特許第6209855号(P6209855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209855
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20171002BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20171002BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20171002BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20171002BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20171002BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171002BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20171002BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/67
   A61K8/31
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61Q19/00
   A61Q19/02
   A61Q19/08
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-104323(P2013-104323)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-224071(P2014-224071A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162628
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 博
(74)【代理人】
【識別番号】100119286
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 操
(72)【発明者】
【氏名】柿山 朝香
(72)【発明者】
【氏名】石田 実咲
(72)【発明者】
【氏名】田村 猛
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−176903(JP,A)
【文献】 特開平10−298174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/34
A61K 8/31
A61K 8/39
A61K 8/67
A61K 8/86
A61Q 19/00
A61Q 19/02
A61Q 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)で示されるアスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩
0.001〜5質量%、
(b)炭素数が5又は6の2価アルコール 0.05〜10質量%、
(c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.01〜5質量%、
(d)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 0.01〜5質量%、
(e)モノテルペン 0.001〜5質量%
を含有する、皮膚化粧料。

(式中、Rは炭素数12〜20の脂肪酸残基である)
【請求項2】
さらに、
(f)酸性ムコ多糖類 0.001〜5質量%
を含有する、請求項1に記載の皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
肌へのなじみ性がよく、べたつきがなく使用感に優れるとともに、肌にはりを与え、隠れシミの改善効果や毛穴引き締め効果など、肌の老化防止効果に優れ、かつ安定性にも優れる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸及びその種々の誘導体は、美白作用、抗酸化作用、コラーゲン合成促進作用等を有する物質として広く知られている。その中で、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩は、両親媒性であることから生体への親和性が高く皮膚への移行が速やかであることが知られている。しかし、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩を皮膚化粧料に配合した場合、加水分解されやすく、経時的に濁りや沈殿が発生し、安定性に課題があった。
そこで、安定性を高めた皮膚化粧料として、特許文献1では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩と多価アルコールの併用、また、特許文献2では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステル又はその塩とエデト酸及び/又はその塩の併用が提案されている。しかし、いずれも肌へのなじみ性やべたつき、肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に関して、充分に満足のいくものではなかった。同様に、特許文献3においても、安定性を高めた皮膚化粧料として、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステル及び/又はその塩と液状油、界面活性剤及び水の併用が提案されている。しかし、肌へのなじみ性や肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に関して、充分に満足のいくものではなかった。他方、特許文献4では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩と、血行促進作用又は細胞賦活作用を有する成分を併用し、抗シワ効果や美白効果、荒れ肌改善効果等に優れた化粧料が提案されている。しかし、安定性、肌へのなじみ性やべたつき、隠れシミ改善効果及び毛穴引き締め効果において充分に満足のいくものではなかった。このように、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩を配合した皮膚化粧料においては、肌へのなじみ性、べたつき、肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に優れ、かつ安定性にも優れる皮膚化粧料は得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−336156号公報
【特許文献2】特開2007−099670号公報
【特許文献3】特開2009−249325号公報
【特許文献4】特開2008−94791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、肌へのなじみ性がよく、べたつきがなく使用感に優れるとともに、肌にはりを与え、隠れシミの改善効果及び毛穴引き締め効果などに優れるなど肌の老化防止効果を有し、かつ安定性にも優れる皮膚化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩を含有する化粧料における前記課題を解決するべく鋭意研究の結果、複数の特定成分を組み合わせることによって、これらの課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(a)式(I)で示されるアスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩
0.001〜5質量%、
(b)炭素数が5又は6の2価アルコール 0.05〜10質量%、
(c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.01〜5質量%、
(d)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 0.01〜5質量%、
(e)モノテルペン 0.001〜5質量%、を含有する皮膚化粧料である。
本発明の皮膚化粧料は、さらに、(f)酸性ムコ多糖類 0.001〜5質量%を含有してもよい。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、Rは炭素数12〜20の脂肪酸残基である)
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚化粧料は、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩と特定の成分によって構成されているため、各構成成分の相互作用により、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩を含む製剤の安定性が顕著に向上される。また、各構成成分の相互作用により、本発明の皮膚化粧料は、同化合物の生理作用による隠れシミの改善や、肌にはりを与え、毛穴引き締めるなどの老化防止効果が効果的に奏される上、肌へのなじみ性がよく、べたつき感がないなど、使用感の面でも優れた作用効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[a成分]
本発明のa成分であり式(I)で表されるアスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩は、アスコルビン酸の2位の炭素原子に結合した水酸基とリン酸がエステル結合し、6位の炭素原子に結合した水酸基に炭素数12〜20の脂肪酸がエステル結合し、リン原子に結合した2つの水酸基とアスコルビン酸の3位の炭素原子に結合した水酸基から水素原子が解離して塩を形成した化合物である。
炭素数12〜20の脂肪酸としては、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられるが、入手のしやすさからパルミチン酸が好ましい。アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩としては、具体的にはNa塩、K塩、Ca塩、Mg塩、Zn塩等が挙げられるが、安定性の点からNa塩が好ましい。これらのa成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
a成分は、皮膚化粧料中に、0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%の割合で含まれる。0.001質量%未満では、隠れシミの改善効果や毛穴引き締め効果が低下する。5質量%を超えると、安定性が低下する。
【0010】
[b成分]
b成分の炭素数が5又は6の2価アルコールとしては、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、中でも使用感の点から、好ましくは1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、より好ましくは1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールである。これらのb成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
b成分は、皮膚化粧料中に、0.05〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%の割合で含まれる。0.05質量%未満では、安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
【0011】
[c成分]
c成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを付加することによって得られる。エチレンオキシドの付加モル数は、安定性の点から、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜60である。具体的には、ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80モル)硬化ヒマシ油が挙げられる。これらのc成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
c成分は、皮膚化粧料中に、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満では、肌へのなじみ性や安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
【0012】
[d成分]
d成分のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール又はソルビタンと脂肪酸との部分エステルであるソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを付加させることによって得られる。エチレンオキシドの付加モル数は、安定性の点から、好ましくは15〜30モル、より好ましくは20〜30モルである。
脂肪酸としては、炭素数が8〜24の飽和あるいは不飽和脂肪酸が適し、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの単一脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の動植物油由来の混合脂肪酸などを用いることができる。脂肪酸の炭素数は、安定性の点から、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜18である。脂肪酸エステルの数は、安定性の点から、好ましくは1〜3、より好ましくは1のモノエステルである。具体的には、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンが挙げられる。これらのd成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
d成分は、皮膚化粧料中に、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満では、肌へのなじみ性や安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
【0013】
[e成分]
e成分のテルペン化合物は、イソプレン単位から構成され、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン等に分類される。具体的には、モノテルペンであるリモネン、ピネン、カンフル、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、シトロネラール、シトラール、サフラナール、メントン、カルボメントン、ヨノン、セスキテルペンであるリシチン、ファルネソール、ネロリドール、ジテルペンであるレチナールが挙げられる。中でも肌へのなじみ性の点から、好ましくはモノテルペン、より好ましくはリモネン、メントールである。これらのe成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
e成分は、皮膚化粧料中に0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜3質量%、更に好ましくは0.03〜1質量%の割合で含まれる。0.001質量%未満では、肌へのなじみ性や肌にはりを与える効果が低下したり、べたついたりする場合がある。5質量%を超えると、刺激を感じる場合がある。
【0014】
さらに、本発明の皮膚化粧料には、肌にはりを与える効果や毛穴引き締め効果をより向上させるために、f成分として、酸性ムコ多糖類を配合することができる。
[f成分]
f成分の酸性ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等の酸性ムコ多糖、又はそれらと無機又は有機のアルカリにより形成される塩が挙げられる。好ましくはヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸又はそれらの塩であり、更に好ましくはヒアルロン酸又はその塩である。これらのf成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
f成分は、皮膚化粧料中に、に0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.05〜1質量%の割合で含まれる。
【0015】
本発明の皮膚化粧料には、aないしf成分以外に、化粧料や医薬品に常用されている添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することも可能である。添加剤としては、例えば、精製水、一価アルコール、多価アルコール、糖類、流動パラフィン、炭化水素系油、天然油脂、脂肪酸、エステル油、ロウ類、シリコーン誘導体、セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチン等の油性基剤、石鹸、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、有機又は無機塩類、pH調製剤、殺菌剤、抗酸化剤、血行促進剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、動植物由来の天然エキス、ビタミン類、アミノ酸類、感光素、色素、顔料、及び香料等が挙げられる。
また、皮膚化粧料の剤型は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリームなどの任意の剤型を採ることができる。また、不織布等に含浸させて用いても良い。
【実施例】
【0016】
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載において特に規定しない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
表1に示す配合比率で化粧水を調製し、下記方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)肌へのなじみ性
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用して、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:肌へのなじみが非常に良いと感じた。
1点:肌へのなじみが良いと感じた。
0点:肌へのなじみが悪いと感じた。
20名の合計点を求め、以下のとおり判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:非常になじみが良い。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1人以上2人以下:なじみが良い。
△:合計点が15点以上25点未満:ややなじみが良い。
×:合計点が15点未満:なじみが悪い。
【0017】
(2)使用後のべたつき
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:全くべたつきを感じなかった。
1点:ほぼべたつきを感じなかった。
0点:べたつくと感じた。
20名の合計点を求め、以下のとおり判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:全くべたつきがない。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1人以上2人以下:ほぼべたつきがない。
△:合計点が15点以上25点未満:ややべたつく。
×:合計点が15点未満:べたつく。
【0018】
(3)肌のはり
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、1日2回ずつ連日4週間使用した時の肌のはりについて官能検査し、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:肌にはりがでたと感じた。
1点:肌にややはりがでたと感じた。
0点:肌にはりがでたと感じなかった。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:肌に非常にはりを与える。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1以上2人以下:肌にはりを与える。
△:合計点が15点以上25点未満:やや肌にはりを与える。
×:合計点が15点未満:肌にはりを与えない。
【0019】
(4)隠れシミの改善効果
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に1日2回ずつ連日4週間使用してもらった。試験開始前及び試験終了後にコスメティック用全顔撮影装置Facial Stage DM−3((株)モリテックス製)で、全顔をブラックライト撮影し、肉眼では見えない肌内部に潜在しているシミの状態について評価した。画像解析法にて隠れシミの平均面積を計測し、隠れシミ改善率を式(II)より算出し、
隠れシミの改善率(%) =( 1−(試験終了後の隠れシミの平均面積)/(試験開始前の隠れシミの平均面積))×100 (II)

20名の平均毛穴引き締め効果率を求め、以下のとおり判定した。
◎:平均隠れシミの改善率が10%以上:隠れシミの改善効果が非常に大きい。
○:平均隠れシミの改善率が5%以上10%未満:隠れシミの改善効果がある。
△:平均隠れシミ改善率が2%以上5%未満:隠れシミの改善効果がややある。
×:平均隠れシミ改善率が2%未満:隠れシミの改善効果がない。
【0020】
(5)毛穴引き締め効果
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、1日2回ずつ連日4週間使用してもらった。試験開始前及び試験終了後にコスメティック用全顔撮影装置Facial Stage DM−3(株)モリテックス製)で全顔をデジタルカメラ撮影し、毛穴の状態について評価した。画像解析法にて毛穴の平均面積を測定し、毛穴引き締め効果率を式(III)より算出し、

毛穴引き締め効果率(%) = (1−(試験終了後の毛穴の平均面積)/(試験開始前の毛穴の平均面積))×100 (III)

20名の平均毛穴引き締め効果率を求め、以下のとおり判定した。
◎:平均毛穴引き締め効果率が10%以上:毛穴引き締め効果が非常に大きい。
○:平均毛穴引き締め効果率が5%以上10%未満:毛穴引き締め効果がある。
△: 平均毛穴引き締め効果率が2%以上5%未満:毛穴引き締め効果がややある。
×:平均毛穴引き締め効果率が2%未満:毛穴引き締め効果がない。
【0021】
(6)経時安定性
各被験皮膚化粧料を透明ガラス容器に密封して、0℃、室温、40℃で3ヶ月間保存し、その外観を目視にて観察し、下記のように評価を行った。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干澱、沈殿を生じる又は若干変色を生じる。)
×:安定性不良(いずれかの温度において著しく澱、沈殿を生じる又は分離する。もしくは著しく変色を生じる。)
【0022】
【表1】
【0023】
本発明の皮膚化粧料(実施例1〜6)は、肌へのなじみ性がよく、べたつきがなく使用感に優れるとともに、肌の老化防止効果として肌にはりを与え、隠れシミの改善効果及び毛穴引き締め効果に優れ、かつ安定性にも優れる結果が得られた。
他方、比較例1〜5では充分な性能が得られなかった。すなわち、比較例1は、a成分が含まれていないため、肌にはりを与える効果、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られなかった。比較例2は、b成分が含まれていないため、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られておらず、安定性にも問題を生じた。比較例3は、c成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性にも問題が生じた。比較例4は、d成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性にも問題が生じた。比較例5は、e成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、べたつき、肌にはりを与える効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性も不良であった。