特許第6210725号(P6210725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6210725
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】ケーブル接続用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20171002BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20171002BHJP
   H01R 12/79 20110101ALI20171002BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R12/77
   H01R12/79
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-99806(P2013-99806)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-220168(P2014-220168A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】390015244
【氏名又は名称】日本モレックス合同会社
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓子
(72)【発明者】
【氏名】新津 俊博
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−252864(JP,A)
【文献】 特開2001−052789(JP,A)
【文献】 特開2003−036907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 12/77
H01R 12/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装され、挿入口から前記基板面に沿って挿入された平板状ケーブルの導電線と電気的に接続されるケーブル接続用コネクタであって、
前記平板状ケーブルの挿入方向に沿うように前記基板上に配置され、前記基板の板厚方向に弾性的に変位可能な接触部を有する板バネ状の端子と、
前記基板との間に前記挿入口を形成するとともに、前記平板状ケーブルの挿入を案内するように前記基板上に配置され、前記端子の接触部と対向する位置に開口部を有する枠体と、
前記平板状ケーブルの導電線露出面の裏面側に一体的に設けられ、前記枠体の開口部に嵌合可能な凸部を有する平板状の補強板と、を備え、
前記凸部は、前記補強板の先端側ほど幅狭となる平面形状を有し、
前記平板状ケーブルおよび前記補強板が前記挿入口から所定の挿入位置まで挿入されたときは、前記端子の接触部が前記平板状ケーブルの導電線に弾性的に接触し、その接圧で前記補強板の凸部が前記枠体の開口部に嵌合することにより、前記平板状ケーブルを所定の挿入位置で抜止めし、
前記平板状ケーブルが所定の挿入位置に挿入されている状態で、前記枠体の開口部を介して前記補強板が押し下げ操作されたときは、前記嵌合が解除されることにより、前記平板状ケーブルの抜き取りを許容することを特徴とするケーブル接続用コネクタ。
【請求項2】
前記平板状ケーブルが挿入されていないときは、前記端子の接触部が側面視で前記枠体の開口部内に位置することを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続用コネクタ。
【請求項3】
前記枠体は、前記基板に一体的に接続される基板接続部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル接続用コネクタ。
【請求項4】
前記補強板の凸部は、補強板の先端側ほど幅狭となるよう平面形状を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のケーブル接続用コネクタ。
【請求項5】
前記端子は、基板の回路パターンに前記枠体挿入口側で半田接続される回路接続部を有し、前記端子の接触部が、前記回路接続部よりも、挿入方向奥側に位置することを特徴とする、請求項2〜のいずれか一項に記載のケーブル接続用コネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCという)、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)などの平板状ケーブルを基板に接続するケーブル接続用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
FPC、FFCなどの平板状ケーブルを基板に接続するケーブル接続用コネクタが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この種のケーブル接続用コネクタは、基板に実装され、挿入口から基板面に沿って挿入された平板状ケーブルの導電線と電気的に接続するように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、挿入された平板状ケーブルの導電線と電気的に接続する端子、該端子が組み込まれるハウジング、挿入された平板状ケーブルを抜止めするアクチュエータなどを備えるケーブル接続用コネクタが示されているが、このようなケーブル接続用コネクタは、ハウジングやアクチュエータによって高さ寸法が大きくなり、高さ寸法を抑えることが要求される用途には適用が困難であった。
【0004】
また、特許文献1のケーブル接続用コネクタでは、平板状ケーブルを接続する際に、平板状ケーブルを挿入する操作とは別に、平板状ケーブルを抜止めするためのアクチュエータ操作が必要になるので、ケーブル接続作業に時間がかかり、コストの上昇に繋がるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−52789号公報
【特許文献2】特開2003−36907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特許文献2には、ハウジングやアクチュエータを省略することにより、高さ寸法を抑えたケーブル接続用コネクタが示されているが、特許文献2のケーブル接続用コネクタには、挿入された平板状ケーブルを抜止めする手段がないので、接触信頼性に劣るという問題がある。
【0007】
また、特許文献2のケーブル接続用コネクタでは、高さ寸法を抑えたカバー体の内部に、基板の板厚方向に弾性的に変位する板バネ状の端子を配置しているので、端子の変位量が不足し、必要な接圧が得られないおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、ハウジングやアクチュエータがなく、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、挿入された平板状ケーブルを抜止めできるだけでなく、抜止めのためのアクチュエータ操作を不要にしてケーブル接続時の作業時間を短縮することができる、ケーブル接続用コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、基板に実装され、挿入口から前記基板面に沿って挿入された平板状ケーブルの導電線と電気的に接続されるケーブル接続用コネクタであって、前記平板状ケーブルの挿入方向に沿うように前記基板上に配置され、前記基板の板厚方向に弾性的に変位可能な接触部を有する板バネ状の端子と、前記基板との間に前記挿入口を形成するとともに、前記平板状ケーブルの挿入を案内するように前記基板上に配置され、前記端子の接触部と対向する位置に開口部を有する枠体と、前記平板状ケーブルの導電線露出面の裏面側に一体的に設けられ、前記枠体の開口部に嵌合可能な凸部を有する平板状の補強板と、を備え、前記凸部は、前記補強板の先端側ほど幅狭となる平面形状を有し、前記平板状ケーブルおよび前記補強板が前記挿入口から所定の挿入位置まで挿入されたときは、前記端子の接触部が前記平板状ケーブルの導電線に弾性的に接触し、その接圧で前記補強板の凸部が前記枠体の開口部に嵌合することにより、前記平板状ケーブルを所定の挿入位置で抜止めし、前記平板状ケーブルが所定の挿入位置に挿入されている状態で、前記枠体の開口部を介して前記補強板が押し下げ操作されたときは、前記嵌合が解除されることにより、前記平板状ケーブルの抜き取りを許容することを特徴とする。また、ケーブル挿入時における補強板と枠体との摩擦抵抗を軽減しつつ、枠体の開口部との抜止め方向の嵌合幅(係合幅)を確保し、平板状ケーブルを確実に抜止めすることができる。
【0010】
この構成によれば、ハウジングやアクチュエータがなく、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、挿入された平板状ケーブルを抜止めできるだけでなく、抜止めのためのアクチュエータ操作を不要にしてケーブル接続時の作業時間を短縮することができる。また、端子の接圧を利用して補強板の凸部を枠体の開口部に嵌合させるので、別途付勢手段を設ける場合に比べ、部品点数の削減や構造の簡略化が図れる。また、平板状ケーブルを抜き取る場合は、補強板の押し下げ操作を要求するので、意図しない平板状ケーブルの抜き取りも防止することができる。
【0011】
また、前記平板状ケーブルが挿入されていないときは、前記端子の接触部が側面視で前記枠体の開口部内に位置することを特徴とする。
この構成によれば、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、端子の変位量をかせぐことができるので、端子の接圧を大きくし、接触信頼性を向上させることができる。
【0013】
また、前記枠体は、前記基板に一体的に接続される基板接続部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、基板と枠体の間隔を一定に保つことができるので、端子の接圧変動を抑制し、接触信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、前記端子は、基板の回路パターンに前記枠体挿入口側で半田接続される回路接続部を有し、前記端子の接触部が、前記回路接続部よりも、平板状ケーブル挿入方向奥側に位置することを特徴とする。
この構成によれば、平板状ケーブルが、端子の接触部裏面側に誤挿入されることを防ぐことができる。また、平板状ケーブルの挿入時に、端子の接触部方向先端と平板状ケーブルの先端とが打ち合たり、その衝撃力で平板状ケーブル、又は端子が変形してしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハウジングやアクチュエータがなく、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、挿入された平板状ケーブルを抜止めできるだけでなく、抜止めのためのアクチュエータ操作を不要にしてケーブル接続時の作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル非接続状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタに接続される平板状ケーブルを示す図であり、(a)は平板状ケーブルの要部平面図、(b)は平板状ケーブルの要部側面図、(c)は平板状ケーブルの要部底面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタの平面図、(b)はケーブル接続用コネクタの正面図、(c)はケーブル接続用コネクタの底面図、(d)はケーブル接続用コネクタの側面図、(e)はケーブル接続用コネクタのX−X断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル挿入時の動作を示す図であり、(a)はケーブル挿入前のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(b)はケーブル挿入中のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(c)はケーブル挿入後のケーブル接続用コネクタを示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル挿入時の動作を示す図であり、(a)はケーブル挿入前のケーブル接続用コネクタを示す断面図、(b)はケーブル挿入中のケーブル接続用コネクタを示す断面図、(c)はケーブル挿入後のケーブル接続用コネクタを示す断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル抜き取り時の動作を示す図であり、(a)はケーブル抜き取り前のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(b)はケーブル抜き取り中のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(c)はケーブル抜き取り後のケーブル接続用コネクタを示す斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタのケーブル非接続状態を示す斜視図、(b)はケーブル接続用コネクタのケーブル接続状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタの平面図、(b)は端子の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。また、ケーブル接続用コネクタにおいては、平板状ケーブルの挿入口が形成される面を正面、その反対側を背面、正面から見て左側の側面を左側面、その反対側の面を右側面、基板に固定される面を底面、その反対側の面を上面、平板状ケーブルの挿入方向を前後方向、挿入口の幅方向を左右方向、基板の板厚方向を上下方向として説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル非接続状態を示す斜視図である。
この図に示すように、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタ101は、基板2に実装されるものであり、挿入口162から基板2の上面に沿って挿入された平板状ケーブル3と電気的に接続される。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタに接続される平板状ケーブルを示す図であり、(a)は平板状ケーブルの要部平面図、(b)は平板状ケーブルの要部側面図、(c)は平板状ケーブルの要部底面図である。
この図に示すように、平板状ケーブル3は、FPC、FFCなどと称される平板状の可撓性ケーブルであり、平板状のものであればケーブルであっても基板であってもよく、いかなる種類のものであってもよい。
【0020】
本実施形態の平板状ケーブル3は、FPCで構成されており、長尺な帯形状を備える絶縁性の薄板部材であるベースフィルム3aと、ベースフィルム3aの一面に並列に配設された複数本(本実施形態では4本)の導電線3bと、導電線3bを覆うように積層される絶縁性のカバーフィルム3cとを備える。平板状ケーブル3の一端部には、カバーフィルム3cを除去し、導電線3bを露出させた導電線露出面3dが形成されている。
【0021】
平板状ケーブル3の導電線露出面3dの裏面側には、平板状の補強板51が接着などの固定手段を用いて一体的に設けられている。本実施形態の補強板51は、平板状ケーブル3と同じ幅寸法を有する平面視長方形の金属板(例えば、SUS)からなり、平板状ケーブル3をケーブル接続用コネクタ101に接続する際には、平板状ケーブル3とともにケーブル接続用コネクタ101内に挿入される。
【0022】
また、補強板51は、上面に形成される平面視四角形の凸部52と、後端部から左右外側方に突出するストッパ部53と、先端角部に形成される面取り部54とを一体的に備えるが、これらの作用は後述する。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタの平面図、(b)はケーブル接続用コネクタの正面図、(c)はケーブル接続用コネクタの底面図、(d)はケーブル接続用コネクタの側面図、(e)はケーブル接続用コネクタのX−X断面図である。
この図に示すように、ケーブル接続用コネクタ101は、絶縁板111、端子151、枠体161および半田ボール171を備える。
【0024】
端子151は、平板状ケーブル3の挿入方向に沿うように基板2上に配置される板バネ状の部材であり、本実施形態では、平板状ケーブル3の挿入方向に沿う4本の端子151を絶縁空間を存して左右方向に並列状に配置している。各端子151は、基板2の回路パターンに半田接続される回路接続部152と、該回路接続部152からケーブル挿入方向に延出し、基板2の上面と平行となるストレート部153と、該ストレート部153の先端からケーブル挿入方向に延出し、先端側ほど基板2から離間するように傾斜する傾斜部154と、該傾斜部154の先端部に形成される接触部155とを一体的に備え、ストレート部153や傾斜部154の弾性変形にもとづいて、接触部155の上下方向(基板2の板厚方向)の弾性的な変位を許容する。
つまり、該端子151は、接触部155が回路接続部152より平板ケーブル挿入方向奥側に配置されている。
【0025】
絶縁板111は、上下2枚で構成されており、端子151の基端部(ストレート部153の基端領域)を挟持状に支持する端子支持部112と、枠体161の下面に接着などの固定手段を用いて固定される左右一対の固定部113とを備える。なお、固定部113には、端子支持部112と厚さ寸法を合わせるためのスペーサ114が挟装されている。
【0026】
枠体161は、基板2との間に挿入口162を形成するとともに、平板状ケーブル3の挿入を案内する挿入ガイド部材であって、いわゆるハウジングに比べて高さが抑えられている。枠体161は、端子151の上側で平板状ケーブル3の挿入空間を覆うように基板2上に配置されるが、端子151の接触部155と対向する位置には、平面視四角形の開口部163が形成されている。例えば、本実施形態の枠体161は、平面視で中空四角形状の枠部164と、枠部164の左右両端部から下方に延出する左右一対の脚部165とを一体的に備える金属製(例えば、SUS)の部材であって、正面視で枠部164と左右の脚部165に囲まれる空間が挿入口162となり、平面視で枠部164の中空部分が開口部163となる。
【0027】
挿入口162の左右両側縁部には、平板状ケーブル3の挿入に際し、補強板51の面取り部54を挿入口162内に導くように、平板状ケーブル挿入方向に向かって幅狭となる傾斜ガイド166が形成されている。これにより、ケーブル接続用コネクタ101に対する平板状ケーブル3の挿入が容易になる。
【0028】
また、挿入口162の左右両側縁部は、平板状ケーブル3の挿入に際し、補強板51のストッパ部53と当接して平板状ケーブル3の挿入限界位置を規定する。これにより、ケーブル接続用コネクタ101に対する平板状ケーブル3の適正な挿入量が明確になる。
【0029】
開口部163は、ケーブル接続用コネクタ101内に平板状ケーブル3が挿入されたとき、補強板51の凸部52が下方から嵌合可能な形状を有する。例えば、本実施形態では、開口部163の平面形状を、補強板51の凸部52よりも前後寸法および左右寸法が大きい四角形としてある。そして、開口部163に補強板51の凸部52が嵌合した状態では、開口部163の内側面と凸部52の端縁との係合により、少なくとも補強板51のケーブル抜き取り方向の変位が規制される。
【0030】
端子151の接触部155は、平板状ケーブル3が挿入されていないとき、側面視で枠体161の開口部163内に位置することが好ましい。その理由は、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、端子151の変位量をかせぐことができ、その結果、端子151の接圧を大きくし、接触信頼性を向上させることができるからである。
【0031】
また、端子151の接触部155は、平板状ケーブル3が挿入されていないとき、開口部163を介して枠体161よりも上方に突出しないようにすることが好ましい。その理由は、端子151の接触部155を枠体161で保護し、端子151の変形などを防止することができるからである。
【0032】
また、枠体161は、基板2に一体的に接続される基板接続部167を備えることが好ましい。その理由は、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、基板2と枠体161の間隔を一定に保つことができ、その結果、端子151の接圧変動を抑制し、接触信頼性を向上させることができるからである。
【0033】
例えば、本実施形態では、脚部165の下面前後両端部を基板接続部167とし、ここに半田ボール171を設けている。つまり、枠体161(ケーブル接続用コネクタ101)を基板2の所定位置に搭載した後、半田ボール171を加熱溶融させることにより、枠体161を基板2に一体的に接続させる。
【0034】
つぎに、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタ101のケーブル挿入時の動作およびケーブル抜き取り時の動作について、図4図6を参照して説明する。
【0035】
図4は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル挿入時の動作を示す図であり、(a)はケーブル挿入前のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(b)はケーブル挿入中のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(c)はケーブル挿入後のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、図5は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル挿入時の動作を示す図であり、(a)はケーブル挿入前のケーブル接続用コネクタを示す断面図、(b)はケーブル挿入中のケーブル接続用コネクタを示す断面図、(c)はケーブル挿入後のケーブル接続用コネクタを示す断面図である。
【0036】
これらの図に示すように、基板2に実装されたケーブル接続用コネクタ101に平板状ケーブル3を接続する場合は、補強板51が上、導電線露出面3dが下を向く状態で、平板状ケーブル3および補強板51をケーブル接続用コネクタ101の挿入口162に挿入する。
【0037】
平板状ケーブル3および補強板51が所定の挿入位置付近(挿入限界位置付近)まで挿入されると、端子151の接触部155が、平板状ケーブル3に押されて下方に弾性的に変位し、その反力で平板状ケーブル3の導電線3bに弾性的に接触する。
【0038】
また、端子151の接圧は、補強板51を押し上げ力として作用し、平板状ケーブル3および補強板51が所定の挿入位置に到達したタイミングで、補強板51の凸部52が枠体161の開口部163に下側から嵌合する。このとき、補強板51の凸部周辺部分が、端子151の接圧を受けて枠体161の内面に勢いよく当接するので、適度なクリック感が得られる。
【0039】
補強板51の凸部52が枠体161の開口部163に嵌合すると、開口部163の内側面と凸部52の端縁との係合により、補強板51のケーブル抜き取り方向の変位が規制される。これにより、ハウジングやアクチュエータがなく、高さ寸法を抑えることができるものでありながら、挿入された平板状ケーブル3を抜止めできるだけでなく、抜止めのためのアクチュエータ操作を不要にしてケーブル接続時の作業時間を短縮することができる。また、端子151の接圧を利用して補強板51の凸部52を枠体161の開口部163に嵌合させるので、別途付勢手段を設ける場合に比べ、部品点数の削減や構造の簡略化が図れる。
【0040】
また、該端子151は、接触部155が回路接続部152より平板ケーブル挿入方向奥側に配置されているので、挿入口162側に端子の傾斜部154が位置している。そのため平板状ケーブル3を枠体の挿入口162へ挿入すると、平板状ケーブルは端子151の傾斜部154に沿って滑らかに挿入される。これにより、平板状ケーブルが、端子の接触部の裏側に潜り込んで誤挿入されることや、平板状ケーブルの挿入方向先端部が端子の接触部側先端と衝突して、変形することを防止できる。
【0041】
図6は、本発明の第1実施形態に係るケーブル接続用コネクタのケーブル抜き取り時の動作を示す図であり、(a)はケーブル抜き取り前のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(b)はケーブル抜き取り中のケーブル接続用コネクタを示す斜視図、(c)はケーブル抜き取り後のケーブル接続用コネクタを示す斜視図である。
これらの図に示すように、ケーブル接続用コネクタ101に接続された平板状ケーブル3を抜き取る場合は、枠体161の開口部163を介して補強板51を押し下げ操作しつつ、平板状ケーブル3を抜き取り方向に引っ張る。つまり、補強板51を押し下げ操作すると、補強板51の凸部52が枠体161の開口部163内から下方に変位し、前記嵌合が解除される。これにより、補強板51のケーブル抜き取り方向の変位が許容され、平板状ケーブル3をケーブル接続用コネクタ101から抜き取ることが可能になる。そして、平板状ケーブル3を抜き取る場合に、補強板51の押し下げ操作を要求することにより、意図しない平板状ケーブル3の抜き取りが防止される。
【0042】
つぎに、本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタについて、図7および図8を参照して説明する。ただし、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同じ符号または第1実施形態の符号に関連付けられた符号(下2桁の共通化)を付与することにより、第1実施形態の説明を援用する。
【0043】
図7は、本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタのケーブル非接続状態を示す斜視図、(b)はケーブル接続用コネクタのケーブル接続状態を示す斜視図、図8は、本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタを示す図であり、(a)はケーブル接続用コネクタの平面図、(b)は端子の配置を示す平面図である。
これらの図に示すように、本発明の第2実施形態に係るケーブル接続用コネクタ301は、補強板251に形成される凸部252の形状と、枠体361の形状と、端子351の形状が第1実施形態と相違している。
【0044】
第2実施形態の補強板251に形成される凸部252は、補強板251の先端側ほど幅狭となる平面形状を有する。例えば、本実施形態の凸部252は、野球のホームベースのような五角形としているが、二等辺三角形や正三角形としてもよい。このようにすると、ケーブル挿入時における補強板251と枠体361との摩擦抵抗を軽減しつつ、枠体361の開口部363との抜止め方向の嵌合幅(係合幅)を確保し、平板状ケーブル3を確実に抜止めすることができる。
【0045】
第2実施形態の枠体361は、基板2に一体的に接続される基板接続部として左右両側部にネイル367を備え、これらのネイル367を基板2のダミーパターンに半田付けすることにより、基板2に一体的に接続される。
【0046】
第2実施形態の端子351は、ストレート部353、傾斜部354および接触部355の形状が第1実施形態の端子151と同様であるが、回路接続部352の形状が第1実施形態の端子151と相違している。つまり、第2実施形態では、4つの端子351を配置するにあたり、各端子351の回路接続部352a〜352dを異なる方向に延設することにより、可及的に離れた位置で基板2の回路パターンに半田接続できるにようにしている。これにより、端子351同士の誤った導通を防止することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
2…基板、3…平板状ケーブル、3a…ベースフィルム、3b…導電線、3c…カバーフィルム、3d…導電線露出面、51…補強板、52…凸部、53…ストッパ部、54…面取り部、101…ケーブル接続用コネクタ、111…絶縁板、112…端子支持部、113…固定部、114…スペーサ、151…端子、152…回路接続部、153…ストレート部、154…傾斜部、155…接触部、161…枠体、162…挿入口、163…開口部、164…枠部、165…脚部、166…傾斜ガイド、167…基板接続部、171…半田ボール、251…補強板、252…凸部、301…ケーブル接続用コネクタ、351…端子、352…回路接続部、353…ストレート部、354…傾斜部、355…接触部、361…枠体、363…開口部、367…ネイル
図1
図2
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図8