサンプル/秒の場合、
図14(A)に示すビート周波数が1GHz、振幅が1の信号が観測される。このビート信号を周波数解析部51で周波数解析すると、
図14(B)のような1GHzの周波数オフセットが検出される。
【0063】
図15(A)はビート周波数が1GHz、振幅2のビート信号を示し、
図15(B)はそれを周波数解析部51でFFT解析した結果を示す。
図14と
図15を比較すると、ビート波形の振幅に応じてパワースペクトルの値(縦軸)が変化していることがわかる。
【0064】
図16(A)はビート周波数が10GHz、振幅1のビート信号を示し、
図16(B)はそれを周波数解析部51でFFT解析した結果を示す。
図14と
図16を比較すると、振幅が同じでもビート周波数が異なるとパワースペクトルの値(縦軸)が変化することがわかる。
【0065】
このため、
図13の閾値テーブル61のように、ビート信号の振幅、周波数などに応じて、異なる値の閾値Pを用いて、信号受信の有無を判断する。同じ光受信パワー(P_S1等)でも、局発光パワーが異なる場合があり(P_L1、P_L2)、TIAゲインも異なり(G1、G2、G3等)、周波数解析で得られるビート周波数(周波数オフセット)も異なる。
【0066】
図13では、パワースペクトルの最大値の閾値Pを持つことを想定しているが、
図17に示す閾値テーブル62を用いてもよい。
図17では、パワースペクトルが1番目からN番目の成分まで閾値(P1〜PN)を持つ。
【0067】
図18は、さらに別の閾値テーブル63の例を示す。
図18(A)では、閾値Pをビート周波数およびビート振幅と対応付けている。ビート周波数は、ADC44でサンプルされたデータを周波数解析部51でFFTした結果である。ビート振幅は、ADC44でサンプルされたデータからPeak-to-Peak、RMS(Root Mean Square)などの方法で計算された結果である。閾値Pをビート周波数およびビート振幅と対応付けることによって、信号受信の有無を判断する際に適切な閾値Pを用いることができる。
【0068】
また、
図18(B)のように、パワースペクトルがN番目に大きい成分まで閾値(P1〜PN)を保持してもよい。閾値Pと、ビート周波数およびビート振幅の関係を規定する近似式を用いてもよい。第1実施形態と同様に、所定の時間が経過しても周波数解析部51でビート周波数を検出できない場合は、コントロールプレーン経由で、光送信機10に再度連続波を出力するように通知してもよい。
【0069】
光受信機40のサンプリングクロック源43、波長分散補償部45、CDR46、偏波分離部47、周波数オフセット・位相補償部48、デコーダ49の構成、動作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
<第3実施形態>
図19は、第3実施形態の光通信システムで用いられる光送信機70の概略ブロック図である。第3実施形態では送信側で周波数オフセット用のトレーニングパターンを挿入する。
【0071】
光送信機70は、シンボルマッピング部71と、トレーニングパターン生成部73と、データ合成部72を有する。トレーニングパターン生成部73で生成されたトレーニングパターンは、データ合成部72で、シンボルマッピング部71からの出力と合成される。データ合成部72の後段のシリアライザ75、ドライバ76、および変調部77は、第1実施形態と同様の構成および動作を行う。
【0072】
トレーニングパターン生成部73で生成されるパターンは、変調部77から一定時間連続波を出力することができ、かつ受信側でビート波形を検出することのできるパターンである。たとえば、QPSKの場合は同じ符号で連続する同じデータを出力する。
【0073】
図20は第3実施形態の光通信システムで用いられる光受信機80の概略ブロック図である。第1実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して説明を省略する。周波数解析部81は、ADC24から所定のシンボル長を有するディジタルサンプリングデータを取得し、1シンボルずつずらしながら一定長の複数のブロックに分割する。後述するように、1シンボルずつずらして複数のブロックに分割することによって、いずれかのブロックの中にトレーニングパターンの全体が含まれることを担保する。周波数解析部81は、各ブロックにFFTを行い、そのパワースペクトルからトレーニングパターンの全体が含まれているブロックを選択して、周波数オフセットを検出する。周波数制御部82は、検出された周波数オフセットに基づいて、局発光源22の周波数を制御する。
【0074】
周波数制御部81は、周波数オフセット及び位相補償部28から周波数オフセット補償量を読み取り、局発光源22の周波数が送信光源の周波数よりも小さいのか大きいのかを判別する。局発光源22の制御と同時に、周波数制御部82は周波数オフセット及び位相補償部28に対して、周波数オフセットを補償しないように命令を送信して、過補償状態にならないように制御する。
【0075】
図21は、
図19の光送信機70のフレーム構成の例を示す。送信フレーム90はシンボル長LPのトレーニングパターン91と、シンボル長LDのデータブロック92を含む。トレーニングパターン91は、送信したいデータに対して一定間隔または不定期に挿入される。トレーニングパターン91は、光送信機70から連続波を出力できるパターンであり、QPSKでは同じシンボルを送信することに該当する。トレーニングパターン91は受信側で正弦波のビート信号が検出できる任意の信号であり、第1実施形態で用いた変調度の小さい信号(
図6(A)参照)を用いてもよい。
【0076】
一例として、シンボルレートを50ギガシンボル/秒(1シンボル周期は20ps)、トレーニングパターン91の長さを1000シンボルとすると、受信側では最長周期20ps×100シンボル=2nsの正弦波をモニタ可能となる。2nsは500MHzに相当し、500MHz以上の周波数オフセットを受信側で検出可能である。
【0077】
図22は、光受信機80の周波数解析部81がADC24から取得するディジタルサンプリングデータのサイズを説明する図である。
図22(A)に示すように、トレーニングパターン91のシンボル長LPと、データブロック92のシンボル長LDの合計の長さのディジタルサンプリングデータ(LP+LD)をADC24から取得する場合、取得するタイミングによってはトレーニングパターン91をすべてモニタできないことがある。
【0078】
そこで
図22(B)に示すように、(LP×2+LD)シンボル分のデータをADC24から取得し、トレーニングパターン91の全体をモニタできるようにする。ADC24がM倍のオーバーサンプリング(Mは1以上の整数)を行う場合は、ADC24から(LP×2+LD)×M個のデータを取得する。FFTの周波数分解能はデータ点数とサンプリング周波数で決定されるので、所要分解能に応じてADC24から取得するデータを間引いてもよい。
【0079】
図23は、ADC24から取得したデータの分割を示す。周波数解析部81は、ADC24から取得るサンプリングデータは、1ブロックの長さをNシンボル(NはLP以下の整数、M倍オーバーサンプリングの場合はN×M個のデータ)として、各ブロックで1シンボル分ずれるように分割される。このようにすることで、トレーニングパターン81のすべてが必ずいずれかのブロックに含まれる。
【0080】
図24は、光受信機80の周波数解析部81で行う処理を示すフローチャートである。まず、ADC24(あるいは波長分散補償部25)からのサンプリング出力に基づいて、
図23に示したブロック分割を実行する(S501)。次に、各ブロックをFFTする(S503)。各ブロックで、パワースペクトルが最大となるビート周波数を抽出して(S505)処理を終了する。
【0081】
ブロック中にトレーニングパターン以外のデータが含まれている場合、正弦波以外の信号がFFTされるため、第1実施形態や第2実施形態のようなビート周波数のパワースペクトルを検出することができない。
【0082】
図25は、パワースペクトルの検出の適否を示す図である。
図25(A)のブロック#1と、
図25(B)のブロック#2のパワースペクトルは、パワーレベルが最大の成分と2番目に大きい成分の差が小さく、様々な周波数成分が含んでいる。これは、トレーニングブロック以外のデータが含まれていることを示す。
【0083】
これに対し、
図25(C)のブロック#P(Pは第1ブロックから最後のブロックのいずれかを表わす整数)は、パワーレベルが最大の成分と2番目の成分の差が大きく、ビート周波数成分を明確に検出することができる。このブロック#Pにはトレーニングパターンが含まれている。
【0084】
トレーニングパターンが含まれているか否かの判断は、第1実施形態や第2実施形態と同様に、閾値を用いて判断してもよい。制御時間の短縮のために、1ブロックごとに周波数解析して閾値と比較し、比較した結果、ビート周波数を検出したと判断された場合は、そのブロックの解析までで終了し、残りのブロックの解析を行わずに、局発光の制御を行ってもよい。また、送信側で不定期にトレーニングパターンが挿入される場合は、閾値に基づいてビートを検出できたと判断された場合のみ、
図8のビート周波数の記憶(S208)と局発光制御(S209〜S219)を実行する。
【0085】
第3実施形態では、データ通信確立前の起動時だけではなく、運用中(ライン同期が確立し、データの通信が行われている状態)でも、周波数オフセット補償に影響しない微小な局発光の周波数の揺れを補償することも可能である。
【0086】
上述したように、周波数制御部82は、運用中に周波数オフセット及び位相補償部28から現在の周波数オフセット補償量を読み取って、局発光が送信光源の周波数よりも小さいのか、大きいのかを判別する。周波数制御部82は、周波数解析部81がトレーニングパターンから検出した周波数オフセット量を補償するように局発光源22の周波数を変化させるが、同時に、周波数オフセット及び位相補償部28の周波数オフセット補償量を制御して過補償状態にならないようにする。
【0087】
図26は、局発光周波数の変化に応じた周波数オフセット補償量の調整を説明する図である。局発光源22の周波数を温度制御等により行う場合、周波数が瞬時に変化せず信号疎通に影響する場合がある。この場合、
図26に示すように、実線で示す局発光周波数の変化に合わせて、破線で示すように周波数オフセット及び位相補償部28の周波数オフセット補償量を設定してもよい。局発光の周波数変化に関する時間データは、事前に取得しておくのが望ましい。
【0088】
なお、偏波多重の場合は、X偏波とY偏波のいずれか一方または両方にトレーニングパターンを挿入し、受信側で検出する構成としてもよい。
【0089】
<第4実施形態>
図27は、第4実施形態の光受信機の基本動作を示すフローチャートである。光送信機は、第1実施形態の光送信機10A,10B(連続波を出力)または第3実施形態の光送信機(トレーニングパターンを挿入)70のいずれを用いてもよい。
【0090】
第4実施形態では、外部から局発光の周波数を設定するのではなく、局発光の最小周波数から最大周波数までを、周波数間隔α(GHz)でスイープさせ、自動的に局発光の周波数を送信光源の周波数に一致または近接させる。
【0091】
周波数間隔αは、主に光受信機の90度ハイブリッド光ミキサに内蔵されているTIA(不図示)の帯域と、ADCの帯域により決定されるパラメータである。周波数オフセットが大きい場合、すなわちビート信号が高周波の場合は、ビート信号を検出することができない。具体的には、トランスインピーダンスアンプとADCの合計帯域をfc、ビート周波数をfbとした場合、ビート周波数fbが帯域fcよりも非常に大きい場合(fb>>fc)、ADCでビート信号をモニタできなくなる。
【0092】
図27において、まず局発光周波数として、最小周波数fminを選択し(S601)、f=fminとする(S602)。局発光源から連続波CWを出力し(S603)、波長が安定するまで待機する(S604)。ADCからサンプリングデータを取得して(S605)、周波数を解析する(S606)。周波数解析結果から、光信号を受信しているか否かを判断する(S607)。この判別は、第1実施形態で説明したように閾値を設けて判断することができる。
【0093】
ビート信号を検出できない場合は(S607でNo)、局発光源の周波数をα(GHz)だけ増大させて(S608)、局発光周波数を次の値に設定し(S609)、ビート信号成分が検出されるまで、S604〜S609を繰り返す。
【0094】
ビート信号成分が検出された時点で(S607でYes)、ビート周波数f_B1を周波数オフセットとして記憶し(S610)、局発光の周波数をf=f+f_B1に設定する(S611)。その後、設定された周波数が局発光制御の範囲内か否かを判断し(S612)、判断結果に応じた処理を行なう。
【0095】
後続する処理S613〜S624は、ADCからのサンプリングデータの再取得およびf_B1とf_B1の比較による変化の方向の確認(S613〜S621)や、許容オフセットを超える場合の処理終了(S622〜S624)を含めて、
図8のS211〜S223と同様であり、説明を省略する。
【0096】
図27の処理フローでは、ステップサイズαでスイープして、ビート周波数が検出された時点で、1回だけ微調整を行う。
【0097】
図28は、
図27の変形例として、微調整の制御を複数回行なう場合のフローチャートである。
図27と同じステップには同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0098】
まず、制御回数カウンタ値Nを初期化する(N=0)(S701)。次に、局発光周波数として最小周波数fminを選択して(S601)、f=fminに設定する(S602)。その後の局発光源からの連続波CWの出力、波長の安定化、ADCからのサンプリングデータ取得と周波数解析、光信号(ビート信号)が検出されるまでステップサイズαで周波数を増大させる処理(S603〜S609)は
図27と同じであり、説明を省略する。
【0099】
ビート信号が検出されると(S607でYes)、周波数オフセットが許容範囲か否かが判断される(S702)。周波数オフセットが許容範囲内の場合は(S702でYes)、局発光の周波数調整が適切になされたとして処理を終了する。周波数オフセットが許容範囲にない場合は(S702でNo)、局発光周波数の制御を行って(S703)、制御回数カウンタ値Nをインクリメントする(S704)。その後、Nが規定の回数未満であるかを判断し(S705)、規定の回数に達するまでS604〜S704を繰り返す。所定の回数に達したところで(S705でNo)、処理を終了する。
【0100】
図29は、
図28の局発光制御ステップS703の詳細を示す。局発光制御ステップは
図27のステップS610〜S623と同じである。すなわち、1回目のADCサンプリングデータの周波数解析結果から最大ピークのビート周波数f_B1を取得して許容オフセットの範囲内で局発光の周波数をf=f+f_B1に設定し(S610〜S614)、2回目の最大ピークのビート周波数f_B2とf_B1を比較して周波数調整方向を確認する(S615−S618)。周波数オフセットが大きくなる方向に調整されている場合は正しい方向に戻し(S619〜S620)、調整後の局発光周波数fが局発光制御の範囲内にあるときは調整後の周波数に確定し(S621)、局発光制御の範囲内にない場合はアラームを発生して処理を終了する(S622〜S624)。
【0101】
このように、ビート信号が検出されるまで局発光の周波数をステップサイズαでスイープすることによって、外部の周波数制御機能を用いなくても、局発光周波数を許容オフセット範囲内に絞り込むことができる。
【0102】
なお、第1実施形態、第2実施形態と同様に、所定の時間が経過しても周波数解析部でビート周波数を検出しない場合は、コントロールプレーン経由で、送信側に連続波を出力するように通知してもよい。
【0103】
図30は、実施形態の効果を説明するための図である。
図30のグラフは、正規化周波数オフセットとQペナルティの関係を示す。一般的な周波数オフセット補償方法であるm乗方法(三角マーク)は、正規化周波数オフセットが±0.1の範囲でしか補償できないが、非特許文献2で提案されるPADE法(四角マーク)は±0.4近くまで補償範囲を拡張している。しかし、周波数オフセットが大きくなるとQペナルティが増大する。理想的な周波数オフセット補償を行ったとしても(丸マーク)、周波数オフセットが大きくなるとQペナルティが生じる。
【0104】
これに対して、実施形態の方法では、変調方式に依存しないブロック(ADC、波長分散補償部など)からサンプリングされた信号の周波数解析を行って、局発光の周波数を送信光源の周波数に一致または近接させる。したがって、変調方式にかかわりなく、正規化周波数オフセットをゼロ近傍にすることができ、どのような変調方式であってもQペナルティがほとんど発生しない。
【0105】
また、ビート信号に基づく周波数オフセットの推定範囲は、ディジタル信号処理部での周波数オフセット補償に比べて広い。たとえば、シンボルレートが50ギガシンボル/秒で、2倍のオーバーサンプリングを行う場合、サンプリングレートは100ギガサンプル/秒になる。FFTはナイキスト周波数(サンプリング周波数の半分)までビート信号の成分が検出可能であるため、50GHz未満の周波数オフセットまで補償可能である。
【0106】
OIF(Optical Internetworking Forum)では、初期立ち上げ時からの光源の周波数ずれは±2.5GHzと規格化されている。その後の経年劣化などにより最大5GHz(50ギガシンボル/秒)ずれた場合を考えると、正規化周波数オフセットは0.1であり、m乗方式、PADE方式など、補償方法にかかわりなくほとんどQペナルティは発生しない。
【0107】
さらに、50GHz未満までのビート信号を測定できるため、局発光の周波数を既存の50GHzグリッドから25GHz離れた周波数に一致させて通信を確立することも可能である。つまり、将来的にフレキシブルグリッドあるいはグリッドレスでグリッドの間隔が変わった場合でも、周波数オフセットを制御して通信を確立することができる。
【0108】
上述した第1実施形態から第4実施形態の光受信機において、ADCからデータを取得するインタフェース、周波数解析部、および周波数制御部は、ADCと同じ速度で通信できる高速インタフェースを有するFPGAや、ADICなどのLSIを用いてもよい。低速の回路を用いる場合は、ADCのインタフェースをパラレル化して低速でデータを取得し、周波数解析と周波数制御を行ってもよい。また、ADC、周波数解析部、および周波数制御部の処理速度を吸収するため、各ブロックの間にメモリを配置する構成としてもよい。
【0109】
以下の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
光送信機と、
伝送路を介して前記光送信機と接続される光受信機と、
を含み、
前記光送信機は、受信側で局発光と結合されたときにビートの検出が可能な連続波の光信号を送信し、
前記光受信機は、前記光信号を前記局発光で検波してディジタルサンプリングによるビート波形を取得し、前記ビート波形を有するディジタルサンプリングデータを復調前に周波数解析してビート周波数を検出し、前記ビート周波数に基づいて前記局発光の周波数を制御する、
ことを特徴とする光通信システム。
(付記2)
局発光調整用の信号パターンを生成する信号パターン生成部と、
前記信号パターンに基づく光信号を出力する変調部と、
を備え、
前記信号パターンは、前記光信号が受信側で局発光と結合されたときにビートの検出が可能な連続するパターンであることを特徴とする光送信機。
(付記3)
前記信号パターン生成部は、無変調またはデータ変調で用いる変調度よりも小さい変調度の連続するパターンを生成することを特徴とする付記2に記載の光送信機。
(付記4)
前記信号パターンとデータ信号を合成する合成部、
をさらに有し、
前記信号パターン生成部は、前記変調部から連続波の前記光信号を出力することのできるトレーニングパターンを生成し、
前記合成部は、前記データ信号に前記トレーニングパターンを付加して出力することを特徴とする付記2に記載の光送信機。
(付記5)
前記信号パターンに基づく光信号は、前記変調部で用いる光源の周波数が設定された後に、一定時間出力されることを特徴とする付記2に記載の光送信機。
(付記6)
受信した光信号を局発光で検波して電気信号を取り出す検波部と、
前記電気信号をディジタルサンプリングするディジタル変換部と、
復調前のディジタルサンプリングデータを周波数解析してビート周波数を検出する周波数解析部と、
を有し、
前記局発光の周波数は、前記ビート周波数に基づいて制御されることを特徴する光受信機。
(付記7)
前記前記ディジタル変換部は、データと非同期のクロックで前記電気信号をディジタルサンプリングすることを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記8)
前記光信号は、シンボル長がLDのデータ信号に、シンボル長がLPのトレーニングパターンが付加された信号であり、
前記周波数解析部は、(LD+LP×2)の長さの前記ディジタルサンプリングデータを取り込み、前記ディジタルサンプリングデータを、1シンボルずつずらしながら一定の長さの複数のブロックに分割し、前記ブロックごとに前記周波数解析を行って前記ビート周波数が検出されたブロックを選択し、
前記局発光の周波数は、前記選択されたブロックで検出された前記ビート周波数に基づいて制御されることを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記9)
前記ディジタルサンプリングデータをディジタル信号処理して周波数オフセットを補償する補償部と、
前記周波数解析部で検出された前記ビート周波数と、前記補償部で得られた補償量とに基づいて前記局発光の周波数を制御する制御部と、
をさらに有することを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記10)
前記制御部は、前記局発光の周波数を制御するとともに、前記補償部が前記周波数オフセットの補償を行わないように制御することを特徴とする付記9に記載の光受信機。
(付記11)
一定範囲内で周波数が可変の局発光源、
をさらに有し、前記局発光源は、前記一定範囲内で所定のステップサイズで周波数をスイープし、
前記周波数解析部は、前記スイープされた各周波数で前記ビート周波数を検出し、
前記局発光源は、前記ビート周波数が検出されたときの周波数で局発光を出力することを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記12)
前記周波数解析部は、前記ディジタルサンプリングデータの取り込みと前記周波数解析を2回行って、前記ビート周波数で表わされる前記局発光の周波数ずれの方向を判断することを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記13)
前記周波数解析部は、前記周波数解析結果が所定の閾値を超えるときに、前記ビート周波数を検出することを特徴とする付記6に記載の光受信機。
(付記14)
前記受信した前記光信号のパワーをモニタするモニタ部、
をさらに有し、
前記周波数解析部は、前記閾値を、前記光信号のパワー、前記ビート周波数、前記局発光のパワー、前記検波部のゲインの少なくとも1つと対応づけて記述するテーブルまたは前記対応関係を表わす近似式に基づいて、前記所定の閾値を選択することを特徴とする付記12に記載の光受信機。