【実施例1】
【0047】
[ゲートバルブの仕切壁構造]
本実施例では、ゲートバルブ15の流入開口部24は水道管11の外周壁面曲率に沿って形成した仕切壁25により閉塞されている。
すなわち、ゲートバルブ15の流水筒16には突出筒55を延設し、この突出筒55は、
図2及び
図3に示すように、後述するサドル30の取付筒32と嵌合される。
かかる突出筒55は、水道管11内を流れる水を分水栓14に分岐導水するための導水路となる。
【0048】
また、突出筒55には、その内径を流水筒16の内径よりも大としたテーパ状の内径面27を形成している。
図3に示すように、このテーパ状の内径面27は第1フランジ17側に形成している。
これにより、突出筒55とゲートバルブ15の流水筒16との内径差による乱流を防ぐことができ、水道管11からの水をスムーズに分水管に導水できる。
なお、本実施例では突出筒55内面をテーパ形状としているが、本発明の分水栓14形成方法は内面にテーパ形状を有しない突出筒55にも適用することができる。
【0049】
また、その突出筒55のサドル30側端部には仕切壁25が形成されている。
仕切壁25は、
図3に示すように、水道管11の外周壁面曲率に沿って分水口62を閉塞するような曲率の曲線により形成されている。
従って、
図3に示すように、突出筒55端部は、水道管11表面に沿って分水口62の周縁に当接可能となる。
【0050】
そして、この仕切壁25を穿孔機43で穿孔することで流入開口部24が形成される。この流入開口部24は、水道管11の周壁と同時に穿孔されて分水口62を形成する。
水道管11とゲートバルブ15はこの分水口62を介して一体的に連通連結される。
分水口62にはゴムパッキン23と金属スリーブ40を介在することによりシール機能を果たしている。
【0051】
[センタードリルガイド小孔の詳細]
前記仕切壁25の中心には水道管11の分水栓14の中心位置に対応したセンタードリルガイド小孔26を穿設している。
【0052】
すなわち、
図3に示すように、水道管11外周壁と同曲率の曲線を有する仕切壁25の中心位置にセンタードリルガイド小孔26が穿設されており、センタードリルガイド小孔26は、ゲートバルブ15側をテーパ状に形成し、サドル30側をストレート状に形成している。
また、センタードリルガイド小孔26は、センタードリル45本体の直径よりも小径になっている。
この小孔26は、センタードリル45による穿孔時のガイドの役目を有する。
【0053】
ここで、本発明の穿孔処理工程で使用する穿孔機43について
図7及び
図8に基づいて説明する。
穿孔機43は、基端側ドリル軸の先端側にコアードリル46とセンタードリル45とを備えている。
コアードリル46は、
図7及び
図8に示すように、水道管11を大径で穿孔するために先端開放の円筒状に形成されその先端部分に穿孔刃46aを取りつけている。
センタードリル45は、コアードリル46より先行してセンタードリルガイド小孔26を穿孔するものであり、コアードリル46の先端中心軸に突設されており、先端先鋭の長細い棒状に形成され、その先端部はコアードリル46周縁の穿孔刃46aよりも前方に突出している。
【0054】
なお、本実施例では、センタードリルガイド小孔26は貫通孔としているが、貫通孔でない穴でもよい。穴の形状も例えば断面三角形に形成することができる。貫通孔及び穴の形状は特に限定されない。
【0055】
また、センタードリル45によって仕切壁25の中心位置に穿設されたセンタードリルガイド小孔26は、分水栓に用いるゲートバルブ15の水圧検査に用いることができる。すなわち、弁体22を閉めて、小孔から充水し水圧を負荷してゲートバルブ15からの漏水の有無を確認するものである。
【0056】
このように、仕切壁25にセンタードリルガイド小孔26を設けることで、小孔26がセンタードリル45のガイドの役目をし、仕切壁25の中心位置に正確にセンタードリル45で穿孔することができる。
すなわち、センタードリルガイド小孔26を設けることで、穿孔機43のドリル本体44に振れが生じず、分水栓14の中心位置において仕切壁25に正確に穿孔することができる共に、既設管12及び更生管13にも正確に穿孔して水道管11の周面に正確な分水口62を形成することができる。
このように正確に穿孔することができることから分水口62に擦れや傷などの発生がなくなり、分水口の損傷部分から漏水するという虞を解消することができる。
【0057】
[他の実施形態を有するコアードリルガイド孔の詳細]
本実施例では、コアードリル46と同径のコアードリルガイド孔64を仕切壁25に予め設け、そのガイド孔によりコアードリル46の位置決めをすることで、既設管12及び更生管13を同時に穿孔して分水口62を正確に形成する。
【0058】
図9は、予めコアードリルガイド孔64を仕切壁25に設けたゲートバルブの説明図である。
すなわち、
図9に示すように、実施例1のセンタードリルガイド小孔26に代えて、本実施例ではコアードリルガイド孔64を直接に仕切壁25に設けたことを特徴とする。
【0059】
図9に示すように、穿孔機43による穿孔前に、仕切壁25にはコアードリル46と略同じ径のコアードリルガイド孔64が形成されている。
すなわち、既設管12と同曲率を有する仕切壁25の中心を、コアードリル46の中心位置と一致させた状態で、コアードリル46の径と同じ径を有する位置決め用のコアードリルガイド孔64を仕切壁25に設けている。
なお、コアードリルガイド孔64以外の構造については実施例1と同じである。
【0060】
そして、穿孔機43で仕切壁25を穿孔する際、コアードリル46は仕切壁25の孔の大きさと同径であるためコアードリル46がコアードリルガイド孔64に沿って進入して既設管12及び更生管13にコアードリルガイド孔64と同径の穿孔を行うことができ、これにより、既設管12及び更生管13に精度よく穿孔することができる。この場合において穿孔処理工程以外の工程については実施例1と同じである。
【0061】
この場合においても、コアードリル46のガイドの役目をするコアードリルガイド孔64を設けたためにドリル本体44に微振動が生起することなく、分水栓14の中心位置に対応して仕切壁25とサドル本体31と水道管11のそれぞれに正確にかつ同時に分水口を穿孔することができる。
【0062】
[シールリングの構造]
さらに、
図2及び
図3に示すように、ゲートバルブ15の突出筒55端部(サドル30側)には、突出筒55外径を縮径した突出鍔部28を形成している。
突出鍔部28は、取付段差29aにより形成されており、そのために突出筒55の開口端部を閉塞した仕切壁25の外径が縮径されることになる。
従って、取付筒32と突出筒55とを嵌着して連通連設した場合に、仕切壁25の縮径した取付段差29aとサドル30に突設した取付筒32の基部の取付段差29bとをシール部材47を介在して当接することにより取付筒32と突出筒55との完全なシール機能を果たすことができる。
【0063】
また、本実施例ではサドル30側においても、
図4に示すように、サドル30の取付筒32の基端側の周囲に取付段差29bを設けている。
【0064】
このように、ゲートバルブ15をサドル30に取り付ける際、前記ゲートバルブ15側の取付段差29aとサドル30側の取付段差29bとを組合わせてシール部材47を介在させることにより環状のシール機構が形成される。
【0065】
[穿孔処理方法の詳細]
次に、本発明に係る穿孔処理方法について詳細に説明する。
なお、穿孔処理方法の説明は、まずサドル取付工程及びゲートバルブ取付工程を説明した後に具体的に説明する。
【0066】
最初に、サドル取付工程を説明する。
図5は、水道管11にサドル30を取り付けた状態を説明する説明図である。
まず、
図5に示すように、水道管11の周壁にバンド38を取り付け、そのバンド38にサドル30を一体に取付け、フランジを介してボルト・ナット34により固着する。これにより、サドル30とバンド38とが一体となって、水道管11外周を囲繞するように装着される。
【0067】
次に、ゲートバルブ取付工程を説明する。
図6に示すように、サドル30側のサドルフランジ35と分水栓14側の第1フランジ17と接合させて、取付金具68により固着することによりサドル30にゲートバルブ15を取付ける。
【0068】
ゲートバルブ15の突出筒55は、第1フランジ17からサドル30側に突出している。その突出筒55は、サドル30の取付筒32内に嵌着される。
しかも、突出筒55の端部の仕切壁25は、既設管12等と同じ曲率を有しているため、突出筒55がサドル30の取付筒32内に嵌着された状態では突出筒55の仕切壁25は水道管11の外周部分に沿って当接する。
【0069】
図6に示すように、サドル30にゲートバルブ15を一体に連設すると、前記サドル30側の取付段差29aと前記ゲートバルブ15側の取付段差29bとがシール部材47を介して当接される。
このシールリング機構により、ゲートバルブ15とサドル30との間が止水できると共に、サドル30と既設管12との間も止水できることができる。
しかも、前記取付筒32と突出筒55の嵌着及びシール構造により、断水しない状況下での分岐工事中にも止水を行うことができ、かつ、施工後には、外部からの水、土砂などの流入防止の役目をする。
【0070】
次に穿孔処理工程について説明する。
図7は、ゲートバルブ15に穿孔機43を取り付けた状態を説明する説明図である。
ゲートバルブ15の流水筒16の一方側に穿孔機43を取付けるものであり、穿孔機43は、基端側ドリル軸の先端側にコアードリル46とセンタードリル45とを備えている。
【0071】
使用に際しては、ゲートバルブ15を開き、センタードリル45及びコアードリル46を流水筒16内の一方側より進入させる。
そして、センタードリル45の先端がセンタードリルガイド小孔26に当接するまでドリル本体44を進入させる。
【0072】
さらに、ゲートバルブ15の弁体22を開いた状態で、穿孔機43を駆動して既設管12及び更生管13に穿孔する。
すなわち、
図7に示すように、センタードリル45をセンタードリルガイド小孔26に挿入する。この小孔26がコアードリル46の進行ガイドの機能を果し、コアードリル46がそのまま進行すれば仕切壁25と共に水道管11の周壁に分水口62を穿設する。
【0073】
すなわち、
図8に示すように、センタードリルガイド小孔26で穿孔中心を想定しながら、穿孔機43を進行させてコアードリル46により仕切壁25と共に更生管13及び既設管12を同時に穿孔する。
【0074】
従って、仕切壁25と共に既設管12及び更生管13に分水口62を同径で同時に精度よく穿設することができると共に、水道管11周壁の分水口62にゴムパッキン23のフランジ部23aを安定した状態で取付けることができる。
【0075】
なお、仕切壁25にセンタードリルガイド小孔26を設けることにより、ドリル本体44に微振動が生起してもセンタードリルガイド小孔26を介して正確に案内されるため、穿孔面等に擦れや傷などの発生がなくなり、美麗な穿孔面を得ることができる。したがって、漏水のおそれが無くなる。
【0076】
穿孔が終了した後には、穿孔機43のドリルをゲート内から抜去し、ゲートバルブ15の弁体22を閉める。そして、穿孔機43を分水栓14から取り去り、穿孔処理工程を完了させる。
この後の拡径処理工程については実施例3で詳細に説明する。
【実施例2】
【0077】
図11は、実施例2に係る水道管11及び分水栓14の全体構造を示した断面図である。
本実施例は、
図14に示すように、サドル30の中央部に仕切壁を設け、ゲートバルブ15をサドル30を介して水道管11の周壁にゲートバルブ15を有した分水栓14を付設固定し、その後穿孔機43(
図18に示す)のドリル本体44(
図18に示す)をゲートバルブ15の流水筒16内に進入させてサドル30の仕切壁と共に既設管12及び更生管13の周壁を同時に穿孔する。このようにして水道管11とゲートバルブ15を有した分水栓14とを一体に連設した分水栓構造が完成する。
【0078】
図12は、ゲートバルブ15を有する分水栓14の全体構造を示す説明図である。
図13は、ゲートバルブ15を有する分水栓14の断面構造を示す説明図である
図12及び
図13に示すように、本実施例でのゲートバルブ15の流水筒16の両端には一対のフランジを設けている。
また、ゲートバルブ15の流水筒16の一端には第1フランジ17が形成され、他端には第2フランジ18が形成されている。第1フランジ17は、サドル30側のサドルフランジ35と接合可能とするものである。
第2フランジ18は、分水栓14形成時には穿孔機43や分水栓取付用治具10を取付可能とし、分水栓14形成後には他の分岐管42との接続を可能とするものでる。
【0079】
[サドルの仕切壁構造]
次に、サドル30の仕切壁構造について詳細に説明する。
図14(a)は、サドル30の構造を示す側面図であり、
図14(b)は、サドル30の構造を示す平面図であり、
図14(c)は、テーパ状の内径面27を有するサドル30の構造を示す断面図であり、
図14(d)は、テーパ面を有しないサドル30の構造を示す断面図である。
【0080】
本発明に係るサドル30を構成する半環状のサドル本体31は、既設管12及び更生管13の外周壁面曲率に沿って形成され、中心部には取付筒32を突設しており、取付筒32の基部は水道管11の外周壁面曲率に沿った半環状のサドル本体31により閉塞されており、この取付筒32の有底部を仕切壁としている。この仕切壁には分水栓14中心となるべき位置に対応してセンタードリルガイド小孔26(
図14(c)に示す)を穿設している。
【0081】
[センタードリルガイド小孔の詳細]
センタードリルガイド小孔26は、ゲートバルブ15側がテーパ状に形成され、更生管13側がストレートに形成されている。
センタードリルガイド小孔26は、センタードリル45本体の直径よりも小径になっている。
この小孔26は、センタードリル45による穿孔時のガイドの役目を有する。
この理は、前述の実施例に記載した通りである。
【0082】
すなわち、
図11に示すように、分水栓14の中心位置にてサドル本体31の仕切壁と共に水道管11を同時に穿孔して分水口62を形成する。
【0083】
また、
図14(c)に示すように、取付筒32のサドルフランジ35側(流出開口部)には、その内径をゲートバルブ15本体の流水筒16の内径よりも大としたテーパ状の内径面27を形成している。
これにより、取付筒32内径と流水筒16内径差の乱流を防ぐことができ、水道管11からの水をスムーズに分水管に導水できる。
なお、本実施例では取付筒32のサドルフランジ35側をテーパ状としているが、本発明の分水栓14形成方法にあっては
図14(d)に示すテーパ状の内径面27を形成しない取付筒32を適用してもよい。
【0084】
[シールリングの構造]
本実施例ではサドル30側にシールリング配設空間Sを形成している。
そして、
図11に示すように、前記シールリング配設空間Sにシール部材47を介設することにより水道管11の外周面とサドル30の内周面との密着シールリング機能を保持する。
【0085】
[他の実施形態を有するコアードリルガイド孔の詳細]
図19は、穿孔機43による穿孔前の予めサドル本体31にコアードリル46と略同径のコアードリルガイド孔64を予め設けた他の実施形態を示す説明図である。
すなわち、
図19に示すように、実施例2での前記センタードリルガイド小孔26に代えて、本実施例ではコアードリルガイド孔64を直接に予めサドル本体31に設けておくことを特徴とする。
なお、コアードリルガイド孔64以外の構造については実施例2の前記構造と同じである。
【0086】
[分水栓14形成方法の詳細]
次に、本発明に係る分水栓14形成方法について詳細に説明する。
分水栓14形成方法は、主として、サドル取付工程、ゲートバルブ取付工程、穿孔処理工程及び拡径処理工程とからなる。
【0087】
図15は、水道管11にサドル30を取り付けた状態を説明する説明図である。
図16は、サドル30にゲートバルブ15を組み合わせた状態を説明する説明図である。
サドル取付工程及びゲートバルブ取付工程は、実施例1とほぼ同じである。
【0088】
次に穿孔処理工程について説明する。
図17は、ゲートバルブ15に穿孔機43を取り付けた状態を説明する説明図である。
さらに、流水筒16の一側方には基端側ドリル軸の先端側にコアードリル46とセンタードリル45とを備えた穿孔機43を取付けている。
【0089】
穿孔に際してはゲートバルブ15の突出筒55に設けた仕切壁25と共に水道管11のコアードリル46で分水口を穿孔する工程と同様であり、この実施例ではサドル本体31に形成した仕切壁を水道管11の外周壁と共に穿孔する点で異なるだけである。
【0090】
このようにして、サドル本体31と共に既設管12及び更生管13を同時に穿孔して分水口62を形設することができる。
【実施例3】
【0091】
以下、本実施例に係る分水栓取付用治具の一例について、図面を参照して説明する。
なお、
図20以下の図面に基づく本実施例3の治具の説明においては、前述の実施例2までの水道管11と水道管の横側壁に連通した分水栓としてのゲートバルブ15の連通連設構造の図面説明と異なり、縦方向の分水口において使用する治具として説明する。すなわち、水平設置の水道管11の直上に分水栓を連通連設し、水道管11周壁の縦方向の分水口に対して縦方向からゴムパッキン23と金属スリーブ40を装着してかしめるという縦方向の分水栓取付構造において用いる分水栓取付治具として説明する。
[分水栓取付用治具の構成]
【0092】
以下、
図20を参照して、本実施例に係る分水栓取付用治具の構成を説明する。
図20は、分水栓取付用治具の構成と、分水栓取付用治具をゲートバルブへ接続した状態を示す断面図である。
【0093】
図20に示すように、本実施例に係る分水栓取付用治具10は、上部に各種ハンドル(引き上げハンドル117、拡径ハンドル118)を集中したハンドル操作機構が配設されている。ハンドル操作機構の下部には上部フランジ2が設けられ、上部フランジ2の下方には、分水栓取付用治具10の長手方向に所定の間隔をおいて下部フランジ3が配設されている。下部フランジ3はゲートバルブ15上端の第2フランジ18に取付板115や位置決めフランジ114を介して一体に連設されている。
【0094】
分水栓取付用治具10の長手方向の中央には主軸111が垂設され、主軸111の上部には上部フランジ2が固設されており、他方、ゲートバルブ15には前述の通り下部フランジ3が連設固定されており、主軸111を昇降変位するための昇降機構として2本の梯形ネジ112、112が矩形枠型に構成されて上下部フランジ2、3に架設されている。
梯形ネジは螺合穴3aを介して固定状の下部フランジ3に螺合されている。
上部フランジ2に挿貫した梯形ネジ112の突出上端は回転自在であり、梯形ネジ112の上端の回転部112aを専用の工具により回転させることにより、梯形ネジ112と共に上部フランジ2と主軸111が昇降作動する。
【0095】
また、上部フランジ2において2本の梯形ネジ112、112の上部は、
図21に示すように、互いに連動機構80により連動連結されている。
図中、80は連動機構を示し、82、82はスプロケットを示し、81はチェーンを示し、83はチェーンテンション調整器具を示し、83aは固定ネジを示す。
【0096】
この連動機構80により、一方の梯形ネジ112の上端に設けられた回転部112aを専用の工具により回転させると、他方の梯形ネジ112も同じピッチで連動して回転して、固定的な下部フランジ3の螺合した梯形ネジ112の昇降作用により上部フランジ2が、主軸111と共に昇降動作する。
【0097】
主軸111は、スリーブ押出パイプ54と、スリーブ押出パイプ54の内部に挿貫した偏心可動軸52と、偏心可動軸52とスリーブ押出パイプ54との間の断面空間に介在して偏心可動軸52をスリーブ押出パイプ54中に安定支持するための偏心可動軸受53とにより構成している。
スリーブ押出パイプ54に挿管された偏心可動軸の下端には偏心可動軸52の回動により同時に回動する偏心拡径ヘッド57が連結され、拡径ヘッド57の周面には、ゴムパッキン23が離脱自在に装着され、ゴムパッキン23の上部の内周面と拡径ヘッド57周面との間には金属スリーブ40が遊嵌されている。
【0098】
スリーブ押出パイプ54の下部は、スリーブ押出パイプ54の上部よりも肉厚の筒状に形成され、下端の接触端54aはゴムパッキン23に嵌着した金属スリーブ40頭部のフランジ40aと当接するように構成されている。
【0099】
拡径ヘッド57には、斜め上方に向けて拡径ローラ51が斜設されている。
この拡径ローラ51は、詳細は後述するが、複数個の輪切り状態に切断分割された複数のローラピースにより鼓形状に形成され、各ローラピースはそれぞれ独立して回転可能に構成している。
また、拡径ヘッド57の下部先端(つまり、水道管11に穿孔された分水口62へ挿入する先端)には、分水口62に円滑に、かつ、精度良く侵入するためのガイド部材70が連設されている。
【0100】
偏心可動軸52は、主軸111の中心から偏心して回転することにより、拡径ヘッド57に斜設された拡径ローラ51は主軸111の外径、すなわち、スリーブ押出パイプ54の外径の内外側に出没自在となる。
すなわち、偏心可動軸52とスリーブ押出パイプ54との間の断面空間に拡径ローラ51が没入すれば、その状態で分水口62中を挿貫することができ、その後分水口の先方に進出し拡径ローラ51を回動して偏心可動軸52とスリーブ押出パイプ54との間の断面空間から外方にはみ出した状態とする。このようにして、拡径ローラ51が分水口周辺に位置したゴムパッキン23と金属スリーブ40をかしめることのできる位置に変位する。
金属スリーブ40の内周面と当接する偏心可動軸受53の外周面には、偏心可動軸受53の外周面と該金属スリーブ40の内周面との摩擦による焼付きを防止するための焼付き防止部材90が設けられている。この焼付き防止部材90についても詳細は後述する。
【0101】
分水栓取付用治具10の上部には、主軸111を構成するスリーブ押出パイプ54、偏心可動軸52(拡径ヘッド57)、偏心可動軸受53等をそれぞれ操作するためのハンドルがハンドル操作機構として集中して配設されている。117は引き上げハンドル、118は拡径ハンドルである。
【0102】
引き上げハンドル117は、偏心可動軸52を偏心回転させて、拡径ヘッド57に斜設された拡径ローラ51を主軸111の外径の内外側に出没させるものである。
また、引き上げハンドル117は、主軸111の外径の外側に進出した拡径ヘッド57の引き上げ動作を行うことにより、水道管11内に突出させた金属スリーブ40の先端開口部を、拡径ヘッド57に斜設された拡径ローラ51の所定の圧力により変形させるものである。
拡径ハンドル118は、金属スリーブ40の先端開口部へ拡径ヘッド57に斜設された拡径ローラ51を当接させながら主軸111を回転させて、金属スリーブ40の開口先端部を外側にめくり状態で折曲するためのものである。
図中、19aは、偏心可動軸52を単体で回転可能としたり、偏心可動軸52と偏心可動軸受53を一体として回転可能としたり切り替えるためのレバーである。
【0103】
分水栓取付用治具10は、位置決めフランジ114、分水栓取付用治具10の下端の取付板115、ゲートバルブ15の第2フランジ18等を介してゲートバルブ15に取り付けられる。
【0104】
[分水栓形成の工程]
図23に示すように、主軸111の下端のゴムパッキン23は上述した昇降機構の降下作動により下方の分水口62に移動する。
そして、スリーブ押出パイプ54の接触端54aによりゴムパッキン23のフランジ部23aを分水口62の周壁面Bに当接させた後、さらにフランジ部23aを圧縮するように押し込むことにより、ゴムパッキン23の装着部23fが分水口62内に挿入される。
【0105】
なお、本実施例では、ゴムパッキン23のフランジ部23aを留めるゴムパッキン収容空間Gを取付筒32(
図23参照)内に形成しており、しかも、フランジ部23aを長く形成しているので、ゴムパッキン23が分水口62から水道管11の内部にまで入り込むおそれが生じない。さらに、後述のゴムパッキン23のフランジ部23aに設けられた分割リング23bにより、ゴムパッキン23のフランジ部23aが金属スリーブ40の強い挿入圧に耐えられるようにしている。
【0106】
そして、さらに、スリーブ押出パイプ54の接触端54aと金属スリーブ40の頭部に形成された外鍔状のフランジ40aを当接させた状態で、主軸111を降下させてスリーブ押出パイプ54により金属スリーブ40をゴムパッキン23内に押し込むと金属スリーブ40の先端開口部40bがゴムパッキン23の内周を通って水道管11内部にまで突き抜ける。
【0107】
このとき、主軸111の下端に配された拡径ヘッド57は、分水口62から水道管11の内部に突出した金属スリーブ40の先端開口部40bよりもさらに内方に突出した状態になる。この状態では、拡径ヘッド57は、
図33に示すように、拡径ヘッド57に斜設した拡径ローラ51を主軸111の外径の内側に没入した状態である。
【0108】
ゴムパッキン収容空間Gは、ゴムパッキン23のフランジ部23aを圧縮したとき、ゴムパッキン23の圧縮力を温存するための空間となる。このように、ゴムパッキン収容空間Gを配設することで、ゴムパッキン23のフランジ部23aの圧縮による弾性を温存できるようにしている。
【0109】
続いて、
図24に示すように、偏心可動軸52を略180度回転させて、
図34に示すように、拡径ヘッド57に斜設した拡径ローラ51を主軸111の外径の外側に進出させる。そして、引き上げハンドル117(
図20参照)を操作して、拡径ローラ51を金属スリーブ40の先端開口部40bに所定の圧力で当接させる。
【0110】
さらに、一体ロック機構を操作して偏心可動軸52と偏心可動軸受53とが一体で回転するようにロックし、拡径ハンドル118(
図20参照)を回転操作して偏心可動軸52と偏心可動軸受53とを一体に回転させる。この操作を所定回数繰り返すと、
図25に示すように、金属スリーブ40の先端開口部40bが裾広がりに拡径し、ゴムパッキン23と共に金属スリーブ40が水道管11の分水口62にカシメ止めされる。すなわち、拡径ローラ51を主軸111の外径の外側に進出した状態で、拡径ローラ51を水道管11内に突出した金属スリーブ40の開口部40b外周縁に当接しながら主軸111を回転させることにより金属スリーブ40の先端開口部40bを外側にめくり状態で折曲する。
【0111】
拡径作業が終了すると、引き上げハンドル117(
図20参照)を操作して前記と逆方向の作動を行い、拡径ローラ51を主軸111の外径の内側に埋没させる(
図33参照)。そして、昇降機構により主軸111を、ゲートバルブ15の弁体22が分水路63を遮断可能な位置まで進出させて、水道管11から分水路63への水の流通を遮断する。
【0112】
最後に、ゲートバルブ15の第2フランジ18に取り付けられた分水栓取付用治具10を位置決めフランジ114ごと取外して、分水栓14の形成作業が終了する。
すなわち、
図26に示すように、金属スリーブ40の先端開口部40bが裾広がりに拡径し、ゴムパッキン23と共に水道管11の分水口62に金属スリーブ40が一体にカシメ止めされた分水栓14が形成された状態となる。
そして、ゲートバルブ15の第2フランジ18に水道分岐管(図示せず)を接続し後にゲートバルブ15を開弁操作して、水道管11から分水路63へ水を分流する。
【0113】
[拡径ローラの構成]
以下、本発明に係る拡径ローラ51の構成について、
図27〜30を参照して説明する。
【0114】
本発明に係る拡径ローラ51は、
図28及び
図29に示すように、略中央で2個の輪切り状態のローラピース51a、51bに切断分割して鼓形状に一体に形成し、各ローラピース51a、51bはそれぞれ独立して回転可能としている。
図28においては、各ローラピース51a、51bの当接端Kに僅かな直線状の段差を設けている。
図29においては、各ローラピース51a、51bの当接端KをR形状に形成している。このように中央で分割すると、拡径面Rを、中心から左に形成されたテーパ部と、中心から右に形成されたR部とに分割することができ、先端開口部40bの拡径面が当接する拡径ローラ51の拡径阻止力が大きくなることを防止することができる。
【0115】
このように、分割した各ローラピース51a、51bにより拡径ローラ51を構成することで、拡径面Rの各部で異なる円周長により拡径ローラ51にかかる接触抵抗が異なった場合でも、各ローラピース51a、51bは、接触抵抗に応じて個々に回転するため、拡径ローラ51全体の接触抵抗が大きくなることを防止することができる。
【0116】
このため、拡径ローラ51の分割数は多くするほど望ましく、
図30に示すように、拡径ローラ51を4個の輪切り状態のローラピース51a、51b、51c、51dに切断分割して鼓形状に一体に形成し、各ローラピース51a、51b、51c、51dはそれぞれ独立して回転可能に構成することで、拡径ローラ51の拡径阻止力が大きくなることを防止することができる効果がさらに高くなる。なお、
図30においては、各ローラピース51a、51b、51c、51dの当接端KはR形状に形成されている。
【0117】
上述してきた本実施例の拡径ローラ51によれば、軽い回転力で金属スリーブ40の先端開口部40bを拡径することができる。さらに、金属スリーブ40の先端開口部40bを拡径するときの座屈がなくなり拡径量の精度の向上を図ることができる。
【0118】
[金属スリーブ及びゴムパッキンの構成]
以下、本発明に係る金属スリーブ40及びゴムパッキン23の構成を
図31及び
図32を参照して説明する。
図31は、本発明の金属スリーブ40の構造を示す断面図である。
図32は、本発明の分割リング23bを装着したゴムパッキン23の構造を示す断面図である。
【0119】
図31に示すように、金属スリーブ40は、上端に外鍔状のフランジ40aが形成され、このフランジ40aは、スリーブ押出パイプ54の接触端54aと当接して、スリーブ押出パイプ54の昇降作動により、金属スリーブ40の先端開口部40bを水道管11内に突出させるためのものである。また、フランジ40aは、ゴムパッキン23の上端と接触して金属スリーブ40に係止させるものである。
金属スリーブ40は、外周面40cをゴムパッキン23の内周面との装着代として筒体に形成したものである。
【0120】
他の実施例として金属スリーブ40は、上端に外鍔状のフランジ部40aを突設した筒体に形成され、しかも、先端開口端面40bは波状に凹凸した形状に形成されている。
すなわち、
図42に示すように、円環状の先端開口端面40bの左右半端面40gは水道管11の内周部に略沿うような半円弧状凹部に形成し、他方、円環状の先端開口端面40bの上下半端面部40hは水道管11の内周長手方向に略沿うような半円弧状凸部に形成している。
【0121】
図32に示すように、ゴムパッキン23は、上半分のフランジ部23aと下半分の装着部23fとにより構成され、上半部内周面を金属スリーブ40との遊嵌代23dとするとともに、下半部内周面を主軸111の下端部周面との嵌着代23eとした筒体に形成している。遊嵌代23dと嵌着代23eとは略同一肉厚とし、遊嵌代23dと嵌着代23eとの内部境界には、金属スリーブ40が遊嵌するために嵌着代40eより拡径した段差部23cを形成している。
【0122】
ゴムパッキン23の内部の段差部23cの近傍であって、下端外周には狭窄段部であるフランジ部23aを形成しており、このフランジ部23aには円環状の切欠(D部)した分割リング23bを嵌着可能としている。この分割リング23bは、金属スリーブ40がゴムパッキン23の所定位置より進行しないような阻害機能を果たすべく構成している。
【0123】
ゴムパッキン23に分割リング23bを取付けることで、この分割リング23bがゴムパッキン23を外周から押圧するように機能するため、ゴムパッキン23のフランジ部23aが金属スリーブ40の強い挿入圧に耐えられるようになる。また、分割リング23bを使用することで、ゴムパッキン23のフランジ部23aの外径を小さくできるので、ゲートバルブ15をより小型にすることができる。
【0124】
また、他の実施例としてゴムパッキン23の下端開口端面は他の実施例の金属スリーブ40に対応するように波打った形状に形成されている。すなわち、
図41に示すように、左右半端面部は水道管11の内周面に略沿うような半端面状凹部23gに形成し、他方上下半端面部は水道管11の内周長手方向に略沿うような半円弧状凸部23hに形成している。
【0125】
[ガイド部材の構成]
以下、本発明に係るガイド部材70の構成を
図35及び
図36を参照して説明する。
図35は、拡径ヘッド57の下端にガイド部材70を取り付けた状態を示す図である。
図36は、ガイド部材70の構成を説明する分解図である。
【0126】
図35に示すように、拡径ヘッド57の下端にはベース71、弾性ガイド部材72、テーパガイド部材73等のガイド部材70がボルト74により一体に取り付けられおり、これらの部材は拡径ヘッド57に装着したゴムパッキン23を水道管11に穿孔した分水口62に精度良く進入させるように機能する。
【0127】
図36に示すように、ベース71は、拡径ヘッド57の先端に弾性ガイド部材72を安定して取り付けるためのものであり、中央に弾性ガイド部材72の嵌合部71aが設けられている。
弾性ガイド部材72は、圧力に応じて径縮する弾性部材を用いたドーナッツ状に形成され、中央の穴72aをベース71の嵌合部71aに嵌合してベース71に取り付けられる。
テーパガイド部材73は、低辺が短辺で上辺を長辺とした逆台形の円筒状に形成されており、ベース71の嵌合部71aの下面に取り付けられる。取付けに際しては、テーパガイド部材73を貫通して設けられた3箇所の取付穴73aと、ベース71の嵌合部71aの下面に設けられた3箇所の取付穴71bとをボルトにより連結することにより行う。
【0128】
弾性ガイド部材72は、拡径ヘッド57に装着されたゴムパッキン23を水道管11に穿孔された分水口62に導くための部材であり、金属スリーブ40の内径よりも大きな半径としている。
テーパガイド部材73は、下辺が短い逆台形の形状であり、金属等の硬い部材で構成され、分水口62の中心軸と主軸111の軸心軸とが公差の範囲内でずれていた場合でも拡径ヘッド57を分水口62に円滑に挿入できるように機能する。
テーパガイド部材73の外径は、金属スリーブ40の内径よりも小さくなっている。
【0129】
また、弾性ガイド部材72は圧力に応じて縮径するように構成されているため、ゴムパッキン23の先端を精度良く分水口62に導くことができる。また、金属スリーブ40の開口先端部の拡径が終了したあとにおいても、金属スリーブ40の内径より大きな弾性ガイド部材72は圧力に応じて縮径することで、分水口62から引き抜くことを可能としている。
【0130】
すなわち、上記構成のガイド部材70を拡径ヘッドの下面に設けることで、分水口62の中心軸と主軸111の中心軸が公差の範囲内で軸振れしている場合でも、主軸111の下端を分水口62に挿入することができるため、弾性ガイド部材72により、ゴムパッキン23の先端を精度良く分水口62に導くことができる。このように構成することにより、分水口62の中心軸と主軸111の中心軸が合致するように自動修正することが可能となる。
【0131】
[焼付き防止部材の構成]
図37〜39は、偏心可動軸受53の外周面53aに形成された焼付き防止部材90に関する説明図である。
【0132】
図37に示すように、偏心可動軸受53の外周面53aには複数(図中では6本)の溝91が設けられ、金属性の円筒ローラ92が回転自在に収納されている。
ローラ92の外周面は金属スリーブ40の内周面と当接可能なように偏心可動軸受53の外周面53aから一部突出している。
【0133】
図38に示すように、偏心可動軸受53の下端底面53bにはカバー93が連設され、溝91からローラ92が抜け落ちないようにしている。
図中、94は偏心可動軸受53の下端底面53bに設けたカバー取付穴、95はカバー93に設けられた取付穴、99は各取付穴94、95に挿入した固定ボルトを示す。
【0134】
上述した構成によれば、主軸111を回転させると、金属スリーブ40の内周面は偏心可動軸受53の外周面53aに一部突出したローラ92の外周面と当接する。
この際にローラ92は回転自在に構成しているため、金属スリーブ40の内周面とローラ92の外周面との間で強い摩擦抵抗が発生することがなく、摩擦による焼付きの発生を防止することができる。
【0135】
また、
図39に示すように、主軸111を回転して金属スリーブ40の内周面に当接させる偏心可動軸受53の外周面53aに、外周面53a形状に沿って湾曲させた耐熱・耐摩耗性に優れた金属板97を貼付して焼付き防止部材90を構成する場合がある。
従来、偏心可動軸受53の外周面53aの全体を耐熱・耐摩耗性に優れた金属で形成することによる高価で複雑な焼付き防止部材を構成するという考え方に対して、本発明の実施例では、偏心可動軸受53の外周面53aの一部にのみ特殊な金属板97を貼付することにより、金属スリーブ40の内周面と偏心可動軸受53の外周面53aとの摩擦による焼付きを防ぐように構成した。
【0136】
[昇降機構の変形例]
図40は、昇降機構の変形例を説明する図である。
なお、以下の変形例においては、上述した実施例と異なる点のみを説明し、同じ箇所は同じ符号を付して説明は省略する。
【0137】
図40に示すように、変形例に係る昇降機構は、上部フランジ2に枠型状に取付けた左右の梯形ネジ112の一方をガイドロッド113とし、一方の梯形ネジ112をゲートバルブに固定した下部フランジ3にと螺合し、螺合したネジを回転することにより梯形ネジ112と共に上部フランジ2を昇降させるように構成している。同時に上部フランジ2に取付けた主軸111も昇降して変位ように構成している。
なお、ガイドロッド113は、下部フランジ3に設けた挿通穴3bに挿通することにより上部フランジ2と共に昇降する主軸111がぶれずに正確に昇降できるようにガイドする。
また、ガイドロッド113は、梯形ネジ112と平行して1本だけではなく複数本設けることができ、主軸111の昇降(特に下降)の精度をさらに向上させることができる。
【0138】
分水栓取付用治具10を上記実施例のように構成することにより、小型化や軽量化を図ることができ、作業時の運搬に重機などを用いる必要がなくなる。
【0139】
[分水栓取付用治具の変形例]
【0140】
図43〜
図47に示すのは、分水栓取付用治具10の他の実施例である。
すなわち、
図41、
図42に示すように、ゴムパッキン23の下端開口縁や金属スリーブ40の下端開口縁を水道管内周面に沿うように波打ち凹凸形状とした場合には、これらの変形開口縁が水道管内の分水口周面に沿うようなかしめ作業を行わなければならない。
そのためには分水栓取付用治具10の昇降や回転作動に一定の変化をつけるような治具構造に構成する必要がある。
【0141】
すなわち、本実施例では、連動機構80をゴムパッキン23や金属スリーブ40の波打ち凹凸形状に合わせて主軸111を上下に昇降自在に構成している。
連動機構80は、
図43に示すように、固定側部材と可動側部材とからなり、固定側部材は固定軸体121とチェーンベース122とカムベース123とテンションリング124で構成し、可動部材は円筒カム125と主軸111への連結部材126で構成している。
なお、
図43中、133は上部カバーを示し、134は下部カバーを示す。
【0142】
固定軸体121は、円筒状に形成して治具本体に一体に固設されている。
チェーンベース122は、
図44に示すように、平面視菱型の形状を有して前記固定軸体121上に固設され、中央部には筒状体130を上方に突設している。
なお、チェーンベース122の左右側上方にはスプロケット81及びチェーン82を配設している。
カムベース123は、
図45に示すように、筒状に形成しており、筒状のカムベース123上面側には円環状のカム溝127を形成すると共に、径方向にはローラ孔128を貫通している。
このローラ孔128には、ローラ129がブッシュ132を介して回転自在に遊嵌されており、ローラ129の両軸端は前記テンションリング124と前記チェーンベース122中央に突設した筒状体130との間に軸架されている。
図43に示すように、カムベース123の外周にはテンションリング124が取付けられており、前記テンションリング124によりカムベース123のローラ孔128を覆うことによりローラ129がローラ孔128から離脱しないように構成している。
【0143】
円筒カム125は、カム本体125aを底面側に筒状に突出させて波打ち凹凸形状に形成している。
すなわち、
図46に示すように、左右半端面部は水道管11の内周面に略沿うような半端面状凹部125gに形成し、他方上下半端面部は水道管11の内周長手方向に略沿うような半円弧状凸部125hに形成している。
円筒カム125はカムベース123のカム溝127に摺動自在に嵌合し、円筒カム125の下端縁はローラ129に圧接している。
しかも、円筒カム125は、連結部材126を介して主軸111と一体連結されている。
【0144】
このように構成することにより、金属スリーブ40を拡径する際に拡径ハンドル118を回転させることによって主軸111が上下に昇降自在となる。
すなわち、拡径ハンドル118を回転させると主軸111が回転し、主軸111と一体で連結した円筒カム125も回転する。
そして、波打ち凹凸形状に形成した円筒カム125の下端縁がローラ129と当接しているためローラ129の回転によって円筒カム125は上下昇降し円筒カム125と一体に連結した主軸111も上下に昇降する。
従って、
図47に示すように、分水口62周縁部においては、端面波打ちの凹凸形状に形成したゴムパッキン23や金属スリーブ40等が水道管の内周壁面をなぞって折返しカシメ止めされることになる。
【0145】
このように分水口62周縁部にカシメ止めされたゴムパッキン23や金属スリーブ40が水道管周壁面に沿った隆起のない平坦形状に加工処理されるため、分水口62近傍の通水面積をできるだけ広くとることができ、また管内の掃除をする際にピグや洗浄機の挿通を容易にし、更には最内側の更生管13が複合管やプラスチック管等の柔らかく不安定材質管であっても水道管内の分水口62周縁部をゴムパッキン23と金属スリーブ40で均一に包み込むため、二重の水道管にもかかわらず安定した流水分岐を行うことができ、また分水栓の施工作業も正確にかつ簡便に行うことができる。
【0146】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。