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特許6210386画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210386
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20171002BHJP
   G06F 1/32 20060101ALI20171002BHJP
   G06F 1/04 20060101ALI20171002BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G06F1/32 B
   G06F1/32 Z
   G06F1/04 575
   B41J29/38 D
   H04N1/00 C
   H04N1/00 107Z
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-132567(P2015-132567)
(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公開番号】特開2017-13367(P2017-13367A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114672
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】中山 佳実
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−118599(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0145183(US,A1)
【文献】 特開2009−199189(JP,A)
【文献】 特開2012−029277(JP,A)
【文献】 特開2012−109764(JP,A)
【文献】 特開2013−126215(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0159536(US,A1)
【文献】 特開2013−178628(JP,A)
【文献】 米国特許第9182808(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 1/04
G06F 1/32
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有し、ネットワークを介して、少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置に接続される画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、
前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、
前記電源制御部は、
電力供給状態が前記第1の省電力モードの時に、前記ネットワークから受信したパケットを解析するパケット解析部と、
前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定する判定部と、
前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行するモード制御部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記パケットの命令内容が前記サーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、
前記モード制御部は、前記自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第3の省電力モードに移行し、前記外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記モード制御部は、電力供給状態を前記通常モードから前記第1の省電力モードに移行する際に、前記サーバ機能を有する装置のリストを作成して記憶し、
前記判定部は、前記パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、前記パケットの送信元に前記リストを提供してサーバ機能を使用する装置を選択させ、選択結果に基づいて、前記自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モード制御部は、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求、前記サーバ機能の使用要求、及び、前記外部装置が提供するサービスの使用要求のいずれでもない場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードのまま維持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、マルチコアCPUを備え、
前記マルチコアCPUの一部のコアを使用して、若しくは、前記マルチコアCPUのクロック周波数を落として、前記電源制御部が実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記外部装置は、クラウドサーバ、又は、サーバ機能を有する他の画像形成装置である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有する画像形成装置と、少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置と、ホスト装置と、がネットワークを介して接続されるネットワークシステムであって、
前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、
前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、
前記画像形成装置の前記電源制御部は、
電力供給状態が前記第1の省電力モードの時に、前記ホスト装置から受信したパケットを解析し、
前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定し、
前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する電源制御を実行する、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
前記画像形成装置の前記電源制御部は、
前記パケットの命令内容が前記サーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、
前記自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第3の省電力モードに移行し、前記外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する、
ことを特徴とする請求項7に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記画像形成装置の前記電源制御部は、電力供給状態を前記通常モードから前記第1の省電力モードに移行する際に、前記サーバ機能を有する装置のリストを作成して記憶し、前記パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、前記ホスト装置に前記リストを提供し、
前記ホスト装置は、前記リストを使用して、前記サーバ機能を使用する装置をユーザに選択させ、選択結果を前記画像形成装置に通知し、
前記画像形成装置の前記電源制御部は、前記選択結果に基づいて、前記自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定する、
ことを特徴とする請求項8に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
前記画像形成装置の前記電源制御部は、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求、前記サーバ機能の使用要求、及び、前記外部装置が提供するサービスの使用要求のいずれでもない場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードのまま維持する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載のネットワークシステム。
【請求項11】
前記画像形成装置は、マルチコアCPUを備え、前記マルチコアCPUの一部のコアを使用して、若しくは、前記マルチコアCPUのクロック周波数を落として、前記電源制御を実行する、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一に記載のネットワークシステム。
【請求項12】
前記外部装置は、クラウドサーバ、又は、サーバ機能を有する他の画像形成装置である、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一に記載のネットワークシステム。
【請求項13】
コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有し、ネットワークを介して少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置に接続される画像形成装置で動作する電源制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、
前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、
前記電源制御部に、
電力供給状態を前記通常モードから前記第1の省電力モードに移行する第1処理、
前記ネットワークから受信したパケットを解析する第2処理、
前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定する第3処理、
前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する第4処理、を実行させる、
ことを特徴とする電源制御プログラム。
【請求項14】
前記第3処理では、前記パケットの命令内容が前記サーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、
前記第4処理では、前記自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第3の省電力モードに移行し、前記外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する、
ことを特徴とする請求項13に記載の電源制御プログラム。
【請求項15】
前記第1処理では、電力供給状態を前記通常モードから前記第1の省電力モードに移行する際に、前記サーバ機能を有する装置のリストを作成して記憶し、
前記第3処理では、前記パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、前記パケットの送信元に前記リストを提供してサーバ機能を使用する装置を選択させ、選択結果に基づいて、前記自装置のサーバ機能の使用要求か前記外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定する、
ことを特徴とする請求項14に記載の電源制御プログラム。
【請求項16】
前記第4処理では、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求、前記サーバ機能の使用要求、及び、前記外部装置が提供するサービスの使用要求のいずれでもない場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードのまま維持する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一に記載の電源制御プログラム。
【請求項17】
前記画像形成装置は、マルチコアCPUを備え、
前記電源制御部に、前記マルチコアCPUの一部のコアを使用して、若しくは、前記マルチコアCPUのクロック周波数を落として、前記第2乃至第4処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一に記載の電源制御プログラム。
【請求項18】
前記外部装置は、クラウドサーバ、又は、サーバ機能を有する他の画像形成装置である、
ことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一に記載の電源制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラムに関し、特に、サーバ機能を有する画像形成装置及び当該画像形成装置を含むネットワークシステム並びに当該画像形成装置のハードウェアへの電源供給状態を制御する電源制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ機能やコピー機能、スキャナ機能などを備えたMFP(Multi-Functional Peripherals)が普及している。このMFPは、サーバとして必要な記憶装置を備え、また、ネットワーク接続機能やユーザ認証機能などを有していることから、MFPをサーバとしても機能させることができ、このようなMFPを利用することにより、小規模オフィスや支店におけるネットワークシステムの初期導入費を抑制することができる。
【0003】
また、オフィス(部署、支店)ごとに設置したサーバ機能を持つMFPと全体を統括するクラウドサーバなどとをネットワークで接続してシステムを構築することにより、自分のオフィスのMFPにアクセスするだけで、そのMFPのデータとクラウドサーバのデータとを一度に確認することができたり、クラウドのサービスを利用することができたりする。また、システムにアクセスできるユーザ全員が共有するデータと特定のMFPにアクセスできるユーザのみが使用するデータとを容易に分離することができ、データ管理も容易に行うことができる。
【0004】
ここで、MFPは、印刷物が出力されるまでの待ち時間を短くするために、用紙に形成したトナー画像を定着させる定着器を一定温度に保持するなどの制御を行っており、レディ状態での電力消費が大きい。そこで、一定時間使用しない状態が続いた場合に、画像形成装置をレディ状態からレディ状態よりも消費電力が少ないスリープ状態に遷移させ、電力消費の低減を図っている。
【0005】
このようなスリープ状態の制御に関して、例えば、下記特許文献1には、画像形成装置であって、互いに独立して電力制御され得る複数のハードウェアモジュールと、前記画像形成装置において実行される複数のアプリケーションソフトウェアのうち、前記画像形成装置のユーザによってカスタマイズされた少なくとも1つのアプリケーションソフトウェアを検知する検知手段と、前記少なくとも1つのアプリケーションソフトウェアの種類に応じて前記複数のハードウェアモジュールのそれぞれに関するスリープ設定を決定する判定手段と、前記判定手段による決定内容に基づいて前記複数のハードウェアモジュールのスリープ動作を個別に制御する電力制御手段と、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−127868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
MFPのプリンタ機能やコピー機能、スキャナ機能などを使用する場合、エンジンを含む全てのハードウェアに電力を供給する必要があるが、MFPのサーバ機能を使用する場合、記憶部に保存したデータの読み書きが可能であればよいため、エンジンなどのハードウェアに電力を供給する必要はない。
【0008】
しかしながら、従来の制御では、スリープ状態で動作中のMFPは、ネットワークに接続されるホスト装置から所定のパケットを受信したら、スリープ状態からレディ状態に復帰して全てのハードウェアに電力を供給する。すなわち、MFPのサーバ機能を使用する場合は、画像処理に関わるハードウェアは不要であるにも関わらず、プリンタ機能やコピー機能、スキャナ機能などを使用する場合と同様に、全てのハードウェアに電力が供給されてしまい、効率的にMFPを動作させることができなかった。
【0009】
この問題に対して、上記特許文献1では、複数のハードウェアモジュールを個別に電源制御する技術を開示しており、この技術を利用して、複数のスリープ状態を設定し、サーバ機能のみを使用する場合は、最低限のハードウェア(例えば、CPUとHDDなどの記憶装置)のみに電力を供給することもできる。
【0010】
しかしながら、サーバ機能の使用要求を受信したMFPは、その要求が自装置のサーバ機能の使用要求であるのか、クラウドサーバなどの外部装置のサーバ機能の使用要求であるのかを区別することができない。そのため、外部装置のサーバ機能の使用要求を受信した場合でも、自装置のサーバ機能が使用できるようにするために不要なハードウェア(例えば、HDDなどの記憶装置)に電力を供給してしまい、効率的にMFPを動作させることができない。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、スリープ状態からの復帰に際して、装置内の各ハードウェアに適切に電力を供給し、装置を効率的に動作させることができる画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有し、ネットワークを介して、少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置に接続される画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、前記電源制御部は、電力供給状態が前記第1の省電力モードの時に、前記ネットワークから受信したパケットを解析するパケット解析部と、前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定する判定部と、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行するモード制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面は、コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有する画像形成装置と、少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置と、ホスト装置と、がネットワークを介して接続されるネットワークシステムであって、前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、前記画像形成装置の前記電源制御部は、電力供給状態が前記第1の省電力モードの時に、前記ホスト装置から受信したパケットを解析し、前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定し、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する電源制御を実行することを特徴とする。
【0014】
本発明の一側面は、コピー、スキャン、プリントの少なくとも1つの画像形成機能と、記憶部に保存したデータの読み書きを可能にするサーバ機能と、を有し、ネットワークを介して少なくとも1台のサーバ機能を有する外部装置に接続される画像形成装置で動作する電源制御プログラムであって、前記画像形成装置は、前記画像形成機能を有効にする通常モードよりも消費電力が少なくなるようにハードウェアへの電力供給の設定を変えた複数の省電力モードを制御する電源制御部を有し、前記複数の省電力モードは、ネットワーク接続機能を有効にする第1の省電力モードと、前記外部装置に対する処理を仲介する仲介機能を有効にする第2の省電力モードと、前記サーバ機能を有効にする第3の省電力モードと、を含み、前記電源制御部に、電力供給状態を前記通常モードから前記第1の省電力モードに移行する第1処理、前記ネットワークから受信したパケットを解析する第2処理、前記パケットの解析結果に基づいて、前記パケットの命令内容が、前記画像形成機能の使用要求か、前記サーバ機能の使用要求又は前記外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定する第3処理、前記パケットの命令内容が前記画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記通常モードに移行し、前記パケットの命令内容が前記外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を前記第1の省電力モードから前記第2の省電力モードに移行する第4処理、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラムによれば、スリープ状態からの復帰に際して、画像形成装置内の各ハードウェアに適切に電力を供給し、画像形成装置を効率的に動作させることができる。
【0016】
その理由は、サーバ機能を有する画像形成装置は、ネットワーク接続機能が有効な省電力モード(待機モード)の時に、ネットワークからパケットを受信したら、受信したパケットを解析し、その解析結果に基づいて、パケットの命令内容がコピー、スキャン、プリントなどの画像形成機能の使用要求か、サーバ機能の使用要求又は外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定し、画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから通常モードに移行し、外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介機能を有効にする省電力モード(仲介モード)に移行する制御を行うからである。
【0017】
また、パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードからサーバ機能を有効にする省電力モード(サーバモード)に移行し、外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係るネットワークシステムの一例を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施例に係るネットワークシステムの他の例を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施例に係るホスト装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施例に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施例に係るホスト装置に表示される画面の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施例に係る画像形成装置のモードと電力を供給するハードウェアとの関係を示すテーブルである。
図8】本発明の一実施例に係る画像形成装置の動作(待機モードへの移行処理)を示すフローチャート図である。
図9】本発明の一実施例に係る画像形成装置の動作(待機モードからの復帰処理)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術で示したように、MFPでは、一定時間使用しない状態が続いた場合に、レディ状態からスリープ状態に遷移させ、所定のパケットを受信したらレディ状態に復帰させる制御が行われるが、従来の復帰制御では、MFPのサーバ機能を使用する場合でも、プリンタ機能やコピー機能、スキャナ機能などを使用する場合と同様に、全てのハードウェアに電力が供給されてしまうため、効率的にMFPを動作させることができない。
【0020】
この問題に対して、サーバ機能のみを動作させる場合、最低限のハードウェアのみに電力を供給するスリープ状態を設定することもできるが、サーバ機能の使用要求を受信したMFPは、その要求が自装置のサーバ機能の使用要求であるのか、クラウドサーバなどの外部装置のサーバ機能の使用要求であるのかを区別することができないため、外部装置のサーバ機能の使用要求を受信した場合でも自装置のサーバ機能が有効になるように電源を制御してしまい、効率的にMFPを動作させることができない。
【0021】
そこで、本発明の一実施の形態では、自装置内の機能だけでなく、自装置を介してクラウドサーバなどの外部装置が提供するサービスの機能を実現可能なネットワークシステムにおいて、スリープ状態におけるハードウェアへの電力供給を設定する省電力モードとして、ネットワークの監視に必要なハードウェアのみに電力を供給する待機モード(第1の省電力モード)と、サービスを仲介するために必要なハードウェアのみに電力を供給する仲介モード(第2の省電力モード)と、自装置をサーバとして機能させるために必要なハードウェアのみに電力を供給するサーバモード(第3の省電力モード)と、を設ける。
【0022】
そして、電源供給状態が待機モードの時にホスト装置からパケットを受信したら、受信したパケットを解析し、その解析結果に基づいて、パケットの命令内容がコピー、スキャン、プリントなどの画像形成機能の使用要求か、サーバ機能の使用要求又は外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定し、画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから通常モードに移行し、外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行する。また、パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードからサーバモードに移行し、外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行して、不要なハードウェアに電力が供給されないようにする。
【0023】
このように、電力を供給するハードウェアが異なる3つの省電力モードを設け、外部装置の機能やサービスを使用する要求を受けた場合は不要なハードウェアを動作させないことにより、MFPを効率的に動作させることができる。
【実施例】
【0024】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る画像形成装置及びネットワークシステム並びに電源制御プログラムについて、図1乃至図9を参照して説明する。図1及び図2は、本実施例のネットワークシステムを模式的に示す図であり、図3乃至図5は、各々、ホスト装置、画像形成装置、サーバ装置の構成を示すブロック図である。また、図6は、本実施例のホスト装置に表示される画面の一例を示す図、図7は、画像形成装置のモードと電力を供給するハードウェアとの関係を示すテーブルであり、図8及び図9は、本実施例の画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【0025】
図1に示すように、本実施例のネットワークシステムは、ネットワークシステムが提供するサービスを利用するホスト装置10と、少なくとも1台のサーバ機能を備える画像形成装置(MFP)20と、クラウドサーバなどのサーバ装置40と、で構成され、これらはイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続されている。なお、本実施例では、ネットワークシステムにサーバ装置40を備える構成とするが、図2に示すように、複数台のサーバ機能を備える画像形成装置20(ここではMFP A及びMFP B)がネットワークに接続されている場合は、サーバ装置40を省略することもできる。以下、図1の構成を前提にして説明する。
【0026】
[ホスト装置]
ホスト装置10は、コンピュータ装置やタブレット端末、スマートフォンなどであり、図3(a)に示すように、コントローラ(制御部)11と、表示部17と、操作部18などで構成される。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)13やRAM(Random Access Memory)14などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)15などの記憶部と、NIC(Network Interface Card)16などのネットワークI/F部とで構成される。CPU12は、ホスト装置10の動作を制御するためのプログラム、図3(b)に示すOS(Operating System)11aや管理アプリケーション11bなどをROM13又はHDD15から読み出し、RAM14に展開して実行する。
【0028】
上記管理アプリケーション11bは、画像形成装置20やサーバ装置40のMAC(Media Access Control)アドレスやネットワーク上のIP(Internet Protocol)アドレス、ポート番号などを指定して、所望の画像形成装置20やサーバ装置40に対して所望のサービスの利用を指示する命令を記述したパケットを送信する。また、管理アプリケーション11bは、パケットを送信した画像形成装置20から、ネットワーク上でサーバとして利用可能な記憶領域(フォルダ)の場所を示すリスト(装置毎の記憶領域を示す階層(第1階層と呼ぶ。)のリスト)を取得し、取得したリストに基づいて、ユーザにサーバを選択させるサーバ選択画面を表示部17に表示させ、その選択結果を上記画像形成装置20に通知する。
【0029】
図6は、サーバ選択画面50の一例であり、ネットワークに接続されているサーバ機能を有する画像形成装置20やサーバ装置40のフォルダが表示される。このようなサーバ選択画面50を表示することにより、サーバ機能を有する一つの画像形成装置20にアクセスするだけで、サーバ機能を有する他の画像形成装置20やクラウドサーバなどのサーバ装置40に保存されたデータを利用することができる。例えば、MFP Aのサーバ(192.168.10.100)にアクセスすると、ネットワークに接続されているMFP BのデータとクラウドサーバAのデータを一緒に確認することができる。また、このサーバ選択画面50でフォルダを選択する際にユーザ認証を行うことにより、データ管理のセキュリティを高めることができる。なお、本実施例では、クラウドサーバが提供するサービスとして、クラウドサーバに保存するデータを利用するサービスを例示するが、画像形成装置20がスキャナやエンジンのみを持つシステムでは、クラウドサーバが画像処理を行うこともでき、このようなクラウドサービスを提供することにより、画像形成装置20を低価格な構成にすることができ、小規模オフィスや支店の設備投資を抑制することができる。
【0030】
表示部17は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等からなり、管理アプリケーション11bの管理画面や上記のサーバ選択画面50などを表示する。操作部18は、マウスやキーボード等からなり、管理画面におけるサービスの選択やサーバ選択画面50におけるサーバの選択などの操作を可能にする。
【0031】
[画像形成装置]
画像形成装置20(少なくとも1台のサーバ機能を備える画像形成装置20及び他の画像形成装置20)は、図4(a)に示すように、コントローラ(制御部)21と、パネル(操作表示部)29と、スキャナ(画像読取部)30と、エンジン31(画像形成部)と、FAX通信部32などで構成される。なお、各々の画像形成装置20は、装置固有のMACアドレスを有し、192.168.10.100、192.168.10.101、…といったIPアドレスやポート番号が予め割り当てられている。また、ネットワークシステムに含まれる複数の画像形成装置20は群で管理可能であり、同じ群に属する画像形成装置20を本実施例の制御の対象とすることができる。
【0032】
制御部21は、メインCPU22とサブCPU23とからなるマルチコアCPUと、ROM24やRAM25などのメモリと、HDD26などの記憶部と、画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)27などの画像処理部と、NIC28などの通信I/F部などで構成される。制御部21は、パネル29やネットワークからユーザの命令(パネル29の操作情報やホスト装置10からのパケット)を受け付け、HDD26、画像処理ASIC27、スキャナ30、エンジン31、FAX通信部32などに対して所定の制御を実行する。特に、サーバ機能を備える画像形成装置20では、HDD26の所定の記憶領域がネットワーク上からアクセス可能なサーバとなり、制御部21は、HDD26に保存したデータに対する読み書きを制御する。
【0033】
また、サブCPU23は、機能毎にハードウェアへの電力の供給を設定できる複数の省電力モードを制御する電源制御部として機能する。この電源制御部は、図4(b)に示すように、パケット解析部21a、判定部21b、モード制御部21cなどとして機能する。
【0034】
パケット解析部21aは、ホスト装置10から受信したパケットを解析する。具体的には、受信したパケットから、MACアドレス、IPアドレス、ポート番号などの装置指定情報と、サービスの利用を指示する命令内容などのサービス指定情報と、を抽出する。
【0035】
判定部21bは、パケットから抽出したMACアドレス、IPアドレス、ポート番号、命令内容などに基づいて、ホスト装置10の要求が、自装置に対するコピー、スキャン、プリントなどの機能(画像形成機能と呼ぶ。)の使用要求であるか、自装置又はクラウドサーバなどの外部装置に対するサーバ機能の使用要求であるか、外部装置が提供するサービスの使用要求であるかを判定する。そして、サーバ機能の使用要求の場合は、モード制御部21cが生成した第1階層のリストをパケットの送信元のホスト装置10に送信し、ホスト装置10からサーバの選択結果を受信し、その選択結果に基づいて、自装置のサーバ機能の使用要求であるか、クラウドサーバなどの外部装置のサーバ機能の使用要求であるかを判定する。
【0036】
モード制御部21cは、画像形成装置20のモードを設定し、判定部21bの判定結果に応じてモードを移行して、各ハードウェアの電力供給状態を制御する。具体的には、本実施例の画像形成装置20は、図7のテーブルに示すように、画像形成装置20の各機能を直ちに実行可能なレディ状態とする通常モード(印刷モードやスキャンモード、FAXモードなど)と、レディ状態よりも消費電力が少ないスリープ状態とする省電力モードと、を有しており、省電力モードとして、電力を供給するハードウェアが異なる複数の省電力モード(待機モード、仲介モード及びサーバモード)を有している。
【0037】
待機モード(第1の省電力モード)は、ネットワーク接続機能及び電源制御部が実行する機能を有効にする電源モードであり、ネットワーク接続処理の実行に必要なハードウェア(例えば、NIC28などの通信I/F部)及び電源制御に必要なハードウェア(例えば、サブCPU23)に電力を供給する。仲介モード(第2の省電力モード)は、クラウドサーバなどのサーバ装置40や他の画像形成装置20に対する命令を仲介する仲介機能を有効にする電源モードであり、仲介処理(例えば、パケットを解析して指定された転送先に転送する処理)の実行に必要なハードウェア(例えば、メインCPU22とRAM25)に電力を供給する。サーバモード(第3の省電力モード)は、自装置のHDD26に保存されたデータの読み書きを制御するサーバ機能を有効にする電源モードであり、サーバ処理に必要なハードウェア(例えば、メインCPU22とRAM25とHDD26)に電力を供給する。通常モードは、コピー、スキャン、プリントなどの画像形成機能を有効にする電源モードであり、画像処理の実行に必要なハードウェア(例えば、メインCPU22、RAM25、HDD26、画像処理ASIC27、パネル29、スキャナ30、エンジン31など)に電力を供給する。
【0038】
モード制御部21cは、通常モードで処理を行った後、ユーザが設定した所定時間中に他の処理が指示されなかった場合は、電力供給状態を通常モードから待機モードに移行すると共に、他の画像形成装置20やクラウドサーバなどのサーバ装置40の情報を取得し、ネットワーク上でサーバとして利用可能な記憶領域(フォルダ)の場所を示す第1階層のリストを生成してHDD26などに保存する。そして、待機モードでは、ネットワークから受信したパケットを解析した結果に基づいて、パケットの命令内容が画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから通常モードに移行し、パケットの命令内容がサーバ装置40や他の画像形成装置20が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行する。また、パケットの命令内容が自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードからサーバモードに移行し、サーバ装置40や他の画像形成装置20のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行する。
【0039】
なお、電源制御部(パケット解析部21a、判定部21b、モード制御部21c)は、ハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を、電源制御部(パケット解析部21a、判定部21b、モード制御部21c)として機能させる電源制御プログラムとして構成し、当該電源制御プログラムをサブCPU23に実行させる構成としてもよい。また、本実施例では、サブCPU23により電源制御プログラムを実行する構成としているが、メインCPU22のクロック周波数を落として電源制御プログラムを実行したり、マルチコアCPUの一部を利用して電源制御プログラムを実行したりしてもよい。また、本実施例では、電源供給状態が待機モードの時の電源制御部の動作について記載するが、電源供給状態が他のモードの時も電源制御部を同様に動作させることができる。
【0040】
また、本実施例では、クラウドサーバなどの外部装置のサーバ機能の使用要求を受けた場合に仲介モードに移行するようにしたが、待機モードで仲介処理を実現可能な場合は必ずしも仲介モードに移行する必要はない。また、本実施例では、省電力モードを待機モードと仲介モードとサーバモードの3つのモードとしたが、電力を供給するハードウェアが異なる4つ以上のモードを設けてもよい。
【0041】
画像処理ASIC27は、パケットの命令内容が印刷指示であり、パケットに続いて印刷データを受信した場合、印刷データを解析し、印刷データの各ページをラスタライズしてページ毎の画像データを生成、もしくは、スキャナ30から画像データを取得し、必要に応じて画像処理(色調整、濃度調整、サイズ調整などの処理)やスクリーニングを行った後、エンジン31で印刷可能な画像データに変換する。
【0042】
パネル(表示操作部)29は、液晶表示装置等の表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部を備えたタッチパネルなどで構成され、画像形成装置20を操作するための画面や印刷条件を設定する画面等を表示すると共に、各種設定や指示などを可能にする。
【0043】
スキャナ(画像読取部)30は、原稿台上の原稿から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0044】
エンジン(画像形成部)31は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素で構成され、印刷データから生成した画像データやスキャナ30で読み込んだ画像データに基づく画像を、指定された用紙に印刷する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから用紙に2次転写し、更に定着装置で用紙上のトナー像を定着させる処理を行う。
【0045】
FAX通信部32は、通常着信時の呼出信号等を検出し、検出した呼出信号に対して一次応答信号を送信し、その後、PhaseA(呼接続確立)、PhaseB(能力交換・トレーニング)、PhaseC(画データ送受信)、PhaseD(画データ送受確認)、PhaseE(切断)の5つのフェーズの処理を実行する。
【0046】
[サーバ装置]
サーバ装置40は、コンピュータ装置などであり、図5に示すように、コントローラ(制御部41)と、必要に応じて表示部や操作部(図示せず)などで構成される。制御部41は、CPU42と、ROM43やRAM44などのメモリと、HDD45などの記憶部と、NIC46などのネットワークI/F部とで構成される。上記HDD45の所定の記憶領域がネットワーク上からアクセス可能なサーバとなり、制御部41は、HDD45に保存したデータに対する読み書きを制御する。また、サーバ装置40が他のサービスを提供する場合は、そのサービスを提供するための機能(例えば、画像処理ASIC)を備え、制御部41によりサービス(例えば、画像処理の代行)が提供される。また、サーバ装置40は、複数の画像形成装置20を一群の画像形成装置として予め設定して管理する。
【0047】
なお、図1乃至図5は本実施例のネットワークシステムの一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、図4では、本実施例の画像形成装置20にスキャナ30とエンジン31とFAX通信部32とを設けたが、例えば、スキャナ30やFAX通信部32を持たない単機能プリンタとしてもよいし、エンジン31を持たないスキャナ装置やファクシミリ装置などとしてもよい。また、図2に示すように、ネットワークシステムに複数台のサーバ機能を有する画像形成装置20が接続されている場合は、サーバ装置40を省略してもよい。
【0048】
以下、上記構成のネットワークシステムにおける画像形成装置20の動作について説明する。サブCPU23は電源制御プログラムを実行することにより、図8及び図9のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、図8は、待機モードへの移行時の処理を示し、図9は、待機モードからの復帰時の処理を示している。
【0049】
[待機モードへの移行時の処理]
図8に示すように、電源制御部(モード制御部21c)は、通常モードで前回の処理を行ってから、ユーザが予め設定した所定時間が経過したかを判断する(S101)。所定時間中に他の処理が指示されなかった場合は、電源制御部(モード制御部21c)は、省電力移行処理として、その時点での他の画像形成装置20やクラウドサーバなどのサーバ装置40の情報(これらの装置が提供するサービス、サーバとして機能する記憶部のデータ構造など)を収集してリスト化する(S102)。なお、画像形成装置20やサーバ装置40がSNMP(Simple Network Management Protocol)に対応する機器の場合、MIB(Management Information Base)から上記情報を取得することができる。
【0050】
その後、電源制御部(モード制御部21c)は、電源供給状態を通常モードから省電力モード(待機モード)に移行し、ネットワークを監視する(S103)。その際、メインCPU22の電力供給を止めてサブCPU23を動作させたり、メインCPU22のクロック周波数を落としたりする。
【0051】
[待機モードからの復帰時の処理]
図9に示すように、電源制御部(パケット解析部21a)は、ネットワーク(ホスト装置10)からのパケットを監視し(S201)、省電力モード(待機モード)時にネットワークからパケットを受信したら、受信したパケットを解析する(S202)。このパケットは、上述したように、MACアドレスやIPアドレス、ポート番号などの装置指定情報と、サービスの利用を指示する命令内容などのサービス指定情報とを含んでいる。
【0052】
次に、電源制御部(判定部21b)は、パケットの解析結果に基づいて、パケットで指示された命令内容を判定する(S203)。受信したパケットの命令内容が自装置の画像形成機能の使用要求(例えば、プリント命令)の場合、電源制御部(モード制御部21c)は、電力供給状態を通常モード(印刷モード)に復帰させ(S204)、エンジン31を起動して印刷処理を実行させる(S205)。なお、プリント命令以外のスキャン命令やFAX送信命令の場合も、同様に電力供給状態を通常モード(スキャンモードやFAXモード)に復帰させる。また、パケットの命令内容が復帰とは関係のない定期アクセス(例えば、Pingパケット)などの場合は、処理を行わず、S201に戻ってネットワークからのパケットを監視する。
【0053】
受信したパケットの命令内容が、プリント命令やスキャン命令、FAX送信命令、定期アクセス以外の場合、電源制御部(判定部21b)は、パケットの解析結果に基づいて、命令内容がサーバアクセス(サーバ機能の使用要求)であるか、他の装置が提供するサービスの使用要求であるかを判断する(S206)。パケットの命令内容がサーバアクセスの場合は、電源制御部(判定部21b)は、HDD26などに保存された第1階層のリストをユーザのホスト装置10に提供する(S207)。その後、電源制御部(判定部21b)は、ホスト装置10からサーバの選択結果を受信して、ユーザが選択したサーバを判定し(S208)、ユーザが選択したサーバが自装置の場合は、電源制御部(モード制御部21c)は、メインCPU22、RAM25、HDD26に電力を供給して電力供給状態をサーバモードに復帰させ(S209)、自装置のHDD26へのデータアクセス処理を行う(S210)。
【0054】
一方、S206で他の装置が提供するサービスの使用要求と判定された場合、若しくは、S208でユーザが選択したサーバがクラウドサーバ(又はサーバ機能を備える他の画像形成装置20)の場合は、電源制御部(モード制御部21c)は、電力供給状態を仲介モードに移行し、クラウドサーバ若しくは他の画像形成装置20に対する処理を仲介する(S211)。
【0055】
以上説明したように、省電力モード(待機モード)中にパケットを受信した場合、パケットを解析して、パケットの命令内容がコピー、スキャン、プリントなどの画像形成機能の使用要求か、サーバ機能の使用要求又は外部装置が提供するサービスの使用要求かを判定し、画像形成機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから通常モードに移行し、外部装置が提供するサービスの使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行し、パケットの命令内容がサーバ機能の使用要求の場合は、自装置のサーバ機能の使用要求か外部装置のサーバ機能の使用要求かを判定し、自装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードからサーバモードに移行し、外部装置のサーバ機能の使用要求の場合は、電力供給状態を待機モードから仲介モードに移行するため、必要なハードウェアのみに電力を供給することができ、画像形成装置20を効率的に動作させることができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、サーバ機能を有する画像形成装置及び当該画像形成装置を含むネットワークシステム並びに当該画像形成装置のハードウェアへの電源供給状態を制御する電源制御プログラム並びに当該電源制御プログラムを記録した記録媒体に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 ホスト装置
11 制御部
11a OS
11b 管理アプリケーション
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 HDD
16 NIC
17 表示部
18 操作部
20 画像形成装置
21 制御部
21a パケット解析部
21b 判定部
21c 電源制御部
22 メインCPU
23 サブCPU
24 ROM
25 RAM
26 HDD
27 画像処理ASIC
28 NIC
29 パネル(表示操作部)
30 スキャナ(画像読取部)
31 エンジン(画像形成部)
32 FAX通信部
40 サーバ装置
41 制御部
42 CPU
43 ROM
44 RAM
45 HDD
46 NIC
50 サーバ選択画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9