(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1露光量のビームと前記第2露光量のビームを1ラインずつ交互に使用して前記一定濃度の画像部分に対応する印刷画像の静電潜像を前記露光装置に形成させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記露光装置に、前記第2露光量のビームで、前記画像部分のエッジから外側に所定長の追加露光を行わせることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記露光装置に、前記第2露光量のビームとして、前記第1露光量のビームの光パワーより低い光パワーのビームを連続出力させることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。この画像処理装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式の印刷機能を有する画像形成装置である。
【0013】
この実施の形態の画像処理装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2a〜2dおよび現像装置3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2a〜2dは、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2a〜2dは、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、およびそのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有するレーザースキャニングユニットである。
【0014】
露光装置2a〜2dは、それぞれ、マルチビーム方式の露光装置である。露光装置2a〜2dは、複数(例えば2本または4本)のビームを、副走査方向における異なる位置で同時に主走査方向に沿って走査する。なお、各ビームは、他のビームが走査されるラインにおいて走査されない。つまり、多重露光は行わない。
【0015】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0016】
現像装置3a〜3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されているトナーカートリッジがそれぞれ装着され、トナーカートリッジからトナーが供給され、キャリアとともに現像剤を構成する。現像装置3a〜3dは、そのトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。
【0017】
感光体ドラム1a、露光装置2a、および現像装置3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2b、および現像装置3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2c、および現像装置3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2d、および現像装置3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0018】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0019】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0020】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0021】
センサー8は、各種調整用のパッチ画像などのトナー画像の濃度測定に使用されるセンサーであって、中間転写ベルト4にビームを照射し、その反射光を検出する。トナー濃度調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の箇所にビームを照射しビームの反射光(測定光)を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0022】
図2は、
図1における露光装置2aおよび周辺回路の構成例を示す図である。
図3は、
図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。なお、
図2に示す露光装置2aは、感光体ドラム1aに光を入射して静電潜像を形成する。感光体ドラム1b〜1d用の露光装置2b〜2dも、露光装置2aと同様の構成を有する。
【0023】
図2において、露光装置2aは、レーザーダイオード11と、光学系12と、ポリゴンミラー13と、光センサー14と、ドライバー回路15と、制御部16と、画像処理部17とを有する。
【0024】
レーザーダイオード11は、レーザービームを出射する光源である。光学系12は、レーザーダイオード11からポリゴンミラー13までの間、および/またはポリゴンミラー13から感光体ドラム1aおよび光センサー14までの間に配置された各種レンズ群である。光学系12には、fθレンズなどが使用される。ここでは、ビーム数と同数の光源が使用される。
【0025】
また、ポリゴンミラー13は、感光体ドラム1aの軸に対して垂直な軸を有し、その軸に垂直な断面が多角形であり、その側面がミラーとなっている素子である。ポリゴンミラー13は、その軸を中心に回転し、レーザーダイオード11から出射したビームを感光体ドラム1aの軸方向(主走査方向)に沿って走査する。
【0026】
また、光センサー14は、主走査同期信号を生成するためにポリゴンミラー13により走査された光を受光するセンサーである。光センサー14は、光が入射すると、光量に応じた出力電圧を誘起する。光センサー14は、光が走査される線上の所定の位置に配置され、光のスポットがその位置を通過するタイミングを検出するために使用される。
【0027】
また、ドライバー回路15は、光センサー14の主走査同期信号に基づいて主走査方向の同期を取りつつ、駆動信号に従ってレーザーダイオード11を発光させる。
【0028】
また、制御部16は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、1次転写バイアスを印加するバイアス回路、現像装置3a〜3d、露光装置2a〜2dなどを制御して、トナー画像の現像、転写および定着、並びに給紙、印刷および排紙を実行させる。さらに、制御部16は、画像処理部17からの画像データの各画素の値に対応する駆動信号を出力して露光装置2aから出射されるビームを制御する。つまり、制御部16は、感光体ドラム1aに入射する光の光量(各画素の光量)を制御する。
【0029】
画像処理部17は、色変換、スクリーン処理などの画像処理を実行し、画像処理後の画像データを制御部16に供給する。
【0030】
さらに、制御部16は、画像データに基づく一定濃度(例えば最高濃度)の画像部分(例えば、文字や線画)に対応する印刷画像の静電潜像を露光装置2a〜2dに形成させる際に、複数のビームのうちの1つのビームを、その一定濃度に対応する第1露光量(例えば最高露光量)で感光体ドラム1a〜1dに照射させ、第1露光量のビームに隣接するビームを、第1露光量より低い第2露光量で感光体ドラム1a〜1dに照射させる。
【0031】
なお、一定濃度の画像部分は、幅広領域の他、縦細線および斜め細線の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0032】
また、制御部16は、第1露光量のビームと第2露光量のビームを1ラインずつ交互に使用して上述の一定濃度の画像部分に対応する印刷画像の静電潜像を露光装置2a〜2dに形成させる。
【0033】
例えば、2本のビームが使用され、第1ビームが第1露光量のビームとされ、第2ビームが第2露光量のビームとされる場合、主走査方向における1回の走査で、第1ビームによって第iラインにおける静電潜像が形成され、第2ビームによって第(i+1)ラインにおける静電潜像が形成され、主走査方向における次回の走査で、第1ビームによって第(i+2)ラインにおける静電潜像が形成され、第2ビームによって第(i+3)ラインにおける静電潜像が形成される。
【0034】
例えば、4本のビームが使用され、第1ビームおよび第3ビームが第1露光量のビームとされ、第2ビームおよび第4ビームが第2露光量のビームとされる場合、主走査方向における1回の走査で、第1ビームによって第iラインにおける静電潜像が形成され、第2ビームによって第(i+1)ラインにおける静電潜像が形成され、第3ビームによって第(i+2)ラインにおける静電潜像が形成され、第4ビームによって第(i+3)ラインにおける静電潜像が形成される。
【0035】
また、制御部16は、露光装置2a〜2dに、第2露光量のビームとして、第1露光量のビームの光パワーより低い光パワー(例えば第1露光量のビームの光パワーの60%)のビームで連続出力させる。
【0036】
この実施の形態では、この第2露光量は、第2露光量のビーム単独で連続露光してもその潜像電位によってトナーが感光体1a〜1dに付着しない露光量とされている。そのような露光量(つまり、ビームの光パワー)は、実験などで特定可能である。
【0037】
この実施の形態では、制御部16は、露光装置2a〜2dに、第2露光量のビームで、画像部分のエッジから外側に所定長(例えば1画素以下)の追加露光を行わせる。画像部分のエッジにおける第2露光量のビームによる露光不足が軽減される。
【0038】
つまり、第1露光量のビームは、一定濃度の画像部分の主走査方向における範囲に対して出力され、第2露光量のビームは、一定濃度の画像部分の主走査方向における範囲およびその外側の微小区間に対して出力される。
【0039】
なお、この実施の形態では、一定濃度の画像部分が1ドット横細線である場合、制御部16は、露光装置2a〜2dに、第1露光量のビームとして、所定パルス幅のビームを間欠的に出力させ、第2露光量のビームとして、第1露光量のビームの光パワーより低い光パワーのビームを連続出力させる。上述の所定パルス幅は、第1露光量のビーム単独での潜像電位によってトナーが感光体ドラム1a〜1dに付着しない長さとされる。そのようなパルス幅は、実験などで特定可能である。
【0040】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。なお、ここでは、露光装置2a〜2dは、2ビームの露光装置とする。
【0041】
図4は、
図2および
図3における制御部16が露光装置2a〜2dを制御することで形成される、一定濃度の画像部分の潜像について説明する図である。
【0042】
まず、主走査方向における1回の走査で、制御部16は、
図4に示すように、第1ビーム用の駆動信号と第2ビーム用の駆動信号を供給し、露光装置2a〜2dは、第1ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間、所定光パワー(100%光パワー)の第1ビームを連続出力し、第2ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間、低光パワー(例えば60%光パワー)の第2ビームを連続出力する。そして、露光装置2a〜2dは、第1ビームによって第iラインにおける静電潜像を形成し、第2ビームによって第(i+1)ラインにおける静電潜像を形成する。
【0043】
第2ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間は、第1ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間より長く設定されており、第(i+1)ラインについては、第2露光量のビームで、画像部分のエッジから外側に所定長Lの追加露光が行われる。
【0044】
そして、主走査方向における次の走査で、制御部16は、同様に、第1ビーム用の駆動信号と第2ビーム用の駆動信号を供給し、露光装置2a〜2dは、第1ビームによって第(i+2)ラインにおける静電潜像を形成し、第2ビームによって第(i+3)ラインにおける静電潜像を形成する。第2ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間は、第1ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間より長く設定されており、第(i+3)ラインについては、第2露光量のビームで、画像部分のエッジから外側に所定長Lの追加露光が行われる。
【0045】
主走査方向におけるさらに次の走査で、制御部16は、同様に、第1ビーム用の駆動信号と第2ビーム用の駆動信号を供給し、露光装置2a〜2dは、第1ビームによって第(i+4)ラインにおける静電潜像を形成し、第2ビームによって第(i+5)ラインにおける静電潜像を形成する。第2ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間は、第1ビーム用の駆動信号がハイレベルである期間より長く設定されており、第(i+5)ラインについては、第2露光量のビームで、画像部分のエッジから外側に所定長Lの追加露光が行われる。
【0046】
このようにすることで、一定濃度の画像部分の内部の露光量が減るため、全ビームの露光量を第1ビームと同一の露光量として露光する場合に比べトナー消費量が少なくて済む。
【0047】
ここで、一定濃度の縦細線および一定濃度の斜め細線の場合について説明する。
【0048】
図5は、
図2および
図3における制御部16が露光装置2a〜2dを制御することで形成される、一定濃度の縦細線の潜像について説明する図である。
図5は、1ドット幅の縦細線を示しているが2ドット幅以上の縦細線の場合も同様である。この場合も、上述の場合(
図4)と同様にして潜像が形成される。
【0049】
図6は、
図2および
図3における制御部16が露光装置2a〜2dを制御することで形成される、一定濃度の斜め細線の潜像について説明する図である。
図6は、1ドット幅の斜め細線を示しているが2ドット幅以上の斜め細線の場合も同様である。この場合も、上述の場合(
図4)と同様にして潜像が形成される。斜め細線の場合、第2露光量のビームで、画像部分のエッジから外側に所定長Lの追加露光が行われることで、ジャギーが軽減される。
【0050】
ここで、一定濃度の1ドット幅の横細線の場合について説明する。
図7は、
図2および
図3における制御部16が露光装置2a〜2dを制御することで形成される、一定濃度の1ドット横細線の潜像について説明する図である。なお、2ドット幅以上の横細線については、例えば、
図4に示す画像部分と同様に処理すればよい。
【0051】
この場合、制御部16は、主走査方向における1回の走査で、露光装置2a〜2dに、1ドット幅の横細線を描画すべき主走査方向の範囲内で、第1露光量のビームを、1ドット幅の横細線を描画すべき第iラインの1つ前の第(i−1)ラインにおいて1画素おきに所定パルス幅で間欠的に出力させ、第2露光量のビームを、1ドット幅の横細線を描画すべき第iラインにおいて第1露光量のビームの光パワーより低い光パワーで連続出力させる。
【0052】
そして、制御部16は、主走査方向における次の走査で、露光装置2a〜2dに、1ドット幅の横細線を描画すべき主走査方向の範囲内で、第1露光量のビームを、1ドット幅の横細線を描画すべき第iラインの次の第(i+1)ラインにおいて1画素おきに所定パルス幅で間欠的に出力させる。このとき、第(i+1)ラインでは、第(i−1)ラインにおいて第1露光量のビームが出力された画素とは異なる画素において、第1露光量のビームが出力される。
【0053】
上述の所定パルス幅は、第1露光量のビーム単独での潜像電位によってトナーが感光体ドラム1a〜1dに付着しない長さとされるため、第(i−1)ラインおよび第(i+1)ラインの潜像にはトナーは付着しない。一方、第iラインの潜像は、第(i−1)ラインおよび第(i+1)ラインに対する第1露光量のビームによって強化されるため、第iラインの潜像には、トナーが付着する。このようにして、1ドットの横細線が形成される。
【0054】
以上のように、上記実施の形態によれば、露光装置2a〜2dは、複数のビームを感光体ドラム1a〜1dに照射して印刷画像の静電潜像を形成するマルチビーム方式の露光装置であり、制御部16は、画像データに基づく一定濃度の画像部分に対応する印刷画像の静電潜像を露光装置2a〜2dに形成させる際に、複数のビームのうちの1つのビームを、一定濃度に対応する第1露光量で感光体ドラム1a〜1dに照射させ、第1露光量のビームに隣接するビームを、第1露光量より低い第2露光量で感光体ドラム1a〜1dに照射させる。
【0055】
これにより、プロセス線速を低くせずに、画質低下を抑えつつトナー消費量を少なくすることができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態において、第1露光量と同一の光パワーとしつつ1画素あたりのパルス幅を少なくして第2露光量を実現するようにしてもよい。