特許第6209912号(P6209912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000002
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000003
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000004
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000005
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000006
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000007
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000008
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000009
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000010
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000011
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000012
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000013
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000014
  • 特許6209912-電動パワーステアリング装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209912
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20171002BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20171002BHJP
   G01L 5/22 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   B62D5/04
   G01B7/30 H
   G01L5/22
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-192260(P2013-192260)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-58756(P2015-58756A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075579
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】河原 弘志
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−006916(JP,A)
【文献】 特開2010−112848(JP,A)
【文献】 特表2009−505097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
G01B 7/30
G01L 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールから伝達される操舵トルクを検出するトルク検出部と、
前記トルク検出部で検出した操舵トルクに応じた操舵補助トルクを発生する電動モータと、
前記電動モータが発生した操舵補助トルクを減速して車両のステアリング機構の出力軸に伝達するウォーム減速機と、
前記ウォーム減速機を収容するギヤボックスハウジングに組付可能に構成され、操舵軸の回転角を検出する舵角検出部と、を備え、
前記ウォーム減速機を構成するウォームホイールの軸方向端面にフェースギヤが形成されており、
前記舵角検出部は、
前記フェースギヤと噛み合う中間歯車と、
径方向に着磁された磁石が固着され、前記中間歯車と噛み合う第一の回転検出用歯車と、
径方向に着磁された磁石が固着され、前記中間歯車及び前記第一の回転検出用歯車の何れか一方と噛み合う少なくとも1つの第二の回転検出用歯車と、
前記中間歯車及び複数の前記回転検出用歯車を回転可能に支持する歯車支持部と、
前記回転検出用歯車の各磁石とそれぞれ対向する位置に磁気検出素子を配置した角度検出用基板と、
少なくとも前記中間歯車、前記回転検出用歯車及び前記歯車支持部を収容すると共に、これらを収容した状態で前記中間歯車の一部が露出する開口部を有するセンサハウジングと、備え、
前記ギヤボックスハウジングは、前記ウォーム減速機を収容した状態で前記フェースギヤの一部が露出し、前記センサハウジングが嵌合する嵌合穴を有し、
前記トルク検出部は、
トルクに応じてインピーダンスが変化する検出コイルと、
前記検出コイルのインピーダンス変化に基づいて、前記トルクを演算するトルク演算回路を搭載したトルク検出用基板と、を備え、
前記角度検出用基板と前記トルク検出用基板とは、前記検出コイルと前記回転検出用歯車との間に配置されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記ウォームホイールは、鋼製の芯金の外周に樹脂部をインサート成形して構成されており、
前記フェースギヤは、前記樹脂部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記トルク検出部及び前記舵角検出部は、
前記操舵軸から当該操舵軸の径方向外側に向かって、前記検出コイル、前記トルク検出用基板、前記角度検出用基板、前記回転検出用歯車の順に配置するように、前記ギヤボックスハウジングに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
前記トルク検出部は、前記ギヤボックスハウジングに組付けられて前記検出コイル及び前記トルク検出用基板を収容するトルクセンサハウジングを備え、
前記舵角検出部の前記センサハウジングが、前記トルクセンサハウジングを覆うように当該トルクセンサハウジングに重ねて配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記角度検出用基板は、前記トルク検出用基板と共通のコネクタに接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記トルク検出用基板と前記角度検出用基板との間に、磁気を遮断する磁気遮断部材を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
前記トルク検出用基板と前記角度検出用基板とは1枚の基板によって構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵軸回転角を検出する舵角センサを有する電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイールに印加された操舵トルクに応じて電動モータから補助操舵トルクを発生し、これを動力伝達機構(ウォーム減速機)により減速して操舵機構の出力軸に伝達している。
このような電動パワーステアリング装置に搭載する舵角センサ(以下、アングルセンサともいう)として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、ウォームホイールに設けた歯車(センサ用歯車)にアングルセンサの歯車(センサピニオン)を噛合し、ウォームホイールの回転角を検出するものである。ここでは、センサ用歯車をウォームホイール外径側又は内径側に設け、当該センサ用歯車にセンサピニオンを噛み合わせる形態が提案されている。また、ウォームホイール側面にフェースギヤを設け、これにセンサピニオンを噛合する形態も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−161150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、センサ用歯車をウォームホイール外径側又は内径側に設けた形態の場合、アングルセンサの歯車の外径に制約が出てしまうという共通の問題がある。センサ用歯車を外径側に設けた場合、センサピニオンを大きくすると、その分アングルセンサの突出量が大きくなり、センサ用歯車を内径側に設けた場合は、操舵軸の間にレイアウトする必要があるため、センサピニオンの外径が限られてしまう。ウォームホイールに設けられたセンサ用歯車に対してセンサピニオンの径が小さいと、減速比が大きくなるため、舵角センサの角度検出体の回転速度が速くなる。すると、センサ検出誤差、センサピニオンやその支持構造体の磨耗、各部作動音といった弊害が起こるおそれがある。
【0005】
これに対し、ウォームホイール側面のフェースギヤにセンサピニオンを噛合する形態では、センサピニオンの外径自由度は比較的大きく、センサ検出精度などの要件に合わせて、任意の減速比設計が可能となる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、センサピニオンの軸方向に伸びたシャフトを介して舵角センサの角度検出体に回転が伝達されており、EPS(電動パワーステアリング)に搭載した際のレイアウト性が問題となる。また、360度以上の絶対角を検出するためには、複数の回転角から演算を行うなどの方策が必要であり、角度センサ部が大型化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、レイアウト性が高く、360度以上の絶対角検出が可能な舵角センサを備える電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一態様は、ステアリングホイールから伝達される操舵トルクを検出するトルク検出部と、前記トルク検出部で検出した操舵トルクに応じた操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電動モータが発生した操舵補助トルクを減速して車両のステアリング機構の出力軸に伝達するウォーム減速機と、前記ウォーム減速機を収容するギヤボックスハウジングに組付可能に構成され、操舵軸の回転角を検出する舵角検出部と、を備え、前記ウォーム減速機を構成するウォームホイールの軸方向端面にフェースギヤが形成されており、前記舵角検出部は、前記フェースギヤと噛み合う中間歯車と、径方向に着磁された磁石が固着され、前記中間歯車と噛み合う第一の回転検出用歯車と、径方向に着磁された磁石が固着され、前記中間歯車及び前記第一の回転検出用歯車の何れか一方と噛み合う少なくとも1つの第二の回転検出用歯車と、前記中間歯車及び複数の前記回転検出用歯車を回転可能に支持する歯車支持部と、前記回転検出用歯車の各磁石とそれぞれ対向する位置に磁気検出素子を配置した角度検出用基板と、少なくとも前記中間歯車、前記回転検出用歯車及び前記歯車支持部を収容すると共に、これらを収容した状態で前記中間歯車の一部が露出する開口部を有するセンサハウジングと、備え、前記ギヤボックスハウジングは、前記ウォーム減速機を収容した状態で前記フェースギヤの一部が露出し、前記センサハウジングが嵌合する嵌合穴を有し、前記トルク検出部は、トルクに応じてインピーダンスが変化する検出コイルと、前記検出コイルのインピーダンス変化に基づいて、前記トルクを演算するトルク演算回路を搭載したトルク検出用基板と、を備え、前記角度検出用基板と前記トルク検出用基板とは、前記検出コイルと前記回転検出用歯車との間に配置されていることを特徴としている。
【0008】
このように、ウォームホイールの軸方向端面にフェースギヤを設け、そのフェースギヤと噛み合う中間歯車に第一の回転検出用歯車を噛み合わせると共に、中間歯車又は第一の回転検出用歯車と噛み合う少なくとも1つの第二の回転検出用歯車を設ける。この構成により、回転検出用歯車の外径自由度を大きくすることができる。また、舵角検出部をコンパクトにユニット化することができるので、EPS周辺部品への影響を最小限に抑えながら360度以上の絶対角検出が可能となる。さらに、センサハウジングをギヤボックスハウジングの嵌合穴に挿入固定する構造であるため、舵角検出部を電動パワーステアリング装置に容易に組付けることができる。さらにまた、舵角検出部を追加することによるEPSシステムの外寸拡大を抑えることができ、EPS周辺部品への影響を最小限に抑えることができる。
【0011】
また、上記において、前記ウォームホイールは、鋼製の芯金の外周に樹脂部をインサート成形して構成されており、前記フェースギヤは、前記樹脂部に形成されていることが好ましい。これにより、ウォームホイールの軽量化と良好な加工性とを実現することができる
【0012】
また、上記において、前記トルク検出部及び前記舵角検出部は、前記操舵軸から当該操舵軸の径方向外側に向かって、前記検出コイル、前記トルク検出用基板、前記角度検出用基板、前記回転検出用歯車の順に配置するように、前記ギヤボックスハウジングに取り付けられていることが好ましい。
このように、舵角検出部の回転検出用歯車を、角度検出用基板を挟んでトルク検出部のトルク検出用基板の反対側に配置するので、回転検出用歯車に固着した磁石の磁気がトルク検出部の出力信号に影響を与えてしまうのを抑制することができる。
【0013】
さらにまた、上記において、前記トルク検出部は、前記ギヤボックスハウジングに組付けられて前記検出コイル及び前記トルク検出用基板を収容するトルクセンサハウジングを備え、前記舵角検出部の前記センサハウジングが、前記トルクセンサハウジングを覆うように当該トルクセンサハウジングに重ねて配置されていることが好ましい。
これにより、舵角検出部のセンサハウジングが、トルク検出部のトルクセンサハウジングのカバーを兼ねることができる。その結果、部品点数を削減することができる。
【0014】
また、上記において、前記角度検出用基板は、前記トルク検出用基板と共通のコネクタに接続されていることが好ましい。これにより、舵角検出部に角度検出用基板の信号コネクタを設ける必要がなくなる。そのため、部品点数を抑えることができると共に、ECUへ接続するハーネスを減らすこともできるため、組立作業性も向上する。
さらに、上記において、前記トルク検出用基板と前記角度検出用基板との間に、磁気を遮断する磁気遮断部材を備えることが好ましい。これにより、回転検出用歯車に固着した磁石の磁気がトルク検出部の出力信号に影響を与えてしまうのを防止することができ、トルク検出部によるトルク検出精度を確保することができる。
【0015】
また、上記において、前記トルク検出用基板と前記角度検出用基板とは1枚の基板によって構成されていることが好ましい。このように、センサ基板を1枚に集約することで、部品点数の削減になると共に、組立作業効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動パワーステアリング装置では、回転検出用歯車の外径自由度を大きくすることができるので、センサ検出精度やその他要件に合わせて任意の減速比を設定することができ、適切に360度以上の絶対角を検出することができる。また、舵角検出部をコンパクトにユニット化することができるので、電動パワーステアリング装置に搭載する際のレイアウト性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態における電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
図2】操舵補助機構周辺の主要部を示す図である。
図3】アングルセンサの関連部品を示す図である。
図4】アングルセンサユニットの具体的構成を示す分解斜視図である。
図5】アングルセンサユニットをギヤボックスハウジングに組付ける工程を説明する図である。
図6】第2の実施形態の操舵補助機構周辺の主要部を示す図である。
図7】第2の実施形態のトルクセンサ及びアングルセンサの関連部品を示す図である。
図8】第2の実施形態のアングルセンサユニットの具体的構成を示す分解斜視図である。
図9】第2の実施形態のアングルセンサユニットをギヤボックスハウジングに組付ける工程を説明する図である。
図10】アングルセンサユニットの別の例を示す分解斜視図である。
図11】第3の実施形態のアングルセンサユニットの具体的構成を示す分解斜視図である。
図12】第3の実施形態のアングルセンサユニットをギヤボックスハウジングに組付ける工程を説明する図である。
図13】第4の実施形態のアングルセンサユニットをギヤボックスハウジングに組付ける工程を説明する図である。
図14】検出用歯車のレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図である。
図中、符号SMはステアリング機構である。ステアリング機構SMは、ステアリングホイール1を備え、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力はステアリングシャフト2に伝達される。ステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装されている。また、このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有する。入力軸2aの一端はステアリングホイール1に連結され、入力軸2aの他端は図示しないトーションバーを介して出力軸2bの一端に連結されている。
【0019】
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達され、さらに、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって転舵輪WR及びWLが転舵する。ここで、ステアリングギヤ8は、ハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成されている。すなわち、ステアリングギヤ8は、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで直進運動に変換している。
【0020】
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結したウォーム減速機11と、このウォーム減速機11に連結された電動モータ12とを備えている。ここで、電動モータ12は、操舵補助力を発生する電動機であり、例えばブラシレスモータで構成する。
【0021】
また、ウォーム減速機11を収容するギヤボックスハウジング13には、トルクセンサユニット14が配設されている。このトルクセンサユニット14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するものである。
さらに、ウォーム減速機11を収容するギヤボックスハウジング13には、アングルセンサユニット20が配設されている。このアングルセンサユニット20は、運転者がステアリングホイール1を操舵したときの操舵軸の回転角を検出するものである。このアングルセンサユニット20の具体的構成については後述する。
【0022】
なお、上記において、トルクセンサユニット14がトルク検出部に対応し、アングルセンサユニット20が舵角検出部に対応している。
図2は、操舵補助機構10周辺の主要部を示す図である。
ウォーム減速機11はウォーム及びウォームホイールを備え、これらはギヤボックスハウジング13に収容されている。また、トルクセンサユニット14及びアングルセンサユニット20は、ギヤボックスハウジング13の側面(ギヤボックスカバー13a)に取り付けられている。これらトルクセンサユニット14及びアングルセンサユニット20は、それぞれEPSコントロールユニット(ECU)15に図示しないハーネスで接続されている。
【0023】
ECU15には、トルクセンサユニット14で検出した操舵トルクやアングルセンサユニット20で検出した舵角の他に、車速センサ等で検出した車速を入力する。そして、これらに応じた操舵補助力を操舵系に付与する操舵補助制御(操舵アシスト)を行う。具体的には、上記操舵補助力を電動モータ12で発生するための操舵補助指令値(操舵補助トルク指令値)を公知の手順で算出し、算出した操舵補助指令値に基づいて電動モータ12の電流指令値を算出する。そして、算出した電流指令値とモータ電流検出値とにより、電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック制御する。
【0024】
図3は、ウォームホイールとアングルセンサユニット20の関連部品とを示す図である。
図3に示すように、ウォームホイール11aには、その側面にフェースギヤ11bが形成されている。このウォームホイール11aは、鋼製の芯金の外周に樹脂部をインサート成形した構成を有し、当該樹脂部にフェースギヤ11bが形成されている。これにより、ウォームホイール11aの軽量化と良好な加工性とを実現することができる。なお、フェースギヤ11bは芯金に成形されていてもよく、熱膨張や吸水膨張による芯間距離の変化という点では、芯金に成形される方が好ましい。
【0025】
また、アングルセンサユニット20の搭載位置は、このウォームホイール11aに設けられたフェースギヤ11bのピッチ円周上であれば、任意に設定可能である。但し、周辺部品との関係や、配線取回し等を考慮してレイアウトすることが望ましい。
アングルセンサユニット20は、図3に示すように、第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)21、第二検出用歯車(第二の検出用歯車)22、及び角度検出用基板23を少なくとも備える。第一検出用歯車21はフェースギヤ11bに噛合しており、第一検出用歯車21には、第二検出用歯車22が噛合している。これにより、操舵軸(出力軸2b)の回転が検出用歯車21及び22に伝達される。
【0026】
検出用歯車21及び22には径方向に着磁された磁石が埋設されており、これら検出用歯車21及び22に対向して配置された角度検出用基板23上のホールICや磁気抵抗素子といった磁気検出素子(角度検出素子)を用いて、各検出用歯車21,22の回転角を検出可能となっている。
ここで、各検出用歯車21,22は平歯車であり、第一検出用歯車21の歯数と第二検出用歯車22の歯数とは、異なる枚数に設定されている。そして、この2つの検出用歯車21及び22によってそれぞれ検出した2つの検出角度の関係から、ウォームホイール11a(操舵軸)の360度以上の回転角(操舵軸の絶対角)を演算することができるようになっている。なお、回転角の演算方法については公知であるため(例えば、特許第3792718号など)、ここでは説明を省略する。
【0027】
また、EPSのアングルセンサとしては、ステアリングホイールの中立位置を0度として、±720度(計4回転)の範囲で絶対角検出が可能であることが条件となる。したがって、4回転の範囲で2つの検出用歯車21,22の位相の組み合わせに重複が無いように、それぞれの歯数を設定するものとする。
次に、アングルセンサユニット20の具体的構成について詳細に説明する。
【0028】
図4は、アングルセンサユニット20の具体的構成を示す分解斜視図である。
この図4に示すように、アングルセンサユニット20は、第一検出用歯車21、第二検出用歯車22、及び角度検出用基板23の他に、歯車支持部材(歯車支持部)24、アングルセンサハウジング25及びアングルセンサカバー26を備える。
アングルセンサハウジング25には、アングルセンサユニット20をECU15に接続するためのハーネスが着脱される信号コネクタ25aが一体成型されており、ここに角度検出用基板23を組付ける。角度検出用基板23と検出用歯車21,22との間には歯車支持部材24を配置し、この歯車支持部材24によって角度検出用基板23上にレイアウトされた角度検出素子と検出用歯車21,22との軸方向位置及び軸直角方向位置を決める。そして、これらをアングルセンサカバー26で覆うことで、アングルセンサユニット20を構成する。
【0029】
アングルセンサカバー26をアングルセンサハウジング25に取り付けた状態では、アングルセンサハウジング25とアングルセンサカバー26とによって開口部が形成される。そして、この開口部から、第一検出用歯車21の径方向において、第一検出用歯車21の第二検出用歯車22との噛合側とは反対側の一部が露出した状態となる。
このアングルセンサユニット20は、電動パワーステアリング装置に着脱可能に構成されている。
【0030】
図5は、アングルセンサユニット20をギヤボックスハウジング13に組付ける工程を説明する図である。
ギヤボックスカバー13aには、フェースギヤ11bのピッチ円周上に対応する位置に、操舵軸2bの軸方向にセンサ取付用の嵌合穴13bを設けている。そして、この嵌合穴13bに、アングルセンサユニット20を第一検出用歯車21が露出している側から挿入固定することで、ウォームホイール11aのフェースギヤ11bと、アングルセンサユニット20の第一検出用歯車21(アングルセンサハウジング25から露出した部分)とが噛合する構造となっている。
【0031】
このように、アングルセンサユニット20の筐体は、検出用歯車21及び22の軸方向両側から、検出用歯車21及び22をアングルセンサハウジング25とアングルセンサカバー26とで覆うように構成されている。すなわち、筐体の分割方向と、ギヤボックスハウジング13へのアングルセンサユニット20の挿入方向とが直角方向となる。したがって、万が一、アングルセンサユニット20の着脱時に筐体接合面の接合に不具合が発生した場合でも、筐体が完全に分割してしまうことを防ぐことができる。
【0032】
以上のように、操舵力アシストのための減速機構を構成するウォームホイール11aの側面にフェースギヤ11bを設け、このフェースギヤ11bに回転角検出体(磁石)を回転させる第一検出用歯車21を噛み合せる。また、第一検出用歯車21は、フェースギヤ11bとは別に第二検出用歯車22とも噛合する。
このように、フェースギヤ11bに検出用歯車を噛合して角度検出を行う構成とすることで、検出用歯車21,22の外径自由度を大きくすることができると共に、センサ検出精度やその他要件に合わせて任意の減速比を設定することができる。また、検出用歯車を複数設けるので、360度以上の絶対角検出が可能となる。
【0033】
また、第一検出用歯車21と、第二検出用歯車22と、角度検出用基板23と、検出用歯車21,22を回転可能に支持する歯車支持部材24と、これらを収納するアングルセンサハウジング25及びアングルセンサカバー26とでアングルセンサユニット20を構成する。そして、このアングルセンサユニット20を電動パワーステアリング装置に着脱可能に構成する。このように、アングルセンサユニット20をコンパクトにユニット化するので、レイアウト性を向上させることができる。したがって、アングルセンサユニット20を配置することによるEPS周辺部品への影響を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、アングルセンサユニット20を操舵補助機構10に設けるため、トーションバーよりも下流側で舵角をセンシングすることが可能となる。舵角情報は、横滑り防止制御(ESC)やトラクションコントロール、レーンキープ、パーキングアシストといった車両制御や、端当て防止、セルフアライニングトルク(SAT)アシストといったEPS制御に用いられる。そのため、本質的には操舵系の下流(タイヤに近い側)の舵角をセンシングするのが理想である。ステアリングホイールからタイヤに至るまでには、トーションバーがあるため、タイヤの切れ角とハンドル操舵角にはトーションバーの捩れ分のズレが生じることになる。本実施形態では、トーションバーよりも下流側で舵角をセンシングするため、センサ検出精度を向上し、上記の各制御を適切に実施することができる。
【0035】
さらに、アングルセンサは検出用歯車の摺動部にフリクションを持っているため、仮に操舵補助機構10よりも上流にセンサを配置すると、そのフリクションは操舵フリクションとしてハンドルに伝わるが、本実施形態では、アングルセンサをアシスト領域に配置するため、EPSが機能している間はセンサフリクションがハンドルに伝わることがない。
さらにまた、本実施形態では、フェースギヤ11bを用いてウォームホイール11aから検出用歯車21,22への動力伝達を行っているため、図3に示すように、第一検出用歯車21にウォームホイール11aに設けたフェースギヤ11bと第二検出用歯車22との両方を噛合し、歯車列を構成することが可能となっている。仮に、フェースギヤ11bと噛合する第一検出用歯車21として傘歯車を用いた場合、第一検出用歯車21と第二検出用歯車22とを噛合させるためには、第一検出用歯車21に傘歯車と平歯車の両方を成形する必要がある。そのため、この場合には歯車の厚みが増すと共にコスト増にも繋がってしまうが、本実施形態ではこのような問題はない。
【0036】
また、アングルセンサハウジング25及びアングルセンサカバー26を、アングルセンサユニット20を組み立てた状態において、第一検出用歯車21の一部が露出する開口部を有するように構成し、ギヤボックスハウジング13の軸方向端面(ギヤボックスカバー13a)に、フェースギヤ11bの一部が露出し、アングルセンサユニット20と嵌合する嵌合穴13cを設ける。このように、フェースギヤ11bの歯面がアングルセンサユニット20の挿入側を向くようにするため、噛合する2つの歯車の位相合わせが容易となり、アングルセンサユニット20の組付けを容易に行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0037】
第2の実施形態は、第1の実施形態におけるアングルセンサユニット20に代えて、アングルセンサユニット30を適用したものである。そして、この第2の実施形態では、トルクセンサユニット14のトルク検出用基板とアングルセンサユニット30の角度検出用基板とを、トルクセンサユニット14のトルクセンサ受感部とアングルセンサユニット30の検出用歯車との間に配置する。
【0038】
図6は、第2の実施形態における操舵補助機構10周辺の主要部を示す図である。
本実施形態では、アングルセンサユニット30を、ギヤボックスハウジング13に取り付けたトルクセンサユニット14を覆うように重ねて配置する。
アングルセンサユニット30は、図7に示すように、中間歯車31、第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)32、第二検出用歯車(第二の回転検出用歯車)33、及び角度検出用基板34を少なくとも備える。中間歯車31は、角度検出機能を有しない回転伝達用歯車であり、フェースギヤ11bに噛合している。この中間歯車31には、第一検出用歯車32と第二検出用歯車33とが噛合している。これにより、操舵軸(出力軸2b)の回転が中間歯車31を介して検出用歯車32及び33に伝達される。
【0039】
検出用歯車32及び33には径方向に着磁された磁石が埋設されており、これら検出用歯車32及び33に対向して配置された角度検出用基板34上のホールICや磁気抵抗素子といった磁気検出素子(角度検出素子)を用いて、各検出用歯車32,33の回転角を検出可能となっている。
ここで、各検出用歯車32,33は平歯車であり、上述した第1の実施形態の検出用歯車21,22と同様に、第一検出用歯車32の歯数と第二検出用歯車33の歯数とは、異なる枚数に設定されている。そして、この2つの検出用歯車32及び33によってそれぞれ検出した2つの検出角度の関係から、ウォームホイール11a(操舵軸)の360度以上の回転角(操舵軸の絶対角)を演算することができるようになっている。
【0040】
また、トルクセンサユニット14は、トルク検出用基板14aと、トルクセンサ受感部(検出コイル)14bとを少なくとも備える。トルクセンサ受感部14bは、トルクに応じてインピーダンスが変化するものである。また、トルク検出用基板14aは、トルクセンサ受感部14bの出力信号(インピーダンス変化)に基づいて操舵トルクを演算するためのトルク信号増幅回路等を含むトルク演算回路が搭載された基板である。
【0041】
そして、角度検出用基板34とトルク検出用基板14aとは、トルクセンサ受感部14bと検出用歯車32及び33との間に挟まれるようにレイアウトされる。すなわち、操舵軸2b側から当該操舵軸2bの径方向外側(図7の上方向)に向かって、トルクセンサ受感部14b、トルク検出用基板14a、角度検出用基板34、検出用歯車32及び33の順に配置される。
【0042】
次に、アングルセンサユニット30の具体的構成について詳細に説明する。
図8は、アングルセンサユニット30の具体的構成を示す分解斜視図である。
この図8に示すように、アングルセンサユニット30は、中間歯車31、第一検出用歯車32、第二検出用歯車33、及び角度検出用基板34の他に、歯車支持部材(歯車支持部)35、アングルセンサハウジング36及びアングルセンサカバー37を備える。
【0043】
アングルセンサカバー37には、検出用歯車支持部37aと信号コネクタ37bとが一体成型されており、このアングルセンサカバー37に、中間歯車31、検出用歯車32及び33、歯車支持部材35、角度検出用基板34をこの順に組付ける。このとき、中間歯車31と検出用歯車32,33とを、検出用歯車支持部37aと歯車支持部材35とによって回転可能に支持し、角度検出用基板34を信号コネクタ37bに接続する。
【0044】
すなわち、角度検出用基板34と検出用歯車32,33との間に歯車支持部材35を配置し、この歯車支持部材35によって角度検出用基板34上にレイアウトされた角度検出素子と検出用歯車32,33との軸方向位置及び軸直角方向位置を決める。そして、これらをアングルセンサカバー37で覆うことで、アングルセンサユニット30を構成する。
アングルセンサカバー37をアングルセンサハウジング36に取り付けた状態では、アングルセンサハウジング36とアングルセンサカバー37とによって開口部が形成される。そして、この開口部から、中間歯車31の径方向において、中間歯車31の検出用歯車32,33との噛合側とは反対側の一部が露出した状態となる。
【0045】
このアングルセンサユニット30は、電動パワーステアリング装置に着脱可能に構成されている。
図9は、アングルセンサユニット30をギヤボックスハウジング13に組付ける工程を説明する図である。
ギヤボックスカバー13aには、フェースギヤ11bのピッチ円周上に対応する位置に、操舵軸2bの軸方向にセンサ取付用の嵌合穴13cを設けている。そして、この嵌合穴13cにアングルセンサユニット30を、中間歯車31が露出している側から挿入固定する。このとき、ウォームホイール11aのフェースギヤ11bと、アングルセンサユニット30の中間歯車31(アングルセンサハウジング36から露出した部分)とが噛合した状態で、アングルセンサユニット30がトルクセンサユニット14のトルクセンサハウジング14cに固定される。
【0046】
このような取付構造とすることで、アングルセンサユニット30がトルクセンサハウジング14cのカバーを兼ねることができ、部品点数を抑えることができる。また、トルクセンサの上方(操舵軸2bの径方向外側)にアングルセンサユニット30を着脱可能に配するため、例えばアングルセンサ有無でEPS仕様を分けた場合でも、トルクセンサは同一のもので対応が可能となる。
【0047】
以上のように、本実施形態のアングルセンサユニット30は、フェースギヤに噛み合う中間歯車31と、中間歯車31にそれぞれ噛合する検出用歯車32,33とを備える。検出用歯車32,33には、径方向に着磁された回転角検出体(磁石)が固着している。そして、トルクセンサユニット14のトルク検出用基板14aとアングルセンサユニット30の角度検出用基板34とを、トルクセンサ受感部14bと検出用歯車32,33との間に配置する。
【0048】
したがって、上述した第1の実施形態と同様に、検出用歯車32,33の外径自由度を大きくすることができると共に、センサ検出精度やその他要件に合わせて任意の減速比を設定することが容易である。さらに、トルクセンサ受感部14bと検出用歯車32,33との間にトルク検出用基板14a及び角度検出用基板34を配置することで、アングルセンサ追加に伴うEPSシステムの外寸拡大を抑えることができる。そのため、EPS周辺部品への影響を最小限に抑えながら360度以上の絶対角検出が可能となる。すなわち、車載性を大きく損なうことなくアングルセンサ搭載を可能としている。
【0049】
また、検出用歯車32,33を、角度検出用基板34を挟んでトルク検出用基板14aの反対側にレイアウトするので、検出用歯車32,33に埋設した磁石の磁気がトルクセンサ出力に影響を与えるのを抑制することができる。
なお、上記第2の実施形態においては、検出用歯車32,33に埋設された磁石の磁気がトルクセンサに影響を与えるのを防止するために、角度検出用基板34とトルク検出用基板14aとの間に、磁気シールド部材(磁気遮断部材)を介装するようにしてもよい。
【0050】
また、アングルセンサユニット30の筐体を樹脂やアルミダイカストといった材料で成形し、アングルセンサハウジング36に磁気シールド部材をインサート成形してもよい。さらに、アングルセンサカバー37のみ鋼材で成形し、アングルセンサハウジング36に磁気遮蔽の機能を持たせてもよい。
更には、アングルセンサユニット30をトルクセンサハウジング14cに固定する際に、シール部材を介装または塗布してもよい。
【0051】
また、アングルセンサユニット30は、図10に示す構成とすることもできる。この図10に示すアングルセンサユニット30は、図8に示すアングルセンサユニット30において、中間歯車31、第一検出用歯車32、第二検出用歯車33及び角度検出用基板34以外の構成が異なる。
すなわち、アングルセンサユニット30は、中間歯車31、第一検出用歯車32、第二検出用歯車33、角度検出用基板34、アングルセンサハウジング38、及びアングルセンサカバー39を備える。
【0052】
アングルセンサハウジング38には、歯車支持部38aと信号コネクタ38bとが一体成型されており、ここに中間歯車31及び検出用歯車32,33が組み込まれる。また、アングルセンサハウジング38の裏側(歯車支持部38aが成型された面とは反対側)には、角度検出用基板34が組み込まれる。このとき、中間歯車31と検出用歯車32,33とを、歯車支持部38aによって支持し、角度検出用基板34を信号コネクタ38bに接続する。そして、アングルセンサハウジング38に、中間歯車31及び検出用歯車32,33を配置した側からアングルセンサカバー26を取り付けることで、アングルセンサユニット30を構成する。
【0053】
このような構成の場合にも、図8に示すアングルセンサユニット30と同様の効果が得られる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第2の実施形態において、アングルセンサを構成する角度検出用基板を、トルク検出用基板と共通の信号コネクタに接続するようにしたものである。
【0054】
図11は、第3の実施形態のアングルセンサユニット40の具体的構成を示す分解斜視図である。
アングルセンサユニット40は、中間歯車41、第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)42、第二検出用歯車(第二の回転検出用歯車)43、歯車支持部材(歯車支持部)44、及びアングルセンサハウジング45を備える。ここで、中間歯車41、第一検出用歯車42及び第二検出用歯車43は、上述した第2の実施形態における中間歯車31、第一検出用歯車32及び第二検出用歯車33と同様の機能を有するものとする。
【0055】
アングルセンサハウジング45には、検出歯車支持部45aが一体成型されており、ここに中間歯車41及び検出用歯車42,43が歯車支持部材44に支持された状態で組み込まれる。この状態では、中間歯車41の径方向において、中間歯車41の検出用歯車42,43との噛合側とは反対側の一部が、アングルセンサハウジング45の側面から露出した状態となる。
【0056】
このアングルセンサユニット40は、電動パワーステアリング装置に着脱可能に構成されている。
図12は、アングルセンサユニット40をギヤボックスハウジング13に組付ける工程を説明する図である。
先ず、アングルセンサを構成する角度検出用基板46を、トルクセンサハウジング14cに格納固定する。このとき、角度検出用基板46を、トルク検出用基板14aの上に配置し、トルク検出用基板14aと共通の信号コネクタに接続する。その後、ギヤボックスカバー13aに設けられた嵌合穴13cにアングルセンサユニット40を挿入固定する。このとき、ウォームホイール11aのフェースギヤ11bと、アングルセンサユニット40の中間歯車41(アングルセンサハウジング45から露出した部分)とが噛合した状態で、アングルセンサユニット40がトルクセンサユニット14のトルクセンサハウジング14cに固定される。
【0057】
また、このとき、アングルセンサユニット40の第一検出用歯車32及び第二検出用歯車33に固着された磁石は、角度検出用基板46に配置した角度検出素子に対向配置される。
これにより、操舵軸2b側から当該操舵軸2bの径方向外側(図7の上方向)に向かって、トルクセンサ受感部14b、トルク検出用基板14a、角度検出用基板46、検出用歯車42及び43の順に配置される。
【0058】
このような取付構造とすることで、アングルセンサハウジング45に角度検出用基板46の信号コネクタを設ける必要がなくなる。更には、角度検出用基板46とトルク検出用基板14aとの信号コネクタを共通化することが可能となる。これにより、部品点数を抑えることができると共に、ECU15へ接続するハーネスを減らすことができ、組立作業性が向上する。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0059】
この第4の実施形態は、上述した第3の実施形態において、アングルセンサユニットの角度検出用基板と、トルクセンサユニットのトルク検出用基板とを1枚の基板によって構成するようにしたものである。
ここで、本実施形態におけるアングルセンサユニットは、図11に示すアングルセンサユニット40と同一構成を有するものとする。
【0060】
図13は、第4の実施形態のアングルセンサユニット40をギヤボックスハウジング13に組付ける工程を説明する図である。
この図13に示すように、アングルセンサユニット40の角度検出用基板と、トルクセンサユニット14のトルク検出用基板とを1枚に集約したセンサ基板14dを、トルクセンサユニット14のトルクセンサハウジング14cに格納固定した状態で、アングルセンサユニット40を組付ける。
【0061】
このとき、ギヤボックスカバー13aに設けられた嵌合穴13cにアングルセンサユニット40を挿入固定する。これにより、ウォームホイール11aのフェースギヤ11bと、アングルセンサユニット40の中間歯車41(アングルセンサハウジング45から露出した部分)とが噛合した状態で、アングルセンサユニット40がトルクセンサユニット14のトルクセンサハウジング14cに固定される。
【0062】
以上のように、アングルセンサの角度検出素子と、トルクセンサのトルク振動増幅回路とを1枚の基板にレイアウトするので、センサ基板を1枚に集約することができ、部品点数の削減と組立作業効率の向上とを図ることができる。
(変形例)
上記各実施形態においては、回転角検出体(磁石)を埋設した検出用歯車の数を2個とする場合について説明したが、3個以上であってもよい。
【0063】
また、検出用歯車や中間歯車の配置は、図14に示すように適宜設定可能である。すなわち、第1の実施形態では、図14(a)に示すようにフェースギヤ11bに対する2つの検出用歯車A,Bの配列方向を直角としているが、図14(b)に示すように90度以外の所定角度をもって2つの検出用歯車A,Bを配列するようにしてもよい。
さらに、第2〜4の実施形態では、図14(c)に示すように、中間歯車Aをフェースギヤ11bに噛合すると共に、中間歯車Aに2つの検出用歯車B,Cを噛合させているが、図14(d)に示すように、中間歯車Aをフェースギヤ11bに噛合し、検出用歯車Bを中間歯車Aに噛合し、検出用歯車Cを検出用歯車Bに噛合させるようにしてもよい。すなわち、複数の検出用歯車のうち第二検出用歯車Cは、中間歯車A及び第一検出用歯車Bの何れか一方と噛み合えばよい。
【0064】
また、図14(c)に示す配置に対して、図14(e)に示すように4つめの歯車Dを設け、その歯車Dに回転角検出体(磁石)を埋設し、歯車B,C,Dでそれぞれ角度検出を行って、相互監視や異常検出を行うようにしてもよい。
さらにまた、図14(c)及び(d)に示す配置において、歯車Aにも回転角検出体(磁石)を埋設し、歯車A,B,Cでそれぞれ角度検出を行って、相互監視や異常検出を行うようにしてもよい。
【0065】
また、上記各実施形態においては、回転角検出体(磁石)を埋設した2個の検出用歯車の歯数を異ならせる場合について説明したが、歯数を同じとして冗長性を持たせる仕様とすることもできる。この場合、2つの検出用歯車による検出角度は同じになるため、これらを相互監視することで異常を検出することが可能となる。これら2つの検出用歯車の歯数が同じでも、車輪速などの車両側からの情報や、電動モータ12のレゾルバ信号などを用いることで、絶対角を演算、推定することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
SM…ステアリング機構、1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…ステアリングコラム、4,6…ユニバーサルジョイント、5…中間シャフト、8…ステアリングギヤ、10…操舵補助機構、11…ウォーム減速機、11a…ウォームホイール、11b…フェースギヤ、12…電動モータ、13…ギヤボックスハウジング、13a…ギヤボックスカバー、13b,13c…嵌合穴、14…トルクセンサユニット、15…EPSコントロールユニット(ECU)、20,30,40…アングルセンサユニット、21…第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)、22…第二検出用歯車(第二の回転検出用歯車)、23…角度検出用基板、24…歯車支持部材、25…アングルセンサハウジング、26…アングルセンサカバー、31…中間歯車、32…第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)、33…第二検出用歯車(第二の回転検出用歯車)、34…角度検出用基板、35…歯車支持部材、36…アングルセンサハウジング、37…アングルセンサカバー、38…アングルセンサハウジング、39…アングルセンサカバー、41…中間歯車、42…第一検出用歯車(第一の回転検出用歯車)、43…第二検出用歯車(第二の回転検出用歯車)、44…歯車支持部材、45…アングルセンサハウジング、46…角度検出用基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14