特許第6209942号(P6209942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209942
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】取引装置及び取引方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   G07D9/00 451B
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-227073(P2013-227073)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-88026(P2015-88026A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 秀一
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−287037(JP,A)
【文献】 特開2001−006027(JP,A)
【文献】 特表2014−521138(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/001521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の取引に係る情報処理を行う複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置において、
上記情報処理装置に、取引に係る情報処理を依頼するための電文を生成する取引電文生成手段と、
上記取引電文生成手段が生成した電文の内容を解析して、取引種別に応じて、複数の上記情報処理装置から一部又は全部の上記情報処理装置を、当該電文の送信先として決定する送信先決定手段と、
上記取引電文生成手段が生成した電文を、そのまま又は加工して、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置に送信する電文送信処理手段と
を有することを特徴とする取引装置。
【請求項2】
上記電文送信処理手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文の仕様が上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置で対応する電文の仕様と異なる場合には、上記取引電文生成手段が生成した電文を送信先の上記情報処理装置で対応する仕様の電文に変換して送出することを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項3】
上記電文送信処理手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文の仕様が、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置で対応する電文の仕様と一致する場合には、上記取引電文生成手段が生成した電文をそのまま上記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の取引装置。
【請求項4】
外部の取引に係る情報処理を行う複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置において、
上記情報処理装置に、取引に係る情報処理を依頼するための電文を生成する取引電文生成手段と、
上記取引電文生成手段が生成した電文の内容を解析して、複数の上記情報処理装置から一部又は全部の上記情報処理装置を、当該電文の送信先として決定する送信先決定手段と、
上記取引電文生成手段が生成した電文を、そのまま又は加工して、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置に送信する電文送信処理手段と、
上記情報処理装置に、当該取引装置の状態を報告するための電文を生成する装置状態電文生成手段とを備え、
上記電文送信処理手段は、上記情報処理装置のそれぞれに対して、上記装置状態電文生成手段が生成した電文のうち当該情報処理装置で必要とするデータを抽出し、その抽出したデータを含む電文を生成して当該情報処理装置に送信する
ことを特徴とする取引装置。
【請求項5】
上記電文送信処理手段は、上記情報処理装置のそれぞれに対して、上記抽出したデータに基づく電文を生成する際に、当該情報処理装置で対応する仕様の電文を生成することを特徴とする請求項4に記載の取引装置。
【請求項6】
外部の取引に係る情報処理を行う複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置が行う取引方法において、
該取引装置は、取引電文生成手段、送信先決定手段、及び電文送信処理手段を有し、
上記取引電文生成手段は、上記情報処理装置に、取引に係る情報処理を依頼するための電文を生成し、
上記送信先決定手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文の内容を解析して、取引種別に応じて、複数の上記情報処理装置から一部又は全部の上記情報処理装置を、当該電文の送信先として決定し、
上記電文送信処理手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文を、そのまま又は加工して、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、取引装置及び取引方法に関し、例えば、銀行などの金融機関やコンビニエンスストアなどに設置されるATM(Automated Teller Machine;現金自動取引装置)等に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客の操作にて、現金の入金や出金を行う現金自動取引装置は、ホストコンピュータと接続され、顧客が取引を行う際、ホストコンピュータと現金自動取引装置(ATM)間で協働して、あらかじめ決められた電文仕様に基づいた情報処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。そして、従来の現金自動取引装置では、顧客が入力した顧客情報やカード情報、暗証番号などの情報と、取引種類、取引金額などをホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータからの承認情報を受信したうえで、取引を完了させる処理(例えば、トランザクション処理等による処理)を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−80434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の現金自動取引装置のうち、従来、入金のみ、または、出金のみの取引に対応した装置がある。このような装置を用いてきた金融機関などでは、入金と出金で異なるホストコンピュータを構築している場合がある。このような金融機関が、同一の装置で入金と出金を可能とする現金自動取引装置を導入しようとした場合、ホストコンピュータの仕様変更(例えば、プログラムの変更等)が必要になるという課題がある。
【0005】
そのため、複数の情報処理装置(例えば、ホストコンピュータ)のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置(例えば、現金自動取引装置)の仕様変更を容易とすることができる取引装置及び取引方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、外部の取引に係る情報処理を行う複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置において、(1)上記情報処理装置に、取引に係る情報処理を依頼するための電文を生成する取引電文生成手段と、(2)上記取引電文生成手段が生成した電文の内容を解析して、取引種別に応じて、複数の上記情報処理装置から一部又は全部の上記情報処理装置を、当該電文の送信先として決定する送信先決定手段と、(3)上記取引電文生成手段が生成した電文を、そのまま又は加工して、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置に送信する電文送信処理手段とを有することを特徴とする取引装置。
【0007】
第2の本発明は、外部の取引に係る情報処理を行う複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置が行う取引方法において、(1)取引電文生成手段、送信先決定手段、及び電文送信処理手段を有し、(2)上記取引電文生成手段は、上記情報処理装置に、取引に係る情報処理を依頼するための電文を生成し、(3)上記送信先決定手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文の内容を解析して、取引種別に応じて、複数の上記情報処理装置から一部又は全部の上記情報処理装置を、当該電文の送信先として決定し、(4)上記電文送信処理手段は、上記取引電文生成手段が生成した電文を、そのまま又は加工して、上記送信先決定手段が決定した送信先の上記情報処理装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の情報処理装置のうち一部又は全部と協働して取引に係る処理を行う取引装置の仕様変更を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る現金自動取引装置の機能的構成、及び、実施形態に係る現金自動取引装置を備える取引システムの全体構成について示したブロック図。
図2】第1の実施形態に係る現金自動取引装置の外観斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る現金自動取引装置で生成される取引に係る電文の構成例について示した説明図である。
図4】第1の実施形態に係る現金自動取引装置で入金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。
図5】第1の実施形態に係る現金自動取引装置で出金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。
図6】第2の実施形態に係る現金自動取引装置の機能的構成、及び、実施形態に係る現金自動取引装置を備える取引システムの全体構成について示したブロック図。
図7】第2の実施形態に係る現金自動取引装置で入金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。
図8】第2の実施形態に係る現金自動取引装置で出金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。
図9】第2の実施形態に係る現金自動取引装置で実行される電文変換処理の具体例について示した説明図(その1)である。
図10】第2の実施形態に係る現金自動取引装置で実行される電文変換処理の具体例について示した説明図(その2)である。
図11】第3の実施形態に係る現金自動取引装置で出金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。
図12】第3の実施形態に係る現金自動取引装置で実行される電文変換処理の具体例について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置及び取引方法を現金自動取引装置(ATM)に適用した場合の例について説明する。
【0011】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、本発明の取引装置を適用した現金自動取引装置1の機能的構成、及び、現金自動取引装置1を備える取引システム1000の全体構成について示したブロック図である。
【0012】
図1に示す取引システム1000には、本発明の取引装置を適用した現金自動取引装置1と、2台の情報処理装置としてのホストコンピュータ2(ホストコンピュータ2−1、ホストコンピュータ2−2)が配置されている。なお、取引システム1000上に配置される各装置の数は限定されないものである。
【0013】
なお、ホストコンピュータ2−1とホストコンピュータ2−2とは、物理的に同一のハードウェアであってもよいし、1つのハードウェア(シャーシ)内に構築されたシステムであってもよい。例えば、ホストコンピュータ2−1とホストコンピュータ2−2とは、ネットワークNに接続する通信部分を2つ備えるホストコンピュータにより構築されたものであってもよい。すなわち、ホストコンピュータ2−1とホストコンピュータ2−2とは、現金自動取引装置1から見てネットワークN上での接続先(接続アドレス等の識別子)が異なる構成であれば、その具体的な構成は限定されないものである。
【0014】
現金自動取引装置1は、顧客の操作とホストコンピュータ2からの指示に基づき、現金の入金や出金を行う機能を備えている。ホストコンピュータ2は、現金自動取引装置1から受信した情報を分析した上で取引の成立可否を判定し、結果を現金自動取引装置1に送信する。自動取引装置1は、取引処理を行う顧客の操作や、ホストコンピュータ2との通信を伴う協働処理(例えば、トランザクション処理)により、当該顧客との取引処理(例えば、当該顧客の口座からの現金の出金等)を行う。
【0015】
次に、現金自動取引装置1の内部構成について説明する。
【0016】
現金自動取引装置1、制御部10、操作表示部20、現金処理部30、カード情報読取部40、及びレシート印字部50を有している。
【0017】
制御部10は、現金自動取引装置1内の各部の動作を制御する機能を担っているものであり、取引処理部11、通信部12、及び振分通信部13を有している。
【0018】
制御部10は、例えば、プロセッサや通信インタフェース等を有するコンピュータ(プログラムの実施構成)に実施形態の取引プログラム等をインストールすることにより実現するようにしてもよい。その場合でも、制御部10の機能的構成は図1のように示すことができる。
【0019】
取引処理部11は、顧客との取引処理を行うための情報処理(顧客への操作画面の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴って現金自動取引装置1内の各構成要素の制御等を行うものである。この他、取引処理部11は、通信部12を介して、ホストコンピュータ2−1、2−2と情報の送受信を行うことができる。
【0020】
取引電文生成手段としての通信部12は、ホストコンピュータ2とのデータ送受信を行うための電文を生成(所定の電文仕様に基づく電文を生成)して、送受信するものである。そして、制御部10では、通信部12は、直接ネットワークNには接続されておらず、振分通信部13を介して接続されている。通信部12は、例えば、取引処理部11で受付けた取引内容(例えば、入金取引の取引内容等)について、ホストコンピュータ2に情報処理(例えば、トランザクション処理)を依頼するための電文を生成して送信する処理を行う。また、例えば、通信部12は、ホストコンピュータ2からの要求や当該装置の動作状態(例えば、障害発生状況や現金処理部30の収納状況等)に応じた報告を、ホストコンピュータ2へ送信するための電文を生成する処理等を行う。
【0021】
通信部12は、生成した電文を、振分通信部13に供給する。なお、通信部12自体は、特にホストコンピュータ2−1又はホストコンピュータ2−2のいずれかを宛先として指定した電文生成は行わない。
【0022】
通信部12が生成する電文のフォーマットについては限定されないものだが、この実施形態では通信部12において生成される取引に係る電文の構成は図3のように表すことができるものとする。図3に示す電文D(通信部12で生成される取引に係る電文)は、当該電文に係る取引種別(属性)を示す取引種別判別部と、当該電文に係る取引の内容(例えば、カード情報、暗証番号、金額等)を表す取引データ部の2つの構成要素を有しているものとする。この実施形態では、取引種別判別部は、後述する振分通信部13が、ホストコンピュータ2−1、2−2のいずれに当該電文を振り分けるかを決定するためのラベルとして用いられるものとする。なお、図3では、電文Dの先頭に取引種別判別部のフィールドが配置されているが、取引種別判別部の電文D上の位置は当該電文の電文仕様に基づいて定まるものである。
【0023】
送信先決定手段及び電文送信処理手段としての振分通信部13は、通信部12が送受信する電文の通信制御処理を行うものである。具体的には、振分通信部13は、通信部12で生成し送出された電文の内容に応じて、当該電文の送信先のホストコンピュータ2(ホストコンピュータ2−1またはホストコンピュータ2−2)を決定し、当該電文について決定した送信先を宛先(宛先アドレス)とするフレーム(電文を挿入したフレーム)を生成して、ネットワークN上に送出する処理を行う。例えば、ネットワークNがIPネットワークであれば、振分通信部13は、決定した送信先を宛先アドレスとするIPパケットを生成して、当該IPパケットのデータ部分(トレーラ)に電文のデータを挿入して送出する処理を行うようにしてもよい。
【0024】
ここでは、上述の通り、振分通信部13は、通信部12が供給される電文に含まれる取引種別判別部の内容に応じて、ホストコンピュータ2−1、2−2のいずれに当該電文を振り分けるかを決定するものとする。
【0025】
この実施形態では、電文の取引種別判別部に、「入金取引」を示す値が設定されていた場合、振分通信部13は、当該電文をホストコンピュータ2−1宛てに送信するものとする。また、電文の取引種別判別部に、「出金取引」を示す値が設定されていた場合、振分通信部13は、当該電文をホストコンピュータ2−2宛てに送信するものとする。
【0026】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の取引システム1000の動作(実施形態の取引方法)を説明する。
【0027】
図4は、現金自動取引装置1で、入金取引が行われる場合のフローについて示したシーケンス図である。
【0028】
まず、顧客により操作表示部20(タッチパネルディスプレイ21図2参照))に対する操作に応じて、制御部10(取引処理部11)で入金取引が開始され(S101)、さらに、顧客によりカード情報読取部40(カード挿入排出口401)にキャッシュカードが挿入されたものとする(S102)。
【0029】
そして、顧客により、操作表示部20(暗証番号入力部22)を用いた暗証番号が入力されたものとする(S103)。
【0030】
そして、現金処理部30(紙幣入出金口301及び又は硬貨入出金口302)に現金が投入され(S104)、投入された現金が現金処理部30により計数され(S105)、計数結果が顧客に確認(例えば、計数結果を表示した確認画面をタッチパネルディスプレイ21で表示して確認)されたものとする(S106)。なお、ここでは、顧客に計数結果が承認されたものとする。
【0031】
そして、通信部12により、上述のステップS10で確認された計数結果に基づく入金取引に係る情報処理(トランザクション処理)を依頼する電文が生成され(S107)、振分通信部13に送信(供給)される(S108)。
【0032】
ここでは、通信部12により制せされる電文の、取引種別判別部には「入金取引」を表す値が設定されているものとする。
【0033】
そして、振分通信部13で、通信部12から供給された電文の取引種別(取引種別判別部の内容)が確認される(S109)
そして、振分通信部13では、当該電文について取引種別(取引種別判別部の内容)に応じた送信先(ホストコンピュータ2−1、2−2のいずれか)が決定され、決定した送信先に当該電文が送信される(S110)。
【0034】
ここでは、上述の通り当該電文は入金取引に係る電文なので、振分通信部13は当該電文をホストコンピュータ2−1に送信することになる。
【0035】
そして、ホストコンピュータ2−1では、現金自動取引装置1(振分通信部13)から送出された電文が受信され(S111)、当該電文に基づく取引可否(入金取引の可否)が判定される(S112)。ホストコンピュータ2−1では取引可能と判定された場合、当該電文の内容に応じた入金取引の情報処理(当該取引に係る口座に入金する情報処理)が実行されることになる。
【0036】
そして、ホストコンピュータ2−1から、現金自動取引装置1(振分通信部13)に取引結果の電文が送信され(S113)、現金自動取引装置1の振分通信部13で受信されたものとする(S114)。
【0037】
そして、振分通信部13により当該電文がそのまま通信部12に送信(供給)され、通信部12で当該電文が受信されたものとする(S115)
次に、取引処理部11により、通信部12が受信した電文(取引完了の結果を示す電文)が確認され、取引完了に伴う処理(例えば、カード情報読取部40(カード挿入排出口401)からのカードの排出やレシート印字部50(レシート排出口501)からのレシート排出等)が実行される(S116)
図5は、現金自動取引装置1で、出金取引が行われる場合のフローについて示したシーケンス図である。
【0038】
まず、顧客により操作表示部20(タッチパネルディスプレイ21)に対する操作に応じて、制御部10(取引処理部11)で出金取引が開始され(S201)、さらに、顧客によりカード情報読取部40(カード挿入排出口401)にキャッシュカードが挿入されたものとする(S202)。
【0039】
次に、顧客により、操作表示部20(暗証番号入力部22)を用いた暗証番号が入力されたものとする(S203)。
【0040】
次に、顧客により、操作表示部20(暗証番号入力部22)を用いた出金金額の入力受付(例えば、出金金額の入力画面をタッチパネルディスプレイ21で表示して入力受付)が行われたものとする(S204)。
【0041】
次に、通信部12により、上述のステップS204で確認された計数結果に基づく出金取引に係る情報処理(トランザクション処理)を依頼する電文が生成され(S205)、振分通信部13に送信(供給)される(S206)。
【0042】
ここでは、通信部12により制せされる電文の、取引種別判別部には「出金取引」を表す値が設定されているものとする。
【0043】
そして、振分通信部13で、通信部12から供給された電文の取引種別(取引種別判別部の内容)が確認される(S207)
次に、振分通信部13では、当該電文について取引種別(取引種別判別部の内容)に応じた送信先(ホストコンピュータ2−1、2−2のいずれか)が決定され、決定した送信先に当該電文が送信される(S208)。
【0044】
ここでは、上述の通り当該電文は出金取引に係る電文なので、振分通信部13は当該電文をホストコンピュータ2−2に送信することになる。
【0045】
そして、ホストコンピュータ2−2では、現金自動取引装置1(振分通信部13)から送出された電文が受信され(S209)、当該電文に基づく取引可否(出金取引の可否)が判定される(S210)。ホストコンピュータ2−2では取引可能と判定された場合、当該電文の内容に応じた出金取引の情報処理(当該取引に係る口座から出金する情報処理)が実行される。
【0046】
そして、ホストコンピュータ2−1から、現金自動取引装置1(振分通信部13)に取引結果の電文が送信され(S211)、現金自動取引装置1の振分通信部13で受信されたものとする(S212)。
【0047】
次に、振分通信部13により当該電文がそのまま通信部12に送信(供給)され、通信部12で当該電文が受信されたものとする(S213)。
【0048】
次に、取引処理部11により、通信部12が受信した電文(取引完了の結果を示す電文)が確認され、取引結果が取引可能という結果だった場合、現金処理部30を制御して出金(収納している現金を紙幣入出金口301及び又は硬貨入出金口302から出金)させる(S214)
次に、取引処理部11により、取引完了に伴う処理(例えば、カード情報読取部40からのカードの排出やレシート印字部50からのレシート排出等)が実行され(S215)取引終了となる。
【0049】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0050】
現金自動取引装置1の通信部12は、振分通信部13を介して、ホストコンピュータ2−1、2−2(ネットワークN)と接続している。これにより、現金自動取引装置1では、入金と出金で異なるホストコンピュータ2と接続する場合であっても、それぞれのホストコンピュータ2の通信仕様が同じであれば、ホストコンピュータ2−1、2−2の仕様(電文処理に係るプログラム)を変更せずに、入金および出金の運用が可能となる。
【0051】
また、現金自動取引装置1では、通信部12とネットワークNとの間に振分通信部13を挿入するだけで、容易に上述の効果を奏することができる。例えば、既存の現金自動取引装置の内部又は外部に、振分通信部13を接続することにより、容易に上述の仕様変更を行うことができる。
【0052】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置及び取引方法を現金自動取引装置(ATM)に適用した場合の例について説明する。
【0053】
(B−1)第2の実施形態の構成
図6は、本発明の取引装置を適用した第2の実施形態の現金自動取引装置1Aの機能的構成、及び、現金自動取引装置1Aを備える取引システム1000Aの全体構成について示したブロック図である。
【0054】
第2の実施形態の現金自動取引装置1Aでは、制御部10が制御部10Aに置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。そして、第2の実施形態の制御部10Aでは、振分通信部13が通信振分変換部14に置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。
【0055】
通信振分変換部14は、電文の内容(例えば、取引種別判別部)に応じてホストコンピュータ2を選択して送信する点では、第1の実施形態の振分通信部13と同様である。ただし、通信振分変換部14は、電文を送受信する際に、電文の内容自体を供給先(送信先)で処理可能な形式(電文仕様)に変換する等の処理(以下、「電文変換処理」と呼ぶ)を行う点で、第1の実施形態の振分通信部13と異なっている。
【0056】
以下では、ホストコンピュータ2−1が対応する電文仕様を「電文仕様A」と呼び、ホストコンピュータ2−2が対応する電文仕様を「電文仕様B」と呼ぶものとする。なお、「電文仕様A」と「電文仕様B」は異なるデータ形式となっているが格納されるデータの実質的な定義内容(取引内容に対応する項目)は共通しているものとする。
【0057】
ここでは、通信部12は、ホストコンピュータ2−1と通信するための電文仕様Aに基づいて電文を生成するものとして説明する。また、通信振分変換部14は、通信部12から供給された電文をホストコンピュータ2−1に送信する際には、当該電文の変換処理を行わずに送信する。さらに、通信振分変換部14は、通信部12から供給された電文をホストコンピュータ2−2に送信する際には、当該電文を電文仕様Bに変換してから送信する。さらにまた、通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−1から供給された電文についてはそのまま通信部12に転送し、ホストコンピュータ2−2から供給された電文については電文仕様Aに変換してから通信部12に転送する。
【0058】
なお、ここでは、通信振分変換部14には、予め通信部12、及び各ホストコンピュータ2−1、2−2が対応する電文仕様について予め設定されており、各電文仕様間の取引データ部の変換処理方式についても予め定義データ(変換処理プログラム)が保持されているものとして説明する。
【0059】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の取引システム1000Aの動作(実施形態の取引方法)を説明する。
【0060】
図7は、現金自動取引装置1Aで、入金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。図7では、第1の実施形態の動作(上述の図4)と同様の動作の処理については同一のステップ番号(符号)を付している。
【0061】
第2の実施形態の現金自動取引装置1Aで、入金取引が行われる場合、振分通信部13の処理が通信振分変換部14の処理に置き換わるだけであるため、以下では第2の実施形態の通信振分変換部14の動作を中心に説明する。
【0062】
具体的には、第2の実施形態の現金自動取引装置1Aで、入金取引が行われる場合、通信振分変換部14の処理以外の処理(ステップS101〜ステップS108、ステップS111〜ステップS113、ステップS115、ステップS116)については、第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0063】
まず、通信振分変換部14による電文の送信処理(ステップS301〜S303)について説明する。
【0064】
通信振分変換部14では、ステップS108の処理により、通信部12から電文が供給されると、当該電文の取引種別(取引種別判別部の内容)が確認される(S301)
そして、振分通信部13では、当該電文について取引種別(取引種別判別部の内容)に応じた送信先(ホストコンピュータ2−1、2−2のいずれか)が決定され、さらに電文変換処理の要否が判定される(S302)。ここでは、上述の通り当該電文は入金取引に係る電文なので、通信振分変換部14は当該電文をホストコンピュータ2−1に送信すると決定することになる。そして、通信振分変換部14は、通信部12の電文仕様(電文仕様A)と、ホストコンピュータ2−1の電文仕様(電文仕様A)とを比較して、電文仕様が同じであるので電文変換処理は不要と判定することになる。
【0065】
したがって、通信振分変換部14は、通信部12から供給された電文(電文仕様A)をそのままホストコンピュータ2−1に送信する処理を行うことになる(S303)。
【0066】
次に、通信振分変換部14による電文の受信処理(ステップS401)について説明する。
【0067】
通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−1から電文を受信すると、電文変換処理の要否を判定する(S401)。
【0068】
ここでは、通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−1の電文仕様(電文仕様A)と、通信部12の電文仕様(電文仕様A)とを比較して、電文仕様が同じであるので電文変換処理は不要と判定し、当該電文(電文仕様A)をそのまま通信部12に送信する処理を行うことになる。
【0069】
図8は、現金自動取引装置1Aで、出金取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。図8では、第1の実施形態の動作(上述の図5)と同様の動作の処理については同一のステップ番号(符号)を付している。
【0070】
第2の実施形態の現金自動取引装置1Aで、出金取引が行われる場合、振分通信部13の処理が通信振分変換部14の処理に置き換わるだけであるため、以下では第2の実施形態の通信振分変換部14の動作を中心に説明する。
【0071】
具体的には、第2の実施形態の現金自動取引装置1Aで、出金取引が行われる場合、通信振分変換部14の処理以外の処理(ステップS201〜ステップS206、ステップS209、ステップS211、ステップS213〜ステップS215)については、第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0072】
まず、通信振分変換部14による電文の送信処理(ステップS501〜S504)について説明する。
【0073】
通信振分変換部14では、ステップS206の処理により、通信部12から電文が供給されると、当該電文の取引種別(取引種別判別部の内容)が確認される(S501)
そして、振分通信部13では、当該電文について取引種別(取引種別判別部の内容)に応じた送信先(ホストコンピュータ2−2、2−2のいずれか)が決定され、さらに電文変換処理の要否が判定される(S502)。ここでは、上述の通り当該電文は出金取引に係る電文なので、通信振分変換部14は当該電文をホストコンピュータ2−2に送信すると決定することになる。そして、通信振分変換部14は、通信部12の電文仕様(電文仕様A)と、ホストコンピュータ2−2の電文仕様(電文仕様B)とを比較して、電文仕様が異なるため電文変換処理が必要と判定することになる。
【0074】
したがって、通信振分変換部14は、通信部12から供給された電文(電文仕様A)を、電文仕様Bの電文に変換する電文変換処理を行ってから(S503)、ホストコンピュータ2−2に送信する処理を行うことになる(S504)。
【0075】
図9は、上述のステップS503における送信電文の電文変換処理の具体例について示した説明図である。図9(a)は、電文変換処理前の出金取引の電文(電文仕様A)について示した説明図である。図9(b)は、図9(a)の電文を電文仕様Bに電文変換処理を行った場合の電文について示した説明図である。
【0076】
図9(a)に示すように、通信部12が生成した電文仕様Aの出金取引に係る電文には、カード情報、暗証番号、取引種別(取引種別判別部)、金額の順序で各フィールドのデータが配置されている。なお、電文仕様Aの取引種別では、入金取引の場合「01」、出金取引の場合は「0」が設定されるものとする。したがって、図9(a)では取引種別に「02」が設定されている。
【0077】
図9(b)に示すように、電文仕様Bの出金取引に係る電文には、カード情報、取引種別、固定データ、暗証番号、金額の順序で各フィールドのデータが配置されている。なお、電文仕様Bの取引種別では、入金取引の場合「5000」、出金取引の場合は「6000」が設定されるものとする。したがって、図9(b)では取引種別に「6000」が設定されている。また、電文仕様Bに基づく取引に係る電文(現金自動取引装置1Aからホストコンピュータ2へ送信される電文)では、取引種別と暗証番号の間に、固定データ(1234)が設定される。したがって、通信振分変換部14では、図9(a)に示す電文のうち取引種別を電文仕様Bの値に変更して、固定データを加え、各フィールドのデータを図9(b)の順序に並び替えることにより電文変換処理が可能になる。
【0078】
このように、通信振分変換部14では、各電文仕様間の電文変換処理の手順(プログラム)を定義して保持することにより、電文変換処理を行うことができる。
【0079】
次に、通信振分変換部14による電文の受信処理(ステップS601〜S603)について説明する。
【0080】
通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−2から電文を受信すると、電文変換処理の要否を判定する(S601)。
【0081】
ここでは、通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−2の電文仕様(電文仕様B)と、通信部12の電文仕様(電文仕様A)とを比較して、電文仕様が異なるため電文変換処理が必要と判定することになる。
【0082】
したがって、通信振分変換部14は、ホストコンピュータ2−2から供給された電文(電文仕様B)を、電文仕様Aの電文に変換する電文変換処理を行ってから、通信部12に送信する処理を行うことになる(S602)。
【0083】
図10は、上述のステップS602における送信電文の電文変換処理の具体例について示した説明図である。図10(a)は、電文変換処理前の取引結果に係る電文(電文仕様B)について示した説明図である。図10(b)は、図10(a)の電文を電文仕様Aに電文変換処理を行った場合の電文について示した説明図である。
【0084】
図10(a)に示すように、通信部12が生成した電文仕様Bの出金取引に係る電文には、承認番号、取引判定結果、固定データの順序で各フィールドのデータが配置されている。なお、電文仕様Bの取引判定結果には、取引可の場合「10」、取引不可の場合は「20」が設定されるものとする。図10(a)では取引判定結果に取引可を示す「10」が設定されている。
【0085】
図10(b)に示すように、電文仕様Aの出金取引に係る電文には、取引判定結果、承認番号の順序で各フィールドのデータが配置されている。なお、電文仕様Aの取引判定結果には、取引可の場合「300」、取引不可の場合は「500」が設定されるものとする。図10(b)では取引判定結果に取引可を示す「300」が設定されている。以上のように、通信振分変換部14では、図10(a)に示す電文のから固定データを除き、各フィールドのデータを図10(b)の順序に並び替えることにより電文変換処理が可能になる。
【0086】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、以下のような効果を奏することができる。
【0087】
第2の実施形態の現金自動取引装置1Aでは、通信振分変換部14Bを介して、ホストコンピュータ2−1、2−2と接続(ネットワークN)している。これにより、現金自動取引装置1Aでは、入金と出金で異なるホストコンピュータ2と接続し、それぞれのホストコンピュータ2の通信仕様(電文仕様)が異なる場合であっても、通信振分け変換部14により、電文仕様を相互に変換することで、ホストコンピュータ2の仕様(電文処理に係るプログラム)を変更せずに、入金および出金の運用が可能となる。
【0088】
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置及び取引方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置及び取引方法を現金自動取引装置(ATM)に適用した場合の例について説明する。
【0089】
(C−1)第3の実施形態の構成
本発明の取引装置を適用した第3の実施形態の現金自動取引装置1Bの機能的構成、及び、現金自動取引装置1Bを備える取引システム1000Bの全体構成についても上述の図6を用いて示すことができる。
【0090】
第3の実施形態の現金自動取引装置1Bでは、制御部10Aが制御部10Bに置き換わっている点で第2の実施形態と異なっている。そして、第3の実施形態の制御部10Bでは、通信振分変換部14が通信振分変換部14Bに置き換わっている点で第2の実施形態と異なっている。
【0091】
現金自動取引装置1Bの制御部10B(取引処理部11)では、現金処理部30への現金の装填(補充)及び回収や、顧客による入金や出金により、装置内の現金有高(現金処理部30内の金種ごとの収納数)が変化するため、現金有高が変化したタイミングで、現金有高をホストコンピュータヘ通知する処理(以下、「有高送信処理」と呼ぶ)を行うものとする。
【0092】
そして、通信振分変換部14Bは、通信部12から供給された電文がホストコンピュータ2への有高送信処理を行うための電文だった場合、当該電文について、ホストコンピュータ2−1、2−2のそれぞれに対する報告内容(有高情報)を抽出して、ホストコンピュータ2−1、2−2のそれぞれに対応する電文様式で電文を生成し、ホストコンピュータ2−1、2−2のそれぞれに送信する処理を行う点で第2の実施形態と異なっている。
【0093】
通信振分変換部14Bが、取得した電文が有高送信処理に係る電文であるか否かを判定する方法は限定されないものであるが、例えば、有高送信処理に係る電文固有の識別データやデータ構造を読み取って判定するようにしてもよい。
【0094】
図12は、通信振分変換部14Bが行う有高送信処理に係る電文の変換処理の例について示した説明図である。
【0095】
ここでは、通信部12が生成する有高送信処理の電文には、図12(a)に示すように、装置内枚数(現金処理部30に収納された現金全体の金種ごとの枚数)、出金可能枚数(現金処理部30から出金可能な現金の金種ごとの枚数)、入金枚数(現金処理部30に入金された現金の金種ごとの枚数)の順序で各フィールドのデータが配置されている。
【0096】
そして、ここでは、ホストコンピュータ2−1は主として入金取引に係る処理を行い、ホストコンピュータ2−2は主として出金取引に係る処理を行うものとしている。そのため、通信振分変換部14Bは、ホストコンピュータ2−1向けには、有高送信処理の電文として、入金枚数のフィールドのデータが設定された電文仕様Aの電文(図12(b)の電文)を生成して送信するものとする。また、信振分け変換部14Bは、ホストコンピュータ2−2向けには、有高送信処理の電文として、出金可能枚数のフィールドのデータが設定された電文仕様Bの電文(図12(c)の電文)を生成して送信するものとする。
【0097】
以上のように、通信振分変換部14Bは、取引処理に係る電文以外にも、有高送信処理に係る電文等、種々の電文について変換処理することができる。また、通信振分変換部14Bは、図12に示すように、通信部12から供給された電文を複数に分割して、分割した電文のデータのそれぞれを、対応する送信先向けの電文仕様の電文に変換して送信する処理を行うようにしてもよい。
【0098】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の取引システム1000Bの動作(実施形態の取引方法)を説明する。なお、取引システム1000Bにおいてその他の動作については、第2の実施形態と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0099】
図11は、現金自動取引装置1Bで、有高送信処理が実行される場合のシーケンス図である。
【0100】
まず、現金自動取引装置1Bの制御部10B(取引処理部11)で、現金処理部30の有高に変動があり、有高送信処理が開始されたものとする(S701)。
【0101】
次に、取引処理部11の制御を契機として、通信振分変換部14Bにより有高をホストコンピュータ2に報告するための電文(上述の図12(a)のデータを含む電文)が生成され(S702)、当該電文が、通信振分変換部14Bに送信される(S703)。
【0102】
通信振分変換部14Bでは、供給された電文が有高送信処理に係る電文であることを認識すると、当該電文に基づいて、ホストコンピュータ2−1向けの電文仕様Aの電文(図12(b)の入金枚数を含む電文)と、ホストコンピュータ2−2向けの電文仕様Bの電文(図12(c)の出金可能枚数を含む電文)とを生成して、それぞれホストコンピュータ2−1、2−2に送信する(S704、S705)。
【0103】
なお、通信振分変換部14Bからホストコンピュータ2−1、2−2への電文送信タイミングは同時であってもよいし、通信部12からの電文に基づいてどちらかのみであってもよい。
【0104】
そして、ホストコンピュータ2−1、2−2のそれぞれで電文が受信されて現金自動取引装置1に係る有高の情報が更新される(S706、S707)。
【0105】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して、以下のような効果を奏することができる。
【0106】
取引システム1000Bのように、入金取引と出金取引で取引に係る情報処理を行うホストコンピュータ2が異なる場合、入金取引に係るホストコンピュータ2−1は装置内の全体または入金された現金の有高情報が必要であり、出金取引に係るホストコンピュータ2−2は出金可能な現金の有高情報が必要となる。そして、現金自動取引装置Bでは、通信振分変換部14Bを用いて、通信部12で生成された電文に基づいて、入金取引に係るホストコンピュータ2−1向けの電文(入金された現金の有高情報に係る電文)と、出金取引に係るホストコンピュータ2−2向けの電文(出金可能な現金の有高情報を含む電文)とを生成して送信している。これにより、取引システム1000Bでは、既存の入金取引または出金取引のみを行う現金自動取引装置(従来現金自動取引装置の)の現金管理方法を変更せずに、入金および出金を行う現金自動取引装置1Bを運用することができる。
【0107】
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0108】
(D−1)第3の実施形態の通信振分変換部14Bでは、取引処理に係る電文と、有高送信処理に係る電文の両方について振分処理及び電文変換処理を行うものとして説明したが、有高送信処理に係る電文の電文変換処理(上述の図11図12の処理)のみを行うようにしてもよい。
【0109】
(D−2)上記の各実施形態の現金自動取引装置が搭載する通信振分変換部では、取引処理に係る電文と、有高送信処理に係る電文について振分処理や電文変換処理を行う例について説明したが、それ以外の電文についても同様の処理を行うようにしてもよい。例えば、現金自動取引装置の状態を通知する電文や、ホストコンピュータから現金自動取引装置に指示を行う電文(例えば、取引開始や、取引一時停止などの電文)についても、同様に通信振分変換部で電文仕様の変換および通信先の振分を行うことで、既存の入金または出金のみを行う現金自動取引装置と全く同じ管理、運用が可能となる。
【符号の説明】
【0110】
1000…取引システム、1…現金自動取引装置、N…ネットワーク、2、2−1、2−2…ホストコンピュータ、10…制御部、11…取引処理部、12…通信部、13…振分通信部、20…操作表示部、21…タッチパネルディスプレイ、22…暗証番号入力部、30…現金処理部、40…カード情報読取部、50…レシート印字部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12