(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作中に、搬送される長尺紙の蛇行を検知し、検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正方法であって、
前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与えない、用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第1範囲、において前記長尺紙の蛇行が検知された場合、前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに前記蛇行補正動作を実行する一方、前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与える、前記用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第2範囲、において前記長尺紙の蛇行が検知された場合、前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行する、
蛇行補正方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記画像形成システムでは、長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作中に、長尺紙の用紙搬送経路上で搬送途中の長尺紙が詰まる用紙ジャムが発生する場合がある。この場合、画像形成動作を停止し、用紙ジャムを起こして停止している用紙ジャム発生部分がユーザーによって取り除かれたことを確認してから、停止している画像形成動作を再開するリカバリを行っている。そのため、一旦、用紙ジャムが発生すると、画像形成動作を停止している分だけ、生産性の低下が発生するという問題があった。
【0007】
なお、特許文献1に記載の技術では、ジャム発生後にジャム部分を取り除いて連続紙を掛け直す処理が必要であり、上記問題と同様の問題が発生する。
【0008】
本発明は、長尺紙にトナー像を形成する場合における生産性の低下を抑制することが可能な画像形成システム、画像形成装置および蛇行補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成システムは、
長尺紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作を実行する画像形成部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙の蛇行を検知する蛇行検知部と、
前記蛇行検知部により検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正部と、
前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与えない、用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第1範囲、において前記蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う一方、前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与える、前記用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第2範囲、において前記蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う制御部と、
を備える。
本発明に係る画像形成システムは、
長尺紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作を実行する画像形成部と、
用紙搬送経路に沿って配置され、前記用紙搬送部により搬送される長尺紙の蛇行を検知する複数の蛇行検知部と、
前記蛇行検知部により検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正部と、
前記複数の蛇行検知部のうち、前記画像形成部を含む前記用紙搬送経路の第1範囲に配置された第1の蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う一方、前記複数の蛇行検知部のうち、前記用紙搬送経路上の前記第1範囲と異なる第2範囲に配置された第2の蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う制御部と、
を備える。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、
長尺紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作を実行する画像形成部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙の蛇行を検知する蛇行検知部と、
前記蛇行検知部により検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正部と、
前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与えない、用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第1範囲、において前記蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う一方、前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与える、前記用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第2範囲、において前記蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う制御部と、
を備える。
本発明に係る画像形成装置は、
長尺紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部により搬送される長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作を実行する画像形成部と、
用紙搬送経路に沿って配置され、前記用紙搬送部により搬送される長尺紙の蛇行を検知する複数の蛇行検知部と、
前記蛇行検知部により検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正部と、
前記複数の蛇行検知部のうち、前記画像形成部を含む前記用紙搬送経路の第1範囲に配置された第1の蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う一方、前記複数の蛇行検知部のうち、前記用紙搬送経路上の前記第1範囲と異なる第2範囲に配置された第2の蛇行検知部により前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行するように制御を行う制御部と、
を備える。
【0011】
本発明に係る蛇行補正方法は、
長尺紙にトナー像を形成する画像形成動作中に、搬送される長尺紙の蛇行を検知し、検知された前記長尺紙の蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正方法であって、
前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与えない、用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第1範囲、において前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止せずに前記蛇行補正動作を実行する一方、前記蛇行補正動作が前記画像形成動作に影響を与える、前記用紙搬送経路上の用紙搬送方向における第2範囲、において前記
長尺紙の蛇行が検知された場合、
前記長尺紙を搬送しながら前記長尺紙に対する前記画像形成動作を停止した後に
前記長尺紙に対する前記蛇行補正動作を実行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺紙にトナー像を形成して定着する画像形成定着動作中に用紙ジャムの発生につながるおそれがある長尺紙の蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を極力停止せずに蛇行補正動作が実行されて、用紙ジャムの発生が防止される。そのため、用紙ジャムが発生した際に画像形成動作を停止してリカバリ処理を行う必要がある従来技術と比べて、長尺紙にトナー像を形成する場合における生産性の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成システム100が備える画像形成装置2の制御系の主要部を示す。画像形成システム100は、
図1において太線で示す長尺紙P、または所定の紙サイズにカットされた用紙(「カット紙」とも言う)Sを記録媒体として使用し、長尺紙Pまたは用紙S上にトナー像を形成するシステムである。ここで、長尺紙Pとは、その搬送方向において例えば、画像形成装置2の本体幅を超える長さを有する用紙である。
【0015】
図1に示すように、画像形成システム100は、長尺紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」とも言う)に沿って上流側から、給紙装置1、画像形成装置2および排紙装置3が接続されて構成される。給紙装置1および排紙装置3は、長尺紙P上にトナー像を形成する場合に使用される。
【0016】
給紙装置1は、画像形成装置2へ長尺紙Pを給紙する装置である。給紙装置1の筐体内では、
図1に示すように、ロール状の長尺紙Pが支持軸に巻回されて回転可能に保持されている。給紙装置1は、支持軸に巻回された長尺紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、給紙ローラー等)を経由して、一定の速度で画像形成装置2へ搬送する。給紙装置1の給紙動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
【0017】
なお、給紙装置1において、長尺紙Pは必ずしもロール状に保持されている必要はなく、所定サイズ(例えば、210[mm]×1200[mm])の複数の長尺紙Pが保持されていても良い。
【0018】
画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置2は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙装置1から給紙された長尺紙P、または、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することによりトナー像を形成する。
【0019】
また、画像形成装置2には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0020】
図2に示すように、画像形成装置2は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、圧接離間部75,77、蛇行検知部80、蛇行補正部82および制御部101を備える。なお、画像形成部40および定着部60は、本発明の「画像形成定着部」に対応する。
【0021】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置2の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0022】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて長尺紙Pまたは用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0023】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0024】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0025】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0026】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種の操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種の入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0027】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0028】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0029】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0030】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0031】
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0032】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0033】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0034】
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0035】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0036】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
【0037】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0038】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
【0039】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0040】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から長尺紙Pまたは用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。二次転写ローラー424は、圧接離間部75(
図2を参照)により中間転写ベルト421に所定の転写荷重で圧接される。圧接離間部75は、公知の構成を有し、二次転写ローラー424を中間転写ベルト421に圧接、または、中間転写ベルト421から離間させる。圧接離間部75の駆動制御は、制御部101によって行われる。
【0041】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写電圧を印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0042】
その後、長尺紙Pまたは用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が長尺紙Pまたは用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写電圧を印加し、長尺紙Pまたは用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は長尺紙Pまたは用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された長尺紙Pまたは用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0043】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0044】
定着部60は、長尺紙Pまたは用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、長尺紙Pまたは用紙Sの裏面(定着面と反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、長尺紙Pまたは用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
【0045】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた長尺紙Pまたは用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、長尺紙Pまたは用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から長尺紙Pまたは用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
【0046】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、40[N])で張架されている。
【0047】
定着ベルト61は、トナー像が形成された長尺紙Pまたは用紙Sに接触して、当該トナー像を長尺紙Pまたは用紙Sに定着温度(例えば、160〜200[℃])で加熱定着する。ここで、定着温度とは、長尺紙Pまたは用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される長尺紙Pまたは用紙Sの紙種等によって異なる。
【0048】
加熱ローラー62は、加熱源(ハロゲンヒーター)を内蔵し、定着ベルト61を加熱する。加熱源によって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。
【0049】
定着ローラー63は、例えばアルミニウム等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層(例えば厚さ:10[mm])と、PTFE等のフッ素系樹脂からなる表層(例えば厚さ:70[μm])とが順に積層形成された構成を有する。定着ローラー63の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部101によって行われる。制御部101は、定着ローラー63を時計回り方向に回転させる。定着ローラー63が回転することにより、定着ベルト61および加熱ローラー62は、時計回り方向に従動回転する。
【0050】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する(ローラー加圧方式)。加圧ローラー64は、例えば鉄等からなる円柱状の芯金の外周面に、シリコンゴム等からなる弾性層と、PFAチューブからなる表層が順に積層形成された構成を有する。加圧ローラー64は、圧接離間部77(
図2を参照)により定着ベルト61を介して定着ローラー63に所定の定着荷重(例えば、1000[N])で圧接される。圧接離間部77は、公知の構成を有し、加圧ローラー64を定着ベルト61に圧接、または、定着ベルト61から離間させる。このようにして、定着ベルト61を介した定着ローラー63と加圧ローラー64との間には、長尺紙Pまたは用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。加圧ローラー64の駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)および圧接離間部77の駆動制御は、制御部101によって行われる。制御部101は、加圧ローラー64を反時計回り方向に回転させる。
【0051】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53bを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53bが配設されたレジストローラー部は、用紙Sまたは長尺紙Pの傾きおよび片寄りを補正する。
【0052】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。また、給紙装置1から画像形成装置2へ給紙された長尺紙Pは、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が長尺紙Pの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された長尺紙Pまたは用紙Sは、排紙ローラー対52aを備えた排紙部52により排紙装置3に搬送される。
【0053】
排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきた長尺紙Pを巻き取って収納する装置である。排紙装置3の筐体内では、例えば、
図1に示すように、長尺紙Pが支持軸に巻回されてロール状に保持される。そのために、排紙装置3は、画像形成装置2から搬送されてきた長尺紙Pを、複数の搬送ローラー対(例えば、繰り出しローラー、排紙ローラー)を経由して、一定の速度で支持軸に巻き取る。排紙装置3の巻き取り動作は、画像形成装置2が備える制御部101によって制御される。
【0054】
蛇行検知部80は、蛇行検知センサー80a〜80dを有し、蛇行検知センサー80a〜80dがそれぞれ配置された位置において、長尺紙Pにトナー像を形成して定着する画像形成定着動作中に用紙搬送部50により搬送される長尺紙Pの蛇行を検知する。そして、蛇行検知センサー80a〜80dは、長尺紙Pの蛇行を検知した場合、その旨を示す検知情報を制御部101に出力する。蛇行検知センサー80a〜80dは、例えば光学センサー、機械的なスイッチ等の機構によって構成され、長尺紙Pの用紙幅方向における両端部の位置が本来あるべき適正な位置にあるか否かを確認することによって長尺紙Pの蛇行を検知する。
【0055】
蛇行補正部82は、制御部101の制御を受け、蛇行検知部80により検知された長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する。蛇行補正動作は、長尺紙Pの蛇行が検知された位置の近傍に存在し、長尺紙Pの搬送に用いられるローラー(本発明の「回転体」に対応)の回転軸を長尺紙Pの搬送方向と直交する方向に傾ける動作(いわゆるステアリング動作)である。
【0056】
制御部101は、
図1に示すように、画像形成システム100において長尺紙Pが搬送される用紙搬送路を3つの範囲A,B,Cに分け、範囲A,B,Cのうち何れの範囲で蛇行検知部80により長尺紙Pの蛇行が検知されたかに応じて、蛇行補正動作の実行態様を変更するように蛇行補正部82を制御する。範囲A,C(本発明の「第1範囲」に対応)は、長尺紙Pの用紙搬送方向における画像形成部40の上流側に位置し、画像形成定着動作中に蛇行補正動作を行っても画像荒れ等の画像不良(定着不良)が発生しない、すなわち蛇行補正動作が画像形成定着動作に影響を与えない範囲である。範囲B(本発明の「第2範囲」に対応)は、長尺紙Pの用紙搬送方向における範囲Aの下流側かつ範囲Cの上流側に位置し、画像形成定着動作中に蛇行補正動作を行った場合に画像荒れ等の画像不良が発生する、すなわち蛇行補正動作が画像形成定着動作に影響を与える範囲である。
【0057】
蛇行検知センサー80aは、範囲Aにおいて画像形成装置2の搬送経路部53に配置されている。制御部101は、蛇行検知センサー80aにより長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止せずに、長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行するように画像形成部40、定着部60および蛇行補正部82を制御する。具体的には、蛇行補正部82は、蛇行検知センサー80aの近傍に配置されている搬送ローラー対53aのうち一方の搬送ローラーの回転軸を長尺紙Pの搬送方向と直交する方向(
図1中上下方向)に傾けることによって、長尺紙Pの蛇行を補正する。
【0058】
蛇行検知センサー80bは、範囲Bにおいて長尺紙Pの用紙搬送方向における二次転写ニップの上流側に配置されている。制御部101は、蛇行検知センサー80bにより長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止した後に長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行するように画像形成部40、定着部60および蛇行補正部82を制御する。画像形成部40の近傍で長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止せずに蛇行補正動作をそのまま実行すると、二次転写ニップにおいて長尺紙Pが用紙幅方向に変位することに起因して画像荒れ等の画像不良が発生するからである。具体的には、蛇行補正部82は、蛇行検知センサー80bの近傍に配置され、二次転写ニップを形成する二次転写ローラー424の回転軸を長尺紙Pの搬送方向と直交する方向(
図1中上下方向)に傾けることによって、長尺紙Pの蛇行を補正する。
【0059】
蛇行検知センサー80cは、範囲Bにおいて長尺紙Pの用紙搬送方向における二次転写ニップの下流側かつ定着ニップの上流側に配置されている。制御部101は、蛇行検知センサー80cにより長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止した後に長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行するように画像形成部40、定着部60および蛇行補正部82を制御する。定着部60の近傍で長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止せずに蛇行補正動作をそのまま実行すると、定着ニップにおいて長尺紙Pが用紙幅方向に変位することに起因して画像荒れ等の定着不良が発生するからである。具体的には、蛇行補正部82は、蛇行検知センサー80cの近傍に配置され、定着ニップを形成する加圧ローラー64の回転軸を長尺紙Pの搬送方向と直交する方向(
図1中上下方向)に傾けることによって、長尺紙Pの蛇行を補正する。
【0060】
蛇行検知センサー80dは、範囲Cにおいて排紙装置3の搬送経路上に配置されている。制御部101は、蛇行検知センサー80dにより長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止せずに長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行するように画像形成部40、定着部60および蛇行補正部82を制御する。具体的には、蛇行補正部82は、蛇行検知センサー80dの近傍に配置されている搬送ローラー対90のうち一方の搬送ローラーの回転軸を長尺紙Pの搬送方向と直交する方向(
図1中上下方向)に傾けることによって、長尺紙Pの蛇行を補正する。
【0061】
次に、
図3のフローチャートを参照し、本実施の形態における画像形成システム100の蛇行補正動作例を説明する。なお、
図3に示す蛇行補正動作は、制御部101が、操作部22に対するユーザー操作を介して印刷ジョブの実行指示を受けて、長尺紙Pにトナー像を形成する画像形成動作の実行を開始した後において、蛇行検知部80により長尺紙Pの蛇行が検知される毎に実行される。
【0062】
まず、制御部101は、蛇行検知部80により長尺紙Pの蛇行が範囲Aまたは範囲Cで検知されたか否かについて判定する(ステップS100)。この判定の結果、長尺紙Pの蛇行が範囲Aまたは範囲Cで検知された場合(ステップS100、YES)、制御部101は、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上であるか否かについて判定する(ステップS120)。ここで、長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上であるとは、長尺紙Pの搬送状態が長尺紙Pの本来あるべき適正な搬送状態と異なっている状態を意味し、例えば長尺紙Pが適正な用紙搬送方向に対して傾いている場合や、長尺紙Pが適正な用紙搬送方向に対して傾くことなく適正な用紙搬送経路の幅方向にずれている場合などが該当する。ステップS120における判定の結果、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上でない、すなわち蛇行補正動作を行わなくても用紙ジャムが発生するおそれが少ないと判断できる場合(ステップS120、NO)、画像形成システム100は、
図3における処理を終了する。
【0063】
一方、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上である、すなわち蛇行補正動作を行わないと用紙ジャムが発生するおそれが高いと判断できる場合(ステップS120、YES)、制御部101は、長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作の実行を開始するように蛇行補正部82を制御する(ステップS140)。次に、制御部101は、蛇行検知部80の検知結果に基づいて、長尺紙Pの蛇行が改善したか否かについて判定する(ステップS160)。ここで、長尺紙Pの蛇行が改善するとは、長尺紙Pの搬送状態が長尺紙Pの本来あるべき適正な搬送状態に完全に一致することの他、長尺紙Pの搬送状態が長尺紙Pの本来あるべき適正な搬送状態に近づくことを意味しており、長尺紙Pが適正な用紙搬送方向に対して傾いている場合に長尺紙Pが実質的に傾かないようになる場合を含む。ステップS160における判定の結果、長尺紙Pの蛇行が改善していない場合(ステップS160、NO)、処理はステップS160の前に戻る。
【0064】
一方、長尺紙Pの蛇行が改善した場合(ステップS160、YES)、制御部101は、蛇行補正動作の実行を終了するように蛇行補正部82を制御する(ステップS180)。ステップS180の処理が完了することによって、画像形成システム100は、
図3における処理を終了する。
【0065】
ステップS100の判定に戻って、長尺紙Pの蛇行が範囲Aまたは範囲Cで検知されていない、すなわち範囲Bで検知された場合(ステップS100、NO)、制御部101は、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上であるか否かについて判定する(ステップS200)。この判定の結果、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上でない、すなわち蛇行補正動作を行わなくても用紙ジャムが発生するおそれが少ないと判断できる場合(ステップS200、NO)、画像形成システム100は、
図3における処理を終了する。
【0066】
一方、検知された長尺紙Pの蛇行状態が注意基準レベル以上である、すなわち蛇行補正動作を行わないと用紙ジャムが発生するおそれが高いと判断できる場合(ステップS200、YES)、制御部101は、画像形成定着動作の実行を停止するように画像形成部40および定着部60を制御する(ステップS220)。ただし、制御部101は、後工程で蛇行補正動作を実行するために、長尺紙Pの搬送動作を続行するように用紙搬送部50を制御する。
【0067】
次に、制御部101は、長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作の実行を開始するように蛇行補正部82を制御する(ステップS240)。次に、制御部101は、蛇行検知部80の検知結果に基づいて、長尺紙Pの蛇行が改善したか否かについて判定する(ステップS260)。この判定の結果、長尺紙Pの蛇行が改善していない場合(ステップS260、NO)、処理はステップS260の前に戻る。
【0068】
一方、長尺紙Pの蛇行が改善した場合(ステップS260、YES)、制御部101は、蛇行補正動作の実行を終了するように蛇行補正部82を制御する(ステップS280)。最後に、制御部101は、画像形成定着動作の実行を再開するように画像形成部40および定着部60を制御する(ステップS300)。ステップS300の処理が完了することによって、画像形成システム100は、
図3における処理を終了する。
【0069】
なお、
図3のフローチャートにおいて、蛇行補正動作の実行により長尺紙Pの蛇行が一定時間改善しなかった場合、または、長尺紙Pの蛇行状態が悪化して警告基準レベル以上となった場合には、制御部101は、印刷ジョブの実行を即時終了するように画像形成部40および定着部60を制御しても良い。ここで、長尺紙Pの蛇行状態が警告基準レベル以上であるとは、長尺紙Pの蛇行の改善が望めず、用紙ジャムや用紙皺が発生するおそれが高い状態を意味している。
【0070】
また、長尺紙Pの蛇行が範囲B(蛇行検知センサー80b)で検知された場合、蛇行補正部82は、二次転写ローラー424の回転軸を傾ける代わりに、二次転写ニップのニップ圧を減少させたり、バックアップローラー423Bから二次転写ローラー424を離間させたりすることによって長尺紙Pの蛇行を補正しても良い。また、長尺紙Pの蛇行が範囲B(蛇行検知センサー80c)で検知された場合、蛇行補正部82は、加圧ローラー64の回転軸を傾ける代わりに、定着ニップのニップ圧を減少させたり、定着ローラー63から加圧ローラー64を離間させたりすることによって長尺紙Pの蛇行を補正しても良い。
【0071】
ところで、長尺紙Pにトナー像を形成する際、長尺紙Pの用紙搬送方向において長尺紙Pにある程度の張力をかけ続ける必要があるため、長尺紙Pの下流側の搬送速度は、上流側の搬送速度より速く設定されている。そこで、上記した方法で蛇行補正動作を実行しても長尺紙Pの蛇行が改善しない場合には、長尺紙Pの蛇行を検知した蛇行検知センサーを基準にして長尺紙Pの用紙搬送方向における下流側の搬送速度を減少させて長尺紙Pにかかる張力を調整することによって長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行しても良い。特に、長尺紙Pが厚紙である場合、用紙のコシが大きいため、長尺紙Pが薄紙である場合と比べて、長尺紙Pの用紙搬送方向における下流側の搬送速度を減少させることが好ましい。
【0072】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成システム100は、長尺紙Pを搬送する用紙搬送部50と、用紙搬送部50により搬送される長尺紙Pにトナー像を形成して定着する画像形成定着動作を実行する画像形成定着部(画像形成部40、定着部60)と、用紙搬送部50により搬送される長尺紙Pの蛇行を検知する蛇行検知部80と、蛇行検知部80により検知された長尺紙Pの蛇行を補正する蛇行補正動作を実行する蛇行補正部82と、蛇行補正動作が画像形成定着動作に影響を与えない範囲A,Cにおいて蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を停止せずに蛇行補正動作を実行するように制御を行う一方、蛇行補正動作が画像形成定着動作に影響を与える範囲Bにおいて蛇行が検知された場合、画像形成定着動作の実行を停止した後に蛇行補正動作を実行するように制御を行う制御部101とを備える。
【0073】
このように構成した本実施の形態によれば、長尺紙Pにトナー像を形成して定着する画像形成定着動作中に用紙ジャムの発生につながるおそれがある長尺紙Pの蛇行が検知された場合、画像形成定着動作を極力停止せずに蛇行補正動作が実行され、用紙ジャムの発生が防止される。そのため、用紙ジャムが発生した際に画像形成動作を停止してリカバリ処理を行う必要がある従来技術と比べて、長尺紙Pにトナー像を形成する場合における生産性の低下を抑制することができる。また、用紙ジャムの発生が防止されることにより、長尺Pに無駄な部分(用紙ジャム発生部分)が発生することを防止することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、画像形成定着動作の実行を停止した後に蛇行補正動作を実行する場合でも、長尺紙Pの搬送を続行している。これにより、長尺紙Pの搬送を一旦停止してから再開する場合と比べて、搬送を停止する際の紙送り分、または、搬送停止後の定着ニップにおける紙ダメージ、画像形成定着動作の再開後のウォームアップ時間中の紙送り分を減らすことができるため、長尺紙Pに無駄な部分が発生することを抑制することができる。
【0075】
なお、上記実施の形態において、範囲Cは画像形成定着後に長尺紙Pが搬送される範囲であるため、範囲Cにおいて長尺紙Pの蛇行を検知したからといって、必ずしも蛇行補正動作を実行しなくても良い。ただし、排紙装置3において画像形成装置2から搬送されてきた長尺紙Pを巻き取る際、搬送ずれや用紙皺が発生するおそれがあるため、範囲Cにおいても長尺紙Pの蛇行を検知して蛇行補正動作を実行することが好ましい。
【0076】
また、上記実施の形態では、範囲Aにおいて蛇行検知センサーが1つ配置される例について説明したが、2つ以上配置されても良い。また、範囲Aにおいて蛇行検知センサーは、画像形成装置2の代わりに給紙装置1に配置されても良いし、画像形成装置2および給紙装置1の両方に配置されても良い。また、範囲Bにおいて蛇行検知センサーが2つ配置される例について説明したが、蛇行検知センサーは1つ、または、3つ以上配置されても良い。また、範囲Cにおいて蛇行検知センサーが1つ配置される例について説明したが、蛇行検知センサーは、2つ以上配置されても良い。
【0077】
また、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。