(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指令網点面積率と、当該指令網点面積率でインキを印刷することにより形成される網点が含む濃度階調領域と、当該濃度階調領域の各々の出現率との関係に基づき、供給される前記指令網点面積率に対応する濃度階調領域及び当該濃度階調領域の出現率とを求める濃度階調出現率算出部と、
濃度階調領域及び当該濃度階調領域の各々の出現率と、分光反射率との対応関係を示す計算モデルにより、前記指令網点面積率により形成された網点による再現色を示す分光反射率を、出現する前記濃度階調領域及び当該濃度階調領域の前記出現率に基づいて算出する分光データ算出部と
を備えることを特徴とする色予測装置。
請求項1に記載の計算モデルが、指令網点面積率によるインキが印刷された印刷部分の網点が含む前記濃度階調領域毎に、当該濃度階調領域の分光反射率と当該濃度階調領域の前記出現率とを乗算した結果を加算して、前記指令網点面積率の印刷部分の分光反射率を算出する式であり、
前記指令網点面積率と、前記濃度階調領域の出現率との対応関係を示す対応関数が予め書き込まれて記憶されている出現率テーブルデータベースを
さらに、含み、
前記分光データ算出部が、前記出現率テーブルデータベースから、前記指令網点面積率に対応する前記濃度階調領域の分光反射率と、当該濃度階調領域の出現率を読み出し、前記計算モデルにより、前記指令網点面積率に対応する前記印刷部分の分光反射率を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の色予測装置。
前記インキをベタで印刷した印刷部分を測定した分光反射率から吸収係数及び散乱係数を求め、求めた当該吸収係数及び当該散乱係数により、前記濃度階調領域のインキの厚さに対応する前記濃度階調領域毎の濃度階調分光反射率をクベルカ・ムンクの式により算出し、前記印刷部分の実測の分光反射率と、前記濃度階調分光反射率を用いて前記計算モデルにより算出する分光反射率との差が最小となるように、請求項1に記載の計算モデルにおける前記出現率をフィッティングし、得られた前記濃度階調領域毎の出現率を用い、当該濃度階調領域毎の指令網点面積率と、指令網点面積率にて出現する濃度階調領域の出現率との関係を示す前記対応関数が求められている
ことを特徴とする請求項3に記載の色予測装置。
前記インキをベタで印刷した印刷部分を測定した分光反射率から吸収係数及び散乱係数を求め、求めた当該吸収係数及び当該散乱係数により、濃度階調領域のインキの厚さに対応する濃度階調領域毎の濃度階調分光光学濃度をクベルカ・ムンクの式により算出し、前記印刷部分の実測の分光反射率から求めた分光光学濃度と、前記濃度階調分光光学濃度を用いて前記計算モデルにより算出する分光光学濃度との差が最小となるように、請求項2に記載の計算モデルにおける前記出現率をフィッティングし、得られた前記濃度階調領域毎の出現率を用い、当該濃度階調領域毎の指令網点面積率と、指令網点面積率にて出現する濃度階調領域の出現率との関係を示す前記対応関数が求められている
ことを特徴とする請求項4に記載の色予測装置。
前記インキが複数の原色のインキを複数混合した特色インキの場合、特色インキに含まれる原色インキの比率に応じて吸収係数及び散乱係数の各々を加算し、特色インキの吸収係数及び散乱係数を求める
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の色予測装置。
複数のインキの網点から形成される再現色を推定する場合、各々の網点における前記濃度階調領域の重なり合う領域の組合わせを求め、網点が他の網点の上部に印刷された前記重なる領域における分光反射率を、前記吸収係数及び前記散乱係数と、下部に印刷されている前記他の網点における前記濃度階調領域の分光反射率を、印刷する下地の分光反射率としたクベルカ・ムンクの式により、前記重なり合う領域の各々の分光反射率を算出し、前記組合わせの前記重なり合う領域毎の分光反射率により前記再現色を推定する
ことを特徴とする請求項5に記載の色予測装置。
複数のインキの網点から形成される再現色を推定する場合、各々の網点における前記濃度階調領域の重なり合う領域の組合わせを求め、網点が他の網点の上部に印刷された前記重なる領域における分光光学濃度を、前記吸収係数及び前記散乱係数と、下部に印刷されている前記他の網点における前記濃度階調領域の分光反射率を、印刷する下地の分光反射率としたクベルカ・ムンクの式により、前記重なり合う領域の各々の分光反射率より分光光学濃度を算出し、前記組合わせの前記重なり合う領域毎の分光光学濃度により前記再現色を推定する
ことを特徴とする請求項6に記載の色予測装置。
指令網点面積率と、当該指令網点面積率でインキを印刷することにより形成される網点が含む濃度階調領域と、当該濃度階調領域の各々の出現率との関係に基づき、供給される前記指令網点面積率に対応する濃度階調領域及び当該濃度階調領域の出現率とを求める濃度階調出現率算出過程と、
濃度階調領域及び当該濃度階調領域の各々の出現率と、分光反射率との対応関係を示す計算モデルにより、前記指令網点面積率により形成された網点による再現色を示す分光反射率を、出現する前記濃度階調領域及び当該濃度階調領域の前記出現率に基づいて算出する分光データ算出過程と
を含むことを特徴とする色予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施形態>
本発明においては、グラビア印刷により印刷媒体に対してインキを印刷する際、階調度を示す指令網点面積率に対応した網点が印刷媒体表面に形成される。このグラビア印刷における網点は、インキが印刷される印刷媒体表面の面積(面積変調階調表現)と、印刷されるインキの厚さ(濃度変調階調表現)とが、指令網点面積率に応じて変化する。例えば、グラビア印刷において形成される網点は、山の構造に相似しているということもでき、大きな山ほど裾野が広く高さも高く、この大きな山に比較して小さな山ほど裾野が狭く高さも低い。すなわち、グラビア印刷の網点は、インキが印刷される面積だけでなく、印刷されるインキの厚さも、指令網点面積率に応じて変化する。
【0027】
このため、本実施形態においては、グラビア印刷における網点の構造を、指令網点面積率に対応して、インキが印刷された網点の印刷媒体表面の面積と、印刷される網点におけるインキの厚さとを表す計算モデルを用いる。本実施形態においては、印刷媒体(例えば、用紙)に対してグラビア印刷により印刷した単色の各階調度の色予測を行う際、指令網点面積率で生成される各階調度の網点が、複数の濃度階調領域(等高線と同様な構成)から生成されている網点形状をモデル化した計算モデルを用いる。
【0028】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による色予測装置1の構成例を示すブロック図である。この
図1において、色予測装置1は、入力部101、濃度階調分光反射率算出部102、濃度階調出現率算出部103、濃度階調出現率テーブルデータベース104、測定分光反射率データベース105、吸収係数・散乱係数データベース106、分光反射率予測部108(分光データ算出部)、色予測テーブル作成部109及び出力部110を備えている。
【0029】
入力部101は、例えば、外部のコンピュータと接続されており、ユーザが設定するインキの各原色の指令網点面積率の指定値などのデータを入力する。
また、入力部101は、キーボードあるいはタッチパネルなどの入力手段を有し、この入力手段から入力されるユーザが設定するインキの各原色の指令網点面積率の指定値などのデータを、色予測装置1内部の各部に出力する構成としても良い。
【0030】
吸収係数・散乱係数データベース106には、原色のインキ毎に、指令網点面積率が100%、すなわちベタで印刷媒体(例えば、コート紙などの用紙)に印刷された印刷部分から求めたインキの着色層の散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)が、上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。ここで、散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を求める際、白地及び黒地の各々の印刷媒体に対して、それぞれ原色のインキをベタでグラビア印刷して上記印刷部分を作成する。
【0031】
そして、白地及び黒地の各々の印刷媒体表面にベタで印刷されたインキの着色層の分光反射率をそれぞれ測定する。ここで、白地の印刷媒体表面における印刷部分の分光反射率を白地測定分光反射率とし、黒地の印刷媒体表面における印刷部分の分光反射率を黒地測定分光反射率とする。
この求めた白地測定分光反射率及び黒地測定分光反射率から、原色のインキをベタで印刷媒体に印刷した印刷部分における散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を求める。また、散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)は、所定の波長の範囲で複数の波長λで求められている。
【0032】
測定分光反射率データベース105には、複数の指令網点面積率で印刷媒体に印刷された印刷部分の測定分光反射率Rs(λ)が上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。例えば、この印刷部分はm段階の指令網点面積率で印刷されたステップチャートとなっている。測定分光反射率Rs(λ)を求める際、原色のインキを用いて、複数の指令網点面積率の網点を、実際の印刷に用いる印刷媒体に対してそれぞれグラビア印刷する。ここで、sは指令網点面積率である。そして、印刷媒体に印刷された印刷部分の分光反射率を、指令網点面積率の網点を有する印刷部分毎に測定する。また、測定分光反射率データベース105には、実際の印刷に用いられる印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)が、上述した測定分光反射率Rs(λ)と同様に、上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。
【0033】
濃度階調分光反射率算出部102は、入力部101より供給される原色のインキの種類に応じて、吸収係数・散乱係数データベース106から、対応する原色のインキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を読み出す。また、濃度階調分光反射率算出部102は、測定分光反射率データベース105から、入力部101より供給される印刷媒体の種類に応じて、印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)を読み出す。
【0034】
そして、濃度階調分光反射率算出部102は、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出した原色のインキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と濃度階調
領域の膜厚係数Xm(後述するように、膜厚Xmは濃度階調領域毎に変更する)との各々を、下記の(1)式(クベルカ・ムンクの式)に代入し、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を算出する。
以下の(1)式において、a(λ)は、散乱係数S(λ)と吸収係数K(λ)とを加算し、加算結果を散乱係数S(λ)により除算した数値である。b(λ)は、a(λ)を二乗した数値から1を減算し、減算結果の平方根を計算した数値である。
【0036】
本実施形態において、上述したクベルカ・ムンクの式、すなわち(1)式における膜厚係数X
mは、印刷媒体に原色のインキがベタで印刷された印刷部分を基に、印刷部分の濃度階調を示している。膜厚係数X
mは任意に設定することができ、例えば、最もインキの膜厚が厚いベタの印刷部分を100%として、上記膜厚係数を1とし、この1を濃度階調領域の膜厚の段階数mに対応させて分割する。例えば、指令網点面積率の示す濃度階調領域の膜厚の段階が5段階であれば、m=1、2、3、4、5であり、膜厚係数X
mは、それぞれの濃度階調領域の膜厚の段階に対応して、X
1=1.0、X
2=0.8、X
3=0.6、X
4=0.4、X
5=0.2とする。
【0037】
すでに述べたように、この膜厚係数X
mと、下地の印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)とをクベルカ・ムンクの式である(1)式に代入し、指令網点面積率の網点が含む濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)の各々を算出する。この濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)が、後述する計算モデルで用いる、網点を構成する複数の濃度階調領域の各々の分光反射率として用いられる。
【0038】
濃度階調出現率算出部103は、濃度階調分光反射率算出部102から、濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)の各々を読み込む。また、濃度階調出現率算出部103は、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定分光反射率データベース105から読み込む。
そして、濃度階調出現率算出部103は、以下の(2)式(計算モデル)に対して、濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)の各々を代入し、後述する処理により算出分光反射率R’
KM(s,λ)を算出する。
【0040】
ここで、濃度階調出現率算出部103は、以下の(3)式において、出現率(用紙の印刷部分における網点を構成する各濃度階調の濃度階調領域の面積の比率)の数値を変更しつつ、算出分光反射率R’
KM(s,λ)を算出する。そして、濃度階調出現率算出部103は、算出された算出分光反射率R’
KM(s,λ)の各々と、測定分光反射率Rs(λ)との平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に所定の波長範囲において求める。濃度階調出現率算出部103は、算出分光反射率R’
KM(s,λ)と測定分光反射率Rs(λ)との平均二乗誤差が最も小さくなる濃度階調領域の各々の出現率を求める。ここで、sは指令網点面積率である。
【0041】
そして、濃度階調出現率算出部103は、濃度階調領域の各々の出現率により、各濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を求める。ここで、濃度階調出現率算出部103は、濃度階調領域毎に、得られた出現率を用いて、この出現率を指定網点面積率sの2次関数などをフィッティングし、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を求めてもよい。濃度階調出現率算出部103は、求めた各濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に書き込んで記憶させる。
【0043】
上述したように、濃度階調出現率算出部103は、(2)式の計算モデルを用いて、指令網点面積率によるインキが印刷された印刷部分において、網点が含む濃度階調毎に、濃度階調
領域の濃度階調分光反射率Rim(λ)と濃度階調
領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)とを乗算した結果を加算して、指令網点面積率の印刷部分の分光反射率R’KM(s,λ)(算出分光反射率)を算出する。
【0044】
図2は、指令網点面積率と、指令網点面積率で形成される網点における濃度階調領域の出現率との対応関係を説明する図である。
図2(a)において、横軸が指令網点面積率sを示し、縦軸が出現率aを示している。出現率関数a
m(s)により、指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を求めることができる。濃度階調出現率算出部103は、すでに説明したように濃度階調領域毎の出現率関数a
m(s)の各々を、(3)式で求めた指令網点面積率に対応した濃度階調領域毎の出現率を2次関数の近似式として関数化することにより求める。この
図2(a)は、m=4の場合、すなわち4階調の濃度階調の濃度階調領域の各々の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、a
4(s)の各々を示している。
【0045】
また、
図2(b)は、
図2(a)における指令網点面積率s
1、s
2、s
3、s
4の各々における網点の平面視における形状を示す図である。指令網点面積率s
1においては、濃度階調領域P
1のみが形成されている。また、指令網点面積率s
2においては、濃度階調領域P
1の内部に濃度階調領域P
2が形成される。指令網点面積率s
3においては、濃度階調領域P
2のみが形成されている。また、指令網点面積率s
4においては、濃度階調領域P
3の内部に濃度階調領域P
4が形成される。上述したように、本実施形態においては、(2)式の計算モデルを用いて、この
図2(b)に示す網点構造として、グラビア印刷における網点の構造をモデル化している。
【0046】
図1に戻り、濃度階調出現率算出部103は、求めた濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に対し、濃度階調領域の濃度階調分光反射率と対応させて書き込んで記憶させる。同様に、濃度階調出現率算出部103は、他の原色のインキの各々に対しても、濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に対して、書き込んで記憶させる。
【0047】
また、原色のインキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの場合、上述した原色のインキの印刷部分における網点を構成する濃度階調領域毎の出現率関数a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出して用いる。ここで、特色インキで混ぜ合わせる原色のインキのいずれかの出現率関数a
m(s)を用いても良いし、また混ぜ合わせる原色のインキそれぞれの出現率関数a
m(s)を組合わせて用いてもよい。
また、この特色インキの場合、混ぜ合わせる原色のインキの比率に応じて、以下の(4)式において、特色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を算出する。
【0049】
上記(4)式において、係数α及び係数βの各々は、原色のインキ#1及び原色のインキ#2それぞれの混ぜ合わせる比率を示す係数である。原色のインキ#1の吸収係数K
1(λ)に対して係数αを乗算し、原色のインキ#2の吸収係数K
2に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの吸収係数K
t(λ)としている。同様に、原色のインキ#1の散乱係数S
1(λ)に対して係数αを乗算し、原色のインキ#2の散乱係数S
2(λ)に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの散乱係数S
t(λ)としている。
【0050】
濃度階調分光反射率算出部102は、吸収係数・散乱係数データベース106から、特色インキを構成する原色のインキ#1及び原色のインキ#2の各々の吸収係数K
1(λ)及びK
2(λ)と、散乱係数S
1(λ)及びS
2(λ)を読み出す。また、濃度階調分光反射率算出部102は、印刷媒体の分光反射率である下地分光反射率R
0(λ)を、測定分光反射率データベース105から読み出す。
【0051】
そして、濃度階調分光反射率算出部102は、算出した特色インキの吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとの各々を、上記(1)式に代入して、特色インキの濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)を算出する。
【0052】
次に、分光反射率予測部108は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082及び分光反射率算出部1083を備えている。
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色のインキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
【0053】
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース106から読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、(1)式に下地となるインキの網点における濃度階調領域の濃度階調分光反射率R
im(λ)を下地分光反射率R
g(λ)とする。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地分光反射率R
g(λ)と、下地のインキに対して重なるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数X
mとの各々を代入し、下地のインキの上に重なって印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域における分光反射率を算出する。
【0054】
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、上述した下地のインキの網点の濃度階調領域と、この下地のインキの上に印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域の各々の重なり部分の分光反射率の計算を、下地のインキの網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との組合わせの全てにおいて行う。
【0055】
図3は、下地としてのインキの上に重ねて印刷されるインキの分光反射率の算出を説明する図である。濃度階調分光反射率算出部102は、印刷媒体の分光反射率を下地の分光反射率R
0(λ)とし、インキ1000の領域の吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)とを用いて、(1)式から印刷媒体に対して印刷されたインキ1000の領域の網点の濃度階調領域の分光反射率R
im(λ)を求める。
【0056】
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域1002に示す分光反射率のインキ1000の上に対し、インキの領域1004の上部に印刷された領域1005に示す分光反射率R
KM(λ)を算出する。ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、インキ1000の領域における網点の階調濃度領域の分光反射率R
im(λ)を下地の分光反射率R
g(λ)とし、領域1003に示すインキ1001の吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数X
mを、(1)式に代入して、領域1004におけるインキ1000の領域に重ねて印刷されたインキ1001の網点における濃度階調領域の分光反射率R
KM(λ)を求める。
【0057】
これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキの網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との組合わせおいて、下地のインキの網点上に印刷される上部のインキの網点の濃度階調領域の重なり領域における分光反射率R
KM(λ)を、後述するように、下地のインキの網点と上部のインキ網点とにおける濃度階調領域との組合わせの全てについて求める。
【0058】
図1に戻り、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、…、a
m(s)を読み出す。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの指令網点面積率における網点で出現する濃度階調領域と、この下地のインキに重ね合わせるインキの指令網点面積率における網点で出現する濃度階調領域との各々の出現確率を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出した出現率関数a
1(s)、a
2(s)、…、a
m(s)から求める。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。
【0059】
図4は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合の算出を説明する図である。
図4においては、簡単のため重ね合わせるインキを2種類とし、濃度階調領域の種類も2種類としている。しかしながら、重ね合わせるインキと濃度階調領域の種類との各々が3以上の複数でも、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合の算出は、以下の説明と同様に行うことができる。
【0060】
図4(a)は、濃度階調領域が2種類ある場合を示しており、インキの指令網点面積率(設定網%)と、指令網点面積率における網点に出現する濃度階調領域の各々の出現率との対応関係を示している。濃度階調領域1は膜厚100%であり、濃度階調領域2は膜厚50%である。また、他インキも同様の対応関係を有している。
【0061】
図4(b)は、濃度階調領域1及び濃度階調領域2の各々の重なりを示している。
図4(b)において、例えばインキがシアン(C)とマジェンダ(M)の2種類である。濃度階調領域1及び濃度階調領域2の各々の重なりの組み合わせとしては、領域Q1から領域Q9の9種類がある。領域Q1は、シアンの濃度階調領域1のみの領域である。領域Q2は、シアンの濃度階調領域2のみの領域である。領域Q3は、マジェンダの濃度階調領域1のみの領域である。領域Q4は、マジェンダの濃度階調領域2のみの領域である。領域Q5は、シアン及びマジェンダ各々の濃度階調領域1が重なった領域である。領域Q6は、マジェンダの濃度階調領域2とシアンの濃度階調領域1が重なった領域である。領域Q7は、マジェンダの濃度階調領域1とシアンの濃度階調領域2が重なった領域である。領域Q8は、シアン及びマジェンダの各々の濃度階調領域2が重なった領域である。領域Q9は、シアン及びマジェンダのいずれのインキも存在しない領域である。
【0062】
図5は、
図4における領域Q1から領域Q9のそれぞれの出現率の算出結果を示すテーブルの図である。
図5において、出現率α1はシアンの濃度階調領域1の出現率であり、出現率α2はシアンの濃度階調領域2の出現率である。出現率α0は、出現率α1及び出現率α2の各々を加算したものである(α0=α1+α2)。出現率β1はマジェンダの濃度階調領域1の出現率であり、出現率β2はマジェンダの濃度階調領域2の出現率である。出現率β0は、出現率β1及び出現率β2の各々を加算したものである(β0=β1+β2)。
【0063】
領域Q1及び領域Q2の単次の出現率は、シアンのインキが出現する出現率α0に対し、マジェンダのインキが出現しない率である(1−β0)を乗算したα0*(1−β0)となり、シアンのインキのみの領域の出現率を示す。本実施形態において、*は乗算を示している。
領域Q3及び領域Q4の単次の出現率は、マジェンダのインキが出現する出現率β0に対し、シアンのインキが出現しない率である(1−α0)を乗算したβ0*(1−α0)となり、マジェンダのインキのみの領域の出現率を示す。
【0064】
領域Q5から領域Q8の単次の出現率は、シアンのインキが出現する出現率α0に対し、マジェンダのインキが出現する出現率β0を乗算したα0*β0となり、シアンのインキとマジェンダのインキとが重なっている領域の出現率を示す。
領域Q9の単次の出現率は、シアンのインキが出現しない率である(1−α0)に対し、マジェンダのインキが出現しない率である(1−β0)を乗算した(1−α0)*(1−β0)となり、シアンのインキとマジェンダのインキとの双方が存在しない領域の出現率を示す。
【0065】
領域Q1の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調領域1のみの出現率を示しており、濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算した率である。
領域Q2の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調領域2のみの出現率を示しており、濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算し、この除算結果を1から減算した率である。
【0066】
領域Q3の副次の出現率は、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域1のみの出現率を示しており、濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算した率である。
領域Q4の副次の出現率は、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域2のみの出現率を示しており、濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算し、この除算結果を1から減算した率である。
【0067】
領域Q5の副次の出現率は、シアン及びマジェンダの各々のインキの網点の濃度階調領域1の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q6の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調領域1とマジェンダのインキの網点の濃度階調領域2の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算した率を1から減算した率とを乗算した結果の率である。
【0068】
領域Q7の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調領域2とマジェンダのインキの網点の濃度階調領域1の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算した率を1から減算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q8の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調領域2とマジェンダのインキの網点の濃度階調領域2の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調領域1の出現率α1を、濃度階調領域1の出現率α1及び濃度階調領域2の出現率α2の加算結果により除算した率を1から減算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調領域1の出現率β1を、濃度階調領域1の出現率β1及び濃度階調領域2の出現率β2の加算結果により除算した率を1から減算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q9の副次の出現率は、シアンのインキとマジェンダのインキとの双方が存在しない領域の出現率を示し、「1」である。
【0069】
上述したように、使用するインキの重ね合わせに用いる出現率の式は、予め設定され
図5に示すテーブルとして、濃度階調出現率テーブルデータベース104に書き込んで記憶されている。
図1に戻り、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース104の
図5のテーブルの式を読み込む。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調領域1及び濃度階調領域2それぞれの出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。
【0070】
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、シアンが下地で、マジェンダがシアンに重ね合わされる場合、シアンの分光反射率を下地の分光反射率R
g(λ)として、指令網点面積率で出現するマジェンダの濃度階調領域の膜厚を用い、(1)式により、重なり部分における分光反射率R
KM(λ)を算出する。例えば、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域Q5における分光反射率R
KM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚100%における濃度階調分光反射率R
im(λ)を下地の分光反射率R
g(λ)として、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の重なり部分における分光反射率R
KM(λ)を算出する。
【0071】
同様に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域Q7における分光反射率R
KM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚50%における濃度階調分光反射率R
im(λ)を下地の分光反射率R
g(λ)とし、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の分光反射率R
KM(λ)を算出する。同様に、拡張ノイゲバウア原色の全ての組み合わせについて分光反射率R
KM(λ)を算出する。
【0072】
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q1の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*(1−β0)と、副次の出現率α1/(α1+α2)を乗算することで求める。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q2の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*(1−β0)と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}を乗算することで求める。領域Q3及び領域Q4の各々は、シアンがマジェンダに変更になっただけで、上述した領域Q1及び領域Q2と同様に求めることができる。
【0073】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q5の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{α1/(α1+α2)}*{β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q6の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{α1/(α1+α2)}*{1−β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
【0074】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q7の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}*{β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
【0075】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q8の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}*{1−β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
【0076】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、領域Q9の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率(1−α0)*(1−β0)と、副次の出現率1を乗算することで求める。
【0077】
そして、分光反射率算出部1083は、上述した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の分光反射率に拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し加算する。
分光反射率算出部1083は、シアンのインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、マジェンダのインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の予測分光反射率R(λ)を算出する。
【0078】
色予測テーブル作成部109は、この予測分光反射率R(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成するとともに、色予測テーブルを逆変換して色分解テーブルを作成する。つまり、この色予測テーブル作成部16は、色予測処理の対象である入力データ(本実施例ではCM値)の情報と、予測分光反射率R(λ)に基づき予測される再現色を表現する再現色情報とを対応付ける色予測テーブルを作成する。
【0079】
また、この色予測テーブル作成部109は、色予測テーブルから、XYZやCIELAB値等の入力値と、これを再現する印刷網点面積率(本実施例ではCM値)の出力値とを対応付ける色分解テーブルを作成し、色予測テーブルとともに出力部110に出力する。
なお、本実施例においては、この色予測テーブルと色分解テーブルを公知のICCプロファイルフォーマットで作成し、出力部110を介して出力する。
【0080】
なお、本実施形態において、色予測装置は、印刷機能を実現する印刷部を備える構成を有してはいないが、本発明はこれに限られず、印刷機に接続される構成、あるいは、印刷機が色予測装置を内蔵する構成であってもよい。
この場合、印刷機は、色予測装置による色予測処理の実行に際して、予め決められている指令網点面積率によりインキを印刷し、インキを印刷した印刷部分から各色の分光反射率を光学素子で測定して、色予測装置に出力する。この色予測装置は、この測定された分光反射率に基づき、上述した色予測処理を行い、色予測テーブルを作成する。
【0081】
次に、
図6は、第1の実施形態による色予測装置による、複数のインキを印刷した印刷媒体の分光反射率の算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
入力部101は、ユーザが入力した重ね合わせるインキの種類及びそれぞれのインキの塗り順を、拡張ノイゲバウア原色算出部1081に対して出力する。
【0082】
ステップS2:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、ユーザが入力した重ね合わせるインキの種類毎に、吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)とを、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出す。また、使用するインキが特色インキの場合、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、混ぜ合わせる原色のインキの比率に応じて、特色インキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を(4)式により算出する。
【0083】
ステップS3:
入力部101は、ユーザが入力したそれぞれのインキの網点面積率を、拡張ノイゲバウア原色算出部1081に対して出力する。
【0084】
ステップS4:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地となる印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとの各々を(1)式に対して代入し、それぞれのインキの濃度階調
領域の各々、すなわち
図4(b)における領域Q1から領域Q4の各々の濃度階調分光反射率Rim(λ)を求める。
【0085】
ステップS5:
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキの網点と、下地に重ねられるインキの網点との重なり部分、すなわち
図4(b)における領域Q5から領域Q8までの重なりのある部分の分光反射率をR
KM(λ)を求める。
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキの印刷部分の分光反射率を、下地の分光反射率R
g(λ)として、(1)式により、領域Q5から領域Q8までの各々の重なり部分の分光反射率R
KM(λ)を求める。
【0086】
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、すでにステップS4で求めた下地となる領域Q1から領域Q4の各々のインキの分光反射率と、下地の上に重なるインキの吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとを、(1)式に代入することにより、領域Q5から領域Q8までの重なりのある部分の分光反射率RKM(λ)を求める。したがって、2種類のインキを重ねて印刷する場合、下地のインキをp個の濃度階調とし、下地に重ねるインキをq個の濃度階調とすると、p×q通りの分光反射率RKM(λ)が求められる。
【0087】
ステップS6:
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、 ユーザが入力したそれぞれのインキに対応する濃度階調領域の各々の出現確率関数を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出す。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調領域の各々の出現確率関数に対し、指定された指令網点面積率を代入し、網点における濃度階調領域の各々の出現率を算出する。
【0088】
ステップS7:
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね合わせるインキの種類数と、それぞれの濃度階調領域の数に応じて作成された濃度階調出現率テーブルデータベース104の
図5のテーブルから、単次の出現率と副次の出現率との各々の計算式を読み込む。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、それぞれの計算式に対し、すでに出現率関数から計算した濃度階調領域の各々の出現率を、単次の出現率と副次の出現率との各々の計算式に代入して、領域Q1から領域Q9までの出現率を算出する。
【0089】
ステップS8:
分光反射率算出部1083は、領域Q1から領域Q9までの出現率(単次及び副次の出現率)の各々を、領域Q1から領域Q9の対応する領域の各々の分光反射率に乗算し、乗算結果を加算することにより、予測分光反射率R(λ)を算出する。
【0090】
ステップS9:
色予測テーブル作成部109は、この予測分光反射率R(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成するとともに、色予測テーブルを逆変換して色分解テーブルを作成する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態は、グラビア印刷等の複数の種類の濃度階調領域から構成される網点における分光反射率をモデル化した計算モデル式である(2)式を用いることで、面積変調階調と濃度変調階調との双方の特性を併せ持つ網点からなるインキの印刷部分の分光反射率を、網点が含む濃度階調領域の分光反射率と、濃度階調領域の各々の出現率との関係により、正確に推定することができる。
また、本願実施形態は、複数のインキで印刷した際、印刷部分の分光反射率を、それぞれのインキの濃度階調領域の各々が重なりあった部分の分光反射率に対し、重なり合った部分の出現率をそれぞれを乗算し、乗算した結果を加算することにより印刷部分の予測分光反射率R(λ)として求めている。
これにより、本実施形態によれば、網点を形成する濃度階調領域の分光反射率と、それぞれの濃度階調領域の重なり部分の各々の出現率とにより、複数のインキの各々の指令網点面積率により形成された、複数のインキの網点からなる印刷部分における濃度階調領域の重なりの組合わせ毎の分光反射率を求めることが可能となり、面積変調階調と、濃度変調階調との双方の色表現を有するグラビア印刷等における印刷物の色予測を容易に行うことができる。
【0092】
また、本実施形態においては、単色のインキにおける任意の指令網点面積率による印刷部分の分光反射率を求めることもできる。すなわち、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、指定された単色のインキの濃度階調分光反射率R
im(λ)と、濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々を読み込む。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々に対し、インキの指定された任意の指令網点面積率sを代入し、出現率を求める。
そして、分光反射率算出部1083は、各々のインキに対応した(2)式に対し、濃度階調分光反射率R
im(λ)と、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々から求めた出現率を代入し、指令網点面積率に対応した印刷部分の算出分光反射率R’(s,λ)を算出する。分光反射率算出部1083は、算出分光反射率R’(s,λ)を予測分光反射率R(λ)として出力する。
【0093】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態による色予測装置1Aの構成例を示すブロック図である。この
図7において、色予測装置1Aは、入力部101、濃度階調分光光学濃度算出部102A、濃度階調出現率算出部103A、濃度階調出現率テーブルデータベース104A、測定分光反射率データベース105、吸収係数・散乱係数データベース106、色予測テーブル作成部109、出力部110及び光学濃度予測部111(分光データ算出部)を備えている。本実施形態においては、分光光学濃度を単に光学濃度と示す場合もある。
【0094】
濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、入力部101より供給される原色のインキの種類に応じて、吸収係数・散乱係数データベース106から、原色のインキがベタで印刷媒体に印刷された印刷部分から求めた着色層の吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を読み出す。また、濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、測定分光反射率データベース105から、入力部101より供給される原色のインキの種類及び印刷媒体の種類に応じて、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)との各々を読み出す。
【0095】
そして、濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、読み出した原色のインキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとの各々を、すでに説明した(1)式(クベルカ・ムンクの式)に代入し、濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)を算出する。
また、濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、求めた濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を、(5)式により、濃度階調光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)にそれぞれ変換する。
【0097】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、(1)式(クベルカ・ムンクの式)における膜厚係数X
mは、印刷媒体に原色のインキがベタで印刷された印刷部分を基に、印刷部分の濃度階調を示している。膜厚係数X
mは任意に設定することができ、第1の実施形態と同様に、例えば、最もインキの膜厚が厚いベタの印刷部分を100%として、上記膜厚係数を1とし、この1を濃度階調領域の膜厚の段階数mに対応させて分割する。例えば、指令網点面積率の示す濃度階調領域の膜厚の段階が5段階であれば、m=1、2、3、4、5であり、膜厚係数X
mは、それぞれの濃度階調領域の膜厚の段階に対応して、X
1=1.0、X
2=0.8、X
3=0.6、X
4=0.4、X
5=0.2とする。
【0098】
すでに述べたように、この膜厚係数X
mと下地の印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)とを(1)式に代入し、指令網点面積率の網点が含む濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)の各々を算出する。そして、濃度階調分光反射率R
i1(λ)、R
i2(λ)、R
i3(λ)、…、R
im(λ)の各々を、(5)式により、濃度階調光学濃度OD
i1(λ)、OD
i2(λ)、OD
i3(λ)、…、OD
im(λ)にそれぞれ変換する。この濃度階調光学濃度OD
i1(λ)、OD
i2(λ)、OD
i3(λ)、…、OD
im(λ)が、後述する計算モデルで用いる、網点を構成する複数の濃度階調領域の各々の光学濃度として用いられる。
【0099】
濃度階調出現率算出部103Aは、濃度階調分光光学濃度算出部102Aから、濃度階調光学濃度OD
i1(λ)、OD
i2(λ)、OD
i3(λ)、…、OD
im(λ)の各々を読み込む。また、濃度階調出現率算出部103Aは、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定分光反射率データベース105から読み込む。
そして、濃度階調出現率算出部103Aは、(5)式を用いることにより、測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定光学濃度ODs(λ)にそれぞれ変換する。
次に、濃度階調出現率算出部103Aは、以下の(6)式(計算モデル)に対して、濃度階調光学濃度OD
i1(λ)、OD
i2(λ)、OD
i3(λ)、…、OD
im(λ)の各々を代入し、後述する処理により算出光学濃度OD’
KM(s,λ)を算出する。
【0101】
ここで、濃度階調出現率算出部103Aは、すでに説明した(6)式において、出現率(用紙の印刷部分における網点を構成する各濃度階調の濃度階調領域の面積の比率)の数値を変更しつつ、算出光学濃度OD’
KM(s,λ)を算出する。そして、濃度階調出現率算出部103Aは、算出された算出光学濃度OD’
KM(s,λ)の各々と、測定光学濃度ODs(λ)との平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に所定の波長範囲において求める。濃度階調出現率算出部103Aは、算出光学濃度OD’
KM(s,λ)と測定光学濃度ODs(λ)との平均二乗誤差が最も小さくなる濃度階調領域の各々の出現率を求める。ここで、sは指令網点面積率である。
【0102】
そして、濃度階調出現率算出部103Aは、濃度階調領域の各々の出現率により、各濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を求める。ここで、濃度階調出現率算出部103Aは、濃度階調領域毎に、得られた出現率を用いて、この出現率を指定網点面積率sの2次関数などをフィッティングし、出現率関数を求めてもよい。濃度階調出現率算出部103Aは、求めた各濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aに書き込んで記憶させる。出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)については、第1の実施形態と同様に、(6)式の計算モデルで用いる濃度階調領域の出現率を求める関数であり、
図2の説明におけるように、グラビア印刷による網点の構造をモデル化するために用いている。
【0103】
上述したように、濃度階調出現率算出部103Aは、(6)式の計算モデルを用いて、指令網点面積率によるインキが印刷された印刷部分において、網点が含む濃度階調毎に、濃度階調
領域の濃度階調光学濃度ODim(λ)と濃度階調
領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)とを乗算した結果を加算して、指令網点面積率の印刷部分の光学濃度を算出する。
【0104】
また、濃度階調出現率算出部103Aは、求めた濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aに対し、濃度階調領域の濃度階調光学濃度と対応させて書き込んで記憶させる。同様に、濃度階調出現率算出部103Aは、他の原色のインキの各々に対しても、濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aに対して、書き込んで記憶させる。
【0105】
また、原色のインキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの場合、上述した原色のインキの濃度階調領域の出現率関数a
m(s)を濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから読み出して用いる。ここで、特色インキで混ぜ合わせる原色のインキのいずれかの出現率関数a
m(s)を用いても良いし、また混ぜ合わせる原色のインキそれぞれの出現率関数a
m(s)を組合わせて用いても良い。
この特色インキの場合、第1の実施形態と同様に、混ぜ合わせる原色のインキの比率に応じて、すでに説明した(4)式において、特色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を算出する。
【0106】
上記(4)式において、係数α及び係数βの各々は、原色のインキ#1及び原色のインキ#2それぞれの混ぜ合わせる比率を示す係数である。原色のインキ#1の吸収係数K
1(λ)に対して係数αを乗算し、原色のインキ#2の吸収係数K
2に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの吸収係数K
t(λ)としている。同様に、原色のインキ#1の散乱係数S
1(λ)に対して係数αを乗算し、原色のインキ#2の散乱係数S
2(λ)に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの散乱係数S
t(λ)としている。
【0107】
濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、吸収係数・散乱係数データベース106から、特色インキを構成する原色のインキ#1及び原色のインキ#2の各々の散乱係数S
1(λ)及びS
2(λ)と、吸収係数K
1(λ)及びK
2(λ)との各々を読み出す。また、濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、測定分光反射率データベース105から、印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)を読み出す。
【0108】
次に、濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、算出した特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとの各々を、上記(1)式に代入して、濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)を算出する。
濃度階調分光光学濃度算出部102Aは、算出した濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を、(5)式を用い、濃度階調領域毎の濃度階調光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)にそれぞれ変換する。
【0109】
次に、光学濃度予測部111は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112、光学濃度算出部1113及び分光反射率算出部1114を備えている。
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色のインキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
【0110】
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキの上に印刷されるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、すでに第1の実施形態において
図3で説明されたように、(1)式に下地となるインキの濃度階調分光反射率R
im(λ)と、下地のインキの上に印刷されるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数X
mとの各々を代入し、下地のインキの上に印刷される網点の分光反射率を算出する。
【0111】
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、上述した下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の分光反射率の計算を、下地のインキの網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との重ね合う部分の組合わせの全てにおいて行う。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、得られた下地のインキの網点上に印刷されるインキの分光反射率を、(5)式により、光学濃度に変換する。
【0112】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、…、a
m(s)を読み出す。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、下地のインキの指令網点面積率における網点で出現する濃度階調領域と、この下地のインキに重ね合わせるインキの指令網点面積率における網点で出現する濃度階調領域との各々の出現確率を、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから読み出した出現率関数a
1(s)、a
2(s)、…、a
m(s)から求める。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、第1の実施形態における
図4の説明と同様に、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。
【0113】
また、使用するインキの重ね合わせに用いる出現率の式は、すでに第1の実施形態で説明したように、
図5に示す出現率のテーブルは濃度階調出現率テーブルデータベース104Aに書き込んで記憶されている。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aの
図5のテーブルの式を読み込む。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調領域1及び濃度階調領域2それぞれの出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。
【0114】
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、シアンが下地で、マジェンダがシアンに重ね合わされる場合、シアンの分光反射率を下地の分光反射率R
g(λ)として、指令網点面積率で出現するマジェンダの濃度階調領域の膜厚を用い、(1)式により、重なり部分における分光反射率R
KM(λ)を算出する。例えば、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、領域Q5における分光反射率R
KM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚100%における濃度階調分光反射率R
im(λ)を下地の分光反射率R
g(λ)として、マジェンダのインキの膜厚100%を下地に重ねた際の重なり部分における印刷部分の分光反射率R
KM(λ)を算出する。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、算出したR
KM(λ)を、(5)式により、光学濃度OD
KM(λ)に変換する。
【0115】
同様に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、領域Q7における分光反射率R
KM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚50%における濃度階調分光反射率R
im(λ)を下地の分光反射率R
g(λ)とし、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の分光反射率R
KM(λ)を算出する。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、算出した分光反射率R
KM(λ)を、(5)式により、光学濃度OD
KM(λ)に変換する。同様に、拡張ノイゲバウア原色の全ての組み合わせについて光学濃度OD
KM(λ)を算出する。
【0116】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q1の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*(1−β0)と、副次の出現率α1/(α1+α2)を乗算することで求める。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q2の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*(1−β0)と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}を乗算することで求める。領域Q3及び領域Q4の各々は、シアンがマジェンダに変更になっただけで、上述した領域Q1及び領域Q2と同様に求めることができる。
【0117】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q5の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{α1/(α1+α2)}*{β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q6の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{α1/(α1+α2)}*{1−β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
【0118】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q7の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}*{β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q8の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率α0*β0と、副次の出現率{1−α1/(α1+α2)}*{1−β1/(β1+β2)}を乗算することで求める。
【0119】
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、領域Q9の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する場合、単次の出現率(1−α0)*(1−β0)と、副次の出現率1を乗算することで求める。
そして、光学濃度算出部1113は、上述した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の光学濃度に拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し加算する。
光学濃度算出部1113は、シアンのインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、マジェンダのインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の予測光学濃度OD(λ)を算出する。
【0120】
分光反射率算出部1114は、光学濃度算出部1113が算出した予測光学濃度OD(λ)を、以下の(7)式を用い、予測分光反射率R
D(λ)に変換する。
【0122】
色予測テーブル作成部109は、この予測分光反射率R
D(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成するとともに、色予測テーブルを逆変換して色分解テーブルを作成する。つまり、この色予測テーブル作成部16は、色予測処理の対象である入力データ(本実施例ではCM値)の情報と、予測分光反射率R
D(λ)に基づき予測される再現色を表現する再現色情報とを対応付ける色予測テーブルを作成する。
【0123】
また、この色予測テーブル作成部109は、色予測テーブルから、XYZやCIELAB値等の入力値と、これを再現する印刷網点面積率(本実施例ではCM値)の出力値とを対応付ける色分解テーブルを作成し、色予測テーブルとともに出力部110に出力する。
なお、本実施例においては、この色予測テーブルと色分解テーブルを公知のICCプロファイルフォーマットで作成し、出力部110を介して出力する。
【0124】
次に、
図8は、第2の実施形態による色予測装置による、複数のインキを印刷した印刷媒体の分光反射率の算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS11:
入力部101は、ユーザが入力した重ね合わせるインキの種類及びそれぞれのインキの塗り順を、拡張ノイゲバウア原色算出部1111に対して出力する。
【0125】
ステップS12:
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、ユーザが入力した重ね合わせるインキの種類毎に、吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)とを、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出す。また、使用するインキが特色インキの場合、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、混ぜ合わせる原色のインキの比率に応じて、特色インキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を(4)式により算出する。
【0126】
ステップS13:
入力部101は、ユーザが入力したそれぞれのインキの網点面積率を、拡張ノイゲバウア原色算出部1111に対して出力する。
【0127】
ステップS14:
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地となる印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)と、濃度階調
領域の膜厚係数Xmとの各々を(1)式に対して代入し、それぞれのインキの濃度階調
領域の各々、すなわち
図4(b)における領域Q1から領域Q4の各々の濃度階調分光反射率Rim(λ)を求める。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、求めた濃度階調分光反射率Rim(λ)を、(5)式を用い、濃度階調光学濃度ODim(λ)に変換する。
【0128】
ステップS15:
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキの網点と、下地に重ねられるインキの網点との重なり部分、すなわち
図4(b)における領域Q5から領域Q8までの重なりのある部分の分光反射率をR
KM(λ)を求める。
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキの印刷部分の分光反射率を、下地の分光反射率R
g(λ)として、(1)式により、領域Q5から領域Q8までの各々の重なり部分の分光反射率R
KM(λ)を求める。
【0129】
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、すでにステップS4で求めた下地となる領域Q1から領域Q4の各々の分光反射率と、下地の上に重なるインキの吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)と、濃度階調の膜厚係数X
mとの各々を、(1)式に代入することにより、領域Q5から領域Q8までの重なりのある部分の分光反射率R
KM(λ)を求める。したがって、2種類のインキを重ねて印刷する場合、下地のインキをp個の濃度階調とし、下地に重ねるインキをq個の濃度階調とすると、p×q通りの分光反射率R
KM(λ)が求められる。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、求めた分光反射率R
KM(λ)を、(5)式を用い、光学濃度OD
KM(λ)に変換する。
【0130】
ステップS16:
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、 ユーザが入力したそれぞれのインキに対応する濃度階調領域の各々の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから読み出す。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調領域の各々の出現確率関数に対し、指定された指令網点面積率を代入し、網点における濃度階調領域の各々の出現率を算出する。
【0131】
ステップS17:
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね合わせるインキの種類数と、それぞれの濃度階調領域の数に応じて作成された濃度階調出現率テーブルデータベース104Aの
図5のテーブルから、単次の出現率と副次の出現率との各々の計算式を読み込む。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、それぞれの計算式に対し、すでに出現率関数から計算した濃度階調領域の各々の出現率を、単次の出現率と副次の出現率との各々の計算式に代入して、領域Q1から領域Q9までの出現率を算出する。
【0132】
ステップS18:
光学濃度算出部1113は、領域Q1から領域Q9までの出現率(単次及び副次の出現率)の各々を、領域Q1から領域Q9の対応する領域の各々の光学濃度に乗算し、乗算結果を加算することにより、予測光学濃度OD(λ)を算出する。
【0133】
ステップS19:
分光反射率算出部1114は、光学濃度算出部1113が算出した予測光学濃度OD(λ)を、上記(7)式を用い、予測分光反射率R
D(λ)に変換する。
【0134】
ステップS20:
色予測テーブル作成部109は、この予測分光反射率R
D(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成するとともに、色予測テーブルを逆変換して色分解テーブルを作成し、出力部110を介して出力する。
【0135】
以上説明したように、本実施形態は、グラビア印刷等の複数の種類の濃度階調領域から構成される網点における光学濃度をモデル化した計算モデル式である(6)式を用いることで、面積変調階調と濃度変調階調との双方の特性を併せ持つ網点からなるインキの印刷部分の光学濃度を、網点が含む濃度階調領域の光学濃度と、濃度階調領域の各々の出現率との関係により、正確に推定することができる。
また、本実施形態は、複数のインキで印刷した際、印刷部分の分光反射率を、それぞれのインキの濃度階調領域の各々が重なりあった部分の分光光学濃度に対し、重なり合った部分の出現率をそれぞれを乗算し、乗算した結果を加算することにより印刷部分の予測光学濃度OD(λ)とし、この予測光学濃度OD(λ)を分光反射率に変換することで予測分光反射率R
D(λ)を求めている。
これにより、本実施形態によれば、網点を形成する濃度階調領域の光学濃度と濃度階調領域の各々の出現率との対応関係により、複数のインキの各々の指令網点面積率により形成された、複数のインキの網点からなる印刷部分における濃度階調領域の重なりの組合わせ毎の光学濃度を求め、この光学濃度から分光反射率を求めることができるため、面積変調階調と、濃度変調階調との双方の色表現を有するグラビア印刷等における印刷物の色予測を容易に行うことができる。
【0136】
また、本実施形態においては、単色のインキにおける任意の指令網点面積率による印刷部分の分光反射率を求めることもできる。すなわち、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調出現率テーブルデータベース104Aから、指定された単色のインキの濃度階調光学濃度OD
im(λ)と、濃度階調領域の出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々を読み込む。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々に対し、インキの指定された任意の指令網点面積率sを代入し、出現率を求める。
そして、光学濃度算出部1113は、各々のインキに対応した(6)式に対し、出現率関数a
1(s)、a
2(s)、a
3(s)、…、a
m(s)の各々から求めた出現率を代入し、指令網点面積率に対応した印刷部分の算出光学濃度OD’
KM(s,λ)を算出する。分光反射率算出部1114は、算出光学濃度OD’
KM(s,λ)を予測光学濃度OD(λ)とし、この予測光学濃度OD(λ)を予測分光反射率R
D(λ)に変換して出力する。
【0137】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態による色予測装置1Bの構成例を示すブロック図である。この
図9において、色予測装置1Bは、入力部101、濃度階調分光反射率算出部102、濃度階調出現率算出部103、濃度階調出現率テーブルデータベース104、測定分光反射率データベース105、吸収係数・散乱係数データベース106、分光反射率予測部108、濃度階調分光光学濃度算出部102A、濃度階調出現率算出部103A、濃度階調出現率テーブルデータベース104A、光学濃度予測部111、色予測テーブル作成部109、出力部110、重み係数算出部112、重み係数データベース113及び混合予測部114を備えている。
【0138】
第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し、この構成の詳細な説明を省略する。
第3の実施形態の色予測装置1Bは、第1の実施形態の色予測装置1と、第2の実施形態の色予測装置1Aの構成との双方を備えている。また、色予測装置1Bには、色予測装置1及び色予測装置1Aの各々の構成に加え、重み係数算出部112、重み係数データベース113及び混合予測部114が備えられている。
以下、重み係数算出部112、重み係数データベース113及び混合予測部114と、第1の実施形態及び第2の実施形態の各々と異なる動作について説明する。
【0139】
重み係数算出部112は、分光反射率予測部108の算出した予測分光反射率R(λ)と、光学濃度予測部111が算出した予測分光反射率R
D(λ)の各々を、それぞれ分光反射率予測部108、光学濃度予測部111から読み込む。
そして、重み係数算出部112は、予測分光反射率R(λ)及び予測分光反射率R
D(λ)の各々を以下の(8)式に対して代入し、この重み係数wにおける予測分光反射率R
W(λ)を算出する。
【0141】
また、重み係数算出部112は、測定分光反射率データベース105から、測定分光反射率Rs(λ)を読み出す。
そして、重み係数算出部112は、式(9)に従って、重み係数wにおける予測分光反射率R
W(λ)と測定分光反射率Rs(λ)との平均二乗誤差RMSEを算出する。
【0143】
本実施形態における重み係数の算出は、予め所定の指令網点面積率により複数のインキを掛け合わせて印刷した印刷部分を、重み係数の算出のためのサンプルとして用いる。すなわち、複数種類のインキの印刷部分の分光反射率を測定して、予め測定分光反射率データベース105に対して書き込んで記憶させておく。
このとき、分光反射予測部108は、第1の実施形態に説明した処理により、複数のインキの印刷部分の各々の予測分光反射率R(λ)を算出する。
同様に、光学濃度予測部111は、第2の実施形態に説明した処理により、複数のインキの印刷部分の各々の予測分光反射率R
D(λ)を算出する。
【0144】
重み係数算出部112は、複数のインキを掛け合わせて印刷した印刷部分における分光反射率と(8)で求める予測分光反射率R
W(λ)との平均二乗誤差RMSEを計算する。そして、重み係数算出部112は、計算結果が予め設定された閾値以下となる(収束する)まで、重み係数wの数値を変化させ、平均二乗誤差RMSEを算出する処理を繰り返す。例えば、重み係数算出部112は、重み係数wを1.0から開始し、所定の単位(0.05)で減少させることで変化させ、または重み係数wを0.0から開始し、所定の単位(0.05)で増加させることで変化させ、上述した重み係数wを収束させる処理を行わせる。
重み係数算出部112は、重み係数wを求める処理が収束した場合、この重み係数wを重み係数データベース113に書き込んで記憶させる。
【0145】
混合予測部114は、複数のインキによりグラビア印刷を行う際、それぞれの任意の指令面積率が入力された場合に、それぞれのインキの塗り順を基に、分光反射率予測部108の算出した予測分光反射率R(λ)と、光学濃度予測部111が算出した予測分光反射率R
D(λ)とを、重み係数wにより混合して、混合予測分光反射率R
W(λ)を算出する。
【0146】
次に、
図10は、第3の実施形態による色予測装置による、複数のインキを印刷した印刷媒体の分光反射率の算出処理の動作例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートにおけるステップS1からステップS8までは、第1の実施形態におけるステップS1からステップS8と同様である。
また、
図10のフローチャートにおけるステップS14からステップS19までは、第2の実施形態におけるステップS14からステップS19と同様である。
上述したステップ以外のステップS30及びステップS31について、以下に説明する。
【0147】
ステップS30:
混合予測部114は、重み係数wを重み係数データベース113から読み出す。
そして、混合予測部114は、分光反射率予測部108の算出した予測分光反射率R(λ)と、光学濃度予測部111が算出した予測分光反射率R
D(λ)とを、重み係数wにより混合して、混合予測分光反射率R
W(λ)を算出する。
【0148】
ステップS31:
色予測テーブル作成部109は、この混合予測分光反射率R
W(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成するとともに、色予測テーブルを逆変換して色分解テーブルを作成し、出力部110を介して出力する。
【0149】
上述したように、本実施形態によれば、(2)式の分光反射率の予測式を基に算出した予測分光反射率R(λ)と、(6)式の光学濃度の予測式を基に算出した予測分光反射率R
D(λ)とを、予め求めた重み係数wにより混合するため、より実測値の分光反射率に近い予測分光反射率として混合予測分光反射率R
W(λ)を求めることができる。
これにより、本実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態に比較して、より実測値の分光反射率に近い予測分光反射率として混合予測分光反射率R
W(λ)を求めることができるため、面積変調階調と、濃度変調階調との双方の色表現を有するグラビア印刷等における印刷物の色予測を高い精度で容易に行うことができる。
【0150】
なお、本発明における
図1の色予測装置1、
図7の色予測装置1A及び
図9の色予測装置1Bの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより色予測の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0151】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。