特許第6211036号(P6211036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000002
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000003
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000004
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000005
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000006
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000007
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000008
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000009
  • 特許6211036-外装部材及びワイヤハーネス 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211036
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】外装部材及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20171002BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20171002BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   H02G3/04 062
   H01B7/00 301
   B60R16/02 623U
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-162377(P2015-162377)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-41976(P2017-41976A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】陸名 智之
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 伸一
(72)【発明者】
【氏名】足立 英臣
(72)【発明者】
【氏名】石原 義之
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−006049(JP,A)
【文献】 特開2010−136556(JP,A)
【文献】 特開2012−045962(JP,A)
【文献】 特開2013−135500(JP,A)
【文献】 特開2015−042027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数本の導電路を収容保護する管体形状の外装部材において、
当該外装部材は、前記導電路を保持する導電路保持部を有し、
該導電路保持部は、管内面側から見て凸となる形状に形成されるとともに管外面側から見て凹となる形状に形成され、
該凹となる形状の部分には、外向きに突出する突起部が一又は複数形成され、
該突起部は、弾力性を有する形状に形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項2】
請求項1に記載の外装部材において、
前記突起部は、平面視、環状に延在する形状に形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外装部材において、
前記凸となる形状の部分及び前記凹となる形状の部分は、管軸方向の断面が円弧状となる形状且つ弾力性を有する形状に形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の外装部材において、
前記導電路保持部は、管軸方向の一又は複数の所定位置に配置形成されるとともに、該所定位置では、管軸を挟むように一対の状態で配置形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の外装部材において、
当該外装部材は、前記導電路をストレートに配索する部分としてのストレート管部を有し、該ストレート管部には、前記導電路保持部が配置形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5に記載の外装部材において、
当該外装部材は、腹割きなしの形状に形成される
ことを特徴とする外装部材。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6に記載の外装部材と、該外装部材に収容保護される一又は複数本の導電路とを備えて構成される
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電路を外部から保護する管体形状の外装部材と、この外装部材を構成に含むワイヤハーネスとに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高電圧のワイヤハーネスを例に挙げると、下記特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される高電圧の機器間を電気的に接続するワイヤハーネスが開示される。特許文献1のワイヤハーネスは、本願出願人によるもので、一又は複数本の導電路と、この一又は複数本の導電路を挿通して保護する管体形状の外装部材とを備えて構成される。特許文献1のワイヤハーネスは、車両床下を通って配索される長尺なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−47032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術にあっては、外装部材における端末部の位置で導電路がテープ巻きにより固定される。また、導電路は、外装部材に挿通されつつ車両床下の前後位置でプロテクタによっても保持される。外装部材にしろプロテクタにしろ、導電路はこの一端側と他端側とが離れて固定され、そして中間部が外装部材との間に隙間をあけた状態に収容されることから、このような収容状態において、例えば走行時の振動が導電路に伝わった場合には、導電路が振れて外装部材の内面に当たってしまうという虞がある。すなわち、導電路側に削れ等が生じてしまうという虞がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、外装部材内での導電路の動きを抑制することが可能な外装部材と、この外装部材を構成に含むワイヤハーネスとを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の外装部材は、一又は複数本の導電路を収容保護する管体形状の外装部材において、当該外装部材は、前記導電路を保持する導電路保持部を有し、該導電路保持部は、管内面側から見て凸となる形状に形成されるとともに管外面側から見て凹となる形状に形成され、該凹となる形状の部分には、外向きに突出する突起部が一又は複数形成され、該突起部は、弾力性を有する形状に形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の外装部材において、前記突起部は、平面視、環状に延在する形状に形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の外装部材において、前記凸となる形状の部分及び前記凹となる形状の部分は、管軸方向の断面が円弧状となる形状且つ弾力性を有する形状に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、請求項1、2又は3に記載の外装部材において、前記導電路保持部は、管軸方向の一又は複数の所定位置に配置形成されるとともに、該所定位置では、管軸を挟むように一対の状態で配置形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の本発明は、請求項1、2、3又は4に記載の外装部材において、当該外装部材は、前記導電路をストレートに配索する部分としてのストレート管部を有し、該ストレート管部には、前記導電路保持部が配置形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の本発明は、請求項1、2、3、4又は5に記載の外装部材において、当該外装部材は、腹割きなしの形状に形成されることを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた請求項7に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の外装部材と、該外装部材に収容保護される一又は複数本の導電路とを備えて構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された本発明によれば、管内面側から見て凸となり且つ管外面側から見て凹となる形状に形成され、そして、この凹となる形状の部分に弾力性を有する突起部が形成される導電路保持部を採用することから、この導電路保持部を、導電路の動きを抑制する必要のある位置に合わせて配置形成することにより、導電路のばたつきが生じないようにすることができる。すなわち、導電路を動き難くしたり、動かないように保持したりすることができる。従って、本発明によれば、外装部材内の所望の位置で導電路の動きを抑制することができ、以て導電路側の削れ等を防止することができるという効果を奏する。
【0014】
請求項2、3、4に記載された本発明によれば、導電路のばたつきが生じないように導電路を動き難くしたり、動かないように保持したりするための、また、スムーズに挿通するための、より良い形状を提供することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項5に記載された本発明によれば、ストレート管部に導電路保持部を形成することから、ストレート管部における所望の位置で導電路の動きを抑制することができるという効果を奏する。これにより、例えば車両床下のような長い範囲での導電路の動きを抑制することができ、以て導電路側の削れ等を防止することができるという効果を奏する。
【0016】
請求項6に記載された本発明によれば、請求項1、2、3、4又は5の効果に加え次のような効果を更に奏する。すなわち、外装部材を腹割きなしの形状に形成することから、防水性及び防塵性等を確保することができ、以て導電路側への悪影響を排除することができるという効果を奏する。
【0017】
請求項7に記載された本発明によれば、求項1、2、3、4、5又は6に記載の外装部材を含んで構成されることから、ワイヤハーネスとして上記効果を得ることができる。従って、本発明によれば、より良いワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のワイヤハーネスを示す図であり、(a)は高電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図、(b)は(a)とは別の低電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図である。
図2】本発明の外装部材を示す斜視図である。
図3図2の電線保持部の拡大斜視図である。
図4図3のA方向から見た電線保持部の拡大図である。
図5図3のB方向から見た電線保持部の拡大図である。
図6図3のC方向から見た電線保持部の拡大図である。
図7図5のD−D線断面図である。
図8図6のE−E線断面図である。
図9】他の例となる外装部材の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ワイヤハーネスは、管体形状の外装部材と、この外装部材に挿通される導電路とを備えて構成される。外装部材は、腹割きなしの形状に形成される。外装部材の例えば中間部には、導電路保持部が配置形成される。導電路保持部は、管内面側から見て凸となり且つ管外面側から見て凹となる形状に形成される。そして、この凹となる形状の部分には、弾力性を有する突起部が形成される。凸となる形状の部分及び凹となる形状の部分は、管軸方向の断面が円弧状となる形状、且つ弾力性を有する形状に形成される。突起部は、平面視楕円形などの、環状に延在する形状に形成される。
【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のワイヤハーネスを示す図であり、(a)は高電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図、(b)は(a)とは別の低電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図である。また、図2は本発明の外装部材を示す斜視図、図3図2の電線保持部の拡大斜視図、図4図6図3の電線保持部の拡大図、図7図5のD−D線断面図、図8図6のE−E線断面図である。
【0021】
本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車やエンジンで走行する一般的な自動車等であってもよいものとする)に配索されるワイヤハーネスに対し本発明を採用する。
【0022】
<ハイブリッド自動車1の構成について>
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0023】
モータユニット3とインバータユニット4は、高圧のワイヤハーネス8(高電圧用のモーターケーブル)により接続される。また、バッテリー5とインバータユニット4も高圧のワイヤハーネス9により接続される。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車両における(車体における)車両床下11に配索される。また、中間部10は、車両床下11に沿って略平行に配索される。車両床下11は、公知のボディ(車体)であるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔が形成される。この貫通孔には、ワイヤハーネス9が水密に挿通される。
【0024】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続される。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段が電気的に接続される。また、ワイヤハーネス9とインバータユニット4は、前端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段を介して電気的に接続される。
【0025】
モータユニット3は、モータ及びジェネレータを含んで構成される。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んで構成される。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成される。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成される。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化することによりなる。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能である。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないのは勿論である。
【0026】
図1(b)において、引用符号15はワイヤハーネスを示す。ワイヤハーネス15は、低圧の(低電圧用の)ものであって、ハイブリッド自動車1における自動車後部7の低圧バッテリー16と、自動車前部17に搭載される補器18(機器)とを電気的に接続するために備えられる。ワイヤハーネス15は、図1(a)のワイヤハーネス9と同様に、車両床下11を通って配索される(一例であり、車室側を通って配索されてもよいものとする)。
【0027】
図1(a)及び(b)に示す如く、ハイブリッド自動車1には、高圧のワイヤハーネス8、9及び低圧のワイヤハーネス15が配索される。本発明は、いずれのワイヤハーネスであっても適用可能であるが、代表例として低圧のワイヤハーネス15を挙げて以下に説明をする。
【0028】
<ワイヤハーネス15の構成について>
図1(b)において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス15は、ハーネス本体19と、このハーネス本体19の両端末にそれぞれ配設されるコネクタ20(外部接続手段)とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス15は、所定位置に配索するための固定部材(例えばクランプ等)と、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
【0029】
<ハーネス本体19の構成について>
図2において、ハーネス本体19は、導電路21と、この導電路21を収容保護するための本発明の外装部材22とを備えて構成される。尚、図中の導電路21の本数に関し、本実施例においては一本であるが、これは一例であるものとする。また、外装部材22の構成及び構造に関し、高圧のワイヤハーネス9を一緒に収容保護するようなものを採用してもよいものとする。先ず、ハーネス本体19における導電路21の構成及び構造について説明をし、次に、本発明の外装部材22の構成及び構造について説明をする。
【0030】
<導電路21の構成及び構造について>
導電路21は、導電性の導体と、この導体を被覆する絶縁性の絶縁体とを備えて構成される。導体は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体が押出成形される。
【0031】
絶縁体は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体の外周面に押出成形される。絶縁体は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
【0032】
尚、導電路21における引用符号23は、外周面を示すものとする。外周面23は、本実施例の場合に絶縁体の外周面が該当し、また、例えばワイヤハーネス9(図1参照)の場合には、シースやシールド部材(編組、金属箔等)の外周面が該当するものとする。
【0033】
<本発明の外装部材22の構成及び構造について>
外装部材22は、樹脂成形にて一本の真っ直ぐな管体形状のものに形成される(使用前は真っ直ぐである。尚、樹脂製に限らず金属製であってもよいものとする)。また、外装部材22は、腹割きなしの形状に形成される。別な言い方をすれば、スリットのない形状に形成される(割チューブでない形状に形成される)。
【0034】
このような外装部材22は、可撓性を有する可撓管部24と、導電路21をストレートに配索する部分としてのストレート管部25とを有する。可撓管部24とストレート管部25は、複数形成される。また、これらは交互に配置形成される。
【0035】
可撓管部24は、車両取付形状(ワイヤハーネス配索先の形状。固定対象の形状)に合わせて配置される。また、可撓管部24は、車両取付形状に合わせた長さにも形成される。可撓管部24の長さは一定でなく、車両取付形状に合わせて必要な長さにそれぞれ形成される。このような可撓管部24は、ワイヤハーネス15の梱包状態や輸送時、車両への経路配索時に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるように形成される。すなわち、可撓管部24は、撓ませて曲げ形状にすることができるとともに、図示のような真っ直ぐな元の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるように形成される。
【0036】
可撓管部24は、本実施例において、蛇腹管形状に形成される(可撓性を有すれば形状は特に限定されないものとする)。具体的には、周方向の蛇腹凹部及び蛇腹凸部を有するとともに、これら蛇腹凹部及び蛇腹凸部が管軸方向(図2で示す外装部材22が延在する方向)に交互に連続するように形成される。
【0037】
ストレート管部25は、可撓管部24のような可撓性を持たない部分として形成される。また、ストレート管部25は、梱包状態や輸送時、経路配索時において曲がらない部分としても形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である)。図中のストレート管部25は、長い直管形状に形成される。
【0038】
ストレート管部25は、可撓管部24と比べ、リジッドな部分に形成される。ストレート管部25は、車両取付形状に合わせた位置や長さに形成される。ストレート管部25は、本実施例において、少なくとも車両床下11(図1参照)に配置される部分として形成される。このようなストレート管部25の中間部になる所定位置には(ストレート管部25における管軸方向の一又は複数の所定位置には)、本発明の特徴部分である導電路保持部26が管軸を挟むように一対の状態で配置形成される。この一対の導電路保持部26は、ストレート管部25に一体に形成される。
【0039】
<本発明の特徴部分である導電路保持部26について>
図2ないし図8において、導電路保持部26は、導電路21のばたつきが生じないように導電路21を動き難くしたり、動かないように保持したりするための部分であって、管内面27側から見て凸となる形状に形成されるとともに、管外面28側から見て凹となる形状に形成される。また、導電路保持部26は、上記凹となる形状の部分に、外向きに突出する突起部29が複数存在する形状に形成される。別な言い方をすれば、導電路保持部26は、管内面27側が凸部30になり且つ管外面28側が凹部31になる、くびれ部32と、このくびれ部32の凹部31から外側に突出する複数の突起部29とを有する形状に形成される。
【0040】
くびれ部32は(凸部30と凹部31は)、管軸方向の断面が円弧状となる形状に形成される(所謂「くびれた形状」であればよいものとする)。また、くびれ部32は、凸部30の部分が平滑な面になるように形成される(導電路21の挿通に支障を来さない形状であればよいものとする)。
【0041】
本実施例の導電路保持部26は、上述の如く管軸を挟むように一対の状態で配置形成される。尚、管軸を挟む方向としては、導電路21のばたつきが生じる方向、すなわち振動方向や上下方向などが該当する(この方向に限定されるものではない)。一対の導電路保持部26は、導電路21を挟み込んで保持することができるように配置形成される。また、一対の導電路保持部26は、この部分の前後で導電路21を宙に浮かせることができるように配置形成される。
【0042】
一対の導電路保持部26は、それぞれの凸部30の面が導電路21の外周面23に接触したり、外周面23を押圧したりするような位置関係に配置形成される。一対の導電路保持部26は、それぞれの凸部30が離れる方向に撓み可能に形成される。すなわち、一対の導電路保持部26は、弾力性を有するように形成される。弾力性に関し、本発明では主に突起部29の形状及び数などにより調整される。
【0043】
突起部29は、これ自身が弾力性を有する形状に形成される。具体的には、管外面28側から見て断面凸33となり且つ管内面27側から見て断面凹34となる形状に形成される。また、平面視(図4参照)が楕円となる環状に延在する形状に形成される。別な言い方をすれば、図2の可撓管部24における蛇腹凹部及び蛇腹凸部と同様の形状で、これが楕円形になるような部分に形成される。
【0044】
尚、本実施例における突起部29は、この形状が楕円形になるように形成されるが、必ずしも楕円形に限らないものとする。すなわち、四角形を含む多角形や長円形、或いは星形等であってもよいものとする。また、突起部29の数は、二つに限らず、一つや三つ以上であってもよいものとする。
【0045】
突起部29は、これ自身が弾力性を有し、また、くびれ部32に対しては弾力性を調整する部分として機能する。従って、本実施例での突起部29は、所謂リブのような剛性をアップさせるための部分ではないものとして形成される。
【0046】
外装部材22は、特に図示しないが公知の押出成形機により樹脂成形される。電線保持部26の部分は、金型内面に複数の凸状部及び凹状部を有する金型が用いられて形成される。具体的には、押出成形機のノズルから管状に押し出しされた管状押出品を、金型の複数の凸状部及び凹状部に押し付けたり、真空吸引したりして図示形状に形成される。
【0047】
<本発明の作用について>
上記構成及び構造において、外装部材22の一端側の開口から他端側の開口に向けて導電路21を挿通すると、この時、一対の導電路保持部26の形成部分では、導電路21が一対の導電路保持部26により挟み込まれるような状態になって移動する。そして、導電路21が外装部材22に対し完全に収容保護された状態になると、導電路21は一対の導電路保持部26により、ばたつきが生じないような状態に保持される。すなわち、動き難い状態や動かない状態に保持される。
【0048】
<本発明のまとめ及び効果について>
以上、図1ないし図8を参照しながら説明してきたように、ワイヤハーネス15は、管体形状の外装部材22と、この外装部材22に挿通される導電路21とを備えて構成される。外装部材22は、腹割きなしの形状に形成される。このような外装部材22の中間部(ストレート管部25)には、導電路保持部26が管軸を挟むように一対の状態で配置形成される。導電路保持部26は、管内面27側から見て凸となり且つ管外面28側から見て凹となる形状に形成される。そして、この凹となる形状の部分には、弾力性を有する楕円形状の突起部29が一体に形成される。
【0049】
従って、本発明によれば、一対の導電路保持部26を採用することにより、導電路21を動かないように保持することができる。すなわち、本発明によれば、外装部材22内の所望の位置で導電路21の動きを抑制することができ、以て導電路21側(絶縁体やシース、シールド部材など)の削れ等を防止することができるという効果を奏する。
【0050】
また、本発明によれば、ストレート管部25に一対の導電路保持部26を形成することから、ストレート管部25における所望の位置で導電路21の動きを抑制することができるという効果を奏する。これにより、例えば車両床下11のような長い範囲での導電路21の動きを抑制することができ、以て上記同様に導電路21側の削れ等を防止することができるという効果を奏する。
【0051】
尚、本実施例では、ストレート管部25の中間部に一対の導電路保持部26を形成しているが、これに限らず可撓管部24の例えば中間部に図3ないし図8に示す状態で配置形成したり、外装部材22の端末部や、この端末部近傍に配置形成したりしてもよいものとする。さらには、ストレート管部25と可撓管部24の両方などに配置形成したりしてもよいものとする。
【0052】
また、本発明によれば、外装部材22を腹割きなしの形状に形成することから、防水性及び防塵性等を確保することができ、以て導電路21側への悪影響を排除することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0053】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図9は他の例となる外装部材の要部断面図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図9において、実施例2の外装部材22は、ストレート管部25の所定位置に導電路保持部26が千鳥状に配置形成される。このような千鳥状に導電路保持部26を配置形成しても、実施例1と同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、導電路保持部26により導電路21の動きを抑制することができ、以て導電路21側の削れ等を防止することができるという効果を奏する。
【0055】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1…ハイブリッド自動車、 2…エンジン、 3…モータユニット、 4…インバータユニット、 5…バッテリー、 6…エンジンルーム、 7…自動車後部、 8、9…ワイヤハーネス、 10…中間部、 11…車両床下、 12…ジャンクションブロック、 13…ハーネス端末、 14…シールドコネクタ、 15…ワイヤハーネス、 16…低圧バッテリー、 17…自動車前部、 18…補器、 19…ハーネス本体、 20…コネクタ、 21…導電路、 22…外装部材、 23…外周面、 24…可撓管部、 25…ストレート管部、 26…導電路保持部、 27…管内面、 28…管外面、 29…突起部、 30…凸部(凸となる形状の部分)、 31…凹部(凹となる形状の部分)、 32…くびれ部、 33…断面凸、 34…断面凹
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9