【文献】
杉浦伸哉,ゼネコン目線のCIM「施工CIMの行方」,建設ITガイド2013,一般財団法人経済調査会,2013年 2月 1日,pp.76−81
【文献】
萩原忠 外3名,AutoCAD LTによる建築躯体図の作成基準,CAD&CG MAGAZINE,株式会社エクスナレッジ,2003年11月 1日,第5巻,第11号,pp.124−127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンクリートの打設計画を策定するにあたり、打設範囲(工区)ごとに打設量を算出する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の手法では、打設量を計算するには各部材のモデルを工区に合う形に分割等しておく必要があり手間がかかる。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、工区ごとのコンクリート打設量を容易に把握することのできる、コンクリート打設計画支援装置、コンクリート打設計画支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、建造物の建築に係るコンクリート打設の計画を支援する装置であって、前記建造物を構成するコンクリート製の構成要素に係る3次元の形状に関する形状情報を記憶するモデル記憶部と、前記形状情報に基づいて躯体図を描画する躯体図描画部と、ユーザからの入力に応じて前記躯体図を複数の領域に分割する躯体図分割部と、前記領域ごとに、当該領域に少なくとも一部が含まれる前記構成要素を特定し、特定した前記構成要素のうち当該領域に含まれる少なくとも一部分を特定し、特定した前記少なくとも一部分の容積を算出し、算出した前記容積を合計して、当該領域における前記コンクリートの打設量を算出する打設量算出部と、を備えることとする。
【0007】
また、本発明のコンクリート打設計画支援装置では、前記躯体図分割部は、最初に前記躯体図の全体を1つの前記領域としておき、前記ユーザから1つの前記領域の指定を受け付け、指定された前記領域を2つに分割する直線または曲線の入力を前記ユーザから受け付けて、前記躯体図を前記複数の領域に分割していくようにしてもよい。
【0008】
また、本発明のコンクリート打設計画支援装置は、前記領域ごとに、対応する前記打設量を出力する打設量出力部をさらに備えるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明のコンクリート打設計画支援装置は、前記ユーザからの入力に応じて前記複数の領域をグループ分けするグループ処理部をさらに備え、前記打設量算出部は、前記グループごとに、当該グループに所属する前記領域のいずれかに少なくとも一部分が含まれる前記構成要素の前記一部分の前記容量を合計して前記打設量を算出するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様は、建造物の建築に係るコンクリート打設の計画を支援する方法であって、コンピュータが、前記建造物を構成するコンクリート製の構成要素に係る3次元の形状に関する形状情報を記憶するステップと、前記形状情報に基づいて躯体図を描画するステップと、ユーザからの入力に応じて前記躯体図を複数の領域に分割するステップと、前記領域ごとに、当該領域に少なくとも一部が含まれる前記構成要素を特定し、特定した前記構成要素のうち当該領域に含まれる少なくとも一部分を特定し、特定した前記少なくとも一部分の容積を算出し、算出した前記容積を合計して、当該領域における前記コンクリートの打設量を算出するステップと、を実行することとする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、建造物の建築に係るコンクリート打設の計画を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、前記建造物を構成するコンクリート製の構成要素に係る3次元の形状に関する形状情報を記憶するステップと、前記形状情報に基づいて躯体図を描画するステップと、ユーザからの入力に応じて前記躯体図を複数の領域に分割するステップと、前記領域ごとに、当該領域に少なくとも一部が含まれる前記構成要素を特定し、特定した前記構成要素のうち当該領域に含まれる少なくとも一部分を特定し、特定した前記少なくとも一部分の容積を算出し、算出した前記容積を合計して、当該領域における前記コンクリートの打設量を算出するステップと、を実行させることとする。
【0012】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工区ごとのコンクリート打設量を容易に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るコンクリートの打設計画支援装置10について説明する。本実施形態の打設計画支援装置10は、建設現場におけるコンクリートの打設計画を支援するものである。
【0016】
具体的には、ユーザが躯体図(施工図のひとつであり、鉄骨や鉄筋コンクリートなどによる骨組みについて作業するための図面である。)を複数の打設範囲(打設工区。以下、単に工区という。)に分けると、これに応じて本実施形態の打設計画支援装置10は、工区ごとにコンクリートの打設量を算出する。計画立案者は、算出された打設量を元に、打設可能数量の制限、生コンプラントの製造能力、輸送能力、人員の配置、現場における作業可能時間、圧送車の作業半径(すなわりブームの長さである。)、コールドジョイントなどの制約を考慮して工区分けおよび打設順序の計画を容易に行うことが可能となる。
【0017】
==ハードウェア構成==
図1は、本実施形態の打設計画支援装置10のハードウェア構成例を示す図である。打設計画支援装置10は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0018】
==ソフトウェア構成==
図2は、打設計画支援装置10のソフトウェア構成例を示す図である。打設計画支援装置10は、躯体図描画部111、躯体図分割部112、工区設定部113、打設量算出部114、打設量出力部115、モデル記憶部131、図面情報記憶部132、領域情報記憶部133、工区情報記憶部134を備える。
【0019】
なお、躯体図描画部111、躯体図分割部112、工区設定部113、打設量算出部114、打設量出力部115は、打設計画支援装置10が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現される。また、モデル記憶部131、図面情報記憶部132、領域情報記憶部133、工区情報記憶部134は、打設計画支援装置10が備えるメモリ102および記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0020】
モデル記憶部131は、BIM(Building Information Modeling)により作成されたモデル(以下、BIMモデルという。)を記憶する。モデル記憶部131には、一般的なBIMのデータベースを想定している。
図3はモデル記憶部131の構成例を示す図である。同図に示すように、モデル記憶部131は、建造物を特定する情報(建造物ID)に対応付けて、建造物の構成要素(基礎、柱、梁、壁、スラブなど)を特定する情報(要素ID)、当該構成要素の名称、当該構成要素に係る3次元の形状を定義する形状情報、当該構成要素の位置情報、当該構成要素の仕様に関する仕様情報などが記憶される。本実施形態では、説明を簡単にするために、モデル記憶部131には、コンクリート製の構成要素についてのBIMモデルのみが記憶されているものとする。
【0021】
形状情報には、たとえば、矩形断面の柱や壁などの構成要素については長さ、幅、高さなどが含まれ、円形断面の柱などについては半径、高さなどが含まれる。また、壁のように開口が設けられる場合には、開口の位置や大きさなども形状情報に含まれる。形状情報に基づいて構成要素の3次元形状またはこれを2次元に投影した2次元形状の図形を作成することができる。また、形状情報に基づいて構成要素の体積を計算することができる。構成要素の体積の合計が、建造物に必要なコンクリートの打設量の合計となる。
【0022】
位置情報には、たとえば、建造物の基準点(任意に設定可能であるものとする。)からのオフセット、地面からの高さなどが含まれる。位置情報に基づいて構成要素が建造物中のどこに配置されるかを特定することができる。また、コンクリートの打設は、基礎、柱、1階の床、1階の天井(2階の床)のように、下段から順に行われるところ、本実施形態では、位置情報に含まれる高さに基づいて、コンクリートの打設を行う階層が特定されるものとする。躯体図はコンクリートの打設を行う階層ごとに作成される。
【0023】
仕様情報には、たとえば、材質(本実施形態ではコンクリートであるものとする。)、数量などが含まれる。
【0024】
図面情報記憶部132は、躯体図の背景を作成するための情報(以下、図面情報という。)を記憶する。
図4は、図面情報記憶部132の構成例を示す図である。同図に示すように、図面情報記憶部132に記憶される図面情報には、建造物IDに対応付けて、躯体図の種類、建造物をの敷地に関する敷地情報、建造物基点などが含まれる。躯体図の種類は、平面図を表す「平面」、斜視図を表す「斜視」などである。本実施形態では、種類には「平面」が設定されることを想定する。敷地情報は、躯体図を描画する際に描画する敷地に関する情報である。敷地情報は、たとえば、敷地の幅、奥行きなどであってもよいし、敷地の形状情報であってもよい。また、敷地情報には、敷地を描画する際の背景となる画像を含めることもできる。建造物基点は、敷地上に建造物を配置するための基準点である。この建造物基点と、BIMモデルに含まれる位置情報とに基づいて構成要素を躯体図に描画することができる。
【0025】
躯体図描画部111は、躯体図を描画する。躯体図描画部111は、敷地情報に基づいて敷地を描画し、BIMモデル(に含まれる形態情報および位置情報)に基づいて、BIMによる3次元モデルを2次元に投影した図形を描画することにより躯体図を描画する。
【0026】
躯体図分割部112は、ユーザからの指示に応じて躯体図を複数の領域に分割する。本実施形態では、躯体図分割部112は、まず躯体図の全体を1つの領域として設定し、画面の上下端部または左右端部の近傍がクリックされた場合に、クリックされた点を通る垂直または水平の直線により、設定された領域を分割していくことにより、躯体図の領域を設定する。領域は領域情報記憶部133に記憶される。
【0027】
領域情報記憶部133は、躯体図上の領域を示す情報(以下、領域情報という。)を記憶する。
図5は、領域情報記憶部133の構成例を示す図である。同図に示すように、領域情報記憶部133に記憶される領域情報には、建造物IDに対応付けて、領域を特定する情報(以下、領域IDという。)と、躯体図の全体または一部の領域の幾何図形を表す幾何データとが含まれる。幾何データは、たとえば座標点、直線、線分、矩形、閉・開経路(パス)、多角形、楕円などの幾何図形を表す情報である。
図5の例では矩形(box)を躯体図の座標系における矩形の対角線上両端の2点で表している。なお、幾何データは、複数の幾何図形の組み合わせ(たとえば合成や切り抜きなど)とすることもできる。
【0028】
工区設定部113は、分割された領域を工区にグループ分けする。工区設定部113は、ユーザから領域と当該領域が属する工区との入力を受け付け、これに応じて工区ごとに領域をグループ分けする。工区ごとの領域は工区情報記憶部134に記憶される。
【0029】
工区情報記憶部134は、工区ごとの領域に関する情報(以下、工区情報という。)を記憶する。
図6は、工区情報記憶部134の構成例を示す図である。同図に示すように、工区情報記憶部134が記憶する工区情報は、建造物IDと工区を示す工区IDとに対応付けて、工区に対応する領域を示す領域IDのリストが含まれる。なお、本実施形態では、工区に対応する領域がない場合には工区情報は登録されないものとする。
【0030】
打設量算出部114は、工区ごとのコンクリートの打設量を算出する。打設量算出部114は、形態情報と位置情報とに基づいて、躯体図における一定の領域に各構成要素の少なくとも一部分が含まれるか否かを判定するとともに、当該一部分の容積を計算し、この容積を合計して当該工区におけるコンクリートの打設量を算出する。なお、工区に含まれる構成要素の部分の判定およびその容積の計算には一般的な手法を用いるものとし、ここでは説明を省略する。打設量算出部114は、各工区について打設量を算出する。
【0031】
打設量出力部115は、打設量算出部114が算出した工区ごとのコンクリートの打設量を出力する。
【0032】
図7は、本実施形態の打設計画支援装置10による処理の流れを示す図である。
【0033】
躯体図描画部111は、図面情報記憶部132から図面情報を読み出し、読み出した図面情報に基づいて躯体図の背景を描画する(S211)。躯体図描画部111は、モデル記憶部131からBIMモデルを読み出し、読み出したBIMモデルに含まれる位置情報および形状情報に基づいて、図面情報に含まれる建造物基点を基点として、各構成要素を上記背景上に描画し(S212)、躯体図分割部112は、躯体図全体を1つの領域として、当該領域を表す幾何データと、新たに割り当てた領域IDと、建造物IDとを含む領域情報を作成して領域情報記憶部133に登録する(S213)。
【0034】
==処理概要==
図8は、躯体図が描画された画面31の一例を示す図である。なお、以下の説明では、建造物IDは事前に設定されているものとする。
【0035】
画面31は、ディスプレイなどの出力装置106に表示される画面である。マウスやタッチパネルなどの入力装置205により画面31がクリックされると(S214:YES)、後述する躯体図分割処理が実行される(S215)。工区の設定指示があった場合(S216:YES)、すなわち画面31において工区設定ボタン315が押下された場合には、後述する工区設定処理が実行される(S217)。打設量を計算するように指示があった場合(S218:YES)、すなわち、画面31において打設量計算ボタン316が押下された場合には、後述するコンクリート打設量の計算処理が実行される(S219)。終了の指示があった場合(S220:YES)、たとえば画面31が閉じられた場合には、処理を終了し、そうでなければ(S220:NO)、ステップS214からの処理を繰り返す。
【0036】
==分割処理==
図9は躯体図分割処理の流れを示す図である。
【0037】
躯体図分割部112は、画面31において躯体
図41の上端部311または下端部312がクリックされた場合には(S231:YES)、クリックされた躯体
図41上の座標点(たとえば躯体
図41の左上隅を基準点(0,0)として右方向および下方向に座標値が増えることを想定する。)を通る垂直(上下方向)の直線を分割直線とする(S232)。たとえば、躯体
図41の全体が1つの領域として設定されていた場合において、
図10に示すように、躯体
図41の上端部311がポインタ32が示す座標でクリックされたときには、直線321が分割直線となる。左端部313または右端部314がクリックされた場合には(S233:YES)、躯体図分割部112は、クリックされた躯体
図41上の座標点を通る水平(左右方向)の直線を分割直線とする(S234)。
【0038】
躯体図分割部112は、領域情報記憶部133に記憶されている建造物IDに対応した領域情報の幾何データが示す領域(幾何図形)のうち、分割直線と交差するものを読み出し(S235)、読み出した領域情報のそれぞれについて、幾何データが示す幾何図形を分割直線により分割し(S236)、分割した幾何図形を表す幾何データと、新たに割り当てた領域IDと、建造物IDとを含む領域情報を作成する(S237)。躯体図分割部112は、ステップS235で読み出した領域情報を領域情報記憶部133から削除し(S238)、ステップS237で作成した領域情報を領域情報記憶部133に登録する(S239)。
図10の例では、分割直線321により躯体
図41の全体の領域が2つの領域41および領域42に分割され、領域41および42についての領域情報が領域情報記憶部133に登録されることになる。
【0039】
==工区設定処理==
図11は工区設定処理の流れを示す図である。
【0040】
工区設定部113は、まず工区IDを所定のデフォルト値に設定する(S251)。
【0041】
工区設定部113は、工区が入力されたか否かを判定する(S252)。工区設定部113は、たとえばキーボードなどの入力装置205から工区IDの入力を受け付けることができる。また、工区設定部113は、
図12に示すような、工区の設定画面51に工区ボタン511を表示し、工区ボタン511が押下されたことより工区IDを受け付けるようにしてもよい。なお、ステップS251が実行された場合には、工区IDが入力されたと判定するものとする。
【0042】
工区が入力された場合(S252:YES)、工区設定部113は、建造物IDと入力された工区を示す工区IDとに対応する領域IDを工区情報記憶部134から読み出して領域リストとする(S253)。工区設定部113は、領域リストに含まれる領域IDに対応する領域情報を読み出し(S254)、読み出した領域情報に含まれる幾何データに基づいて、工区IDが示す工区に対応する領域を強調表示する(S255)。
図12の例では、躯体図は6つに分割されており、「1区」の工区に対応する領域として左上の領域43が強調表示されていることを示している。
【0043】
工区設定部113は、領域の指定がされたか否かを判定する(S256)。領域の指定は、たとえば躯体図上の領域をマウスやタッチパネルなどの入力装置205により選択することにより行われる。
図12の例では、工区の設定画面51において領域43の内部がクリックされた場合に、領域43が指定されたと判定される。領域が指定された場合(S256:YES)、工区設定部113は、領域リストに選択された領域を示す領域IDを追加し(S257)、建造物IDおよび工区IDに対応する工区情報の領域IDを領域リストに変更するように工区情報記憶部134を更新する(S258)。工区設定部113は、領域リストに含まれる領域IDに対応する領域情報に含まれる幾何データに基づいて、領域を強調表示する(S259)。
【0044】
終了の指示があった場合(S260:YES)、たとえば
図12の例において工区の設定画面51の設定終了ボタン512が押下された場合には、工区設定処理を終了し、そうでなければ(S260:NO)、ステップS252からの処理を繰り返す。
【0045】
==打設量計算処理==
図13は、コンクリート打設量の計算処理の流れを示す図である。打設量算出部114は、各工区について以下の処理を行う。
【0046】
打設量算出部114は、建造物IDおよび工区IDに対応する領域IDを工区情報記憶部134から読み出し(S271)、読み出した領域IDに対応する領域情報を領域情報記憶部133から読み出す(S272)。打設量算出部114は、モデル記憶部131に記憶されている建造物IDに対応したBIMモデルのうち、読み出した領域情報に含まれる幾何データが示す領域に少なくとも一部が入るものを読み出す(S273)。
【0047】
打設量算出部114は、打設量を0に初期化し(S274)、読み出したBIMモデルのそれぞれについて以下の処理を行う。すなわち、打設量算出部114は、BIMモデルの形状情報および位置情報に基づいて、構成要素の領域からはみ出す部分を削除した形状情報を作成し(S275)、作成した形状情報に基づいて構成要素(領域からはみ出した部分を削除したもの)の容積を計算する(S276)。なお、構成要素が領域からはみ出すか否かは、一般的な手法により計算することが可能であり、ここでは説明を省略する。たとえば
図14に示すように、躯体
図40に基礎61、柱62、梁63などが描画されている場合には、梁63は領域43には一部631のみが含まれていることから、領域43からはみ出す部分632は削除されたうえで梁63の容量は計算されることになる。基礎61および柱62は領域43に全部が含まれていることから、BIMモデルの形状情報に基づいて容積が算出されることになる。打設量算出部114は、計算した容積を打設量に加算する(S277)。以上の処理を各BIMモデルについて繰り返すことにより、工区に対応する領域に含まれる構成要素の容積、すなわち打設量を計算することができる。
【0048】
以上の処理を各工区について行うことにより、工区ごとの打設量が計算される。打設量出力部115は、工区ごとの打設量を出力する(S278)。
図15は工区ごとの打設量の表示画面71の一例を示す図である。画面71では6つの工区について打設量が躯体図に重畳表示されている。このような打設量の表示を参考にして、工区を再設定したり、コンクリート打設のスケジュールを決定したりすることができる。
【0049】
==本発明の効果==
以上説明したように、本実施形態の打設計画支援装置10によれば、躯体図を分割した領域により工区を設定することが可能となり、工区に含まれる建造物の構成要素の一部または全部の容積を自動的に計算してコンクリートの打設量を計算することができる。これにより、事前にBIMモデルを工区に応じて分割しておくなどの手間を省くことが可能となり、ユーザは工区ごとの打設量を容易に把握することができる。
【0050】
また、本実施形態の打設計画支援装置10によれば、躯体図の端部近傍をクリックするだけで躯体図を複数の領域に分割することができる。したがって、簡単な操作で工区を設定することができる。また、この工区に含まれる建造物の構成要素を工区の領域に合わせて自動的に分割し、工区に含まれている部分のみのコンクリート打設量を自動的に算出することができるので、容易にコンクリート打設量を把握することができる。
【0051】
また、本実施形態の打設計画支援装置10によれば、躯体図を分割した領域を工区とすることができるので、BIMモデルは必ずいずれかの工区に含まれることになり、BIMモデルを取りこぼしなく打設量の計算に用いることができる。したがって、コンクリートの打設量の信頼性を向上することができる。
【0052】
また、本実施形態の打設計画支援装置10によれば、躯体図を分割した領域を複数選択して工区とすることができる。したがって、連続していない領域を同時に施工する工区として設定することも可能となる。これにより柔軟な打設計画を許容しつつ、容易に打設量を算出することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、コンクリート製の構成要素についてのBIMモデルのみがモデル記憶部131に登録されているものとしたが、もちろんコンクリート製以外の構成要素のBIMモデルが登録されていてもよい。この場合、仕様情報に基づいてコンクリートの打設が行われるか否かを判定し、コンクリートの打設が行われるものについてのみ容積を算出するようにする。
【0054】
また、本実施形態では、躯体図が表示されるものとしたが、これに限らず、工区を指定できるものであればどのような図面であってもよい。この場合にも、図面における建造物の基準点と図面の基準点(通常左上隅を基準点として右方向および下方向に座標値が増える座標系が用いられるが、たとえば左下隅を基準点として右方向および上方向に座標値が増える座標系であってもよい。)とのオフセットなどに基づいて、少なくとも一部が工区に含まれる構成要素を特定し、その含まれる部分の容積を算出することができる。
【0055】
また、本実施形態では、躯体図の端部がクリックされたことに応じて水平または垂直の1本の分割線により領域を2つに分割するものとしたが、これに限らず、躯体図の内部がクリックされた場合に、クリックされた座標を通る垂直および水平の2本の分割線を用いて領域を4つに分割するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、水平または垂直の分割直線により左右または上下に領域を分割するものとしたが、これに限らず、対角線で領域を分割したり、楕円の内部および外部に領域を分割したり、多角形の内部および外部に領域を分割したりしてもよい。
【0057】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。