特許第6211040号(P6211040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211040
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】車両シート用リクライナーシャフト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   B60N2/22
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-178388(P2015-178388)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-165992(P2016-165992A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】30-2015-0012052
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】30-2015-0012053
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0106267
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515248584
【氏名又は名称】サンシン インダストリアル カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517018802
【氏名又は名称】ソン,クック‐テ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミン
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−502499(JP,A)
【文献】 特開2000−166679(JP,A)
【文献】 特表2010−504876(JP,A)
【文献】 特開2014−227026(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0283283(US,A1)
【文献】 特開2009−180337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/72
A47C 1/02− 1/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空パイプ形状の本体と、
前記本体の半径方向の外側に突出形成され、前記本体の長さ方向に沿って延長される複数のスプライン突起と、
前記本体の内面で前記スプライン突起に各々対応し、半径方向の外側に陥没形成される複数の溝部を含み、
前記本体は各々互いに異なる曲率中心を有して前記本体の円周方向に互いに離隔して配置される複数の曲面を含み、
前記スプライン突起は前記曲面の間に配置され、
前記溝部は前記スプライン突起と前記本体の中心を繋ぐ仮想の線上に配置される点を曲率中心とする陥没曲面を含み、
前記陥没曲面は断面の一部が半円形態を成すように形成され、
前記曲面の曲率半径は、前記スプライン突起の曲率半径よりも大きいことを特徴とする車両シート用リクライナーシャフト。
【請求項2】
前記複数のスプライン突起は、前記本体の円周方向に沿って45°間隔に互いに離隔して8個が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両シート用リクライナーシャフト。
【請求項3】
前記複数のスプライン突起は、前記本体の一側に突出形成される第1スプライン突起と、前記第1スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って45°間隔に離隔して形成される第2スプライン突起と、前記第2スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って45°間隔に離隔して形成される第3スプライン突起と、前記第3スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って45°間隔に離隔して形成される第4スプライン突起と、前記第4スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って90°間隔に離隔して形成される第5スプライン突起と、前記第5スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って45°間隔に離隔して形成される第6スプライン突起と、前記第6スプライン突起から前記本体の円周方向に沿って45°間隔に離隔して形成される第7スプライン突起と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両シート用リクライナーシャフト。
【請求項4】
前記本体の中心から前記曲率中心までの距離は、前記本体の中心から前記スプライン突起までの距離よりさらに遠く配置されることを特徴とする請求項2に記載の車両シート用リクライナーシャフト。
【請求項5】
前記曲面のうちいずれか一つは前記本体の中心を曲率中心とすることを特徴とする請求項3に記載の車両シート用リクライナーシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリクライナーシャフトに関し、より詳細には車両シートの背もたれを一定の角度で回転及び固定できるようにする車両シート用リクライナーシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者及び搭乗者が座るシートには座板に対して背もたれを前、後方に角度調節が可能なようにするリクライナーを設置することによって、自動車に搭乗した者の搭乗姿勢を運転に適した姿勢に維持したりまたは任意の必要な角度に調節できるようにしている。
【0003】
このようなリクライナーは座板が設置されるクッションフレームと背もたれが設置されるシートバックフレームが相互ヒンジ結合される両側の部位に設置されており、両側のリクライナーはリクライナーシャフトで連結されて連動する。
【0004】
搭乗者は手動または自動でリクライナーシャフトを回転させることによってリクライナーを作動させ、背もたれの角度を調節できるが、リクライナーシャフトが回転するとき背もたれが座板に対して前、後方向に回転する。
【0005】
しかし、従来のリクライナーシャフトは中がすべて埋められた丸棒材質で構成され、重量が非常に重いという問題があり、これによって車両の軽量化の傾向に対応できず、全体的な製造原価を上昇させる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−0627729号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するために案出されたものであり、中が空の中空パイプ形態のリクライナーシャフトを提供することに目的がある。
【0008】
本発明の他の目的は、内部に中空が形成されて重量が軽く、かつ製造原価を節減でき、また十分なねじり強度を維持できるリクライナーシャフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した本発明の目的は、中空パイプ形状の本体と、前記本体の半径方向の外側に突出形成され、前記本体の長さ方向に沿って延長される複数のスプライン突起及び前記本体の内面で前記スプライン突起に各々対応して半径方向の外側に陥没形成される複数の溝部を含み、前記本体は各々互いに異なる曲率中心を有して前記本体の円周方向に互いに離隔配置される曲面を含む車両シート用リクライナーシャフトを提供することによって達成され得る。
【0010】
本発明の好ましい特徴によれば、前記曲率中心は前記本体の中心から同じ距離を有して前記本体の円周方向に一定の角度間隔で離隔配置される点などを含む。
【0011】
本発明の他の好ましい特徴によれば、前記曲率中心は45°間隔で離隔配置される7個の点などを含む。
【0012】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記曲率中心は前記本体の中心から前記スプライン突起までの距離よりさらに遠く配置される。
【0013】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記曲面のうちいずれか一つは前記本体の中心を曲率中心とする。
【0014】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記スプライン突起は前記曲面の間に配置される。
【0015】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記溝部は前記スプライン突起と前記本体の中心を繋ぐ仮想の線上に配置される点を曲率中心とする陥没曲面を含む。
【0016】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記陥没曲面は断面の一部が半円形態を成すように形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明による車両シート用リクライナーシャフトによれば、中が空の中空パイプ形態のリクライナーシャフトが提供されることによって車両の軽量化の一助となり得、製造原価を節減できる効果がある。
【0018】
また、本発明による車両シート用リクライナーシャフトによれば、内部に中空が形成され、重量が軽く、かつ十分なねじり強度が維持され、リクライナーに回転力を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるリクライナーシャフトの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるリクライナーシャフトの断面図である。
図3】本発明の他の一実施形態によるリクライナーシャフトの斜視図である。
図4】本発明の他の一実施形態によるリクライナーシャフトの断面図である。
図5】本発明の一実施形態によるリクライナーシャフトの使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明の実施形態に関し、添付する図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下で説明する実施形態は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が発明を簡単に実施できる程度に詳細に説明するためのものに過ぎず、これによって本発明の保護範囲が限定されることを意味しない。また、本発明の様々な実施形態を説明することにおいて、同じ技術的な特徴を有する構成要素に対しては同じ図面符号を使用する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態によるリクライナーシャフト100の斜視図である。
【0022】
本発明の一実施形態による車両シート用リクライナーシャフト100は、アルミニウムなどの金属材質として中が空の中空パイプ形状からなり、両端が車両のシート(図5の10を参照)の両側に備えられるリクライナー装置(図5の20を参照)に各々スプライン結合される。
【0023】
本発明の一実施形態によるリクライナーシャフト100は、中空パイプ形状の本体200と、本体200の外部に突出形成される複数のスプライン突起300と、本体200の中空の内面にそれぞれのスプライン突起300と対応するように陥没形成される複数の溝部400を含む。
【0024】
スプライン突起300は、本体200の半径方向の外側に突出する突起の形状を成す。溝部400はスプライン突起300と対応するように本体200の内面で半径方向の外側に陥没形成される。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態によるリクライナーシャフトの断面図である。
【0026】
図2を参照すると、複数のスプライン突起300は本体200の円周方向に沿って互いに離隔して8個が形成される。この際、各突起は一定の角度(θ1)間隔で互いに離隔配置される。すなわち、各突起の端点を連結すると正八角形の形状になる。
【0027】
以下、説明の便宜上、図面上の上側のスプライン突起を第1スプライン突起301とし、第1スプライン突起301から反時計回りに沿って離隔形成される各々のスプライン突起は順に第2スプライン突起302、第3スプライン突起303、第4スプライン突起304、第5スプライン突起305、第6スプライン突起306、第7スプライン突起307、第8スプライン突起308と呼ぶ。
【0028】
本発明による一実施形態によれば、各スプライン突起は同じ形状を成すように形成され得る。スプライン突起は本体200の中心から同じ距離を有して離隔して形成される。
【0029】
スプライン突起は本体200の一部を成す曲面の間に配置される。
【0030】
それぞれの曲面は互いに異なる曲率中心を有して本体200の円周方向に互いに離隔配置される。
【0031】
図面によれば、各曲面は互いに同じ形状を成すように形成される。すなわち、本体200の中心から同じ距離離れ、本体200の円周方向に一定の角度離れて配置される点が各曲面の曲率中心になる。
【0032】
例えば、第1スプライン突起301と第2スプライン突起302との間に配置される曲面は本体200の外部に配置される点M2を曲率中心にする曲面を形成する。曲面の外周面212は本体200の内面となり、曲面の内周面222は本体200の外面になる。
【0033】
第1スプライン突起301と第8スプライン突起308との間に配置される曲面は上述した曲率中心M2から時計周りに45°回転した点を曲率中心とする。同様に各曲面の曲率中心はM2点から45°の倍数だけ回転した点を曲率中心にして形成される。
【0034】
溝部400はスプライン突起300と対応するように本体200の内面で半径方向の外側に陥没形成される。
【0035】
溝部400はスプライン突起300と本体200の中心M1を繋ぐ仮想の線上に配置される点を曲率中心として本体200の内面から陥没する陥没曲面を含む。
【0036】
陥没曲面は断面の一部が半円形態を成すように形成され得る。例えば、図2示すように陥没曲面の断面は直径がr1である半円を含み得る。
【0037】
本発明の具体的な実施形態によれば、スプライン突起の端点の間の距離(最大直径)を10.8というとき、曲面の曲率半径は2.41になり、陥没曲面の曲率半径は0.5になる。この際の本体の厚さは1になる。
【0038】
図3は、本発明の他の実施形態によるリクライナーシャフトの斜視図である。
【0039】
本発明の他の実施形態による車両シート用リクライナーシャフト100は、図1に示すリクライナーシャフトと同様にアルミニウムなどの金属材質として中が空の中空パイプ形状からなり、両端が車両のシート(図5の10を参照)の両側に備えられるリクライナー装置(図5の20を参照)に各々スプライン結合される。
【0040】
図3を参照すると、リクライナーシャフト100は中空パイプ形状の本体200と、本体200の外部に突出形成される複数のスプライン突起300と、本体200の中空内面に各々のスプライン突起300と対応するように陥没形成される複数の溝部400を含む。
【0041】
本実施形態によれば、スプライン突起300は本体200の円周方向に沿って離隔形成される7個の突起で構成される。より具体的には、本実施形態で本体200は図2に示す8個の突起のうちいずれか一つが省略された形状である。これによれば、他のすべての突起は同じ間隔で形成されるが、前記省略された突起に隣接した二つの突起は他の突起の間隔より広い間隔を有するように配置される。例えば、以下の図4に示すように第4スプライン突起304と第5スプライン突起305との間の間隔は他の突起の間隔の2倍になるように形成され得る。
【0042】
溝部400はスプライン突起300と対応するように本体200の内面で半径方向外側に陥没形成される。
【0043】
図4は、本発明の他の一実施形態によるリクライナーシャフトの断面図である。
【0044】
図4を参照すると、複数のスプライン突起300は本体200の円周方向に沿って互いに離隔して7個が形成される。この際、各突起は一定の角度(θ1)間隔で互いに離隔配置され得る。
【0045】
以下、説明の便宜上、図面上の上側のスプライン突起を第1スプライン突起301とし、第1スプライン突起301から反時計回りに沿って離隔して形成される各々のスプライン突起は順に第2スプライン突起302、第3スプライン突起303、第4スプライン突起304、第5スプライン突起305、第6スプライン突起306、第7スプライン突起307と呼ぶ。
【0046】
本発明の他の実施形態によれば、第4スプライン突起304と第5スプライン突起305との間には他のスプライン突起の間の曲面よりさらに広いサイズの曲面が形成される。すなわち、第4スプライン突起304と第5スプライン突起305は他の突起とは異なりθ2だけ離隔配置される。
【0047】
第4スプライン突起304と第5スプライン突起305との間の曲面は本体200の中心M1を曲率中心とする曲面を成す。すなわち、他の曲面は本体200の外部の点を曲率中心とすることに対し、第4スプライン突起304と第5スプライン突起305との間の曲面は本体200の内部の点を曲率中心とする。
【0048】
より具体的には、第1スプライン突起301と第8スプライン突起308との間に配置される曲面は上記説明した曲率中心M2から時計周りに45°回転した点を曲率中心とする。同様に各曲面の曲率中心はM2点と同じ距離を有して45°の倍数だけ回転した点を曲率中心にして形成される。ただし、第4スプライン突起304と第5スプライン突起305との間の曲面は他の曲面とは異なり、本体200の中心M1を曲率中心とする。
【0049】
図2の実施形態と同様に、本実施形態でも溝部400はスプライン突起300と対応するように本体200の内面で半径方向の外側に陥没形成される。
【0050】
溝部400はスプライン突起300と本体200の中心M1を繋ぐ仮想の線上に配置される点を曲率中心とし、本体200の内面から陥没する陥没曲面を含む。
【0051】
陥没曲面は断面の一部が半円形態を成すように形成され得る。しかし、陥没曲面の断面形状は半円形態に限定されない。例えば、断面の形状は楕円形や多角形など多様な形態を成すように形成され得る。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態による車両シート用リクライナーシャフトの使用状態図である。
【0053】
リクライナーシャフト100の外周面に突出形成されたスプライン突起300はリクライナー装置20のスプライン溝(図示せず)に歯合され、リクライナーシャフト100の回転力をリクライナー装置20に伝達する役割を果たし、この際、上述した通りスプライン突起300と溝部400が構成されることによって、リクライナーシャフト100は従来のものより重量と材料費を節減できる中空形態で形成され、かつねじり変形を防止できる強度を有するようになる。
【0054】
上記のように構成される本発明の少なくとも一実施形態による車両シート用リクライナーシャフトは、中が空の中空パイプ形態のリクライナーシャフトが提供されることによって車両の軽量化の一助となり得、製造原価を節減する効果がある。また、内部に中空が形成され、重量が軽く、かつ十分なねじり強度が維持されてリクライナーに回転力を伝達できるなど従来のシャフトに比べて向上した効果を期待することができる。
【0055】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の特許請求の範囲から外れない範囲で多様に変形実施可能であることを理解することができる。
【符号の説明】
【0056】
100 リクライナーシャフト
200 本体
212 曲面の外周面
214 陥没曲面
222 曲面の内周面
300 スプライン突起
301 第1スプライン突起
302 第2スプライン突起
303 第3スプライン突起
304 第4スプライン突起
305 第5スプライン突起
306 第6スプライン突起
307 第7スプライン突起
図1
図2
図3
図4
図5