(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図1において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、車両に設けられるものであり、ナビゲーション装置21と、方向指示器検出部22と、制御装置30と、警報装置40とを備えている。
【0019】
ナビゲーション装置21は、自車の走行予定の経路を予め設定でき、設定された経路に基づいて案内をする装置である。ナビゲーション装置21は、位置検出部211と、地図情報を記憶する地図情報記憶部212と、経路を探索する経路探索部213と、ユーザが操作する操作部214と、表示装置、スピーカ等の出力部215と、を有する。位置検出部211は、現在の自車の位置情報をGPS(Global Positioning System)によって取得する。
【0020】
ナビゲーション装置21は、経路探索部213によって自車位置から目的地までの経路を探索し、その経路を地図上に表示すると共に、目的地までの経路案内を行う機能を備えている。ドライバーによって所望する目的地が操作部214から入力されると、ナビゲーション装置21は、現在の自車位置から目的地までの最適と思われる経路を、地図情報記憶部212に記憶されている地図情報から探索し、探索した経路を構成するノード(経緯度)を記憶部(図示せず)に連続して記憶する。そして、ナビゲーション装置21は、自車の走行時に自車位置を検出し、記憶部に記憶されたノード列の中から表示装置のディスプレイ画面上の地図表示エリアに入っている経路を検索し、その経路を他の道路と識別できるように表示する。
【0021】
さらに、ナビゲーション装置21は、自車位置が交差点の所定距離内に接近すると、ディスプレイ画面上に交差点の案内図(例えば、交差点の拡大図、交差点での進行方向を示す矢印、交差点名称、交差点近辺にあるランドマーク等)を表示する。また、ナビゲーション装置21は、設定された経路上の自車の走行状況に応じて曲がるべき交差点、進路変更すべき位置、他の道路との合流点が近付いた場合に、音声メッセージや画面表示などで自車の進行方向についての案内を行う。ナビゲーション装置21は、自車が曲がるべき交差点に近付いた場合に、例えば、「300m先右折です。」、「まもなく右折です。」といった内容の交差点を案内する音声をスピーカ(図示せず)から出力する。
【0022】
方向指示器検出部22は、自車の方向指示器(図示せず)のオンオフを検出する。方向指示器は、ユーザが曲がりたいとき、車線変更したいときにその旨を意思表示するものである。方向指示器は、運転者の操作によってオンにされ、時計回りまたは反時計回りに操作されたステアリングが中立位置に戻る際に自動的にまたは運転者の操作によって、オフにされる。
【0023】
制御装置30は、ナビゲーション装置21から取得される経路情報および自車位置情報と方向指示器検出部22の検出結果とに基づいて、警報装置40を制御する。制御装置30は、自車の位置が、経路情報が示す経路上の位置と一致し、かつ、経路上の曲がるべき位置に自車の位置が近づいた場合において、方向指示器検出部22により方向指示器がオフであることが検出されたとき、警報動作を行うように警報装置40を制御する。
【0024】
制御装置30は、経路情報取得部31と、自車位置情報取得部32と、比較部33と、曲折判定部34と、方向指示器判定部35と、警報装置制御部38とを備えている。
【0025】
経路情報取得部31は、ナビゲーション装置21から、予め設定された経路を示す経路情報を取得する。
【0026】
自車位置情報取得部32は、ナビゲーション装置21から、自車の現在の位置を示す自車位置情報を取得する。ナビゲーション装置21から自車位置情報を取得するのではなく、例えば、GPSなどを利用して自車位置情報を取得してもよい。
【0027】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得した経路情報と自車の現在位置とを比較する。比較部33は、自車の位置が経路上の位置と一致している場合に、自車が経路に沿って移動していると判定する。
【0028】
曲折判定部34は、経路情報取得部31が取得した経路情報と自車位置情報取得部32が取得した自車位置情報とに基づき、自車がまもなく曲がるか否かを判定する。具体的には、曲折判定部34は、経路上の曲がるべき位置に自車の位置が近づいたか否かを判定する。曲折判定部34は、例えば、経路上の曲がるべき位置から所定距離(例えば、15メートル)以内であるとき、曲がるべき位置に自車の位置が近づいたと判定する。
【0029】
曲がるべき位置は、経路情報が示す経路と自車の位置に基づいて判定されるものであり、交差点、道路の分岐点、道路の合流点、自動車専用道路の出口、ジャンクション等のうち、方向指示器を用いて意思表示を行って自車を操作する必要がある位置、つまり、経路上車線変更する位置や、右折、左折する位置である。また、曲がるべき位置は、経路に沿って移動するために方向指示器を操作する必要があると、曲折判定部34によって判定される位置である。
【0030】
なお、曲がるべき交差点が近づいた場合はその30メートル手前で、進路変更すべき位置が近づいた場合は進路変更の3秒前、他の道路との合流点が近づいた場合には合流点の手前など、方向指示器を操作すべきタイミングは状況によって異なるので、状況に応じて上記所定距離を調整するようにしてもよい。
【0031】
方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて、自車の方向指示器のオンオフを判定する。
【0032】
警報装置制御部38は、警報装置40を制御し、自車の周囲を走る他車に向けて警報に関する警報動作を行う。
【0033】
警報装置40は、自車の周囲を走る他車に向けて警報に関する警報動作を行う。警報装置40は、警告表示部41と、警告音出力部42と、警告信号送信部43とを備えている。
【0034】
警告表示部41は、例えば、ランプの点灯や画像の表示による警告を行う。ここで、ランプは、交通法規を満たすためにもともと車両に設けられているランプに限定されない。ランプの点灯の他、ランプの点滅(例えば、ブレーキランプの点滅)を行ってもよい。画像の表示は、例えば、周知のLEDによる表示装置や液晶ディスプレイによって所定のメッセージを表示することによって行う。警告音出力部42は、警告音を出力することにより、警告を行う。警告音には、合成音声を含む。警告信号送信部43は、後続車など他の車両内に設けられた他の警報装置を動作させるための警告信号を、その車両へ無線で送信する。警告信号送信部43から警告信号を受信した車両は、自車内に設けられた警報装置を動作させ、自車の運転者に警告を行う。
【0035】
図2は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図2を参照すると、本実施形態において、自車10は、四輪車両である。自車10は、前輪12Fを2つ有し、後輪12Rを2つ有する。自車10は、運転者が搭乗する運転室を有する。
【0036】
図3は、本実施形態にかかる衝突回避システムによる動作を模式的に示す図である。
図3において、自車10は矢印Y1の方向に走行し、後続車100は矢印Y2の方向に走行する。
【0037】
自車10において、制御装置30が警報装置40を起動すると、警報装置40は、警告動作を行う。警報装置40が行う警告動作は、警告表示部41によるランプの点灯や画像の表示による警告、警告音出力部42による警告音の出力による警告、警告信号送信部43による警告信号の送信による他車の警報装置での警告、の少なくとも1つである。
【0038】
警告表示部41によるランプの点灯や画像の表示による警告は、後続車100の運転者の視覚に訴える警告である。
【0039】
警告音出力部42による警告音の出力による警告は、後続車100の運転者の聴覚に訴える警告である。
【0040】
警告信号送信部43によって送信される警告信号は、後続車100の警告信号受信部110によって受信される。これにより、後続車100において、運転者の視覚または聴覚に訴える警告を行うことができる。
【0041】
なお、後続車100に限らず、自車10の左側の横または右側の横(斜め前方および斜め後方を含む)を走る並走車に対して警告を行ってもよい。後続車100または自車10の左側の横または右側の横(斜め前方および斜め後方を含む)を走る並走車は、さらに後方を走行する他車に対して警告を行ってもよい。
【0042】
図4は、本実施形態にかかる衝突回避システムの自車の周囲を走行する他車の例を模式的に示す図である。
図4は、他車が後続車である場合の例を示す図である。
【0043】
図4を参照すると、本実施形態において、後続車100は、四輪車両である。後続車100は、前輪12Fを2つ有し、後輪12Rを2つ有する。後続車100は、運転者が搭乗する運転室を有する。後続車100は、車体11に、警告信号受信部110と、制御装置130と、警報装置140とを備えている。
【0044】
警告信号受信部110は、車体11の前部13Fに配置され、
図3の自車10が送信した警告信号を受信する。警告信号受信部110は、警告信号を受信すると、制御装置130を起動する。
【0045】
制御装置130は、警告信号受信部110によって起動され、警報装置140を制御して後続車100の運転者に対して警告を行う。
【0046】
警報装置140は、車体11の後部13Rに配置され、警告表示部141と、警告音出力部142とを備えている。警告表示部141は、ランプの点灯や画像の表示により、後続車100の運転者に対して警告を行う。警告音出力部142は、警告音を出力することにより、後続車100の運転者に対して警告を行う。警告音には、合成音声を含む。
【0047】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。最初に、ナビゲーション装置21において、自車の走行予定の経路を示す経路情報が設定される。すると、経路情報取得部31は、設定された経路情報をナビゲーション装置21から取得する。また、自車位置情報取得部32は、自車位置情報をナビゲーション装置21から取得する。
【0048】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得された経路情報と、自車位置情報取得部32によって取得された自車位置情報とを比較する。比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致した場合、自車は経路に沿って走行していると判断できる。
【0049】
次に、曲折判定部34は、自車が曲がるべき位置に近づいたか否かを判定する。曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいたと判定すると、方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて自車の方向指示器のオンオフを判定する。
【0050】
方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンではない(オフである)と判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動する。これにより、警報装置40は、自車の周囲の他車への警告を行う。一方、方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンであると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動しない。このため、警報装置40は、警告を行わない。
【0051】
以上の動作により、経路上の曲がるべき位置が近付いているにもかかわらず、自車の運転者が方向指示器を操作していない場合に、自車の周囲の他車に警告を行うことができる。したがって、後続車などの他車がブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリング操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図5において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、
図1および
図2を参照して説明した第1実施形態にかかる衝突回避システムに、さらに、距離測定部23および距離判定部36を追加した構成である。なお、ナビゲーション装置21の構成は、
図1を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0053】
距離測定部23は、車両(自車)と、自車の周囲を走行する他車との距離を非接触で測定する。自車の周囲を走行する車両とは、例えば、自車の後方を走る後続車、自車の横(左側または右側)を走る並走車、または後続車および並走車の両方である。距離測定部23の測定対象となる後続車は、自車の直後方を走る車両以外、例えば斜め後方を走る車両であってもよい。距離測定部23の測定対象となる並走車は、例えば斜め前方を走る車両であってもよい。距離測定部23による測定は、所定の周期(例えば、1秒ごと)で行われる。
【0054】
距離測定部23は、レーダ装置(ミリ波レーダ装置、ドップラーレーダ装置)を含む。レーダ装置は、電波(又は超音波)を発信して、物体で反射した電波(又は超音波)を受信して、自車と他車との距離を測定可能である。なお、距離測定部23が、レーザスキャナ及び3次元距離センサの少なくとも一つを含んでもよい。距離測定部23が、物体の光学像を取得して、その物体を非接触で検出可能な撮像装置(カメラ)を含んでもよい。距離測定部23が撮像装置を含む場合、撮影した画像に基づいて距離を測定するようにしてもよい。例えば、撮影した画像に含まれている他車の大きさに基づいて自車と他車との距離を得ることができる。距離測定部23による測定は、所定の周期(例えば、1秒ごと)で行われる。
【0055】
距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と自車の周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内(例えば、20メートル以内)か否かを判定する。距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と他車との距離が、所定範囲内(例えば、20メートル以内)である場合に、警報装置制御部38を起動する。警報装置制御部38は、警報装置40による警告を行う。
【0056】
距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と他車との距離が所定範囲内でない(所定範囲外である)場合(例えば、20メートルを超えている場合)、警報装置制御部38を起動しない。このため、警報装置40による警告は行われない。
【0057】
図6は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図6を参照すると、本実施形態にかかる車体11は、
図2を参照して説明した構成に、距離測定部23を追加した構成である。すなわち、自車10は、車体11の後部13Rに配置された距離測定部23を備えている。このため、距離測定部23は、自車10から、自車10の後方を走る後続車までの距離を非接触で検出できる。なお、距離測定部23は、自車10の直後方を走る車両以外、例えば斜め後方や横を走る車両までの距離を非接触で検出するようにしてもよい。
【0058】
なお、後続車など、自車10の周囲の他車の構成は、
図3および
図4を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0059】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。最初に、ナビゲーション装置21において、自車の走行予定の経路を示す経路情報が設定される。すると、経路情報取得部31は、設定された経路情報をナビゲーション装置21から取得する。また、自車位置情報取得部32は、自車位置情報をナビゲーション装置21から取得する。
【0060】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得された経路情報と、自車位置情報取得部32によって取得された自車位置情報とを比較する。比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致した場合、自車は経路に沿って走行していると判断できる。
【0061】
次に、曲折判定部34は、自車が曲がるべき位置に近づいたか否かを判定する。曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいたと判定すると、方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて自車の方向指示器のオンオフを判定する。
【0062】
方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンではない(オフである)と判定すると、距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車とその周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内か否かを判定する。
【0063】
距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内であると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動する。これにより、警報装置40は、自車の周囲の他車への警告を行う。一方、距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内でない(所定範囲を超えた)と判定すると、警報装置制御部38は、警報装置40を起動しない。この場合、警報装置40は、警告を行わない。
【0064】
以上の動作により、経路上の曲がるべき位置が近付いているにもかかわらず、自車の運転者が方向指示器を操作していない場合に、自車と自車の周囲の他車との距離が所定範囲内であれば、他車に警告を行うことができる。したがって、後続車などの他車がブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリング操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0065】
第2実施形態にかかる衝突回避システムは、第1実施形態と異なり、自車と他車との距離が所定範囲を超えている場合(所定範囲外である場合)には、衝突事故が起こる可能性がほとんどないと考えられ、警告を行う必要がないため、警報装置40による警告は行われない。このため、無駄な警告を行うことを防止できる。
【0066】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図7において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、
図5および
図6を参照して説明した第2実施形態にかかる衝突回避システムに、さらに、操舵角検出部24および操舵角判定部37を追加した構成である。なお、ナビゲーション装置21の構成は、
図1を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0067】
操舵角検出部24は、自車の操舵角を検出し、操舵角情報を出力する。操舵角は、ステアリングの回転角度である。操舵角はステアリングが中立位置の場合を零度とする。
【0068】
操舵角判定部37は、操舵角検出部24によって検出された自車の操舵角が、所定値以上(例えば、ステアリングの中立位置から時計回りに30度以上または反時計回りに30度以上)であるか否かを判定する。
【0069】
図8は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図8を参照すると、本実施形態にかかる車体11は、
図6を参照して説明した構成に、操舵角検出部24を追加した構成である。すなわち、自車10は、車体11のステアリング近傍に設けられた操舵角検出部24を備えている。このため、操舵角検出部24によって自車10の操舵角を検出し、検出された自車10の操舵角が所定値以上である場合に、警報装置40を起動して警告を行うことができる。
【0070】
なお、後続車など、自車10の周囲の他車の構成は、
図3および
図4を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0071】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。最初に、ナビゲーション装置21において、自車の走行予定の経路を示す経路情報が設定される。すると、経路情報取得部31は、設定された経路情報をナビゲーション装置21から取得する。また、自車位置情報取得部32は、自車位置情報をナビゲーション装置21から取得する。
【0072】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得された経路情報と、自車位置情報取得部32によって取得された自車位置情報とを比較する。比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致した場合、自車は経路に沿って走行していると判断できる。
【0073】
次に、曲折判定部34は、自車が曲がるべき位置に近づいたか否かを判定する。曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいたと判定すると、方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて自車の方向指示器のオンオフを判定する。
【0074】
方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンではない(オフである)と判定すると、距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車とその周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内か否かを判定する。
【0075】
距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内であると判定すると、操舵角判定部37は、操舵角検出部24によって検出された、自車の操舵角が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0076】
操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値以上であると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動する。これにより、警報装置40は、自車の周囲の他車への警告を行う。一方、操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値未満であると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動しない。このため、警報装置40は、警告を行わない。
【0077】
以上の動作により、経路上の曲がるべき位置が近付いているにもかかわらず、自車の運転者が方向指示器を操作していない場合に、自車と自車の周囲の他車との距離が所定範囲内であり、かつ、自車の操舵角が所定値以上であれば、他車に警告を行うことができる。したがって、後続車などの他車がブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリング操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0078】
第3実施形態にかかる衝突回避システムは、第1実施形態と異なり、自車と他車との距離が所定範囲を超えている場合には、衝突事故が起こる可能性がほとんどないと考えられ、警告を行う必要がないため、警報装置40による警告は行われない。このため、無駄な警告を行うことを防止できる。
【0079】
第3実施形態にかかる衝突回避システムは、第2実施形態と異なり、自車の操舵角が所定値を超えない場合(所定値未満である場合)は、方向指示器を操作しないことを原因とする衝突事故が起こる可能性がほとんどないと考えられ、警告を行う必要がないため、警報装置40による警告は行われない。このため、無駄な警告を行うことを防止できる。
【0080】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図10は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図9および
図10において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、
図1および
図2を参照して説明した第1実施形態にかかる衝突回避システムに、さらに、操舵角検出部24および操舵角判定部37を追加した構成である。
【0081】
操舵角検出部24および操舵角判定部37は、
図7および
図8を参照してすでに説明した構成と同様である。後続車など、自車10の周囲の他車の構成は、
図3および
図4を参照してすでに説明した構成と同様である。ナビゲーション装置21の構成は、
図1を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0082】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。最初に、ナビゲーション装置21において、自車の走行予定の経路を示す経路情報が設定される。すると、経路情報取得部31は、設定された経路情報をナビゲーション装置21から取得する。また、自車位置情報取得部32は、自車位置情報をナビゲーション装置21から取得する。
【0083】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得された経路情報と、自車位置情報取得部32によって取得された自車位置情報とを比較する。比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致した場合、自車は経路に沿って走行していると判断できる。
【0084】
次に、曲折判定部34は、自車が曲がるべき位置に近づいたか否かを判定する。曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいたと判定すると、方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて自車の方向指示器のオンオフを判定する。
【0085】
方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンではない(オフである)と判定すると、操舵角判定部37は、操舵角検出部24によって検出された、自車の操舵角が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0086】
操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値以上であると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動する。これにより、警報装置40は、自車の周囲の他車への警告を行う。一方、操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値未満であると判定すると、警報装置制御部38は警報装置40を起動しない。このため、警報装置40は、警告を行わない。
【0087】
以上の動作により、経路上の曲がるべき位置が近付いているにもかかわらず、自車の運転者が方向指示器を操作していない場合に、自車の操舵角が所定値以上であれば、他車に警告を行うことができる。したがって、後続車などの他車がブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリング操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0088】
第4実施形態にかかる衝突回避システムは、第1実施形態と異なり、自車の操舵角が所定値未満である場合には、衝突事故が起こる可能性がほとんどないと考えられ、警告を行う必要がないため、警報装置40による警告は行われない。このため、無駄な警告を行うことを防止できる。
【0089】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの変形例について説明する。
【0090】
(変形例1)
衝突回避システムにおいて、ナビゲーション装置21を用いずに、スマートフォン(図示せず)のアプリケーションを起動して経路を設定し、スマートフォンによってナビゲーションを行ってもよい。その場合、経路情報取得部31は、スマートフォンから経路情報を取得する。また、自車位置情報取得部32は、スマートフォンのGPS機能によって自車位置情報を取得してもよい。
【0091】
(変形例2)
また、警報装置40は、他車に警告を行うとともに、自車10の運転者に報知を行ってもよい。これにより、運転者による方向指示器の操作忘れを防止できる。
【0092】
(変形例3)
設定された経路と自車の現在位置との比較を行わず、操舵角が所定値以上であるにもかかわらず、方向指示器がオフである場合に、警報装置40を起動して他車に対して警告を行うようにしてもよい。このようにすれば、経路を外れて走行している場合にも、警報装置40を起動して他車に対して警告を行うことができる。
【0093】
(変形例4)
変形例3において、操舵角が所定値以上で、かつ、方向指示器がオフで、さらに、自車の走行速度が所定値以上(例えば、時速10キロメートル以上)の場合に、警報装置40を起動して他車に対して警告を行うようにしてもよい。このようにすれば、車庫入れや縦列駐車のために操舵角が所定値以上である場合に、警報装置40を起動せず、警告を行わないようにすることができる。
【0094】
(衝突回避方法)
図11は、本実施形態にかかる衝突回避システムによる衝突回避方法の例を示すフローチャートである。
図11において、ナビゲーション装置21において、自車の走行予定の経路を示す経路情報が設定される(ステップS101)。
【0095】
経路情報取得部31は、設定された経路情報を取得する(ステップS102)。自車位置情報取得部32は、自車位置情報を取得する(ステップS103)。
【0096】
比較部33は、経路情報取得部31によって取得された経路情報と、自車位置情報取得部32によって取得された自車位置情報とを比較する(ステップS104)。
【0097】
比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致すると(ステップS104においてYes)、曲折判定部34は、自車が曲がるべき位置に近づいたか否かを判定する(ステップS105)。
【0098】
曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいたと判定すると(ステップS105においてYes)、方向指示器判定部35は、方向指示器検出部22による検出結果に基づいて自車の方向指示器のオンオフを判定する(ステップS106)。
【0099】
方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンではない(オフである)と判定すると(ステップS106においてNo)、距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車とその周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内か否かを判定する(ステップS107)。
【0100】
距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内であると判定すると(ステップS107においてYes)、操舵角判定部37は、操舵角検出部24によって検出された、自車の操舵角が、所定値以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0101】
操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値以上であると判定すると(ステップS108においてYes)、警報装置制御部38は、警報装置40を起動し、警告を行う(ステップS109)。
【0102】
その後、ナビゲーション装置21によるナビゲーションが終了か否か判定される(ステップS110)。ナビゲーションが終了である場合(ステップS110においてYes)、本システムによる処理は終了となる。ナビゲーションが終了である場合とは、例えば、自車が目的地に到着した場合である。
【0103】
ナビゲーションが終了でない場合(ステップS110においてNo)、ステップS103に戻り、本システムは処理を継続する。
【0104】
ステップS104において、比較部33による比較の結果、自車位置情報が経路上の位置と一致しない場合(ステップS104においてNo)、ステップS105において、曲折判定部34が、自車が曲がるべき位置に近づいていないと判定した場合(ステップS105においてNo)、ステップS106において、方向指示器判定部35が、自車の方向指示器がオンであると判定した場合(ステップS106においてYes)、ステップS107において、距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内でないと判定した場合(ステップS107においてNo)、および、ステップS108において、操舵角判定部37が、自車の操舵角が所定値以上でない(所定値未満である)と判定した場合(ステップS108においてNo)、ステップS103に戻り、本システムは処理を継続する。
【0105】
なお、ステップS107およびステップS108による処理は行っても行わなくてもよい。ステップS107およびステップS108による処理を行わない場合(第1実施形態に相当)、自車の位置が経路上の位置と一致し、かつ、経路上の曲がるべき位置に自車の位置が近づいた場合において、方向指示器がオフであることが検出されたとき、自車の周囲を走る他車に向けて警報動作を行う。
【0106】
ステップS107による処理を行い、かつ、ステップS108による処理を行わない場合(第2実施形態に相当)、自車の位置が経路上の位置と一致し、かつ、経路上の曲がるべき位置に自車の位置が近づいた場合において、方向指示器がオフであることが検出され、さらに、自車と他車との距離が所定範囲内であるとき、自車の周囲を走る他車に向けて警報動作を行う。
【0107】
ステップS107による処理を行わず、かつ、ステップS108による処理を行う場合(第4実施形態に相当)、自車の位置が経路上の位置と一致し、かつ、経路上の曲がるべき位置に自車の位置が近づいた場合において、方向指示器がオフであることが検出され、さらに、自車の操舵角が所定値以上であるとき、自車の周囲を走る他車に向けて警報動作を行う。