特許第6209907号(P6209907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209907
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】筐体および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20171002BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   H05K5/06 D
   H05K5/03 G
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-185055(P2013-185055)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-53376(P2015-53376A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高城 博人
(72)【発明者】
【氏名】大橋 辰介
(72)【発明者】
【氏名】永田 琢也
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−049469(JP,A)
【文献】 実開平01−058983(JP,U)
【文献】 特開2004−031481(JP,A)
【文献】 特開平08−083986(JP,A)
【文献】 実開昭51−145804(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を収容し、開口を有するケースと、
前記ケースの前記開口を覆うカバーと、
前記開口を取り囲むように配置され、前記ケースと前記カバーとの間に挟持されるパッキンと、
前記ケース固定された一端、およびボスが形成された他端を有する板ばねと、
記カバー形成された第1のフックと
前記ケースに固定され、螺子穴が形成された板部材と
を備え、
前記第1のフックが前記ボスに係合することで、前記カバーが前記ケースに保持され
前記カバーは、前記ケースに保持された場合に前記螺子穴に対向する位置に貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記螺子穴に螺子が挿入されることで、前記ケースと前記カバーとが固定され、
前記板ばねおよび前記板部材とは一枚の板から形成されている、筐体。
【請求項2】
前記第1のフックを前記ボスに案内にするガイド部をさらに備え、
前記板ばね、前記板部材、および前記ガイド部は、前記一枚の板から形成されている、請求項に記載の筐体。
【請求項3】
前記第1のフックは、貫通穴を有し、
前記カバーが前記ケースに保持される場合、前記ボスが前記貫通穴に挿入される、請求項または請求項に記載の筐体。
【請求項4】
前記板ばねは、前記ケースの前記開口の縁に沿って延伸している、請求項から請求項のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項5】
電気回路を収容し、開口を有するケースと、
前記ケースの前記開口を覆うカバーと、
前記開口を取り囲むように配置され、前記ケースと前記カバーとの間に挟持されるパッキンと、
前記ケースに固定された一端、およびボスが形成された他端を有する板ばねと、
前記カバーに形成された第1のフックと
を備え、
前記第1のフックが前記ボスに係合することで、前記カバーが前記ケースに保持され、
前記板ばねは、前記ケースの前記開口の縁に沿って延伸している、筐体。
【請求項6】
前記板ばねは、前記第1のフックが前記ボスに係合することで前記カバーが前記ケースに保持された状態において、前記カバーにより覆われている、請求項から請求項のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項7】
前記第1のフックは、前記カバーの一側面に設けられ、
前記筐体は、
前記カバーの前記一側面に対向する他側面に形成された第2のフックと、
前記ケースに設けられ、前記第2のフックが係合されるフック受け部と
をさらに備え、
前記第2のフックが前記フック受け部に係合された後、前記第1のフックが前記ボスを押し下げてから、前記板ばねの復元力により前記ボスが押し上げられて、前記第1のフックが前記ボスに係合することで、前記カバーが前記ケースに保持される、請求項から請求項のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項8】
前記カバーの前記一側面は、前記筐体が設置された状態において前記筐体の底面に対応する、請求項に記載の筐体。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の筐体と、
前記電気回路として前記ケースに収容され、電力を変換して出力する電力変換回路と
を備える電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上ケースと下ケースとの間にパッキンが配置された防止装置が記載されている。特許文献2には、ケーシングと蓋との間にパッキンが配置されたパワーコンディショナが記載されている。
特許文献1 実開平2−101582号公報
特許文献2 特開2012−16597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなケースと、ケースの開口を覆うカバーとの間にパッキンを配置した筐体において、ケースとカバーとを固定する作業を効率化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る筐体は、電気回路を収容し、開口を有するケースと、ケースの開口を覆うカバーと、開口を取り囲むように配置され、ケースとカバーとの間に挟持されるパッキンと、ケースおよびカバーの一方に固定された一端、およびボスが形成された他端を有する板ばねと、ケースおよびカバーの他方に形成された第1のフックとを備え、第1のフックがボスに係合することで、カバーがケースに保持される。
【0005】
上記筐体において、板ばねの一端は、ケースに固定され、第1のフックは、カバーに形成されていてもよい。
【0006】
上記筐体は、ケースに固定され、螺子穴が形成された板部材をさらに備え、カバーは、ケースに保持された場合に螺子穴に対向する位置に貫通孔を有し、貫通孔を介して螺子穴に螺子が挿入されることで、ケースとカバーとが固定され、板ばねおよび板部材とは一枚の板から形成されていてもよい。
【0007】
上記筐体は、第1のフックをボスに案内にするガイド部をさらに備え、板ばね、板部材、およびガイド部は、一枚の板から形成されていてもよい。
【0008】
上記筐体において、第1のフックは、貫通穴を有し、カバーがケースに保持される場合、ボスが貫通穴に挿入されてもよい。
【0009】
上記筐体において、板ばねは、ケースの開口の縁に沿って延伸していてもよい。
【0010】
上記筐体において、板ばねは、第1のフックがボスに係合することでカバーがケースに保持された状態において、カバーにより覆われていてもよい。
【0011】
上記筐体において、第1のフックは、カバーの一側面に設けられ、筐体は、カバーの一側面に対向する他側面に形成された第2のフックと、ケースに設けられ、第2のフックが係合されるフック受け部とをさらに備え、第2のフックがフック受け部に係合された後、第1のフックがボスを押し下げてから、板ばねの復元力によりボスが押し上げられて、第1のフックがボスに係合することで、カバーがケースに保持されてもよい。
【0012】
上記筐体において、カバーの一側面は、筐体が設置された状態において筐体の底面に対応してもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、上記筐体と、電気回路としてケースに収容され、電力を変換して出力する電力変換回路とを備える。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るパワーコンディショナの外観斜視図の一例を示す図である。
図2】カバーを開いた状態のパワーコンディショナの外観斜視図の一例を示す図である。
図3】板ばねの部分を拡大したケースの部分斜視図の一例を示す図である。
図4】カバーに形成されたフックが板ばねに形成されたボスに案内される様子を示す図である。
図5】ケースおよびカバーの断面図の一例を示す図である。
図6図5の符号16で示す部分を拡大した断面図の一例を示す図である。
図7】カバーをケースに固定させる様子を示す図である。
図8】カバーをケースに固定させる様子を示す図である。
図9】変形例に係るボスおよびフックの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るパワーコンディショナ100の外観斜視図の一例を示す。パワーコンディショナ100は、ケース10およびカバー20を備える。ケース10は、直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換するインバータなどの電気回路を収容する。カバー20は、ケース10の開口を覆う。ケース10およびカバー20は、筐体を構成する。なお、ケース10に収容される電気回路は、インバータには限定されない。ケース10は、インバータ以外の電力を変換して出力する電力変換回路を収容してもよい。電力変換回路は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ、直流電源からの第1の直流電圧を第1の直流電圧とは異なる第2の直流電圧に変換するコンバータ、または直流電力と交流電力との間で双方向の電力変換を行う双方向インバータでもよい。
【0018】
図2は、カバー20を開いた状態のパワーコンディショナ100の外観斜視図の一例を示す。パワーコンディショナ100は、パッキン30をさらに備える。パッキン30は、ケース10の開口を取り囲むように配置され、ケース10とカバー20との間に狭持される。ケース10とカバー20とは、パワーコンディショナ100が壁面に設置された状態において上面に位置する側面側で係合部材により係合されている。
【0019】
パワーコンディショナ100は、板ばね40およびフック50をさらに備える。板ばね40は、ケース10に固定された一端と、ボス42が形成された他端とを有する。フック50は、カバー20に形成されている。フック50がボス42に係合することで、カバー20がケース10に保持される。なお、板ばね40の一端がカバー20に固定され、フック50がケース10に形成されていてもよい。
【0020】
ケース10の一側面12には、螺子穴62が形成されている。一側面12は、パワーコンディショナ100が壁面に設置された状態において底面に位置する。また、カバー20の一側面24には、カバー20がケース10に保持された場合に螺子穴62に対向する位置に貫通孔22が形成されている。一側面24は、パワーコンディショナ100が壁面に設置された状態において底面に位置する。そして、螺子が貫通孔22を介して螺子穴62に挿入されることで、カバー20がケース10に固定される。
【0021】
ケース10とカバー20とを一辺側で、係合部材により係合させた状態で、フック50をボス42に係合させて一辺に対向する他辺側で係合させることで、カバー20をケース10に確実に保持させることができる。そして、カバー20がケース10に保持された状態において、貫通孔22を介して螺子穴62に螺子が挿入されることで、カバー20をケース10に固定させることができる。
【0022】
ここで、フック50をボス42に係合させることで、カバー20をケース10に保持させる機構がない場合、作業者は、例えば、ケース10とカバー20とを一辺側で、係合部材により係合させた状態で、カバー20によりパッキン30を押さえつけながら、カバー20をケース10に固定する。カバー20によりパッキン30を押さえつけながらの作業は、ケース10の組み立て作業の効率を低下させる可能性がある。したがって、フック50をボス42に係合させることで、カバー20をケース10に保持させることで、カバー20をケース10に固定する作業の効率化を図ることができる。
【0023】
図3は、板ばね40の部分を拡大したケース10の部分斜視図の一例を示す。ケース10の一側面12には、螺子穴62が形成された板部材60がケース10に固定されている。板ばね40と板部材60とは、一枚の板から形成されている。また、ケース10の一側面12には、ガイド部70が形成されている。ガイド部70は、カバー20に形成されたフック50を、板ばね40の他端に形成されたボス42に案内する。ガイド部70は、板ばね40および板部材60とともに一枚の板から形成されている。また、板ばね40は、ケース10の開口の縁に沿って延伸している。
【0024】
図4は、カバー20に形成されたフック50が板ばね40に形成されたボス42に案内される様子を示す図である。カバー20がケース10の開口を覆うように配置される場合、フック50がガイド部70によってボス42に案内されて、フック50がボス42を押し下げる。フック50がさらに押し込まれると、板ばね40の復元力によりボス42が押し上げられ、フック50がボス42に係合する。フック50がボス42に係合することで、カバー20に形成された貫通孔22が螺子穴62に対向する位置に配置される。
【0025】
図5は、ケース10およびカバー20の断面図の一例を示す。図6は、図5の符号16で示す部分を拡大した断面図の一例を示す。
【0026】
パワーコンディショナ100は、ケース10およびカバー20の一辺側を係合するための係合部材として、フック80とフック受け部90とをさらに備える。フック80は、カバー20の一側面12に対向する他側面14に形成されている。フック受け部90は、フック80が係合される。作業者は、フック80をフック受け部90に係合された後、フック50をボス42に係合させる。これにより、パッキン30がカバー20の裏面に押しつぶされながら、カバー20をケース10に保持させることができる。
【0027】
図7および図8は、カバー20をケース10に固定させる様子を示す図である。作業者は、まず、図7に示すように、フック80をフック受け部90に係合させる。次いで、作業者は、図8に示すように、カバー20でケース10の開口を覆うように、カバー20を押し下げる。
【0028】
カバー20が押し下げられると、カバー20に形成されたフック50が、ガイド部70によりフック50がボス42に案内される。そして、フック50が、ボス42を押し下げてから、板ばね40の復元力によりボス42が押し上げられて、フック50がボス42に係合する。これにより、カバー20がケース10に保持される。その後、貫通孔22を介して螺子穴62に螺子64が挿入されることで、カバー20がケース10に固定される。
【0029】
ここで、板ばね40を、ケース10の開口の縁に垂直な方向に延伸させた場合、ケース10の厚み分しか板ばね40を延伸させることができない。この場合、ケース10の開口の縁に沿って延伸させる場合によりも長く板ばね40を延伸させることは困難になる。また、ケース10には端子などの他の部材が露出しているので、カバー20の縁(側壁)を延伸させることには制約がある。したがって、板ばね40を、ケース10の開口の縁に垂直な方向に延伸させた場合、カバー20により板ばね40を覆うことも困難になる。一方、板ばね40をケース10の開口の縁に沿って延伸させることにより、板ばね40の短手(幅)方向の長さを短くでき、板ばね40をカバー20により覆うことが容易になる。また、板ばね40を、ケース10の開口の縁に沿って延伸させることで、板ばね40の長手(長さ)方向の調整が容易にできる。これにより、板ばね40の強度を容易に調整できる。
【0030】
図9は、変形例に係るボス42およびフック50の一例を示す図である。フック50は、ボス42が挿入される貫通穴52を有してもよい。カバー20がケース10に保持される場合、ボス42が貫通穴52に挿入される。これにより、カバー20を予め定められた位置により確実に配置することができる。また、カバー20がケース10に対してずれにくくすることができる。
【0031】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0032】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0033】
10 ケース
20 カバー
22 貫通孔
30 パッキン
42 ボス
50 フック
52 貫通穴
60 板部材
62 螺子穴
64 螺子
70 ガイド部
80 フック
90 フック受け部
100 パワーコンディショナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9