特許第6211058号(P6211058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211058
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】ワイパブレード装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/40 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   B60S1/40 B
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-506177(P2015-506177)
(86)(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公表番号】特表2015-514628(P2015-514628A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013057349
(87)【国際公開番号】WO2013156340
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】102012206423.0
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート デポント
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0186185(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0199357(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0139343(US,A1)
【文献】 特表2002−534311(JP,A)
【文献】 米国特許第06599051(US,B1)
【文献】 特表2008−525257(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/033365(WO,A1)
【文献】 特表2013−538733(JP,A)
【文献】 特表2010−527842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパブレード(42a)に取り付けられたベースユニット(12a)と、
ワイパアームに結合可能なアダプタユニット(14a)であって、前記ワイパアームの取付手段を収容可能に形成された取付手段収容部(52a)を有するアダプタユニット(14a)と、
を備え、
前記アダプタユニット(14a)は、少なくとも前記アダプタユニット(14a)と前記ベースユニット(12a)の一方が他方を少なくとも部分的に取り囲むように係合して前記ベースユニット(12a)に取り付けられ、
前記ベースユニット(12a)は、前記アダプタユニット(14a)を係止結合により固定するように設けられている少なくとも1つの係止要素(22a)を有し、
前記係止要素(22a)は、係止フック(24)により形成されており、
前記係止フック(24)は、回動可能に支持されていることを特徴とする、ワイパブレード装置。
【請求項2】
前記アダプタユニットは、少なくとも1つの係合要素(16a,16f)を有し、該係合要素(16a,16f)は、前記ベースユニットにより少なくとも部分的に取り囲まれるように係合される、請求項1記載のワイパブレード装置。
【請求項3】
前記アダプタユニットの前記係合要素(16)は、少なくとも部分的に丸み付けられて形成されている、請求項2記載のワイパブレード装置。
【請求項4】
前記ベースユニット(12a)は、少なくとも1つの壁(20a)により画定される、前記アダプタユニット(14a)のための収容領域(36a)を有する、請求項2記載のワイパブレード装置。
【請求項5】
前記収容領域(36a)を画定する少なくとも1つの壁(20a)に、少なくとも1つの突出部(18a)が配置されており、該突出部(18a)は、前記壁(20a)とともに、前記アダプタユニット(14a)の前記係合要素(16a)と係合すべき係合切欠き(38a)を形成する、請求項4記載のワイパブレード装置。
【請求項6】
前記係止要素(22a)は、前記収容領域(36a)における前記係合切欠き(38a)がある側とは反対側に配置されている、請求項記載のワイパブレード装置。
【請求項7】
前記アダプタユニット(14a)は、前記係止要素(22a)と係合すべく設けられている少なくとも1つの丸み付けられたピン(28)を有する、請求項1からのいずれか1項記載のワイパブレード装置。
【請求項8】
前記係止フック(24)は、弾性要素(26)により閉鎖された状態に保持される、請求項1からのいずれか1項記載のワイパブレード装置。
【請求項9】
ワイパブレード(42d〜e)に取り付けられたベースユニット(12d〜e)と、
ワイパアームに結合可能なアダプタユニット(14d〜e)であって、前記ワイパアームの取付手段を収容可能に形成された取付手段収容部(52d〜e)を有するアダプタユニット(14d〜e)と、
を備え、
前記アダプタユニット(14d〜e)は、前記アダプタユニット(14d〜e)と前記ベースユニット(12d〜e)の一方が他方を少なくとも部分的に取り囲むように係合して、前記ベースユニット(12d〜e)に取り付けられ、
前記ベースユニット(12d〜e)は、前記アダプタユニット(14d〜e)を係止結合により固定するように設けられている少なくとも1つの係止要素(22d〜e)を有し、
前記係止要素(22d〜e)は、前記アダプタユニット(14d〜e)を係止する係止面(48d〜e)を有するくさび形に形成されていることを特徴とする、ワイパブレード装置。
【請求項10】
ワイパブレード(42f)に取り付けられたベースユニット(12f)と、
ワイパアームに結合可能なアダプタユニット(14f)であって、前記ワイパアームの取付手段を収容可能に形成された取付手段収容部を有するアダプタユニット(14f)と、
を備え、
アダプタユニット(14f)は、前記アダプタユニット(14f)と前記ベースユニット(12f)の一方が他方を少なくとも部分的に取り囲むように係合して、前記ベースユニット(12f)に取り付けられ、
前記アダプタユニット(14f)は、少なくとも1つの係合要素(16f)を有し、該係合要素(16f)は、前記ベースユニット(12f)により少なくとも部分的に取り囲まれるように係合され、
前記ベースユニット(12f)は、前記アダプタユニット(14f)を係止結合により固定するように設けられている少なくとも1つの係止要素(22f)を有し、
前記ベースユニット(12f)は、少なくとも1つの壁(20f)により画定される、前記アダプタユニット(14f)のための収容領域(36f)を有し、
前記収容領域(36f)を画定する少なくとも1つの壁(20f)に、少なくとも1つの突出部(18f)が配置されており、該突出部(18f)は、前記壁(20f)とともに、前記アダプタユニット(14f)の前記係合要素(16f)と係合すべき係合切欠き(38f)を形成し、
前記係止要素(22f)は、前記収容領域(36f)における前記係合切欠き(38f)がある側及びその反対側、の双方と異なる側に配置されていることを特徴とする、ワイパブレード装置。
【請求項11】
ワイパブレード(42)に取り付けられたベースユニット(12)と、
ワイパアームに結合可能なアダプタユニット(14)であって、前記ワイパアームの取付手段を収容可能に形成された取付手段収容部(52)を有するアダプタユニット(14)と、
を備え、
アダプタユニット(14)は、前記アダプタユニット(14)と前記ベースユニット(12)の一方が他方を少なくとも部分的に取り囲むように係合して、前記ベースユニット(12)に取り付けられ、
前記ベースユニット(12)は、前記アダプタユニット(14)を係止結合により固定するように設けられている少なくとも1つの係止要素(22)を有し、
前記アダプタユニット(14d)は、少なくとも1つの係合要素(16d)を有し、
前記ベースユニット(12d)は、少なくとも1つの係合切欠き(38d)と、弾性変形可能なくさび形の係止要素(22d)を有する壁と、前記アダプタユニット(14d)のための収容領域(36d)と、を有し、
前記係合要素(16d)を前記係合切欠き(38d)内に導入し、前記壁が、前記係合切欠き(38d)とは反対方向に向かって、曲げ力の作用下で曲げられ、前記壁を初期位置に復帰させて、前記係止要素(22d)が前記アダプタユニット(14d)に係合し、係合を介してアダプタユニット(14d)がベースユニット(12d)に固定されることを特徴とする、ワイパブレード装置。
【請求項12】
前記アダプタユニットは、前記アダプタユニットにワイパアームを取り付けるために設けられている少なくとも1つのフラップ要素(30)を有する、請求項1,9から11のいずれか1項記載のワイパブレード装置。
【請求項13】
請求項1から1までのいずれか1項記載のワイパブレード装置を備えるワイパブレード。
【請求項14】
請求項1記載のワイパブレードを少なくとも1つ備えるともに、ワイパアームを備えるウインドウワイパ。
【請求項15】
請求項1から1までのいずれか1項記載のワイパブレード装置に含まれる、アダプタユニット。
【請求項16】
請求項1から1までのいずれか1項記載のワイパブレード装置に含まれる、ベースユニット。
【請求項17】
請求項1記載のワイパブレードの取付手段収容部に、ワイパアームを組み付ける工程を含む、方法。
【請求項18】
請求項1から1までのいずれか1項記載のワイパブレード装置を組み立てる方法であって、
前記ベースユニットに、前記アダプタユニットを組み付ける工程を含む、方法
【請求項19】
請求項5または10記載のワイパブレード装置を組み立てる方法であって、
一工程において、前記アダプタユニットの前記係合要素を前記ベースユニットの前記係合切欠き内に挿入し、後続の工程において又は前記一工程と同時に、前記アダプタユニットを係止結合により前記ベースユニットに固定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
ベースユニットと、ワイパアームに結合可能なアダプタユニットとを備え、アダプタユニットは、少なくとも一組み立て状態で形状結合(formschluessig:形状による束縛)を介してベースユニットに固定されているワイパブレード装置は、既に公知である。
【0002】
発明の開示
本発明は、ベースユニットと、ワイパアームに結合可能なアダプタユニットと、を備え、アダプタユニットは、少なくとも一組み立て状態で形状結合を介してベースユニットに固定されており、ベースユニットとアダプタユニットとは、組み立て状態で形状結合部を有し、形状結合部において、少なくともユニットの一方は、ユニットの他方を少なくとも部分的に取り囲むようにユニットの他方に係合して、形状結合を形成しているワイパブレード装置を提案する。「ベースユニット」とは、この関連において特に、アダプタユニットのための基礎を提供し、特に少なくとも一組み立て状態でワイパブレードのばね条片に固定されているユニットと解すべきである。「ばね条片」とは、この関連において特に、通常の運転状態で少なくとも10%、特に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%の分だけ弾性変形可能な少なくとも1つの延在長さを有し、特に、延在長さの変化に依存した、この変化に反作用する反力を発生させる要素と解すべきである。要素の「延在長さ」とは、この関連において特に、一平面上に要素を垂直に投影したときの2点間の最大間隔と解すべきである。好ましくは、ばね条片は部分的に、好ましくは少なくとも大部分、特に好ましくは完全にばね鋼からなっている。ばね条片が「少なくとも大部分」ばね鋼からなっているとは、特に、ばね条片の質量の少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の割合がばね鋼からなっていることと解すべきである。好ましくは、ベースユニットは一体的に形成されている。「一体的」とは、特に、少なくとも素材結合(stoffschluessig:分子間力等の化学結合による束縛)を介して、例えば溶接プロセス、接着プロセス、射出成形による被着プロセス及び/又は当業者が有意義と見なすその他のプロセスにより結合されること、かつ/又は好ましくは1つの部材として、例えば鋳造による製造及び/又は一成分又は多成分射出成形法による製造により、特に有利には単独のブランクから成形されることと解すべきである。「アダプタユニット」とは、この関連において特に、ワイパブレード構成部材、特にベースユニットに対する接触領域を有し、特に少なくとも一組み立て状態で当該ワイパブレード構成部材に紛失しないように結合されており、かつワイパアーム、特にワイパアームのワイパアームアダプタに連結及び/又は接続するための、ワイパブレードの連結領域を提供するために設けられているユニットと解すべきである。「設ける」とは、特に、特別に設計及び/又は構成することと解すべきである。好ましくは、アダプタユニットは、ワイパアーム、特にワイパアームのワイパアームアダプタに回動可能に結合、特に間接的に少なくとも1つの支持要素を介して結合されている。好ましくは、ベースユニット及び/又はアダプタユニットは、少なくとも実質的にプラスチックからなっているが、原則、金属又は当業者が好適と見なすその他の材料から製造されていてもよい。ベースユニット及び/又はアダプタユニットが「少なくとも実質的にプラスチックからなる」とは、特に、ベースユニット及び/又はアダプタユニットの質量の少なくとも60%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%の割合がプラスチックからなると解すべきである。好ましくは、アダプタユニットは、一体的に形成されているが、原則、アダプタユニットは、別個に製造されて互いに結合される複数の個別部材から製造されていてもよい。「形状結合を介して」とは、特に、ベースユニットとアダプタユニットとが少なくとも一対の互いに当接する面を有し、これらの面が、面の法線方向で働く保持力を及ぼし合うことと解すべきである。特に、ベースユニットとアダプタユニットとは、相互に形状結合を介して固定されている場合、互いに幾何学的に係合している状態にある。「互いに少なくとも部分的に取り囲むように係合する」とは、特に、ベースユニット又はアダプタユニットの少なくとも一部の部分領域が、少なくとも2面において、アダプタユニット又はベースユニットの当接する部分領域により覆われていることと解すべきである。好ましくは、ユニットの一方は、他方のユニットを取り囲むように上から他方のユニットに係合する。このことは、一方のユニットが他方のユニットの少なくとも一部の部分面を、他方のユニットの、ワイパブレードの表面とは反対側において覆っていることと解すべきである。特に、ワイパブレードへのワイパアームの、簡単に実施可能であって、しかも確実な固定が達成可能である。
【0003】
さらに提案するならば、アダプタユニットは、形状結合要素を有し、形状結合要素は、組み立て状態でベースユニットにより少なくとも部分的に取り囲まれるように係合される。「形状結合要素」とは、特に、アダプタユニットの、特に他の要素との係合のために設けられた要素と解すべきである。好ましくは、形状結合要素は、アダプタユニットの突出部として形成されている。特に、ベースユニットへのアダプタユニットの簡単に実施可能な固定が達成可能である。
【0004】
さらに提案するならば、アダプタユニットの形状結合要素は、少なくとも部分的に丸み付けられて形成されている。「少なくとも部分的に丸み付けられて形成されている」とは、特に、形状結合要素が、丸み付けられて形成されている外面を有する少なくとも一部の部分領域を有することと解すべきである。好ましくは、少なくとも部分的に丸み付けられて形成された形状結合要素は、アダプタユニットの他の部分領域から突出している。特に、部分的に丸み付けられて形成された形状結合要素は、半円形の横断面を有していてもよい。さらに、丸み付けられて形成された部分領域は、好ましくは湾曲を有するように形成されている。特に、簡単に固定可能なアダプタユニットが実現可能である。
【0005】
さらに提案するならば、ベースユニットは、アダプタユニットを係止結合により固定するように設けられている少なくとも1つの係止要素を有する。「係止要素」とは、この関連において特に、好ましくは組み立て時に弾性的に変位するために設けられている、係止結合を形成する要素と解すべきである。特に、簡単に操作可能であって、しかも確実な固定が達成可能である。
【0006】
さらに提案するならば、アダプタユニットは、係止要素と当接すべく設けられている少なくとも1つの丸み付けられたピンを有する。「丸み付けられたピン」とは、特に、丸み付けられた縁部を有する多角形の横断面を有するか、又は好ましくは円形の横断面を有する少なくとも1つの形状を有するピン状の要素と解すべきである。特に、アダプタユニットの簡単な係止固定が達成可能である。
【0007】
さらに提案するならば、係止要素は、係止フックにより形成されている。「係止フック」とは、特に、係止結合を行うために設けられているフック状の要素と解すべきである。「フック状の」要素とは、特に、当接要素の当接のための切欠きを有し、この切欠きがフック状の要素の壁により少なくとも一方向で180゜より大きな角度にわたって画定される要素と解すべきである。好ましくは、切欠きは、弧を描くように形成されているが、原則、角張った形、例えば多角形輪郭に形成されていてもよい。特に、ベースユニットの簡単に製造可能な係止要素が実現可能である。
【0008】
さらに提案するならば、係止フックは、回動可能に支持されている。回動可能な支持は、例えば回動可能に支持されるロッドに係止フックを取り付けることにより達成可能であるが、原則、当業者が好適と見なすその他の回動可能な支持も可能である。特に、簡単に達成可能な係止固定及びこの係止固定の簡単な解除可能性が、構造的に簡単に達成可能である。
【0009】
さらに提案するならば、係止フックは、弾性要素により閉鎖された状態に保持される。「弾性要素」とは、特に、機械的な損傷を受けたり、破壊されたりすることなく、繰り返し弾性的に変形及び/又は変位可能であり、特に変形及び/又は変位後自動的に再び基本形状及び/又は基本配向に移行する要素と解すべきである。特に、ベースユニット内でのアダプタユニットの確実な係止結合及び安定した固定が達成可能である。
【0010】
さらに提案するならば、係止要素は、弾性変形可能に形成されている。「弾性変形可能」な要素とは、特に、機械的な損傷を受けたり、破壊されたりすることなく、繰り返し変形可能であり、特に変形後自動的に再び基本形状に移行する要素と解すべきである。特に弾性変形可能な要素は、弾性変形に基づいて弾性的に変位可能である。このことは、外力の作用により、外部形状が少なくとも実質的に維持されるものの、他の要素に対する位置がずらされることと解すべきである。特に、構造的に簡単な係止要素が実現可能である。
【0011】
さらに提案するならば、係止要素は、くさび形に形成されている。「くさび形」とは、特に、少なくとも二面が、直角よりも小さい角度で交わる基本形状を有する係止要素と解すべきである。好ましくは、二面は、45゜の角度で交わる。特に、単純な形状を有する係止要素が実現可能である。
【0012】
さらに提案するならば、アダプタユニットは、アダプタユニットにワイパアームを固定するために設けられている少なくとも1つのフラップ要素を有する。「フラップ要素」とは、特に、一固定軸周りに旋回するように設けられている要素と解すべきである。特に、ワイパアームを固定するための、簡単に操作可能な固定要素が実現可能である。
【0013】
さらに提案するならば、方向付け要素が設けられている。「方向付け要素」とは、特に、組み立て中のベースユニット及びアダプタユニット相互の向きについて使用者に指示を与えるために設けられている要素と解すべきである。特に、誤組み立てが発生する可能性を低くすることができる。
【0014】
さらに提案するならば、方向付け要素は、視覚的な指示要素として形成されている。「視覚的な指示要素」とは、特に、目に見える形で使用者に指示を与えるために設けられており、その他の機能、例えば結合を形成する機能を充足する要素と解すべきである。特に視覚的な指示要素は、装飾的な切欠き、好ましくはアイとして形成されているか、又は図柄及び/又は文字を有する標識として形成されていることができる。これにより、特に、誤組み立てが発生する可能性を低くすることができる。
【0015】
さらに提案するならば、方向付け要素は、ベースユニット及び/又はアダプタユニットの形状結合要素として形成されている。特に、形状結合要素の延び方向を介して、組み立て中のベースユニット及びアダプタユニット相互の向きについて指示可能である。形状結合要素が少なくとも部分的に丸みをもって形成されている場合、丸みの延び方向を介して向きについて指示可能である。特に、付加的な機能を有する固定要素の機能統合を達成し、誤組み立てが発生する可能性を低くすることができる。
【0016】
さらに提案するならば、ベースユニットは、少なくとも2つの壁により画定される、アダプタユニットのための収容領域を有する。好ましくは、収容領域は、少なくとも三面で壁により画定されている。特に壁の1つは、ベースユニットの、ワイパブレード上に位置する基面により形成可能である。特に、ベースユニット及びアダプタユニットの、脱落が防止されていて、安定した結合が達成可能である。
【0017】
さらに提案するならば、収容領域を画定する少なくとも1つの壁に、少なくとも1つの突出部が配置されており、突出部は、壁とともに、アダプタユニットの形状結合要素と当接すべき形状結合切欠きを形成する。「突出部」とは、特に、第1の要素に配置される第2の要素であって、第1の要素の側方に配置され、第1の要素が配置されている立面に対する第2の要素の投影が、この立面に対する第1の要素の投影と少なくとも一部において重畳しないようになっている第2の要素と解すべきである。「形状結合切欠き」とは、特に、少なくとも二面において壁により画定される領域であって、この領域の形状に対応する形状結合要素の当接のために設けられている領域と解すべきである。特に形状結合切欠きは、形状結合要素を形成する。特に、形状結合を介して確実にかつ構造的に簡単に、アダプタユニットをベースユニットに固定することができる。
【0018】
さらに提案するならば、形状結合切欠きは、少なくとも部分的に丸み付けられた延び部を有する。「少なくとも部分的に丸み付けられた延び部」とは、特に、形状結合切欠きを画定するとともに、互いに隣接する少なくとも2つの壁間の、鋭利な縁部を有しない延び部と解すべきである。特に、好ましい形状結合が達成可能である。
【0019】
さらに提案するならば、係止要素は、収容領域の、形状結合切欠きとは反対側に配置されている。特に、収容領域内への簡単に実施可能な組み付けが達成可能である。
【0020】
さらに提案するならば、係止要素は、収容領域の、形状結合切欠きを有する側及び形状結合切欠きとは反対側とは異なる側に配置されている。特に、好ましくはコンパクトな、長さの短いワイパブレード装置が実現可能である。
【0021】
さらに提案するならば、係止要素は、アダプタユニットを、アダプタユニットの主延在方向に対して垂直に延びる係止運動により、払拭平面に対して平行な一平面内で固定するように設けられている。特に、簡単に実施可能な固定運動が達成可能である。
【0022】
さらに、第1の工程において、アダプタユニットの形状結合要素をベースユニットの形状結合切欠き内に挿入し、後続の工程において、アダプタユニットを係止結合によりベースユニットに固定する、ベースユニット及びアダプタユニットを組み立てる方法を提案する。
【0023】
その他の利点は、以下の図面の説明から看取可能である。図面は、本発明の5つの実施の形態を示している。図面、明細書及び特許請求の範囲は、多数の特徴の組み合わせを含む。当業者は、これらの特徴を合目的に個別に観察し、有意義な別の組み合わせにまとめることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ベースユニットと、ワイパアームに結合可能なアダプタユニットとを備え、アダプタユニットが、係止フックと丸み付けられたピンとによりベースユニットに固定される、本発明に係るワイパブレード装置の第1の実施の形態を示す図である。
図2】アダプタユニットが、丸み付けられて形成された形状結合要素を介してベースユニットに固定されている、本発明に係るワイパブレード装置の第2の実施の形態を示す図である。
図3】ワイパアームに固定するためのフラップ要素を有するアダプタユニットの固定部の詳細図である。
図4】アダプタユニットがベースユニットの係止要素により固定されており、正しい方向での組み付けのための視覚的な指示要素としてのアイを有する、本発明の第3の実施の形態を示す図である。
図5】ベースユニットの、形状結合切欠きを有する側に配置されている係止要素を備える、本発明の第4の実施の形態を示す図である。
図6】アダプタユニットが、丸み付けられた突出部として形成される形状結合要素であって、ベースユニットの対応する形状結合切欠き内に収容するために設けられている形状結合要素を有する本発明の第5の実施の形態を示す図である。
【0025】
実施の形態の説明
図1は、ワイパブレード装置10aの第1の実施の形態を示している。ワイパブレード装置10aは、ベースユニット12aと、ワイパアームに結合可能なアダプタユニット14aとを有している。アダプタユニット14aは、少なくとも一組み立て状態で形状結合を介してベースユニット12aに固定されている。ベースユニット12aとアダプタユニット14aとは、組み立て状態で形状結合部を有している。形状結合部において、少なくともユニットの一方は、ユニットの他方を少なくとも部分的に取り囲むようにこれに係合して、形状結合を形成している。ベースユニット12aは、ワイパブレード42aに取り付けられている。ワイパブレード42aは、ワイパゴムと、ワイパゴムに対してプリロード(予負荷)を加える、ばねレール60aとして形成されるばね条片とを有している。ワイパゴムによって、車両の図示しないウインドウ等の面は、図示しないワイパアームによりワイパブレード42aがウインドウ上を動かされることによって、清浄化される。ワイパブレード42aの下面により規定され、ウインドウ上に位置する一平面は、払拭平面という。ベースユニット12aをワイパブレード42aに取り付けるために、ベースユニット12aは、組み立て状態で下側に位置する、ワイパブレード42aに面した側に、固定要素を有している。固定要素は、把持爪56aとして形成されており、ワイパブレード42aのばねレール60aを取り囲むようにこれに係合している。ばねレール60aは、金属から製造されている。択一的には、ベースユニット12aは、ワイパブレード42aに、他の方法、例えば溶接又は接着により取り付けられていてもよい。
【0026】
さらにワイパブレード42aには、急傾斜に形成された壁要素として形成されるワイパスポイラ40aが取り付けられている。ワイパスポイラ40aは、ワイパ液によるワイパブレード42aの乗り越えを阻止し、これにより特に払拭行程中のウインドウからのワイパ液の除去を保証するために設けられている。ワイパスポイラ40aは、ワイパブレード42aの長手方向の延在方向で延びる壁要素により形成されており、この壁要素は、ワイパブレード主吹き寄せ方向に面した斜面領域を有している。この斜面領域は、ワイパブレード42aの横方向で見て、非対称的に延びている。ワイパスポイラ40aの斜面領域は、ワイパブレード主吹き寄せ方向に面した側に、まず平たんな部分領域と、この平たんな部分領域に続く、連続的に増加する勾配を有する部分領域とを有して形成されている。連続的に増加する勾配を有する部分領域は、ワイパブレード42a上方のワイパスポイラ40aの最高点を規定する稜にて終端している。ワイパスポイラ40aは、ワイパブレード主吹き寄せ方向とは反対側では、ワイパブレード42aの払拭平面に対して直角に延びる急斜面として形成されている。ワイパスポイラ40aには切欠きが形成されている。この切欠き内でベースユニット12aがワイパブレード42aに取り付けられている。その結果、ワイパスポイラ40aは、ワイパブレード42aの長手方向でベースユニット12aの両側を延在している。さらに、ワイパブレード装置10aとワイパスポイラ40aとの間に配置される図示しない構成部材を設け、この構成部材が、ワイパブレード装置10aとワイパスポイラ40aとの間の中間室におけるワイパ液の貫流を制限又は阻止するようになっていてもよい。
【0027】
アダプタユニット14aは、等脚かつ対称的な台形として形成されている基面を有する略直方体形の基本形状を有している。この基面の中央領域には、ワイパアームのための連結要素44aが配置されている。連結要素44aは、長方形の基面を有するくさび形の隆起を有する直方体形の要素として形成されている。この直方体形の要素は、上述の中央領域においてアダプタユニット14aの長手方向延在長さ全体にわたって延在している。くさび形の隆起は、円形の頂部(Kuppel)を有している。この頂部には、円形の穴として形成される固定手段収容部52aが配置されている。固定手段収容部52aは、ワイパアームの、相応に形成された固定手段を収容するために形成されている。原則、これとは異なる態様に形成された固定手段収容部52aも可能である。
【0028】
アダプタユニット14aは、形状結合要素16aを有している。形状結合要素16aは、組み立て状態でベースユニット12aにより取り囲まれるように係合される。形状結合要素16aは、アダプタユニット14aの一方の短辺であって、他方の短辺に対して先細りするように形成されている短辺に、配置されており、長方形の基本形状を有する突出した縁部として形成されている。図示の実施の形態では、形状結合要素16aは、組み立て状態で上側に位置する直角の縁部領域と、下側に位置する丸み付けられた縁部領域とを有している。下側に位置する縁部領域は、ベースユニット12a内へのアダプタユニット14aの取り付けを容易にするために、丸み付けられて形成されている。しかし、原則、この縁部領域は、完全に直角に形成されていてもよく、かつ/又は形状結合要素16aは、他の基本形状、例えば三角形の基本形状を有していてもよい。形状結合要素16aは、ベースユニット12aの形状結合切欠き38a内に収容されるために設けられている。形状結合切欠き38aの形状は、形状結合要素16aの形状に対応している。形状結合要素16aの形状と形状結合切欠き38aの形状とが対応していることに基づいて、形状結合要素16aは、アダプタユニット14aをベースユニット12a内に正しく取り付けるためのアダプタユニット14aの向きあるいは姿勢を指示し、これによりワイパブレード装置10aの方向付け要素32aを形成している。アダプタユニット14aは、丸み付けられた2つのピン28を有している。ピン28は、ベースユニット12aの係止要素22aの当接のために設けられている。ピン28は、アダプタユニット14aの、形状結合要素16aとは反対側に配置されており、突出する円柱状の棒要素により形成されている。ピン28は、それぞれ、アダプタユニット14aの長辺に配置されている。ピン28は、それぞれ、反対側に位置し、アダプタユニット14aの長辺から側方に突出している。ピン28の周面は、それぞれ、係止要素22aの当接のための係止当接面50aとして用いられる。
【0029】
ベースユニット12aは、長方形の基面を有している。この基面の長辺及び短辺の長さは、それぞれ、アダプタユニット14aのそれぞれの対応する長辺及び短辺の長さより長い。ベースユニット12aは、アダプタユニット14aのための、壁20aにより画定される収容領域36aを有している。収容領域36aは、さらにベースユニット12aの基面によっても画定される。収容領域36aを画定する壁20aは、基面の短辺に配置されている。さらに、収容領域36aを画定する壁20aの上側の領域には、収容領域36aに向かって延在する突出部18aが配置されている。突出部18aは、壁20aとともに、アダプタユニット14aの形状結合要素16aの当接のための形状結合切欠き38aを形成している。さらに、収容領域36aを画定する壁20aは、側壁46aを有している。側壁46aは、壁20aの、ベースユニット12aの長辺に配置されている側に、突出部18aから、払拭平面に対して平行な方向で、ワイパブレード42aに向かって、ベースユニット12aの長辺まで延在している。側壁46aは、壁20aの厚さと比較して薄く形成されており、壁20aの厚さの4分の1の厚さを有しているにすぎない。しかし、原則、側壁46aは、それとは異なる厚さを有していてもよく、例えば壁20aとちょうど同じ厚さに形成されていてもよい。側壁46aは、組み立て状態において、ベースユニット12a内に取り付けられたアダプタユニット14aが、特に払拭運動に基づいて側方に脱落することを阻止するために設けられている。壁20a及び側壁46aは、ベースユニット12aの基面と一体的に形成されている。図示の実施の形態では、ベースユニット12aが、側方への脱落を阻止する側壁46aを有しているが、原則、側壁46aは、アダプタユニット14aに一体成形されていてもよい。側壁46aは、アダプタユニット14aの形状結合要素16aの側方を延在可能である。この場合、形状結合を介した固定を達成するために、ベースユニット12aの短辺の長さは、アダプタユニット14aの短辺の長さより短く形成されている。
【0030】
ベースユニット12aは、係止要素22aを有している。係止要素22aは、アダプタユニット14aを係止結合により固定するために設けられている。係止要素22aは、係止フック24により形成されており、収容領域36aの、形状結合切欠き38aとは反対側に配置されている。係止フック24は、回動可能に支持されており、弾性要素26により閉鎖状態に保持されている。弾性要素26は、ロッドにより形成されている。しかし、原則、弾性要素26は、当業者にとって好適と見なされる他の要素により形成されていても、又は閉鎖位置に係止要素22aを保持する非弾性要素が形成されていてもよい。弾性要素26は、例えばばねによりプリロードが加えられた係止手段として形成されている略示した固定ユニット62により、閉鎖位置への係止フック24の回動後、このために設けられた収容穴内に係止される。固定ユニット62により、閉鎖位置での弾性要素26の拘束が達成される。閉鎖位置からの係止要素22aの解除は、図示しない解除ユニットにより達成され、ベースユニット12aからアダプタユニット14aを取り外すことが可能である。解除ユニットは、例えばばねによりプリロードが加えられた係止手段を引き戻すために形成されていてもよい。さらにロッドは、係止フック24の回動可能な支持を実現する。
【0031】
ベースユニット12aの係止フック24として形成される係止要素22aによるアダプタユニット14aの固定は、アダプタユニット14aの丸み付けられたピン28への係止フック24の当接により達成される。係止フック24は、略円形の本体を有している。この略円形の本体により係止フック24は、弾性要素26として形成されかつ回動可能に支持されるロッドに固定されている。係止フック24の本体からは、湾曲した爪が突出している。爪の、本体に面した湾曲領域は、係止面48aを形成している。係止面48aは、四分円の延びに相当する延びを有している。係止フック24は、収容領域36aの、形状結合切欠き38aとは反対側の側方の端部領域に配置されており、アダプタユニット14aの組み付け状態でアダプタユニット14aの基体の長辺に当接している。原則、択一的な態様では、係止フック24として形成される係止要素22aは、収容領域36aの、形状結合切欠き38aを有する側及び形状結合切欠き38aとは反対側とは異なる側、例えばベースユニット12aの一方又は両方の長辺に配置されていてもよい。アダプタユニット14aは、この択一的な態様において、例えば基体の長辺に、係止フック24として形成された係止要素22aの当接のために設けられている丸み付けられて形成された切欠きを有していてもよい。
【0032】
ベースユニット12a及びアダプタユニット14aの組み立てのために使用される方法では、第1の工程において、アダプタユニット14aの形状結合要素16aをベースユニット12aの形状結合切欠き38a内に挿入する。アダプタユニット14aの短辺の一方しか形状結合要素16aを有していないので、組み立て中のアダプタユニット14aの向きは、方向付け要素32aとして機能する形状結合要素16aにより定められている。ベースユニット12aの形状結合切欠き38a内へのアダプタユニット14aの形状結合要素16aの挿入により、ベースユニット12aとアダプタユニット14aとの形状結合が達成される。この形状結合部において、ベースユニット12aは、アダプタユニット14aを部分的に取り囲むようにこれに係合して、形状結合を形成している。形状結合要素16aの下側の領域の丸み付けられた形状に基づいて、ベースユニット12a内へのアダプタユニット14aの挿入は、容易に実施可能である。後続の工程において、形状結合切欠き38a内への形状結合要素16aの挿入後、アダプタユニット14aを係止結合により形状結合を介してベースユニット12aに固定する。このために、係止フック24を手で回動させる。その結果、係止フック24のフック切欠きは、アダプタユニット14aの長辺に設けられた丸み付けられたピン28を取り囲むようにこれに係合する。このとき、係止フック24の係止面48aは、丸み付けられたピン28の、係止当接面50aを形成する周面に当接する。択一的には、弾性要素26をトーションロッドとして形成しておき、ベースユニット12a内へのアダプタユニット14aの挿入時、係止フック24が、上からの衝撃が加わることにより、収容領域36aとは反対方向に向かって回動変位するようにしてもよい。収容領域36aとは反対方向に向かう変位により、トーションロッドとして形成された弾性要素26は、回動し、これにより、弾性的なねじり力が形成される。このねじり力は、係止フック24を、収容領域36aに向かう方向に回動させるように変位させ、係止フック24を、アダプタユニット14aの丸み付けられたピン28に当接させる。
【0033】
図2乃至図9は、本発明の別の実施の形態を示している。以下の説明は、実質的に各実施の形態間の相違点に限定する。同じ構成部材、特徴及び機能については、他の実施の形態の説明を参照されたい。実施の形態間を区別するため、図1に示した第1の実施の形態の符号に付記したアルファベットのaを、図2乃至図9に示した別の実施の形態の符号では、それぞれアルファベットのb〜fに置換した。同じ部材名を付した構成部材、特に同じ符号を有する構成部材については、原則、図1の実施の形態の図面及び/又は説明も参照されたい。
【0034】
図2は、択一的なワイパブレード装置10bを示している。ベースユニット12bは、ワイパブレード42bのワイパスポイラ40bの中間室内に配置されており、把持爪56bによりワイパブレード42bのばねレール60bに固定されている。ワイパスポイラ40aは、第1の実施の形態に示したワイパスポイラ40aと同様に形成されている。
【0035】
ベースユニット12bは、それぞれ2つの長辺及び短辺を有する長方形の基本形状を有している。ベースユニット12bの基面は、アダプタユニット14bの、ワイパアームに連結する連結要素44bとは反対側の領域の当接のために形成されており、この領域に対応する形状を有している。ベースユニット12bは、基本形状の両短辺に、アダプタユニット14bのための収容領域36bを画定する壁20bを有している。収容領域36bの長手方向延在長さは、アダプタユニット14bの基体の長手方向延在長さと一致している。さらにベースユニット12bの壁20bは、アダプタユニット14bの形状結合要素16bのための当接面として形成されている。壁20bの一方は、収容領域36bに向かう方向に延びる丸み付けられた膨らみ部を有している。この膨らみ部は、半球状に形成されており、対応して形成されたアダプタユニット14bの形状結合要素16bへ当接するように形成されている。他方の壁20bは、凹み部を有している。この凹み部は、収容領域36bとは反対方向に向かって延びており、形状結合切欠き38bを形成している。形状結合切欠き38bは、壁20bの、内向きに湾入した半球状の延びにより画定されている。壁20bの膨らみ部と凹み部とは、互いに対応している。互いに対応しているとは、膨らみ部を切り離し、切り離した膨らみ部を凹み部に挿入すると、垂直に延びる壁が得られるように膨らみ部が凹み部を満たすことと解すべきである。これにより、形状結合切欠き38bは、丸み付けられた延び部を有している。原則、壁20bは、互いに対応しない形状を有していてもよい。さらに壁20bの形状は、丸み付けられた形状とは異なり、例えば角張った縁部を有していてもよい。収容領域36bとは反対方向に向かって延びる凹み部を有する壁20bは、係止要素22bとして形成されている。係止要素22bは、アダプタユニット14bを係止結合により固定するように設けられている。壁20bにより形成される係止要素22bは、弾性変形可能に形成されており、エラストマー材料から製造されている。係止要素22bは、力をかけると、収容領域36bとは反対方向に向かって弾性的に変位可能である。変位には、人の手により加えられる力で十分である。係止要素22bは、力の印加の終了後、初期位置に復帰する。
【0036】
アダプタユニット14bは、柱状の基本形状を有する基体を有している。基体の長手方向延在長さは、収容領域36bの長手方向延在長さと一致している。アダプタユニット14bの上面には、ワイパアームのための連結要素44bが配置されている。柱状の基本形状の端部領域は、アダプタユニット14bの、丸み付けられて形成されている形状結合要素16bとして形成されている。形状結合要素16bは、壁20bの上述の膨らみ部又は凹み部に対応するそれぞれ1つの形状を有しており、これにより半球状の凹み部又は膨らみ部として形成されている。さらにワイパブレード装置10bは、アダプタユニット14bの形状結合要素16bと壁20bとにより形成されている方向付け要素32bを有している。ベースユニット12bの壁20bの延びと、アダプタユニット14bの対応する形状結合要素16bの延びとは、ベースユニット12b及びアダプタユニット14bを正しく組み立てるためのアダプタユニット14bの向きを指示する。
【0037】
ワイパブレード装置10bを組み立てるために、第1の工程において、アダプタユニット14bを、柱状の基本形状の、凹み部として形成される形状結合要素16bを有する端部領域で、係止要素22bとは反対側の壁20bにあてがう。次に、力を加えて、弾性変形可能な係止要素22bを静止位置から、収容領域36bとは反対方向に向かって変位させ、アダプタユニット14bをワイパブレード42bに接近させる。その結果、アダプタユニット14bの、ワイパアームのための連結領域とは反対側の領域が、ベースユニット12b内に収容される。後続の工程において、係止要素22bの、静止位置への弛緩が実施される。その結果、係止要素22bは、アダプタユニット14bの、膨らみ部として形成された形状結合要素16bに当接し、係止結合を形成する。これにより、アダプタユニット14bは、係止結合により固定される。ベースユニット12bの壁20bへのアダプタユニット14bの形状結合要素16bの当接と、膨らみ部及び凹み部としての形状結合要素16b及び対応する壁20bの構成とにより、アダプタユニット14bは、ベースユニット12bにより部分的に取り囲まれるように係合されて、形状結合を形成する。
【0038】
図3は、フラップ要素30を有するアダプタユニット14cを備えるワイパブレード装置10cの側面図である。フラップ要素30は、アダプタユニット14cにワイパアームを固定するために設けられている。フラップ要素30は、開放旋回可能であり(図4)、ワイパアームをアダプタユニット14cに固定する。固定のためにワイパアームは、フラップ要素30が上方旋回されたときに、連結要素44cに連結され、フラップ要素30の下方旋回により固定される。このためにフラップ要素30は、形状結合を介したワイパアームの固定のための図示しない形状結合領域を有している。
【0039】
図5は、本発明の別の実施の形態を示している。ワイパブレード装置10dは、ベースユニット12dを有している。ベースユニット12dは、公知の形式で把持爪56bによりワイパブレード42dのばねレール60dにワイパスポイラ40dの切欠き内で取り付けられている。ベースユニット12dは、2つの長辺と2つの短辺とを有する長方形の基本形状を有している。短辺には2つの壁20dが配置されている。壁20dは、アダプタユニット14dのための収容領域36dを画定している。壁20dの一方には、突出部18dが配置されている。突出部18dは、収容領域36dに向かう方向でベースユニット12dの基面に対して張り出しており、壁20dとともに、アダプタユニット14dの形状結合要素16dの当接のために設けられている形状結合切欠き38dを形成している。他方の壁20dには、係止要素22dが配置されている。係止要素22dは、弾性変形可能に形成されており、アダプタユニット14dの、形状結合要素16dとは反対側に設けられた切欠きに係合し、かつアダプタユニット14dをベースユニット12dに固定するために設けられている。さらに、係止要素22dを有する壁20dは、弾性変形可能に形成されている。係止要素22dは、くさび形に形成されており、45゜の角度で交わる2つの側面領域を有している。この場合、側面領域の一方は、ベースユニット12dの、収容領域36dの表面を形成する基面に対して平行に延びており、係止面48dを形成している。他方の側面領域は、係止面48dに対して45゜の角度をなして延びており、第2の係止面49dを形成している。壁20dは、壁20dの側方の端部に側壁46dを有している。側壁46dは、組み立て状態においてアダプタユニット14dがベースユニット12dから側方に脱落することを阻止するために設けられている。さらに側壁46dは、ベースユニット12dとアダプタユニット14dとの間の結合箇所においてワイパ液が貫流することを阻止する。
【0040】
さらに、係止要素22dを有する壁20dには、収容領域36dとは反対側に、視覚的な指示要素34として形成される方向付け要素32dが配置されている。視覚的な指示要素34は、アイとして壁20dの長方形の延長部に形成されており、正しく組み立てるためのアダプタユニット14dの向きを視覚的に指示する。
【0041】
アダプタユニット14dは、一方の短辺に形状結合要素16dを有している。形状結合要素16dは、形状結合切欠き38dへの当接のために設けられており、組み立て状態でベースユニット12dの突出部18d及び壁20dにより取り囲まれるように係合される。形状結合要素16dは、突出する略長方形の縁部として形成されている。この縁部の、組み立て状態で下側に位置する領域は、丸み付けられて形成されている。形状結合要素16dの部分的に丸み付けられた形状により、ベースユニット12d内へのアダプタユニット14dの挿入は、容易となる。アダプタユニット14dの、形状結合要素16dとは反対側には、切欠きが配置されている。この切欠きは、形状結合を介してくさび形の係止要素22dを収容するために設けられている。このために切欠きは、アダプタユニット14dの基面に対して平行に延びる係止当接面50dと、切欠きから形状結合要素16dに向かう視線方向に関して、アダプタユニット14dの基面に対する平行線に対して135゜の角度をなして延びる係止当接面51dとを有している。係止当接面50dは、係止面48dの当接のために設けられ、係止当接面51dは、係止面49dの当接のために設けられている。
【0042】
ベースユニット12d内へのアダプタユニット14dの組み付けのために、第1の工程において、アダプタユニット14dの形状結合要素16dをベースユニット12dの形状結合切欠き38d内に導入する。形状結合要素16dの部分的に丸み付けられた形状により、挿入は容易となる。このために、弾性変形可能なくさび形の係止要素22dを有する壁20dは、収容領域36dとは反対方向に向かって、曲げ力の作用下で曲げられる。後続の工程において、係止要素22dを有する壁20dを初期位置に復帰させる。これにより、係止面48d,49dを有する係止要素22dは、係止当接面50d,51dを有するアダプタユニット14dの切欠きに係合し、形状結合を介してアダプタユニット14dを固定する。これにより係止要素22dは、アダプタユニット14dを、アダプタユニット14dの主延在方向に対して垂直に延びる係止運動により、払拭平面に対して平行な一平面内で固定するために設けられている。アダプタユニット14dの主延在方向は、アダプタユニット14dの基本形状の長辺の延び方向により規定されている。
【0043】
図6は、本発明の別の実施の形態を示している。ベースユニット12eとアダプタユニット14eとは、実質的に上述の実施の形態と同様に形成されている。上述の実施の形態とは異なり、ベースユニット12eは、2つの係止要素22eを有している。係止要素22eは、くさび形に形成されている。係止要素22eは、2つの側方のレール体の端部に配置されている。レール体の、係止要素22eとは反対側の端部には、横方向レールが配置されている。横方向レールには、突出部18eを有する壁20eが配置されている。突出部18eは、壁20eとともに形状結合切欠き38eを形成する。係止要素22eとレール体とは、弾性変形可能に形成されており、その結果、係止要素22eは、静止位置から、収容領域36eの長手方向延在長さから横方向に逆向きに変位可能である。係止要素22eは、形状結合切欠き38eに向かう視線方向に関して45゜の角度をなしてレール体の基面から上昇するそれぞれ1つの縁部を有している。縁部の、レール体側の面は、係止面48eを形成している。係止面48eは、アダプタユニット14eの係止当接面50eへの当接のために設けられている。係止要素22eが変位され、アダプタユニット14eがベースユニット12eの収容領域36e内に挿入されると、係止要素22eは、弾性的に静止位置に戻り運動する。
【0044】
図7は、係止要素22eと、ワイパブレード42eのばねレール60eに固定される把持爪56eとを有するベースユニット12eの延びの断面図である。把持爪56eにより、払拭運動時、ベースユニット12e及び固定されたアダプタユニット14eの側方への脱落は、阻止される。
【0045】
図8は、本発明の別の実施の形態の一部を示す図である。ワイパブレード装置10fのうち、ベースユニット12fと、形状結合要素16fを有するアダプタユニット14fとの側面領域を示している。ベースユニット12fは、長方形の基本形状を有している。一方の短辺には、壁20fが配置されている。壁20fは、突出部18fとともに、半球状に延びる横断面を有する形状結合切欠き38fを形成している。形状結合切欠き38fは、アダプタユニット14fの形状結合要素16fを収容するために設けられている。ベースユニット12fの長辺の側方領域には、円形の横断面を有する突起として形成される係止要素22fが配置されている。これにより係止要素22fは、収容領域36fの、形状結合切欠き38fを有する側及び形状結合切欠き38fとは反対側とは異なる側に配置されている。係止要素22fは、アダプタユニット14fの円形の切欠きに係止するために設けられている。
【0046】
アダプタユニット14fは、長方形の基体を有している。基体の前方の領域には、半球状の横断面を有する突出した形状結合要素16fが配置されている。形状結合要素16fは、丸み付けられて形成された段部54によりアダプタユニット14fの上側の領域から区分されている。ワイパブレード装置10fは、方向付け要素32fを有している。方向付け要素32fは、アダプタユニット14fの形状結合要素16f及びベースユニット12fの形状結合切欠き38fとして形成されている。アダプタユニット14fの基体の側方の領域には、円形の切欠きを有する縁部が配置されている。縁部は、下向きに、ワイパアームの連結領域とは反対方向に向かって、アダプタユニット14fの基体から突出している。縁部に設けられた円形の切欠きは、係止当接面50fを形成している。
【0047】
ベースユニット12f及びアダプタユニット14fを組み立てるために、アダプタユニット14fを上側からベースユニット12fの収容領域36f内に導入し、形状結合切欠き38fに向かう運動により、形状結合要素16fを形状結合切欠き38f内に片側から導入する。その際、アダプタユニット14fの、形状結合要素16fとは反対側の領域は、収容領域36f上方の高い位置で保持される。次の組み立て工程において、アダプタユニット14fの、形状結合要素16fとは反対側の領域を下方に動かし、このときアダプタユニット14fの円形の切欠きを係止要素22fに重なるように引き寄せる。側方からの押圧により、今や係止要素22fは円形の切欠き内に押し込まれる。これにより、係止要素22fの側面領域により形成される係止面48fは、円形の切欠きの係止当接面50fに当接し、アダプタユニット14fは、ベースユニット12f内に固定される。取り付けられたアダプタユニット14fが払拭運動中に側方に脱落することは、付加的な保持ピン58の使用により回避される。
【0048】
図9は、円形の切欠き内に導入される係止要素22fを有する組み立てられたワイパブレード装置10fの断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9