(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紫外線吸収剤が23℃で油状または液状である化合物を少なくとも1種含有し、かつ前記機能層の固形分100質量部に対して0.5〜8質量部で含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
前記機能層は、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と前記トリアジン系紫外線吸収剤を、質量比が1:1〜1:3となるように含むことを特徴とする請求項9に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
[積層体]
<構成の特徴>
本発明の積層体1は、ハードコート層10、易接着層11、透明基材層12、紫外線吸収剤と粘着剤を含有する機能層13を順に積層した構造を有することを特徴とする。これにより、高温多湿といった過酷な条件下で長期間使用した場合であっても、ハードコートフィルムに虹ムラが発生することを抑制することができる。尚、本発明において、虹ムラとは、ハードコートフィルムに複屈折干渉が起こり、複屈折干渉色によってハードコートフィルムが変色することをいう。
【0014】
図1には本発明の積層体1の一例が示されている。
図1において、ハードコート層10、易接着層11、透明基材層12および機能層13は各々隣接し、直接貼り合わされる。
以下において、本発明の積層体を構成するハードコート層、易接着層、透明基材層、機能層について順に詳しく説明する。
【0015】
<ハードコート層>
本発明の積層体はハードコート層を有する。積層体は可視光透過性を有することが好ましいため、ハードコート層は透明であることが好ましい。ハードコート層は、積層体表面に傷が発生するのを防止するために硬度が高いことが好ましい。ハードコート層は、JIS B 0601で定義される中心線平均粗さが1〜20nmであることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。中心線平均粗さは、例えば、(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡などを用いて測定することができる。
【0016】
ハードコート層は硬度を付与するための硬質成分を含有し、硬質成分は、架橋重合体を主成分とする。ハードコート層に含まれる架橋重合体としては、単官能モノマー重合体および多官能モノマー重合体を挙げることができる。多官能モノマー重合体は、好ましくは3官能以上の多官能モノマーを含む重合性モノマーの重合体であり、より好ましくは4官能以上の多官能モノマーを含む重合性モノマーの重合体である。例えば、3官能以上の多官能モノマーと2官能モノマーの混合モノマーの共重合体なども好ましく例示することができる。なお、ここでいうモノマーには、オリゴマーも含まれる。
【0017】
架橋重合体を得るために使用しうるモノマーの種類は特に制限されないが、例えば、アクリルモノマーなどを好ましく例示することができる。例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性不飽和基を有する有機化合物のモノマーまたはオリゴマーは、熱硬化性であっても良いし、活性エネルギー線硬化性であっても良い。
なお、本発明における「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
【0018】
ハードコート層は、柔軟性成分を含有しても良い。ハードコート層に柔軟性成分が含まれていると、クラックの発生等を防止することができる。柔軟性成分としては、例えば、トリシクロデカンメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
また、架橋重合体は、無機粒子および/または有機粒子を含有していても良い。無機粒子および/または有機粒子を含有すると、塗膜の硬化収縮が抑制される点で好ましい。無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、二酸化スズ粒子、五酸化アンチモン粒子、三酸化アンチモン粒子などの無機酸化物粒子を挙げることができる。また、有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂粒子を挙げることができる。
【0020】
無機粒子を用いる場合は、カップリング剤により処理した反応性無機酸化物粒子を用いても良い。有機粒子を用いる場合は、カップリング剤により処理した反応性有機酸化物粒子を用いても良い。カップリング剤により処理することにより、アクリル系重合体との間の結合力を高めることができる。その結果、表面硬度や耐擦傷性を向上させることができ、さらに無機酸化物粒子および有機粒子の分散性を向上させることができる。
【0021】
カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。カップリング剤の処理量は、無機酸化物粒子または有機粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
【0022】
本発明の積層体を構成するハードコート層の厚みは特に制限されないが、例えば、0.5μm以上にすることができ、1.0μm以上、2.0μm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば1mm以下、50μm以下、20μm以下の範囲内で選択することも可能である。
【0023】
<易接着層>
本発明の積層体を構成する易接着層はアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂を含む。また、必要に応じてウレタン系樹脂等を含有しても良い。
本発明の易接着層に使用されるアクリル系樹脂としては、以下に示すようなアクリルモノマーから重合されるものが例示される。例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を有したアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、ヒドロキシ含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミド基を含有するモノマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのモノマー成分は、2種以上を用いて共重合しても良い。
また、ポリエステル系樹脂としては、多塩基酸成分とポリオール成分とから重縮合されるものが例示される。用いられる多塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸等が挙げられる。ポリオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのモノマー成分は、2種類以上を用いて共重合しても良い。
ウレタン系樹脂としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物の反応生成物として得られるものが例示される。用いられるポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリアセタールジオール等が挙げられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの成分は、2種類以上を用いて反応させることもできる。更に、必要であればこの他に鎖長延長剤、架橋剤などを使用しても良い。
【0024】
本発明の積層体を構成する易接着層には、易滑性の付与や屈折率の調整を目的として粒子を添加させることができる。粒子としては、無機顔料や有機フィラー等が挙げられるが、易接着層の樹脂と屈折率が比較的近く、高い透明性を得られるためシリカを使用することが好ましい。また、易接着層の屈折率を調整する目的で使用される粒子としてはアルミナ―シリカ複合体や酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの粒子は、2種類以上を使用しても良い。
【0025】
本発明の積層体を構成する易接着層には必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の種々の添加剤を添加しても良い。また、塗工適性や反応性向上を目的として界面活性剤やpH調整剤を添加しても良い。
【0026】
本発明の積層体を構成する易接着層の厚みは特に制限されないが、例えば、0.1nm以上にすることができ、1nm以上、5nm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば1μm以下、100nm以下、50nm以下の範囲内で選択することも可能である。
【0027】
本発明において易接着層の形成方法は特に制限されないが、透明基材層にポリエステル系樹脂を用いる場合、ポリエステル系樹脂を溶融し押し出した後、ポリエステル系樹脂シートの上に易接着層を形成することが好ましい。ポリエステル系樹脂シートは、溶融し、押し出された後、縦方向に3〜10倍延伸して縦延伸ポリエステル系樹脂フィルムを形成し、必要に応じてコロナ放電処理をする。その少なくとも一面に易接着層を塗布し、乾燥して易接着層を形成する。その後、易接着層を有するフィルムを横方向に3〜10倍延伸することにより2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの形成時に同時に横方向に延伸された易接着層を形成する
また、別法として、ポリエステル系樹脂と易接着層用樹脂を同時に押し出し、積層フィルムとし、積層したフィルムを9〜100倍に公知の方法にて2軸延伸して易接着層を形成しても良い。
上記のようにして製造されたフィルムに、必要に応じてヘイズが8%より大きくならないように、さらにコロナ放電処理、火炎処理等の公知の方法により表面処理を施しても良い。
【0028】
<透明基材層>
本発明の積層体は透明基材層を有する。透明基材層は、可視光線を透過する透明な材料であって、フィルム状の材料から構成される。典型的な構成材料は透明な樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中では、耐熱性に優れること等から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いられる。
【0029】
本発明の積層体を構成する透明基材層は、単層であっても、複数の層から構成されるものであっても良い。複数の層から構成される場合、透明基材層は、異なるポリエステル系樹脂から構成されることとしても良い。
【0030】
本発明の積層体を構成する透明基材層の厚みは特に制限されないが、例えば、10μm以上にすることができ、20μm以上、50μm以上の範囲内で選択することも可能である。上限は用途によって異なるが、例えば1cm以下、1mm以下、300μm以下の範囲内で選択することも可能である。
【0031】
<機能層>
本発明の積層体は機能層を有する。機能層は、紫外線吸収剤と粘着剤を含有する層である。機能層は、易接着層を介して積層された透明基材層とハードコート層を有する層を他の部材に貼合する働きをする。
【0032】
(1)機能層の粘着剤
粘着剤としては、アクリル重合体を好ましく例示することができる。その中でも、官能基を持たない(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに官能基を有する(メタ)アクリル酸系単量体との共重合体を用いることが好ましい。官能基を有する(メタ)アクリル酸系単量体は架橋剤を用いる場合の反応点となり、架橋により粘着力や凝集力、耐熱性の制御を可能とする。官能基を持たない(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸系アルキルエステル以外の官能基を有する(メタ)アクリル酸系単量体の使用量は、共重合体を構成する全単量体質量中に占める割合として0.01〜20質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0033】
アクリル重合体を構成する官能基を持たない(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が挙げられるが、これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
【0034】
また、官能基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、モルホリルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基などが挙げられ、これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
【0035】
粘着剤を重合する際には、例えば、溶液重合法を適用することができる。溶液重合法としては、イオン重合法やラジカル重合法など挙げられる。その際に使用される溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
本発明では、有機溶剤を用いた溶液重合法や活性エネルギー線硬化型の粘着剤を用いることが好ましい。
【0036】
本発明で用いる粘着剤が官能基を有する単量体を用いた共重合体の場合は、架橋剤を配合することにより架橋処理を施すことができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などが挙げられ、これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
これら架橋剤の中でも、アクリル重合体を容易に架橋できることから、イソシアネート化合物、エポキシ化合物が好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
架橋剤の含有量は、所望とする粘着物性に応じて適宜選択することが好ましい。
【0037】
(2)機能層の紫外線吸収剤
機能層に用いる紫外線吸収剤は、紫外領域に極大吸収波長を有するものの中から選択することができる。本発明では、特に波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤を用いることが好ましい。波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤として、例えば下記一般式(1)または(2)で示される化合物を挙げることができる。
【0039】
上式において、R
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、R
2は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R
3は、アルキル基系構造体を表す。
【0041】
上式において、R
4、R
5およびR
6は、水素原子、水酸基、アルキル基系構造体またはハロゲン原子であって、R
4、R
5およびR
6のすべてが水素原子であることはない。
【0042】
アルキル基系構造体とは、置換もしくは無置換のアルキル基や、置換もしくは無置換のアルコキシ基などのアルキル基を主とする置換基を含む概念である。
【0043】
中でも、基本骨格の芳香環に分子量の大きなアルキル基を導入することにより相溶性を向上させ、23℃で液状または油状を示す紫外線吸収剤を、特に好ましく用いることができる。ここで、23℃で液状または油状を示すとは、希釈溶剤がなくても紫外線吸収剤のみで流動性がある状態を意味する。
【0044】
本発明における紫外線吸収剤の含有量は、機能層の固形分(特にアクリル重合体)100質量部に対して0.5〜8質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜6質量部であることがさらに好ましく、1〜3質量部が最も好ましい。本発明における紫外線吸収剤の含有量は、340nmでの紫外線透過率が5%未満となる量に調整することが好ましい。含有量が上記下限値以上であれば、機能層厚みが25μmの時、340nmの波長の光での透過率が効果的に下がるため、本発明の効果がより得られやすくなる。また、上記上限値以下であれば、粘着特性を損ねることがないため好ましく、さらに1〜6質量部であれば、さらに安定して2%以下の透過率が得られるため好ましい。
【0045】
機能層は、少なくとも2種類の紫外線吸収剤を含むことが好ましい。ここで、2種類の紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とトリアジン系紫外線吸収剤であることがより好ましい。すなわち、機能層は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とトリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましい。これにより、機能層の白濁を効果的に抑制することができ、機能層のヘイズ値を低く抑えることが可能となる。さらに、300〜380nmの波長の光の透過率を低く抑えながらb*値を抑えることが可能となる。
【0046】
機能層に含まれる紫外線吸収剤はトリアジン系紫外線吸収剤の質量比が多いほど、300〜350nmの波長の光の透過率をより低く抑えることが可能であり、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の質量比が多いほど機能層のヘイズ値とb*値を抑えることが可能となる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とトリアジン系紫外線吸収剤の質量比は、1:1〜1:3であることが好ましい。
【0047】
(3)機能層に併用可能な添加剤
本発明の機能層に併用することができる添加剤として、ヒンダードアミン系化合物に代表される光安定剤を好ましく例示することができる。また、ヒンダードフェノール系化合物に代表される酸化防止剤を併用することも好ましい。酸化防止剤は、一般にラジカル連鎖停止剤とよばれる一次酸化防止剤と、過酸化物分解剤として作用する二次酸化防止剤とに分類される。一次酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤が挙げられる。また、二次酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられる。
これら酸化防止剤は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0048】
併用される添加剤の含有量は、アクリル重合体100質量部に対して0.03〜1.5質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。含有量が上記下限値以上であれば、高温、低温及び湿熱環境下にて長期間にわたって使用した際の紫外線の吸収性を確実に維持でき、上記上限値以下であれば、300〜380nmでの透過率上昇や粘着特性の低下をより防止できる。
【0049】
機能層には、必要に応じて、粘着付与剤、シランカップリング剤、金属腐食防止剤などの上記以外の添加剤が含まれても良い。粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。金属腐食防止剤としては金属と錯体を形成し金属表面に皮膜を作ることにより腐食を防止するタイプが好ましく、特にベンゾトリアゾール系金属腐食防止剤が好ましい。
【0050】
機能層の厚みは10〜100μmとすることが好ましく、15〜50μmとすることがより好ましい。厚みが10μm以上であれば、充分な粘着力を確保でき、長時間使用しても浮きや剥がれが生じにくくなる上に、紫外線を充分に吸収できる。また、機能層の厚みが100μm以下であれば、ディスプレイの大きさに粘着シートをカットする際にカット刃などに粘着剤が付着して不良率が上がるなどのトラブルが生じにくいという利点がある。
【0051】
<導電層>
本発明の積層体は導電層を有しても良い。導電層は、易接着層を介して積層された透明基材層とハードコート層を含む層のハードコート層側に設けられることが好ましい。導電層はハードコート層に直接積層しても良いし、その間に他の基材層等を設けて積層しても良い。
導電層は、表面型静電容量式タッチパネルなどに用いられる積層体上の面内方向で実質的に均一な導電性能を有する均一層でも良い。また、投影型静電容量方式のタッチパネルなどに用いられる導電層であって、位置検知のために面内に一部絶縁性部を設け、導電性能が規則的にパターン化された導電層であっても良い。なお、導電層の上に、さらに導電膜の酸化を防ぐための保護膜が形成されていても良い。
【0052】
導電層の導電性能は、例えばJIS-K7194に記載の方法にて測定される表面抵抗で示すことができ、タッチパネル用の電極板とするため、表面抵抗は1×10
5Ω/sq以下が好ましく、1×10
3Ω/sq以下がより好ましい。また表面抵抗は1Ω/sq以上が好ましく、1×10
2Ω/sq以上がより好ましい。導電層の表面抵抗の範囲は、1〜1×10
5Ω/sqが好ましく、1×10
2〜1×10
3Ω/sqがより好ましい。
一方、絶縁性部は、タッチパネルがより正確な位置検知を行うために、例えばJIS-K6911に記載の方法にて測定される表面抵抗を1×10
9Ω/sq以上、より好ましくは1×10
11Ω/sq以上として、1×10
13Ω/sq以下、より好ましくは1×10
12Ω/sq以下として、明確に絶縁化すると良い。絶縁性部の表面抵抗の範囲は、1×10
9〜1×10
13Ω/sqが好ましく、1×10
11〜1×10
12Ω/sqがより好ましい。
実質的に均一な導電層を適用する場合でも、タッチパネルの構成などに応じて、引き出し電極等形成のため、導電層の外周近傍の一部をパターン化する場合もある。
【0053】
導電層の材質としては、公知の導電性物質を適用できる。導電性物質としては、無機系材料を用いてもよく、無機系材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、もしくはコバルトなどの金属、又はインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide(ITO))、インジウム−亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide(IZO))、酸化亜鉛(Zinc Oxide(ZnO))、もしくは亜鉛−スズ酸化物(Zinc Tin Oxide(ZTO))、もしくはアンチモン−スズ酸化物(ATO)などの金属酸化物が例示できる。導電性物質としては有機導電体を用いてもよく、有機導電体としては、導電性カーボンナノチューブやグラフェンなどの導電性炭素材料、又はポリチオフェン、もしくはポリアニリンなどの導電性高分子などが例示できるが、これらに限定するものではない。
中でも無機系材料としては信頼性の高さと、透明性と導電性に優れるという点で、ITOが最も好適に利用される。また、屈曲性に優れるという特徴と、透明性と導電性にも優れるという特徴を有する点で有機導電性高分子のポリチオフェンの一種であるPEDOT/PSSも好適に利用される。PEDOT/PSSとは、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックスを示す。
ITOやPEDOT/PSSのように比較的透明性に優れる導電体に比べ、金属や導電性炭素材料は透明性に劣るため、導電層の材質として金属や導電性炭素材料を用いる場合は、使用する金属や導電性炭素材料をナノワイヤー化して塗工したり、メッシュ状に加工したりすることで透明性を確保すると良い。中でも、銀は、最も導電性に優れる導電体であることから、好適に利用される。
【0054】
導電層の厚みは、適用する導電体の導電性や透明性等を考慮して設定する必要があるため、厚みは特に制限されないが、例えば、金属系の場合で30〜600Å、金属酸化物系や有機系の場合で80〜5000Åの厚さが好ましい。
【0055】
導電層は公知の方法により形成できる。例えば導電層が均一層である場合、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、塗布法、あるいはこれらの組合せ法などの薄膜形成法が挙げられる。膜の形成速度や大面積膜の形成性、又は生産性などの点より、真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。
規則的なパターンは、各種印刷方式などにより、透明基板上に予め部分的に導電層を設ける方法で形成しても良いし、又は、上記のように均一層を形成した後、その一部をエッチングなどにより除去して形成しても良い。
導電層の形成に先立ち、積層体の表面に、密着性を高めるために、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、又はアンダーコート処理等の適宜な前処理を施しても良い。
【0056】
<剥離層>
本発明の積層体の機能層表面には、さらに剥離層が形成されていても良い。積層体の機能層は粘着剤を含有しているため、露出していると意図しない物品と粘着してしまったり、機能層自体が劣化してしまったりするおそれがある。このため、機能層を物理的および化学的に保護するために、機能層の表面に剥離層を設けておき、使用する際に剥離層を剥離して機能層を露出させたうえで、他の部材へ貼り合わせることができる。
【0057】
剥離層としては、例えば、各種プラスチックフィルムにシリコーン等の剥離剤を塗布して剥離剤層を形成したもの、ポリプロピレンフィルム単体などが挙げられ、通常の粘着シート用の剥離シートとして用いられているものを利用することができる。
【0058】
<積層体の形成方法>
本発明の積層体の形成方法としては、例えば、剥離層上に粘着剤と紫外線吸収剤を含む機能層形成用組成物を塗布し、乾燥して機能層を形成した後に、機能層に透明基材層を貼り合わせる方法や、透明基材層に機能層形成用組成物を塗布し、乾燥して機能層を形成した後に、機能層に剥離層を貼り合わせる方法などが挙げられる。機能層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、メイヤーバーコータ、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、リップコータ、カーテンコータ、ダイコータ等を用いた塗布方法が挙げられる。
【0059】
[虹ムラ発生低減シート]
本発明の虹ムラ発生低減シートは、上記の機能層からなるシートであり、粘着剤と紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。このようなシートを、易接着層を介して積層された透明基材層とハードコート層を含むハードコートフィルムの透明基材層側に貼り合わせることにより、ハードコートフィルムに生じる虹ムラを減らすことができる。特に、高湿度条件下や紫外線照射条件下において長期間使用した場合に、虹ムラの発生を効果的に抑えることができる。
【0060】
本発明の虹ムラ発生低減シートには、機能層を貼り合わせる前に両面に剥離シートを積層した後、一方の面の剥離シートを剥がし、透明基材層とハードコート層を含むハードコートフィルムの透明基材層側に貼り合わせても良いし、透明基材層とハードコート層を含むハードコートフィルムの透明基材層側に直接塗布することによって形成しても良い。剥離シートの詳細については、上記の剥離層の記載を参照することができる。
【0061】
透明基材層に本発明の虹ムラ発生低減シートを貼り合わせた後に、さらに虹ムラ発生低減シートの粘着性露出表面に別の部材を貼り合わせることができる。例えば、ガラスなどの支持性を有する部材や、光学部材などに対して幅広く適用することが可能である。その種類やサイズなどについては、特に制限されない。
【実施例】
【0062】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0063】
(実施例1)
<透明基材層の作製>
PETのペレットを真空乾燥した後、押出機に供給し、シート状に溶融押出しし延伸した。更にロールコータで易接着層形成用組成物(A)を両面に塗工した後、幅方向に延伸し、厚さ50μmのPETフィルムで両面に厚さ100nmの易接着層を備えた両面易接着層付きPETフィルム(50)を得た。同様にして、厚さ75μmのPETフィルムで両面に厚さ100nmの易接着層を備えた両面易接着層付きPETフィルム(75)を得た。易接着層形成用組成物(A)は、ポリエステル樹脂100質量部、メラミン系架橋剤(商品名:ニカラックMW12LF、三和ケミカル社製)5質量部、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学工業社製)1質量部からなる塗料である。なお、希釈溶剤としてエタノール/イソプロピルアルコール=1:1を用いて10質量%に希釈した。
【0064】
<ハードコートフィルムの作製>
上記両面易接着層付きPETフィルム(50)または両面易接着層付きPETフィルム(75)上にハードコート層形成用組成物(B)をバー塗工した。ハードコート層形成用組成物(B)は、多官能(メタ)アクリレートとして、6官能アクリレート(商品名DPHA、ダイセル・サイテック社製)64.1質量部、ジエチレングリコールジアクリレート(商品名SR230、サートマー社製)27.5質量部、光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)4質量部、光安定化剤(TINUVIN152、BASF社製)4質量部からなる塗料である。希釈溶剤として、MEK/シクロヘキサノン=1:1を用いて50質量%に希釈した。その後、80℃で60秒加熱乾燥し、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/min、2pass、窒素雰囲気下で紫外線照射して厚さ2μmのハードコート層を硬化形成することによって、ハードコートフィルム(50)またはハードコートフィルム(75)を得た。
【0065】
<機能層の粘着剤の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを封入後、溶媒である酢酸エチルを添加した。次いで、反応装置内に、アクリル単量体であるブチルアクリレート65質量部、メチルアクリレート35質量部、アクリル酸2質量部と、重合開始剤である2,2´−アゾイソブチロニトリル0.1質量部を添加し、攪拌しながら窒素ガス気流中、溶媒の還流温度で8時間重合した。反応終了後、トルエンを添加してアクリル重合体溶液を得た。このアクリル重合体固形分100質量部に、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(品名:TINUVIN144、BASF社製)2.0質量部、さらに酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物(商品名:IRGANOX 1520L、BASF社製)0.08質量部を添加して粘着剤主剤とした。
次いで、該粘着剤主剤固形分100質量部に対して、架橋剤であるトリレンジイソシアネート(品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)1部、波長353nmに極大吸収波長を有するベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN109、BASF社製)6.0質量部を混合して粘着剤溶液を得た。
【0066】
<剥離フィルム付き虹ムラ発生低減シート(機能層)の作製>
上記粘着剤を、ナイフコータにより、ハードコートフィルム(50)のハードコート層未塗工面に、乾燥後の塗工量が25μm/m
2になるように塗工し、100℃で2分間乾燥させて、機能層を形成し、積層体を得た。次いで、該機能層の表面に厚さ38μmのPET剥離フィルム(品名:RL07(L)#38、王子エフテックス社製)を貼合した。
【0067】
(実施例2)
波長353nmに極大吸収波長を有するベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN109、BASF社製)の添加量を0.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して、積層体を得た。
【0068】
(実施例3)
波長353nmに極大吸収波長を有するベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN109、BASF社製)の添加量を2.0質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して、積層体を得た。
【0069】
(実施例4)
実施例3の粘着剤溶液をハードコートフィルム(50)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して、積層体を得た。
【0070】
(実施例5)
紫外線吸収剤を波長356nmに極大吸収波長を有するヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0071】
(実施例6)
紫外線吸収剤を波長356nmに極大吸収波長を有するヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)の添加量を0.5質量部にしたこと以外は実施例5と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0072】
(実施例7)
紫外線吸収剤を波長356nmに極大吸収波長を有するヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)の添加量を2質量部にしたこと以外は実施例3と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0073】
(実施例8)
実施例7と同様の粘着剤溶液をハードコートフィルム(50)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0074】
(実施例9)
機能層に含有する紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN109、BASF社製)とヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)を1:1の質量比となるように合計4質量部混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0075】
(実施例10)
機能層に含有する紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN109、BASF社製)とヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)を1:1の質量比となるように合計2質量部混合したものを用いた以外は、実施例9と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0076】
(実施例11)
実施例10の粘着剤溶液をハードコートフィルム(50)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0077】
(実施例12)
機能層に含有する紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN10、BASF社製)とヒドロキシフェニルトリアジン系液状紫外線吸収剤(品名:TINUVIN477、BASF社製)を1:3の質量比となるように合計2質量部混合したものを用いた以外は、実施例9と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液をハードコートフィルム(75)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0078】
(実施例13)
実施例12と同様の粘着剤溶液をハードコートフィルム(50)のハードコート層未塗工面に実施例1と同様に塗工して積層体を得た。
【0079】
(比較例1)
紫外線吸収剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして粘着剤溶液を得た。そして、この粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして積層体を得た。
【0080】
(比較例2)
透明基材としてハードコートフィルム(75)を使用した以外は比較例1と同様にして積層体を得た。
【0081】
<虹ムラ発生評価>
虹ムラ発生評価は耐候性試験により行った。耐候性試験では、剥離シートを剥離した積層体に、Qパネル社製促進耐候性試験機を用いてQUV促進曝露を行った。試験条件は、340nmにおけるUVA光の照射量を0.68W/m
2×8時間/60℃及び水凝結4時間/50℃を1サイクルとし、連続して15サイクルを行った。耐候性試験後のサンプルについて、目視により虹ムラの発生を確認した。虹ムラが認められない場合を「○」、虹ムラが認められる場合を「×」と評価した。結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
虹ムラが発生した比較例では、ハードコート層と易接着層の間に浮きが発生していることが分かった。虹ムラは、ハードコート層と易接着層の間に浮きが発生し、ハードコートフィルムの変色が原因で起こるものと考えられる。本発明では、ハードコートフィルムにさらに機能層を積層することで、ハードコート層と易接着層の間に浮きが発生することを抑制でき、虹ムラの発生を抑制できるものと考えられる。
表1から、トリアジン系の部数が多いほど340nm及び380nmの透過率が低くなることが分かった。また、ベンゾトリアゾール系の部数が多いほどb*値が低くなることが分かった。
ベンゾトリアジン系紫外線吸収剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加した場合には、ヘイズ上昇が見られなかった。本発明では2種類の紫外線吸収剤を添加することでヘイズやb*値の上昇を抑制しながら低い紫外線透過率を達成することができると考えられる。
【0084】
本発明の条件を満たす虹ムラ発生低減シートは、易接着層を介して積層されたハードコート層と透明基材層を有する積層体を長時間過酷な条件に置いた場合であっても、虹ムラの発生を低減することができる。