特許第6209858号(P6209858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209858
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20171002BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20171002BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20171002BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20171002BHJP
   F21Y 115/00 20160101ALN20171002BHJP
【FI】
   F21S8/12 271
   F21S8/10 170
   F21S8/12 210
   F21S8/12 270
   F21W101:10
   F21Y101:00
   F21Y115:00
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-105404(P2013-105404)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-229354(P2014-229354A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊也
(72)【発明者】
【氏名】井上 寿佳
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−018574(JP,A)
【文献】 特開2012−238477(JP,A)
【文献】 実開昭54−026887(JP,U)
【文献】 特開2010−108844(JP,A)
【文献】 特開2003−016813(JP,A)
【文献】 特開2011−113732(JP,A)
【文献】 特開2010−212089(JP,A)
【文献】 特開2009−059617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10−8/12
F21V 5/00−5/08
F21V 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源と、
主レンズ部及び前記主レンズ部の周囲に配置された補助レンズ部を有し、前記半導体型光源からの光をロービームの配光パターンである第1配光パターン、ハイビームの配光パターンである第2配光パターンとして車両の前方にそれぞれ照射するレンズと、
光制御部材と、
前記光制御部材を第1位置と第2位置とに移動切替可能に位置させる駆動部材と、
を備え、
前記レンズは、
前記光制御部材が前記半導体型光源と前記補助レンズ部との間の位置である前記第1位置に位置するときには、前記第1配光パターンを車両の前方に照射し、
前記光制御部材が前記半導体型光源と前記主レンズ部との間の位置である前記第2位置に位置するときには、前記第2配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射し、
前記光制御部材は、光透過部材から構成されていて、可変焦点レンズ部と、取付部と、を備え、前記第1位置に位置する場合、前記半導体光源から出力される周辺光の一部を透過させ、前記補助レンズ部に入射させ、前記第2位置に位置する場合、前記半導体光源から出力される中央光を透過させ、前記主レンズ部の中央部に入射させる
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記可変焦点レンズ部と前記取付部との間には、前記第2配光パターンを照射する際に、前記主レンズ部の中央部の左右両側の部分に光を入射させる固定焦点レンズ部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記可変焦点レンズ部と前記固定焦点レンズ部との間には、徐変焦点レンズ部が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光制御部材のうち、少なくとも前記取付部の前記半導体型光源と対向する面は、前記半導体型光源に対して凹んでいる凹曲面をなし、少なくとも前記取付部の前記半導体型光源と対向する面と反対側の面は、前記半導体型光源と反対側に突出する凸曲面をなす、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源からの光をレンズに入射させて、そのレンズから2つの配光パターンたとえばロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に照射することができるレンズ直射型の車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。
【0003】
従来の車両用前照灯は、光源と、レンズと、第1反射面と、第2反射面と、を備えるものである。そして、従来の車両用前照灯は、第1反射面が開放位置に位置すると、光源からの光がレンズを透過して、すれ違いビーム用配光パターンとして車両の前方に照射される。また、第1反射面が遮光位置に位置すると、光源からの光が第1反射面で反射し、その反射光が第2反射面で反射して、走行ビーム用配光パターンとして車両の前方に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−113732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる車両用前照灯においては、可動型の第1反射面を使用して、すれ違いビーム用配光パターンと走行ビーム用配光パターンとを高精度に照射する必要がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、すれ違いビーム用配光パターンと走行ビーム用配光パターンとを高精度に照射する必要がある、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源と、主レンズ部及び主レンズ部の周囲に配置された補助レンズ部を有し、半導体型光源からの光をロービームの配光パターンである第1配光パターン、ハイビームの配光パターンである第2配光パターンとして車両の前方にそれぞれ照射するレンズと、光制御部材と、光制御部材を第1位置と第2位置とに移動切替可能に位置させる駆動部材と、を備え、レンズが、光制御部材が半導体型光源と補助レンズ部との間の位置である第1位置に位置するときには、第1配光パターンを車両の前方に照射し、光制御部材が半導体型光源と主レンズ部との間の位置である第2位置に位置するときには、第2配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射し、光制御部材が、光透過部材から構成されていて、可変焦点レンズ部と、取付部と、を備え、第1位置に位置する場合、半導体光源から出力される周辺光の一部を透過させ、補助レンズ部に入射させ、第2位置に位置する場合、半導体光源から出力される中央光を透過させ、主レンズ部の中央部に入射させることを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、可変焦点レンズ部と取付部との間には、第2配光パターンを照射する際に、主レンズ部の中央部の左右両側の部分に光を入射させる固定焦点レンズ部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項3にかかる発明)は、可変焦点レンズ部と固定焦点レンズ部との間には、徐変焦点レンズ部が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項4にかかる発明)は、光制御部材のうち、少なくとも取付部の半導体型光源と対向する面が、半導体型光源に対して凹んでいる凹曲面をなし、少なくとも取付部の半導体型光源と対向する面と反対側の面が、半導体型光源と反対側に突出する凸曲面をなす、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車両用前照灯は、光制御部材の可変焦点レンズ部により、第2配光パターンたとえばハイビーム用配光パターン照射時において第1配光パターンたとえばロービーム用配光パターンの一部分を偏向させ、あるいは、第1配光パターンたとえばロービーム用配光パターン照射時において第2配光パターンたとえばハイビーム用配光パターンの一部分を偏向させることができる。これにより、第2配光パターンと第1配光パターンとを高精度に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態を示すランプユニットの主要構成部品の分解斜視図である。
図2図2は、ランプユニットを示す斜視図である。
図3図3は、ランプユニットを示す正面図である。
図4図4は、光制御部材が第1位置に位置しているときの光路を示す説明図(図3におけるIV−IV線断面図に対応する説明図)である。
図5図5は、光制御部材が第2位置に位置しているときの光路を示す説明図(図3におけるIV−IV線断面図に対応する説明図)である。
図6図6は、ロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターンを示す等照度曲線の説明図である。
図7図7は、光制御部材の全体を示す平面図である。
図8図8は、図7におけるVIII−VIII線断面図である。
図9図9は、ハイビーム用配光パターン照射時における光制御部材の可変焦点レンズ部および固定焦点レンズ部から照射される配光パターンを示す説明図である。
図10図10は、光制御部材の可変焦点レンズ部を示す背面図である。
図11図11は、光制御部材の可変焦点レンズ部および固定焦点レンズ部および徐変焦点レンズ部のそれぞれの焦点の位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図6は、コンピュータシミュレーションにより作図された路面上の配光パターンを簡略化して示す等照度曲線の説明図である。この等照度曲線の説明図において、中央の等照度曲線は、高照度を示し、外側の等照度曲線は、低照度を示す。数字の単位は、「m」である。また、図9において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。さらに、図9は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図である。この等光度曲線の説明図において、中央の等光度曲線は、高光度を示し、外側の等光度曲線は、低光度を示す。さらにまた、図4図5において、レンズおよび光制御部材の断面のハッチングは、省略してある。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
【0014】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用前照灯の構成について説明する。図1中、符号1は、この実施形態にかかる車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1は、車両Cの前部の左右両端部に搭載されている。
【0015】
(ランプユニットの説明)
前記車両用前照灯1は、図1図3に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、レンズ(固定レンズ)3と、光制御部材(可動レンズ)4と、駆動部材5と、レンズカバー部材6と、軸受部材7と、ベース部材8と、冷却部材9と、を備えるものである。
【0016】
前記半導体型光源2および前記レンズ3および前記光制御部材4および前記駆動部材5および前記レンズカバー部材6および前記軸受部材7および前記ベース部材8および前記冷却部材9は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6、7、8、9は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0017】
(半導体型光源2の説明)
前記半導体型光源2は、図1図4図5に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源2は、発光チップ(LEDチップ)20と、前記発光チップ20を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)と、前記パッケージを実装した基板21と、前記基板21に取り付けられていて前記発光チップ20に電源(バッテリー)からの電流を供給するコネクタ22と、から構成されている。なお、図4図5においては、前記コネクタ22の図示を省略してある。
【0018】
前記基板21は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の光源取付部80に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記光源取付部80に取り付けられている。この結果、前記半導体型光源2は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0019】
前記発光チップ20は、この例では、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、4個の正方形のチップをX軸方向(水平方向)に配列してなるものである。なお、2個もしくは3個もしくは5個以上の正方形のチップ、あるいは、1個の長方形のチップ、あるいは、1個の正方形のチップ、を使用しても良い。前記発光チップ20の正面この例では長方形の正面が発光面23をなす。前記発光面23は、前記レンズ3の基準光軸(基準軸)Zの前側に向いている。前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oは、前記レンズ3の基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記レンズ3の基準光軸Z上もしくはその近傍に位置する。
【0020】
図において、X、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。X軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る左右方向の水平軸であって、この実施形態において、右側が+方向であり、左側が−方向である。また、Y軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る上下方向の鉛直軸であって、この実施形態において、上側が+方向であり、下側が−方向である。さらに、Z軸は、前記発光チップ20の前記発光面23の中心Oを通る法線(垂線)、すなわち、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸であって、この実施形態において、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0021】
(レンズ3の説明)
前記レンズ3は、光透過性部材から構成されている。前記レンズ3は、図1図5に示すように、主レンズ部30と、補助レンズ部(付加レンズ部)31と、取付部32と、から構成されている。前記取付部32は、前記主レンズ部30の左右両端部に一体に設けられている。前記取付部32は、前記レンズカバー部材6を介して位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8のレンズ取付部81に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に取り付けられている。この結果、前記レンズ3は、前記レンズカバー部材6を介して前記ベース部材8に取り付けられている。前記取付部32は、この例では、前記レンズ3と一体構造であるが、前記レンズ3と別体構造であっても良い。
【0022】
前記レンズ3は、前記半導体型光源2からの光を、図6(A)に示す第1配光パターンとしてのロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)LP、および、図6(B)に示す第2配光パターンとしてのハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)HPとして車両Cの前方に照射するものである。前記ロービーム用配光パターンLPは、下水平カットオフラインと、斜めカットオフラインと、上水平カットオフラインとを、有する。前記ハイビーム用配光パターンHPは、中央部にホットゾーン(高光度帯)を有する。
【0023】
(主レンズ部30の説明)
前記主レンズ部30は、図4図5に示すように、前記基準光軸Zおよび前記基準焦点Fを有する。前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2から放射される光のうち、中央光L1および周辺光の一部を利用するものである。前記中央光L1は、前記半導体型光源2の半球放射範囲のX軸もしくはY軸から所定の角度(この例では、約60°)以上の範囲の光であって、前記主レンズ部30の中央部に入射する光である。また、前記周辺光は、前記半導体型光源2の半球放射範囲のX軸もしくはY軸から所定の角度(この例では、約60°)以下の範囲の光である。前記周辺光の一部は、前記周辺光のうち前記主レンズ部30の周辺部に入射する光である。前記主レンズ部30は、この例では、前記半導体型光源2からの光を透過させる透過タイプのレンズ部である。
【0024】
前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの光(前記中央光L1および前記周辺光の一部)を主配光パターン(基本配光パターン)、この実施形態においては、ロービーム用配光パターンLPの主配光パターン、および、ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターン、として車両Cの前方に照射する。すなわち、前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの直接入射した光(前記中央光L1および前記周辺光の一部)を前記ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンとして車両Cの前方に照射し、かつ、前記半導体型光源2から前記光制御部材4を透過した光(前記中央光L1、および、X軸方向の前記周辺光の一部)および前記半導体型光源2からの直接入射した光(X軸方向の前記周辺光の一部を除いた残りの前記周辺光の一部)を前記ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンとして車両Cの前方に照射する。
【0025】
前記主レンズ部30は、前記半導体型光源2からの光が前記主レンズ部30中に入射する入射面300と、前記主レンズ部30中に入射した光が出射する出射面301と、から構成されている。前記主レンズ部30の前記入射面300は、自由曲面あるいは複合2次曲面から構成されている。前記主レンズ部30の前記出射面301は、前記半導体型光源2と反対側に突出した凸形状をなし、自由曲面あるいは複合2次曲面から構成されている。
【0026】
(補助レンズ部31の説明)
前記補助レンズ部31は、図4図5に示すように、前記主レンズ部30の周辺この実施形態においては下辺(下側)に設けられている。この結果、前記半導体型光源2と、前記レンズ3の上部との間には、開口部(上部開口部)が形成されている。
【0027】
前記補助レンズ部31は、前記半導体型光源2から放射される光のうち、周辺光の他の一部L2を有効利用するものである。前記周辺光の他の一部L2は、前記周辺光のうち前記補助レンズ部31に入射する光である。前記補助レンズ部31は、この例では、前記周辺光の他の一部L2を全反射させる全反射タイプのレンズ部である。前記補助レンズ部31は、前記主レンズ部30と一体のものである。
【0028】
前記補助レンズ部31は、前記周辺光の他の一部L2を補助配光パターン、この実施形態においては、ロービーム用配光パターンLPの補助配光パターン、および、ハイビーム用配光パターンHPの補助配光パターン、として車両Cの前方に照射する。すなわち、前記補助レンズ部31は、前記半導体型光源2から前記光制御部材4を透過した光(前記周辺光の他の一部L2)を前記ロービーム用配光パターンLPの補助配光パターンとして車両Cの前方に照射し、かつ、前記半導体型光源2からの直接入射した光(前記周辺光の他の一部L2)を前記ハイビーム用配光パターンHPの補助配光パターンとして車両Cの前方に照射する。
【0029】
前記補助レンズ部31は、前記周辺光の他の一部L2が前記補助レンズ部31中に入射する入射面310と、前記入射面310から前記補助レンズ部31中に入射した光が反射する反射面311と、前記反射面311で反射した反射光が前記補助レンズ部31中から外部に出射する出射面312と、から構成されている。前記入射面310および前記反射面311および前記出射面312は、それぞれ自由曲面(あるいは複合二次曲面)から構成されている。
【0030】
(光制御部材4の説明)
前記光制御部材4は、図7に示すように、可変焦点レンズ部40と、取付部41と、固定焦点レンズ部45と、徐変焦点レンズ部46とを、備える。前記光制御部材4は、光透過部材から構成されていて、一体構造をなす。
【0031】
前記可変焦点レンズ部40は、中央側の部分に設けられている。前記取付部41は、左右両側の部分に設けられている。前記固定焦点レンズ部45は、前記可変焦点レンズ部40と前記取付部41との間であって前記取付部41側に設けられている。前記徐変焦点レンズ部46は、前記可変焦点レンズ部40と前記固定焦点レンズ部45との間に設けられている。
【0032】
前記取付部41は、前記軸受部材7を介して、前記ベース部材8に位置決めされて取り付けられている。この結果、前記光制御部材4は、前記軸受部材7を介して前記ベース部材8に、第1位置と第2位置との間を回転可能に取り付けられている。前記光制御部材4の回転中心O1は、前記発光面23の中心Oよりも、後側でかつ下側に位置する。
【0033】
前記光制御部材4は、前記駆動部材5により前記第1位置と前記第2位置とに移動(回転)切替可能に構成されている。前記第1位置は、図4に示すように、前記可変焦点レンズ部40が前記半導体型光源2の前記発光面23と、前記補助レンズ部31の前記入射面310との間に位置する位置である。前記第2位置は、図5に示すように、前記可変焦点レンズ部40が前記半導体型光源2の前記発光面23と、前記主レンズ部30の前記入射面300の前記中央光L1が入射する中央部との間に位置する位置である。前記光制御部材4が前記第2位置に位置するときには、図7に示すように、前記可変焦点レンズ部40および前記取付部41および前記固定焦点レンズ部45および前記徐変焦点レンズ部46は、前記X軸方向に並列する。
【0034】
前記第1位置に位置する前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40と前記レンズ3の前記補助レンズ部31とは、図4に示すように、一部(大部分)が上下において重なる。この結果、前記半導体型光源2と、前記レンズ3の下部および前記光制御部材4との間には、若干の開口部(下部開口部)が形成されている。
【0035】
(可変焦点レンズ部40の説明)
前記可変焦点レンズ部40は、前記第1位置に位置するときには、図4に示すように、前記周辺光の他の一部L2を透過させて前記補助レンズ部31中に入射させる。この結果、前記ロービーム用配光パターンLPの補助配光パターンが前記補助レンズ部31の前記出射面312から車両Cの前方に照射される。
【0036】
前記可変焦点レンズ部40は、前記第2位置に位置するときには、図5に示すように、前記中央光L1を透過させて前記主レンズ部30の中央部中に入射させる。この結果、前記ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の可変配光パターンHPM(図9(A)参照)が前記主レンズ部30の前記出射面301の中央部から車両Cの前方に照射される。前記可変配光パターンHPMは、前記ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンの一部分を偏向して形成される。
【0037】
図1図4図5図7図10に示すように、前記可変焦点レンズ部40の入射面400は、前記可変焦点レンズ部40の光軸(光出射軸)方向に、すなわち、前記半導体型光源2の前記発光面23に対して前記可変焦点レンズ部40の内側に凹形状をなす。前記可変焦点レンズ部40の出射面401は、前記可変焦点レンズ部40の光軸(光出射軸)方向に、すなわち、前記半導体型光源2の前記発光面23に対して前記可変焦点レンズ部40の外側に凸形状をなす。
【0038】
前記可変焦点レンズ部40は、前記補助レンズ部31の焦点を変化させるものである。すなわち、前記第1位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点(疑似焦点)F1を、前記第2位置に位置するときの前記補助レンズ部31の焦点Fに対して、上側かつ右側に変位させるものである。なお、前記疑似焦点F1の上側の変位は、図4に示すが、右側の変位は、図示しない。前記疑似焦点F1は、前記可変焦点レンズ部40を通した前記補助レンズ部31の疑似焦点である。
【0039】
前記可変焦点レンズ部40は、水平断面において、対向車線側この例では右側から走行車線側この例では左側にかけて徐々に前記入射面400と前記出射面401との間の距離が近くなる。すなわち、前記可変焦点レンズ部40の右側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は長く、前記可変焦点レンズ部40の左側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は短い。
【0040】
前記可変焦点レンズ部40は、鉛直断面において、上側から下側にかけて徐々に前記入射面400と前記出射面401との間の距離が近くなる。すなわち、前記可変焦点レンズ部40の上側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は長く、前記可変焦点レンズ部40の下側端部の前記入射面400と前記出射面401との間の距離は短い。なお、鉛直断面において、上側の前記入射面400と前記出射面401との間の距離と、下側の前記入射面400と前記出射面401との間の距離とは、変わらない場合がある。
【0041】
前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40のうち、図4に示す前記第1位置に位置するときに、前記主レンズ部30の前記基準光軸Z側となる上側の部分40U(図10中に示す上の二点鎖線よりも上側の部分)の焦点F40Uは、他の部分40C、40Dの焦点F40C、F40Dに対して下側に変位している。反対に、前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40のうち、図4に示す前記第1位置に位置するときに、前記主レンズ部30の前記基準光軸Z側と反対側となる下側の部分(図10中に示す下の二点鎖線よりも下側の部分)40Dの焦点F40Dは、他の部分40C、40Uの焦点F40C、F40Uに対して上側に変位している。前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40の上下の中間部分40Cの焦点F40Cは、上下両側(方向)において変位していない。
【0042】
前記上側の部分40Uの焦点F40Uは、図11に示すように、前記中間部分40Cの焦点F40C(および前記下側の部分40Dの焦点F40D)に対して、連続的に下側に変位している。反対に、前記下側の部分40Dの焦点F40Dは、図11に示すように、前記中間部分40Cの焦点F40C(および前記上側の部分40Uの焦点F40U)に対して、連続的に上側に変位している。前記中間部分40Cの焦点F40Cは、図11に示すように、上下両側(方向)において変位していない。
【0043】
(固定焦点レンズ部45、徐変焦点レンズ部46の説明)
前記固定焦点レンズ部45および前記徐変焦点レンズ部46は、前記第2位置に位置するときには、前記半導体型光源2の前記発光面23と、前記主レンズ部30の前記入射面300の前記中央光L1が入射する中央部の左右両側の部分との間に位置する。前記固定焦点レンズ部45は、前記周辺光の一部を、偏向させずにそのまま素通しの状態で透過させて前記主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射させる。この結果、前記ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の固定配光パターンHPF(図9(B)参照)が前記主レンズ部30の前記出射面301の中央部の左右両側の部分から車両Cの前方に照射される。前記固定配光パターンHPFは、前記ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンの側方に照射される部分を偏向させずに形成される。
【0044】
前記徐変焦点レンズ部46は、前記周辺光の一部を、前記可変焦点レンズ部40の偏向状態から前記固定焦点レンズ部45の固定状態に、あるいは、前記固定焦点レンズ部45の固定状態から前記可変焦点レンズ部40の偏向状態に、徐々に変化させた状態で透過させて前記主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射させる。この結果、前記ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の前記可変配光パターンHPMと前記固定配光パターンHPFとの間の徐変配光パターン(図示せず)が前記主レンズ部30の前記出射面301の中央部の左右両側の部分から車両Cの前方に照射される。なお、前記徐変配光パターンは、前記可変配光パターンHPMの左右両端部と、左側の前記固定配光パターンHPFの右端部および右側の前記固定配光パターンHPFの左端部との間に形成される。
【0045】
前記固定焦点レンズ部45の焦点は、図11に示すように、前記基準焦点Fもしくはその近傍に位置していて、前記基準焦点Fに対して固定されている。前記徐変焦点レンズ部46の焦点は、図11中の傾斜した直線で示すように、前記基準焦点Fに対して固定されている前記固定焦点レンズ部45の焦点と、前記可変焦点レンズ部40の焦点F40C、F40D、F40Uとの間において、徐変している。
【0046】
(取付部41の説明)
図7に示すように、前記光制御部材4の水平断面形状(横断面形状)は、前記基準焦点Fもしくはその近傍を中心とするほぼ円弧形状をなす。特に、前記取付部41の水平断面形状(横断面形状)は、ほぼ円弧形状に近い。前記光制御部材4のうち、少なくとも前記取付部41の垂直断面形状(縦断面形状)は、図8に示すような形状をなす。すなわち、前記取付部41の前記半導体型光源2と対向する面である内面410は、前記半導体型光源2に対して凹んでいる凹曲面をなす。また、前記取付部41の前記半導体型光源2と対向する面と反対側の面である外面411は、前記半導体型光源2と反対側に突出する凸曲面をなす。前記取付部41は、タイヤ形状の一部の形状をなす。前記可変焦点レンズ部40は、肉厚形状をなすが、前記取付部41は、肉薄形状をなす。この結果、前記取付部41は、前記軸受部材7に弾性嵌合(スナップフィット)により回転可能に取り付けられる。
【0047】
(駆動部材5の説明)
前記駆動部材5は、図1図2に示すように、前記光制御部材4を前記第1位置と前記第2位置とに移動(回転、回動)切替可能に位置させるものである。前記駆動部材5は、ソレノイド50と、連結ピン51と、スプリング52と、から構成されている。
【0048】
前記ソレノイド50には、取付部53が一体に設けられている。前記取付部53は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8のベース取付部82の背面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に取り付けられている。この結果、前記駆動部材5の前記ソレノイド50は、前記ベース部材8に取り付けられている。前記ソレノイド50は、進退ロッド54を有する。
【0049】
前記連結ピン51の一端は、前記進退ロッド54の先端に固定されている。前記連結ピン51の他端は、前記光制御部材4の前記取付部41に設けられている長孔42中に挿入されている。この結果、前記ソレノイド50の前記進退ロッド54の進退運動が前記連結ピン51および前記長孔42を介して前記光制御部材4の回転運動に変換される。
【0050】
前記スプリング52は、前記軸受部材7に取り付けられている。前記スプリング52の一端は、前記軸受部材7に弾性当接している。前記スプリング52の他端は、前記光制御部材4に弾性当接している。この結果、通常時すなわち前記ソレノイド50が非通電時においては、前記スプリング52の力により、前記光制御部材4は、前記第1位置に位置する。前記ソレノイド50に通電すると、前記スプリング52の力に抗して前進位置に位置する前記進退ロッド54が後退して、前記光制御部材4は、前記第1位置から前記第2位置に回転して前記第2位置に位置する。前記ソレノイド50への通電を遮断すると、前記スプリング52の力により、後退位置に位置する前記進退ロッド54が前進して、前記光制御部材4は、前記第2位置から前記第1位置に回転して前記第1位置に位置する。
【0051】
(レンズカバー部材6の説明)
前記レンズカバー部材6は、図1図3に示すように、前記レンズ3を覆う形状をなす。前記レンズカバー部材6は、たとえば、光不透過性の部材から構成されている。前記レンズカバー部材6の中央部には、前記半導体型光源2からの光を前記レンズ3の前記主レンズ部30および前記補助レンズ部31に通す開口部60が設けられている。前記レンズカバー部材6の左右両端部には、取付部61が一体に設けられている。前記取付部61は、前記レンズ3の前記取付部32と共に、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記レンズ取付部81に取り付けられている。この結果、前記レンズカバー部材6は、前記レンズ3と共に前記ベース部材8に取り付けられている。
【0052】
(軸受部材7の説明)
前記軸受部材7は、図1図2に示すように、前記半導体型光源2および前記ベース部材8の前記光源取付部80を覆う形状をなす。前記軸受部材7は、たとえば、光不透過性の部材から構成されている。前記軸受部材7の中央部には、前記半導体型光源2からの光を前記レンズ3の前記主レンズ部30および前記補助レンズ部31、前記光制御部材4の前記可変焦点レンズ部40に通す開口部70が設けられている。前記軸受部材7の4角部には、取付部71が一体に設けられている。前記取付部71は、位置決め孔および位置決めピンなどにより前記ベース部材8の前記ベース取付部82の正面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の正面側に取り付けられている。この結果、前記軸受部材7は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0053】
前記軸受部材7の左右両側の中央部には、軸部72がそれぞれ一体に設けられている。前記軸部72には、前記光制御部材4の前記取付部41に設けられている回転孔43が回転可能に軸受されている。この結果、前記軸受部材7には、前記光制御部材4が前記第1位置と前記第2位置との間を回転可能に取り付けられている。
【0054】
前記軸受部材7と前記光制御部材4とには、それぞれストッパ73、44が一体に設けられている。これにより、前記光制御部材4を前記第1位置と前記第2位置とに位置させることができる。
【0055】
(ベース部材8の説明)
前記ベース部材8は、図1図3に示すように、前記ベース取付部82と、前記ベース取付部82の正面側の中央部の前記光源取付部80と、前記ベース取付部82の正面側の左右両端部の前記レンズ取付部81と、から構成されている。前記光源取付部80には、前記半導体型光源2が取り付けられている。前記レンズ取付部81には、前記レンズ3が前記レンズカバー部材6を介して取り付けられている。前記ベース取付部82の正面側には、前記光制御部材4が前記第1位置と前記第2位置との間を回転可能に軸受されている前記軸受部材7が取り付けられている。前記ベース取付部82の背面側には、前記駆動部材5および前記冷却部材9がそれぞれ取り付けられている。
【0056】
(冷却部材9の説明)
前記冷却部材9は、図1図2に示すように、冷却ファンを有する。前記冷却部材9は、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に位置決めされ、かつ、スクリューなどにより、前記ベース部材8の前記ベース取付部82の背面側に取り付けられている。この結果、前記冷却部材9は、前記ベース部材8に取り付けられている。
【0057】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0058】
通常時すなわちソレノイド50が非通電時においては、スプリング52のスプリング力により、進退ロッド54が前進位置に位置していて光制御部材4が第1位置に位置する。このとき、光制御部材4の可変焦点レンズ部40は、図4に示すように、半導体型光源2の発光面23とレンズ3の補助レンズ部31の入射面310との間に位置している。
【0059】
この通常時において、半導体型光源2の発光チップ20を点灯する。すると、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の中央光L1および周辺光の一部は、図4に示すように、直接、レンズ3の主レンズ部30の入射面300から主レンズ部30中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30中に入射した入射光は、主レンズ部30の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30からの出射光は、下水平カットオフラインと、斜めカットオフラインと、上水平カットオフラインとを、有するロービーム用配光パターンLPの主配光パターンとして、車両Cの前方に照射される。
【0060】
一方、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の他の一部L2は、図4に示すように、光制御部材4の可変焦点レンズ部40の入射面400から可変焦点レンズ部40中に入射する。このとき、入射光は、入射面400において配光制御される。可変焦点レンズ部40中に入射した入射光は、可変焦点レンズ部40の出射面401から出射する。このとき、出射光は、出射面401において配光制御される。
【0061】
可変焦点レンズ部40からの出射光は、補助レンズ部31の入射面310から補助レンズ部31中に入射する。このとき、入射光は、入射面310において配光制御される。補助レンズ部31中に入射した入射光は、補助レンズ部31の反射面311で全反射する。このとき、反射光は、反射面311において配光制御される。全反射した反射光は、出射面312から出射する。このとき、出射光は、出射面312において配光制御される。補助レンズ部31からの出射光は、ロービーム用配光パターンLPの補助配光パターンとして、車両Cの前方に照射される。
【0062】
そして、前記の主配光パターンと、前記の補助配光パターンとが合成(重畳)されて、図6(A)に示すロービーム用配光パターンLPが得られる。
【0063】
それから、ソレノイド50に通電する。すると、進退ロッド54がスプリング52のスプリング力に抗して後退して後退位置に位置していて、光制御部材4が第1位置から第2位置に向かって回転して第2位置に位置する。すなわち、今まで半導体型光源2と補助レンズ部31との間に位置している光制御部材4は、図5に示すように、半導体型光源2の発光面23とレンズ3の主レンズ部30の入射面300との間に位置する。
【0064】
そして、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の中央光L1は、光制御部材4の可変焦点レンズ部40の入射面400から配光制御されて入射し、かつ、出射面401から配光制御されて出射する。
【0065】
可変焦点レンズ部40からの出射光は、偏向されていて、主レンズ部30の中央部の入射面300から配光制御されて入射し、かつ、出射面301から配光制御されて出射する。主レンズ部30の中央部からの出射光は、ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンの一部分を偏向したハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の可変配光パターンHPMとして、車両Cの前方に照射される。
【0066】
また、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の一部は、光制御部材4の可変焦点レンズ部40の左右両側の固定焦点レンズ部45中を偏向せずにそのまま素通しの状態で透過する。透過光は、主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射した入射光は、主レンズ部30の中央部の左右両側の部分の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30の中央部の左右両側の部分からの出射光は、ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンの残りの部分を偏向しなかったハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の固定配光パターンHPFとして、車両Cの前方に照射される。
【0067】
さらに、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の一部は、光制御部材4の可変焦点レンズ部40と固定焦点レンズ部45との間の徐変焦点レンズ部46中を、可変焦点レンズ部40中よりも小さい偏向角度で、偏向して透過する。透過光は、主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30の中央部の左右両側の部分中に入射した入射光は、主レンズ部30の中央部の左右両側の部分の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30の中央部の左右両側の部分からの出射光は、ロービーム用配光パターンLPの主配光パターンの残りの部分を、可変焦点レンズ部40中を透過する偏向角度よりも小さい偏向角度で、偏向したハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の徐変配光パターンとして、車両Cの前方に照射される。
【0068】
前記の可変配光パターンHPMと、前記の固定配光パターンHPFと、前記の徐変配光パターンとが合成(重畳)されて、ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部の合成配光パターンHPMF(図9(C)参照)として、車両Cの前方に照射される。
【0069】
さらにまた、半導体型光源2の周辺光の一部は、直接、主レンズ部30の上側部分および下側部分の入射面300から主レンズ部30中に入射する。このとき、入射光は、入射面300において配光制御される。主レンズ部30の上側部分および下側部分中に入射した入射光は、主レンズ部30の出射面301から出射する。このとき、出射光は、出射面301において配光制御される。主レンズ部30の上側部分および下側部分からの出射光は、ハイビーム用配光パターンHPの主配光パターンの一部として、前記の合成配光パターンHPMFと共に、車両Cの前方に照射される。
【0070】
一方、発光チップ20の発光面23から放射される光のうち、半導体型光源2の周辺光の他の一部L2は、図5に示すように、直接、補助レンズ部31の入射面310から補助レンズ部31中に入射する。このとき、入射光は、入射面310において配光制御される。補助レンズ部31中に入射した入射光は、補助レンズ部31の反射面311で全反射する。このとき、反射光は、反射面311において配光制御される。全反射した反射光は、出射面312から出射する。このとき、出射光は、出射面312において配光制御される。補助レンズ部31からの出射光は、ハイビーム用配光パターンHPの補助配光パターンとして、車両Cの前方に照射される。
【0071】
そして、前記の主配光パターンと、前記の補助配光パターンとが合成(重畳)されて、図6(B)に示すハイビーム用配光パターンHPが得られる。なお、光制御部材4の取付部41に入射した光は、そのまま透過して、レンズカバー部材6において遮蔽されるので、外部に照射することがない。
【0072】
それから、ソレノイド50への通電を遮断する。すると、進退ロッド54がスプリング52のスプリング力により前進して前進位置に位置していて、光制御部材4が第2位置から第1位置に向かって回転して第1位置に位置する。すなわち、今まで半導体型光源2と主レンズ部30との間に位置していた光制御部材4は、半導体型光源2と補助レンズ部31との間に位置する。
【0073】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0074】
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、光制御部材4の可変焦点レンズ部40により、ハイビーム用配光パターンHP照射時においてロービーム用配光パターンLPの一部分を偏向させることができる。また、光制御部材4の固定焦点レンズ部45により、ハイビーム用配光パターンHP照射時においてロービーム用配光パターンLPの側方に照射される部分を偏向させずにすることができる。これにより、ハイビーム用配光パターンHPとロービーム用配光パターンLPとを高精度に照射することができる。
【0075】
すなわち、可変焦点レンズ部のみを設けて固定焦点レンズ部を設けない光制御部材においては、ハイビーム用配光パターン照射時において、ロービーム用配光パターンを偏向させる部分と偏向させない部分との間の境界が曖昧となり、高精度のハイビーム用配光パターンが得られない場合がある。これに対して、この実施形態にかかる車両用前照灯1は、ロービーム用配光パターンLPの一部を偏向させない固定焦点レンズ部45を設けるものである。このために、ハイビーム用配光パターンHP照射時において、ロービーム用配光パターンLPを偏向させる部分と偏向させない部分との間の境界を明確化することができ、高精度のハイビーム用配光パターンHPを得ることができる。
【0076】
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、可変焦点レンズ部40と固定焦点レンズ部45との間に徐変焦点レンズ部46を設けるものである。このために、可変焦点レンズ部40により得られる可変配光パターンHPMと、固定焦点レンズ部45により得られる固定配光パターンHPFとの間を、徐変焦点レンズ部46により得られる徐変配光パターンにより、滑らかに繋ぐことができる。これにより、良好な合成配光パターンHPMFが得られ、かつ、良好なハイビーム用配光パターンHPが得られる。
【0077】
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、取付部41の垂直断面形状(縦断面形状)が、図8に示すような形状をなす。すなわち、取付部41の半導体型光源2と対向する面である内面410が、半導体型光源2に対して凹んでいる凹曲面をなす。また、取付部41の半導体型光源2と対向する面と反対側の面である外面411が、半導体型光源2と反対側に突出する凸曲面をなす。すなわち、取付部41が、タイヤ形状の一部の形状をなすので、肉薄形状であっても、弾性と剛性を十分に有する。この結果、取付部41を軸受部材7に弾性嵌合(スナップフィット)により回転可能に取り付けるのに最適である。しかも、取付部41のストッパ44が軸受部材7のストッパ73に当接して光制御部材4を第1位置と第2位置とに位置させるのに最適である。
【0078】
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、取付部41の平面形状がほぼ円弧形状に近い形状をなし、かつ、内面410が凹曲面をなし、かつ、外面411が凸曲面をなす。このために、半導体型光源2からの光が取付部41に入射しても、屈折せずに、ほぼそのまま素通しの状態で透過するので、迷光となることがない。しかも、取付部41からの透過光は、レンズカバー部材6により遮蔽されるので、外部に照射されることがない。
【0079】
この実施形態にかかる車両用前照灯1は、光制御部材4が光透過部材から構成されていて、一体構造をなすものである。このために、半導体型光源2からの光を可変焦点レンズ部40および固定焦点レンズ部45および徐変焦点レンズ部46を通して利用することができる。すなわち、半導体型光源2からの光を有効利用することができる。
【0080】
(実施形態以外の例の説明)
この実施形態においては、車両Cが左側通行の場合の車両用前照灯1について説明するものである。ところが、この発明においては、車両Cが右側通行の場合の車両用前照灯にも適用することができる。
【0081】
また、この実施形態においては、レンズ3の主レンズ部30と補助レンズ部31とが一体である。ところが、この発明においては、レンズ3の主レンズ部30と補助レンズ部31とが別体のものであっても良い。
【0082】
さらに、この実施形態においては、光制御部材4を第1位置と第2位置との間を回転させるものである。ところが、この発明においては、光制御部材4を第1位置と第2位置との間をスライドさせるものであっても良い。この場合においては、回転軸の代わりに、スライド手段を設ける。
【0083】
さらにまた、この実施形態においては、駆動部材5としてソレノイド50を使用するものである。ところが、この発明においては、駆動部材5としてソレノイド50以外の部材、たとえば、モータなどを使用しても良い。この場合においては、モータと光制御部材4との間に駆動力伝達機構を設ける。
【0084】
さらにまた、この実施形態においては、レンズ3の補助レンズ部31が全反射タイプのレンズ部である。ところが、この発明においては、レンズ3の補助レンズ部が全反射タイプのレンズ部以外のレンズ部、たとえば、屈折タイプのレンズ部やフレネルタイプのレンズ部であっても良い。
【0085】
さらにまた、この実施形態においては、光制御部材4において、可変焦点レンズ部40と固定焦点レンズ部45との間に徐変焦点レンズ部46を設けるものである。ところが、この発明においては、光制御部材4に徐変焦点レンズ部46を設けなくても良い。
【0086】
さらにまた、この実施形態においては、光制御部材4が光透過部材から構成されていて、一体構造をなすものである。ところが、この発明においては、取付部41を光不透過としても良い。
【0087】
さらにまた、この実施形態においては、光制御部材4の可変焦点レンズ部40により、ハイビーム用配光パターンHP照射時においてロービーム用配光パターンLPの一部分を偏向させ、また、光制御部材4の固定焦点レンズ部45により、ハイビーム用配光パターンHP照射時においてロービーム用配光パターンLPの残りの部分を偏向させずにするように構成されているものである。ところが、この発明においては、光制御部材の可変焦点レンズ部により、ロービーム用配光パターン照射時においてハイビーム用配光パターンの一部分を偏向させ、また、光制御部材の固定焦点レンズ部により、ロービーム用配光パターン照射時においてハイビーム用配光パターンの残りの部分を偏向させずにするように構成しても良い。
【0088】
さらにまた、この実施形態においては、第1配光パターンがロービーム用配光パターンLPであり、第2配光パターンがハイビーム用配光パターンHPである。ところが、この発明においては、第1配光パターンとして、ロービーム用配光パターンLP以外の配光パターン、たとえば、AFSやADBなどにおいて、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも下方に照射される配光パターンであっても良いし、また、第2配光パターンとして、ハイビーム用配光パターンHP以外の配光パターン、たとえば、AFSやADBなどにおいて、スクリーンの左右の水平線HL−HRよりも上方に照射される配光パターンであっても良い。
【0089】
さらにまた、この実施形態においては、可変焦点レンズ部40と取付部41との間に固定焦点レンズ部45を設ける光制御部材4を使用するものである。ところが、この発明においては、固定焦点レンズ部45を設けない光制御部材4を使用する場合がある。この場合においては、ハイビーム用配光パターン照射時において、ロービーム用配光パターンを偏向させる部分と偏向させない部分との間の境界が若干曖昧となるが、ハイビーム用配光パターンの精度上特に問題がない。
【符号の説明】
【0090】
1 車両用前照灯
2 半導体型光源
20 発光チップ
21 基板
22 コネクタ
23 発光面
3 レンズ
30 主レンズ部
300 主レンズ部の入射面
301 主レンズ部の出射面
31 補助レンズ部
310 補助レンズ部の入射面
311 補助レンズ部の反射面
312 補助レンズ部の出射面
32 取付部
4 光制御部材
40 可変焦点レンズ部
40C 中間部分
40D 下側の部分
40U 上側の部分
400 入射面
401 出射面
41 取付部
410 内面
411 外面
42 長孔
43 回転孔
44 ストッパ
45 固定焦点レンズ部
46 徐変焦点レンズ部
5 駆動部材
50 ソレノイド
51 連結ピン
52 スプリング
53 取付部
54 進退ロッド
6 レンズカバー部材
60 開口部
61 取付部
7 軸受部材
70 開口部
71 取付部
72 軸部
73 ストッパ
8 ベース部材
80 光源取付部
81 レンズ取付部
82 ベース取付部
9 冷却部材
C 車両
F レンズの基準焦点
F1 疑似焦点
F40C 中間部分の焦点
F40D 下側の部分の焦点
F40U 上側の部分の焦点
HL−HR スクリーンの左右の水平線
HP ハイビーム用配光パターン
HPF 固定配光パターン
HPMF 合成配光パターン
HPM 可変配光パターン
L1 中央光
L2 周辺光の他の一部
LP ロービーム用配光パターン
O 発光面の中心
O1 回転中心
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
X X軸
Y Y軸
Z レンズの基準光軸(Z軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11