特許第6211047号(P6211047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211047イネに使用されるペノキシスラムおよびブタクロルを含有する相乗的除草剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211047
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】イネに使用されるペノキシスラムおよびブタクロルを含有する相乗的除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20171002BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20171002BHJP
   A01N 37/26 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   A01N43/90 105
   A01P13/00
   A01N37/26
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-245936(P2015-245936)
(22)【出願日】2015年12月17日
(62)【分割の表示】特願2012-552025(P2012-552025)の分割
【原出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2016-117724(P2016-117724A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】61/301,012
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,イ−ショウ
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−233718(JP,A)
【文献】 特開2009−084245(JP,A)
【文献】 特表2006−520355(JP,A)
【文献】 早坂利将 外,ブタクロールの作用点と作用機構,日本農薬学会誌,1981年,Vol.6, No.1,p.113-114,(農薬の作用点と作用機構 (1) の一部)
【文献】 白石郁雄,新規水稲用除草剤ペノキススラム(DASH-001SC)の開発とその特性について,日本農薬学会誌,2005年,Vol.30, No.3,p.265-268
【文献】 後藤三千代,庄内地方におけるタイヌビエ,イヌビエの発生と生育,雑草研究,1985年,Vol.30, No.4,p.270-277
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/90
A01N 37/26
A01P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草有効量の(a)ペノキシスラムおよび(b)ブタクロルを含む相乗的除草剤混合物を、水田に発芽前に施用することを含む、イネにおける望ましくない植生を防除する方法であって、前記望ましくない植生が、シバカモノハシである、方法
【請求項2】
ブタクロルとペノキシスラムの重量比が10:1から300:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブタクロルとペノキシスラムの重量比が40:1から79:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ブタクロルとペノキシスラムの重量比が40:1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記相乗的除草剤混合物を、ペノキシスラムとブタクロルの総量基準で、153gai/haから1850gai/haの施用量で施用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記相乗的除草剤混合物を、ペノキシスラムとブタクロルの総量基準で、300gai/haから1250gai/haの施用量で施用する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ペノキシスラムは10gai/haから50gai/haの量で施用され、ブタクロルは400gai/haから1200gai/haの量で施用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ペノキシスラムは3.8gai/haから15gai/haの量で施用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ブタクロルとペノキシスラムが別々に投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ブタクロルとペノキシスラムがマルチパートな除草剤システムの一部として施用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記相乗的除草剤混合物が、更に農業上許容可能な補助剤または担体を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記望ましくない植生が、移植されたイネにおいて防除される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
作物の生長を阻害する雑草および他の植生から作物を保護することは、農業において常
に繰り返して起こる課題である。この課題に対処する一助とするため、合成化学分野の研
究者達は、このような不要な生長物の防除に有効な、非常に様々な化学物質および化学製
剤を生み出してきた。多くのタイプの化学除草剤が文献に開示されており、また多くのも
のが商業的に使用されている。
【0002】
いくつかの場合、除草活性成分は、個別に施用される場合よりも、組み合わせて効果が
あることが示されており、これを「相乗作用」と呼ぶ。Weed Science Society of Americ
aのHerbicide Handbook(第8版、2002年、462頁)に記載されているように、「相乗作用
」とは、別々に施用した各因子に対する応答に基づいて期待される効果よりも、組み合わ
せた場合の効果の方が大きくなるような2つ以上の因子の相互作用である。本発明は、除
草有効性が各々既知であるブタクロルおよびペノキシスラムを組み合わせて施用すると、
相乗的効果を示すという発見に基づいている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、除草有効量の(a)ペノキシスラムおよび(b)ブタクロルを含む、相乗的
除草剤混合物に関する。該組成物はまた、農業上許容可能な補助剤または担体を含有して
もよい。
【0004】
本発明はまた、とりわけイネにおける望ましくない植生の生長を防除する方法、および
このような相乗的組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ペノキシスラムは、(2−(2,2−ジフルオロエトキシ)−N−(5,8−ジメトキ
シ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−2−イル)−6−(トリフル
オロメチル)ベンゼンスルホンアミドの一般名である。その除草活性は、The Pesticide
Manual、第14版、2006年に記載されている。ペノキシスラムは、イネにおいて、イヌビエ
、ならびに広葉雑草、カヤツリグサ科雑草および水性の多くの雑草を防除する。
【0006】
ブタクロルは、N−ブトキシメチル−2−クロロ−2’,6’−ジエチルアセトアニリ
ドの一般名である。その除草活性は、The Pesticide Manual、第14版、2006年に記載され
ている。ブタクロルは、一年草およびある種の広葉雑草を防除する。
【0007】
除草剤という用語は、本明細書では、植物を死滅させる、防除する、またはその生長を
不利に変質させる活性成分の意味で使用される。除草有効量または植生防除量とは、自然
の発育からの逸脱、死滅、調節、乾燥、遅延などを含む不利な変質効果を引き起こす活性
成分の量である。植物および植生という用語は、発芽種子、伸長した苗、および定着した
植生を含む。
【0008】
除草活性は、生長の任意の段階、または播種前もしくは発芽前に、植物に直接または植
物の発生場所(locus)に相乗的混合物の化合物を施用した場合、該化合物によって
示される。観察される効果は、防除すべき植物種、植物の生長段階、希釈度およびスプレ
ー滴サイズの施用パラメータ、固体成分の粒子サイズ、使用時の環境条件、使用する特定
の化合物、使用する特定の補助剤および担体、土壌タイプなど、ならびに施用化学物質の
量に依存する。こうした因子および他の因子は、当技術分野において公知のように、非選
択的または選択的な除草作用を促進するために調節し得る。一般に、最大の雑草防除を達
成するために、発芽前から望ましくない植生の生長が比較的未熟な段階までに、本発明の
組成物を施用するのが好ましい。
【0009】
本発明の組成物では、除草効果が相乗的となるブタクロルとペノキシスラムの活性成分
比(重量:重量)は、10:1から300:1の範囲内であり、20:1から100:1
の比が好ましく、さらに40:1がもっとも好ましい。
【0010】
相乗的組成物の施用量は、防除すべき雑草の特定のタイプ、必要とする防除の程度、な
らびに施用のタイミングおよび方法に依存することになろう。一般に、本発明の組成物は
、組成物中の活性成分の総量基準で、1ヘクタールあたり活性成分153グラム(gai
/ha)から1850gai/haの施用量で施用することができる。310gai/h
aから1250gai/haの施用量が好ましい。本発明の特に好ましい実施形態では、
ブタクロルは400gai/haから1200gai/haの量で施用され、またペノキ
シスラムは10gai/haから50gai/haの量で施用される。
【0011】
本発明の相乗的混合物の成分は、個別に、またはマルチパートな除草剤システムの一部
として施用することができる。
【0012】
本発明の相乗的混合物は、より幅広く多様な望ましくない植生を防除するために、1種
または複数の他の除草剤と併用して施用することができる。他の除草剤と併用する場合、
該組成物は、他の除草剤(複数可)と一緒に製剤化し、他の除草剤(複数可)とタンク混
合し、または他の除草剤(複数可)と逐次施用することができる。本発明の相乗的組成物
と併用し得る除草剤の一部には、2,4−D、アセトクロル、アシフルオルフェン、アク
ロニフェン、アラクロル、アミドスルフロン、アミノシクロピラクロル、アミノピラリド
、アミノトリアゾール、チオシアン酸アンモニウム、アニリホス、アジムスルフロン、ベ
ンフレセート、ベンスルフロン−メチル、ベンタゾン、ベンチオカーブ、ベンゾビシクロ
ン、ベンゾフェナプ、ビフェノクス、ビスピリバック−ナトリウム、ブロマシル、ブロモ
ブチド、ブロモキシニル、ブタフェナシル、ブトラリン、カフェンストロール、カルベタ
ミド、カルフェントラゾン−エチル、クロルフレノール、クロリムロン、クロルプロパム
、シノスルフロン、クレトジム、クロジナホップ−プロパルギル、クロマゾン、クロメプ
ロップ、クロピラリド、クロランスラム−メチル、クミルロン、シクロスルファムロン、
シクロキシジム、シハロホップ−ブチル、ダイムロン、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロ
ルプロップ−P、ジクロスラム、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメピペレー
ト、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジメテナミド−p、ジクワット、ジチオピル、ジウ
ロン、EK2612、EPTC、エスプロカルブ、エトキシスルフロン、エトベンザニド
、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−エチル、フェノキサプロップ−エチル+イ
ソキシジフェン−エチル、フェントラザミド、フラザスルフロン、フロラスラム、フルア
ジホップ、フルアジホップ−P−ブチル、フルセトスルフロン、フルフェナセット、フル
フェンピル−エチル、フルメトスラム、フルミクロラク−ペンチル、フルミオキサジン、
フルオメツロン、フルピルスルフロン、フルロキシピル、ホメサフェン、ホラムスルフロ
ン、フミクロラク、グルホシネート、グルホシネート−アンモニウム、グルホシネート−
P、グリフォセート、ハロスルフロン、ハロキシホップ−メチル、ハロキシホップ−R、
イマザメタベンズ、イマザモクス、イマザピック、イマザピル、イマザクイン、イマゼタ
ピル、イマゾスルフロン、インダノファン、イオドスルフロン、イオキシニル、イプフェ
ンカルバゾン、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、ラクトフェン、M
CPA、MCPB、メコプロップ−P、メフェナセット、メソスルフロン、メソトリオン
、メタミホップ、メトラクロル、メトスラム、メトスルフロン、モリネート、モノスルフ
ロン、MSMA、ナプロパミド、ニコスルフロン、ノルフラゾン、OK−9701、オル
トスルファムロン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホ
ン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペンジメタリン、ペントキサゾン、ペトキサミ
ド、ピクロラム、ピコリナフェン、ピペロフォス、プレチラクロル、プリミスルフロン、
プロホキシジム、プロパクロル、プロパニル、プロピソクロル、プロピザミド、プロスル
ホカルブ、プロスルフロン、ピラクロニル、ピラフルフェン−エチル、ピラゾギル、ピラ
ゾリネート、ピラゾスルフロン−エチル、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピラブ
チカルブ、ピリフタリド、ピリミノバック−メチル、ピリミドスルファン、ピロキシスラ
ム、キンクロラック、キノクラミン、キザロホップ−エチル−D、S−3252、サフル
フェナシル、セトキシジム、シマジン、シメトリン、SL−0401、SL−0402、
s−メトラクロル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホセート、テフリルトリ
オン、テムボトリオン、テルバシル、テニルクロル、チアゾピル、チオベンカルブ、トリ
クロピル、トリフルラリン、トリネキサパック−エチルおよびトリトスルフロンが含まれ
る。
【0013】
本発明の相乗的組成物は、アセト乳酸合成酵素阻害剤耐性作物に使用できる。本発明の
相乗的組成物は、さらに、グリフォセート耐性、グルホシネート耐性、ジカンバ耐性また
はイミダゾリノン耐性作物に対して、2,4−D、グリフォセート、グルホシネート、ジ
カンバまたはイミダゾリノンと併用できる。
【0014】
本発明の相乗的組成物は、処理されている作物に対して選択性を示し、かつ使用する施
用量においてこうした化合物によって防除される雑草の範囲を補完する除草剤と組み合わ
せて使用するのが一般に好ましい。さらに、本発明の相乗的組成物および他の補完的な除
草剤を、複合製剤またはタンクミックスとして同時に施用するのが一般に好ましい。
【0015】
本発明の相乗的組成物は、これらの選択性を向上させるために、ベノキサコル、ベンチ
オカーブ、ブラッシノリド、クロキントセット(メキシル)、シオメトリニル、シプロス
ルファメート、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、ジメピペレー
ト、ジスルホトン、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フル
キソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、メ
フェネート、MG 191、MON 4660、ナフタル酸無水物(NA)、オキサベト
リニル、R29148、およびN−フェニル−スルホニル安息香酸アミドなどの公知の除
草剤毒性緩和剤と組み合わせて一般に使用され得る。
【0016】
実際には、少なくとも1つの農業上許容可能な補助剤または担体と一緒に、除草有効量
の除草成分を含有する混合物中で、本発明の相乗的組成物を使用するのが好ましい。適切
な補助剤または担体は、作物の存在下、とりわけ選択的な雑草防除用組成物の施用時に使
用する濃度において、価値の高い作物に対して植物毒性があるべきではなく、また除草成
分または他の組成物成分と化学反応するべきではない。このような混合物は、雑草もしく
はこれらの発生場所に直接施用するように設計することができる、または施用前に追加的
な担体および補助剤で通常希釈する濃縮製剤または製剤とすることができる。それらは、
例えば、粉剤、粒剤、顆粒水和剤または水和剤などの固体、または例えば、乳剤、溶液、
エマルションまたは懸濁液などの液体とすることができる。
【0017】
本発明の除草剤混合物を調製する際に有用な農業上適切な補助剤または担体は、当業者
に周知である。このような補助剤の一部には、作物用油濃縮液(鉱物油(85%)+乳化
剤(15%))、ノニルフェノールエトキシレート、ベンジルココアルキルジメチル四級
アンモニウム塩、(石油系炭化水素、アルキルエステル、有機酸および陰イオン性界面活
性剤の)ブレンド、C〜C11のアルキルポリグリコシド、リン酸化アルコールエトキ
シレート、天然の第一級アルコール(C12〜C16)エトキシレート、ジ−sec−ブ
チルフェノールEO−POブロックコポリマー、ポリシロキサン−メチルキャップ、ノニ
ルフェノールエトキシレート+尿素硝酸アンモニウム、乳化したメチル化種子油、トリデ
シルアルコール(合成)エトキシレート(8EO)、タローアミンエトキシレート(15
EO)、ジオレイン酸PEG(400)−99が含まれるが、それらに限定されない。
【0018】
使用することができる液体担体には、水および有機溶媒が含まれる。通常、使用される
有機溶媒は、鉱物油、芳香族性溶媒、パラフィン油などの石油留分または炭化水素、大豆
油、ナタネ油、オリーブ油、ひまし油、ひまわり種子油、ココナツ油、コーン油、綿実油
、亜麻仁油、ヤシ油、ピーナッツ油、サフラワー油、セサミ油、キリ油などの植物油、上
記植物油のエステル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸n−ブチル、ミリス
チン酸イソプロピル、二オレイン酸プロピレングリコール、コハク酸ジオクチル、アジピ
ン酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどのモノアルコールまたは2価、3価もしくは他の
低級ポリアルコール(4〜6個のヒドロキシ含有)のエステル、モノ、ジおよびポリカル
ボン酸などのエステルが含まれるが、それらに限定されない。具体的な有機溶媒には、ト
ルエン、キシレン、石油ナフサ、作物用油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチ
ル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アミルア
ルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−
ピロリジノン、N,N−ジメチルアルキルアミド、ジメチルスルホキシド、液状肥料など
が含まれる。水は一般に、濃縮製剤の最適な希釈用担体である。
【0019】
適切な固体担体には、タルク、ろう石クレー、シリカ、アタパルガスクレー、カオリン
クレー、キーゼルグール、チョーク、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレ
ー、フラー土、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、クルミ殻粉、リグニンなどが含ま
れる。
【0020】
本発明の組成物に、1つまたは複数の界面活性剤を配合することが通常望ましい。この
ような界面活性剤は、固体および液体の両方の組成物、特に、施用前に担体で希釈するよ
う設計された組成物において都合よく使用される。界面活性剤は、性質が陰イオン性、陽
イオン性または非イオン性でもよく、また乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤として、または別の
目的のために使用できる。製剤分野で従来使用されており、かつ本発明の製剤においても
使用できる界面活性剤は、とりわけ、MC Publishing Corp.の「McCutcheon’s Detergent
s and Emulsifiers Annual」(Ridgewood、New Jersey、1998年)、およびChemical Publi
shing Co.の「Encyclopedia of Surfactants」(I〜III巻、New York、1980〜81年)に記
載されている。典型的な界面活性剤には、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどの
アルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホ
ン酸塩、ノニルフェノール−C18エトキシレートなどのアルキルフェノール−アルキレ
ンオキシド付加生成物、トリデシルアルコール−C16エトキシレートなどのアルコール
−アルキレンオキシド付加生成物、ステアリン酸ナトリウムなどの石けん、ジブチルナフ
タレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジ
(2−エチルヘキシル)ナトリウムなどのスルホコハク酸ジアルキルエステルの塩、オレ
イン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム
などの四級アミン、ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレング
リコールエステル、酸化エチレンと酸化ポリプロピレンのブロックコポリマー、リン酸モ
ノアルキルエステルおよびジアルキルエステルの塩、大豆油、ナタネ油、オリーブ油、ひ
まし油、ひまわり種子油、ココナツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、ヤシ油、ピーナッ
ツ油、サフラワー油、セサミ油、キリ油などの植物油、および上記植物油のエステルが含
まれる。
【0021】
農業用組成物に一般に使用される他の補助剤には、相溶化剤、消泡剤、金属イオン封鎖
剤、中和剤および緩衝剤、腐食防止剤、色素剤、付臭剤、展着剤、浸透助剤、固着剤、分
散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗菌剤などが含まれる。該組成物はまた、他の適合性成分
、例えば他の除草剤、植物生長調節剤、殺真菌剤、殺虫剤などを含有してもよく、また、
液体肥料と共に、または硝酸アンモニウム、尿素などの固形の微粒子肥料の担体と共に製
剤化することができる。
【0022】
本発明の相乗的組成物中の活性成分の濃度は、一般に0.001〜98重量パーセント
である。0.01〜90重量パーセントの濃度が使用されることが多い。濃縮製剤として
使用するように設計された組成物において、活性成分は5〜98重量パーセント、好まし
くは10〜90重量パーセントの濃度で通常存在する。このような組成物は、施用前に水
などの不活性担体で通常希釈される。雑草または雑草の発生場所に通常、施用される希釈
組成物は、0.0001〜1重量パーセントの活性成分を一般に含有し、好ましくは0.
001〜0.05重量パーセント含有する。
【0023】
本発明の組成物は、従来の土壌用または空中用の散粉器、散布器、および散粒器の使用
によって、灌漑用水への添加によって、ならびに当業者に公知の慣用的な他の手段によっ
て、雑草またはその発生場所に施用することができる。
【0024】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0025】
圃場条件における混合物の発芽前除草活性の評価
方法
小規模区画の標準的な除草剤研究方法を用いて、イネで圃場試験を実施した。区画サイ
ズは、水稲栽培となるように水で湛水することが可能な水田土壌に据えた直径1.6mの
円を利用した2mであった。一処理あたり3回の反復試験とした。イネは、通常の栽培
管理作業通り苗代育種箱中に植え付けたジャポニカ(Japonica)型であり、次に
植え付け30日後、湛水した円に移植した。イネ作物は、台湾において播種したイネの条
件下で、良好な作物生長および雑草生長を確実にするため、施肥、播種、給水、湛水およ
び管理には、通常の栽培管理作業を用いて栽培した。移植後の円形区画の水深を、3〜7
cm深さに維持した。施用処理の直前に区画内の水を排出して、円形区画内の飽和土壌を
維持した。処理を手作業によって施し、また水を施用24時間後3〜7cmの水深まで再
注入した。
【0026】
施用直前に手作業によって土壌と共に処理したものを、移植5〜7日後の円形の区画内
に混合することによって、圃場試験における処理のすべてを施した。市販製品のペノキシ
スラムおよびブタクロルを水中で混合して、45グラムの土壌上に散布したが、この量は
225kg土壌/haの施用量で処理した面積に相当する。2mの各区画について、施
用の単位面積(ヘクタール)基準で所望の施用量に到達するように、45gの土壌2m
を処理する量の適切な製剤製品と混合した。処理は未処理の対照区画と比較して評価した
。目視による雑草防除を0〜100パーセントの尺度で評価したが、ここでは0は何ら害
がないことに相当し、また100は完全死滅に相当する。
【0027】
評価
処理区画および対照区画を、施用後の様々な時間間隔で盲検法で評価した。評価は目視
雑草防除率(%)に基づいたが、ここでは0は何ら害がないことに相当し、また100は
完全死滅に相当する。
【0028】
すべての試験についてデータを収集して、種々の統計学的方法を利用して解析した。
【0029】
混合物から期待される除草効果を決定するために、コルビーの公式(Colby’s
equation)(Colby、S. R. Calculation of the synergistic and antagonistic
response of herbicide combinations. Weeds 1967年、15巻、20〜22頁)を使用した。
【0030】
2種の活性成分AおよびBを含有する混合物の期待活性を計算するために、以下の式を
使用した。
期待値=A+B−(A×B/100)
A=混合物での使用と同一濃度における活性成分Aの観測された有効性
B=混合物での使用と同一濃度における活性成分Bの観測された有効性
【0031】
結果を表1から3にまとめる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】