特許第6210097号(P6210097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6210097織物積層体、織物積層体の製造方法、及び織物積層体の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210097
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】織物積層体、織物積層体の製造方法、及び織物積層体の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/06 20060101AFI20171002BHJP
   B32B 5/08 20060101ALI20171002BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20171002BHJP
   B32B 37/18 20060101ALN20171002BHJP
【FI】
   B32B5/06 Z
   B32B5/08
   B32B5/26
   !B32B37/18
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-148903(P2015-148903)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-30148(P2017-30148A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 藤夫
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆太
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−520847(JP,A)
【文献】 特表2009−524541(JP,A)
【文献】 特開平07−241846(JP,A)
【文献】 特表2003−530251(JP,A)
【文献】 特開2010−017934(JP,A)
【文献】 特開2011−121372(JP,A)
【文献】 特開2012−144806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
D06M 17/00−17/10
D03D 1/00−27/18
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、前記複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合された織物積層体であって、
所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻られているとともに、前記複数の一方向織物のうちの少なくとも一枚の前記糸の配向方向が前記捻り軸線の延びる方向に対し交差しており、
前記捻り軸線の両端に位置する縁部に側縁部を備えるとともに、両方の前記側縁部同士を繋ぐ縁部に捻り縁部を備え、
前記捻り軸線に直交する方向から見て、前記捻り軸線と交差する方向に延びる前記糸は、前記捻り軸線から前記捻り縁部に向けて直線状に延びていることを特徴とする織物積層体。
【請求項2】
複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合された織物積層体の製造方法であって、
前記複数の一方向織物を積層し、
積層された前記複数の一方向織物を、所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻り、前記複数の一方向織物のうち、少なくとも一枚の前記糸の配向方向が前記捻り軸線の延びる方向に対し交差するようにした後、
捻った前記複数の一方向織物を結合糸によって積層方向に結合することを特徴とする織物積層体の製造方法。
【請求項3】
複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、前記複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合され、かつ所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻られた織物積層体の製造装置であって、
前記複数の一方向織物を積層したまま捻った状態に挟持する第1の積層用フレーム及び第2の積層用フレームと、
前記第1の積層用フレームと前記第2の積層用フレームによって前記複数の一方向織物を挟持した状態を固定する固定部材と、を含み、
前記第1の積層用フレームは、前記複数の一方向織物を支持する複数のバックプレートを着脱可能に有するとともに、
前記第2の積層用フレームは、前記複数の一方向織物を前記バックプレートに向けて押圧する複数のプレスプレートを着脱可能に有することを特徴とする織物積層体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合された織物積層体、織物積層体の製造方法、及び織物積層体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材(以下、単に複合材と言う。)は軽量の構造材として広く使用されている。複合材用の強化基材として三次元織物を使用した織物構造体がある。織物構造体を複合材の強化基材として広い用途に使用可能とするためには、単純な平板状ではなく、捻り構造を有する織物構造体が必要となる。
【0003】
捻り構造を有する織物構造体としては、例えば、特許文献1に開示の三次元繊維構造体が挙げられる。図10に示すように、特許文献1の三次元繊維構造体80は、連続繊維からなる繊維層81が積層されて形成された2軸配向となる積層繊維層82が厚さ方向糸83で結合されて構成されている。三次元繊維構造体80における2軸配向は三次元繊維構造体80の長手方向と短手方向である。また、三次元繊維構造体80は、曲げ部84と、長手方向において曲げ部84を挟んで両側に延びる板状部85とを備えるとともに、曲げ部84を境に板状部85が捻れた状態のプロペラに似た形状である。三次元繊維構造体80は、長手方向に延びる捻れ軸線を中心に捻られた構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−297753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の三次元繊維構造体80は、複数の繊維層81を厚さ方向糸83で予め結合した一次構造体を捻って製造されている。一次構造体は、各繊維層81において板状部85となる部位が厚さ方向糸83で結合され、曲げ部84となる部位は、厚さ方向糸83で結合されていない。このため、一次構造体が捻られると、板状部85では、連続繊維が捻りに追従しようとするが、厚さ方向糸83による繊維層81同士の結合によって、連続繊維の追従が規制されてしまっている。よって、板状部85の連続繊維は、捻れに追従しない不自然な形状(屈曲や湾曲)になってしまい、連続繊維の直進性が保たれず、板状部85の強度が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、捻り構造を有していても糸の直進性を維持して強度低下を抑制することができる織物積層体、織物積層体の製造方法、及び織物積層体の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための織物積層体は、複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、前記複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合された織物積層体であって、所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻られているとともに、前記複数の一方向織物のうちの少なくとも一枚の前記糸の配向方向が前記捻り軸線の延びる方向に対し交差しており、前記捻り軸線の両端に位置する縁部に側縁部を備えるとともに、両方の前記側縁部同士を繋ぐ縁部に捻り縁部を備え、前記捻り軸線に直交する方向から見て、前記捻り軸線と交差する方向に延びる前記糸は、前記捻り軸線から前記捻り縁部に向けて直線状に延びていることを要旨とする。
【0008】
これによれば、織物積層体が捻り構造を有していても、捻り軸線に対し交差する方向に延びる糸は、捻り軸線から捻り縁部に至るまで直線状に延び、しかも、それら糸が直線状に延びる状態で、織物積層体は結合糸によって積層方向に結合されている。このため、捻り構造を有する織物積層体であっても、捻り軸線に交差する糸の直進性が維持され、糸が屈曲したり、湾曲したりすることによる強度低下が抑制される。
【0009】
また、上記問題点を解決するための織物積層体の製造方法は、複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合された織物積層体の製造方法であって、前記複数の一方向織物を積層し、積層された前記複数の一方向織物を、所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻り、前記複数の一方向織物のうち、少なくとも一枚の前記糸の配向方向が前記捻り軸線の延びる方向に対し交差するようにした後、捻った前記複数の一方向織物を結合糸によって積層方向に結合することを要旨とする。
【0010】
これによれば、複数の一方向織物を結合糸で結合するのに先んじて、積層された複数の一方向織物を捻る。このため、複数の一方向織物を結合糸で積層方向に結合した後に捻った場合のように、結合された繊維層の糸が捻りに追従できずに引っ張られて織物積層体の表面に皺ができたり、一方向に延びた糸の直進性が保たれなくなってしまうことを抑制することができる。
【0011】
また、上記問題点を解決するための織物積層体の製造装置は、複数の糸が一軸配向に配列された一方向織物が複数積層されるとともに、前記複数の一方向織物が結合糸によって積層方向に結合され、かつ所定方向に沿って直線状に延びる捻り軸線を中心として捻られた織物積層体の製造装置であって、前記複数の一方向織物を積層したまま捻った状態に挟持する第1の積層用フレーム及び第2の積層用フレームと、前記第1の積層用フレームと前記第2の積層用フレームによって前記複数の一方向織物を挟持した状態を固定する固定部材と、を含み、前記第1の積層用フレームは、前記複数の一方向織物を支持する複数のバックプレートを着脱可能に有するとともに、前記第2の積層用フレームは、前記複数の一方向織物を前記バックプレートに向けて押圧する複数のプレスプレートを着脱可能に有することを要旨とする。
【0012】
これによれば、第1の積層用フレームと第2の積層用フレームによって、複数の一方向織物を積層したまま捻った状態に挟持できる。このため、複数の一方向織物がばらけたり、捻った状態が解除されることを抑制できる。そして、複数あるバックプレートのうち、一部のバックプレートを第1の積層用フレームから取り外すとともに、取り外したバックプレートに対向したプレスプレートを第2の積層用フレームから取り外すことで、製造装置に複数の一方向織物が保持された状態で、それら一方向織物を一部だけ製造装置から露出させることができる。その結果、製造装置から露出した部分に結合糸を挿入することが可能になる。よって、積層された複数の一方向織物を捻った後に、それら一方向織物を結合糸で結合することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、捻り構造を有していても糸の直進性を維持して強度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の織物積層体を模式的に示す斜視図。
図2】実施形態の織物積層体を長手方向に沿って切断した状態の断面図。
図3】製造装置を示す分解斜視図。
図4】製造装置を示す斜視図。
図5】製造装置を用いた製造方法を示す部分破断斜視図。
図6】別例の織物積層体を模式的に示す斜視図。
図7】別例の織物積層体を示す断面図。
図8】別例の織物積層体を模式的に示す斜視図。
図9】別例の織物積層体を模式的に示す断面図。
図10】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、織物積層体、織物積層体の製造方法、及び織物積層体の製造装置を具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図2に示すように、繊維強化複合材Mは、強化基材としての織物積層体Wにマトリックス樹脂Maを含浸させて形成されたものである。
【0016】
図1及び図2に示すように、織物積層体Wは、4枚の繊維層11〜14を積み重ねて構成されている。以下、4枚の繊維層11〜14について、織物積層体Wの最下層を構成する繊維層を第1の繊維層11とし、最下層の第1の繊維層11上に積み重ねられた繊維層を第2の繊維層12とする。また、第2の繊維層12の上に積み重ねられた繊維層を第3の繊維層13とし、この第3の繊維層13上に積み重ねられ、かつ織物積層体Wの最上層を構成する繊維層を第4の繊維層14とする。
【0017】
織物積層体Wにおいて、第1〜第4の繊維層11〜14が積み重ねられた方向を積層方向とし、第1〜第4の繊維層11〜14において、積層方向に沿う方向を厚み方向とするとともに、その厚み方向に沿う寸法を厚みとする。第1〜第4の繊維層11〜14を厚み方向に見た平面視において、矩形状の面を第1〜第4の繊維層11〜14の表面とする。また、第1〜第4の繊維層11〜14において、矩形状の表面における長辺の延びる方向を長手方向とし、短辺の延びる方向を短手方向とする。
【0018】
図1に示すように、第1〜第4の繊維層11〜14のそれぞれは、糸としての経糸10aが1軸配向となるように一方向に複数配列され、それら複数の経糸10aが緯糸10bによって結合されている。なお、経糸10aは、例えば、炭素繊維で構成され、緯糸10bはナイロン糸で構成されている。緯糸10bは、経糸10aに溶着されており、緯糸10bの溶着によって経糸10aの1軸配向が保持されている。
【0019】
第1の繊維層11における経糸10aの配向角度は0度であり、この経糸10aは、第1の繊維層11の長手方向に延びた状態に配列されている。また、第2の繊維層12における経糸10aの配向角度は45度であり、この経糸10aは、第2の繊維層12の長手方向に対し45度傾いた状態に引き揃えられている。第3の繊維層13における経糸10aの配向角度は−45度であり、この経糸10aは、第3の繊維層13の長手方向に対し−45度傾いた状態に引き揃えられている。第4の繊維層14における経糸10aの配向角度は90度であり、この経糸10aは、第4の繊維層14の短手方向に延びた状態に配列されている。よって、第1〜第4の繊維層11〜14における経糸10aの4方向への配向角度に基づき、織物積層体Wは4方向への擬似等方性を有する。
【0020】
図2に示すように、第1〜第4の繊維層11〜14は、それら第1〜第4の繊維層11〜14の厚み方向に延びる結合糸20aを有する結合構造20によって、積層方向に結合されている。結合構造20は、結合糸20aと抜け止め糸20bとで構成されている。結合糸20aは、第1の繊維層11の表面に沿って長手方向に延びる状態で複数配列されるとともに所定ピッチで織物積層体W内に外面側から挿入され、かつ織物積層体Wの第4の繊維層14の外面から突出してループ状に折り返すように配列されている。結合糸20aは、第1〜第4の繊維層11〜14の表面に対し直交する状態で積層方向に延びている。
【0021】
抜け止め糸20bは、第4の繊維層14の外面に沿って短手方向に延びる状態で複数配列され、第4の繊維層14の長手方向に間隔を空けて配列されている。抜け止め糸20bは、結合糸20aのループL内に挿通された状態で結合糸20aの織物積層体Wからの抜け止めを行うように配列されている。
【0022】
図1に示すように、織物積層体Wは、捻り軸線21を捻り中心とした捻り構造を有する捻り領域R1と、捻り領域R1に連続し、かつ平坦な板状の平坦領域R2とを含む。捻り軸線21は織物積層体Wの短手方向の中心点を通過しつつ、長手方向に沿って直線状に延び、直進性を有する。織物積層体Wにおいて、捻り軸線21は捻り領域R1及び平坦領域R2を通過しており、捻り軸線21の両端に位置する短縁部を側縁部22とし、2つの側縁部22の両端同士を繋ぐ長縁部を捻り縁部23とする。
【0023】
第1の繊維層11の経糸10aは、捻り軸線21に平行な状態で直線状に延びている。第2の繊維層12の経糸10aは、捻り軸線21に対し45度傾斜した状態で、捻り軸線21から各捻り縁部23に向けて直線状に延びている。第3の繊維層13の経糸10aは、捻り軸線21に対し−45度傾斜した状態で、捻り軸線21から各捻り縁部23に向けて直進している。第4の繊維層14の経糸10aは、捻り軸線21に対し直交した状態で、捻り軸線21から各捻り縁部23に向けて直線状に延びている。したがって、織物積層体Wを捻り軸線21に直交する方向から見ると、第2〜第4の繊維層12〜14の経糸10aは、捻り領域R1及び平坦領域R2のそれぞれで捻り軸線21から捻り縁部23に向けて直線状に延びている。
【0024】
次に、織物積層体Wの製造装置について説明する。
図3又は図4に示すように、製造装置30は、第1〜第4の繊維層11〜14を積層したまま捻った状態に挟持する第1の積層用フレーム31及び第2の積層用フレーム51と、第1の積層用フレーム31と第2の積層用フレーム51によって第1〜第4の繊維層11〜14を挟持した状態を固定する固定部材71と、を有する。固定部材71はボルトである。
【0025】
第1の積層用フレーム31は、金属製の矩形枠状である。第1の積層用フレーム31は、長手方向の両端に位置する矩形板状の第1ベースプレート32a及び第2ベースプレート32bと、それら第1ベースプレート32a及び第2ベースプレート32bの長手方向両端同士を繋ぐ支持プレート33とを一体化した矩形枠状である。
【0026】
第1の積層用フレーム31は、第1ベースプレート32a寄りに、平坦部31aを備えるとともに、平坦部31aよりも第2ベースプレート32b寄りに、捻り軸線38を捻り中心とした捻り部31bを有する。捻り軸線38は、捻り部31bの短手方向の中心点を通過しつつ、長手方向に直進している。
【0027】
第1の積層用フレーム31は、第1ベースプレート32aに一体の軸取付プレート35を有する。軸取付プレート35は、捻り軸線38の延長線と同軸上に位置する回転軸36を備える。
【0028】
各支持プレート33は、平坦部31aを構成する部分は直方体状であり、捻り部31bを構成する部分は緩やかに捻れた形状である。一対の支持プレート33間の間隔は、支持プレート33の長手方向に沿って一定である。支持プレート33は、厚み方向に対向する二つの側面のうち、一方に取付面33aを備えるとともに、他方に支持面33bを備える。支持プレート33は、取付面33aから凹む螺子穴33cを複数備え、複数の螺子穴33cは支持プレート33の長手方向に等間隔おきに配置されている。また、支持プレート33は、長手方向の両端部に固定用螺子穴33dを備える。
【0029】
第1の積層用フレーム31は、支持プレート33に取り付けられる複数のバックプレート41a,41bを含み、複数のバックプレート41a,41bは、第1〜第4の繊維層11〜14を支持する。
【0030】
バックプレート41a,41bは、金属製である。バックプレートは、平坦部31aに取り付けられる平坦部用のバックプレート41aと、捻り部31bに取り付けられる捻り部用のバックプレート41bとを含む。平坦部用のバックプレート41aは、矩形板状である。捻り部用のバックプレート41bは、矩形板を、その長手方向の中間で捻った形状であり、一対の支持プレート33の捻り度合いに合わせて捻られている。
【0031】
各バックプレート41a,41bは、長手方向の両端を厚み方向に貫通する挿通孔41cを有し、挿通孔41cにはボルト42が貫通可能である。ボルト42は、支持プレート33の螺子穴33cに螺合可能である。
【0032】
各バックプレート41a,41bは、長手方向の両端部に、その他の部位より厚みの薄い段部43を備えるとともに、長手方向において両段部43に挟まれた部位に支持部44を備える。厚み方向に沿った支持部44の表面から段部43に至るまでの深さは、支持プレート33の厚みと同じである。また、長手方向に沿った支持部44の長さは、一対の支持プレート33の対向した内側面同士の長さより若干短い。
【0033】
そして、平坦部用のバックプレート41aは、支持プレート33における平坦部31aを構成する部位に段部43を当接させた状態で、支持部44が支持プレート33の間に配置されている。また、捻り部用のバックプレート41bは、支持プレート33における捻り部31bを構成する部位に段部43を当接させた状態で、支持部44が支持プレート33の間に配置されている。この状態で、挿通孔41cに挿通したボルト42が、支持プレート33の螺子穴33cに螺合され、各バックプレート41a,41bが支持プレート33に取り付けられている。
【0034】
一方、ボルト42を、螺子穴33cから螺退させることにより、各バックプレート41a,41bを、第1の積層用フレーム31から離れる方向へと、支持プレート33から取り外すことができる。
【0035】
第2の積層用フレーム51は、金属製である。第2の積層用フレーム51は、長手方向の一端寄りに、平坦部51aを備えるとともに、平坦部51aよりも他端寄りに、捻り軸線58を捻り中心とした捻り部51bを有する。捻り軸線58は、捻り部51bの短手方向の中心点を通過しつつ、長手方向に直進する直線状である。
【0036】
第2の積層用フレーム51は、一対の取付プレート52を有する。各取付プレート52は、平坦部51aを構成する部分は直方体状であり、捻り部51bを構成する部分は緩やかに捻れた形状である。図4に示すように、取付プレート52は、厚み方向に対向する二つの側面のうち、一方にプレート取付面52aを備える。取付プレート52は、プレート取付面52aから凹む取付溝52bを複数備え、複数の取付溝52bは取付プレート52の長手方向に等間隔おきに配置されている。
【0037】
図3に示すように、各取付プレート52は、長手方向の両端部を厚み方向に貫通する貫通孔52cを有する。貫通孔52cには、第2の積層用フレーム51を第1の積層用フレーム31に固定するための固定部材71が貫通可能であり、固定部材71は、支持プレート33の固定用螺子穴33dに螺合可能である。
【0038】
第2の積層用フレーム51は、取付プレート52に取り付けられる複数のプレスプレート61a,61bを含み、複数のプレスプレート61a,61bは、第1〜第4の繊維層11〜14をバックプレート41a,41bに向けて押圧する。プレスプレート61a,61bは、金属製である。プレスプレートは、平坦部51aに取り付けられる平坦部用のプレスプレート61aと、捻り部51bに取り付けられる捻り部用のプレスプレート61bとを含む。平坦部用のプレスプレート61aと捻り部用のプレスプレート61bは同一の矩形板状である。このため、図4に示すように、捻り部51bの取付溝52bには、捻り部用のプレスプレート61bが挿入できるように、捻りに合わせた溝加工が施されている。
【0039】
そして、平坦部用のプレスプレート61aの長手方向の両端部は、取付プレート52における平坦部51aを構成する部位の取付溝52bに挿入され、取付プレート52に一体化されている。また、捻り部用のプレスプレート61bの長手方向の両端部は、取付プレート52における捻り部51bを構成する部位の取付溝52bに挿入され、取付プレート52に一体化されている。取付プレート52への各プレスプレート61a,61bの取付状態では、各プレスプレート61a,61bの長側縁部が、取付プレート52のプレート取付面52aよりも突出している。
【0040】
製造装置30では、第1の積層用フレーム31の平坦部31a及び捻り部31bに第1〜第4の繊維層11〜14が支持された状態で、その第1の積層用フレーム31と第2の積層用フレーム51とを固定部材71で固定することができる。第1の積層用フレーム31と第2の積層用フレーム51が固定された状態では、バックプレート41a,41bと、プレスプレート61a,61bとの間に、第1〜第4の繊維層11〜14が挟持される。
【0041】
次に、製造装置30を用いた織物積層体Wの製造方法について説明する。
まず、製造装置30に挟持された複数の繊維層を結合するための結合装置60について説明する。また、第1〜第4の繊維層11〜14において、製造装置30によって積層方向に挟持されつつも結合構造20が形成されていないものを、前駆体59とする。
【0042】
図5に示すように、結合装置60は、製造装置30を回転可能に支持する回転装置62と、回転装置62に支持された製造装置30に対し接離する方向へ移動可能な針支持体63と、上下方向へ移動可能な抜け止め糸挿通用針67とを含む。
【0043】
回転装置62には、製造装置30における軸取付プレート35の回転軸36が着脱可能である。回転装置62は、回転軸36を回転中心として製造装置30を回転させる。針支持体63は、図示しない駆動装置によって、製造装置30に対し接離する方向へ移動可能である。針支持体63は、結合糸20aを前駆体59に挿入するための挿入針64を複数備え、各挿入針64の先端には結合糸20aが通されている。本実施形態では、挿入針64は、上下方向に沿って複数配列されている。
【0044】
抜け止め糸挿通用針67は、挿入針64の配列方向(上下方向)に沿って移動可能である。抜け止め糸挿通用針67は、挿入針64の配列方向に沿った一端側に配設され、挿入針64の配列方向に沿った他端側には、抜け止め糸20bが配置されている。
【0045】
さて、製造装置30及び結合装置60を用いて織物積層体Wを製造するには、まず、図3に示すように、第1の積層用フレーム31において、支持プレート33に、平坦部用のバックプレート41a及び捻り部用のバックプレート41bを取り付け、支持プレート33の支持面33bと、バックプレート41bの支持部44とを面一な状態にする。
【0046】
そして、第1の積層用フレーム31の平坦部31a及び捻り部31bに亘って第1の繊維層11を載せ、その第1の繊維層11を平坦部31a及び、捻り部31bの捻り形状に沿わせて図示しないローラ等で押し延ばす。すると、第1の繊維層11が、平坦部31a及び捻り部31bに沿った形状に賦形される。
【0047】
次に、第1の繊維層11に第2の繊維層12を載せ、第1の繊維層11と同様に、ローラ等で押し延ばす。すると、第2の繊維層12が、平坦部31a及び捻り部31bに沿った形状に賦形される。そして、第3の繊維層13及び第4の繊維層14も同様に賦形させる。
【0048】
次に、第2の積層用フレーム51において、取付プレート52に、平坦部用のプレスプレート61a及び捻り部用のプレスプレート61bを取り付ける。そして、第2の積層用フレーム51を、最上層の第4の繊維層14に載せる。図4に示すように、第2の積層用フレーム51の貫通孔52cに固定部材71を貫通させ、その固定部材71を第1の積層用フレーム31の固定用螺子穴33dに螺合する。すると、複数の捻り部用のプレスプレート61bによって、第1〜第4の繊維層11〜14が積層方向に押圧されるとともに、捻り部31b,51bの捻り形状に沿って捻られた状態に挟持される。すなわち、前駆体59が製造装置30の捻り軸線38,58を捻り中心とした捻り形状に保持される。また、複数の平坦部用のプレスプレート61aによって、第1〜第4の繊維層11〜14が積層方向に押圧されるとともに、平坦部31a,51aに沿って平坦な状態に挟持される。
【0049】
次に、図5に示すように、製造装置30の回転軸36を回転装置62に取り付け、回転軸36を回転中心として製造装置30を回転可能な状態に支持させる。
次に、製造装置30において、結合糸20aを挿入する位置にある捻り部用のバックプレート41bを第1の積層用フレーム31から取り外すとともに、結合糸20aを挿入する位置にある捻り部用のプレスプレート61bを第2の積層用フレーム51から取り外す。すると、前駆体59において、結合糸20aを挿入する部分が製造装置30から露出する。
【0050】
次に、前駆体59の露出した部位に針支持体63を対向配置し、複数の挿入針64を前駆体59の露出部に対向配置する。このとき、挿入針64が、前駆体59の表面に対し、直交するように回転装置62によって、製造装置30と共に前駆体59を回転させる。そして、針支持体63を前駆体59に近付け、挿入針64を前駆体59の積層方向に沿って第1の繊維層11の外面から挿入する。すると、挿入針64の前駆体59への挿入に伴い前駆体59の積層方向に結合糸20aが挿入される。挿入針64の先端を、前駆体59の第4の繊維層14の外面から突出させた後、針支持体63を前駆体59から離間させる方向へ僅かに移動させると、前駆体59の表面には、結合糸20aがループ状になる。
【0051】
その後、第4の繊維層14の外面上に形成された結合糸20aの各ループに、抜け止め糸挿通用針67を通し、各ループ内に抜け止め糸20bが通される。そして、針支持体63が前駆体59から離間する方向へ移動し、挿入針64が前駆体59から離脱すると、結合糸20aが引き戻され、前駆体59内に挿入された結合糸20aが抜け止め糸20bにより抜け止めされた状態で締め付けられる。
【0052】
そして、前駆体59の一部に結合構造20が形成された後、取り外したバックプレート41bを第1の積層用フレーム31に取り付けるとともに、取り外したプレスプレート61bを第2の積層用フレーム51に取り付ける。
【0053】
次に、形成された結合構造20の隣りに、別の結合構造20を形成するため、その別の結合構造20を形成する位置にある捻り部用のバックプレート41bを第1の積層用フレーム31から取り外すとともに、捻り部用のプレスプレート61bを第2の積層用フレーム51から取り外す。すると、前駆体59の長手方向において、形成された結合構造20の隣りの部分が製造装置30から露出する。そして、針支持体63を、製造装置30から露出した前駆体59に対向配置し、上記と同様に結合構造20を形成する。
【0054】
その後、前駆体59の長手方向全体に亘って、プレスプレート61b及びバックプレート41bの取り外しと、取り付けを行って結合構造20を形成していく。その結果、第1〜第4の繊維層11〜14は、製造装置30によって捻れ形状が保持された状態で結合構造20によって積層方向に結合されていく。
【0055】
その結果、第1の積層用フレーム31の平坦部31a及び第2の積層用フレーム51の平坦部51aにより、織物積層体Wの平坦領域R2が製造され、第1の積層用フレーム31の捻り部31b及び第2の積層用フレーム51の捻り部51bにより、織物積層体Wの捻り領域R1が製造される。
【0056】
最後に、固定部材71を固定用螺子穴33dから螺退させ、第1の積層用フレーム31と第2の積層用フレーム51を分解し、製造装置30から織物積層体Wを取り外す。製造された織物積層体Wに、熱硬化性のマトリックス樹脂Maを含浸硬化させる。マトリックス樹脂Maの含浸硬化はRTM(レジン・トランスファー・モールディング)法で行われる。その結果、織物積層体Wを強化基材とした繊維強化複合材Mが製造される。
【0057】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)織物積層体Wは、捻り軸線21を捻り中心とした捻り構造を有していても、第2〜第4の繊維層12〜14を構成する各経糸10aは、それぞれ捻り軸線21から捻り縁部23に至るまで直進性を有するように直線状に延びている。このため、織物積層体Wが捻り構造を有していても、経糸10aが、屈曲したり、湾曲したりしておらず、第2〜第4の繊維層12〜14の経糸10aが延びる1軸方向への直進性が維持され、その強度低下を抑制することができる。
【0058】
(2)織物積層体Wの製造装置30は、第1〜第4の繊維層11〜14を積層した前駆体59を捻った状態に保持することができる。そして、捻った状態の前駆体59を、結合糸20a及び抜け止め糸20bで積層方向に結合することができる。よって、織物積層体Wは、第1〜第4の繊維層11〜14を結合糸20a及び抜け止め糸20bで積層方向に結合した後に捻って製造されていない。このため、第1〜第4の繊維層11〜14の経糸10aが捻りに追従できずに引っ張られて織物積層体Wの表面に皺ができたり、一方向に延びた経糸10aの直進性が保たれなくなってしまうことを抑制することができる。
【0059】
(3)製造装置30において、第1の積層用フレーム31はバックプレート41a,41bを着脱可能であり、第2の積層用フレーム51はプレスプレート61a,61bを着脱可能である。このため、複数のバックプレート41a,41b、及び複数のプレスプレート61a,61bのうちの一部だけを製造装置30から取り外すことで、製造装置30に前駆体59を保持したまま、前駆体59のうち挿入針64を挿入する部位だけ露出させ、結合糸20aを前駆体59に挿入することができる。したがって、前駆体59を結合糸20aで結合するために、第1〜第4の繊維層11〜14がばらけることを抑制することができる。
【0060】
(4)製造装置30は、捻り軸線21と同軸上に回転軸36を備える。このため、回転軸36を結合装置60の回転装置62に取り付けることで、製造装置30を捻り軸線21を中心として回転させることができる。そして、製造装置30とともに前駆体59を捻り軸線21を中心に回転させることで、挿入針64の進退方向に対し、前駆体59を直交させた状態に配置することができる。このため、挿入針64を、前駆体59の積層方向に沿って挿入することができ、結合糸20aも捻られず、結合糸20aの強度低下もない。
【0061】
(5)製造装置30において、第2の積層用フレーム51はプレスプレート61a,61bを備え、プレスプレート61a,61bによって、前駆体59を第1の積層用フレーム31のバックプレート41a,41bに向けて押し当てることができる。このため、第1の積層用フレーム31と第2の積層用フレーム51の間で、第1〜第4の繊維層11〜14が積層方向に離間したり、層間がずれたりせず、前駆体59の形状を保持したまま、結合糸20aによって結合することができる。
【0062】
(6)織物積層体Wの製造方法として、プリプレグを貼り付けて積層していく方法がある。捻り形状を有する織物積層体Wを製造する場合は、プリプレグを捻りながら貼り付けることになるが、プリプレグを捻ると、その縁部は、引っ張りによって捻り前の長さから変化し、捻り形状で繊維層の縁部同士を合わせた貼り付けが行いにくい。このため、長手方向に分割された短冊状のプリプレグ同士を貼り付ける必要があり、非常に手間が掛かる。しかし、本実施形態では、製造装置30を用いて第1〜第4の繊維層11〜14を捻った状態に保持して結合糸20aで結合するため、捻り形状の織物積層体Wの製造が容易になる。
【0063】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図6及び図7に示すように、織物積層体Wは、捻り構造を有しつつ、短手方向に沿って湾曲する形状であってもよい。この場合、製造装置で前駆体59を捻りつつ、短手方向に湾曲させた状態に保持した状態で、結合糸20a及び抜け止め糸20bによって第1〜第4の繊維層11〜14を結合する。
【0064】
結合糸20a及び抜け止め糸20bによる第1〜第4の繊維層11〜14の結合は、湾曲した部位であっても、結合糸20aが積層方向に挿入されるように、結合糸20aの挿入を1箇所ずつミシンによって行う。
【0065】
図8に示すように、織物積層体73は、捻り軸線21の第1端部22a側が、該第1端部22aに向かうに従い厚みが徐々に薄くなるテーパ部Tを有する構造であってもよい。この場合、捻り軸線21の第2端部22b側は、テーパ部Tではなく、一定の厚みを有する肉厚部となる。
【0066】
図9に示すように、織物積層体73は、第1端部22a側において、織物積層体73は、第1〜第5の繊維層70a〜70eによって芯部72が構成され、その芯部72を、積層方向の両端側から第6の繊維層70fと第7の繊維層70gとで覆った構造である。一方、織物積層体73は、第2端部22b側では、第1〜第7の繊維層70a〜70gの長手方向の先端が全て揃った状態に積層され、テーパ部Tを構成していない。
【0067】
第1の繊維層70aは、芯部72を構成する繊維層のうち、長手方向に沿う長さが最も長い繊維層である。第1端部22a側では、芯部72において、その積層方向における第1の繊維層70aの一面側には、第2の繊維層70bが配置され、第1の繊維層70aの他面側には第3の繊維層70cが配置されている。第2の繊維層70b及び第3の繊維層70cは、長手方向に沿う長さが第1の繊維層70aより短い繊維層である。
【0068】
芯部72において、その積層方向における第2の繊維層70bの外側には第4の繊維層70dが配置され、第3の繊維層70cの外側には第5の繊維層70eが配置されている。第4の繊維層70d及び第5の繊維層70eは、長手方向に沿う長さが第2の繊維層70b及び第3の繊維層70cより短い繊維層である。
【0069】
よって、芯部72は、第1端部22a側では、第1端部22aの先端に向かうに従い、存在する繊維層が5枚、3枚、1枚と減っていき、厚みが徐々に薄くなっている。そして、第6の繊維層70fと第7の繊維層70gで、芯部72全体を覆うことで、織物積層体73の第1端部22a側のテーパ部Tでは、先端に向かうに従い厚みが徐々に薄くなっている。
【0070】
また、織物積層体73において、長手方向の第1端部22a側は、円弧状に面取りが施されており、第2端部22b側は、面取りが施されず、角張った形状である。
なお、芯部72を構成する繊維層の枚数は、織物積層体73の厚みに応じて適宜変更してもよい。
【0071】
図8に示す上記形態において、芯部72を構成する第1〜第5の繊維層70a〜70eを結合糸20a及び抜け止め糸20bによる結合構造20で積層方向に結合し、芯部72と第6の繊維層70f、及び芯部72と第7の繊維層70gとは結合糸としてのタフティング糸で積層方向に結合してもよい。
【0072】
このように構成した場合、織物積層体73のように7層構造であっても、織物積層体73を積層方向に結合することができる。
○ 実施形態では、第1〜第4の繊維層11〜14において、経糸10aの配向角度を全て異ならせたが、4枚のうち、2枚又は3枚の繊維層同士の間で経糸10aの配向角度が異なっていてもよい。この場合、少なくとも1枚の繊維層について、経糸10aの延びる方向が捻り軸線21に対し交差している。
【0073】
○ 製造装置30において、第1の積層用フレーム31の平坦部31a及び第2の積層用フレーム51の平坦部51aを無くし、第1の積層用フレーム31及び第2の積層用フレーム51の全体を捻り部31b,51bだけで構成してもよい。この場合、織物積層体Wは、捻り領域R1だけで構成され、平坦領域R2は存在しない形状となる。
【0074】
○ 実施形態では、前駆体59を第1の積層用フレーム31及び第2の積層用フレーム51の枠内に収まる形状にしたが、前駆体59を、第1の積層用フレーム31及び第2の積層用フレーム51の枠外にはみ出る形状にし、織物積層体Wを製造した後、織物積層体Wの周囲をカットして所望する形状にしてもよい。
【0075】
○ 織物積層体Wは、経糸10aが四方向に疑似等方性を有するとしたが、織物積層体Wは、経糸10aが三方向や六方向に疑似当方性を有するとしてもよい。
○ 織物積層体Wは、疑似等方性を有していなくてもよい。
【0076】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記結合糸は、前記複数の一方向織物を前記積層方向に貫通する結合糸と、該結合糸が抜け止めされた抜け止め糸を含む織物積層体。
【0077】
(ロ)前記捻り軸線と同軸上に回転軸を備える織物積層体の製造装置。
【符号の説明】
【0078】
W,73…織物積層体、10a…糸としての経糸、11〜14…一方向織物としての第1〜第4の繊維層、20a…結合糸、21…捻り軸線、22…側縁部、23…捻り縁部、30…製造装置、31…第1の積層用フレーム、41a,41b…バックプレート、51…第2の積層用フレーム、61a,61b…プレスプレート、71…固定部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10