特許第6209920号(P6209920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6209920薄膜トランジスタアレイおよび画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209920
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタアレイおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20171002BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 21/764 20060101ALI20171002BHJP
   G02F 1/167 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   H01L29/78 621
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 618A
   H01L29/78 626C
   H01L21/28 301B
   H01L29/50 M
   H01L21/88 Z
   H01L21/76 A
   G02F1/167
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-199750(P2013-199750)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-65390(P2015-65390A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮入 ゆかり
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−340771(JP,A)
【文献】 特開2012−084859(JP,A)
【文献】 特開2008−235861(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/107027(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に、少なくともゲート電極と、キャパシタ電極と、ゲート絶縁膜と、ソース配線と、前記ソース配線に接続されたソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース配線に平行なストライプ形状の半導体層とを備えた薄膜トランジスタアレイであって、
平面視において前記ゲート絶縁膜は、前記半導体層の形成領域のうち前記ゲート電極と、前記キャパシタ電極と、前記ソース配線及びソース電極と、前記ドレイン電極とのいずれも形成されていない領域の一部に凹部を有しており、前記凹部の前記半導体層のストライプ幅方向の長さは前記半導体層のストライプ幅よりも大きく、前記凹部によって前記半導体層が断線していることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ。
【請求項2】
前記凹部は、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記半導体層とによって形成される素子どうしの間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
【請求項3】
前記凹部の深さが前記半導体層の膜厚の大きさ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
【請求項4】
前記半導体層が有機半導体であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
【請求項5】
前記半導体層がフレキソ印刷法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
【請求項6】
前記絶縁基板がプラスチック基板であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
【請求項7】
請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイと画像表示媒体とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記画像表示媒体が電気泳動方式によるものであることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタアレイおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術の目覚しい発展により、現在ではノート型パソコンや携帯情報端末などでの情報の送受信が頻繁に行われている。近い将来、場所を選ばずに情報をやり取りできるユビキタス社会が来るであろうことは周知の事実である。そのような社会においては、より軽量で薄型の情報端末が望まれる。
【0003】
そのような情報端末に使用する電子部材の中でも、現在薄膜トランジスタ素子に使用されている半導体材料の主流はシリコン系である。シリコン系材料を用いた薄膜トランジスタ素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、薄膜トランジスタ素子の基板材料には工程温度に耐え得ることが求められる。このため、一般的には薄膜トランジスタ素子を形成する基板としてガラスが使用されている。
【0004】
しかしながら、先に述べた情報端末を構成する際にガラスを用いた場合、その情報端末は重く、柔軟性がなく、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。従ってガラス上に薄膜トランジスタ素子を形成することに起因するこれらの特徴は、ユビキタス社会における情報端末として望ましくないものであるといえる。
【0005】
そこで近年、薄膜トランジスタの半導体材料として有機半導体が注目されている。有機半導体材料はシリコン系材料のような高温での熱処理工程を必要としないため可撓性のプラスチック基板上に設けられる等の利点を有する。さらに、真空プロセスを用いず印刷プロセスで作製できるためコストを下げられる等の利点も有する。
【0006】
溶液から半導体層を形成するには、スピンコート法やディップ法、インクジェット法などの方法が挙げられる。なかでも、印刷プロセスを適用することにより、効率よく半導体層を形成することができる。例えば特許文献1においては、フレキソ印刷により有機半導体溶液のパターニングを行っている。
【0007】
さらに、特許文献2では、半導体層をストライプ形状とすることで、ストライプ延伸方向のアライメントマージンが大きくなり、アライメントずれによる歩留まり低下を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−63334号公報
【特許文献2】特開2008−235861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ストライプ形状の半導体層を用いる場合、半導体層を介して隣接する素子同士が導通してしまうため、素子分離を行った素子に比べてOFF電流値が高いなど、TFTの特性低下が懸念される。
【0010】
そこで、本発明では、ストライプ形状のフレキソ版を用いて有機半導体層を印刷し、アライメントずれによる歩留まり低下を軽減しながら、素子間の半導体層の導通を防ぎ簡便に素子分離を行うことを目的とする。具体的には、ストライプ延伸方向に隣接する素子間のゲート絶縁膜に凹部を設け、凹部では版から基板へ半導体層が転写されないことを利用して素子分離を行う。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための第1の発明は、絶縁基板上に、少なくともゲート電極と、キャパシタ電極と、ゲート絶縁膜と、ソース配線と、前記ソース配線に接続されたソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース配線に平行なストライプ形状の半導体層とを備えた薄膜トランジスタアレイであって、平面視において前記ゲート絶縁膜は、前記半導体層の形成領域のうち前記ゲート電極と、前記キャパシタ電極と、前記ソース配線及びソース電極と、前記ドレイン電極とのいずれも形成されていない領域の一部に凹部を有しており、前記凹部の前記半導体層のストライプ幅方向の長さは前記半導体層のストライプ幅よりも大きく、前記凹部によって前記半導体層が断線していることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記凹部は、前記ソース電極と前記ドレイン電極と前記半導体層とによって形成される素子どうしの間に設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0013】
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記凹部の深さが前記半導体層の膜厚の大きさ以上であることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0014】
また、第4の発明は、前記第1の発明において、前記半導体層が有機半導体であることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0015】
また、第5の発明は、前記第1の発明において、前記半導体層がフレキソ印刷法により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0016】
また、第6の発明は、前記第1の発明において、前記絶縁基板がプラスチック基板であることを特徴とする薄膜トランジスタアレイである。
【0017】
また、第7の発明は、前記薄膜トランジスタアレイと画像表示媒体とを備えることを特徴とする画像表示装置である。
【0018】
また、第8の発明は、前記第7の発明において、前記画像表示媒体が電気泳動方式によるものであることを特徴とする画像表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薄膜トランジスタアレイおよび画像表示装置によれば、低コストかつ高品質なフレキシブル薄膜トランジスタアレイおよびそれを用いた画像表示装置を歩留まりよく提供することが可能となる。まず、半導体層の形成に印刷法を用いることで大面積にも短いタクトタイムで薄膜トランジスタアレイを形成できる。印刷法の中でもストライプ形状のフレキソ版を用いたフレキソ印刷を行うことで、ストライプ延伸方向のアライメントマージンが大きくなり、アライメントズレによる歩留まり低下を軽減することができる。さらに、半導体層印刷前にゲート絶縁膜の素子間に位置する箇所に凹部を設けておくことで、ストライプ形状のフレキソ版を用いても、凹部では半導体インクが基板へ転写されないため、簡便に素子間の半導体層を分離することができる。このように素子分離を行うことで、素子分離を行わない素子に比べ、OFF電流値の上昇などといったTFT特性の問題が発生し難くなる。
【0020】
また、前記ゲート絶縁膜の凹部の深さを半導体層の膜厚の大きさ以上とすることで、フレキソ版から基板へ半導体インクが転写されることを防ぎ、確実に素子分離を行うことができる。もし仮に半導体インクが凹部にも転写されたとしても、凹部の深さを半導体層の膜厚よりも深くしておけば確実に半導体層を断線させることができる。
【0021】
前記半導体層が有機半導体であることでウェットプロセスを適用でき、大面積を有する薄膜トランジスタアレイでも短いタクトタイムで形成することができる。
【0022】
前記半導体層がフレキソ印刷法により形成されることで、大面積を有する薄膜トランジスタアレイでも短いタクトタイムで形成することができる。
【0023】
前記絶縁基板がプラスチック基板であることで、軽量でフレキシブルな薄膜トランジスタアレイを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態を示すものであり、薄膜トランジスタアレイの概略構成を示すパターンレイアウト平面図である。
図2】本発明の実施形態を示すものであり、図1のA−A’間をスライスした、本トランジスタアレイの断面構造である。
図3A】実施例の実施形態を示すものであり、本トランジスタアレイの概略構成を示すパターンレイアウト平面図である。
図3B】実施例の実施形態を示すものであり、図3AのA−A’間をスライスした、本トランジスタアレイの断面構造である。
図4】本発明の実施形態を示すものであり、比較例1における薄膜トランジスタアレイ全体の概略構成を示すパターンレイアウト平面図である。
図5】本発明の実施形態を示すものであり、比較例2における薄膜トランジスタアレイ全体の概略構成を示すパターンレイアウト平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。実施の形態において、同一構成要素には同一符号を付け、実施の形態間において重複する説明は省略する。
【0026】
図1図2に本発明の薄膜トランジスタアレイ1の構成の一例を示す。図1は薄膜トランジスタアレイ1の平面図であり、図2図1のA−A’線断面図である。
【0027】
薄膜トランジスタアレイ1は、プラスチック基板10上にゲート電極11、キャパシタ電極17、ゲート絶縁膜12、ソース配線13A、ソース電極13B、ドレイン電極14、半導体層15を備えた薄膜トランジスタアレイであり、半導体層15は有機半導体材料からなり、ストライプ形状を有していることを特徴とする。さらに、半導体層15のストライプ延伸方向(ソース配線13Aの延伸方向)に隣接する素子間の素子分離を行うことを目的として、ゲート絶縁膜12の素子間に位置する箇所に、半導体層15を分断する凹部12Aを有することを特徴とする。すなわち、半導体層15は凹部12Aによって断線している。さらに、図1に示すように薄膜トランジスタアレイ1の平面視にて、凹部12Aの、半導体層15のストライプ延伸方向と直交する方向(半導体層15のストライプ幅方向)の長さである幅Dは、半導体層15のストライプ線幅D’よりも広く、かつ凹部12Aがゲート電極11、キャパシタ電極17、ソース配線13Aにかからないことを特徴とする。
【0028】
本発明における絶縁基板としてのプラスチック基板10には、ポリメチレンメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフォン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン、共重合樹脂、耐候性ポリエチレンテレフタレート、耐候性ポリプロピレン、ガラス繊維強化アクリル樹脂フィルム、ガラス繊維強化ポリカーボネート、透明性ポリイミド、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等を使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは単独でも、二種以上が積層された複合基板としても使用することができる。またガラスやプラスチック基板上にカラーフィルタのような樹脂層を有する基板も使用することができる。
【0029】
本発明におけるゲート電極11、ソース配線13A、ソース電極13B、ドレイン電極14、画素電極18、キャパシタ電極17には、Au、Ag、Cu、Cr、Al、Mg、Liなどの低抵抗金属材料や酸化物材料が好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム(In)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウムカドミウム(CdIn)、酸化カドミウム錫(CdSnO)、酸化亜鉛錫(ZnSnO)、酸化インジウム亜鉛(InZnO)等が挙げられる。またこの酸化物材料に不純物をドープしたものも好ましい。一例として酸化インジウムにモリブデンやチタンをドープしたもの、酸化錫にアンチモンやフッ素をドープしたもの、酸化亜鉛にインジウム、アルミニウム、ガリウムをドープしたものなどが挙げられる。なかでも酸化インジウムに錫をドープした酸化インジウム錫(ITO)がとりわけ低い抵抗率を示す。またPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等の有機導電性材料も好適であり、単体の場合も導電性酸化物材料との複数積層の場合も好んで用いられる。ゲート電極11、ソース配線13A、ソース電極13Bおよびドレイン電極14、画素電極18、キャパシタ電極17は、すべて同じ材料からできていても、違う材料からできていてもよい。しかし、工程を減らすためにはソース配線13A、ソース電極13B、ドレイン電極14に同一の材料を使用することが望ましい。これらの電極は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法、光CVD法、ホットワイヤーCVD法等により形成される。また上述の導電性材料をインキ状、ペースト状にしたものをスクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット法等により塗布し、焼成することでも形成が可能である。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
本発明におけるゲート絶縁膜12には、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化ジルコニア、酸化チタン等の無機材料、またはPMMA(ポリメチルメタクリレート)等のポリアクリレート、PVA(ポリビニルアルコール)、PVP(ポリビニルフェノール)等が挙げられる。より簡便にゲート絶縁膜12ならびに凹部12Aを形成するためには感光性を有する塗布型絶縁材料が好適に用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。またゲートリーク電流を抑えるために、絶縁材料の好ましい抵抗率は1011Ωcm以上、より好ましくは1014Ωcm以上である。
【0031】
本発明で用いられる半導体層15の有機半導体材料として、ポリチオフェン、ポリアリルアミン、フルオレンビチオフェン共重合体、およびそれらの誘導体のような高分子有機半導体材料、およびペンタセン、テトラセン、銅フタロシアニン、ペリレン、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPS−ペンタセン)、およびそれらの誘導体のような低分子有機半導体材料や加熱処理などで有機半導体に変換される前駆体を半導体材料インキとして用いることができる。また、カーボンナノチューブあるいはフラーレンなどの炭素化合物や半導体ナノ粒子分散液なども半導体層の材料として用いることができる。半導体材料インキを用いる場合には、溶媒としてトルエンやキシレン、インダン、テトラリン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
図1および図2に、実施例1に係るボトムゲートボトムコンタクト型のフレキシブル薄膜トランジスタアレイから成る薄膜トランジスタアレイ1の概略構成を示すパターンレイアウト平面図ならびに断面構造を示し、製造方法を説明する。本薄膜トランジスタアレイ1は1素子サイズが300μm×300μmであり、この素子が240×320個あるものである。
【0033】
プラスチック基板10としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いた。PENフィルム上にアルミニウムをスパッタ法により100nm成膜後、ポジレジストを用いてフォトリソグラフィ、エッチングを行い、その後レジストを剥離することによりゲート電極11、キャパシタ電極17を形成した。
【0034】
続いてゲート絶縁材料として塗布型感光性絶縁材料(AHシリーズ 日立化成製)をスピンコートにより塗布後、凹部12Aをフォトリソグラフィにより形成した。凹部12Aのサイズは半導体層15のストライプ幅方向に200μm、ストライプ延伸方向に20μmであった。その後、180℃で乾燥させゲート絶縁膜12を得た。
【0035】
次に金を蒸着法により50nm成膜し、ポジレジストを用いてフォトリソグラフィおよびエッチングを行い、その後レジストを剥離することによりソース電極13Bおよびドレイン電極14を形成した。
【0036】
半導体層15を形成するための半導体層形成用材料として、テトラリンと6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPS−ペンタセン)を混合した溶液を用いた。当該半導体層形成用材料を用いた半導体層の形成にはフレキソ印刷法を用いた。フレキソ印刷には感光性樹脂フレキソ版と150線のアニロックスロールを用い、幅100μmのストライプ形状の半導体層を形成した。印刷後、100℃で乾燥させて半導体層15を得た。このようにして半導体層15を形成する際、ストライプ延伸方向に凹部12Aがあったため凹部12A上は半導体層が基板へ転写されず、素子間に半導体層が形成されず素子分離を行うことができた。
【0037】
続いて、図3Aおよび図3Bに示すように保護層16を形成した。図3Aは薄膜トランジスタアレイ1の平面図であり、図3B図3AのA−A’線断面図である。保護層16を形成するための保護層形成材料としてフッ素系樹脂を用いた。当該保護層形成材料を用いた保護層形成にはフレキソ印刷を用いた。フレキソ版として感光性樹脂フレキソ版を用い、150線アニロックスロールを用いた。ストライプ形状のフレキソ版を用い、半導体層15を覆うように、線幅150μmのストライプ形状の保護層を印刷し、100℃で90分乾燥させて保護層16を得た。
【0038】
しかる後、対向電極との間に図3Bに示す電気泳動媒体18を挟んで本実施例によるディスプレイを駆動したところ、尾引き等の表示不良なく良好な画像表示を行うことができた。
【比較例1】
【0039】
比較例1として図4に示した形態をとるボトムゲートボトムコンタクト型フレキシブル薄膜トランジスタアレイの製造方法を説明する。本トランジスタアレイは1素子サイズが300μm×300μmであり、この素子が240×320個あるものである。
【0040】
プラスチック基板10としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用い、実施例1と同様にゲート電極11、キャパシタ電極17を形成した。ゲート絶縁膜12を塗布後、フォトリソグラフィにより凹部12Aを形成した。凹部12Aの幅Dは半導体層15のストライプ線幅D’よりも小さく、50μmであった。その後、実施例1と同様にソース電極13B、ドレイン電極14、半導体層15、保護層16を形成したが、凹部12Aの幅Dが半導体層15のストライプ線幅D’よりも小さかったため、凹部12A上では半導体層が転写されなかったが、隣接する素子間で半導体層15が一部つながってしまい、素子分離することができなかった。
【0041】
実施例1と同様に、電気泳動媒体18を挟んで比較例1によるディスプレイを駆動したところ、隣接する素子間でのリーク電流発生により半導体層15のストライプ延長方向の尾引きが発生し、良好な表示を行うことができなかった。
【比較例2】
【0042】
比較例2として図5に示した形態をとるボトムゲートボトムコンタクト型フレキシブル薄膜トランジスタアレイの製造方法を説明する。本トランジスタアレイは1素子サイズが300μm×300μmであり、この素子が240×320個あるものである。
【0043】
プラスチック基板10としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用い、実施例1と同様にゲート電極11、キャパシタ電極17を形成した。ゲート絶縁膜12を塗布後、フォトリソグラフィにより凹部12Aを形成した。凹部12Aの幅Dは300μmであり、半導体層15のストライプ線幅D’よりも大きいが、凹部12Aの一部がソース配線13Aへかかってしまった。その後、実施例1と同様にソース電極13B、ドレイン電極14、半導体層15、保護層16を形成した。凹部12Aの幅Dが半導体層15のストライプ線幅D’よりも大きかったため、凹部12A上は半導体層が基板へ転写されず、素子分離を行うことができた。しかし、凹部12Aがソース配線13Aへかかってしまったため、ソース配線13Aを成膜する際に凹部12Aによる段差部分を均一に成膜することができず、ソース配線13Aが当該段差部分で断線してしまった。
【0044】
実施例1と同様に、電気泳動媒体18を挟んで比較例2によるディスプレイを駆動したところ、凹部12Aの段差部分で断線してしまったソース配線13Aの影響で線欠陥が発生し、良好な表示を行うことができなかった。
【0045】
以上、実施例および比較例について説明を行った。
【0046】
このように、本発明の薄膜トランジスタアレイおよびそれを備えた画像表示装置によれば、低コストかつ高品質なフレキシブル薄膜トランジスタを歩留まりよく提供することが可能となる。まず、半導体層の形成に印刷法を用いることで大面積にも短いタクトタイムで薄膜トランジスタアレイを形成できる。印刷法の中でもストライプ形状のフレキソ版を用いたフレキソ印刷を行うことで、ストライプ延伸方向のアライメントマージンが大きくなり、アライメントズレによる歩留まり低下を軽減することができる。さらに、半導体層印刷前にゲート絶縁膜の素子間に位置する箇所に凹部を設けておくことで、ストライプ形状のフレキソ版を用いても、凹部では半導体インクが基板へ転写されないため、簡便に素子間の半導体層を分離することができる。このように素子分離を行うことで、素子分離を行わない素子に比べ、OFF電流値の上昇などといったTFT特性の問題が発生し難くなる。
【0047】
また、前記ゲート絶縁膜の凹部の深さを半導体層の膜厚の大きさ以上とすることで、フレキソ版から基板へ半導体インクが転写されることを防ぎ、確実に素子分離を行うことができる。もし仮に半導体インクが凹部にも転写されたとしても、凹部の深さを半導体層の膜厚よりも深くしておけば確実に半導体層を断線させることができる。
【0048】
また、前記半導体層を有機半導体とすることにより、ウェットプロセスを適用でき、大面積を有する薄膜トランジスタアレイでも短いタクトタイムで形成することができる。
【0049】
また、前記半導体層をフレキソ印刷法により形成することで、大面積を有する薄膜トランジスタアレイでも短いタクトタイムで形成することができる。
【0050】
また、前記絶縁基板をプラスチック基板とすることにより、軽量でフレキシブルな薄膜トランジスタアレイを作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のフレキシブル薄膜トランジスタアレイは、フレキシブル電子ペーパーや、フレキシブル有機ELディスプレイ等のスイッチング素子として利用することができる。さらにその製造方法において、本件を用いることで生産性の向上に貢献することができる。具体的には、まず、半導体層の形成に印刷法を用いることで大面積にも短いタクトタイムで薄膜トランジスタアレイを形成できる。印刷法の中でもストライプ形状のフレキソ版を用いたフレキソ印刷を行うことで、ストライプ延伸方向のアライメントマージンが大きくなり、アライメントズレによる歩留まり低下を軽減することができる。さらに、半導体層印刷前に素子間に凹部を設けておくことで、ストライプ形状のフレキソ版を用いても、凹部上では半導体インクが基板へ転写されないため、簡便に素子間の半導体層を分離することができる。このように素子分離を行うことで、素子分離を行わない素子に比べ、OFF電流値の上昇などといったTFT特性の問題が発生し難くなる。これによって、フレキシブルディスプレイやICカード、ICタグ等広範囲に応用可能なフレキシブル薄膜トランジスタを低コストかつ高品質に作製することが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10・・・プラスチック基板
11・・・ゲート電極
12・・・ゲート絶縁膜
12A・・・凹部
13A・・・ソース配線
13B・・・ソース電極
14・・・ドレイン電極
15・・・半導体層
16・・・保護層
17・・・キャパシタ電極
18・・・電気泳動媒体
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5