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特許6209922(メタ)アクリレート系グラフトポリマー及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209922
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレート系グラフトポリマー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/04 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   C08F265/04
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-202714(P2013-202714)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-67709(P2015-67709A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 央基
(72)【発明者】
【氏名】森田 正道
(72)【発明者】
【氏名】山本 育男
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−290329(JP,A)
【文献】 特開2003−268057(JP,A)
【文献】 特開2006−037085(JP,A)
【文献】 特開2006−213845(JP,A)
【文献】 特開2008−266590(JP,A)
【文献】 特開2008−274006(JP,A)
【文献】 特開2011−203506(JP,A)
【文献】 特開2012−001622(JP,A)
【文献】 特表2012−528918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 251/00 − 289/00
C08F 291/00 − 297/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマーから誘導された構成単位、及び、
必要に応じて
(B)その他のモノマーから誘導された構成単位
を含有する(メタ)アクリレート系ポリマー
の前記α位を起点として、フリーラジカル重合性モノマーを:
(i) ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法で;又は
(ii) 前記ハロゲンがヨウ素の場合はATRP法、若しくはヨウ素移動重合法で
グラフト重合させる工程
を含む、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーの製造方法であって、
α位がハロゲン置換された前記アクリレートモノマーが、下記式(I)〜式(III)のいずれかで表わされる、製造方法
【化1】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)又は
−CH2CH(OY1)CH2−基(ただし、Y1は水素原子またはアセチル基)であり、
は、炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
【化2】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
は、炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
【化3】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
〜Rは、同一又は異なって、水素若しくはハロゲン原子;炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;置換されていてもよいアリール基;又はOR基(Rは炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)である。)
【請求項2】
前記フリーラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリレート類及びスチレン類からなる群より選択される少なくとも一種のフリーラジカル重合性モノマーである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ハロゲン置換された前記アクリレートモノマーが、α位が塩素原子又は臭素原子で置換されたアクリレートモノマーである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレート系グラフトポリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料表面に高分子鎖を固定化させることを表面グラフトと呼び、そのようなポリマーが多く存在している表面をグラフト表面という。固体材料表面に高分子鎖を固定化させる方法は、(i) 高分子鎖と基材との物理的な相互作用を用いる物理的方法と、(ii) 高分子と基材表面に化学結合を導入する化学的方法の二つに大別される。物理的方法によりグラフトされた高分子鎖は、材料表面との間に働く力が小さいため、一般的に力学的強度が弱く剥離しやすい。一方、化学的手法を用いて調製した高分子薄膜は、物理吸着にて調製した高分子薄膜と比較して、力学的に安定な薄膜である。
【0003】
化学的手法は、古くはプラズマやUV、放射線等を基材に照射することで、基材表面に反応活性種を生成させ、高分子鎖を基材に固定化させていた。近年になって、制御ラジカル重合技術の発展に伴い、材料表面に固定化した重合開始部位を有する化合物から表面開始重合を行う手法「Grafting from法」が開発され、学術的・工業的に非常に注目を集めている。表面開始重合の研究開始後まもない1990年後半から2000年前半はまだ学術的基礎検討の段階にあり、ポリマーの設計指針や基礎的な物性を評価するため、シリコン基板や金属基板を基材として用いるのが大半であった。ところが最近では、実用化を目的とする検討も多くなされるようになってきており、樹脂表面の改質を試みた例も数多く存在する。
【0004】
樹脂表面の改質例として、オレフィン系ポリマーの表面改質を試みた例が報告されている。具体的には、Poly(vinylidene fluoride)フィルム上(非特許文献1及び非特許文献2)又はポリプロピレンフィルム上(非特許文献3)からそれぞれポリマーをグラフトした例などが報告されている。
【0005】
一方、(メタ)アクリレート系ポリマーに異なるポリマーをグラフトした例として、アクリレートモノマーから誘導された構成単位の側鎖部位を起点としてグラフトした例が報告されている(例えば、非特許文献4及び非特許文献5など)。しかしながら、(メタ)アクリレート系ポリマーのα位を起点としてグラフトする方法は報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. F. Hester、外5名、Macromolecules、2002年、35、pp.7652−7661
【非特許文献2】M. Zhang、外1名、Macromolecules、2006年、39、pp.3531−3539
【非特許文献3】M. Kobayashi、外5名、Polymer Journal、2013年、4(3)、pp.731−739
【非特許文献4】S.Megelski、外3名、Macromolecules、2002年、35、pp.8456−8466
【非特許文献5】T. Yano、外6名、Polymer Journal、2011年、43、pp.838−848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーであって、アクリレートモノマーから誘導された構成単位のα位がグラフトされているグラフトポリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマーから誘導された構成単位を含有する(メタ)アクリレート系ポリマーの前記α位を起点として、ラジカル重合性モノマーをATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法でグラフトさせることにより、目的の(メタ)アクリレート系グラフトポリマーが得られることを見出した。また、前記ハロゲンがヨウ素の場合はヨウ素移動重合法でグラフト重合させることによっても同様に目的の(メタ)アクリレート系グラフトポリマーが得られることを見出した。本発明者らは、かかる知見を基に本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の実施態様を提供するものである。
項1.
(A)α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマーから誘導された構成単位、及び、必要に応じて
(B)その他のモノマーから誘導された構成単位
を含有する(メタ)アクリレート系ポリマー
の前記α位を起点として、フリーラジカル重合性モノマーを:
(i) ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法で;又は
(ii) 前記ハロゲンがヨウ素の場合はATRP法、若しくはヨウ素移動重合法で
グラフト重合させる工程
を含む、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーの製造方法。
項2.
α位がハロゲン置換された前記アクリレートモノマーが、下記式(I)〜式(III)のいずれかで表わされる、項1に記載の製造方法
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)又は−CH2CH(OY1)CH2−基(ただし、Y1は水素原子またはアセチル基)であり、
は、炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
は、炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
〜Rは、同一又は異なって、水素若しくはハロゲン原子;炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;置換されていてもよいアリール基;又はOR基(Rは炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)である。)。
項3.
前記フリーラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリレート類及びスチレン類からなる群より選択される少なくとも一種のフリーラジカル重合性モノマーである、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
ハロゲン置換された前記アクリレートモノマーが、α位が塩素原子又は臭素原子で置換されたアクリレートモノマーである、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
(A)α位がグラフトされているアクリレートモノマーから誘導された構成単位、及び、必要に応じて
(B)その他のモノマーから誘導された構成単位
を含有する(メタ)アクリレート系グラフトポリマー。
項6.
項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られうる、項5に記載の(メタ)アクリレート系グラフトポリマー。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法を用いることにより、アクリレートモノマーから誘導された構成単位のα位がグラフトされている(メタ)アクリレート系グラフトポリマーを得ることができる。
【0017】
また、本発明の製造方法を用いることにより得られうる(メタ)アクリレート系グラフトポリマーは新規なものであり有用である。
【0018】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0019】
1.本発明の製造方法
本発明の製造方法は、
(A)α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマーから誘導された構成単位、及び、必要に応じて
(B)その他のモノマーから誘導された構成単位
を含有する(メタ)アクリレート系ポリマー
の前記α位を起点として、フリーラジカル重合性モノマーを:
(i) ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法で;又は
(ii) 前記ハロゲンがヨウ素の場合はATRP法、若しくはヨウ素移動重合法で
グラフト重合させる工程
を含む、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーの製造方法である。
【0020】
本発明において、「(メタ)アクリレート系グラフトポリマー」とは、ベースポリマー部分が少なくとも(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構成単位を含有するポリマーであって、ベースポリマーにポリマー鎖がグラフトされているポリマーを意味する。
【0021】
1.1 構成単位(A)
構成単位(A)は、α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマー(a)から誘導される。
【0022】
なお、本発明において、ハロゲンとは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を表す。
【0023】
また、本発明において、特に説明がない場合、アルキル基とは、置換を有していてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基を表す。
【0024】
アクリレートモノマー(a)において、ハロゲンとしては、グラフト重合の反応性、及びアクリレートモノマーとしての安定性の点で、塩素原子及び臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
【0025】
アクリレートモノマー(a)は、特に限定されず、最終的に得られる(メタ)アクリレート系グラフトポリマーの使用目的や、グラフト前のベースポリマーにどのような特性を付与したいかなどに応じて適宜選択すればよい。例えば、グラフト前のベースポリマーに撥水撥油性を持たせたい場合には、含フッ素基などの撥水撥油性を有する基を有するアクリレートモノマー(a)を用いることができる。
【0026】
アクリレートモノマー(a)の例として、例えば、下記式(I)で表わされるものが挙げられる。
【0027】
【化4】
【0028】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ただし、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)又は−CH2CH(OY1)CH2−基(ただし、Y1は水素原子またはアセチル基であり、
は、炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
上記において、脂肪族基はアルキレン基(特に炭素数1〜4、例えば、1又は2)であることが好ましい。芳香族基および環状脂肪族基は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
【0029】
アクリレートモノマー(a)のより具体的な例として、以下が挙げられる。
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Rは、炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
上記において、Rは、炭素数が好ましくは2〜6である。また、Rは、フッ素原子で置換されていてもよく、パーフルオロアルキル基であってもよい。また、Rの具体的な例として、イソボルニル、ボルニル、フェンシル、アダマンチル、シクロヘキシル及びフェニル等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0035】
また、アクリレートモノマー(a)の他の例として、下記式(II)で表わされるものが挙げられる。
【0036】
【化9】
【0037】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
は、炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)
の具体的な例として、イソボルニル、ボルニル、フェンシル、アダマンチル、シクロヘキシル及びフェニル等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0038】
また、アクリレートモノマー(a)のさらに別の例として、下記式(III)で表わされるものが挙げられる。
【0039】
【化10】
【0040】
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、
〜Rは、同一又は異なって、水素若しくはハロゲン原子;炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;置換されていてもよいアリール基;又はOR基(Rは炭素数1〜30の、置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状の、環状構造を含んでいてもよい、アルキル基若しくはアルケニル基;炭素数4〜20の、置換されていてもよい、水素原子(H)に対する炭素原子(C)の比率C/Hが0.58以上の、環状アルキル基若しくは環状アルケニル基;又は置換されていてもよいアリール基である。)である。)
〜Rの具体的な例として、イソボルニル、ボルニル、フェンシル、アダマンチル、シクロヘキシル及びフェニル等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0041】
1.2 構成単位(B)
構成単位(B)は、α位がハロゲン置換された前記アクリレートモノマーとは異なるモノマー(b)から誘導された構成単位である。
【0042】
本発明で用いる(メタ)アクリレートポリマーにおいて、構成単位(B)は必須ではないが、必要に応じて含めることができる。
【0043】
モノマー(b)は、アクリレートモノマー(a)と共重合することができるものであればよく、特に限定されない。
【0044】
上記において、モノマー(b)は、炭素−炭素二重結合を有するモノマーであれば好ましい。その中でも、ビニル系モノマーであればより好ましい。モノマー(b)は、一般に、1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物である。より具体的には、例えば(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
モノマー(b)の具体例としては、エチレン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルキルエーテル、イソプレン等が挙げられる。
【0046】
別のモノマー(b)の例として、アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることもできる。アルキル基の炭素数は、1〜30、例えば、6〜30、10〜30であってよい。例えば、モノマー(b)は一般式:
CH=CACOOA
(式中、Aは水素原子またはメチル基、AはC2n+1(n=1〜30)で示されるアルキル基である。)で示されるアクリレート類であってもよい。
【0047】
モノマー(b)は、架橋性を有するものであってもよい。モノマー(b)から誘導された構成単位が架橋性を有することを利用して、最終的に得られる(メタ)アクリレート系グラフトポリマーに所望の機能性を備える基を付加し、所望の特性を付与できる。
【0048】
そのような架橋性を有するモノマー(b)としては、例えば、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アミノ基及びカルボキシル基等の反応性基を有するもの等が挙げられる。具体例として、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、クロロプレン及びグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
1.3 (メタ)アクリレート系ポリマー
(メタ)アクリレート系ポリマーは、グラフト重合工程において、幹ポリマーとして使用される。
【0050】
(メタ)アクリレート系ポリマー(幹ポリマー)は、一種の構成単位(A)を含有していてもよいし、二種以上の構成単位(A)を含有していてもよい。(メタ)アクリレート系ポリマーは、さらに構成単位(B)を含有している場合、一種の構成単位(B)を含有していてもよいし、二種以上の構成単位(B)を含有していてもよい。
【0051】
構成単位(A)及び構成単位(B)を含有する(メタ)アクリレート系ポリマーは、特に限定されないが、例えば、アクリレートモノマー(a)の総量100重量部に対して、少なくとも総量で0.1〜5000重量部、好ましくは0.1〜2000重量部のモノマー(b)を共重合して得られる(メタ)アクリレート系ポリマーであってもよい。
【0052】
(メタ)アクリレート系ポリマーは特に限定されないが、例えば以下のようにして製造できる。
【0053】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0054】
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0055】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0056】
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、油溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0057】
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0058】
1.4. グラフト重合工程
幹ポリマーとなる(メタ)アクリレート系ポリマーの前記α位を起点として、フリーラジカル重合性モノマー(c)をATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法でグラフト重合させる。
【0059】
また、(メタ)アクリレート系ポリマーの前記α位がヨウ素原子で置換されている場合は、ATRP法に代わってヨウ素移動重合法を用いてグラフト重合を行ってもよい。以下の説明は、特に断りがない限り、ATRP法及びヨウ素移動重合法のいずれにも当てはまる。
【0060】
α位を起点としてグラフト重合させる手段として、本発明では、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization)法を利用する。
【0061】
遷移金属錯体を用いたラジカル反応の開発により反応選択性が向上し、その手法が低分子合成に用いられるようになった。この反応を高分子合成に適応させたものがATRP法であり、ポリマー末端の炭素-ハロゲン結合などの本来安定な共有結合をルテニウムや銅、鉄などの遷移金属錯体の酸化還元反応を利用して可逆的にラジカルを発生させ、重合を進行させる方法である。この重合では、不安定な成長ラジカルは安定な共有結合種であるドーマント種と速い平衡状態にあり、この平衡反応により分子量、分子量分布が精密に制御され、リビング的な重合が成立する。
【0062】
本発明において、ATRP法として、ICAR−ATRP法、ARGET−ATRP法、AGET−ATRP法及びReverse−ATRP法も同様に利用できる。
【0063】
ATRP法の反応条件は、公知の条件を適宜適用することができ、特に限定されないが、特開2002-249505号公報及び特表平10-509475号公報等に記載の条件を適宜適用することができる。
【0064】
ヨウ素移動重合法とは、炭素−ヨウ素結合の解離エネルギーが低いためラジカル的に活性で、ラジカル重合反応の過程では連鎖移動反応が関与することにより起こる、ラジカル的連鎖再賦活化機構によるリビングラジカル重合を利用する方法のことである。反応条件については公知の条件を適宜利用することができ、特に限定されないが、例えば、「高分子論文集、Vol. 49、No. 10、pp. 765-783、1992年10月」及び特開昭53-3495号公報等に記載の条件を適宜採用することができる。
【0065】
本発明においては、α位がハロゲン置換されたアクリレートモノマー(a)から誘導される構成単位(A)がマクロ開始剤として働き、前記α位を開始点(開始剤)として、重合が進行する。
【0066】
ATRP法の場合、触媒としては、特に限定されず、ATRP法において通常使用されるものの中から幅広く選択できる。通常は遷移金属錯体が用いられる。遷移金属錯体は特に限定されず、幅広く選択できる。例えば、以下に例示する配位子群と遷移金属群から適宜それぞれ配位子と遷移金属を選び出してきて互いに組み合わせて用いることができる。配位子としては、例えば、2,2’-Bipyridyl、4,4’-Dimethyl-2,2’-dipyridyl、4,4’-Di-tert-butyl-2,2’-dipyridyl、4,4’-Dinonyl-2,2’-dipyridyl、N-Butyl-2-pyridylmethanimine、N-Octyl-2-pyridylmethanimine、N-Dodecyl-N-(2-pyridyl-methylene)amine、N-Octadecyl-N-(2-pyridylmethylene)amine、N,N,N’,N’,N’-Pentamethyl-diethylenetriamine、Tris(2-pyridylmethyl)amine、1,1,4,7,10,10-Hexamethyltriethylene-tetramine、Tris[2-(dimethylamino)ethylamine、1,4,8,11-Tetraazacyclotetra-decane、1,4,8,11-Tetramethyl-1-4-8-11-tetraazacyclotetradecane及びN,N,N’N’-Tetrakis(2-pyridylmethyl)-ethylenediamine等が挙げられる。また、遷移金属としては、例えば、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、TiCl2、TiCl3、TiCl4、TiBr4、FeCl2、FeCl3、FeBr2、FeBr3、CoCl2、COBr2、NiCl2、NiBr2、MoCl3、MoCl5及びRuCl3等が挙げられる。遷移金属錯体として、好ましくは一価銅錯体を使用する。一価銅錯体としては、特に限定されないが、CuBr/ビピリジル(bpy)錯体等を使用してもよい。
【0067】
溶媒を用いる場合は、特に限定されないが、フリーラジカル重合にて使用されている溶媒であって、触媒がある程度均一に溶解できるものであれば使用可能である。例えば、水、エーテル類、アミド類、ニトリル類及びアルコール類からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒、又はその溶媒をその他の溶媒と混合したうえで用いることができる。エーテル類としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール及びジメトキシベンゼン等が挙げられる。アミド類としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びN,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。ニトリル類としては、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル及びベンゾニトリル等が挙げられる。アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール及びイソアミルアルコール等が挙げられる。
【0068】
溶媒としては、特に、水、エーテル類、アミド類及びアルコール類からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水、アニソール又はDMFがより好ましい。
【0069】
さらに、上記の溶媒とそれ以外の溶媒を混合して用いる場合、特に限定されないが、例えば、芳香族炭化水素である溶媒又はハロゲン化炭化水素である溶媒と混合してもよい。芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン及びトルエン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム及びクロロベンゼン等が挙げられる。この場合、上記の重合溶媒の量を開始剤のモル量以上とするのが好ましい。
【0070】
フリーラジカル重合性モノマー(c)は、フリーラジカル重合性であればよく、特に限定されない。フリーラジカル重合性モノマー(c)としては、(メタ)アクリレート類及びスチレン類等が挙げられる。
【0071】
スチレン類としては、特に限定されないが、例えば下記に示されるものを適宜用いることができる。すなわち、4-Vinylbenzocyclobutene、4-[N-(Methylaminoethyl)aminomethyl]styrene、4-Benzhydrylstyrene、4-(Diphenylphosphino)styrene、3-Vinylaniline、α-Bromostyrene、2-Bromostyrene、3-Bromostyrene、4-Bromostyrene、2-Chlorostyrene、3-Chlorostyrene、4-Chlorostyrene、4-Chloro-α-methylstyrene、2,6-Dichlorostyrene、4-Vinylbenzyl chloride、Vinylbenzyl chloride、2-Isopropenylaniline、3-Vinylaniline、4-Vinylaniline、N,N-Dimethylvinylbenzylamine、3-Vinylbenzoic acid、4-Vinylbenzoic acid及び3-Isopropenyl-α,α-dimethylbenzyl isocyanate等の機能性スチレン(Functionalized Styrene)を使用できる。また、α-Methylstyrene、Methylstyrene、3-Methylstyrene、4-Methylstyrene、1,3-Diisopropenylbenzene、2,4-Dimethylstyrene、2,5-Dimethylstyrene、2,4,6-Trimethylstyrene、4-tert-Butylstyrene、4-Vinylanisole、4-Acetoxystyrene、4-tert-Butylstyrene、3,4-Dimethoxystyrene、2-Fluorostyrene、3-Fluorostyrene、4-Fluorostyrene、2-(Trifluoromethyl)styrene、3-(Trifluoromethyl)styrene、4-(Trifluoromethyl)styrene、2,6-Difluorostyrene、2,3,4,5,6-Pentafluorostyrene、3-Nitrostyrene、(Vinylbenzyl)trimethylammonium chloride、2-Vinylnaphthalene、4-Vinylbiphenyl及び9-Vinylanthracene等の置換型スチレン等も使用できる。
【0072】
より具体的には、最終的に得られる(メタ)アクリレートグラフトポリマーの使用目的などに応じて、適宜選択することができる。例えば、最終的に得られる(メタ)アクリレートグラフトポリマーに親水性を付与したい場合、モノマー(c)として、親水性ポリマーがグラフト重合により形成されるようなモノマーを選択すればよい。そのようなモノマーとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリレート類としては、例えば、下記式(VIII)で表わされるPEG(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0073】
【化11】
【0074】
(式中、Xは水素原子、又はメチル基、Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基、nは1以上の整数を表わす。)
PEG(メタ)アクリレートとしては、PEGメタクリレートが特に好ましい。
【0075】
PEG(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、PEG鎖長の異なるものを目的に応じて適宜使用でき、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含む。
【0076】
他に親水性ポリマーがグラフト重合により形成されるようなモノマーとしては、例えば2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(MTAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメチルメタクリレートナトリウム塩(PMMNa)、ポリ(3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩) (PSPMK)、ポリ(2-メタアクリロイルオキシオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)、ポリ(3-(N-2メタアクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチル)アンモナートプロパンスルホネート)(PMAPS)等が挙げられる。
【0077】
さらに、親水性ポリマーがグラフト重合により形成されるようなモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(IX)で表わされるモノマー等が挙げられる。このようなモノマーを重合させることにより、いわゆる電解質ポリマーが得られる。
【0078】
【化12】
【0079】
(式中、Xは水素原子、又はメチル基であり、R10は、オリゴエチレングリコール、スルホン酸塩、アンモニウム塩、カルボン酸、ヒドロキシル基、スルホベタイン、カルボキシベタイン及びホスホリルコリン等の双生イオン型の官能基を表す。)
また、例えば、最終的に得られる(メタ)アクリレートグラフトポリマーに疎水性を付与したい場合、モノマー(c)として、疎水性ポリマーがグラフト重合により形成されるようなモノマーを選択すればよい。そのようなモノマーとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリレート類としては、例えば、下記式(X)で表わされるアルキル(メタ)アクリレート及びフルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0080】
【化13】
【0081】
(式中、Xは水素原子、又はメチル基であり、R11はアルキル基又はフルオロアルキル基を表わす。)
上記において、R11は好ましくは炭素数2〜10のアルキル基又はフルオロアルキル基である。上記式(VIII)で表わされるアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、特に限定されないが、ステアリルアクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0082】
グラフト重合は、(メタ)アクリレート系ポリマーをフィルム状にした上で行ってもよいし(表面開始重合)、(メタ)アクリレート系ポリマーをマクロ開始剤として単独で(基材なしで)行ってもよい。
【0083】
最終的に得られる(メタ)アクリレートグラフトポリマーの使用目的に応じて、表面開始重合とするか、単独で重合するかを適宜選択すればよい。
【0084】
フィルム状にした上でグラフト重合を行う場合は、(メタ)アクリレート系ポリマーをスピンコート法等の公知の方法で薄膜化したうえで行うことができる。
【0085】
単独で重合を行う場合は、フリーラジカル重合または制御ラジカル重合でポリマーを調製する際に用いられている公知の方法にて行うことができる。
【0086】
2. 本発明の(メタ)アクリレート系グラフトポリマー
本発明の(メタ)アクリレート系グラフトポリマーは、
(A)α位がグラフトされているアクリレートモノマーから誘導された構成単位、及び、必要に応じて
(B)その他のモノマーから誘導された構成単位
を含有する(メタ)アクリレート系グラフトポリマーである。
【0087】
構成単位(A)及び構成単位(B)については、上記で説明したとおりである。
【0088】
本発明の(メタ)アクリレート系グラフトポリマーは、例えば、上記の製造方法により得られうる(メタ)アクリレート系グラフトポリマーである。
【0089】
本発明により、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーであって、アクリレートモノマーから誘導された構成単位のα位がグラフトされているグラフトポリマーを提供することができる。このことを利用して、いわゆる環境応答性(刺激応答性)を備える(メタ)アクリレートグラフトポリマーを提供することができる。例えば、flip−flop機構を備える(メタ)アクリレートグラフトポリマーを提供することができる。
【0090】
flip−flop機構とは、疎水性基及び親水性基を有する特定のポリマーにみられる機構であり、空気中では疎水性基が表面に配向し、水中ではその疎水性基と親水性基が反転する機構を意味する。通常、例えばパーフルオロアルキル基(以下、「Rf基」ということがある。)などの、空気中で高い撥油性を示す基を有する化合物は、低表面自由エネルギー性を有するため、これで処理された布は、空気中で高い撥油性を示す。一方、これらのうち所定の疎水性基(例えばRf基等)は、水中ではほとんど撥油性を示さないために、いったん布に油汚れが付着すると、洗浄で油汚れを脱離させるのは非常に困難となる。flip−flop機構を有するポリマーで布を処理すれば、水中でポリマー表面が親水化されるため、水中でも撥油性を発現し、洗浄で油汚れが脱離しやすくなる。
【0091】
flip−flop機構を備える(メタ)アクリレートグラフトポリマーとしては、例えば、構成単位(A)及び構成単位(B)から成る幹ポリマーに疎水性基を有しており、さらにグラフトされた枝ポリマーに親水性基が導入されたもの等を利用できる。あるいは、これとは反対に、構成単位(A)及び構成単位(B)から成る幹ポリマーに親水性基を有しており、さらにグラフトされた枝ポリマーに疎水性基が導入されたものも利用できる。
【0092】
このような機能を持たせた(メタ)アクリレートグラフトポリマーは、繊維の処理剤として用いてもよいし、樹脂に対する練りこみ用撥水撥油剤として利用することもできる。練りこみ用撥水撥油剤として使用する場合、幹ポリマーを紡糸原料に練りこんだうえで紡糸を行い、繊維表面に偏析するハロゲン化部分を起点としてグラフト重合を行えば、表面に枝ポリマー、樹脂内部に幹ポリマーが局在化した繊維を得ることができる。あるいは、(メタ)アクリレート系グラフトポリマーを紡糸の際に直接原料に練りこんだうえで紡糸を行い、繊維を得ることもできる。練り込み用撥水撥油剤は、衣料品、レジャー用品、家庭用品、ワイパー、フィルター、土木資材用品、建築資材用品、サニタリー用品、医療用品、家庭用品、文房具及び内装資材等において使用される。
【0093】
さらに、同様の機構を利用して、皮脂汚れに強い化粧品材料を得ることもできる。flip−flop機構を備える(メタ)アクリレートグラフトポリマーを含有する化粧品材料で処理された皮膚においては、油汚れの一種である皮脂による汚れを水中で除去しやすくなる。
【0094】
以上のような用途に使用される表面処理剤のことをSR(Soil Release)剤ということがある。
【0095】
本発明において、flip−flop機構を備える(メタ)アクリレートグラフトポリマーを得るためには、幹ポリマー[(メタ)アクリレート系ポリマー]のガラス転移点(T)が、使用環境における温度(例えば室温、20〜40℃の水温等)以下であることが好ましい。この場合、例えば、(メタ)アクリレートグラフトポリマーが、構成単位(A)及び構成単位(B)から成る幹ポリマーに疎水性基を有しており、さらにグラフトされた枝ポリマーに親水性基が導入されたものであるとする。
【0096】
一般に、空気中で表面エネルギーの高い親水性基がポリマー表面に配向した状態では表面自由エネルギーが高く熱力学的に不安定な状態となるため、親水性基を内部に退行させ、疎水基が表面に配向して安定化される。
【0097】
幹ポリマー部分[(メタ)アクリレート系ポリマー部分]のTが使用環境の温度以下であれば、幹ポリマー部分は流動性を示す。したがって、グラフトされた親水性基含有の枝ポリマー部分は動くことができ、先述のように安定化のため空気中では内部に退行する。すなわち、空気中では、親水性基含有の枝ポリマー部分ではなく疎水性基含有の幹ポリマー部分が表面に配向した状態となっている。一方、水中では、親水性基のほうが疎水性基よりも表面自由エネルギーが水に近い値を示すので、親水性基を水界面に配向させようとする作用が働く。この結果、水中では、疎水性基と親水性基が反転し、親水性基含有の枝ポリマー部分が水界面に配向した状態となる。このようにして、flip−flop機構を発現させることができる。
【0098】
幹ポリマー[(メタ)アクリレート系ポリマー]は、構成単位(A)のみからなるものである場合、Tが高くなる傾向がある。一方、アクリレートモノマーから誘導された構成単位のみからなるポリマーのTは低い傾向がある。このことを利用して、所望のTを有する(メタ)アクリレート系ポリマーを得ることができる。例えば、Tが室温以下である(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、特に限定されないが、構成単位(B)として、アクリレートモノマーから誘導された構成単位を一定量以上含むものを用いることができる。
【0099】
また、構成単位(A)及び構成単位(B)の側鎖部分によっても、幹ポリマーのTが変化するので、このことを利用して、所望のTを有する幹ポリマーを得ることもできる。一例を挙げると、側鎖部分がパーフルオロアルキル基である場合、使用環境温度が室温程度であれば、炭素数が6以下、より好ましくは4以下のものを採用すれば、Tが室温以上となりやすいので好ましい。
【0100】
さらに、構成単位(A)に対する構成単位(B)の割合を変化させることによっても、(メタ)アクリレート系ポリマーの環境応答性を変化させることができる。すなわち、構成単位(A)の割合がより高ければ、グラフトされる枝ポリマーの割合がより高くなるので、このことによっても環境応答性が変化する場合がある。具体的には、グラフトされる枝ポリマーの割合が高すぎる場合は、これらの枝ポリマーが動きにくくなり、環境応答性が損なわれる場合がある。
【0101】
SR剤として用いることのできる(メタ)アクリレートグラフトポリマーは、特に限定されないが、構成単位(A)として、α位がハロゲン置換されたRf基含有アクリレートモノマー(a)から誘導されたものを用い、これを、親水性基を有するフリーラジカル重合性モノマー(c)を用いてグラフト化することにより、得ることができる。この場合、特に限定されないが、例えば、Rf基含有アクリレートモノマー(a)が、Rf基として炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有するアクリレートモノマーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】実施例2で用いた幹ポリマー[α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体]について、温度依存水平力顕微鏡(LFM)観察を行った結果を示す図面である。
【実施例】
【0103】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0104】
[実施例1]α-Cl(C4)アクリレート薄膜からメタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド(MTAC)ポリマーブラシをグラフト
重合管にモノマーであるα-クロロアクリル酸パーフルオロブチルエチルエステル[α-Cl(C4)アクリレート]と開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1 mol%(対モノマー)で投入し、Arにて10 分間バブリングした後、真空脱気-Ar 充填の操作を3 回繰り返した。その後Ar 雰囲気下で、60°Cに加熱し、18 時間静置した。反応溶液を大量のメタノールに注ぎ、その後、12000 rpm、 10 分間遠心分離を行うことで上澄み液を除去し、60°C、2 時間減圧乾燥することで白色の固体を得た。なお、α-Cl(C4)アクリレートは重合前に減圧蒸留を行うことで、重合禁止剤等の不純物を除いたものを使用した。得られたポリマーをフッ素系溶剤HCFC225[AK-225(旭硝子)]で希釈することにより1重量%溶液を調製し(ポリマーの溶媒への溶解が困難であった場合は、溶液に適宜超音波を照射して溶解を促進させた)、その後シリコン基板上に展開し、回転数2000 rpm、 30 秒の条件にてスピンコート法により薄膜を製膜した。製膜に使用したシリコン基板はアセトン(試薬特級)に浸漬し、超音波洗浄機で10 分間洗浄後、電子工業用アセトン、HCFC225[AK-225(旭硝子)]を用いて同様に洗浄したものを用いた。製膜後、室温にて2 時間減圧乾燥させた。
【0105】
含フッ素ポリマー薄膜から親水性ポリマーであるPMTAC ブラシをグラフトさせる方法を以下に示す。重合管をベーキングにより十分乾燥させた後、Ar 置換し、上記にて調製したスピンコート薄膜を加え、真空脱気-Ar 充填の操作を数回繰り返した。ここにモノマーであるMTACの80 重量%水溶液を1 ml 加え、30 分間Ar ガスをバブリングした後、CuBr2/bpy/アスコルビン酸/水溶液(CuBr2:0.025 mmol/ml、bpy:0.050 mmol/ml、アスコルビン酸 0.025mmol/ml)を1 ml 加え、さらに10 分間Ar 置換し60°C にてオーブンで静置した。一定時間経過した後、室温にて放冷、さらに0°C 近くまで冷却したところで大気開放すると共に、少量のメタノールを加えて重合を停止させた。基板はイオン交換水を二回蒸留して調製した純粋にて洗浄を行うことで残モノマー、触媒等を除去した。
【0106】
[実施例2]α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜からMTACポリマーブラシをグラフト
含フッ素ポリマー薄膜を調製する際のモノマーをα-Cl(C4)アクリレートとアクリル酸パーフルオロブチルエチルエステル(C4 アクリレート)とすること以外は[製造例1]と同じ方法で含フッ素ポリマー薄膜を調製した。仕込みのモノマー比は、α-Cl(C4)アクリレート : C4 アクリレート = 1 : 10(mol%)とした。
その後、実施例1 と同様の方法で含フッ素ポリマー薄膜上より親水性のポリマーであるPMTAC をグラフトした。
【0107】
[比較例1]α-Cl(C4)アクリレートホモポリマー薄膜
実施例1におけるPMTACをグラフトする前のα-Cl(C4)アクリレートホモポリマー薄膜を比較例1とする。
【0108】
[比較例2]α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜
実施例2におけるPMTACをグラフトする前のα-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜を比較例2とする。
【0109】
[比較例3] C4 アクリレートホモポリマー薄膜からMTAC ポリマーブラシをグラフト
含フッ素ポリマー薄膜を調製する際のモノマーをα-Cl(C4)アクリレートからC4 アクリレートに変更する以外は[実施例1]と同じ方法で含フッ素ポリマー薄膜を調製し、その後、実施例1 と同様の方法で含フッ素ポリマー薄膜上より親水性のポリマーであるPMTACをグラフトさせる操作を行った。
【0110】
[試験例1]α-Cl(C4)アクリレート薄膜のPMTACグラフトによる表面改質前後のX線光電子分光(XPS) 測定による表面分析
XPS測定は、Phi ESCA 5800 (Physical Electronics, Inc.)を用いた。測定光源には単色化Al Kαを用い、加速電圧14 kV、電流25 mA、光電子放出角45°で測定(表面分析深さ数nm)を行った。
【0111】
改質前の薄膜[比較例1]の測定では、F1s、C1s、O1s に起因したスペクトルがそれぞれ観察でき、ピークの積分比より求めた表面組成比も理論値の値と同値であった。また、C1sのハイレゾリューション測定において、CF3 基、CF2基に由来するケミカルシフトピークが観察された。一方、表面改質後の薄膜[実施例1](PMTACグラフト後)のXPS 測定プロファイルにおいては、F1s のスペクトルが消失し、N1s のピークが観察された。改質後の薄膜の表面組成比はC/O/F =0.74/0.16/0.01 となり、これは、改質に用いたポリマーであるPMTAC の表面組成比と一致していた。また、C1s のハイレゾ測定においても、CF3 基、CF2 基の結合由来のケミカルシフトピークが消失していることが確認された。このことより、薄膜表面全体にわたり、PMTAC がグラフトされていることが確認できた。
【0112】
【表1】
【0113】
[試験例2]α-Cl(C4)アクリレート薄膜の表面改質前後(PMTACグラフト前後)での対水接触角測定
表面改質前である比較例1と表面改質後である実施例1の対水接触角の測定を行った。本試験は、25℃、湿度60%以下の条件にて行い、水滴体積を2 μlとした。装置は、DSA-10 (Kruss Co., Ltd.製)を用いた。
【0114】
改質前の薄膜表面の対水接触角は110°以上であり、高い撥水性を示した。一方、改質後の薄膜表面上の水滴は滴下直後に濡れ拡がり、正確な接触角を測定できなかった。Siウエハにハロゲン基含有単分子膜を形成した表面からグラフトしたMTACポリマーブラシ薄膜表面も同様の親水性表面を示すことを確認済みである[Langmuir, 28, 7212(2012)]。これらの結果から、PMTACがα-Cl(C4)アクリレート薄膜表面全体にわたり、グラフトされていることが確認された。
【0115】
【表2】
【0116】
[試験例3]α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜の表面改質前後でのXPS 測定による表面分析
[試験例1]と同様にα-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜の表面改質前後でのXPS 測定の結果を示す。改質前の薄膜である[比較例2]の測定では、F1s、C1s、O1s に起因したスペクトルがそれぞれ観察でき、ピークの積分比より求めた表面組成比も理論値の値と同値であった。また、C1s のハイレゾリューション測定においても、CF3 基、CF2 基に由来するケミカルシフトピークが観察された。また、表面改質後[実施例2]のXPS 測定プロファイルにおいては、改質前と同様にF1s、C1s、O1s に起因したスペクトルがそれぞれ観察でき、ピークの積分比より求めた表面組成比もフッ素薄膜の理論値の値と同値であった。しかし、表面改質後のサンプルを水和状態[Macromolecules, 43, 454(2010)に記載の方法]で測定したXPS の結果は、F1sのスペクトルが完全に消失し、N1sのピークが観察された。改質後の水和状態での薄膜の表面組成比はC/O/F =84/12/2となり、これは、改質に用いたポリマーであるPMTAC の表面組成比に近い値であった。また、C1s のハイレゾ測定においても、CF3 基、CF2 基の結合由来のケミカルシフトピークが消失していることが確認された。このことより、薄膜表面全体にわたり、PMTAC がグラフトされていることが確認できた。
【0117】
【表3】
【0118】
[試験例4]親水性ポリマーPMTACによる表面改質後のα-Cl(C4)アクリレート薄膜とα-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜の接触角測定
表面改質後のC4 アクリレート薄膜[比較例3]とα-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜[実施例2]の空気雰囲気下、水雰囲気下での接触角測定を行った。空気雰囲気下における対水接触角の測定条件は実施例1と同様である。水雰囲気下での接触角測定は、ガラス製の容器に水を入れ、水中にて専用治具とマグネットで試料測定面と地面と向かい合わせるように固定し、シリンジにて気泡2μlを測定面に静置することで行った.接触角計で水中における気泡の接触角を測定し、180°から気泡の接触角を引いた値が水雰囲気中での対水接触角である。この方法で接触角を測定することにより水と環境応答した後の表面化学組成が議論できる。
[比較例3]および[実施例2]の空気雰囲気中での対水接触角は、どちらも100°以上を示した。一方、水中における接触角は、比較例3は61°、実施例2では36°と異なる結果が得られた。比較例3の61°という値は、C4 アクリレート薄膜の水雰囲気下での接触角[Macromolecules, 38, 5699(2005)]、[実施例2]の36°という値はMTAC ポリマーブラシ薄膜の水雰囲気下での接触角[Langmuir, 28, 7212(2012)]とほぼ一致することを確認済みである。これらの結果から、C4 アクリレート薄膜表面からPMTAC はグラフトできておらず、α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体薄膜からはPMTAC がグラフトできていることが確認できた。このため、α-Cl(C4)アクリレートのα位のCl を起点としてPMTAC がグラフトしているといえる。
【0119】
【表4】
【0120】
[試験例5]温度依存水平力顕微鏡(LFM)観察
実施例2で用いた幹ポリマー[α-Cl(C4)アクリレート/C4 アクリレート共重合体]について、環境応答性ポリマーとしての利用できる可能性を調べる目的で、温度依存水平力顕微鏡(LFM)測定を行った。結果を図1に示す。この結果から、このベースポリマー薄膜表面のTはおよそ240K(約−33.2℃)であろうと推定された。したがって、このTよりも高い温度(例えば常温:以下、常温は断らない限り25℃とする)で使用する場合には、グラフトされた枝ポリマーは動くことができるので、環境応答性を発現しうることが判った。
【0121】
実際に、試験例4で示したように、水中において、実施例2で得られた改質ポリマーの表面(正確には水界面)では親水性のMTAC ポリマーブラシが配向していることが明らかになった。
図1