(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210108
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】フィールド機器管理装置、機器情報表示方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20171002BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
G05B19/042
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-231269(P2015-231269)
(22)【出願日】2015年11月27日
(62)【分割の表示】特願2013-252044(P2013-252044)の分割
【原出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-42386(P2016-42386A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】降旗 良平
【審査官】
後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−211308(JP,A)
【文献】
特開2007−124206(JP,A)
【文献】
特開2002−268730(JP,A)
【文献】
特開2006−252145(JP,A)
【文献】
特開2011−203775(JP,A)
【文献】
特開2011−215917(JP,A)
【文献】
特開2004−118475(JP,A)
【文献】
特開2010−026843(JP,A)
【文献】
特開2012−27674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
G05B 19/04−19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置であって、
接続したフィールド機器から固有情報である基本情報と、動作内容を定めるパラメータとを取得する通信部と、
前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報と前記パラメータとを含む機器情報を保存する機器情報保存部と、
接続中のフィールド機器毎に前記機器情報を一覧表示する機器情報表示画面を生成するユーザインタフェース部と、
を備え、
前記ユーザインタフェース部は、過去に接続され接続中でないフィールド機器に関して、前記機器情報保存部に保存されている前記機器情報を取得し、取得した前記機器情報についてフィールド機器のリストを表示する保存機器情報表示画面を生成し、
前記リストから特定のフィールド機器が選択されると、選択されたフィールド機器の機器情報を表示することを特徴とするフィールド機器管理装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース部は、前記選択されたフィールド機器の機器情報の表示項目を切換える表示項目選択メニューを表示することを特徴とする請求項1に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項3】
前記機器情報は、前記フィールド機器に関して任意に入力された画像を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項4】
前記機器情報保存部に保存されているパラメータに基づいて、所定のフォーマットの作業報告書を作成する作業報告書作成部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項5】
前記ユーザインタフェース部は、一部のパラメータを前記機器情報表示画面に表示し、
全パラメータについては、別途表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項6】
前記機器情報は、前記フィールド機器に関して任意に入力されたコメントを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項7】
前記機器情報は、フィールド機器に対する操作履歴をさらに含み、
前記ユーザインタフェース部は、接続中の前記フィールド機器に関する操作履歴を前記機器情報表示画面に表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項8】
前記ユーザインタフェース部は、操作時期に応じて前記操作履歴の表示態様を変更することを特徴とする請求項7に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項9】
前記機器情報保存部は、前記通信部が前記接続したフィールド機器から取得した機器情報を、作業者の指示がなくても保存することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項10】
前記ユーザインタフェース部は、前記機器情報表示画面に一覧表示した前記機器情報の編集を受け付けることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項11】
前記ユーザインタフェース部は、前記機器情報表示画面で機器情報が編集された場合に、前記機器情報保存部に保存されている前記機器情報を作業者の指示がなくても更新することを特徴とする請求項10に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項12】
前記機器情報保存部は、取得した前記基本情報にフィールド機器を一意に識別可能な機器識別子が含まれる場合は、前記機器識別子を前記機器識別情報として用い、取得した前記基本情報に前記機器識別子が含まれない場合は、前記基本情報に含まれる他の複数の情報を連結して前記機器識別情報として用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィールド機器管理装置。
【請求項13】
フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置における機器情報表示方法であって、
接続したフィールド機器から固有情報である基本情報と動作内容を定めるパラメータを取得するステップと、
前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報と前記パラメータを含む機器情報を保存するステップと、
過去に接続され接続中でないフィールド機器に関して、保存された前記機器情報を取得し、取得した前記機器情報についてフィールド機器のリストを表示する保存機器情報表示画面を生成し、前記リストから特定のフィールド機器が選択されると、選択されたフィールド機器の機器情報を表示するステップと、
を有することを特徴とする機器情報表示方法。
【請求項14】
情報処理装置を、フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置として機能させるコンピュータプログラムであって、
接続したフィールド機器から固有情報である基本情報と、動作内容を定めるパラメータとを取得する通信部と、
前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報と前記パラメータとを含む機器情報を保存する機器情報保存部と、
接続中のフィールド機器毎に前記機器情報を一覧表示する機器情報表示画面を生成するユーザインタフェース部と、
して前記情報処理装置を機能させ、
前記ユーザインタフェース部は、過去に接続され接続中でないフィールド機器に関して、前記機器情報保存部に保存されている前記機器情報を取得し、取得した前記機器情報についてフィールド機器のリストを表示する保存機器情報表示画面を生成し、
前記リストから特定のフィールド機器が選択されると、選択されたフィールド機器の機器情報を表示する
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド機器の保全等に用いるフィールド機器管理装置の操作性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プラントでは、制御監視システムの制御の下で、フィールド機器と総称される計測機器、バルブ類、アクチュエータ機器等が稼働している。制御監視システムと各フィールド機器とは、Foundation Fieldbus、HART(登録商標)等のフィールドバスによって相互接続され、フィールドバスを介して通信を行なうことによって各種のプロセス制御が実現される。近年では、無線による通信も一般化している。
【0003】
フィールド機器に対しては、プラントの保全計画に基づいて定期的あるいは不定期に、また異常発生時や機器の増設時等に保全作業が行なわれるが、非特許文献1には、フィールド機器の保全等に用いられるフィールド機器管理ツール「FieldMate(登録商標)」が紹介されている。
【0004】
このフィールド機器管理ツールは、接続ツールを用いてフィールド機器やフィールドバスに接続可能なノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ等にインストールされ、フィールド機器の各種パラメータの設定、調整およびフィールド機器の保全等の管理を可能にするアプリケーションプログラムである。このアプリケーションプログラムを実行することにより、コンピュータはフィールド機器管理装置として機能することになる。フィールド機器管理装置は、それぞれのフィールド機器に対応して用意されたデバイスタイプマネージャワークス(DTM Works)などのツールを利用して、各フィールド機器の管理を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−61352号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】廣岡勲、他3名、「新時代のフィールド機器管理ツールFieldMate」,横河技報、横河電機株式会社、2007年5月20日、Vol.51 No.2(2007) p.45-48
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィールド機器管理装置を用いてフィールド機器の管理を行なう作業者は、日常的に以下のような作業を行なっている。なお、作業者は、例えば、プラントの管理者やフィールド機器ベンダのサービス担当者等である。
1)作業前にフィールド機器の基本情報とパラメータを確認し、作業前情報として記録する。ここで、基本情報は、フィールド機器の固有情報であるタグ名、ベンダ名、機器ID、ステータス等であり、パラメータはフィールド機器の動作内容を定める情報である。
2)作業目的等に応じて基本情報、パラメータの変更を行なう。
3)変更後の基本情報、パラメータを作業後情報として記録するとともに、所定のフォーマットで作業内容報告書を作成する。
【0008】
これらの作業では、作業対象のフィールド機器に関する情報や、過去に行なった作業内容等の種々の情報を参照する必要がある。また、実際の現場では、注意事項等を記載したメモを活用することも広く行なわれている。
【0009】
フィールド機器の管理を行なう者は、様々なプラントで様々なフィールド機器に対してこのような作業を行なうことが多く、フィールド機器管理装置の操作性は作業効率に大きな影響を与えることになる。このため、フィールド機器管理装置の操作性の一層の向上が望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、フィールド機器管理装置の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様であるフィールド機器管理装置は、フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置であって、接続したフィールド機器から固有情報である基本情報を取得する通信部と、前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報を含む機器情報を保存する機器情報保存部と、接続中のフィールド機器毎に前記機器情報を一覧表示し編集を受け付ける機器情報表示画面を生成するユーザインタフェース部と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記機器情報は、前記フィールド機器に関して任意に入力された画像を含む添付情報をさらに含むことができる。
また、前記通信部は、前記接続したフィールド機器から動作内容を定めるパラメータをさらに取得し、前記機器情報は、前記パラメータを含むようにしてもよい。
このとき、前記機器情報保存部に保存されているパラメータに基づいて、所定のフォーマットの作業報告書を作成する作業報告書作成部をさらに備えてもよい。
また、前記ユーザインタフェース部は、あらかじめ定められた一部のパラメータを前記機器情報表示画面に表示し、全パラメータについては、別途表示してもよい。
また、前記機器情報は、前記フィールド機器に関して任意に入力されたコメントをふくんでもよい。
また、前記機器情報は、フィールド機器に対する操作履歴をさらに含み、前記ユーザインタフェース部は、接続中の前記フィールド機器に関する操作履歴を前記機器情報表示画面に表示することができる。
このとき、前記ユーザインタフェース部は、操作時期に応じて前記操作履歴の表示態様を変更することができる。
また、前記ユーザインタフェース部は、過去に接続され接続中でないフィールド機器に関して、前記機器情報保存部に保存されている前記機器情報を表示する保存機器情報表示画面を生成することができる。
また、前記機器情報保存部は、前記通信部が前記接続したフィールド機器から取得した機器情報を、作業者の指示がなくても保存することができる。
また、前記ユーザインタフェース部は、前記機器情報表示画面で機器情報が編集された場合に、前記機器情報保存部に保存されている前記機器情報を作業者の指示がなくても更新することができる。
また、前記機器情報保存部に保存されているパラメータに基づいて、所定のフォーマットの作業報告書を作成する作業報告書作成部をさらに備えるようにしてもよい。
また、前記ユーザインタフェース部は、あらかじめ定められた一部のパラメータを前記機器情報表示画面に表示し、作業者の指示に基づいて、全パラメータを別途表示することができる。
また、前記機器情報保存部は、取得した前記基本情報にフィールド機器を一意に識別可能な機器識別子が含まれる場合は、前記機器識別子を前記機器識別情報として用い、取得した前記基本情報に前記機器識別子が含まれない場合は、前記基本情報に含まれる他の複数の情報を連結して前記機器識別情報として用いることができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である機器情報表示方法は、フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置における機器情報表示方法であって、接続したフィールド機器から固有情報である基本情報を取得するステップと、前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報を保存するステップと、接続中のフィールド機器毎に前記機器情報を一覧表示し編集を受け付ける機器情報表示画面を生成するステップと、を有することを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、情報処理装置を、フィールド機器と通信可能に接続するフィールド機器管理装置として機能させるコンピュータプログラムであって、接続したフィールド機器から固有情報である基本情報を取得する通信部と、前記基本情報に基づいて機器識別情報を定め、前記機器識別情報に関連付けて、前記基本情報を含む機器情報を保存する機器情報保存部と、接続中のフィールド機器毎に前記機器情報を一覧表示し編集を受け付ける機器情報表示画面を生成するユーザインタフェース部と、して前記情報処理装置を機能させることを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第4の態様である記録媒体は、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムを記録した記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィールド機器管理装置の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るフィールド機器管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】フィールド機器管理装置とフィールド機器との接続態様について説明するブロック図である。
【
図3】機器情報管理部がユーザインタフェース部の接続機器用表示設定部を制御して行なう動作について説明するフローチャートである。
【
図4】接続機器用表示設定部による機器情報表示画面の例を示す図である。
【
図6】複数台のフィールド機器が接続されている場合の機器情報表示画面の例を示す図である。
【
図7】機器情報管理部がユーザインタフェース部の保存機器情報用表示設定部を制御して行なう動作について説明するフローチャートである。
【
図8】保存機器情報用表示設定部による保存機器情報表示画面の例を示す図である。
【
図9】作業報告書の作成について説明する図である。
【
図10】作業報告書の別例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るフィールド機器管理装置10の構成を示すブロック図である。フィールド機器管理装置10は、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等の汎用コンピュータにフィールド機器管理ツールをインストールして実行することで具現化することができる。また、ハンドヘルド型の専用端末装置等として具現化することもできる。
【0015】
本図に示すように、フィールド機器管理装置10は、通信部110、機器情報管理部120、ユーザインタフェース部130、作業報告書作成部140、機器情報保存部150を備えている。
【0016】
通信部110は、フィールド機器200と通信を行ない、フィールド機器200の基本情報、パラメータの読み書きを行なう。フィールド機器200との通信は、Foundation Fieldbus、HART、BRAIN等の他、無線通信としてISA100.11a、WIRELESS HART(登録商標)等の種々のプロトコルを用いることができる。
【0017】
ここで、フィールド機器200の基本情報は、フィールド機器200の固有情報である。具体的には、フィールド機器のタグ名、ベンダ名、機器ID、ステータス、機器タイプ等であり、用いる通信プロトコルに応じて扱う基本情報が異なる。また、フィールド機器管理装置10が扱うパラメータは、汎用DD(Device Description)ファイルで定義されたパラメータ群としたり、フィールド機器200対応に作成されたDDファイルで定義されたパラメータ群とすることができる。
【0018】
なお、フィールド機器管理装置10とフィールド機器200との接続態様は、
図2(a)に示すように、1台のフィールド機器管理装置10を1台のフィールド機器200と直接接続することが多いが、
図2(b)に示すように、1台のフィールド機器管理装置10を複数台のフィールド機器200と接続することもできる。いずれの場合も有線通信であっても無線通信であってもよい。
【0019】
図1の説明に戻って、機器情報管理部120は、通信部110、ユーザインタフェース部130、作業報告書作成部140の制御を行ない、フィールド機器200の機器情報を管理する。機器情報管理部120が管理する機器情報には、基本情報、パラメータ、添付情報、操作履歴が含まれる。添付情報は、作業者が記録する任意のコメントや画像情報を含めることができる。
【0020】
機器情報保存部150は、フィールド機器200から収集したり、ユーザインタフェース部130を介して編集された機器情報を保存するデータベースである。本実施形態では、作業者の明示的な保存指示がなくても機器情報をリアルタイムで自動的に保存するようにしている。機器情報保存部150は、機器情報に含まれる各情報を、フィールド機器200を識別するための機器識別情報を用いて互いに関連付けて管理する。
【0021】
機器IDが基本情報に含まれる多くの通信プロトコルのフィールド機器200であれば、フィールド機器200を一意に識別する機器IDを機器識別情報として用いるようにする。一方、BRAINプロトコルのような機器IDが基本情報に含まれない通信プロトコルのフィールド機器200であれば、その他の情報、例えば、機器タイプと機器タグとを連結した情報を機器識別情報として用いるようにする。機器タグは、作業者が任意に設定することができるフィールド機器識別用の情報である。
【0022】
ユーザインタフェース部130は、機器情報管理部120の制御の下で、機器情報等の表示を行ない、作業者から変更・編集等の設定操作を受け付けるための画面を生成する。機器情報等の表示では、作業者に有益な情報が一覧できるようになっており、フィールド機器管理装置10の操作性が向上している。設定操作の受け付けは、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード等を利用することができる。
【0023】
本実施形態において、ユーザインタフェース部130は、接続中のフィールド機器200についての機器情報の表示および編集操作受け付けを行なう接続機器用表示設定部131と、機器情報保存部150に保存されている機器情報の表示および編集操作受け付けを行なう保存機器情報用表示設定部132とを備えている。
【0024】
作業報告書作成部140は、機器情報保存部150に保存されている機器情報、パラメータ等について所定のフォーマットで出力する。所定のフォーマットは、例えば、作業報告書のテンプレートに合致したものとすることができる。パラメータの変更作業前に出力すれば、作業前情報の報告書として用いることができ、パラメータ変更作業後に出力すれば、作業後報告書として用いることができる。また、変更したパラメータを抽出して出力することで作業内容報告書として用いることができる。
【0025】
次に、上記構成のフィールド機器管理装置10の動作について説明する。まず、機器情報管理部120がユーザインタフェース部130の接続機器用表示設定部131を制御して行なう動作について
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
まず、機器情報管理部120は、通信部110を介して通信可能なフィールド機器200から基本情報とパラメータとを取得する(S101)。取得する基本情報とパラメータとは通信プロトコルやフィールド機器200、利用するDDファイルに依存する。
【0027】
そして、フィールド機器200から取得した基本情報に基づいて、フィールド機器200の機器識別情報を特定する(S102)。上述のように、基本情報に機器IDが含まれる場合は、機器IDを機器識別情報として用い、基本情報に機器IDが含まれない場合は、機器タイプと機器タグとを連結した情報等を機器識別情報として用いる。
【0028】
機器識別情報を特定すると、特定した機器識別情報に関連付けられた機器情報が既に機器情報保存部150に保存されているかどうかを判定する(S103)。
【0029】
特定した機器識別情報に関連付けられた機器情報がまだ機器情報保存部150に保存されていない場合(S103:No)には、取得した基本情報とパラメータとを特定した機器識別情報に関連付けて、機器情報保存部150に新規保存する。
【0030】
一方、特定した機器識別情報に関連付けられた機器情報が既に機器情報保存部150に保存されている場合(S103:Yes)には、取得した基本情報とパラメータを保存されている機器情報にマージして、保存済みの機器情報を更新する(S105)。
【0031】
すなわち、既保存、未保存のいずれの場合であっても、フィールド機器200から取得した最新の機器情報、パラメータは、作業者の指示がなくても即座に機器情報保存部150に保存する。
【0032】
そして、機器情報保存部150に保存されている機器情報に基づいて機器情報の表示を行なう(S106)。
図4は、接続機器用表示設定部131による機器情報表示画面500の例を示している。本図に示すように機器情報表示画面500は、各機器情報の概要を一覧できる機器情報表示欄510と、操作履歴表示欄520とを備えている。
【0033】
機器情報表示欄510は、基本情報を表示する基本情報表示欄511と、パラメータを表示するパラメータ表示欄512と、添付情報を表示する添付情報表示欄513とを含んでいる。
【0034】
パラメータ表示欄512は、PV(Process Value)やレンジ等の主要なパラメータを表示する主要パラメータ表示欄515と、全パラメータを表示させる全パラメータ表示パネル516とを含んでいる。主要パラメータ表示欄515に表示するパラメータについては、あらかじめ定められているものとするが、作業者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0035】
全パラメータ表示パネル516の操作を受け付けると、
図5に示すような全パラメータ表示画面700により、機器情報保存部150に保存されているそのフィールド機器200の全パラメータを表示する。なお、右端のスクロールバーを上下させることで、すべてのパラメータを順次表示させることができる。
【0036】
添付情報表示欄513は、作業者が過去にそのフィールド機器200について入力したコメントを表示するコメント表示欄517と作業者が過去にそのフィールド機器200について登録した画像を表示する画像表示欄518とを含んでいる。コメントには、そのフィールド機器200に関する注意点等を入力することができる。コメント表示欄517を機器情報表示欄510に含めることで、そのフィールド機器200についての注意事項を忘れたり、連絡漏れ等が発生することを確実に防止することが可能となる。
【0037】
コメント表示欄517には複数のコメントを入力することができ、画像表示欄518には複数の画像を登録することができ、いずれも閲覧、編集、追加、削除等が可能である。フィールド機器管理装置10やフィールド機器200に撮影機能を備えさせ、撮影機能を用いて取得した画像を画像表示欄518に登録できるようにしてもよい。
【0038】
操作履歴表示欄520には、その接続中のフィールド機器200に対して、作業者が行なった操作の履歴がリアルタイムで表示される。ここでは、その日に行なった操作については、即座に認識できるようにハイライト表示するようにしている。操作時期に応じて表示色等の表示態様を異ならせるようにしてもよい。操作履歴表示欄520を参照することで、そのフィールド機器200に対して過去に行なった作業内容を容易に確認することができる。
【0039】
なお、複数台のフィールド機器200と接続している場合には、
図6に示すように、機器情報表示欄510において、各機器情報がフィールド機器200毎に一覧できるように表示される。
【0040】
このとき、操作履歴表示欄520には、表示されている各フィールド機器200に対する操作履歴がまとめて表示される。機器情報表示欄510で特定のフィールド機器200が選択された場合、選択されたフィールド機器200に対する操作履歴を抽出して表示するようにしてもよい。
【0041】
図3の説明に戻って、機器情報表示画面500で、作業者によって機器情報が編集された場合(107:Yes)、編集対象が基本情報あるいはパラメータであれば(S108:Yes)、その編集を、フィールド機器200に反映させる(S109)。
【0042】
また、編集対象にかかわらず、編集された内容で、機器情報保存部150に保存されている機器情報を更新する(S110)。このとき、操作履歴も更新し、操作履歴表示欄520にリアルタイムで反映させる。
【0043】
従来、作業者は様々なフィールド機器200に対して作業を行なうことから、明示的な動作により作業内容を保存するようにしていたが、本実施形態では、作業内容や機器情報をすべて機器情報保存部150に自動で記録するようにしている。これにより、必要な情報の保存のし忘れを防いだり、操作履歴を作業検証等に利用できるようにしている。
【0044】
機器情報管理部120は、以上の機器情報表示画面500を利用した処理を作業者がフィールド機器保全作業を終了するまで繰り返す(S111)。
【0045】
次に、機器情報管理部120がユーザインタフェース部130の保存機器情報用表示設定部132を制御して行なう動作について
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、機器情報保存部150に保存されている機器情報、すなわち、過去に接続を行なったことのあるフィールド機器200についての機器情報を取得する(S201)。
【0047】
そして、取得した機器情報についてフィールド機器200のリストを表示する(S202)。フィールド機器200のリストは、例えば、
図8に示す保存機器情報表示画面600の機器リスト表示欄611に表示する。
【0048】
機器リスト表示欄611で、特定のフィールド機器200が選択されると(S203:Yes)、機器情報表示欄612に選択されたフィールド機器200の機器情報を表示する(S204)。
図8に示した例では、機器情報表示欄612に基本情報を表示している。
【0049】
保存機器情報表示画面600には、表示項目選択メニュー613が備えられており、表示項目選択メニュー613を操作することにより、機器情報表示欄612にパラメータを表示させたり、添付情報を表示させることができる。これにより、作業者は、接続されていないフィールド機器200についても、必要な機器情報を参照することができるようになる。
【0050】
機器情報表示欄612で機器情報の編集を受け付けることも可能である。作業者から機器情報の編集を受け付けた場合は(S205:Yes)、編集された内容で、機器情報保存部150に保存されている機器情報を更新する(S206)。このとき、操作履歴も更新し、操作履歴表示欄520に反映させる。
【0051】
フィールド機器200が接続されていない場合、フィールド機器200の基本情報やパラメータを即座に変更することはできない。このため、変更内容を機器情報保存部150に記録しておき、例えば、次回そのフィールド機器200に接続した場合に変更の可否を作業者に問い合わせ、可であればフィールド機器200の基本情報やパラメータを変更するようにしてもよい。あるいは、機器情報表示欄612では、添付情報の編集のみ行なえるようにして、基本情報やパラメータは閲覧のみで編集はできないようにしてもよい。
【0052】
機器リスト表示欄611で、他のフィールド機器200が選択されると(S207:Yes)、それに合わせて機器情報表示欄612の表示内容も変更する(S204)。
【0053】
機器情報管理部120は、以上の保存機器情報表示画面600を利用した処理を作業者がフィールド機器保全作業を終了するまで繰り返す(S208)。
【0054】
次に、作業報告書作成部140の動作について説明する。作業報告書作成部140は、例えば、
図9に示すように全パラメータ表示画面700が表示されている状態で、作業報告書の作成指示を受け付けると、その時点のパラメータを用いてあらかじめ定められたフォーマットの作業報告書800を作成する。変更されたパラメータのみを作業報告書800に記載するようにしてもよい。また、
図10に示すように、表計算用アプリケーションのセルにパラメータやその他の情報を入力することで作業報告書820を作成するようにしてもよい。
【0055】
作業報告書800は、接続されているフィールド機器200のみならず、接続されていないフィールド機器200についても機器情報保存部150を参照することで作成することができる。
【0056】
従来、作業報告書の作成は作業者の手作業に負うところが多かったが、作業報告書作成部140を利用することにより、作業報告書を作成する手間が大幅に軽減されることになる。
【符号の説明】
【0057】
10…フィールド機器管理装置、110…通信部、120…機器情報管理部、130…ユーザインタフェース部、131…接続機器用表示設定部、132…保存機器情報用表示設定部、140…作業報告書作成部、150…機器情報保存部、200…フィールド機器