(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について
図1〜
図8を参酌しつつ説明する。
図1に示す包装用容器は、各種の内容物を収容可能な蓋付きの包装用容器である。但し、蓋なしの容器本体1のみの構成であってもよい。
図1の包装用容器は、上面開口の容器本体1と、該容器本体1の上面開口部を閉塞すべく容器本体1に着脱可能に装着される蓋2とを備えている。容器本体1と蓋2は何れも合成樹脂製シートを熱成形することにより形成されている。尚、容器本体1と蓋2とは、互いに嵌合してその嵌合構造によって閉蓋状態を維持する構成であってもよいし、蓋2の所定部分が容器本体1の所定部分に単に重なる構成であって輪ゴム等や粘着テープ、熱融着等で閉蓋状態を維持する構成であってもよい。容器本体1と蓋2とが嵌合する構成においては、蓋2が容器本体1の外側に嵌合するいわゆる外嵌合構造であってもよいし、蓋2が容器本体1の内側に嵌合するいわゆる内嵌合構造であってもよいし、外嵌合構造と内嵌合構造の両方を採用した構造であってもよい。また、いわゆるボタン嵌合であってもよい。以下の説明では嵌合構造を有しない重ね合わせ構造を採用した包装用容器について説明するが、各種の嵌合構造を採用した包装用容器であっても無論よい。
【0015】
<容器本体1>
図1及び
図2に示す容器本体1は平面視において各種の形状であってよく、例えば平面視丸形や平面視多角形状であってよい。尚、多角形状の場合には、各辺が僅かに外側に膨らむように湾曲していたり逆に内側に凹むように湾曲していたりしてもよい。また、各辺間のコーナー部も面取りされていたり角丸状等であってもよい。本実施形態では平面視長方形状の容器本体1を例に説明する。容器本体1は、
図6にも示しているように、底面部10と、該底面部10の周縁から拡開しつつ上方に立ち上がる本体側面部11と、該本体側面部11の外側に形成された本体フランジ部12とを備えている。尚、内外方向とは、容器本体1や蓋2が平面視矩形である場合には、各辺においては各辺と平面視において直交する方向であり、隣り合う辺間のコーナー部が弧状の角丸形状である場合においては、周回方向に沿って順次角度が変化していくことから、コーナー部の全体としては放射方向となる。また、容器本体1や蓋2が平面視円形である場合には内外方向は径方向となる。
【0016】
<底面部10>
底面部10は平面視長方形状に形成されている。底面部10には各種のリブを設けることが好ましい。また、底面部10の中央部には上方に向けて所定高さ膨出してその上面が平坦とされた平坦領域を設けることが好ましく、また、その平坦領域の周囲には周回するリブを一条あるいは複数条設けることも好ましい。更に、底面部10から本体側面部11にかけて連続するリブを設けることも好ましい。底面部10から本体側面部11にかけて連続するリブとしては、凸状のリブを設けると共に、その凸状のリブの例えば幅方向の中央の位置に、その凸状のリブの突出方向とは逆方向に突出する細い突条を更に形成した複合リブとしてもよい。例えば、外面側に突出する凸状のリブを形成し、そのリブに更に内面側に突出する細い突条を形成した複合リブを設けてもよい。細い突条はリブの全長に亘って形成してもよいし、部分的に形成してもよい。尚、底面部10の上面に仕切り壁を設けたり、底面部10の下面に脚部を突設したりしてもよい。
【0017】
<本体側面部11>
本体側面部11は底面部10の周縁から上方に向けてテーパ状に拡開しつつ延びている。従って、本体側面部11は水平面に対して90度未満の立ち上がり角度で立ち上がっている。該本体側面部11にも各種のリブを設けることが好ましく、上述のように底面部10から本体側面部11にかけて上下方向に連続するリブを設けることも好ましい。本体側面部11に縦方向に沿ってリブを設ける場合、その縦リブは本体側面部11の下端から上端まで全長に亘って形成されることが好ましい。また、本体側面部11の上端には面取り部(緩傾斜部)を全周に亘って設けることも好ましい。該面取り部は、本体側面部11の他の部分よりも水平面からの立ち上がり角度が小さい。尚、図示しないが、本体側面部11と本体フランジ部12との境界部の外面に、外側に向けて突出する例えば半円状のブロッキング防止用凸部を設けてもよい。
【0018】
<本体フランジ部12>
本体フランジ部12は全周に亘って形成されている。本体フランジ部12は、
図3、
図4及び
図7のように、本体側面部11の上端から外側に向けて略水平に延設された本体側合わせ面部13と、該本体側合わせ面部13の外縁から下方に垂下する垂下壁部14と、該垂下壁部14の下端から外側に向けて延設された外周縁部15とを備えている。本体側合わせ面部13は、全周に亘って形成されている。本体側合わせ面部13の上面はリブ等のない平滑面とされることが好ましいが、全周のうちの一部には本体側合わせ面部13を内外方向に横断する凹溝を形成してもよい。垂下壁部14は、本体側合わせ面部13の外縁から下方に向けて延設されているが、若干外側に拡がりつつ延びるようにすることが好ましい。尚、垂下壁部14の上端から下端までの長さは任意であるが、本体側合わせ面部13の幅(内外方向の寸法)よりも短いことが好ましい。該垂下壁部14も全周に亘って形成されており、その下端の高さは全周に亘って略一定とされる。
【0019】
<容器本体1の外周縁部15>
外周縁部15は、垂下壁部14の下端から外側に向けて全体として水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜して延びている。該外周縁部15は、内周部16と段差部17と外周部18とを備えている。内周部16は、垂下壁部14の下端から外側に向けて水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜するようにして延びている。尚、垂下壁部14と内周部16とを曲面部で接続する構成としてもよい。内周部16と外周部18との間に段差部17が形成されている。該段差部17は、外側が高くなる形状であってもよいし、逆に、外側が低くなる形状であってもよいが、本実施形態では外側が低くなる形状であって、従って、外周部18は内周部16よりも一段低く形成されている。外周部18は、段差部17から外側に向けて水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜しつつ延びており、該外周部18の外縁が本体フランジ部12の外縁であって容器本体1の外縁を構成している。
【0020】
そして、外周部18と内周部16には、それぞれ細かい凹凸形状が多数形成されている。本実施形態では、好ましい例として細かい凹凸形状が全周に亘って形成されている。該凹凸形状は種々の形状であってよく、平面視において丸形や矩形等の島状の凸部や凹部を上面や下面にしてもよいが、内外方向に沿って延びる突条や凹溝を周回方向に一定間隔毎に多数形成することが好ましい。また、突条や凹溝が内外方向に対して所定角度傾斜したものであってもよく、その傾斜角度が互いに逆となった突条や凹溝が交差する形態、いわゆるクロスハッチングのような形態であってもよい。凹凸形状はエンボス状やローレット状であってよい。ローレットも斜めローレットや平目ローレット、綾目ローレットであってよい。この凹凸形状はシートを熱成形する際に同時に形成できる。また、特に、凹凸形状は、シートの端面を正面に見たとき、正弦波や三角波、台形波等の細かな波形形状に形成することが好ましい。また、内外方向に延びる突条や凹溝が、外周部18の外縁から段差部17を介して内周部16の内縁まで連続して形成されていてもよいし、外周部18の突条や凹溝と内周部16の突条や凹溝とが段差部17において不連続になっていてもよい。内外方向に延びる突条や凹溝が、外周部18の外縁から段差部17を介して内周部16の内縁まで連続して形成されていない場合であっても、例えば、外周部18の突条や凹溝が段差部17まで連続していたり、あるいは、内周部16の突条や凹溝が段差部17まで延びていたりしてもよい。外周部18の突条や凹溝と内周部16の突条や凹溝とが、平面視において互いに同一線上に位置していてもよいし互いに位置ずれしていてもよい。また、内周部16の突条や凹溝が垂下壁部14の全部あるいは下部まで連続していてもよい。即ち、凹凸形状は外周縁部15のみならず垂下壁部14まで形成されていてもよい。好ましくは、内周部16の凹凸形状は内周部16の内外方向の全幅に亘って形成される。また、好ましくは、外周部18の凹凸形状は外周部18の内外方向の全幅に亘って形成される。
【0021】
以下、具体例を挙げて説明する。一例としては、
図3及び
図8のように、外周部18に凹溝30と突条31とが形成され、内周部16にも凹溝30と突条31とが形成される。外周部18の凹溝30と突条31は周回方向に交互に形成され且つ全周に亘って形成される。即ち、外周部18において凹溝30が周回方向に一定間隔毎に形成されていると共に突条31も周回方向に一定間隔毎に形成されている。内周部16の凹溝30や突条31についても同様である。
図3においては、外周部18の凹溝30と内周部16の凹溝30とが平面視において同一線上に位置しており、同様に、外周部18の突条31と内周部16の突条31とが平面視において同一線上に位置しているが、例えば、
図10(a)のように、外周部18の凹溝30と内周部16の凹溝30とが平面視において同一線上には位置せずに互いに周回方向に位置ずれしていてもよいし、同様に、外周部18の突条31と内周部16の突条31とが平面視において同一線上に位置せずに互いに周回方向に位置ずれしていてもよい。また、
図3では、凹溝30とその隣の突条31とが略同一幅で形成されているが、凹溝30と突条31の幅は任意であって、凹溝30と突条31の幅が互いに異なっていてもよく、例えば、
図10(a)のように凹溝30の方が幅広であってもよいし、逆に、突条31の方が幅広であってもよい。また、外周部18の凹溝30や突条31と内周部16の凹溝30や突条31とが互いに異なる幅やピッチで形成されていてもよい。また更に、凹溝30や突条31は内外方向に延びたものでなくてもよく、内外方向に対して何れか方向に傾斜した傾斜方向に延びたものであってもよい。例えば、
図10(b)のように、内周部16の凹溝30と突条31が内外方向に対して一方向に傾斜すると共に、外周部18の凹溝30と突条31が内外方向に対して逆方向に傾斜していて、内周部16の凹溝30及び突条31と外周部18の凹溝30及び突条31とが逆向きの傾斜、即ち交差する関係であってもよく、同図のように、内周部16の凹溝30及び突条31と外周部18の凹溝30及び突条31とが平面視において段差部17でくの字状に屈曲する構成であってもよい。また、図示しないが、内周部16の凹溝30及び突条31と外周部18の凹溝30及び突条31とが平面視において全体としてU字状に湾曲した構成であってもよいし、S字状に湾曲していたりしてもよい。このように屈曲したり湾曲したりする構成であっても、内周部16の凹溝30や突条31と外周部18の凹溝30や突条31とが段差部17において連続せずに不連続の構成であってもよい。また更に、内周部16と外周部18の少なくとも一方において凹溝30や突条31がクロスハッチングの如く交差して形成されていてもよい。例えば、
図11のように、内周部16の凹溝30及び突条31が内外方向に沿って延びている構成であって、外周部18には凹溝30がクロスハッチングの如く交差して形成されていてもよい。無論、内周部16に凹溝30をクロスハッチングの如く交差して形成してもよいし、内周部16と外周部18の何れにも凹溝30をクロスハッチングの如く交差して形成してもよい。同様に、内周部16や外周部18に突条31をクロスハッチングの如く交差して形成してもよい。
【0022】
上述したように、凹溝30や突条31は段差部17を内外方向に横断するようにして外周部18の外縁から内周部16の内縁まで連続して形成されていてよい。また、外周部18の凹溝30及び突条31と内周部16の凹溝30及び突条31とが段差部17において不連続になっていてもよい。
図4に、外周部18の凹溝30及び突条31と内周部16の凹溝30及び突条31とが段差部17において不連続になっている構成を図示している。また、内周部16の凹溝30や突条31が垂下壁部14まで連続して形成されていてもよいし、垂下壁部14まで延びていない構成であってもよい。例えば、
図4(a)には、凹溝30が外周縁部15のみに形成されていて垂下壁部14には達していない構成を図示しており、また、
図4(b)には垂下壁部14まで延びている構成を図示している。尚、上述したように、これらの
図4に示している構成において、内周部16の凹溝30や突条31、あるいは、外周部18の凹溝30や突条31が、段差部17まで連続していてもよい。また、内周部16の凹溝30や突条31が垂下壁部14まで延びている構成において、内周部16の凹溝30や突条31が垂下壁部14の上端まで達していてもよいし、逆に、垂下壁部14の上端まで達することなく上下方向の中途部で止まっている形態であってもよい。例えば、
図4(b)では凹溝30が垂下壁部14の上端には達することなく上下方向の中途部で止まっている構成が図示されている。
【0023】
また、
図4のように、外周縁部15の上面に、周回方向に一定間隔毎に凹溝30が多数形成されることにより、隣り合う凹溝30間には凹溝30が形成されずに残った突条31が形成されてよい。尚、残部ではなく、凹溝30と凹溝30との間に、逆に上方に向けて突条31を突出形成してもよい。突条31も凹溝30と同様に内外方向に延びていて、段差部17を内外方向に横断するように外周部18の外縁から内周部16の内縁まで連続して形成してよい。従って、外周縁部15にはその内外方向の全幅に亘って凹溝30と突条31とが形成され、その凹溝30と突条31は周回方向に交互に形成され且つ全周に亘って形成されてよい。
【0024】
凹溝30の深さ寸法や突条31の突出量は合成樹脂製シートの厚さよりも大きいことが好ましく、より好ましくはその厚さの2倍以上5倍以下である。凹溝30に限られず種々の形状の凹凸形状であっても同様であって、凹凸形状における高低差、即ち、上面の最上部から上面の最下部までの寸法(
図7に符号Hで示している)は、シートの厚さよりも大きいことが好ましく、シートの厚さの2倍以上5倍以下がより好ましい。
【0025】
また、平面視における段差部17の位置や形状も任意である。例えば、本実施形態では、段差部17が外周縁部15の内外方向の中央に位置しているが中央以外であってもよく、中央から内側あるいは外側に偏心した位置に段差部17を形成してもよい。また、段差部17の位置が全周に亘って一定であってもよいが、段差部17の内外方向の位置が周回方向に沿って変動、変化させたものであってもよい。即ち、平面視における段差部17の形状は、
図3(a)のように周回方向に沿って一直線状に延びる形状であってもよいし、
図3(b)のように波形やギザギザ状等であってもよい。段差部17は、
図2のように全体としては周回方向に沿って延びていて本体側合わせ面部13や垂下壁部14と平行に延びているものの、ミクロ的には
図3(b)のように平面視において波形であってもよい。より詳細には、平面視において、段差部17は、凹溝30(凹部)においては相対的に内側に位置し、凹溝30間の突条31(凸部)においては相対的に外側に位置するように、凹凸形状に対応して波形あるいはギザギザ状に形成されていてもよい。
【0026】
尚、段差部17の高低差(段差の大きさ)についても任意であるが、シートの厚さよりも大きいことが好ましい。また、垂下壁部14は段差部17よりも高低差が大きいことが好ましい。尚、外周縁部15の幅(内外方向の寸法)は、本体側合わせ面部13の幅と同じかそれ以上であることが好ましい。
【0027】
<蓋2>
蓋2は、
図5のように容器本体1に対応する平面視形状であって全体として平面視矩形であり、本実施形態では容器本体1が平面視長方形状であるため、それに対応して蓋2も平面視長方形状となっている。詳細には、蓋2は、閉蓋状態において容器本体1の収容空間と合わせて容器全体の収容空間が拡大されるように、閉蓋状態において中央部が上方に膨出する形状となっており、
図6のように、天面部20と、該天面部20の周縁から下方に拡開しつつ延設された蓋側面部21と、該蓋側面部21の外側に形成された蓋フランジ部22とを備えている。
【0028】
天面部20は底面部10と対応し、蓋側面部21は本体側面部11と対応し、蓋フランジ部22は本体フランジ部12と対応していて、閉蓋状態において、蓋フランジ部22は本体フランジ部12の上側に対峙して重なり合った状態となる。天面部20の中央部の主要領域には、内容物の視認性を確保するために、リブや凹凸形状を設けずに平滑面とした領域を設けることが好ましい。逆に、その平滑面からなる主要領域の周囲には、周回するリブを設けて強度を確保することが好ましく、また、天面部20から蓋側面部21にかけて連続するリブを設けることも好ましい。容器本体1と同様に、天面部20から蓋側面部21にかけて連続するリブとしては、凸状のリブを設けると共に、その凸状のリブの例えば幅方向の中央の位置に、その凸状のリブの突出方向とは逆方向に突出する細い突条を更に形成した複合リブとしてもよい。例えば、外面側に突出する凸状のリブを形成し、そのリブに更に内面側に突出する細い突条を形成した複合リブを設けてもよい。細い突条はリブの全長に亘って形成してもよいし、部分的に形成してもよい。
【0029】
蓋側面部21の高さは本体側面部11の高さと同等であってもよいが本体側面部11の高さよりも低いことが好ましい。また、蓋側面部21を有しない構成、即ち、天面部20が後述する蓋側合わせ面部23と同じ高さであってもよい。つまり、天面部20の周縁部から蓋側合わせ面部23が構成されてもよい。蓋側面部21にも各種のリブを設けることが好ましく、上述のように天面部20から蓋側面部21にかけて上下方向に連続するリブを設けることも好ましい。蓋側面部21に縦方向に沿ってリブを設ける場合、その縦リブは蓋側面部21の上端から下端まで全長に亘って形成されることが好ましい。また、蓋側面部21の下端には面取り部(緩傾斜部)を全周に亘って設けることも好ましい。尚、図示しないが、蓋側面部21と蓋フランジ部22との境界部の外面に、外側に向けて突出する例えば半円状のブロッキング防止用凸部を設けてもよい。
【0030】
<蓋フランジ部22>
蓋フランジ部22も
図5のように全周に亘って形成されている。蓋フランジ部22は、
図7のように、蓋側面部21の下端から外側に向けて略水平に延設された蓋側合わせ面部23と、該蓋側合わせ面部23の外縁から下方に垂下する垂下壁部24と、該垂下壁部24の下端から外側に向けて延設された外周縁部25とを備えている。閉蓋状態において、蓋側合わせ面部23は本体側合わせ面部13の上側に重なり合い、蓋2の垂下壁部24は容器本体1の垂下壁部24の外側に重なり合い、これらの重なり合いによって容器本体1と蓋2との間の隙間が小さくなる。蓋側合わせ面部23の下面はリブ等のない平滑面とされることが好ましいが、下面の全周のうちの一部に蓋側合わせ面部23を内外方向に横断する凹溝を形成してもよい。垂下壁部24は、蓋側合わせ面部23の外縁から下方に向けて延設されているが、若干外側に拡がりつつ延びるようにすることが好ましい。尚、垂下壁部24の上端から下端までの長さは任意であるが、蓋側合わせ面部23の幅(内外方向の寸法)よりも短いことが好ましい。該垂下壁部24も全周に亘って形成されており、その下端の高さは全周に亘って一定とされる。
【0031】
<蓋2の外周縁部25>
外周縁部25は、垂下壁部24の下端から外側に向けて全体として水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜して延びている。該外周縁部25は、内周部26と段差部27と外周部28とを備えている。内周部26は、垂下壁部24の下端から外側に向けて水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜するようにして延びている。尚、垂下壁部24と内周部26とが曲面部で接続されるように構成されてもよい。内周部26と外周部28との間に段差部27が形成されている。該段差部27は、外側が高くなる形状であってもよいし、逆に、外側が低くなる形状であってもよいが、本実施形態では外側が高くなる形状であって、従って、外周部28は内周部26よりも一段高く形成されている。外周部28は、段差部27から外側に向けて水平あるいは若干下方又は若干上方に傾斜しつつ延びており、該外周部28の外縁が蓋フランジ部22の外縁であって蓋2の外縁を構成している。上述したように本体フランジ部12の外周縁部15における段差部17は外側が低くなる形状であり、従って、本体フランジ部12の外周縁部15における段差部17と蓋フランジ部22の外周縁部25における段差部27とは、上下逆向きとなっている。
【0032】
図8のように、蓋フランジ部22の外周部28と内周部26にも本体フランジ部12と同様にそれぞれ細かい凹凸形状が多数形成されており、本実施形態では好ましい例として細かい凹凸形状が全周に亘って形成されている。この凹凸形状は本体フランジ部12のものと同様のものとすることができる。但し、蓋フランジ部22の凹凸形状と本体フランジ部12の凹凸形状は上下逆向きであることが好ましい。即ち、上述のように本実施形態では本体フランジ部12の上面に凹溝30を形成したので、蓋フランジ部22の外周縁部25にはその下面に凹溝40を本体フランジ部12の凹溝30と対向する位置関係で形成することが好ましい。
【0033】
蓋フランジ部22の外周縁部25の下面には、内外方向に沿って延びる凹溝40が周回方向に一定間隔毎に多数形成されている。該凹溝40は段差部27を内外方向に横断するようにして外周部28の外縁から内周部26の内縁まで連続して形成されてよい。このように外周縁部25の下面に、周回方向に一定間隔毎に凹溝40を多数形成することにより、隣り合う凹溝40間には凹溝40が形成されずに残った残部が突条41として形成されてよい。尚、残部ではなく、凹溝40と凹溝40との間に、逆に下方に向けて突出する突条41を形成してもよい。突条41も凹溝40と同様に内外方向に延びていて、段差部27を内外方向に横断するように外周部28の外縁から内周部26の内縁まで連続して形成されていてよい。従って、外周縁部25の下面にはその内外方向の全幅に亘って凹溝40と突条41とが形成され、その凹溝40と突条41は周回方向に交互に形成され且つ全周に亘って形成されていてよい。このように蓋フランジ部22の下面の凹溝40及び突条41は、閉蓋状態において、本体フランジ部12の上面の凹溝30及び突条31と対向した位置関係にあって互いに上下対称配置となっていることが好ましく、閉蓋状態では蓋フランジ部22の突条41と本体フランジ部12の突条31とが当接するか、あるいは、若干の隙間を介して対峙することになる。また、このように上下対称形状及び上下対称配置であると、蓋フランジ部22の内周部26と本体フランジ部12の内周部16が重なり合いやすくなるため、蓋側合わせ面部23と本体側合わせ面部13とが重なり合いやすくなる。但し、蓋フランジ部22の凹凸形状と本体フランジ部12の凹凸形状とが互いに上下対向関係になくてもよいし、また上下対称形状でなくてもよく、互いに異なる形状であってもよい。
【0034】
<熱成形>
容器本体1や蓋2はいわゆるシート成形により形成されている。シート成形としては例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等があり、何れにしても合成樹脂製のシートを熱成形することにより形成される。ここで、合成樹脂製のシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂から構成されたシートを使用することができる。また、より薄肉軽量化するために、これらのシートを一軸もしくは二軸延伸した延伸シートとすることが好ましい。このような延伸シートは延伸処理により透明性や強度が向上するため特に好ましい。また、シートは、これらの樹脂の単層シート、もしくはこれらを複数積層した積層シートであってよく、更には、印刷を施した又は印刷を施していない、異なる樹脂のフィルムを積層したものであってよい。シートは薄肉のものが好ましく0.5mm以下、その中でも特に0.3mm以下のものが好ましく、そのような薄肉のものである場合に、外周縁部15,25に段差部17,27を形成すると共に内周部16,26と外周部18,28に凹凸形状を形成することによる効果が特に大きい。
【0035】
上記構成の容器本体1にあっては、本体フランジ部12の外周縁部15の内周部16と外周部18の何れにも細かい凹凸形状が全周に亘って形成されていると共に段差部17も全周に亘って周回しているので、これら内外二重の凹凸形状と段差部17とによって、薄いシートを使用しても本体フランジ部12の外周縁部15に発生しやすい波打ち現象を防止できて、良好な外観体裁を確保することができる。また、外周部18に細かい凹凸形状が形成されていてそれが外周部18の外縁まで達しているので、外周部18の外縁をシートの端面側から見たときに、外周部18の外縁が周回方向に沿って上下に変化した細かな波形形状となり、従って、ラップ包装したときにラップ切れが生じにくくなり、また、本体フランジ部12の外周縁部15における切創も発生しにくく、しかも容器を開けやすい。
【0036】
蓋2においても同様に、蓋フランジ部22の外周縁部25の内周部26と外周部28の何れにも細かい凹凸形状が全周に亘って形成されていると共に段差部27も全周に亘って周回しているので、これら内外二重の凹凸形状と段差部27とによって、薄いシートを使用しても蓋フランジ部22の外周縁部25に発生しやすい波打ち現象を防止できて、良好な外観体裁を確保することができる。また、外周部28に細かい凹凸形状が形成されていてそれが外周部28の外縁まで達しているので、外周部28の外縁をシートの端面側から見たときに、外周部28の外縁が周回方向に沿って上下に変化した細かな波形形状となり、従って、ラップ包装したときにラップ切れが生じにくくなり、また、蓋フランジ部22の外周縁部25における切創も発生しにくくなる。
【0037】
そして、本体フランジ部12の外周縁部15において波打ち現象が防止されると共に蓋フランジ部22の外周縁部25においても波打ち現象が防止されることにより、閉蓋状態において本体側合わせ面部13と蓋側合わせ面部23が面接触しやすくなって、両者の間に隙間が生じにくくなる。また、本体フランジ部12の垂下壁部14と蓋フランジ部22の垂下壁部24も面接触しやすくなる。従って、収容された食品が乾燥しにくくなる。特に、嵌合構造を有しない簡易な構成であっても食品の乾燥を容易に防止できる。
【0038】
また、容器本体1と蓋2の外周縁部15,25の凹凸形状が段差部17,27を横断しているので、凹凸形状と段差部17,27の複合構造による相互作用によって外周縁部15,25の強度がより一層高まり、波打ち現象をより一層防止することができる。尚、凹溝30,40や突条31,41が外周部18,28の外縁から内周部16,26の内縁まで連続して形成されていなくてもよく、例えば、内周部16,26の内縁まで達しない構成であっても、凹溝30,40や突条31,41が段差部17,27まで連続していれば外周部18,28や内周部16,26の凹凸形状と段差部17,27との複合構造によって大きな補強効果が得られる。同様に、外周部18,28の凹凸形状と内周部16,26の凹凸形状が連続していない場合も同様であって、例えば、外周部18,28の凹凸形状が段差部17,27まで連続していたり、内周部16,26の凹凸形状が段差部17,27まで延びていたりしても相互作用による強度アップ効果が得られる。但し、凹溝30,40や突条31,41が外周部18,28の外縁から内周部16,26の内縁まで連続して形成していると補強効果がより一層高くなるため好ましい。
【0039】
尚、外周縁部15,25の内外方向の幅は全周に亘って一定でなくてもよい。例えば、外周縁部15,25の幅が各辺部よりもコーナー部において広く形成されていてもよい。即ち、一例として
図9に容器本体1のコーナー部を示しているが、このようにコーナー部に、外周縁部15が幅広になるように外側に膨出した膨出部50を設けてもよい。内周部16と外周部18の何れもがコーナー部において幅広に形成されていてもよいが、
図9のように、内周部16は全周に亘って幅一定とする一方、外周部18がコーナー部において幅広に形成されて膨出部50が形成されていることが好ましい。何れにしても、幅広に形成された膨出部50が外周縁部15のコーナー部に形成されることにより、コーナー部における外周縁部15を摘みやすくなって開蓋動作が楽になる。従って、容器本体1の外周縁部15と蓋2の外周縁部25の双方をコーナー部において幅広とすることが好ましい。
【0040】
尚、上記実施形態では、好ましい一例として、容器本体1の内周部16及び外周部18のそれぞれに全周に亘って細かい凹凸形状がされていたが、内周部16や外周部18の全周のうちの一部に、細かい凹凸形状が形成されていない空白部60が存在していてもよい。例えば、一例を挙げると、
図13のように容器本体1の内周部16の一対の長辺部にそれぞれ一箇所ずつ空白部60を設けてもよい。空白部60を設ける箇所は任意であって、
図13では長辺部の中央部に設けているが、中央部でなくてもよく、中央部からコーナー部側に偏心した位置に設けてもよい。また、一対の長辺部にそれぞれ設けなくてもよく、何れか一方の長辺部に空白部60を設けてもよい。また、長辺部ではなく短辺部に空白部60を設けてもよく、長辺部と短辺部の双方に空白部60を設けてもよい。更には、空白部60の数も一箇所ではなく複数箇所であってもよい。また、空白部60の周方向の長さについても任意である。例えば、内周部16の長辺部のみに細かい凹凸形状をその全長に亘って多数形成する一方、内周部16の短辺部には細かい凹凸形状を設けないようにしてもよい。逆に、内周部16の短辺部のみに細かい凹凸形状を形成するようにしてもよい。外周部18についても同様である。但し、内周部16や外周部18の大部分に細かい凹凸形状を設けることが好ましく、内周部16や外周部18の全周分の長さのうち半分以上の長さに相当する領域に細かい凹凸形状を設けることが好ましい。特に、内周部16はその全周のうちの大部分に細かい凹凸形状を形成することが好ましく、外周部18は全周に亘って細かい凹凸形状を形成することが好ましい。蓋2についても同様である。
【0041】
また、上記実施形態では容器本体1と蓋2とが別個独立に形成されたツーピース構成の包装用容器であったが、
図12のように容器本体1と蓋2とが一体的に形成されたワンピース構成、即ち蓋一体型の包装用容器であってもよい。容器本体1と蓋2との間には両者を連結するためのヒンジ部3が設けられ、蓋2は、ヒンジ部3によって、容器本体1に対して水平軸線回りに回動可能である。
図12に示す包装用容器は、各種の食品を収容する、いわゆるフードパックと呼ばれるものである。
【0042】
容器本体1の全周に本体フランジ部12が形成されているが、四辺のうちの三辺は同一の構成であり、残る一辺はヒンジ部3を構成するため他の三辺とは異なる構成となっている。詳細には、本体フランジ部12は、ヒンジ部3に面する一辺を除く三辺については上記実施形態と同様の構成となっており、その三辺における外周縁部15には段差部17が形成されると共に外周部18と内周部16のそれぞれに細かな凹凸形状が周回方向に沿って三辺の全長に亘って多数に形成されている。
【0043】
本体フランジ部12は、上記実施形態と同様に本体側合わせ面部13と垂下壁部14と外周縁部15とを備えている。本体側合わせ面部13は全周に亘って形成されているが、本体フランジ部12のうちヒンジ部3に面する一辺については、他の三辺に比して幅狭に形成されることが好ましい。但し、本体側合わせ面部13の幅が全周に亘って一定であってもよい。また、ヒンジ部3に面する一辺における本体フランジ部12の垂下壁部14は他の三辺のそれと同様であり、従って、本体フランジ部12の垂下壁部14は全周に亘って形成され、その下端の高さは全周に亘って一定とされる。ヒンジ部3に面する一辺における本体フランジ部12の外周縁部15は他の三辺のそれとは異なっていて、幅狭であって、且つ、細かな凹凸形状を有しない平滑なものとなっており、その外周縁部15に断面視コの字状のヒンジ部3が連設されている。
【0044】
蓋フランジ部22についても本体フランジ部12と同様であって、蓋2の全周に蓋フランジ部22が形成されているが、四辺のうちの三辺は同一の構成であり、残る一辺はヒンジ部3を構成するため他の三辺とは異なる構成となっている。詳細には、蓋フランジ部22は、ヒンジ部3に面する一辺を除く三辺については上記実施形態と同様の構成となっており、その三辺における外周縁部25には段差部27が三辺の全長に亘って形成されていると共に、外周部28と内周部26のそれぞれに細かな凹凸形状が多数形成されている。好ましい例としては、周回方向に沿って三辺の全長に亘って、外周部28と内周部26のそれぞれに、細かな凹凸形状が多数形成されている。
【0045】
蓋フランジ部22は、上記実施形態と同様に蓋側合わせ面部23と垂下壁部24と外周縁部25とを備えている。蓋側合わせ面部23は全周に亘って形成されているが、蓋フランジ部22のうちヒンジ部3に面する一辺については、他の三辺に比して幅狭に形成されることが好ましい。但し、蓋側合わせ面部23の幅が全周に亘って一定であってもよい。また、ヒンジ部3に面する一辺における蓋フランジ部22の垂下壁部24は他の三辺のそれと同様であり、従って、蓋フランジ部22の垂下壁部24は全周に亘って形成され、その下端の高さは全周に亘って一定とされる。ヒンジ部3に面する一辺における蓋フランジ部22の外周縁部25は他の三辺のそれとは異なっていて、幅狭であって、且つ、細かな凹凸形状を有しない平滑なものとなっており、その外周縁部25に断面視コの字状のヒンジ部3が連設されている。
【0046】
このように本体フランジ部12と蓋フランジ部22のうちヒンジ部3に面した領域を除く全領域の外周縁部15,25に外周部18,28と内周部16,26とその間の段差部17,27とが形成されている。そして、外周部18,28と内周部16,26のそれぞれに細かな凹凸形状が多数形成され、好ましくは、ヒンジ部3に面した領域を除く全領域にその全長に亘って細かい凹凸形状が多数形成されている。
【0047】
尚、
図14のように、容器本体1と蓋2とがヒンジ部3を介して一体的に形成された包装用容器についても、上述したのと同様に、内周部16,26や外周部18,28の全長(ヒンジ部3を除く領域の全長)に亘って細かい凹凸形状を形成するのではなく、細かい凹凸形状が形成されていない空白部60を一部に設けるようにしてもよい。