特許第6210324号(P6210324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210324
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】省エネ電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   H02M3/00 B
   H02M3/00 W
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-132382(P2014-132382)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-12955(P2016-12955A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】入谷 一暢
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−114973(JP,A)
【文献】 特開2001−265449(JP,A)
【文献】 米国特許第06333862(US,B1)
【文献】 特開2008−079376(JP,A)
【文献】 特開2012−10434(JP,A)
【文献】 特開2014−90551(JP,A)
【文献】 特開2008−42969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00,
G05F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネ電源回路において、
通常モードおよび省電力モードの両方で動作する第1電源回路と、
前記通常モードで動作し前記省電力モードでは停止する第2電源回路と、
前記通常モードで動作し前記省電力モードでは停止し、前記第2電源回路とは異なる出力電圧の第3電源回路と、
前記第1電源回路の出力ラインおよび前記第2電源回路の出力ラインを接続され、負荷に電力供給する単一の電源ラインと、
前記第1電源回路の出力ライン上に設けられた第1整流素子と、
前記第2電源回路の出力ライン上に設けられた第2整流素子と、
前記通常モードから前記省電力モードへの動作モード変更時に前記第2電源回路の動作を停止させ、前記省電力モードから前記通常モードへの動作モード変更時に前記第2電源回路の動作を再開させる制御回路と、
前記第2電源回路および前記第3電源回路と商用電源との間のリレーと、
を備え
前記第1電源回路の出力電圧および前記第2電源回路の出力電圧は、前記負荷が動作可能な許容電圧範囲内の電圧であり、
前記第1電源回路の出力電圧は、前記第2電源回路の出力電圧より低く、
前記制御回路は、
(a)前記第1整流素子と前記第1電源回路との間の、前記第1電源回路の出力ラインから給電され、
(b)前記通常モードから前記省電力モードへの動作モード変更時には、前記第2電源回路の動作を停止させるとともに、前記リレーで前記第2電源回路および前記第3電源回路と商用電源との間を遮断し、前記省電力モードから前記通常モードへの動作モード変更時には、前記リレーによる回路遮断を解除し、
(c)当該省エネ電源回路の起動時には、前記第1電源回路の出力ラインからの給電の開始後に、前記リレーによる回路遮断を解除すること、
を特徴とする省エネ電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネ電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器では、消費電力を低減するために、省電力モードが設けられている。そのような電子機器の電源回路は、通常モード時に電力供給を行うメイン電源回路、および省電力モード時に電力供給を行うサブ電源回路を有し、制御回路が、通常モードと省電力モードとの間の動作モード変更時に、電力供給に使用する電源回路を切り替えている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
その他、ある電源装置では、省電力モードから通常モードへ復帰する際に、1つの負荷に対して2つのコンバーターを使用して電力供給を短時間で再開できるようにしている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−177676号公報
【特許文献2】特開2008−079376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにして電力供給に使用する電源回路を切り替える場合、電源回路の切り替えに起因して負荷側で誤動作が発生しないようにする必要があり、そのために回路規模が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、負荷側での回路規模を大きくすることなく、省電力モードと通常モードとの間での動作モード変更時に、電力供給する電源回路(コンバーターなど)を切り替えることができる省エネ電源回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る省エネ電源回路は、通常モードおよび省電力モードの両方で動作する第1電源回路と、前記通常モードで動作し前記省電力モードでは停止する第2電源回路と、前記通常モードで動作し前記省電力モードでは停止し、前記第2電源回路とは異なる出力電圧の第3電源回路と、前記第1電源回路の出力ラインおよび前記第2電源回路の出力ラインを接続され、負荷に電力供給する単一の電源ラインと、前記第1電源回路の出力ライン上に設けられた第1整流素子と、前記第2電源回路の出力ライン上に設けられた第2整流素子と、前記通常モードから前記省電力モードへの動作モード変更時に前記第2電源回路の動作を停止させ、前記省電力モードから前記通常モードへの動作モード変更時に前記第2電源回路の動作を再開させる制御回路と、前記第2電源回路および前記第3電源回路と商用電源との間のリレーとを備える。前記第1電源回路の出力電圧および前記第2電源回路の出力電圧は、前記負荷が動作可能な許容電圧範囲内の電圧であり、前記第1電源回路の出力電圧は、前記第2電源回路の出力電圧より低い。そして、前記制御回路は、(a)前記第1整流素子と前記第1電源回路との間の、前記第1電源回路の出力ラインから給電され、(b)前記通常モードから前記省電力モードへの動作モード変更時には、前記第2電源回路の動作を停止させるとともに、前記リレーで前記第2電源回路および前記第3電源回路と商用電源との間を遮断し、前記省電力モードから前記通常モードへの動作モード変更時には、前記リレーによる回路遮断を解除し、(c)当該省エネ電源回路の起動時には、前記第1電源回路の出力ラインからの給電の開始後に、前記リレーによる回路遮断を解除する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、負荷側での回路規模を大きくすることなく、省電力モードと通常モードとの間での動作モード変更時に、電力供給する電源回路(コンバーターなど)を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る省エネ電源回路を示す回路図である。
図2図2は、図1に示す省エネ電源回路の起動時の動作について説明するタイミングチャートである。
図3図3は、図1に示す省エネ電源回路の動作モード変更時の動作について説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る省エネ電源回路を示す回路図である。図1に示す省エネ電源回路1は、画像形成装置に内蔵されている。
【0012】
図1において、省エネ電源回路1は、商用電源に接続され、また、画像形成装置内部の印刷装置2、画像読取装置3、コントローラー4などに電力供給を行う。
【0013】
省エネ電源回路1は、画像形成装置内の24V系の負荷および5V系の負荷に電力供給を行う。24V系の負荷としては、印刷装置2内の現像装置、定着器など、画像読取装置3内の撮像素子、その制御回路など、その他、各種モーターなどがある。また、5V系の負荷としては、画像形成装置内の内部デバイス(印刷装置2、画像読取装置3など)を制御したり各種画像処理を行うコントローラー4、各種センサーなどがある。
【0014】
なお、コントローラー4は、CPU(Central Processing Unit)を含むコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成されている。
【0015】
また、省エネ電源回路1は、動作モードを通常モードと省電力モードとの間で変更することができる。省電力モードでは、24V系の負荷はすべて動作を停止し、5V系のうち、コントローラー4を含む所定のデバイス(通信デバイス、操作パネルなど)以外は、動作を停止する。
【0016】
なお、省電力モードでは、ネットワークからのデータ待ち受け、操作パネルからの操作待ち受けなどの動作のみが実行されるため、消費電力は比較的低い。
【0017】
省エネ電源回路1では、ダイオードブリッジなどの整流回路11が、リレー12を介して商用電源に接続され、整流回路11の出力側がコンバーター13,14に接続されている。コンバーター13は、直流出力電圧24Vで、24V系の負荷に対して電力供給を行う電源回路であり、コンバーター14は、所定の直流出力電圧V2で、5V系の負荷に対して電力供給を行う電源回路である。コンバーター13,14は、通常モードで動作し省電力モードでは停止する。
【0018】
また、ダイオードブリッジなどの整流回路15が、商用電源に接続され、整流回路15の出力側がコンバーター16に接続されている。コンバーター16は、所定の直流出力電圧V1で、5V系の負荷に対して電力供給を行う電源回路である。コンバーター16は、通常モードおよび省電力モードの両方で動作する。
【0019】
コンバーター13,14,16は、例えばスイッチングレギュレーターである。
【0020】
そして、コンバーター14の出力ライン17には、ダイオード18が設けられており、コンバーター16の出力ライン19には、ダイオード20が設けられており、ダイオード18,20のカソード側において、出力ライン17,19が5V系の負荷へ電力供給するための単一の電源ライン21に接続されている。
【0021】
コンバーター14の出力電圧およびコンバーター16の出力電圧は、5V系の負荷が動作可能な許容電圧範囲内の電圧となっており、さらに、コンバーター16の出力電圧V1は、コンバーター14の出力電圧V2より低く設定されている。例えば、コンバーター16の出力電圧V1は、負荷への印加電圧が5.0Vとなるように設定され、コンバーター14の出力電圧V2は、負荷への印加電圧が5.1Vとなるように設定される。
【0022】
コンバーター16は、コンバーター14に比べ、出力定格電力が低く設計されており、内部の半導体、トランス、コンデンサ容量などが小さくて済むため、省電力モード時のように消費電力が少ない場合には、内部での損失が少なくなり効率が高くなる。
【0023】
例えば、画像形成装置では、コンバーター14の定格出力が60W程度に、コンバーター16の定格出力が10W程度に設計される。
【0024】
制御回路22は、例えばDSP(Digital Signal Processor)で構成され、コンバーター13,14,16の出力電圧を所定の電圧に制御する。さらに、制御回路22は、通常モードから省電力モードへの動作モード変更時にコンバーター13,14の動作を停止させ、省電力モードから通常モードへの動作モード変更時にコンバーター13,14の動作を再開させる。
【0025】
また、制御回路22は、通常モードから省電力モードへの動作モード変更時には、コンバーター13,14の動作を停止させた後に、リレー12でコンバーター13,14と商用電源との間を遮断する。
【0026】
なお、制御回路22には、コンバーター16の出力ライン19から電力が供給される。
【0027】
次に、上記省エネ電源回路1の動作について説明する。
【0028】
(1)起動時の動作
【0029】
図2は、図1に示す省エネ電源回路の起動時の動作について説明するタイミングチャートである。
【0030】
図示せぬメインパワースイッチがオンされると、AC商用電源に、リレー12および整流回路15が接続される。
【0031】
これにより、コンバーター16が動作を開始し、5V系の負荷へ電力を供給する(タイミングT1)。この時点では、リレー12によって、整流回路11がAC商用電源に接続されておらず、コンバーター13,14は動作していない。
【0032】
そして、コンバーター16による5V系の負荷への電力供給が開始されると、制御回路22が動作を開始し、リレー12による回路遮断を解除する。
【0033】
これにより、コンバーター13,14が動作を開始し、24V系の負荷へ電力供給が開始されるとともに、コンバーター14による5V系の負荷への電力供給が開始される(タイミングT2)。
【0034】
具体的には、コンバーター14の出力電圧V2は、コンバーター16の出力電圧V1より高いため、ダイオード20の順方向電圧がターンオン電圧より低くなり、コンバーター16から5V系の負荷への電流は流れなくなる。
【0035】
このため、コンバーター14が動作を開始すると、5V系の負荷への電力供給は、特別な制御を行うことなく、コンバーター16からコンバーター14へと自動的に切り替わる。
【0036】
このとき、ダイオード20によって、コンバーター14の出力電流がコンバーター16へ流れ込むことが防止されている。また、ダイオード18によって、メインパワーオフ時に、コンバーター16の出力電流がコンバーター14へ流れ込むことで、コンバーター16の出力電圧V1が急峻に低下し、5V系の負荷に対する出力電圧が急峻に低下することが防止されている。
【0037】
(2)動作モード変更時の動作
【0038】
図3は、図1に示す省エネ電源回路の動作モード変更時の動作について説明するタイミングチャートである。
【0039】
まず、動作モードが通常モードから省電力モードへ変更される場合、制御回路22は、リレー12で商用電源への接続を遮断し(タイミングT11)、コンバーター13,14の動作を停止させる。
【0040】
これにより、5V系の負荷への電力供給は、コンバーター14からコンバーター16へ自動的に切り替わり、省電力モードでは、コンバーター16によって電力供給が行われる。
【0041】
このとき、ダイオード18によって、コンバーター16の出力電流がコンバーター14へ流れ込むことが防止されている。
【0042】
その後、通信デバイスでのデータ受信、操作パネルでのユーザー操作の検出などの所定のイベントが検出され、動作モードが省電力モードから通常モードへ変更される場合、制御回路22は、リレー12による回路遮断を解除する(タイミングT12)。
【0043】
これにより、コンバーター13,14が動作を開始し、24V系の負荷へ電力供給が開始されるとともに、5V系の負荷への電力供給は、コンバーター16からコンバーター14へ自動的に切り替わる。
【0044】
このとき、ダイオード20によって、コンバーター14の出力電流がコンバーター16へ流れ込むことが防止されている。
【0045】
以上のように、上記実施の形態によれば、コンバーター16は、通常モードおよび省電力モードの両方で動作し、コンバーター14は、通常モードで動作し省電力モードでは停止する。そして、コンバーター14,16の出力ライン17,19上にはダイオード18,20が設けられており、コンバーター14の出力ライン17およびコンバーター16の出力ライン19が、単一の電源ライン21に接続され、単一の電源ライン21によって、負荷に電力が供給される。
【0046】
これにより、負荷側での回路規模を大きくすることなく、省電力モードと通常モードとの間での動作モード変更時に、電力供給する電源回路(コンバーターなど)を自動的に切り替えることができる。
【0047】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施の形態では、動作モードが通常モードから省電力モードへ変更される場合、制御回路22は、リレー12で商用電源への接続を遮断してから、コンバーター13,14の動作を停止させているが、コンバーター13,14の動作を停止させた後に、リレー12で商用電源への接続を遮断させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、画像形成装置の電源回路に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 省エネ電源回路
12 リレー
13 コンバーター(第3電源回路の一例)
14 コンバーター(第2電源回路の一例)
16 コンバーター(第1電源回路の一例)
17,19 出力ライン
18 ダイオード(第2整流素子の一例)
20 ダイオード(第1整流素子の一例)
21 電源ライン
22 制御回路
図1
図2
図3