(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピーク値到達時間検出回路は、前記スイッチング素子のオン時間に応じた第1の電圧信号と第2の電圧信号とを交互にピークホールドし、ピークホールド後の前記第1、第2の電圧信号をコンデンサの第1の充電電流に変換し、前記コンデンサの充電時間により前記遅延時間を定めることを特徴とする請求項1記載の電源装置の制御回路。
前記差分電圧検出回路は、前記スイッチング素子の前周期のオン時間に対する前記A時間の位置でのホールドタイミング信号で、前記電流値信号をサンプルホールドし、サンプルホールドされた電圧と前記基準電圧との差動反転増幅を行った後の電圧をコンデンサの第2の充電電流に変換し、前記コンデンサの充電時間により前記遅延時間を定めることを特徴とする請求項1記載の電源装置の制御回路。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
図1は電源装置の制御回路の構成例を示す図である。電源装置の制御回路5−1は、スイッチング素子のON/OFFにもとづき、整流された交流入力の電圧を直流の出力電圧に変換して負荷に供給する電源装置に備えられている。
【0022】
制御回路5−1は、ピーク値到達時間検出回路5a、差分電圧検出回路5bおよび遅延時間調整回路5cを有する。差分電圧検出回路5bは、1/2時間検出回路5b−1を含む。
【0023】
ピーク値到達時間検出回路5aは、スイッチング素子を流れる電流がピーク値に達するまでのピーク値到達時間を表す信号として、例えばスイッチング素子の前周期のON時間に比例する信号を生成する。差分電圧検出回路5bは、この信号を基にスイッチング素子の前周期のON時間に対する1/2時間を検出する1/2時間検出回路5b−1を含み、負荷に対する過電流を検出する際の基準電圧と、1/2時間におけるスイッチング素子に流れる電流を検出した信号との差分電圧を検出する。
【0024】
なお、本発明において、1/2時間検出回路は原理的に前周期のON時間のA倍(0<A<1)の時間を検出すればよいのであるが(この場合、1/2時間検出回路はA時間検出回路と呼んだ方が適切である)、以下では主にA=1/2とした実施の形態について説明する。
【0025】
遅延時間調整回路5cは、ピーク値到達時間および差分電圧の少なくとも一方にもとづいて、過電流を検出してから、スイッチング素子をOFFするまでに生じる遅延時間の調整制御を行う。
【0026】
ここで、
図1に示すグラフg0〜g2は、制御回路5−1のOCP機能が働いて過電流を検出してから、スイッチング素子がOFFするまでのスイッチング素子を流れるドレイン電流を示しており、縦軸は電流、横軸は時間である。また、OCP機能の過電流検出レベルL(基準電圧に対応)が一定レベルである場合のスイッチング素子のピーク電流値が示されている。
【0027】
グラフg1では、遅延時間T1に対し、ピーク電流値がP1となっている。グラフg2では、遅延時間T2に対し、ピーク電流値がP2となっている。
この場合、グラフg1に対しては、遅延時間T1を短縮化して、グラフg0に示すように遅延時間T0とし、ドレイン電流の伸びを抑えてピーク電流値P0とする。また、グラフg2に対しては、遅延時間T2を伸長化して、グラフg0に示すように遅延時間T0とし、ドレイン電流の伸びを大きくしてピーク電流値P0とする(P2<P0<P1)。
【0028】
このように、制御回路5−1では、遅延時間を調整制御することで、ピーク電流値の一定化を図る構成とした。これにより、AC入力電圧の変化だけでなく、トランスの1次巻き線のインダクタンス値の変化にも対応することができ、スイッチング素子に流れる電流の変動を抑制して、安定した過電流保護を行うことが可能になる。
【0029】
次に本技術が解決すべき課題について
図2〜
図6を用いて詳しく説明する。
図2はスイッチング電源装置の回路構成例を示す図である。フライバック方式のスイッチング電源装置100を示しており、PWM(Pulse Width Modulation)制御用の制御IC8を有している。なお、フライバックコンバータは、少なくとも図中のトランスT、ダイオード19、コンデンサ20およびMOSFET17を含む。
【0030】
AC入力1は、入力フィルタを構成するトランス2とコンデンサ3を介して、ダイオードブリッジ4に供給され、直流入力電圧に整流される。
コンデンサ5は、ダイオードブリッジ4と接地との間に設けられて、スイッチングノイズを吸収する機能を有している。また、ダイオード6は、半波整流したAC入力1を、電流制限抵抗7を介して制御IC8のVH端子に供給している。この電流制限抵抗7によって、VH端子への入力電流が制限されている。
【0031】
制御IC8には、そのLAT端子に制御IC8に加熱ラッチ保護をかけるためのサーミスタ9が接続されている。また、制御IC8のCS端子には、コンデンサ10および抵抗11からなるノイズフィルタを介してセンス抵抗12の電圧が入力されている。
【0032】
制御IC8のVCC端子は、コンデンサ13の一端と接続されるとともに、逆流防止ダイオード14を介してトランスTの補助巻き線15と接続されている。
このコンデンサ13は、PWM制御動作時に制御IC8へ供給される電源電圧を保持する。また、逆流防止ダイオード14は、VCC端子から補助巻き線15への電流の逆流を防ぐように作用する。
【0033】
トランスTの1次巻き線16は、一端がコンデンサ5に接続され、他端がMOSFET17のドレイン端子に接続される。また、MOSFET17のソース端子は、センス抵抗12を介して接地され、センス抵抗12によってMOSFET17を流れるドレイン電流Idsが検出される。
【0034】
すなわち、センス抵抗12ではMOSFET17のON電流が、それに比例した大きさの電圧信号に変換され、この電圧信号(電流検出信号)が上記ノイズフィルタを介して制御IC8のCS端子に供給される。
【0035】
トランスTの2次巻き線18は、一端がダイオード19と接続され、さらにコンデンサ20を介して接地されている。コンデンサ20の電圧は、負荷25に供給される出力電圧に関する情報として、フォトカプラ21によって2次側から1次側へ送られる。
【0036】
フォトカプラ21は、シャントレギュレータ22と直列に接続され、シャントレギュレータ22には、出力電圧を分圧する抵抗23、24の接続点が接続され、シャントレギュレータ22により出力電圧の分圧値と図示しない基準電圧とが比較される。
【0037】
その結果、2次側の出力電圧の基準電圧に対する誤差情報が電流信号に変換され、この電流信号がフォトカプラ21を駆動することにより、負荷情報が1次側へ送られる。
PWM制御用の制御IC8を用いて構成されたスイッチング電源装置100では、MOSFET17のスイッチング動作を制御することにより、AC入力電圧の整流電圧がトランスTを介して所定のDC電圧に変換される。
【0038】
IC回路により構成される制御IC8では、トランスTの2次側の負荷25に出力される負荷情報を、上記のようにシャントレギュレータ22、フォトカプラ21を介して制御IC8のFB端子にフィードバックして検出している。
【0039】
また、MOSFET17のドレイン電流をセンス抵抗12で電圧変換して、この電圧を制御IC8のCS端子で検出する。FB端子電圧とCS端子電圧とを比較して、OUT端子からMOSFET17のON幅を可変制御することで、スイッチング電源をPWM制御することができ、これにより2次側の負荷25への供給電力を調整することができる。
【0040】
ここで、制御IC8のOCP機能では、CS端子で検出した電圧値と、制御IC8の内部での基準電圧とを、制御IC8内のコンパレータで比較し、CS端子電圧が基準電圧値以上になるとMOSFET17のスイッチングを止める仕組みになっている。しかし、CS端子電圧が基準電圧値以上となってから、実際にMOSFET17がスイッチングを停止するまでに遅延時間が発生する。
【0041】
図3はOCP動作時のタイミングチャートを示す図である。MOSFET17のドレイン電流Ids(MOS Ids)、基準電圧、CS端子電圧、内部コンパレータ出力電圧、OUT端子電圧およびMOSFET17のゲート電圧の関係それぞれが示されている。
【0042】
図に示すように、CS端子電圧が基準電圧を超えた時間t1では、MOSFET17のゲート電圧はまだOFF(を指示する電圧)になっておらず、遅延時間Tdly後にMOSFET17のゲート電圧がOFFになってスイッチングが停止している。
【0043】
このような遅延時間が発生するのは、CS端子に接続している上記で示したノイズフィルタによる伝搬遅延、制御IC8の内部回路による伝搬遅延、MOSFET17の動作遅延などが主な遅延要素の原因となっている。
【0044】
また、このような遅延時間が生じると、MOSFET17に流れるピーク電流値が動作条件により変化してしまうという問題がある。これは、例えば、上述のように、AC入力電圧が変わると、トランスTの1次側巻き線16に流れる電流の傾きが変化するからであり、AC入力電圧が高いときには電流の傾きが大きくなり、AC入力電圧が低くなると電流の傾きが小さくなり、遅延時間中の電流の傾きに違いが生じる。
【0045】
図4はAC入力電圧が変化したときのピーク電流値の大きさの差異を示す図である。縦軸は電流、横軸は時間である。また、(A)はAC入力電圧が低い場合、(B)はAC入力電圧が高い場合を示しており、それぞれの遅延時間帯におけるピーク電流値の差異を示している。
【0046】
MOSFET17がONのときに流れるドレイン電流Idsは、その大きさが過電流検出レベル(このときのCS端子電圧は基準電圧に相当)に達した後にMOSFET17がターンオフするが、実際にドレイン電流IdsがOFFするまでには、(A)に示すように一定の遅延時間Tdlyがかかる。
【0047】
また、(B)に示すように、(A)よりもAC入力1からのAC入力電圧が高ければ、MOSFET17のターンオン時にトランスTの1次巻き線16を流れる電流の傾きが大きくなる。
【0048】
その傾斜角は1次巻き線16のインダクタ値にもよるが、AC入力電圧が低いときの傾きは緩やかとなり、AC入力電圧が高いときは傾きが急になる。
ここで、制御IC8の内部コンパレータにおける過電流検出のための基準電圧は、一定値に設定されている。そのため、遅延時間Tdlyの間にインダクタ電流(=Ids)が上昇しながら流れ、MOSFET17がOFFするときのピーク電流値については、AC入力1からの入力電圧が高いほど大きな値となる。
【0049】
また、一般に、負荷25に設定されるピーク電流値は、AC入力電圧が低いときの過電流検出レベルによって決められるので、AC入力電圧が高いときは、設計者が望むピーク電流値より大きな値となってしまう。
【0050】
したがって、PWM制御される従来のフライバック電源では、MOSFET17やトランスT等の定格電流を高くすることになり、電源装置のコスト増や大型化を招来する原因となっている。
【0051】
一方、このような現象を抑えるために、上述したような従来技術(特許文献1、2)では、過電流検出レベルを適応的に変化させてピーク電流値の一定化を図っている。
図5はスイッチング素子のオン時間の長さによって、過電流検出レベルを変化させた状態を示す図である。縦軸は電流、横軸は時間である。
【0052】
他の条件が同じであれば、AC入力電圧が高いほどスイッチング素子のオン時間はより短くなるので、短いオン時間で過電流検出レベルに達する場合は、AC入力電圧が高いと判断して過電流検出レベルをより低くなるようにしている。このようにスイッチング素子のオン時間の長さに応じて過電流検出レベルを連続的に変化させることにより、AC入力電圧の大きさに依存しないでMOSFET17の過電流保護のピーク電流値を一定にすることができる。しかし、このような従来技術の方法では、トランス1次巻き線のインダクタンス値が変わると、MOSFET17のピーク電流値を一定にできなくなるという問題があった。
【0053】
図6はインダクタンス値が変化したときの過電流検出レベルを示す図である。インダクタンス値が1/2になったときは、最適な過電流検出レベルの変化の傾きを2倍にする必要がある。
【0054】
このように、トランス1次巻き線のインダクタンス値が変わると、最適な過電流検出レベルも変化するため、MOSFET17のピーク電流値を一定にできなくなる。このため、使用するトランスによって、ピーク電流値の一定化が図れないといった問題があった。
【0055】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、使用するトランスに影響されずに、スイッチング素子に流れる電流の変動を抑制して、ピーク電流値を一定化し、安定した過電流保護を行う電源装置の制御回路を提供するものである。
【0056】
次に本技術について以降詳しく説明する。本技術の第1の実施の形態は、MOSFET17のドレイン電流がピーク値に達するまでのピーク値到達時間(以降、時間Tpと呼ぶ)を検出し、検出した時間Tpのパラメータにもとづいて、遅延時間Tdlyを調整するものである。
【0057】
また、本技術の第2の実施の形態は、負荷に対する過電流を検出する際の基準電圧と、MOSFET17のスイッチング前周期のON時間に対する1/2時間における基準電圧の値との差分電圧のパラメータにもとづいて、遅延時間Tdlyを調整するものである。
【0058】
図7は各パラメータの定義を説明するための図である。縦軸は電圧、横軸は時間である。CS端子電圧VCSは、制御ICのCS端子にて検出される電圧であり、MOSFET17がONしたときに流れるドレイン電流に比例する電圧信号である。
【0059】
基準電圧Vrは、制御IC内で生成される過電流検出のための電圧レベルである。
コンパレータ出力電圧Vcompは、制御ICの内部コンパレータの出力波形の電圧信号である。内部コンパレータは、CS端子電圧VCSが基準電圧V3よりも低い場合はLレベルを出力し、CS端子電圧VCSが基準電圧V3を超えるとHレベルを出力する。
【0060】
時間Tpは、CS端子電圧VCSが基準電圧V3のレベルに達するまでの時間である。上述のように、本実施の形態では、スイッチング素子のオン時間の長さをピーク値到達時間としているが、
図7に示すTpをMOSFET17のドレイン電流がピーク値に達するまでのピーク値到達時間として使うこともできる。なお、いずれも遅延時間が関連するので厳密な意味でのピーク値到達時間とはわずかに差があるが、本発明におけるピーク値到達時間の使いかた(1/2時間検出またはA時間検出)においてはその差の影響を無視することができる。以下、時間Tpは、
図7に示すTpもしくはスイッチング素子のオン時間の長さのいずれかの意味で使用する。
【0061】
電圧VCS/2は、MOSFET17のスイッチングの前周期において、MOSFET17がONした際のON時間の半分の時間(以降、時間Tp/2と呼ぶ)のCS端子電圧である。また、差分電圧ΔVCSは、基準電圧V3もしくは
図14に示す基準電圧Vc(基準電圧V3と基準電圧Vcは等しい)と、電圧VCS/2との差分値である。
【0062】
遅延時間Tdlyは、上述したように、CS端子電圧VCSが基準電圧V3を超えてから、MOSFET17のスイッチングがOFFになって、CS端子電圧VCSがLレベルに達するまでの遅延にかかる時間である。
【0063】
次に第1の実施の形態の動作について説明する。
図8は第1の実施の形態の動作を説明するための図である。電流不連続モードにおける時間Tpと遅延時間Tdlyとの関係を示しており、縦軸は電流、横軸は時間である。
【0064】
電流不連続モードもしくは臨界モードでは、MOSFET17のドレイン電流値が、図に示すような三角形状となる。このため、スイッチング素子がOCP機能によりオフされている場合は、時間Tp/2のときのドレイン電流値は、過電流検出レベルの半分となる(時間Tpの大きさにより違いがない)。よって、差分電圧ΔVCSも一定値となるため、遅延時間Tdlyの制御は、時間Tpの大きさに依存して変化する。
【0065】
一方、ドレイン電流値は、AC入力電圧が高いほどピークに至るまでの傾斜が急になり、AC入力電圧が低いほどピークに至るまでの傾斜が緩やかになる。また、トランスTのインダクタンス値が小さいほどピークに至るまでの傾斜が急になり、インダクタンス値が大きいほどピークに至るまでの傾斜が緩やかになる。
【0066】
これに対し、第1の実施の形態は、前周期の時間Tpが長いほど現在周期の遅延時間Tdlyを長くするようにするものである。
以下、例を挙げて説明する。
図8において、ドレイン電流A1〜A3の時間Tpをそれぞれ時間Tp1〜Tp3とする。また、ドレイン電流A1〜A3の遅延時間Tdlyをそれぞれ時間Tdly1〜Tdly3とする。
【0067】
Tp1<Tp2<Tp3なので、Tdly1<Tdly2<Tdly3となるような遅延時間Tdly1〜Tdly3を設定することにより、AC入力電圧の変化やインダクタンス値の変化にかかわらず、一定レベルの過電流検出レベルにおいて、ドレイン電流A1〜A3それぞれのピーク電流値を互いに等しく一定にすることが可能になる。
【0068】
次に第2の実施の形態について説明する。
図9は第2の実施の形態の動作を説明するための図である。電流連続モードにおける時間Tpと遅延時間Tdlyとの関係を示しており、縦軸は電流、横軸は時間である。
【0069】
第2の実施の形態における、差分電圧ΔVCSにもとづく遅延時間Tdlyの調整制御は、差分電圧ΔVCSが大きいほど遅延時間Tdlyをより小さくするものである。
以下、例を挙げて説明する。
図9において、まずドレイン電流B1とドレイン電流B2について考える。ドレイン電流B1、B2は共に時間Tpは等しいが、電流の傾きが互いに違うため、Tp/2でのドレイン電流が異なっている。このため、ドレイン電流B1の差分電圧ΔVCSと、ドレイン電流B2の差分電圧ΔVCSも異なってくる。すなわち、ドレイン電流B1の方がドレイン電流B2よりも傾きが急なため、現在周期のドレイン電流B1の差分電圧ΔVCSの方が大きくなる。
【0070】
この場合、差分電圧ΔVCSの小さいドレイン電流B2における遅延時間Tdly2よりも、差分電圧ΔVCSの大きいドレイン電流B1における遅延時間Tdly1の方を小さくして、ドレイン電流B1のピーク電流値を抑え、ドレイン電流B2のピーク電流値に対して等しくさせる。
【0071】
次に、ドレイン電流B2とドレイン電流B3について考える。
ドレイン電流B2、B3は、Tp/2のときのドレイン電流および差分電圧ΔVCSは等しいが、電流の傾きが互いに違うため、時間Tpが異なっている。この場合、時間Tpの小さなドレイン電流B2における遅延時間Tdly2よりも、時間Tp(Tp2)が大きいドレイン電流B3における遅延時間Tdly3の方を大きくして、ドレイン電流B3のピーク電流値を大きくし、ドレイン電流B2のピーク電流値に対して等しくさせる。
【0072】
上記のような制御を行うことで、AC入力電圧の変化やインダクタンス値の変化にかかわらず、一定レベルの過電流検出レベルに対し、ドレイン電流B1〜B3それぞれのピーク電流値を互いに等しく一定にすることが可能になる。
【0073】
次に上記の第1、第2の実施の形態の制御を行う制御ICの回路ブロック構成について説明する。
図10は制御ICの回路ブロック構成を示す図である。
制御IC5a−1において、起動回路(Startup)31は、起動時にVH端子からVCC端子へ電流を供給するものであって、フライバック電源にAC入力1が印加されると、制御IC5a−1ではVH端子から起動回路31を通してVCC端子へ電流が流れる。これにより、VCC端子に外部接続されたコンデンサ13が充電されて、その電圧値が上昇する。
【0074】
低電圧誤動作防止回路(UVLO)32は、VCC端子と基準電源V1とに接続されている。この低電圧誤動作防止回路32では、VCC端子の電圧値が基準電源V1以上になると、低電圧誤動作防止回路32の出力であるUVLO信号がL(Low)レベルとなり、内部電源(5VReg.)33が起動して、制御IC5a−1内の各回路に電源供給が行われ、反対にVCC端子電圧が低い間は、UVLO信号がH(High)レベルとなって制御IC5a−1の動作を停止する。
【0075】
発振器(OSC)34は、FB端子と接続され、MOSFET17のスイッチング動作で発生するEMI(電磁妨害)ノイズ低減のため、周波数変調機能が内蔵されている。
この発振器34は、制御IC5a−1によるMOSFET17のスイッチング周波数を決めるものであって、上記の周波数変調機能とは別に軽負荷時には発振周波数を低下させる機能も有し、発振信号(デューティマックス信号)Dmaxを出力する。
【0076】
この発振信号Dmaxは、Hレベルの時間が長く、周期毎に短時間Lレベルになる信号であって、その周期がスイッチング電源のスイッチング周期となり、その周期と周期中のHレベルの時間との比がスイッチング電源の最大時比率(デューティマックス)を与える。また、スロープ補償回路35は、CS端子と接続され、後述のサブハーモニック発振を防止する機能を備えている。
【0077】
FBコンパレータ36の入力端子は、FB端子と基準電源V2とに接続されている。FB端子電圧が基準電源V2より低下したときに負荷電力が小さいと判断して、FBコンパレータ36から後段のワンショット回路37にクリア信号CLRを出力し、スイッチング動作を停止させる。また、FB端子電圧が基準電源V2より高くなったときにスイッチング動作を開始させ、これによりバースト動作を実現させている。
【0078】
ワンショット回路37は、発振器34の発振信号Dmaxの立ち上がりでトリガされて後段のRSフリップフロップ38に対するセットパルスを生成する。また、このセットパルスは、MOSFETのターンオン時にCS端子に発生するノイズにより、MOSFETが誤ってターンオフしてしまうことを防ぐブランキング信号ともなっている。ワンショット回路37は、Hレベルのクリア信号CLRが入力されている間は、RSフリップフロップ38に対するセットパルスを出力しない。
【0079】
RSフリップフロップ38は、オアゲート39およびアンドゲート40とともにPWM信号を生成している。すなわち、オアゲート39では、入力されているワンショット回路37とRSフリップフロップ38の出力信号より、2つの出力信号の和(OR)信号を生成する。
【0080】
基本的にはこのオアゲート39の出力信号がPWM信号となるが、さらに、発振器34の発振信号Dmaxに基づきアンドゲート40でPWM信号の最大デューティを決めている。
【0081】
低電圧誤動作防止回路32から出力されたUVLO信号は、オアゲート41を介してドライブ回路(OUTPUT)42に供給され、ドライブ回路42からOUT端子を介して出力されるスイッチ信号Soutにより、MOSFET17のゲートをスイッチ制御している。
【0082】
すなわち、VCC端子電圧が低くてUVLO信号がHレベルとなっているときは、ドライブ回路42の出力をOFFさせる(MOSFET17をOFFさせる信号を出力する)。
【0083】
反対に、VCC端子電圧が高くてUVLO信号がLレベル、かつラッチ回路49の出力信号がLレベルとなっているときは、アンドゲート40の出力信号に従い、ドライブ回路42がMOSFET17のゲートをスイッチ制御する。
【0084】
レベルシフト回路43は、FB端子の電圧をCSコンパレータ44に入力可能な電圧範囲にレベルシフトする機能を有し、その出力信号がCSコンパレータ44の反転入力端子(−)に供給される。
【0085】
CSコンパレータ44には、その非反転入力端子(+)にスロープ補償回路35の出力信号が供給されている。なお、FB端子には、電源電圧Vccが抵抗R0を介して接続され、この抵抗R0がフォトカプラ21を構成するフォトトランジスタの負荷抵抗となっている。これにより、抵抗R0によるInternal Power Supplyからの電圧ドロップにより、スイッチング電源装置に接続されている負荷25に印加されている電圧の大きさが検知される。
【0086】
CSコンパレータ44では、スロープ補償されたCS端子電圧とレベルシフトされたFB端子電圧とが比較され、MOSFET17のOFFのタイミングを決めている。
また、制御IC5a−1のCS端子には、MOSFET17の過電流検出レベルを決めるOCPコンパレータ45が接続されている。OCPコンパレータ45では、その非反転入力端子(+)がCS端子に、反転入力端子(−)が基準電源V3にそれぞれ接続され、MOSFET17の過電流検出レベルを決めている。
【0087】
そして、CSコンパレータ44からのOFF信号と、遅延時間制御回路50によって遅延時間が調整された後のOCPコンパレータ45からのOFF信号とは、いずれもオアゲート46を介してRSフリップフロップ38のリセット端子に供給されている。
【0088】
なお、サーミスタ9には、LAT端子を介して電流源47から電流が供給される。LATコンパレータ48は、LAT端子と基準電源V4とに接続され、LAT端子の電圧(すなわち、サーミスタ9の電圧)が基準電源V4の電圧以下に低下したことを検出すると、過熱状態であると判断してラッチ回路49に対するセット信号を出力する。
【0089】
ラッチ回路49は、LATコンパレータ48のセット信号を受けて、Hレベルのラッチ信号Latchをオアゲート41およびオアゲート61に出力する。これにより、ドライブ回路42がOFF、起動回路31がONにされる。また、ラッチ回路49のリセット端子には、低電圧誤動作防止回路32のUVLO信号が供給されていて、VCC端子の電位が低下するとラッチ状態が解除される。
【0090】
内部電源33が起動して内部回路に電源が供給されると、抵抗R0およびFB端子を介してフォトカプラ21を構成するフォトトランジスタに電圧が印加されて、FB端子電圧が上昇する。
【0091】
FB端子の電圧信号が一定電圧値以上になると、発振器34から発振信号Dmaxが出力され、発振信号Dmaxの立ち上がりにトリガされてワンショット回路37からRSフリップフロップ38に対するセットパルスが出力される。
【0092】
このセットパルスは、RSフリップフロップ38の出力信号とともにオアゲート39に入力される。そして、これがPWM信号としてアンドゲート40およびドライブ回路42を通じて、OUT端子からMOSFET17のゲート端子に出力され、スイッチ信号SoutとなってMOSFET17を駆動する。
【0093】
これより、発振信号Dmaxの立ち上がりでMOSFET17がターンオンすることになる。なお、RSフリップフロップ38の出力信号と、ワンショット回路37からのセットパルスとの和(オア)をとるのは、MOSFETのターンオン時にCS端子に発生するノイズによりRSフリップフロップ38がリセットされてMOSFET17がターンオン直後にターンオフすることを防ぐためである。
【0094】
MOSFET17がターンオンすると、センス抵抗12にドレイン電流Idsが流れるから、制御IC5a−1のCS端子の電圧が上昇する。そして、制御IC5a−1のスロープ補償されたCS端子の電圧が、FB端子電圧をレベルシフト回路43によってレベルシフトした電圧に達すると、CSコンパレータ44からオアゲート46を介してRSフリップフロップ38にリセット信号が出力される。
【0095】
RSフリップフロップ38がリセットされることで、オアゲート39の出力がLレベルとなり(通常動作では、この時点でワンショット回路37からのセットパルスはLレベルになっている。)、これによりアンドゲート40の出力もLレベルとなるため、スイッチ信号SoutによりMOSFET17はターンOFFする。
【0096】
また、スイッチング電源装置に接続される負荷25が極端に重くなり、制御IC5a−1のFB端子にフィードバックされる電圧値が(高電圧側の)制御範囲外になっても、OCPコンパレータ45でCS端子の電圧値を一定の基準電圧値V3と比較することにより、CS端子の電圧値が基準電圧値V3以上になった場合には、MOSFET17をターンオフすることができる。
【0097】
CSコンパレータ44でFB端子電圧をレベルシフトした電圧を、CS端子の電圧と比較する前に、CS端子の電圧に対しスロープ補償回路35によって、MOSFET17のON幅に比例したスロープ補償電圧を加算するスロープ補償がなされている。
【0098】
一般に、定常状態でMOSFET17が動作していれば、それぞれのスイッチング周期の最初にMOSFET17に流れる電流の大きさが一定となる。ところが、MOSFET17のデューティ(ON時比率=ON幅/スイッチング周期)が大きくなりすぎると、電流の大きさが一定ではなくなって、スイッチング周期毎にMOSFET17に流れる電流の状態が変動する。この現象が生じると、MOSFET17に流れる電流は、スイッチング周波数の信号に低周波の信号が重畳した状態となる。
【0099】
こうした低周波数での発振は、サブハーモニック発振として知られているものであるが、このサブハーモニック発振にはそれが生じる条件がある。サブハーモニック発振は、CS端子の電圧に単調増加する信号を重畳するスロープ補償によりこの条件が成立しないようにして防止できる。
【0100】
なお、
図1の制御回路5−1の機能を含む遅延時間制御回路50は、OCPコンパレータ45の出力段に追加される。遅延時間制御回路50には、OCPコンパレータ45の出力信号、CS端子電圧およびOUT端子電圧が入力し、遅延時間制御回路50の出力は、オアゲート46の一方の入力端子に入力する。
【0101】
図11は遅延時間制御回路のブロック構成を示す図である。遅延時間制御回路50は、Tp検出回路51、ΔVCS検出回路52および遅延時間調整回路53を備える。
Tp検出回路51は、スイッチング素子を流れる電流がピーク値に達するまでのピーク値到達時間Tpの長さを表す信号を生成する。ΔVCS検出回路52は、Tp/2検出回路52−1を含む。Tp/2検出回路52−1は、MOSFET17の前周期のON時間に対する1/2時間を検出する。ΔVCS検出回路52は、基準電圧と1/2時間を検出したときのCS端子の電圧(VCS/2)との差分電圧ΔVCSを検出する。遅延時間調整回路53は、時間Tdlyを調整する。
【0102】
次に各回路の構成および動作について説明する。
図12はTp検出回路の構成例を示す図である。Tp検出回路51は、タイミング調整部51a、オペアンプ51b、スイッチSW、定電流源I1、PチャネルMOSFETのトランジスタTr1、Tr3、Tr5、Tr6、NチャネルMOSFETのトランジスタTr2、Tr4、Tr7、コンデンサC1、C2および抵抗R1を備える。
【0103】
各素子の接続関係は、タイミング調整部51aの入力端子は、制御IC5a−1のOUT端子(OUT)と接続する。タイミング調整部51aは、出力端子o1〜o5を有する。出力端子o1は、トランジスタTr1のゲートに接続し、出力端子o2は、トランジスタTr3のゲートに接続し、出力端子o3は、トランジスタTr4のゲートに接続する。出力端子o4は、トランジスタTr2のゲートに接続し、出力端子o5は、スイッチSWのスイッチ制御端子(図示せず)と接続する。
【0104】
定電流源I1の入力端は、電源と、トランジスタTr5、Tr6のソースと接続する。定電流源I1の出力端は、トランジスタTr1、Tr3のソースと接続する。トランジスタTr1のドレインは、トランジスタTr2のドレインと、コンデンサC1の一端と、スイッチSWの端子s1と接続する。トランジスタTr2のソースおよびコンデンサC1の他端は、GNDに接続する。
【0105】
トランジスタTr3のドレインは、トランジスタTr4のドレインと、コンデンサC2の一端と、スイッチSWの端子s2と接続する。トランジスタTr4のソースおよびコンデンサC2の他端は、GNDに接続する。
【0106】
オペアンプ51bの入力端子(+)は、スイッチSWの端子s0と接続し、オペアンプ51bの入力端子(−)は、トランジスタTr7のソースと、抵抗R1の一端と接続し、オペアンプ51bの出力端子は、トランジスタTr7のゲートと接続する。抵抗R1の他端は、GNDと接続する。
【0107】
トランジスタTr7のドレインは、トランジスタTr5のドレインおよびゲートと、トランジスタTr6のゲートと接続する。トランジスタTr6のドレインは、Tp検出回路51の出力端子out1と接続する。
【0108】
図13はTp検出回路のタイミングチャートを示す図である。タイミング調整部51aの出力端子o1からの信号aは、コンデンサC1を充電させる充電信号であり、出力端子o2からの信号bは、コンデンサC2を充電させる充電信号である。
【0109】
また、タイミング調整部51aの出力端子o4からの信号cは、コンデンサC1を放電させる放電信号であり、出力端子o3からの信号dは、コンデンサC2を放電させる放電信号である。さらに、タイミング調整部51aの出力端子o5からの信号eは、スイッチ制御信号である。
【0110】
信号a、bの1周期は、それぞれOUT信号(制御IC5a−1のOUT端子の出力信号)の2周期に該当し、信号aと信号bとは互いに、OUT信号の1周期分ずれて出力されている。また、信号a、bのLレベル幅は、OUT信号のHレベル幅(MOSFET17のON幅)と等しい。
【0111】
信号cは、信号aの立ち下がり時に出力されるパルス状の信号であり、信号dは、信号bの立ち下がり時に出力されるパルス状の信号である。
なお、信号eは、スイッチSWのスイッチング制御信号であり、信号eがHレベルのとき、端子s1における電圧信号paがスイッチ選択され、信号eがLレベルのとき、端子s2における電圧信号pbがスイッチ選択される。
【0112】
電圧信号paに対し、信号cのパルスでトランジスタTr2がONとなって、充電していたコンデンサC1が放電する。その後、信号aのLレベルでトランジスタTr1がONとなって、コンデンサC1が徐々に充電されて、信号aがHレベルになると信号cの次のパルスがくるまで信号aが立ち上がったときの電圧レベルvを保持する。なお、信号eは、電圧信号paが変化する区間(OUT信号のH区間)にLレベルとなって、スイッチSWは、このときの電圧信号pbを選択出力する。
【0113】
電圧信号pbに対し、信号dのパルスでトランジスタTr4がONとなって、充電していたコンデンサC2が放電する。その後、信号bのLレベルでトランジスタTr3がONとなって、コンデンサC2が徐々に充電されて、信号bがHレベルになると信号dの次のパルスがくるまで信号bが立ち上がったときの電圧vを保持する。なお、信号eは、電圧信号pbが変化する区間(OUT信号のH区間)にHレベルとなって、スイッチSWは、このときの電圧信号paを選択出力する。
【0114】
このように、Tp検出回路51では、OUT信号のON時間に応じた電圧信号Paと電圧信号Pbとを1周期おきにピークホールドする。電圧信号pa,pbのうち、ホールドされている方の電圧がスイッチSWによって選択されてオペアンプ51bに入力され、その後、オペアンプ51bによって電圧/電流変換される。
図12中の電流ITpは、OUT信号のON時間に応じた電圧信号paもしくは電圧信号pbの大きさ、すなわちON時間に比例した大きさの電流であり(抵抗R1に流れる電流はオペアンプ51bの入力端子(−)の入力電圧を抵抗R1で除した値であり、この電流がカレントミラー回路を構成するトランジスタTr5,Tr6によってコピーされて電流ITpとなる。)、ON時間が長いと電流ITpは大きくなる。
【0115】
図14はΔVCS検出回路の構成例を示す図である。ΔVCS検出回路52は、サンプルホールド部52a、オペアンプ52b、52c、PチャネルMOSFETのトランジスタTr8、Tr9、NチャネルMOSFETのトランジスタTr10〜Tr12、抵抗R2〜R4および基準電源Vcを備える。
【0116】
各素子の接続関係は、サンプルホールド部52aの一方の入力端子は、制御Ic5a−1のCS端子と接続し、他方の入力端子は、OUT端子と接続する。サンプルホールド部52aの出力端子は、抵抗R2の一端と接続する。
【0117】
オペアンプ52bの入力端子(−)は、抵抗R2の他端と、抵抗R3の一端と接続し、オペアンプ52bの入力端子(+)は、基準電源Vcの一端と接続し、基準電源Vcの他端はGNDに接続する。
【0118】
オペアンプ52cの入力端子(+)は、抵抗R3の他端と、オペアンプ52bの出力端子と接続し、オペアンプ52cの入力端子(−)は、トランジスタTr10のソースと抵抗R4の一端と接続する。抵抗R4の他端は、GNDと接続する。オペアンプ52cの出力端子は、トランジスタTr10のゲートと接続する。
【0119】
トランジスタTr10のドレインは、トランジスタTr8、Tr9のゲートと、トランジスタTr8のドレインと接続し、トランジスタTr8のソースとトランジスタTr9のソースとが接続する。トランジスタTr8のソースとトランジスタTr9のソースはInternal Power Supplyに接続されている。
【0120】
トランジスタTr9のドレインは、ΔVCS検出回路52の出力端子out2と接続する。
図15はΔVCS検出回路のタイミングチャートを示す図である。ホールドタイミング信号は、サンプルホールド部52aの内部で生成される信号であり、OUT信号のON時間の1/2の時間(時間TPp/2)でCS端子電圧をサンプルホールドする。
【0121】
オペアンプ52bは、サンプルホールド電圧shと基準電源Vcからの基準電圧の差動反転増幅を行って差分電圧ΔVCSを生成する。オペアンプ52cは、オペアンプ52bからの出力電圧(差分電圧ΔVCS)を電流に変換する。なお、
図14中の電流Idvcsは、差分電圧ΔVCSに比例した大きさの電流であり、差分電圧ΔVCSが大きいと電流Idvcsは大きくなる。
【0122】
図16はTp/2検出回路の構成例を示す図である。Tp/2検出回路52−1は、ΔVCS検出回路52のサンプルホールド部52a内に含まれて、
図15に示したホールドタイミング信号を生成する。
【0123】
Tp/2検出回路52−1は、インバータIC1、IC2、定電流源I3、I4、コンパレータIC3、ワンショット素子IC4、PチャネルMOSFETのトランジスタTr21、Tr23、NチャネルMOSFETのトランジスタTr22、Tr24〜Tr26、コンデンサC21〜C24およびスイッチSW1〜SW6を備える。
【0124】
なお、信号A〜DおよびC×OUT、D×OUTは、Tp/2検出回路52−1内に含まれる図示しないタイミング調整部から出力されるタイミング信号であり、該タイミング調整部は、分周器、論理回路素子やワンショット素子で容易に構成可能である。
【0125】
各素子の接続関係は、インバータIC1の入力端子には、信号C×OUT(信号Cと信号OUTの論理積信号)が入力し、出力端子は、トランジスタTr21のゲートに接続する。定電流源I3の入力端は、電源と、定電流源I4の入力端と接続し、定電流源I3の出力端は、トランジスタTr21のソースと接続する。
【0126】
トランジスタTr22のゲートには信号Aが入力し、トランジスタTr22のソースはGNDと接続する。トランジスタTr21のドレインは、トランジスタTr22のドレインと、スイッチSW3の端子s31と、スイッチSW1の端子s11と、コンデンサC21の一端と接続し、コンデンサC21の他端はGNDと接続する。
【0127】
スイッチSW1の端子s12は、コンデンサC22の一端と、トランジスタTr25のドレインと、スイッチSW6の端子s61と接続する。コンデンサC22の他端は、GNDと接続し、トランジスタTr25のゲートには、信号Aが入力し、トランジスタTr25のソースはGNDと接続する。
【0128】
インバータIC2の入力端子には、信号D×OUT(信号Dと信号OUTの論理積信号)が入力し、インバータIC2の出力端子は、トランジスタTr23のゲートに接続し、トランジスタTr23のソースは、定電流源I4の出力端と接続する。
【0129】
トランジスタTr24のゲートには、信号Bが入力し、トランジスタTr24のドレインは、トランジスタTr23のドレインと、スイッチSW4の端子s41と、スイッチSW2の端子s21と、コンデンサC23の一端と接続する。トランジスタTr24のソースとコンデンサC23の他端はGNDに接続する。
【0130】
スイッチSW3の端子s32は、スイッチSW4の端子s42と、コンパレータIC3の入力端子(+)と接続する。スイッチSW2の端子s22は、コンデンサC24の一端と、スイッチSW5の端子s51と、トランジスタTr26のドレインと接続する。
【0131】
トランジスタTr26のゲートには、信号Bが入力し、コンデンサC24の他端と、トランジスタTr26のソースはGNDに接続する。スイッチSW5の端子s52は、コンパレータIC3の入力端子(−)と、スイッチSW6の端子s62と、コンデンサC25の一端と接続し、コンデンサC25の他端はGNDと接続する。
【0132】
コンパレータIC3の出力端子は、ワンショット素子IC4の入力端子と接続し、ワンショット素子IC4の出力端子は、Tp/2検出回路52−1の出力端子と接続する。
なお、スイッチSW1は、信号Bにもとづきスイッチング(オン・オフ)し、スイッチSW2は、信号Aにもとづきスイッチングし、スイッチSW3は、信号Cにもとづきスイッチングする。また、スイッチSW4は、信号Dにもとづきスイッチングし、スイッチSW5は、信号Cにもとづきスイッチングし、スイッチSW6は、信号Dにもとづきスイッチングする。
【0133】
図17はTp/2検出回路のタイミングチャートを示す図である。OUT信号のON時間にC21,C23に定電流源I3、I4からの定電流I3、I4を積分した電圧である電圧V+1、電圧V+2を1周期おきにピークホールドして、2×Vrの信号を得る(これは時間Tpに相当する信号である)。そして、次の周期でC21,C23の電荷をそれぞれC21,C23と容量が等しいC22,C24と分配することにより電圧Vr1,Vr2として信号Vrを得る。スイッチSW5,SW6によりVr1とVr2を交互に選択することにより信号Vr3を得る。信号Vr3は基準電圧Vr(これは時間Tp/2に相当する)を与える。コンパレータIC3により、信号Vr3(基準電圧Vr)と電圧V+1もしくは電圧V+2との比較とを交互に行い、信号Vr3(基準電圧Vr)と電圧V+1もしくは電圧V+2の信号が等しくなる(すなわち時間Tp/2が経過したと見なされると)とLレベルからHレベルに立ち上がる信号(comp out)を生成する。その後、ワンショット素子IC4は、コンパレータIC3の出力信号(comp out)の立ち上がりをトリガにして、時間Tp/2を検出したことを示すパルス信号(ホールドタイミング信号)を出力する。
【0134】
なお、C21,C23の電荷をC22,C24と分配することにより信号2×VrからVrが得られるのは、C21〜C24の容量値をC21〜C24とすると、C21=C22、C23=C24だからである。そしてI3/C21=I4/C23としておくことにより、定電流I3またはI4を時間Tpで積分して得られた電圧の半分の値と、定電流I4またはI3を積分した値が等しくなる時点を検出することにより、時間Tp/2を検出するのである。
【0135】
ここでC22=B×C21、C24=B×C23(Bは定数)とすることにより、時間A×Tp(Aは定数、0<A<1)を検出することができる。すなわち、C21,C23の電荷をC22,C24と分配する前の電圧をv0、分配後の電圧をv1とするとv1=v0×C21/(C21+C22)=v0×C23/(C23+C24)=v0/(1+B)であるから、I3またはI4を時間Tpで積分して得られた電圧のA=1/(1+B)倍の電圧を得ることができる。この値と定電流I4またはI3を積分した値が等しくなる時点を検出することにより、時間A×Tpを検出することができる。なお、0<B<∞とすれば、0<A<1が得られる。
【0136】
図18は遅延時間調整回路の構成例を示す図である。遅延時間調整回路53は、定電流源Ia、インバータIC10、バッファIC11、電流加減算回路IC12、PチャネルMOSFETのトランジスタTra、NチャネルMOSFETのトランジスタTrbおよびコンデンサCaを備える。
【0137】
各素子の接続関係は、定電流源Iaの一端は電源と接続し、定電流源Iaの他端は、Tp検出回路51の端子OUT1(Tp検出値)と、ΔVCS検出回路52の端子OUT2(ΔVCS検出値)と、トランジスタTraのソースと接続する。
【0138】
インバータIC10の入力端子には、OCPコンパレータ45(
図10)の出力端子が接続し、インバータIC10の出力端子は、トランジスタTra、Trbのゲートに接続する。
【0139】
トランジスタTraのドレインは、トランジスタTrbのドレインと、コンデンサCaの一端と、バッファIC11の入力端子と接続する。トランジスタTrbのソースはGNDと接続し、コンデンサCaの他端はGNDと接続し、バッファIC11の出力端子は、遅延時間調整回路の出力端子OUT3と接続する。また、出力端子OUT3は遅延時間制御回路50の出力端子にもなっている。
【0140】
遅延時間調整回路53では、電流加減算回路IC12により、Tp検出回路51から出力される電流ITp、ΔVCS検出回路52から出力される電流Idvcsおよび定電流源Iaからの定電流Iaの3つの充電電流を合成して、コンデンサCaを充電する充電電流Ichg=Ia−Idvcs−ITpを決める。そして、コンデンサCaを充電するこの充電電流Ichgを調整することでOCPコンパレータ45の出力遅延を調整する。すなわち、時間Tp(スイッチング素子のオン時間)が長い(短い)→電流ITpが大きい(小さい)→充電電流Ichgが小さい(大きい)→コンデンサCaの充電時間が長い(短い)→遅延時間が長い(短い)、という調整をすることができる。また、差分電圧ΔVCSが大きい(小さい)→電流Idvcsが小さい(大きい)→充電電流Ichgが大きい(小さい)→コンデンサCaの充電時間が短い(長い)→遅延時間が短い(長い)、という調整もすることができる。なお、IC12は、例えばカレントミラー回路を組み合わせるなどして構成することができる。
【0141】
以上説明したように、本技術によれば、AC入力電圧の変化だけでなく、任意のトランスを使用しても、スイッチング素子のピーク電流値を一定化するため、安定したOCP機能を実現することが可能になる。
【0142】
このため、使用するトランスによって従来生じていた調整作業もなくなるため、調整用部品が削減され、調整のためのコストも無くすことができる。また、AC入力電圧による電流制限値の精度が増すので部品定格を低く設計することも可能になる。
【0143】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。