特許第6210147号(P6210147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210147
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】撮影表示装置、撮影表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20171002BHJP
   H04N 101/00 20060101ALN20171002BHJP
【FI】
   H04N5/232 930
   H04N5/232 939
   H04N101:00
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-223716(P2016-223716)
(22)【出願日】2016年11月17日
(62)【分割の表示】特願2012-273119(P2012-273119)の分割
【原出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-34726(P2017-34726A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/729123
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】塩原 隆一
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−070306(JP,A)
【文献】 特開2007−295096(JP,A)
【文献】 特開2008−167349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し、第1のフレームレートで1フレーム分の撮像データを出力する撮像センサーと、
前記第1のフレームレートより高い第2のフレームレートから前記第1のフレームレートより低い第3のフレームレートの間のフレームレートで、前記1フレーム分の撮像データに基づく表示を行う表示部を備え、
前記表示部は、
前記撮影データに基づくライブビュー画像を表示する第1表示領域と、
前記ライブビュー画像以外の情報を表示する第2表示領域と、
前記第1表示領域と前記第2表示領域の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記表示部において、一のフレームを表示した際のフレームレートが、前記第1のフレームレートより低くなった場合、前記一のフレームの次のフレームにおいて、前記第1表示領域の少なくとも一部と前記第2表示領域を前記表示部の最短のライン表示周期で表示させる
ことを特徴とする撮像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記表示部において、一のフレームを表示した際のフレームレートが、前記第1のフレームレートより高くなる場合、当該一のフレームのフロントポーチ期間を延長して、当該一のフレームレートを前記第1のフレームレートにする
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像表示装置。
【請求項3】
被写体を撮像し、第1のフレームレートで1フレーム分の撮像データを出力する撮像センサーと、
前記第1のフレームレートより高い第2のフレームレートから前記第1のフレームレートより低い第3のフレームレートの間のフレームレートで、前記1フレーム分の撮像データに基づく表示を行う表示部を備え、
前記表示部は、
前記撮影データに基づくライブビュー画像を表示する第1表示領域と、
前記ライブビュー画像以外の情報を表示する第2表示領域と、
前記第1表示領域と前記第2表示領域の表示を制御する表示制御部を備えた撮像表示装置の制御方法であって、
前記表示部において、一のフレームを表示した際のフレームレートが、前記第1のフレームレートより低くなった場合、前記一のフレームの次のフレームにおいて、前記第1表示領域の少なくとも一部と前記第2表示領域を前記表示部の最短のライン表示周期で表示させる
ことを特徴とする撮像表示装置の制御方法。
【請求項4】
前記表示部において、一のフレームを表示した際のフレームレートが、前記第1のフレームレートより高くなる場合、当該一のフレームのフロントポーチ期間を延長して、当該一のフレームレートを前記第1のフレームレートにする
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置およびその制御方法に関し、特にライブビュー表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ライブビューを表示する撮影装置において、被写体の像が被写体から遅延して表示されることが知られている。特許文献1には、表示素子のフレームレートを撮像素子のフレームレートの整数分の1とし、撮像素子による撮像画像が表示素子に表示されるまでの遅延時間がほぼ一定になるように制御することが記載されている(0038〜0047段落)。また、当該遅延時間は、撮像素子のフレーム周期未満となるように制御することが記載されている(0037段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−159067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示部の表示画面には、撮影センサーの出力データに基づいて生成される被写体の像(ライブビュー)を表示したり、ライブビューを表示する領域とは別の領域に撮影条件等の情報を表示したりするなど、種々の表示対象が表示され得る。撮影センサーのアスペクト比と表示部の表示画面のアスペクト比とが同じであって、被写体の像を表示する領域以外の領域を表示画面に設けない場合、撮影センサーと表示部とを同期させる(撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間に1フレーム分の表示を行う)ことはそれほど困難でないと考えられる。しかし、ライブビューとライブビュー以外の情報等のように様々な表示対象を表示画面に表示させる場合は、撮影センサーと表示部とを同期させることは容易ではない。なお、特許文献1には、フレーム単位の遅延時間がほぼ一定になるように制御することは記載されているが、表示画面の構成については特に言及されていない。 本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、撮影センサーの出力データに基づいて生成される画像データと当該画像データ以外の情報とを撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間に表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための撮影装置は、画像データ生成部と、バッファーと、表示制御部と、を備える。画像データ生成部は、被写体を撮像する撮影センサーの出力データに基づいて前記被写体の像を示す画像データを表示部のラインごとに生成する。バッファーは、生成された画像データを複数ライン分蓄積する容量を有する。表示制御部は、第一表示領域と第二表示領域とから構成される表示部の表示画面の第一表示領域にバッファーに複数ライン分(1ライン以上)の画像データが蓄積された後に画像データを含む表示データをa以上b以下の長さのライン表示周期で表示させ、第二表示領域に画像データを含まない表示データをaの長さのライン表示周期で表示させる。aは、撮影センサーのフレームレートより表示能力としてのフレームレートが高い表示部のライン表示周期の最短の長さを指す。bは、撮影センサーのフレームレートで撮影センサーが動作している場合に1ライン分の画像データが生成される周期の最長の長さを指す。1ライン分の画像データを生成するのに要する時間はラインごとに変動しうる。bは変動しうる時間のうち最長の時間を指す。そして、a<bという関係にある。なお、第一表示領域は複数ラインで構成される領域であり幅(水平方向の長さ)は表示画面の幅(水平方向の長さ)と等しい。また、第二表示領域は複数ラインで構成される領域であり幅(水平方向の長さ)は表示画面の幅(水平方向の長さ)と等しい。なお、表示部における「表示能力としてのフレームレート」は、後述する「表示条件を満たすまで次の表示対象ラインの表示開始を待機する」ことをしない場合に、実際に1フレーム分の画像を表示することができるフレームレートを意味する。また、撮影センサーのフレームレートは、撮影センサーの出力データに基づいて生成された画像データを表示部に表示するいわゆるライブビュー表示を行う際の撮影センサーにおけるフレームレートを意味する。
【0006】
バッファーに複数ライン分蓄積済みでない状態で第一表示領域の表示を開始する場合、画像データの生成が完了していないラインを表示しようとすると不具合が生じるため、例えば1ライン分の画像データの生成に要する最長の時間(b)を第一表示領域のライン表示周期として1ラインずつ表示することによって未生成のラインを表示しようとすることによる不具合を回避できる。しかし、そうすると、撮影センサーが1フレーム分の出力データを出力する期間よりも、第一表示領域の表示に要する期間を短縮することはできない。撮影センサーが1フレーム分の出力データを出力する期間よりも、第一表示領域の表示に要する期間を短縮することはできなければ、撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間内に、撮影センサーの出力データに基づいて生成される被写体の像を示す画像データに加えて当該画像データ以外の情報を表示するための十分な期間を設けることができない。 そこで本構成では、バッファーに複数ライン分の画像データの蓄積が完了した後に第一表示領域における表示を開始する。バッファーに蓄積済みの画像データはただちに表示させることができるため、表示部が許容する最短の長さaのライン表示周期で表示することができる。したがって例えば第一表示領域の全ラインをbの長さのライン表示周期で表示する構成と比較して、本構成の場合は第一表示領域の表示に要する期間を短縮できる(また、第一表示領域の各ラインにおける表示遅延を短縮することができる)。その結果、撮影センサーの出力データに基づいて生成される被写体の像を示す画像データを表示する期間に加えて、当該画像データ以外の情報を表示する期間を、撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間内に設けることができる。連続的に動画的に撮影センサーの出力データに基づいて生成される被写体の像を示す画像データ以外の情報(例えば、撮影条件を示す文字や図形、あるいは、静止画像)を表示する領域を第二表示領域と呼ぶ。
【0007】
また本構成では、第二表示領域においては、全ラインをaの長さのライン表示周期で表示を行うため、全ラインをaより長いライン表示周期で表示を行う構成と比較すると第二表示領域の表示に要する時間を短縮できる。第二表示領域の表示に要する時間を短縮できることによって、撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間内に、第一表示領域への画像データの表示期間に加えて、第二表示領域の表示期間も含まれるようにするという目的の達成に寄与することができる。第二表示領域は、撮影センサーの出力データに基づいて生成された画像データを含まない表示データ(例えば撮影条件等を示す文字や図形)を表示する領域である。撮影条件等は、予め表示され得る情報が特定される。したがって、表示開始前にメモリに対して第二表示領域に表示する表示データを記録しておくことが可能であり、当該メモリに対する当該表示データの記録が完了すれば、当該メモリを参照して当該表示データを逐次取得することで表示部における表示が可能になる。このため、第二表示領域に表示データを表示する際に、例えば当該表示データの生成処理が完了するまでラインごとに待機するなどの待機期間を設ける必要はなく、表示部におけるライン表示周期の最短の長さaで表示することが可能である。
【0008】
このように、バッファーに複数ライン分の画像データの蓄積が完了した後に第一表示領域に当該画像データに基づく表示を開始させることによって、第一表示領域の表示期間を撮影センサーが1フレーム分の出力データを出力する期間よりも短縮することができる。短縮することができることによって稼いだ時間を、第二表示領域の表示期間に充てることができる。また、第二表示領域においては最短の長さaのライン周期で表示させることができるため、撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間内に、第一表示領域の表示期間に加えて第二表示領域の表示期間も含まれるようにしやすい。したがって本構成の場合、撮影センサーのフレーム撮像周期と同じ長さの期間に、撮影センサーの出力データに基づいて生成される被写体の像を示す画像データ以外の情報も当該画像データに加えて表示することができる。すなわち、撮影センサーにおける1フレーム分の出力データの出力開始タイミングから所定の表示遅延時間を経て表示部の第一表示領域の表示が開始され、フレーム撮像周期とフレーム表示周期の長さが同等であるという同期が保たれた状態で撮影および表示を行うことができる。両者の同期が保たれない場合は表示遅延時間(撮影センサーの撮影から当該撮影に基づく画像データが表示されるまでの時間)もフレームごとに大きく異なってしまう可能性があり、被写体の動きが不自然に見えるためライブビューとしての使い勝手は悪い。しかし本構成の場合は、第一表示領域において被写体の動きを自然に見せることができるとともに、1フレーム内に第一表示領域に加えて第二表示領域も表示させることができる。
【0009】
さらに、上記目的を達成するための撮影装置において、表示制御部は、次の表示対象ラインを表示するための表示条件を満たすまで当該次の表示対象ラインの表示開始を待機し、当該表示条件を満たした後に当該次の表示対象ラインを表示させてもよい。 画像データの生成処理の処理時間はラインごとに変動しうる。そのため、第一表示領域においては、次の表示対象ラインを表示するための表示条件を満たすまで当該次の表示対象ラインの表示を待機し、表示条件を満たしてから表示する構成を採用する。その結果、どのラインについても一律に同じ長さのライン表示周期で表示を行う構成と比較すると、表示準備が整っているにも関わらずさらに無用に待機することや、表示準備が整っていないラインを表示することによる不具合の発生を防止することができる。また、どのラインに対しても一律に最長の長さbのライン表示周期で表示を行う構成と比較すると、本構成は第一表示領域の表示に要する期間を短縮することができる。
【0010】
なお、次の表示対象ラインを表示するための表示条件は、当該次の表示対象ラインを表示する準備が整った(表示させても不具合を生じない)ことを示す条件であればよく、具体的には撮影装置の内部仕様に応じて様々な態様を採用可能である。また、表示条件を満たしたか否かを表示制御部が判断するための判断材料を取得する構成も、撮影装置の内部仕様に応じて様々な態様を採用可能である。他に、ラインごとに共通の長さの位相差を設ける場合(例えば特開2007−243615号公報には、同一モードにおいて各フレーム周期に対してΔTが与えられ、表示対象となる画像の全ライン周期について共通の位相差が与えられていることになる。
)、当該位相差に対応する時間が経過したことをもって表示条件が成立したとみなす構成としてもよい。他に、特開2009−159067号公報に開示されるように、ラインごとに共通の位相差を設ける場合、当該位相差に対応する時間が経過したことをもって表示条件が成立したとみなす構成としても良い。
【0011】
さらに、上記目的を達成するための撮影装置において、表示制御部は、第一表示領域において、次の表示対象ラインを表示するための表示条件を満たすまで当該次の表示対象ラインの表示開始を待機する必要がない場合は、現在の表示対象ラインをaの長さのライン表示周期で表示させる。 すなわち、待機する必要がない場合には最短の長さaのライン表示周期で現在の表示対象ラインを表示し終え、速やかに次の表示対象ラインを表示するためのライン表示周期に移行することができる。そのため、第一表示領域の表示に要する期間の短縮に寄与することができる。なお、表示条件を満たすまで待機し満たした後に表示対象ラインを表示する構成を備え、待機する必要のない場合は最短の長さaで表示させる構成を備えることにより、第一表示領域におけるライン表示周期はラインごとにa以上b以下の範囲で変動する(最長で長さb、または、長さbほど時間がかからなければbより短い長さ、最短で長さaに変動する)。
【0012】
さらに、上記目的を達成するための撮影装置において、画像データ生成部は、生成した画像データを順次バッファーに出力する。また、表示制御部は、第一表示領域が連続するmライン分(mは自然数)の領域である場合に、第一表示領域の1ライン目の画像データがバッファーへ蓄積開始されてからiライン目(iは1≦i≦mとなる自然数)までの画像データがバッファーに蓄積完了した後、バッファーに蓄積された画像データに基づいて前記第一表示領域の1ライン目からmライン目をa以上b以下の長さのライン表示周期で表示させる。
【0013】
バッファーに1ライン目からiライン分(複数ライン分)の画像データが既に蓄積された状態で第一表示領域の表示を開始することにより、少なくとも1ライン目から(i−1)ライン目までの画像データはすぐに表示できる状態であるため最短の長さaのライン表示周期で表示することができる。そのため、第一表示領域の表示に要する期間の短縮に寄与することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するための他の撮影装置は、次に述べるような画像データ生成部と、バッファーと、表示制御部と、を備えている。画像データ生成部は、被写体を撮像する撮影センサーの出力データに基づいて被写体の像を示す画像データを表示部のラインごとに生成する。バッファーは、生成された画像データを蓄積する。表示制御部は、表示部の表示画面の第一表示領域に前記画像データを含む表示データを表示させ、前記表示画面の第二表示領域に前記画像データを含まない表示データを表示させる。この構成において、表示部のライン表示周期は、前記撮影センサーのフレームレートで前記撮影センサーが動作している場合に1ライン分の前記画像データが生成される周期よりも短い。またこの構成において、表示制御部は、バッファーに複数ライン分前記画像データが蓄積された後において、撮影センサーのフレームレートより高い第一のフレームレートで画像データを表示可能な状態である表示部に、第一のフレームレートで、第一表示領域および第二表示領域の表示を行う。
【0015】
また、上記目的を達成するための他の撮影装置において、表示制御部は、第一表示領域において、次の表示対象ラインを表示するための表示条件を満たすまで当該次の表示対象ラインの表示開始を待機し、当該表示条件を満たした後に当該次の表示対象ラインを表示させるよう構成される。また、表示制御部は、バッファーに複数ライン分画像データが蓄積されるまでは、第一のフレームレートより低い第二のフレームレートで、第一表示領域および第二表示領域の表示を行う。
【0016】
また、上記目的を達成するための他の撮影装置において、バッファーは、表示制御部が第二のフレームレートで、Nフレーム目の表示を行っている間に、(N+1)フレーム目の複数ライン分の画像データを蓄積する。
【0017】
また、上記目的を達成するための他の撮影装置において、表示制御部は、バッファーに複数ライン分画像データが蓄積された後において、第一表示領域および第二表示領域の表示を行うように制御する。また、バッファーはその用途目的を達成できればよく、バッファーとしてVRAM(ビデオRAM)を利用して構成しても良い。
【0018】
さらに、本発明のように、表示画面の第一表示領域に画像データを含む表示データをa以上b以下の長さのライン表示周期で表示させ、表示画面の第二表示領域に画像データを含まない表示データをaの長さのライン表示周期で表示させる手法は、プログラムや方法の発明としても成立する。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複合的な機能を有する装置において共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】撮影装置の構成を示すブロック図。
図2】(2A)は撮影センサーのライブビューモード時の読み出し画素を示す模式図、(2B)表示部の表示画面のライブビューモード時の構成を示す模式図。
図3】ライブビューモード時の撮影センサーと表示部の動作を示すタイミングチャート。
図4】(4A)および(4B)は表示部における表示タイミングを示すタイミングチャート。
図5】第二実施形態にかかるライブビューモード時の撮影センサーと表示部の動作を示すタイミングチャート。
図6】(6A)および(6B)は他の実施形態にかかる表示画面の構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。 1.第一実施形態1−1.撮影装置の構成 図1は本発明の一実施形態にかかる撮影装置1の構成を示すブロック図である。撮影装置1には、光学系10、撮影センサー15、ASIC200、タイミング制御部30、表示部40、CPU50、VRAM51、SD−RAM52、ROM53、RAM54、操作部55、が備えられている。CPU50は、VRAM51、SD−RAM52、RAM54を適宜利用してROM53に記録されたプログラムを実行可能であり、当該プログラムによりCPU50は、操作部55に対する操作に応じて撮影センサー15にて撮影された被写体を示す画像データを生成する機能を実行する。なお、操作部55はシャッターボタンと、モードを切り換えるためのモード切換手段としてのダイヤルスイッチと、絞りとシャッター速度を切り換えるためのダイヤルスイッチと、各種の設定メニューを操作するためのプッシュボタンとを備えており、利用者は当該操作部55に対する操作によって撮影装置1に対して各種の指示を与えることができる。
【0021】
光学系10は、撮影センサー15に被写体画像を結像させるレンズ11、絞り12、シャッター13およびローパスフィルター14を備える。このうち、レンズ11と絞り12とは図示しない筐体に交換可能に取り付けられる。レンズ11は図1では簡略化して1枚のレンズで表しているが、光軸方向に並べられた複数枚のレンズを含み、各レンズは外縁部で支持される。ローパスフィルター14は、撮影光の撮影センサー15における空間的高周波数成分を遮断することにより、撮影した画像におけるモアレを防止する。絞り12は、開口径を変化させることのできる複数の遮光板で構成されている。シャッター13は機械式のフォーカルプレーン型シャッターである。
【0022】
撮影センサー15としては、例えばベイヤー配列されたカラーフィルターと、光量に応じた電荷を光電変換によって画素ごとに蓄積する複数のフォトダイオードとを備えるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の固体撮像素子が用いられる。撮影センサー15の画素の位置は直交座標系における座標で規定され、一方の座標軸に平行な方向に並ぶ複数の画素によってラインが構成され、複数のラインが他方の座標軸に平行な方向に並ぶように構成されている。本明細書では、ラインに平行な方向を水平方向、ラインに垂直な方向を垂直方向と呼ぶ。撮影センサー15の全画素によって構成される1画面を1フレームと呼ぶ。
【0023】
タイミング制御部30はセンサー制御部31と表示制御部32とを備える。本実施形態においては、撮影センサー15はタイミング制御部30のセンサー制御部31が出力する各種信号に同期した動作を行う。すなわち、センサー制御部31は、1フレーム分のフォトダイオードの検出結果を読み出すための期間を規定する垂直同期信号(SVsync)、1ライン分のフォトダイオードの検出結果を読み出すための期間を規定する水平同期信号(SHsync)、各画素の画像データの読み出しタイミング等を規定するドットクロック信号(SDotclock)を出力する。撮影センサー15は、垂直同期信号SVsyncに応じて1フレーム分の出力データの出力を開始し、水平同期信号SHsyncにて規定される期間内にドットクロック信号SDotclockに応じたタイミングで撮影センサー15の一部の画素に対応するフォトダイオードの検出結果を示す出力データ(SD)を逐次読み出す。
【0024】
ASIC200は、SD−RAM52に予め確保された複数ライン分のラインバッファー52a〜52dを利用し、表示部40にて被写体の像を表示するための画像データをパイプライン処理によって生成する処理を行う回路によって構成される画像データ生成部20を備えている。なお、複数ライン分のラインバッファー52a〜52dは画像データ生成部20などに設けられていても良い。また、ASIC200は画像データ出力部21を備えており、画像データ出力部21は、後述する第一表示領域R1に属するラインの表示を行う際にはラインバッファー52dに記録された画像データ(DD)を表示部40に対して線順次に出力する。この結果、撮影センサー15で撮影された被写体の像が第一表示領域R1に表示される。また、画像データ出力部21は、第二表示領域R2に属するラインの表示を行う際にはVRAM51に記録されたOSDデータを画像データ(DD)として表示部40に対して線順次に出力する。この結果、撮影条件等の文字や図形が第二表示領域R2に表示される。利用者は、表示部40をEVFとして利用しながら被写体を確認することが可能である。
【0025】
表示部40は、撮影対象となる被写体を示す画像を表示して利用者に撮影前の被写体の様子および撮影条件等の情報を把握させるEVF(Electronic View Finder)であり、本実施形態にかかる撮影装置1はEVFを備えたミラーレスデジタルカメラである。表示部40は、図示しないインターフェース回路、液晶パネルドライバー41、液晶パネル42、図示しない接眼レンズ等を備えている。本実施形態において液晶パネル42は、画素ごとに3色のカラーフィルターに対応する3つのサブピクセルを備える高温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)であり、画素の位置は直交座標系における座標で規定される。また、一方の座標軸に平行な方向に並ぶ複数の画素によってラインが構成され、複数のラインが他方の座標軸に平行な方向に並ぶように構成されている。本明細書では、ラインに平行な方向を水平方向、ラインに垂直な方向を垂直方向と呼び、液晶パネル42の全画素によって構成される1画面を1フレームと呼ぶ。
【0026】
液晶パネルドライバー41は、各サブピクセルに電圧を印加して液晶を駆動するための信号を液晶パネル42に対して出力する。液晶パネル42は、図示しないゲートドライバおよびソースドライバを備えており、液晶パネルドライバー41から出力される信号に応じてゲートドライバが各ラインの各画素における表示タイミ
ングを制御し、ソースドライバが表示タイミングとされているラインの各画素に対して各画素の画像データに対応した電圧を印加することによって表示を行う。すなわち、液晶パネルドライバー41は、液晶パネル42における表示を行うための各種信号、例えば、1フレーム分の表示を行うための期間を規定する垂直同期信号(DVsync)、1ライン分の表示を行うための期間を規定する水平同期信号(DHsync)、各ライン内での画像データの取り込み期間を規定するデータアクティブ信号(DDactive)、各画素の画像データの取り込みタイミング等を規定するドットクロック信号(DDotclock)、各画素の画像データ(DD)を出力するように構成されている。
【0027】
なお、上述の垂直同期信号DVsync、水平同期信号DHsync、データアクティブ信号DDactive、ドットクロック信号DDotclockはタイミング制御部30の表示制御部32によって生成される。なお、本実施形態において水平同期信号DHsyncの出力タイミングは可変であり、後述するように画像データ生成部20の処理結果に依存して出力タイミングが決定される。
【0028】
図2Aは、本実施形態における撮影センサー15のライブビューモード時の読み出し画素を示す模式図である。ライブビューモード時は、撮影センサー15が備える有効領域の全画素に対応するフォトダイオードの検出結果を読み出すことをせずに、水平方向および垂直方向に所定の方法で間引きした間引き読み出しが行われる。ライブビューモード時は、間引き読み出しされた結果、水平方向にk個、垂直方向にj個の合計k×j個の画素に対応する出力データが撮影センサー15から出力される(実際には、撮影センサー15からk×j個の出力データを出力するためには、有効画素の周囲に画像処理を行うためのリングピクセルが必要である。そのため図2Aの水平方向k画素のデータを出力するためにはkより大きいk+α画素を読込む必要があり、垂直方向のjラインのデータを出力するためにはjより大きいj+β画素を読込む必要がある。そして水平方向にα画素、垂直方向にβ画素の画素を切り捨てることでk×j画素の出力データが撮影センサー15から出力される。ここでは説明を簡単にするために便宜的に水平方向k画素、垂直方向j画素のデータが出力されるとして記載する。)。なお、アスペクト比k:jは、後述する第一表示領域R1のアスペクト比と異なる。また、ライン数jは後述する第一表示領域R1のライン数mよりも多い。
【0029】
図2Bは、本実施形態における液晶パネル42の表示画面のライブビューモード時の画面構成を示す模式図である。本実施形態において液晶パネル42は、水平方向にl個、垂直方向に(m+n)個の有効画素を備えたパネルであり、液晶パネルドライバー41が出力する画像データDDの内容および出力タイミングを調整することによって、任意の位置にDDに対応した階調の表示を行うことができる。本実施形態においては、液晶パネル42の先頭ラインからmライン分の領域である第一表示領域R1に撮影センサー15の出力データに基づいて被写体の画像を表示し、当該第一表示領域R1に続くnライン分の領域である第二表示領域R2に撮影条件等の情報を示す文字や図形を表示する構成となっている。すなわち、液晶パネル42には、被写体の画像とともに撮影条件等の情報を示す文字や図形がOSD(On Screen Display)表示される。表示部40の液晶パネル42の表示画面のアスペクト比l:(m+n)は例えば4:3である。第一表示領域R1のアスペクト比l:mは例えば3:2である。
【0030】
また、利用者が操作部55を操作して撮影指示を行った場合には、撮影指示に応じて撮影センサー15は、垂直同期信号SVsyncに応じて1フレーム分の出力データ出力を開始し、水平同期信号SHsyncにて規定される期間内にドットクロック信号SDotclockに応じたタイミングで撮影センサー15の全有効画素に対応するフォトダイオードの検出結果を示す出力データを逐次読み出す。そして画像データ生成部20は、SD−RAM52等を利用しJPEG等の形式の画像データを生成して図示しないリムーバブルメモリ等に記録される。すなわち、利用者は、被写体を示す画像データを生成することが可能である。
【0031】
1−2.ライブビュー表示 図3は、ライブビューモード時の撮影センサー15と表示部40の動作を示すタイミングチャートである。ライブビューモード時、撮影センサー15からは、垂直同期信号SVsyncで規定される垂直同期期間Tsv(フレーム撮像周期)に1フレーム分の出力データが出力される。さらに詳細には、垂直同期期間Tsv中に水平同期信号SHsyncにて規定される水平同期期間(ライン撮像周期)に撮影センサー15の1ライン分の出力データSDが出力される。出力データSDはラインバッファー52aに一時記録される。また、ライブビューモード時、表示部40においては、垂直同期信号DVsyncで規定される垂直同期期間Tdv(フレーム表示周期)に1フレーム分の表示が更新される。さらに詳細には、垂直同期期間Tdv中に水平同期信号DHsyncにて規定される水平同期期間(ライン表示周期)に表示部40の1ライン分の表示が更新される。
【0032】
撮影センサー15から出力された出力データSDに基づいて画像データDDが生成される手順を、図1を参照しながら説明する。撮影センサー15からラインバッファー52aに出力データSDが出力されると、画像データ生成部20は、撮影センサー15から出力された出力データSDをラインバッファー52aから取得する。画素補間部20aは、注目画素について当該注目画素の周辺画素の階調値を用いた補間処理を行うことにより、各画素に対応する光電変換素子に備えられたカラーフィルターの色とは異なる2チャネルの色の階調値を算出する。この結果、各画素について3チャネルの階調値が対応付けられたデータが生成される。色再現処理部20bは、画素補間が完了したデータの各画素の階調値に対して3×3の行列演算を行うことによってより正しい色を再現するための色変換処理を行う。
色変換処理によって生成されたデータはラインバッファー52bに一時記録される。
【0033】
フィルター処理部20cは、色再現処理が完了しラインバッファー52bに一時記録されているデータに対してシャープネス調整やノイズ除去処理などのフィルター処理を実行する。ガンマ補正部20dは、画像出力する際の階調特性を補正する処理を行う。すなわち撮影センサー15の出力データの階調値が示す色を、表示部40における色特性に応じたガンマ関数によって補正するガンマ補正を、フィルター処理が完了したデータに対して実行する。ガンマ補正処理後のデータはラインバッファー52cに一時記録される。リサイズ処理部20eはラインバッファー52cに一時記録されていくガンマ補正処理後のデータを逐次参照して、目標サイズへとリサイズする。本実施形態では図2Bに示す第一表示領域R1のサイズにリサイズする。リサイズ処理部20eにてリサイズが完了すると、ASIC200における各画像処理が完了された画像データDDが生成できる。リサイズ処理後に生成された画像データDDはラインバッファー52dに一時記録される。ラインバッファーは、FIFO形式のラインバッファーであり、先に記録された画像データの順に画像データがライン単位で読み出される。
【0034】
ところで、撮影センサー15から線順次に出力される出力データに基づいて遅延期間を最小化して液晶パネル42における表示を行うため、本実施形態においては、液晶パネル42の各ラインに対して表示を行うための表示条件を満たした後に当該ラインを表示するための水平同期信号DHsyncが出力されるように構成されている。具体的には、タイミング制御部30の表示制御部32は、リサイズ処理部20eから当該リサイズ処理部20eにおける画像データの生成処理が終了しラインバッファー52dに出力が完了したライン番号Ldを取得することが可能である。すなわちライン番号Ldは、Ldが示すライン番号以前のライン(1ライン目からLdライン目までのライン)は表示して良いということを意味している。画像データはライン順次に生成されるため、1フレーム内において当該ライン番号より小さい番号のラインの画像データは既に生成済みでありラインバッファー52dに出力済みであることを意味する。したがって次の表示対象ラインの番号LnがLd以下であれば次の表示対象ラインの表示を行うための表示条件を満たしていることになる。なおラインバッファー52dは少なくともmライン分の画像データを記録可能なサイズを有しているものとする。
【0035】
そこで、タイミング制御部30の表示制御部32が、各ラインについて表示条件を満たしたタイミングに同期して水平同期信号DHsyncを出力することにより、液晶パネル42において表示条件を満たしたラインの表示を開始させる構成とする。この構成によれば、画像データの準備が整う前に各ラインの表示を開始することはなく、各ラインの表示準備が整うと即座に各ラインの表示をすることが可能になる。
【0036】
なお、次の表示対象ラインの番号Lnの値は表示制御部32が1ライン表示するごとにカウントアップする。次の表示対象ラインの番号Lnの値の範囲は、1≦Ln≦(m+n)である。ライン番号Ldの値は、リサイズ処理部20eによってラインバッファー52dに1ラインずつ画像データの出力が完了するごとにカウントアップされ、表示制御部32に通知される。ライン番号Ldの値の範囲は0≦Ld≦mである。Ldの値が0の場合は、1フレーム内においてまだ1ラインも画像データがラインバッファー52dに出力されていないことを意味する。なお、Ldの値がm(Ld=m)になった時点でフレームデータ出力完了フラグLdfフラグがOnになり、Ldの値が0にリセットされる(Ld=0)。Ld=0であってもLdfフラグ=Onの期間は、第一表示領域R1の画像データが全てラインバッファー52dに出力済みであるという意味であるので、表示側は次の表示対象ラインの番号Lnを表示して良い。なお、Ldfフラグは、mライン目を表示完了したと判定された時点でリセットされ、Ldfフラグ=Offに戻る。
【0037】
図3を参照しながら詳細に動作を説明する。図3において、タイミングp1にセンサー制御部31から垂直同期信号SVsyncが出力された後、所定の長さの期間Tsv0が経過したタイミングp2に、撮影センサー15の1ライン目の出力データを取得するための水平同期信号SHsyncがセンサー制御部31から出力される。撮影センサー15の1ライン目の出力データがラインバッファー52aに出力されると、上述したように画像データ生成部20によってパイプライン処理が行われライン順次にリサイズ処理後の画像データDDがラインバッファー52dに出力、蓄積される。ΔT1は、撮影センサー15において1フレーム分の出力データの出力期間の開始タイミングp2から表示部40の第一表示領域R1の1ライン目の表示開始までに少なくとも要する時間を意味する。ΔT1には画像データ生成部20によるパイプライン処理等が含まれる。
【0038】
図4Aは、図3に示す表示部40のフレームD1の垂直同期期間Tdvにおける表示タイミングを示すタイミングチャートである。ライブビューモードが開始して最初のフレームにあたるフレームD1においては、1ライン目の画像データの表示条件を満たすとそれ以上待機することなくすぐに1ライン目の画像データを表示させる。したがってライン番号Ldの値が次の表示対象ラインの番号Ln(=1)と等しくなったことを確認すると表示制御部32は、1ライン目を表示するための水平同期信号DHsyncを出力し(タイミングp3)、1ライン目の画像データDDを表示させる。以降も同様にして、表示条件を満たしたことを確認すると表示制御部32が水平同期信号DHsyncを出力し表示させる。ライン番号Ldの値が更新される周期の長さは、1ライン分の画像データの生成に要する時間の長さと等しい。1ライン分の画像データの生成に要する時間は変動するため、ライン番号Ldの値が更新される周期の長さも変動する。ライン番号L
dが更新される周期の最長の長さをbとする。例えば図4Aでは、ライン番号Ldの値が1である期間の長さがbであることを示しているが、これは、1ライン目の画像データの生成が完了しラインバッファー52dへの出力が完了したタイミングp3から、2ライン目の画像データの生成が完了しラインバッファー52dへの出力が完了したタイミングp3''までの時間が最長の長さであるbであることを意味する。表示制御部32は水平同期信号DHsyncの出力を、次の表示対象ラインの番号Ln≦ライン番号Ldとなるまで待機しLn≦Ldとなったタイミングに応じて出力するため、水平同期期間(ライン表示周期)の最長の長さもbとなる。 なお、ライン番号Ldの値が0から1に変化したことを表示制御部32が確認してから、フレームD1を開始するための垂直同期信号DVsyncを生成してもよい。
【0039】
具体的には、表示制御部32はタイミングp3で水平同期信号DHsyncを出力してから図示しないドットクロック信号DDotclockに同期させて1画素ずつ1ライン分画像データを表示させる。タイミングp3から長さaの時間が経過したタイミングp3'においては既に1ライン分の画像データの表示は終えており、次の表示対象ラインの番号Lnの値は2となる。しかしタイミングp3'においてライン番号Ldの値はまだ1であるので、表示制御部32は現在の表示対象ラインである1ライン目のライン表示周期のフロントポーチ期間Tdh2の長さを延長することでLn≦Ldとなるまで次の表示対象ラインを表示させるための水平同期信号DHsyncの出力を待機する。具体的には例えば、ダミーのドットクロック信号DDotclockを生成させたり、ドットクロック信号DDotclockの周期を延長させたりすることによってフロントポーチ期間Tdh2の長さを延長する。なお、第一表示領域R1において次の表示対象ラインを表示するための表示条件を満たすまで待機する必要のない場合は、最短の長さaで現在の表示対象ラインのライン表示周期を終える。例えば、図4Aのmライン目を表示する周期においては、後述するように次の表示対象ラインである(m+1)ライン目の表示条件を満たすまで待機する必要がないため、現在の表示対象ラインであるmライン目のライン表示周期の長さは最短の長さaとなる。具体的には、図4Aのmライン目を表示する周期においては、フレームデータ出力完了フラグLdfフラグがOnになっている。Ldfフラグ=Onの期間は、第一表示領域R1の画像データが全てラインバッファー52dに出力完了済であるため、表示側は次の表示対象ラインの番号Lnを表示して良く、mライン目を表示する周期の長さは最短の長さaとなる。なお、後述するように(m+1)ライン〜(m+n)ラインの表示周期の長さも最短の長さaとなる。
【0040】
図2に示すように、撮影センサー15のjライン分の出力データがリサイズ処理部20eによってmライン分の画像データにリサイズされる。したがって図4Aに示すように、1ライン目の画像データを表示させる水平同期期間の開始タイミングp3から、mライン目の画像データを表示させる水平同期期間の終了タイミングp6までの期間Tdv1の間に、mライン分の画像データ、すなわち第一表示領域R1への表示が完了する。図4Aに示すように、1ライン分の表示データが生成されラインバッファー52dに出力されると当該ラインを表示するという動作が繰り返されると、図3に示すようにフレームD1における第一表示領域R1の表示期間Tdv1の長さは、1フレーム分の出力データ(jライン分の出力データ)を出力する期間Tsv1の長さとほぼ同等となる。
【0041】
第一表示領域R1への表示が完了した後m+1ライン目以降は第二表示領域R2への表示となる。ここで、表示部40の表示能力としてのフレームレートFdmaxは撮影センサー15のフレームレートFsより高い(Fdmax>Fs)。すなわち、表示条件を満たすまで水平同期信号DHsyncの出力を待機することをせずに、表示部40をフレームレートFdmaxで駆動する場合、表示部40の垂直同期期間(フレーム表示周期)は撮影センサー15の垂直同期期間(フレーム撮像周期)よりも短くなる。また、フレームレートFdmaxで表示部40を駆動する場合の水平同期期間の長さ(すなわち表示部40において許容されるライン表示周期の最短の長さ)aは、撮影センサー15をフレームレートFsで駆動する場合に1ライン分の画像データが生成される周期の最長の長さbよりも短い(a<b)。
【0042】
第二表示領域R2に表示する撮影条件等の情報を示す文字や図形等のデータ(OSDデータ)やライブビューとは別の静止画は、撮影センサー15の動作によらず独立した情報であり予め作成しVRAM51に記録しておくことが可能である。あるいは、ライブビュー表示とは独立して随時OSDデータや静止画を作成しVRAM51に記録しておくことが可能である。そのため、OSDデータや静止画に基づく表示を短い水平同期期間によって実行したとしても、データ読み出しの追い越しを発生させることなく適正な表示を行うことが可能である。そこで、第二表示領域R2にOSDデータを表示する際には、bよりも短い長さであって表示部40において許容される最短の長さaのライン表示周期(水平同期期間)で第二表示領域R2の各ラインを表示する。
【0043】
図4Aに示すように、表示制御部32は(m+1)ライン目〜(m+n)ライン目までは、aの長さのライン表示周期でDHsyncを出力し、aの長さのライン表示周期で1ラインずつOSDデータを表示させる。その結果、aより長いライン表示周期で(m+1)ライン目〜(m+n)ライン目を表示させる場合よりも短い長さの期間Tdv2で第二表示領域R2の表示を行うことができる。図3に示すように、タイミングp7で第二表示領域R2の表示期間Tdv2を終え、さらにフレームD1のフロントポーチ期間Tdv3が経過した後、表示制御部32は垂直同期信号DVsyncを出力する。図3に示すようにフレームD1の垂直同期期間Tdvは、バックポーチ期間Tdv0と第一表示領域R1の表示期間Tdv1と第二表示領域R2の表示期間Tdv2とフロントポーチ期間Tdv3とで構成される。撮影センサー15の垂直同期期間Tsvは、所定の長さの期間Tsv0と1フレーム分の出力期間Tsv1と所定の長さの期間Tsv2とで構成される。フレームS1の出力期間Tsv1の長さとフレームD1の第一表示領域R1の表示期間Tdv1の長さとがほぼ同等(センサーにはセンサー特有の余分の出力期間があるため厳密には等しくは無い。)であるにも関わらず、フレームD1ではまださらに第二表示領域R2を表示しなければならず、さらにはフロントポーチ期間Tdv3もフレームD1内に含めなければならない。しかし、撮影センサー15の垂直同期期間Tsvの残りの期間Tsv2の長さよりも、(期間Tdv2+期間Tdv3)の長さの方が長くなる。そのため、撮影センサー15の垂直同期期間Tsvの長さ(1/Fs)よりも、フレームD1においては表示部40の垂直同期期間Tdvの方が長くなる。
【0044】
したがって、撮影センサー15の垂直同期期間Tsvの長さ(1/Fs)よりも表示部40の垂直同期期間Tdvの方が長くなったフレームD1の直後のフレームD2では、タイミングp5からΔT1経過したタイミングp8においてはまだ次のフレームの第一表示領域R1の表示を開始できる状況にない(図3においてタイミングp8はまだ前フレームD1の期間中である)。フレームD1においてはタイミングp2からΔT1経過したタイミングp3で第一表示領域R1の表示を開始することができたことと比較すると、第一表示領域R1の表示開始タイミングがフレームD1よりフレームD2はさらにΔT2遅れることになる。一方、フレームS2の出力期間Tsv1の開始タイミングp5からΔT1経過したタイミングp8後は1ライン目以降の画像データがラインバッファー52dに出力され始める。タイミングp8からタイミングp9までのΔT2の期間において1ライン目から複数ライン分(ここではiライン分とする。iは1≦i≦mの自然数。)の画像データがラインバッファー52dに出力済みとなる(すなわちΔT2は、1ライン目からiライン分の画像データをラインバッファー52dに蓄積するのに要する時間と言い換えることもできる)。そのため図4Bに示すようにタイミングp9においてライン番号Ldの値はiとなる。
【0045】
図4Bに示すように、タイミングp9、すなわち次の表示対象ラインの番号Lnが1でありライン番号Ldの値がiであるタイミングp9においては、表示条件(Ln≦Ld)を満たすため、タイミングp9において表示制御部32は1ライン目を表示するためのDHsyncを出力し1ライン目を最短の長さaで表示させる。2ライン目以降も、ライン表示周期をaより長く延長させて表示条件(Ln≦Ld)を満たすまで待機する必要がない場合は水平同期信号DHsyncを最短の長さaの周期で出力する。ライン番号Ldの値が更新される周期はaより長いため、aの長さの周期で水平同期信号DHsyncを出力していくうちに表示条件を満たさない、すなわちLn>Ldとなるタイミングが発生しうる。例えば図4Bに示すタイミングp10で(m−1)ライン目を表示するための水平同期信号DHsyncを出力した後、aの長さの時間が経過したタイミングp11では次の表示対象ラインの番号Lnはmであるが、ライン番号Ldの値はまだ(m−1)であるためLn>Ldとなる。その場合は、Ln≦Ldとなるまで表示制御部32は水平同期信号DHsyncの出力を待機しLn≦Ldとなった後、水平同期信号DHsyncを出力する(タイミングp12)。
【0046】
タイミングp12で第一表示領域R1の最終ラインを表示するための水平同期信号DHsyncを出力した後は、上述と同様に第二表示領域R2の表示を行う。すなわち、各ラインにつきaの長さの周期で表示を行う。 以上で説明したように、フレームD2の第一表示領域R1においては1ライン目の表示を開始する際に既にラインバッファー52dに1ライン目からiライン分の画像データが蓄積されており最短の長さaのライン表示周期で表示できるラインが少なくとも(i−1)ライン分ある。そのため、フレームD2の第一表示領域R1の表示期間Tdv1'の長さは、フレームD1のように1ライン目の表示を開始する際に1ライン目の画像データしかラインバッファー52dに蓄積されていない場合の第一表示領域R1の表示期間Tdv1の長さよりも短くなる(図3参照)。なお第二表示領域R2の表示期間Tsv2については、ライン数(nライン)も水平同期期間(長さa)も変化しないため、長さはどのフレームにおいても同じである。
【0047】
その結果、フレームD2の垂直同期期間Tdv'はフレームD1の垂直同期期間Tdvよりも短くなる。また、フレームD2において、次式(1)を満たせば、フレームD2の垂直同期期間Tdv'を撮影センサー15の垂直同期期間Tsvと同じ長さにすることができる。 表示期間Tdv1'の長さ≦(撮影センサー15の垂直同期期間Tsvの長さ)−(期間Tdv0 の長さ+期間Tdv2の長さ + 期間Tdv3の基準の長さ)…(1) 式(1)の左辺=式(1)の右辺、となる場合にフレームD2の垂直同期期間Tdv'が撮影センサー15の垂直同期期間Tsvと同じ長さになるのは自明である。 式(1)の左辺<式(1)の右辺、となる場合も、フレームD2のフロントポーチ期間Tdv3を予め決められた基準の長さよりも延長すること(例えばダミーの水平同期信号DHsyncを発生させたり、フロントポーチ期間Tdv3中において1以上の水平同期期間の長さを延長させたりする)により、フレームD2の垂直同期期間Tdv'を撮影センサー15の垂直同期期間Tsvと同じ長さにすることができる。
【0048】
フレームD2の第一表示領域R1の表示期間Tdv1'の長さは、タイミングp9においてラインバッファー52dに蓄積済みとなっているライン数に影響を受ける。当該ライン数が、式(1)を満たす程度のライン数であればよい。このように、第一表示領域R1においてラインバッファー52dに蓄積済みのラインの画像データについては表示部40におけるライン表示周期の最短の長さaで表示させる(蓄積済みでないラインの画像データ
は表示条件を満たすまで待機し表示条件を満たした後に表示させる)ことにより、第一表示領域R1の表示期間を期間Tsv1より短縮することができる。また、第二表示領域R2においては最短の長さaで全ラインを表示させることにより、aより長い周期で全ラインを表示させる場合と比較して表示に要する時間を短縮することができる。その結果、撮影センサー15の垂直同期期間Tsvと同じ長さの期間に、撮影センサー15の出力データに基づく画像データ以外にOSD等の表示データを表示させることができ、撮影センサー15と表示部40とを同期させて動作させることができる。フレームD2の次のフレーム以降も、撮影センサー15の出力期間Tsv1の開始タイミングと表示部40の第一表示領域R1の表示期間Tdv1'の開始タイミングとの時間差(表示遅延時間)がΔT1+ΔT2の状態で、撮影センサー15と表示部40とを同期して動作させることができる。 なお、ライブビューモードが開始後最初のフレームから、撮影センサー15の出力期間Tsv1の開始タイミングと表示部40の第一表示領域R1の表示期間の開始タイミングとの時間差(表示遅延時間)がΔT1+ΔT2となるように表示部40の動作タイミングを制御してもよい。すなわち図3を用いた例では2フレーム以降から当該時間差がΔT1+ΔT2となるように制御されることを説明したが、1フレーム目から当該時間差がΔT1+ΔT2となるように制御されてももちろんよい。
【0049】
このように、位相差の変化(フレームS1とフレームD1ではΔT1であるのに対し、フレームS2とフレームD2ではΔT1+ΔT2である)に合わせて、フレーム表示周期の長さが変化する。フレーム表示周期を一時的に変化させることによってその後に続くフレームにおいて撮影センサー15と表示部40との同期化を実現することができる。
【0050】
なお、フレームレートFdmaxが高いほど最短のライン表示周期の長さaも短くなるため、第二表示領域R2の表示期間の長さも短くすることができる。その結果、撮影センサー15と表示部40との位相差も小さくなり表示遅延時間も短くなる。また、位相差が小さくなることにより、次のフレームの第一表示領域R1の画像データを蓄積するバッファーの容量を少なくすることができる。また、ライン表示周期の最短の長さaが、1ライン分の画像データが生成される周期の最長の長さbよりも短いほど、表示遅延時間を短縮できる。第二表示領域R2のライン数が多いほど次フレームにおける表示遅延時間は長くなるが、ライン表示周期の最短の長さaが短いほど次フレームの第一表示領域R1の画像データを蓄積するためのバッファーの容量を少なくすることが可能であり、表示遅延時間も短縮することが可能である。
【0051】
2.第二実施形態 図5は、第二実施形態にかかるライブビューモード時の撮影センサーと表示部の動作を示すタイミングチャートである。フレームDD1は、複数ライン分の画像データがラインバッファー52dに蓄積されるまで第一表示領域R1の表示を開始しないのではなく、第一表示領域R1の1ライン目の画像データがラインバッファー52dに出力されるとすぐに1ライン目の画像データを表示し、以後1ライン分の画像データがラインバッファー52dに出力されるたびに表示を行う。これは、第一実施形態における図3のフレームD1と同様の動作内容である。この結果、図3のフレームD1と同様に第二実施形態の図5のフレームDD1のフレーム表示周期(垂直同期期間)Tdvの長さは、撮影センサー15のフレーム撮像周期(垂直同期期間)Tsvよりも長くなる。すなわち、フレームDD1のフレーム表示周期Tdvの長さがこのまま続いた場合のフレームレート(第二のフレームレート)は、撮影センサー15のフレームレートより低い。
【0052】
ここで、フレームDD1の第一表示領域R1の表示期間Tdv1と第二表示領域R2の表示期間Tdv2を終えた後、何らかの原因によりフレームDD2を開始するための垂直同期信号DVsyncが遅れて生成されたとする。すなわち、フレームDD1のフロントポーチ期間Tdv3が終了するタイミングq8より少し遅れたタイミングq9で垂直同期信号DVsyncが出力されたとする。フレームDD2を開始するための垂直同期信号DVsyncの出力が少し遅れたことにより、フレームDD2のバックポーチ期間Tdv0を経てフレームDD2の第一表示領域R1の表示期間Tdv1'の開始タイミングq10では、垂直同期信号DVsyncが遅れないでタイミングq8で生成された場合と比較すると多くのラインの画像データがラインバッファー52dに蓄積された状態となる。すなわち、フレームSS2の1フレーム分の出力データの出力を開始するタイミングq5からΔT1(先頭ラインの画像データを生成するのに要する期間)経過した後さらに期間ΔT3経過したタイミングq10で蓄積済みのライン数は、タイミングq5から期間ΔT1経過後さらに、ΔT3より短い期間経過した図示しないタイミングにおける蓄積済みのライン数より多くなる。
【0053】
したがって、垂直同期信号DVsyncが遅れないでタイミングq8で生成された場合と比較すると、最短の長さaのライン表示周期で表示可能なライン数が増えるため、フレームDD2における第一表示領域R1の表示期間Tdv1'の長さは短くなる。第二表示領域R2の表示期間Tdv2の長さはフレームDD1と同じである。フレームDD3を開始するための垂直同期信号DVsyncが遅れずにフロントポーチ期間Tdv3が経過したタイミングq11で生成されるとすると、フレームDD2のフレーム表示期間Tdv'の長さは撮影センサー15のフレーム撮像周期Tsvの長さより短くなる。すなわち、フレームDD2のフレーム表示周期Tdv'の長さがこのまま続いた場合のフレームレート(第一のフレームレート)は、撮影センサー15のフレームレートより高い。なお、フレームDD3以降で撮影センサー15のフレームレートと表示部40のフレームレートとは等しくなっていくことが可能であることは第一実施形態と同様のため説明を省略する。
【0054】
また、第二のフレームレートでフレームDD1(Nフレーム目)の表示を行っている期間内に、フレームDD2(N+1フレーム目)の複数ライン分の画像データを蓄積することができる。すなわち、フレームDD1のフレーム表示期間Tdvの期間内にフレームDD2の第一表示領域R1の複数ライン分の画像データを蓄積する期間ΔT3の一部が含まれている。 また、フレームDD2に示すように、複数ライン分の画像データが蓄積された後(期間ΔT3の後)に第一表示領域R1や第二表示領域R2の表示が行われる。
【0055】
3.他の実施形態 尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば上記実施形態では表示条件の判定に関して、表示制御部32はリサイズ処理部20eから画像データの生成処理が終了しラインバッファー52dに出力が完了したライン番号Ldを取得し、次の表示対象ラインLnとの関係が(Ln≦Ld)である場合に表示条件を満たすと判断する構成を採用したが、他にも様々な実施態様が考えられる。例えば、画像データ生成部は1ライン分の画像データの生成が完了し所定のバッファーに出力が完了したタイミングで表示制御部にパルス信号を出力し、表示制御部は1フレーム内においてパルス信号が出力された個数をカウントしておき、当該個数が示すライン番号が、次の表示対象ラインの番号以上であれば表示条件を満たすと判断してもよい。
【0056】
また例えば、画像データ生成部はリサイズ処理部の処理が終了しNライン目の画像データが生成されたタイミングでカウンターをカウントアップしてカウンターの値をNにする。画像データ生成部はカウンターをカウントアップしたタイミングでパルス信号を表示制御部に出力しカウンターがカウントアップされたことを通知する。表示制御部は、パルス信号を取得したタイミングで、画像データの生成が完了したラインを示す(何ライン目まで生成が完了したかを示す)カウンターの値を取得する。表示制御部は、次の表示対象ラインの番号がカウンターの値以下であれば表示条件を満たすと判断してもよい。
【0057】
なお、表示部40の画面構成については第一実施形態で採用された構成に限定されるものではない。例えば図6Aに示すように第一表示領域R1と第二表示領域R2とが第一実施形態と逆であってもよい。すなわち、表示画面の1ライン目からnライン分の領域がOSDデータを表示する第二表示領域R2であり、第二表示領域R2に続くmライン分の領域が撮影センサー15の出力データに基づいて生成された画像データを表示する第一表示領域R1であってもよい。この場合、第二表示領域R2を上記実施形態と同様に長さaのライン表示周期で表示させる。第二表示領域R2を表示している期間にラインバッファー52dに第一表示領域R1に表示させる数ライン分の画像データが蓄積されるため、第一表示領域R1はラインバッファー52dに蓄積済みのラインの画像データを長さaのライン表示周期で表示させることができ上記実施形態と同様に第一表示領域R1の表示期間を短縮することができる。その結果、撮影センサー15の垂直同期期間と同じ長さの期間に、撮影センサー15の出力データに基づく画像データ以外にOSD等の表示データを表示させることができ、撮影センサー15と表示部40とを同期させて動作させることができる。上記実施形態では、第一表示領域は複数ラインで構成される領域であり幅(水平方向の長さ)は表示画面の幅(水平方向の長さ)と等しかったが、表示画面の幅より短くても良い。
【0058】
また、第一実施形態や図6Aの例では、撮影センサー15の出力データに基づいて生成された画像データは表示画面の水平方向の幅全域にわたって表示されるが、図6Bのライブビュー画像表示領域101に示すように、撮影センサー15の出力データに基づいて生成された画像データが表示される領域の幅は、表示画面の幅より狭くてもよい。図6Bの例の場合、ライブビュー画像表示領域101を含むラインで構成される領域(幅は表示画面の幅と同じ)が第一表示領域R1(撮影センサー15の出力データに基づいて生成された画像データを含む表示データを表示する領域)であり、その他の領域(幅は表示画面の幅と同じ)が第二表示領域R2(撮影センサー15の出力データに基づいて生成された画像データを含まない表示データを表示する領域)である。ライブビュー画像表示領域101以外の領域(ヒストグラム1,2,3の表示領域や撮影情報等の表示領域やそれら以外の背景部)の表示データはVRAM51に作成され保存されている。画像データ出力部21は、ライブビュー画像表示領域101を表示する際はラインバッファー52dから画像データを取得し、それ以外の領域を表示する際はVRAM51からデータを取得して表示部40に出力する。第一表示領域R1はライブビュー画像表示領域101を含むため、ラインバッファー52dに複数ライン分画像データが蓄積されていれば最短の長さaで表示できるが、表示条件を満たさない場合は満たすまで表示を待機する必要がある。そのため第一表示領域R1は、a以上b以下の長さのライン表示周期で表示される。一方、第二表示領域R2はaの長さのライン表示周期で表示することができる。
【0059】
なお、ライブビューモード中に、画面構成(レイアウト)が変更される場合(第一表示領域R1と第二表示領域R2の配置や比率が切り換えられる場合)であっても、上記実施形態で示したような構成(第一表示領域の画像データを複数ライン分蓄積するバッファーを備え、bより短いaの長さで蓄積済みの画像データや第二表示領域R2の表示データを表示する構成)を備えることにより、最短で1フレーム経過後には、撮影センサー15と表示部40とを同期させることができる。すなわち、ライブビューモード中に画面構成が切り換えられても、切り換えられてから最短で2フレーム以降は安定的に撮影センサー15と表示部40との同期化を実現することができる。
【0060】
なお、第一実
施形態において、Fdmax>Fsでありa<bである場合に、撮影センサー15と表示部40とを同期させて動作させる実施例ついて説明したが、Fdmax=Fsの場合に撮影センサー15と表示部40とを同期させて動作させることはもちろん可能である。例えばラインバッファー52dに第一表示領域R1に表示させるmライン分の画像データの蓄積が完了した後に、第一表示領域R1の1ライン目から表示を開始すれば、第一表示領域R1に関して長さaのライン表示周期でmライン分の表示を行うことができる(どのラインについても表示条件を満たすまで待機する必要がないため)。なおこの場合、長さaは長さbより必ずしも短くなくてもよく例えばa=bであってもよい。また、第二表示領域R2に関しては第一実施形態と同様にVRAM51に記録されているOSDデータを用いて長さaのライン表示周期でnライン分の表示を行うことができる。このように長さaのライン表示周期で水平同期信号DHsyncを出力する場合の表示部40のフレームレートFdmaxが撮影センサー15の実フレームレートFsと同じであれば、垂直同期期間の長さが等しくなるため、撮影センサー15と表示部40との同期が可能であることはもちろんである。ただしこの例の場合、第一表示領域R1のmライン分の画像データがラインバッファー52dに蓄積された後に第一表示領域R1の1ライン目からの表示が開始されるため、撮影センサー15が1ライン目の出力データを出力してから第一表示領域R1の表示が開始されるまでの表示遅延時間は、第一実施形態よりも長くなる。したがって、表示遅延時間をなるべく短くしなおかつ撮影センサー15と表示部40とを同期させるためには、Fdmax>Fsでありa<bである第一実施形態が望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1…撮影装置、10…光学系、11…レンズ、13…シャッター、14…ローパスフィルター、15…撮影センサー、20…画像データ生成部、20…画像データ生成部、20a…画素補間部、20b…色再現処理部、20c…フィルター処理部、20d…ガンマ補正部、20e…リサイズ処理部、21…画像データ出力部、30…タイミング制御部、31…センサー制御部、32…表示制御部、40…表示部、41…液晶パネルドライバー、42…液晶パネル、50…CPU、51…VRAM、52…SD−RAM、52a〜52d…ラインバッファー、53…ROM、54…RAM、55…操作部、101…ライブビュー画像表示領域、R1…第一表示領域、R2…第二表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6