(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の移動ガイド手段の一方は、外周形状が円形の第一ガイドレールと、前記第一ガイドレールに相対摺動自在に外嵌する内周形状が円形の第一ガイド部材と、を有しており、
前記一対の移動ガイド手段の他方は、外周形状が円形の第二ガイドレールと、前記第二ガイドレールに相対摺動自在に外嵌する内周形状が矩形の第二ガイド部材と、を有している請求項2記載の収穫機用の収穫前処理装置。
前記可動側支持部材における左右両横側縁の形状は、前記隣り合う一対の収穫物係止搬送装置におけるそれぞれの前記無端回動体の収穫搬送経路に沿う形状である請求項1〜7のいずれか一項に記載の収穫機用の収穫前処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る収穫機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る収穫機の全体を示す平面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例に係る収穫機は、左右一対の前車輪1,1、左右一対の後車輪2,2、機体前部に位置する運転キャビン3、運転キャビン3の後方に位置する原動部Aを有し、前車輪1を原動部Aに設けたエンジン4によって駆動して自走するように構成し、かつ後車輪2をパワーステアリング装置によって操向操作するように構成した走行機体と、この走行機体の機体フレーム5の前部に連結した収穫前処理装置Bと、収穫前処理装置Bの後部から走行機体の上方にわたって設けたフィーダ6と、機体フレーム5の後部に配備した回収タンク7と、走行機体の前後輪間に配備した残稈処理装置Dとを備えて構成してある。
【0038】
この収穫機は、収穫前処理装置Bを左右一対の油圧シリンダ8による昇降軸芯Pまわりの上下揺動操作によって前端部が地面の上方近くに位置した下降作業姿勢にして走行機体を走行させることにより、トウモロコシの収穫作業を行なう。すなわち、圃場に植立するトウモロコシ植物体のうち、種子が棒状に連なって房になっている部位であるトウモロコシを収穫前処理装置Bによって収穫し、収穫したトウモロコシをフィーダ6によって走行機体側に搬送し、フィーダ6が搬送終端部から吐出するトウモロコシを回収タンク7に回収して貯留していき、収穫前処理装置Bよるトウモロコシの収穫が行なわれて圃場に残った茎稈を残稈処理装置Dによって破砕処理する。
【0039】
走行機体について説明する。
走行機体の機体フレーム5は、左右一対の機体前後向きのメインフレーム5a,5aと、左右一対のメインフレーム5a,5aの前部に連結する運転部フレーム5bと、左右一対のメインフレーム5a,5aの中間部に連結する原動部フレーム5cと、左右一対のメインフレーム5a,5aの後部に連結するタンクフレーム5dとを備えている。
【0040】
運転キャビン3は、前面にフロントガラス21を備え、側部に開閉自在なドア22を備えている。
図2に示すように、運転キャビン3のドア22の外方に主ステップ26を設けてある。この主ステップ26の外端位置に、前後向き姿勢の揺動支軸を中心にして揺動自在に補助ステップ27を備えている。運転キャビン3の左横側に乗降用のラダー24を設けてある。
【0041】
ラダー24は、機体上下向きの姿勢変更軸23を中心に姿勢変更自在に運転部フレーム5bに支持されている。ラダー24は、両側のサイドプレートに挟まれる位置に複数のステップを階段状に備えた一般的な構造を有している。ラダー24は、運転キャビン3の横外側に突出した使用姿勢と、走行機体の前後方向に沿った格納姿勢と、これらの中間となる中間姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。
【0042】
収穫前処理装置Bについて説明する。
図1,2,3に示すように、収穫前処理装置Bは、機体フレーム5に設けた支持フレーム部5eから前方に昇降軸芯Pまわりに上下揺動自在に延出する前処理フレームF(
図12参照)と、前処理フレームFの前部に機体横方向に並べて形成した3列の収穫搬送経路58と、各収穫搬送経路58の両横側に一つずつ位置するように機体横方向に並べて設けた6つの収穫物係止搬送装置45と、各収穫搬送経路58の両横側に一つずつ位置するように機体横方向に並べて設けた6つの収穫ロール32とを備えて構成してあり、3条の植付け条のトウモロコシ植物体からトウモロコシを収穫してフィーダ6に供給する。
【0043】
すなわち、収穫前処理装置Bは、圃場に植立するトウモロコシ植物体を3つの収穫搬送経路58に導入し、各収穫搬送経路58に導入したトウモロコシ植物体から収穫搬送経路58を挟んで位置する一対の収穫物係止搬送装置45,45及び一対の収穫ロール32,32によってトウモロコシを収穫し、3つの収穫搬送経路58からのトウモロコシを横送りオーガ35の左右の螺旋羽根35A,35Aによって横送り板壁46(
図4参照)に沿わせて横送りし、この横送りによってフィーダ6の前方に到達したトウモロコシを、横送りオーガ35の中間部に一体回転自在に設けた板状の掻き送り体35Bによって横送り板壁46に設けてある送出口46a(
図12参照)から後方に送り出してフィーダ6の投入口6a(
図4参照)に送り込む。
図4及び
図12に示すように、横送り板壁46は、横送りオーガ35の後側に位置すると共に送出口46aを備える後板壁部46bと、横送りオーガ35の下方に位置する底板壁部46cとを備えて構成してある。
【0044】
6つの収穫物係止搬送装置45のそれぞれは、収穫搬送経路58の始端部に位置する始端側回転輪体52と、収穫搬送経路58の終端部に位置する終端側回転輪体53と、収穫搬送経路58の途中に位置するガイド輪体54と、これらの輪体52,53,54に巻回された無端係止搬送チェーンで成る無端回動体55とを備えて構成してある。
【0045】
各収穫物係止搬送装置45の無端回動体55は、終端側回転輪体53を支持する駆動ケース57にエンジン4からの駆動力が伝達されて終端側回転輪体53が駆動されることによって回転駆動される。すなわち、無端回動体55は、収穫搬送経路58に位置する部位が機体後方側に移動し、戻り経路59に位置する部位が機体前方側に移動するように終端側回転輪体53によって回動駆動される。
【0046】
各収穫ロール32は、無端回動体55の収穫搬送経路58に位置する部位の下方に配備されている。各収穫ロール32は、駆動ケース57から機体前方側に駆動回転自在に延出され、駆動ケース57に伝達されるエンジン4からの駆動力によって回転駆動される。
【0047】
図4,5に示すように、駆動ケース57及び横送りオーガ35にエンジン4からの駆動力を伝達する伝動機構Gは、前処理フレームFの基部を支持フレーム部5eに回動自在に連結する連結軸41に回転自在に支持され、エンジン4からの駆動力が伝達される中継スプロケット100を備え、この中継スプロケット100の駆動力を伝動チェーン101によって機体横向きの前処理入力軸102に伝達し、前処理入力軸102の駆動力を、伝動チェーン101が連結している側と反対側の端部に巻回している伝動チェーン103によって横送りオーガ35の駆動スプロケット104及び駆動ケース57の入力スプロケット105に伝達するように構成してある。
図3に示すように、駆動ケース57の入力スプロケット105が3つの駆動ケース57のうちの一つの駆動ケース57の入力軸57aに連結され、隣り合う一対の駆動ケース57,57の入力軸57aどうしが連結軸57bによって一体回転自在に連結されており、6つの収穫物係止搬送装置45に対するエンジン駆動力の伝達が可能になっている。
【0048】
つまり、収穫搬送経路58にトウモロコシ植物体が導入されると、収穫搬送経路58の両横側で回動する一対の収穫ロール32が周面に一体回転自在に備えている収穫羽根体によって茎稈を下方に引く力を継続的に作用させ、茎稈から延び出ている房状のトウモロコシを収穫搬送経路58に位置する分離プレート51(
図3参照)の上面に接触させ、このトウモロコシを分離プレート51の後上がり傾斜によって上方に引き千切る形態で茎稈から分離させる。収穫搬送経路58の両横側で回動する一対の無端回動体55,55が茎稈から分離したトウモロコシを収穫物係止搬送突部56によって後方に係止搬送して横送りオーガ35に送り込む。
【0049】
図3に示すように、6つの収穫物係止搬送装置45のうち、無端回動体55の戻り経路59が対向し合う状態で機体横方向に隣り合う一対の収穫物係止搬送装置45,45の搬送始端側どうしにわたって単一の張力調整手段80を設け、この張力調整手段80によって一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55の張力調整を行なうよう構成してある。
【0050】
図6は、張力調整手段80を示す平面図である。
図7は、
図6のVII−VII断面矢視図である。
図8は、
図6のVIII−VIII断面矢視図である。
図6,7,8に示すように、張力調整手段80は、一対の収穫物係止搬送装置45,45の始端側回転輪体52を支軸52aを介して回転自在に支持する帯板形状の天秤支持体81と、天秤支持体81を支軸81aを介して揺動自在に支持するフレーム側支持体84と、フレーム側支持体84を左右一対の移動ガイド手段83A,83Bを介して支持する固定側支持部材82と、固定側支持部材82とフレーム側支持体84とにわたって設けた張力付与機構85とを備えて構成してある。固定側支持部材82から機体下方向きに延出する接地体9は、収穫前処理装置Bを走行機体から取り外した際、接地板9aで地面に接地して収穫前処理装置Bを接地支持するものである。尚、天秤支持体81及びフレーム側支持体84は、本発明に係る「可動側支持部材」を構成している。
【0051】
天秤支持体81は、支軸81aに対して両端側に別れて位置する一対の箇所に機体上下向き筒体を取付けて設けた一対のボス部81bを備え、一方のボス部81bで一方の収穫物係止搬送装置45の始端側回転輪体52を支軸52aを介して回転自在に支持し、他方のボス部81bで他方の収穫物係止搬送装置45の始端側回転輪体52を支軸52aを介して回転自在に支持するよう構成してある。天秤支持体81は、一方の収穫物係止搬送装置45の始端側回転輪体52が連結する連結点としての支軸52aの軸芯52bと、他方の収穫物係止搬送装置45の始端側回転輪体52が連結する連結点としての支軸52aの軸芯52bと、フレーム側支持体84の連結する連結点としての支軸81aの軸芯81cとが一直線状又はほぼ一直線状に並ぶ状態で配備してある。
【0052】
図10は、フレーム側支持体84を示す平面図である。
図6,7,8,10に示すように、フレーム側支持体84は、機体前方側の機体横方向中間部箇所に機体上下向き筒体を取付けて設けたボス部84bを備え、このボス部84bで支軸81aを介して天秤支持体81を揺動自在に支持するよう構成してある。フレーム側支持体84の天秤支持体81が連結する部位の下面側に、左右一対の補強リブ84c,84cを設けてある。各補強リブ84cの一端側は、ボス部84bに連結している。
【0053】
フレーム側支持体84に機体前方向き端面の部位で成る左右一対の受止め部84d,84dを設け、この左右一対の受止め部84d,84dと天秤支持体81の前記左右一対のボス部81b,81bとを備えてストッパ手段STを構成し、このストッパ手段STによって天秤支持体81のフレーム側支持体84に対する揺動角を規制するように構成してある。
【0054】
図11は、ストッパ手段STの作用を示す説明図である。この図に示すように、ストッパ手段STは、天秤支持体81がフレーム側支持体84に対して一方に揺動して行くに伴い、一方の受止め部84dが一方のボス部81bの天秤支持体81から下方に突出する箇所に受け止め作用し、天秤支持体81の揺動角を一方の無端回動体55の始端側回転輪体52に対する離脱が生じないものに規制する。図示しないが、ストッパ手段STは、天秤支持体81がフレーム側支持体84に対して他方に揺動して行くに伴い、他方の受止め部84dが他方のボス部81bの天秤支持体81から下方に突出する箇所に受け止め作用し、天秤支持体81の揺動角を他方の無端回動体55の始端側回転輪体52に対する離脱が生じないものに規制する。
【0055】
図6,10に示すように、フレーム側支持体84の天秤支持体81が位置する側の形状を、天秤支持体81が揺動自在に連結する部位(ボス部84bを備える部位)84eが前記一対の受止め部84d,84dを備える部位84fに対して天秤支持体81が位置する側に突出した形状にし、フレーム側支持体84の受止め部84dを備える部位84fと天秤支持体81とが機体上下方向にあまり重合しない状態でフレーム側支持体84と天秤支持体81とを連結できるように構成してある。
【0056】
図6,10に示すように、フレーム側支持体84の平面視での形状を、機体横方向での一端側の横側縁84gが一方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55の搬送経路としての収穫搬送経路58に沿い、機体横方向での他端側の横側縁84gが他方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55の搬送経路としての収穫搬送経路58に沿う形状にしてある。
つまり、一方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55の収穫搬送経路側部分と他方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55の収穫搬送経路側部分との間をフレーム側支持体84によって覆うように構成してある。
【0057】
固定側支持部材82は、一方の収穫物係止搬送装置45を構成する搬送フレーム50と他方の収穫物係止搬送装置45を構成する搬送フレーム50とにわたって固設され、搬送フレーム50を介して前処理フレームFに固定されている。
【0058】
図6,9に示すように、一対の移動ガイド手段83A,83Bは、一対の始端側回転輪体52,52が並ぶ方向と同じ機体横方向に並べて配備してあり、機体前後方向に移動するフレーム側支持体84の機体横方向での一端側と他端側との移動量が大きく相違するガタ付きをフレーム側支持体84に発生させないようにフレーム側支持体84を移動案内する。
【0059】
一対の移動ガイド手段83A,83Bのそれぞれは、固定側支持部材82に後端側が固定されたガイドレール83a(第一ガイドレール、第二ガイドレール)と、ガイドレール83a(第一ガイドレール、第二ガイドレール)が摺動自在に内嵌するように構成してフレーム側支持体84に固定された第一ガイド部材83b及び第二ガイド部材83cとを備えて構成してある。各移動ガイド手段83A,83Bのガイドレール83a(第一ガイドレール、第二ガイドレール)は、固定側支持部材82の下面側に設けた前後一対の縦片部82a,82bに連結してある。各移動ガイド手段83A,83Bの第一ガイド部材83b及び第二ガイド部材83cは、フレーム側支持体84の下面側に設けた前後一対の縦板部84a,84aに連結してある。
【0060】
図9に示すように、一対の移動ガイド手段83A,83Bのガイドレール83a(第一ガイドレール、第二ガイドレール)は、外周形状が円形となるように形成した棒状部材によって構成してある。一方の移動ガイド手段83Aの第一ガイド部材83bは、内周形状が円形となるように形成した筒体によって構成し、他方の移動ガイド手段83Bの第二ガイド部材83cは、内周形状が矩形となるように形成した筒体によって構成してある。内周形状が矩形の第二ガイド部材83cは、フレーム側支持体84の下面側に固設した平板と、フレーム側支持体84の下面側に固設した横断面形状がコ字形の板金部材とによって構成してある。
【0061】
従って、一対の移動ガイド手段83A,83Bは、一方の移動ガイド手段83Bにおけるガイドレール83a(第二ガイドレール)と第二ガイド部材83cの円形外周と矩形内周とによる係合により、一対の移動ガイド手段83A,83Bのいずれにもガイドレール83a(第一ガイドレール、第二ガイドレール)と第一ガイド部材83b及び第二ガイド部材83cとのこじれを発生させないでスムーズにフレーム側支持体84を移動案内する。
【0062】
張力付与機構85は、一対の移動ガイド手段83A,83Bの間でフレーム側支持体84に操作力を付与して、移動ガイド手段83A,83Bのこじれ発生を防止しながらフレーム側支持体84を移動操作するように、一対の移動ガイド手段83A,83Bの間に配置してある。
【0063】
張力付与機構85は、フレーム側支持体84の下面側に前端部が固定された機体前後向きの操作ロッド86と、操作ロッド86の後端側に外嵌されたスプリング87とを備えて構成してある。
【0064】
操作ロッド86の前端部は、フレーム側支持体84の後側の縦板部84aに一対のロックナット86a,86aによって固定され、操作ロッド86の後端側は、固定側支持部材82の前側の縦片部82aに設けた支持孔に筒形のバネ受け体86bを介して摺動自在に支持され、固定側支持部材82の後側の縦片部82bに設けた支持孔に摺動自在に支持されている。スプリング87は、固定側支持部材82の後側の縦片部82bと操作ロッド86に外嵌するバネ受け体86bとの間に配置して操作ロッド86に外嵌されており、縦片部82bを反力部材にしてバネ受け体86bに押圧作用することによって操作ロッド86を機体前方側に摺動付勢する。
【0065】
従って、張力付与機構85は、スプリング87によって操作ロッド86を介してフレーム側支持体84を移動付勢することにより、一対の始端側回転輪体52,52を一体に張力付与側に移動付勢する。
【0066】
従って、張力調整手段80は、張力付与機構85のスプリング87によるフレーム側支持体84の移動付勢によって天秤支持体81を機体前方側に移動付勢して一対の始端側回転輪体52,52を無端回動体55の張り側に移動付勢することにより、一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55に張力を自動的に付与する。
また、張力調整手段80は、一方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55と他方の収穫物係止搬送装置45の無端回動体55とに張力差が発生した場合、張力差によって天秤支持体81を揺動させて高張力側の無端回動体55が巻回する始端側回転輪体52を緩み側(後方側)に移動させ、低張力側の無端回動体55が巻回する始端側回転輪体52を張り側(前方側)に移動させて張力差を解消あるいは少なくする。
【0067】
一対の収穫物係止搬送装置45,45の始端側回転輪体52どうしの間を、一方の収穫物係止搬送装置45における戻り経路59の収穫物係止搬送突部56が通る部位と他方の収穫物係止搬送装置45における戻り経路59の収穫物係止搬送突部56が通る部位とが交差するように小間隔に設定してある。一方の収穫物係止搬送装置45における戻り経路59の収穫物係止搬送突部56が通る部位と他方の収穫物係止搬送装置45における戻り経路59の収穫物係止搬送突部56が通る部位とが交差しても、一方の収穫物係止搬送装置45の収穫物係止搬送突部56と他方の収穫物係止搬送装置45の収穫物係止搬送突部56とが始端側回転輪体52どうしの間を交互に移動するように収穫物係止搬送突部56を配備してあるから、収穫物係止搬送突部56どうしの接触が発生せず、一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55の駆動を支障なく行なうことができる。
これにより、無端回動体55の戻り経路59が対向し合う一対の収穫物係止搬送装置45,45の始端側回転輪体52どうしの間隔を小間隔にし、収穫前処理装置Bにおいて一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55の収穫搬送経路58の始端部どうしによって形成される茎稈導入口45a(
図3参照)の間口を広くできる。
【0068】
前処理フレームFについて説明する。
図12は、前処理フレームFを示す斜視図である。この図に示すように、前処理フレームFは、機体フレーム5の支持フレーム部5eに回動自在に連結する連結軸41を後端部に備える左右一対の縦板状の連結フレーム12,12と、左右一対の連結フレーム12,12の前端部に連結する上下一対の機体横向きの横向きフレーム13,14と、上下一対の横向きフレーム13,14の両横端部に後端側が各別に連結する左右一対の縦板状の横壁フレーム15,15と、左右一対の横壁フレーム15,15の前端部にわたって連結され、6つの収穫物係止搬送装置45の搬送フレーム50を支持する機体横向きの支持フレーム16と、下側の横向きフレーム14と支持フレーム16の中間部どうしを連結して支持フレーム16を補強する左右一対の縦板状の補強フレーム17,17とを備えて構成してある。左右一対の連結フレーム12,12に、軽量化用の貫通孔12aを設けてある。左右一対の連結フレーム12,12及び一方の横壁フレーム15に、前処理入力軸102が挿通する軸孔20を設けてある。左右一対の横壁フレーム15,15に横送りオーガ35を回転自在に支持するオーガ支持孔18を設けてある。一方の横壁フレーム15に、駆動ケース57に伝動する伝動孔19を設けてある。左右一対の横壁フレーム15,15及び上下一対の横向きフレーム13,14にわたって横送り板壁46を連結してある。
【0069】
左右一対の横壁フレーム15,15を、横向きフレーム13,14に連結し、かつオーガ支持孔18を備える後側横壁フレーム部を構成する分割横壁フレーム15aと、支持フレーム16が連結する前側横壁フレーム部を構成する分割横壁フレーム15bとに分割自在に構成し、支持フレーム16を支持フレーム16に設けた連結ブラケット16a(
図13参照)によって左右一対の補強フレーム17,17に脱着自在に連結するように構成し、前処理フレームFを、機体フレーム5に連結するよう構成するとともに横送りオーガ35を支持するよう構成した後側フレーム部と、6つの収穫物係止搬送装置45を支持するよう構成した前側フレーム部とに分離できるように構成してある。
【0070】
図13は、分離状態での前処理フレームFを示す斜視図である。この図に示すように、前処理フレームFは、左右一対の横壁フレーム15,15における2つの分割横壁フレーム15a,15bの連結ボルトによる連結を解除し、支持フレーム16における連結ブラケット16aと補強フレーム17の連結ボルトによる連結を解除することにより、連結軸41及び横送りオーガ35を備える後側フレーム部と、6つの収穫物係止搬送装置45を備える前側フレーム部とに分離する。
【0071】
横送りオーガ35の駆動スプロケット104及び駆動ケース57の入力スプロケット105を備える伝動部の横外側を覆う開閉自在な伝動部カバー90(
図1参照)について説明する。
図14は、伝動部カバー90を示す縦断後面図である。この図に示すように、伝動部カバー90は、伝動部カバー90の上部に設けたロック機構91と、伝動部カバー90の下部に設けた係止機構95とによって横壁フレーム15における後側の分割横壁フレーム15aに脱着自在に取り付けるように構成してある。
【0072】
係止機構95は、伝動部カバー90の内面側に設けた支持部90aに固定された鉤体96と、鉤体96の先端部に位置するフック部97が係脱するよう構成して分割横壁フレーム15aに設けた係止部98とを備えて構成してある。
【0073】
分割横壁フレーム15aの係止部98に係脱するようフック部97が備える凹入部97aの形状を入口と奥の間が細くなる中細り形状にし、フック部97における凹入部97a背後の形状を係脱段部97bとロック段部97cとが段違いで並ぶ階段形状にしてある。
【0074】
図15は、鉤体96が係脱過程にある状態の係止機構95を示す縦断面図である。この図に示すように、鉤体96を基端側ほど低位置に位置するように分割横壁フレーム15aに対して傾斜する姿勢にすることにより、フック部97が係脱段部97bの部位で係止部98の貫通孔98aを通り、鉤体96を係止部98に対して係脱させることができる。
【0075】
図16は、鉤体96が係合した状態の係止機構95を示す縦断面図である。この図に示すように、鉤体96が係止部98に係合した状態において、フック部97が凹入部97aの入口と奥の間の細い箇所で分割横壁フレーム15aを機体内外方向に挟み、伝動部カバー90の機体横方向でのガタ付きを抑制でき、フック部97のロック段部97cが係止部98の貫通孔98aに入り込み、ロック段部97cと凹入部97a奥底との間隔の大きさと、貫通孔98aの大きさとの差があまりないことにより、伝動部カバー90の機体上下方向でのガタ付きを抑制できる。
【0076】
ロック機構91は、分割横壁フレーム15aから横外向きに突設したロッドで成るホルダー92と、伝動部カバー90に設けたロック機構本体93とを備えて構成してある。ロック機構本体93は、伝動部カバー90に固定されたベース部93aと、ホルダー92の延出端部に係脱するフック形状に形成してベース部93aに揺動自在に支持させた係止体93bと、伝動部カバー90の外面側から揺動操作するようにベース部93aに配備したハンドル93cとを備えて構成してある。ハンドル93cは、揺動操作されることによって係止体93bを揺動操作してホルダー92に対して係脱させるように係止体93bに連動している。ハンドル93cは、伝動部カバー90を分割横壁フレーム15aに対して脱着操作するための取っ手として使用できるようになっている。
【0077】
フィーダ6について説明する。
図4に示すように、フィーダ6は、前端側の駆動スプロケット76と後端側の従動スプロケット(図示せず)とに亘ってフィードチェーン72を巻回し、このフィードチェーン72に設定間隔で複数の搬送プレート73を備え、これらをフィーダケース70に内装して構成されている。
【0078】
図1に示すように、フィーダ6は、フィーダケース70の搬送終端部の下側に設けた送風装置Eを備えている。送風装置Eは、ファンケース78の内部に回転駆動自在に設けた複数の送風翼体(図示せず)を備え、送風翼体の回転により、ファンケース78の外部の空気をファンケース78の側面から吸引して選別風を発生させ、発生した選別風を、ファンケース78の送風口から送出する。送風装置Eから送出された選別風は、フィーダ6の吐出口6bを内側から外側に抜け出し、フィーダ6の吐出口6bからトウモロコシに混在して吐出された葉の一部や稈身の一部等の塵埃を風圧により吹き飛ばしてトウモロコシと選別する。
【0079】
フィーダ6の搬送終端部から案内ダクト60が回収タンク7の上方に延出している。案内ダクト60は、縦断面形状が下向きに開口する溝形となる管状に構成されており、フィーダ6の吐出口6bから吐出された塵埃を送風装置Eからの選別風とともに延出端部に流動案内し、延出端部に位置する機体横外向きの開口61から機体横外側に排出する。
【0080】
回収タンク7について説明する。
図1に示すように、回収タンク7は、フィーダ6の吐出口6bの後方に位置する機体上方向き開口7aを備え、フィーダ6から吐出されて機体上方向き開口7aに落下するトウモロコシを回収して貯留する。回収タンク7は、機体フレーム5から上方向きに突設された支持構造体10に機体横向きのダンプ軸芯Qまわりに回動自在に支持されている。回収タンク7は、両横側に位置するダンプシリンダ10aによってダンプ軸芯Qまわりに回動操作され、機体上方向き開口7aが案内ダクト60の下方に位置する貯留姿勢と、機体上方向き開口7aが機体後方側に下向きになる排出姿勢とに切換えられる。案内ダクト60は、回収タンク7が貯留姿勢と排出姿勢とに切換え操作される際、回収タンク7の回動に連動してフィーダ6に対して上昇揺動操作されて回動する回収タンク7に対して上昇退避するように構成してある。
【0081】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、天秤支持体81を張力調整手段80に備えた例を示したが、天秤支持体81を張力調整手段80に備えず、天秤支持体81と張力調整手段80とが各別に無端回動体55に作用するよう構成して実施してもよい。
【0082】
(2)上記した実施例では、張力調整手段80として、スプリング87によって張力付与を自動的に行なうよう構成したものを採用した例を示したが、人為操作自在なネジ機構などによって張力付与を人為的に行なうように構成したものを採用して実施してもよい。
【0083】
(3)上記した実施例では、隣り合う一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55の収穫物係止搬送突部56が始端側回転輪体52どうしの間で交差するよう構成した例を示したが、隣り合う一対の収穫物係止搬送装置45,45の始端側回転輪体52どうしの間隔を広く設定し、一対の収穫物係止搬送装置45,45の無端回動体55の収穫物係止搬送突部56が始端側回転輪体52どうしの間で交差しないよう構成して実施してもよい。
【0084】
(4)上記した実施例では、一方の移動ガイド手段83Aに、内周形状が円形の第一ガイド部材83bを備え、他方の移動ガイド手段83Bに、内周形状が矩形の第二ガイド部材83cを備えた例を示したが、一対の移動ガイド手段83A,83Bのいずれにも、内周形状が円形のガイド部材を備えて実施してもよい。
【0085】
(5)上記した実施例では、残稈処理装置Dを備えた例を示したが、植立状態の茎稈を株元で切断する切断装置を収穫前処理装置Bに設けて実施してもよい。
【0086】
(6)上記した実施例では、回収タンク7を備えた例を示したが、フィーダ6からのトウモロコシを処理する脱穀装置又は皮むき装置を備えて実施してもよい。
【0087】
(7)上記した実施例では、6つの収穫物係止搬送装置45を備えて3条刈りの収穫前処理装置Bを構成した例を示したが、6つより数少ない又は数多い収穫物係止搬送装置45を備えて収穫前処理装置Bを構成して実施してもよい。
【0088】
(8)上記した実施例では、前車輪1及び後車輪2を走行装置として備えた例を示したが、クローラ走行装置を走行装置として備えて実施してもよい。