特許第6211084号(P6211084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211084ベンゾシクロオクチン化合物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211084
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】ベンゾシクロオクチン化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/94 20060101AFI20171002BHJP
   C07D 493/04 20060101ALI20171002BHJP
   C07D 491/052 20060101ALI20171002BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20171002BHJP
   C07D 405/06 20060101ALI20171002BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20171002BHJP
   C07D 407/06 20060101ALI20171002BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20171002BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   C07D311/94CSP
   C07D493/04 111
   C07D491/052
   C07D495/04 116
   C07D405/06
   C07F5/02 D
   C07D407/06
   C07D513/04 391
   A61K51/04 200
【請求項の数】40
【全頁数】101
(21)【出願番号】特願2015-528623(P2015-528623)
(86)(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-527370(P2015-527370A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013056018
(87)【国際公開番号】WO2014031762
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/691,262
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596118493
【氏名又は名称】アカデミア シニカ
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, チー−ヒュイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジン−ミン
(72)【発明者】
【氏名】シエ, ジウン−ジエ
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−504507(JP,A)
【文献】 ALMEIDA, G. et al,Thiacycloalkynes for Copper-Free Click Chemistry,Angewante Chemie International Edition,2012年 1月26日,Vol. 51, No. 10,pp. 2443-2447
【文献】 SLETTEN, E. M. et al.,Difluorobenzocyclooctyne: Synthesis, Reactivity, and Stabilization by β-Cyclodextrin,Journal of the American Chemical Society,2010年,Vol. 132, No. 33,pp. 11799-11805
【文献】 JEWETT, J. C. et al.,Synthesis of Fluorogenic Cyclooctyne Activated by Cu-Free Click Chemistry,Organic Letters,2011年,Vol. 13, No. 22,pp. 5937-5939
【文献】 CHENOWETH, K. et al.,Cyclooctyne-based Reagents for Uncatalyzed Click Chemistry: A Computational Survey,Organic & Biomolecular Chemistry,2009年,Vol. 7, No. 24,pp. 5255-5258
【文献】 YAO, J. Z. et al.,Fluorophore Targeting to Cellular Proteins via Enzyme-Mediated Azide Ligation and Strain-Promoted Cycloaddition,Journal of the American Chemical Society,2012年 1月 4日,Vol. 134, No. 8,pp. 3720-3728
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化51】

の化合物、またはその塩
(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし前記8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、ここで、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G1’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G2’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G3’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G4’)−から選択され、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG1’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG2’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG3’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG4’から選択される置換基を有し、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された非芳香族炭素環もしくは非芳香族複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
1’、G2’、G3’およびG4’のそれぞれは独立に、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHRおよび=N−N(Rから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは任意選択で置換されたヘテロアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは任意選択で置換されたヘテロアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである)。
【請求項2】
【化52】

が−C=C−である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
【化53】

が−C=C−である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
が水素であり、G10が、任意選択で置換されたアルケニルである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
10が式(G−i):
【化57】

のものである、請求項4に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
前記化合物が以下の表
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】

【表1-7】

【表1-8】

【表1-9】

【表1-10】

【表1-11】

【表1-12】

【表1-13】

【表1-14】

【表1-15】

に列挙した化合物の1つである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
前記化合物が、
【化58-1】

【化58-2】

からなる群から選択される式の1つである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
前記化合物が式:
【化59】

のものである、請求項7に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
化合物またはその塩であって、前記化合物は、
【化59A-1】

【化59A-2】

からなる群から選択される式の1つである、化合物またはその塩。
【請求項10】
以下の式:
【化60】

の1つの化合物、またはその塩
(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし前記8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、ここで、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G1’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G2’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G3’)−から選択され、
が炭素原子である場合、X−Gは、−CH(G)−、−C(G)=または−C(G4’)−から選択され、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG1’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG2’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG3’から選択される置換基を有し、
がN、O、P、またはSである場合、Xは、Xの原子価を満たしかつ安定部分の形成をもたらす数の、GおよびG4’から選択される置換基を有し、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された非芳香族炭素環もしくは非芳香族複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
1’、G2’、G3’およびG4’のそれぞれは独立に、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHRおよび=N−N(Rから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
12は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、−OR、−CHOR、−(CHOC(O)R、−SR、−N(R、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−(CHC(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOからなる群から選択され、
tは、1〜5の整数であり、両端を含み、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである)。
【請求項11】
【化61】

が、−CH−CH−CH−CH−である、請求項1または10に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
アジド含有分子を画像化するインビトロの方法であって、
(a)前記分子のアジド基に対し請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩をライゲーションさせてトリアゾール生成物を形成する条件下で、前記アジド含有分子を含有する試料とともに前記請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩をインキュベートするステップと、
(b)前記トリアゾール生成物から放出された蛍光シグナルを検出するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記インキュベートするステップが、金属触媒の非存在下で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、前記アジド基に共有結合的に連結している、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記試料が細胞を含有し、前記アジド含有分子が前記細胞上または細胞内に位置する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、化合物1または化合物2
【化62】

である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記アジド含有分子が、生体分子である、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記生体分子が、DNA、RNA、タンパク質またはグリカンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生体分子が、細胞表面上にある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記生体分子が、細胞内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記生体分子が、鳥類、哺乳動物、ウイルス、寄生虫、真菌、または細菌起源のものである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記生体分子が、ヒト起源のものである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
アジド含有分子を画像化するための組成物であって、前記組成物は、請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩を含み、前記アジド含有分子は、生体分子であり、前記生体分子が、疾患または身体状態に関連しており、前記組成物は、前記分子のアジド基に対し前記請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩をライゲーションさせてトリアゾール生成物を形成する条件下で、前記アジド含有分子を含有する試料とともにインキュベートされ、前記トリアゾール生成物から放出された蛍光シグナルが検出されることを特徴とする、組成物。
【請求項24】
前記疾患が、がんまたは炎症である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記疾患が、関節リウマチである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記分子が、有機分子である、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
試料におけるアジド含有分子を検出するインビトロの方法であって、
(a)請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩を、アジド含有分子を有する疑いのある試料と接触させるステップと、
(b)前記試料から放出された蛍光シグナルのレベルを検出するステップと、
(c)前記試料における前記アジド含有分子の存在を決定するステップと
を含み、前記請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩の非存在下での前記蛍光シグナルのレベルと比較して増強された蛍光シグナルは、前記アジド含有分子の存在を示す、方法。
【請求項28】
前記インキュベートするステップが、金属触媒の非存在下で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記試料が細胞を含有し、前記アジド含有分子が前記細胞上または細胞内に位置する、請求項27から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、化合物1または化合物2
【化63】

である、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記アジド含有分子が、生体分子である、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記生体分子が、DNA、RNA、タンパク質またはグリカンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記生体分子が、細胞表面上にある、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記生体分子が、細胞内にある、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記生体分子が、鳥類、哺乳動物、ウイルス、寄生虫、真菌、または細菌起源のものである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記生体分子が、ヒト起源のものである、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
試料におけるアジド含有分子を検出するための組成物であって、前記組成物は請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩を含み、前記アジド含有分子は生体分子であり、前記生体分子が、疾患または身体状態に関連しており、前記組成物は、アジド含有分子を有する疑いのある試料と接触させられ、前記試料から放出された蛍光シグナルのレベルが検出され、前記試料における前記アジド含有分子の存在が決定されることによって特徴付けられ、前記請求項1もしくは9に記載の化合物またはその塩の非存在下での前記蛍光シグナルのレベルと比較して増強された蛍光シグナルは、前記アジド含有分子の存在を示す、組成物。
【請求項38】
前記疾患が、がんまたは炎症である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記疾患が、関節リウマチである、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記アジド含有分子が、有機分子である、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の技術分野)
本開示は、ベンゾシクロオクチン化合物、ならびにアジド含有分子の診断および画像化におけるそれらの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
銅触媒アジド−アルキン1,3−双極性環化付加(CuAAC)は、複雑な混合物における生体分子の標識化、ならびに固定細胞および組織の画像化などの適用のために、化学生物学において広範に使用されている。(Kolbら、Angew. Chem. Int. Ed. 2001年、40巻、2004頁;Rostovtsevら、Angew. Chem. Int. Ed. 2002年、41巻、2596頁;WuおよびFokin、Aldrichimica Acta 2007年、40巻、7頁)。蛍光プローブを、タンパク質、DNA、RNA、脂質およびグリカンに、それらの自然の細胞環境内で組み込むことによって、それらのin vivoでの役割を画像化し、理解する機会が得られる。(Best、Biochemistry 2009年、48巻、6571頁)。
【0003】
例えば、タンパク質におけるグリカンは、数々の生理的および病理学的プロセスに関与する細胞表面上に表示される。疾患状態にある細胞の表面上の異常なグリコシル化は、炎症およびがん転移などの病理学的状態において、しばしば観測される。特に、末端のシアリル化およびフコシル化の変化は、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼの発現位置およびレベルの変化から生じると考えられ、腫瘍悪性病変に関連する。タンパク質または脂質のいずれかに付着した、がんのバイオマーカーとしてのグリカンの生物学的な情報内容を調査する能力は、グライコミクス研究の主な課程になっている。(Hsuら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2007年、104巻、2614頁;Sawaら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2006年、103巻、12371頁)。
【0004】
現在、生物系におけるグリコシル化パターンの変化を分析することが可能である。(PrescherおよびBertozzi、Nat. Chem. Bio. 2005年、1巻、13頁)。生体直交型の化学的レポーターとして作用する独特の官能基を含有する非天然炭水化物を、細胞生合成機構に代謝的に組み込むことによって、プロセスを開始する。次に、修飾グリカンをプロセシングし、細胞表面上に構築する。その後、相補的な生体直交型の官能基を備えた検出可能な蛍光プローブと反応させることによって、組み込まれた非天然グリカンを検出することができる(図1)。(SlettenおよびBertozzi、Angew. Chem. Int. Ed. 2009年、48巻、6974〜98頁)。
【0005】
生体直交型の化学的レポーターの概念は、タンパク質のグリコシル化のプロテオミクス分析および生物系における細胞表面の化学的リモデリングに適用されてきた。また、生体直交型の化学反応は、タンパク質の標識化、活性ベースのタンパク質フォールディング、タンパク質標的の同定、翻訳後修飾、および細胞増殖のモニタリングなどの他の適用のために使用されてきた。生体直交型の化学的レポーター戦略を介して生細胞上の特異的な官能基を標識することは、細胞生物学においてますます有力になっている。これらの手法は、内因性の選択性および調整可能な電子機器を理由として、しばしば理想的な生体直交型反応としての環化付加に基づいて行われる。しかしこの分野には、直面する難題がまだ多い。例えば、最も生体直交型のレポーター戦略には、フルオロフォア(fluorophroe)で標識された反応パートナーを使用する多段階手順が必要とされ、それによってしばしば、細胞内環境または組織から除去するのが困難な高バックグラウンドの蛍光ノイズが引き起こされる。さらに、これらの方法には、検出可能なシグナルを得るために、高濃度の試薬および触媒が必要とされる。
【0006】
近年のいくつかの研究は、蛍光性が高いトリアゾール複合体を得るためにライゲーションすることができる、非蛍光性アルキンとアジドの間の蛍光発生的CuAAC反応の設計に集中している(図1)。(Sivakumarら、Org. Lett. 2004年、24巻、4603頁;Sawaら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2006年、103巻、12371頁;Xieら、Tetrahedron 2008年、64巻、2906頁;Liら、Org. Lett. 2009年、11巻、3008頁;Le Droumaguetら、Chem. Soc. Rev. 2010年、39巻、1223頁;Chaoら、Sci. China Chemistry 2012年、55巻、125頁)。高効率で生じるこのタイプのCuAAC反応は、出発材料のバックグラウンド蛍光ノイズなしにトリアゾールの形成において明確な蛍光特性を有することに起因して、細胞生物学および機能的プロテオミクスの新興分野で広く適用することができた。しかし残念ながら、CuAAC反応には、触媒として毒性のある銅(I)イオンが必要とされるため、生物系におけるCuAAC反応の使用は妨げられてきた。
金属触媒に関連する細胞傷害性を回避するために、金属触媒を使用しない環ひずみ促進アジド−アルキン環化付加(SPAAC)が開発されている。(Agardら、J. Am. Chem. Soc. 2004年、126巻、15046頁;Codelliら、J. Am. Chem. Soc. 2008年、130巻、11486頁;Debetsら、Acc. Chem. Res. 2011年、44巻、805頁;Dommerholtら、Angew. Chem. Int. Ed. 2010年、49巻、9422頁;Friscourtら、J. Am. Chem. Soc. 2012年、134巻、5381頁;Jewettら、J. Am. Chem. Soc. 2010年、132巻、3688頁;Ningら、Angew. Chem. Int. Ed. 2008年、47巻、2253頁;Poloukhtineら、J. Am. Chem. Soc. 2009年、131巻、15769頁;Vargaら、Chem. Eur. J. 2012年、18巻、822頁)。シクロオクチン部分は、二フッ素化シクロオクチン(DIFO)および誘導体などのSPAAC試薬に基部構造としてしばしば組み込まれる。この手法に向けた試みは、クマリンフルオロフォアと縮合したビアリールアザシクロオクチノン環を使用して、Bertozziおよび共同研究者によって報告された(J. C. Jewett、C. R. Bertozzi、Org. Lett. 2011年、13巻、5937〜5939頁)。その化合物は、2−アジドエタノールと環化付加反応を起こすと蛍光強度が10倍増大するが、トリアゾール生成物は、低い量子収率(Φ=0.04)を呈し、相対的に高いエネルギー励起(約300nm)が必要であったため、生物系における画像化には適していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kolbら、Angew. Chem. Int. Ed. 2001年、40巻、2004頁
【非特許文献2】Rostovtsevら、Angew. Chem. Int. Ed. 2002年、41巻、2596頁
【非特許文献3】WuおよびFokin、Aldrichimica Acta 2007年、40巻、7頁
【非特許文献4】Best、Biochemistry 2009年、48巻、6571頁
【非特許文献5】Hsuら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2007年、104巻、2614頁
【非特許文献6】Sawaら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2006年、103巻、12371頁
【非特許文献7】PrescherおよびBertozzi、Nat. Chem. Bio. 2005年、1巻、13頁
【非特許文献8】SlettenおよびBertozzi、Angew. Chem. Int. Ed. 2009年、48巻、6974〜98頁
【非特許文献9】Sivakumarら、Org. Lett. 2004年、24巻、4603頁
【非特許文献10】Sawaら、Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A.、2006年、103巻、12371頁
【非特許文献11】Xieら、Tetrahedron 2008年、64巻、2906頁
【非特許文献12】Liら、Org. Lett. 2009年、11巻、3008頁
【非特許文献13】Le Droumaguetら、Chem. Soc. Rev. 2010年、39巻、1223頁
【非特許文献14】Chaoら、Sci. China Chemistry 2012年、55巻、125頁
【非特許文献15】Agardら、J. Am. Chem. Soc. 2004年、126巻、15046頁
【非特許文献16】Codelliら、J. Am. Chem. Soc. 2008年、130巻、11486頁
【非特許文献17】Debetsら、Acc. Chem. Res. 2011年、44巻、805頁
【非特許文献18】Dommerholtら、Angew. Chem. Int. Ed. 2010年、49巻、9422頁
【非特許文献19】Friscourtら、J. Am. Chem. Soc. 2012年、134巻、5381頁
【非特許文献20】Jewettら、J. Am. Chem. Soc. 2010年、132巻、3688頁
【非特許文献21】Ningら、Angew. Chem. Int. Ed. 2008年、47巻、2253頁
【非特許文献22】Poloukhtineら、J. Am. Chem. Soc. 2009年、131巻、15769頁
【非特許文献23】Vargaら、Chem. Eur. J. 2012年、18巻、822頁
【非特許文献24】J. C. Jewett、C. R. Bertozzi、Org. Lett. 2011年、13巻、5937〜5939頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本開示の要約)
本開示は、毒性のある金属触媒を使用せずにひずみ促進アジド−アルキン環化付加(SPAAC)を起こす、新規な式(I)のベンゾシクロオクチン化合物に関する。本開示による例示的なクマリン−シクロオクチン化合物は、アジド化合物と反応して、検出および画像化を容易にする増強された蛍光を有するトリアゾール生成物を生じる。提供される化合物は、生細胞の画像化において著しい進展をもたらし、in vivoでの生化学的事象のリアルタイム検出に適用できる。
【0009】
本開示の一態様は、式(I):
【化1】
の化合物、またはその塩に関し、式中、X、X、X、X、G、G、G、G、G、G、GおよびGは、本明細書に記載の通りである。
【0010】
一部の実施形態では、化合物は、式(II):
【化2】
のもの、またはその塩であり、式中、X、X、X、X、G、G、G、G、G、G、G、G、GおよびG10は、本明細書に記載の通りである。
【0011】
ある特定の実施形態では、提供される化合物は、以下に示す化合物1または化合物2:
【化3】
またはその塩である。
【0012】
別の態様では、本開示は、ベンゾシクロオクチン化合物を調製するための合成方法を提供する。本開示はまた、本明細書に記載のベンゾシクロオクチン化合物が有機アジドと反応して、増強された蛍光を有するトリアゾール生成物を形成することを実証する。
【0013】
さらに別の態様では、本開示は、生体分子を検出および/または画像化する方法に関する。
【0014】
ある特定の実施形態では、本開示は、アジド含有分子を画像化する方法であって、
(a)分子のアジド基に対し化合物をライゲーションさせてトリアゾール生成物を形成する条件下で、本明細書に記載の化合物を、アジド含有分子を含有する試料とともにインキュベートするステップと、
(b)トリアゾール生成物から放出された蛍光シグナルを検出するステップと
を含む、方法を提供する。
【0015】
ある特定の実施形態では、本開示は、試料におけるアジド含有分子を検出する方法であって、
(a)本明細書に記載の化合物を、アジド含有分子を有する疑いのある試料と接触させるステップと、
(b)試料から放出された蛍光シグナルのレベルを検出するステップと、
(c)試料におけるアジド含有分子の存在を決定するステップと
を含み、化合物の非存在下での蛍光シグナルのレベルと比較して増強された蛍光シグナルは、アジド含有分子の存在を示す、方法を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の通りアジド含有分子を画像化または検出する方法で使用される化合物は、化合物1または化合物2、またはその塩である。
【0017】
定義
特定の官能基および化学用語の定義を以下により詳細に説明する。化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、75版、内表紙に従って識別され、特定の官能基は一般に、その中に記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の機能性部分および反応性は、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年;SmithおよびMarch、March’s Advanced Organic Chemistry、5版、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers, Inc.、New York、1989年;ならびにCarruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載されている。
【0018】
本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な立体異性体、例えば、鏡像異性体および/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得、またはラセミ混合物および1種または複数の立体異性体に富む混合物を含めた、立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成および結晶化を含めた当業者に公知の方法によって混合物から単離することができ、または好適な異性体を不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981年);Wilenら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年);Eliel, E.L.、Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen, S.H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)を参照。本開示は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての化合物、および代わりに、様々な異性体の混合物としての化合物をさらに包含する。
【0019】
値の範囲が列挙されている場合、これは、その範囲内の各値およびサブ範囲を包含するように意図されている。例えば、「C1〜6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1〜6、C1〜5、C1〜4、C1〜3、C1〜2、C2〜6、C2〜5、C2〜4、C2〜3、C3〜6、C3〜5、C3〜4、C4〜6、C4〜5、およびC5〜6アルキルを包含するように意図されている。
【0020】
本明細書において使用される場合、「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基のラジカル(「C1〜10アルキル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜9個の炭素原子を有する(「C1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を有する(「C1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜7個の炭素原子を有する(「C1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する(「C1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する(「C1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する(「C1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する(「C1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を有する(「C1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「Cアルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキル」)。C1〜6アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、3−ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3−メチル−2−ブタニル(C)、3級アミル(C)、およびn−ヘキシル(C)がある。アルキル基の追加の例としては、n−ヘプチル(C)、n−オクチル(C)などがある。別段の指定のない限り、アルキル基の各事例は独立に、非置換であり(「非置換アルキル」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換アルキル」)。ある特定の実施形態では、アルキル基は、非置換C1〜10アルキル(例えば、−CH)である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、置換C1〜10アルキルである。
【0021】
本明細書において使用される場合、「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子および1つまたは複数の炭素間二重結合(例えば、1、2、3、または4つの二重結合)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「Cアルケニル」)。1つまたは複数の炭素間二重結合は、内部(2−ブテニル中など)または末端(1−ブテニル中など)であり得る。C2〜4アルケニル基の例としては、エテニル(C)、1−プロペニル(C)、2−プロペニル(C)、1−ブテニル(C)、2−ブテニル(C)、ブタジエニル(C)などがある。C2〜6アルケニル基の例としては、上述のC2〜4アルケニル基、およびペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などがある。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)などがある。別段の指定のない限り、アルケニル基の各事例は独立に、非置換であり(「非置換アルケニル」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換アルケニル」)。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、非置換C2〜10アルケニルである。ある特定の実施形態では、アルケニル基は、置換C2〜10アルケニルである。
【0022】
本明細書において使用される場合、「アルキニル」は、2〜10個の炭素原子、および1つまたは複数の炭素間三重結合(例えば、1、2、3、または4つの三重結合)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基のラジカル(「C2〜10アルキニル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜9個の炭素原子を有する(「C2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を有する(「C2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜7個の炭素原子を有する(「C2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を有する(「C2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を有する(「C2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を有する(「C2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2個の炭素原子を有する(「Cアルキニル」)。1つまたは複数の炭素間三重結合は、内部(2−ブチニル中など)または末端(1−ブチニル中など)にあり得る。C2〜4アルキニル基の例としては、限定することなく、エチニル(C)、1−プロピニル(C)、2−プロピニル(C)、1−ブチニル(C)、2−ブチニル(C)などがある。C2〜6アルケニル基の例としては、上述のC2〜4アルキニル基、およびペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などがある。アルキニルの追加の例としては、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)などがある。別段の指定のない限り、アルキニル基の各事例は独立に、非置換であり(「非置換アルキニル」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換アルキニル」)。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、非置換C2〜10アルキニルである。ある特定の実施形態では、アルキニル基は、置換C2〜10アルキニルである。
【0023】
本明細書において使用される場合、「カルボシクリル」または「炭素環式」は、非芳香族環系内に3〜10個の環炭素原子(「C3〜10カルボシクリル」)およびゼロ個のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、3〜8個の環炭素原子を有する(「C3〜8カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、3〜7個の環炭素原子を有する(「C3〜7カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、3〜6個の環炭素原子を有する(「C3〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、4〜6個の環炭素原子を有する(「C4〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、5〜6個の環炭素原子を有する(「C5〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基は、5〜10個の環炭素原子を有する(「C5〜10カルボシクリル」)。例示的なC3〜6カルボシクリル基としては、限定することなく、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)などがある。例示的なC3〜8カルボシクリル基としては、限定することなく、上述のC3〜6カルボシクリル基、およびシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)などがある。例示的なC3〜10カルボシクリル基としては、限定することなく、上述のC3〜8カルボシクリル基、およびシクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などがある。前述の例が例示するように、ある特定の実施形態では、カルボシクリル基は、単環式(「単環式カルボシクリル」)または多環式(例えば、縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系、例えば、二環系(「二環式カルボシクリル」)もしくは三環系(「三環式カルボシクリル」)などを含有する)であり、飽和していることができ、または1つもしくは複数の炭素間二重もしくは三重結合を含有し得る。「カルボシクリル」は、上記に定義したカルボシクリル環が1つまたは複数のアリールまたはヘテロアリール基と縮合しており、付着点がカルボシクリル環上にある環系も含み、このような事例では、炭素の番号は、炭素環式環系内の炭素の数を指定する。別段の指定のない限り、カルボシクリル基の各事例は独立に、非置換であり(「非置換カルボシクリル」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換カルボシクリル」)。ある特定の実施形態では、カルボシクリル基は、非置換C3〜10カルボシクリルである。ある特定の実施形態では、カルボシクリル基は、置換C3〜10カルボシクリルである。
【0024】
本明細書において使用される場合、「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環炭素原子、ならびに各ヘテロ原子が独立に、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1〜4個の環ヘテロ原子を有する3〜14員非芳香族環系のラジカル(「3〜14員ヘテロシクリル」)を指す。1つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、付着点は、結合価が許容する場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または多環式(例えば、縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系、例えば、二環系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環系(「三環式ヘテロシクリル」)など)であり、飽和していることができ、または1つもしくは複数の炭素間二重もしくは三重結合を含有し得る。ヘテロシクリル多環式環系は、一方または両方の環内に1個または複数のヘテロ原子を含み得る。「ヘテロシクリル」は、上記に定義したヘテロシクリル環が1つもしくは複数のカルボシクリル基と縮合しており、付着点がカルボシクリルもしくはヘテロシクリル環上にある環系、または上記に定義したヘテロシクリル環が1つもしくは複数のアリールもしくはヘテロアリール基と縮合しており、付着点がヘテロシクリル環上にある環系も含み、このような事例では、環員の番号は、ヘテロシクリル環系内の環員の数を指定するように続く。別段の指定のない限り、ヘテロシクリルの各事例は独立に、非置換であり(「非置換ヘテロシクリル」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、非置換3〜14員ヘテロシクリルである。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリル基は、置換3〜14員ヘテロシクリルである。
【0025】
本明細書において使用される場合、「アリール」は、6〜14個の環炭素原子を有し、芳香族環系内に供給されるヘテロ原子がゼロである単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環アレイ内に6、10、または14個のπ電子が共有された)のラジカル(「C6〜14アリール」)を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。「アリール」は、上記に定義したアリール環が1つもしくは複数のカルボシクリルもしくはヘテロシクリル基と縮合されており、ラジカルもしくは付着点がアリール環上にある環系も含み、このような事例では、炭素原子の番号は、アリール環系の炭素原子の数を指定するように続く。別段の指定のない限り、アリール基の各事例は独立に、非置換であり(「非置換アリール」)、または1つもしくは複数の置換基と置換されている(「置換アリール」)。ある特定の実施形態では、アリール基は、非置換C6〜14アリールである。ある特定の実施形態では、アリール基は、置換C6〜14アリールである。
【0026】
本明細書において使用される場合、「ヘテロアリール」は、環炭素原子、ならびに各ヘテロ原子が独立に、窒素、酸素、および硫黄から選択される、芳香族環系内に供給される1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜14員の単環式または多環式(例えば、二環式、三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環アレイ内に共有された6、10、または14個のπ電子を有する)のラジカル(「5〜14員ヘテロアリール」)を指す。1つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロアリール基では、付着点は、結合価が許容する場合、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式環系は、一方または両方の環内に1個または複数のヘテロ原子を含み得る。「ヘテロアリール」は、上記に定義したヘテロアリール環が1つまたは複数のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と縮合しており、付着点がヘテロアリール環上にある環系を含み、このような事例では、環員の番号は、ヘテロアリール環系内の環員の数を指定するように続く。「ヘテロアリール」は、上記に定義したヘテロアリール環が1つまたは複数のアリール基と縮合しており、付着点がアリールまたはヘテロアリール環上のいずれかにある環系も含み、このような事例では、環員の番号は、縮合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系内の環員の数を指定する。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)、付着点は、いずれかの環、すなわち、ヘテロ原子を持つ環(例えば、2−インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環(例えば、5−インドリル)上のいずれかにあり得る。
【0027】
上記から理解されるように、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、ある特定の実施形態では、任意選択で置換されている。任意選択で置換されたとは、置換または非置換であり得る基(例えば、「置換」もしくは「非置換」アルキル、「置換」もしくは「非置換」アルケニル、「置換」もしくは「非置換」アルキニル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルキル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルケニル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルキニル、「置換」もしくは「非置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」アリール、または「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)を指す。一般に、用語「置換された」は、基に存在する少なくとも1個の水素が、許容できる置換基、例えば、置換すると安定化合物、例えば、転位、環化、脱離、または他の反応などによる変換を自発的に起こさない化合物をもたらす置換基と置き換えられていることを意味する。別段の指定のない限り、「置換された」基は、その基の1つまたは複数の置換可能な位置で置換基を有し、任意の所与の構造中で1つを超える位置が置換されている場合、置換基は、各位置で同じであり、または異なっている。用語「置換された」は、有機化合物のすべての許容できる置換基、安定化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかとの置換を含むように企図されている。本発明は、安定化合物に到達するための任意かつすべてのこのような組合せを企図する。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たし、安定部分の形成をもたらす本明細書に記載の任意の適当な置換基を有し得る。
【0028】
例示的な炭素原子置換基としては、それだけに限らないが、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−ON(Rbb、−N(Rbb、−N(Rbb、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−C(ORcc、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−OC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa
−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)aa、−OP(=O)aa、−P(=O)(Raa、−OP(=O)(Raa、−OP(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、−OP(=O)N(Rbb、−P(=O)(NRbb、−OP(=O)(NRbb、−NRbbP(=O)(ORcc、−NRbbP(=O)(NRbb、−P(Rcc、−P(Rcc、−OP(Rcc、−OP(Rcc、−B(Raa、−B(ORcc、−BRaa(ORcc)、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10ヘテロアルキル、C2〜10ヘテロアルケニル、C2〜10ヘテロアルキニル、C3〜14カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールがあり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、または5個のRdd基と置換されており;
あるいは炭素原子上の2個のジェミナル水素は、基=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb、または=NORccで置き換えられており、
aaの各事例は独立に、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10ヘテロアルキル、C2〜10ヘテロアルケニル、C2〜10ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択され、または2個のRaa基は、接合されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRdd基と置換されており、
bbの各事例は独立に、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)N(Rcc、−P(=O)(NRcc、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10ヘテロアルキル、C2〜10ヘテロアルケニル、C2〜10ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択され、または2個のRbb基は、接合されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRdd基と置換されており、
ccの各事例は独立に、水素、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10ヘテロアルキル、C2〜10ヘテロアルケニル、C2〜10ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択され、または2個のRcc基は、接合されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRdd基と置換されており、
ddの各事例は独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORee、−ON(Rff、−N(Rff、−N(Rff、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−COH、−COee、−OC(=O)Ree、−OCOee、−C(=O)N(Rff、−OC(=O)N(Rff、−NRffC(=O)Ree、−NRffCOee、−NRffC(=O)N(Rff、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff、−OC(=NRff)N(Rff、−NRffC(=NRff)N(Rff、−NRffSOee、−SON(Rff、−SOee、−SOORee、−OSOee、−S(=O)Ree、−Si(Ree、−OSi(Ree、−C(=S)N(Rff、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)ee、−P(=O)(Ree、−OP(=O)(Ree、−OP(=O)(ORee、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ヘテロアルキル、C2〜6ヘテロアルケニル、C2〜6ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRgg基と置換されており、または2個のジェミナルRdd置換基は、接合されて=Oもしくは=Sを形成することができ、
eeの各事例は独立に、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ヘテロアルキル、C2〜6ヘテロアルケニル、C2〜6ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、および3〜10員ヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRgg基と置換されており、
ffの各事例は独立に、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ヘテロアルキル、C2〜6ヘテロアルケニル、C2〜6ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール、および5〜10員ヘテロアリールから選択され、または2個のRff基は、接合されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、もしくは5個のRgg基と置換されており、
ggの各事例は独立に、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−OC1〜6アルキル、−ON(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−NH(C1〜6アルキル)、−NH(C1〜6アルキル)、−NH、−N(OC1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、−N(OH)(C1〜6アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1〜6アルキル、−SS(C1〜6アルキル)、−C(=O)(C1〜6アルキル)、−COH、−CO(C1〜6アルキル)、−OC(=O)(C1〜6アルキル)、−OCO(C1〜6アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−OC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)C(=O)(C1〜6アルキル)、−NHCO(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)N(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH、−C(=NH)O(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)OC1〜6アルキル、−C(=NH)N(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH、−OC(=NH)N(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH、−NHC(NH)N(C1〜6アルキル)、−NHC(=NH)NH、−NHSO(C1〜6アルキル)、−SON(C1〜6アルキル)、−SONH(C1〜6アルキル)、−SONH、−SO1〜6アルキル、−SOOC1〜6アルキル、−OSO1〜6アルキル、−SOC1〜6アルキル、−Si(C1〜6アルキル)、−OSi(C1〜6アルキル)−C(=S)N(C1〜6アルキル)、C(=S)NH(C1〜6アルキル)、C(=S)NH、−C(=O)S(C1〜6アルキル)、−C(=S)SC1〜6アルキル、−SC(=S)SC1〜6アルキル、−P(=O)(C1〜6アルキル)、−P(=O)(C1〜6アルキル)、−OP(=O)(C1〜6アルキル)、−OP(=O)(OC1〜6アルキル)、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6ヘテロアルキル、C2〜6ヘテロアルケニル、C2〜6ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリールから選択され、または2個のジェミナルRgg置換基は、接合されて=Oもしくは=Sを形成することができ、Xは、対イオンである。
【0029】
本明細書において使用される場合、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、またはヨウ素(ヨード、−I)を指す。
【0030】
ある特定の実施形態では、窒素原子上に存在する置換基は、窒素保護基(「アミノ保護基」とも本明細書で呼ばれる)である。窒素保護基としては、それだけに限らないが、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1〜10アルキル(例えば、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10ヘテロアルキル、C2〜10ヘテロアルケニル、C2〜10ヘテロアルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリール基があり、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは独立に、0、1、2、3、4、または5個のRdd基と置換されており、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、本明細書で定義した通りである。窒素保護基は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、3版、John Wiley & Sons、1999年に詳細に記載されたものを含む。
【0031】
例えば、アミド基(例えば、−C(=O)Raa)などの窒素保護基としては、それだけに限らないが、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンアミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミドおよびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドがある。
【0032】
カルバメート基(例えば、−C(=O)ORaa)などの窒素保護基としては、それだけに限らないが、メチルカルバメート、エチルカルバメート(carbamante)、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロベンジル(nitobenzyl)カルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(isoborynl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートがある。
【0033】
スルホンアミド基(例えば、−S(=O)aa)などの窒素保護基としては、それだけに限らないが、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドがある。
【0034】
他の窒素保護基としては、それだけに限らないが、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロオリン(pyroolin)−3−イル)アミン、四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロム(pentaacylchromium)−またはタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホラミデート、ジベンジルホスホラミデート、ジフェニルホスホラミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)がある。
【0035】
ある特定の実施形態では、酸素原子上に存在する置換基は、酸素保護基(「ヒドロキシル保護基」とも本明細書で呼ばれる)である。酸素保護基としては、それだけに限らないが、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、および−P(=O)(NRbbがあり、式中、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義した通りである。酸素保護基は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、3版、John Wiley & Sons、1999年に詳細に記載されたものを含む。
【0036】
例示的な酸素保護基としては、それだけに限らないが、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコルメチル(guaiacolmethyl)(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、炭酸メチル、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、炭酸エチル、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、炭酸イソブチル、炭酸ビニル、炭酸アリル、t−ブチルカーボネート(BOC)、p−ニトロフェニルカーボネート、炭酸ベンジル、p−メトキシベンジルカーボネート、3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、o−ニトロベンジルカーボネート、p−ニトロベンジルカーボネート、S−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシアシル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)がある。
【0037】
ある特定の実施形態では、硫黄原子上に存在する置換基は、硫黄保護基(「チオール保護基」とも呼ばれる)である。硫黄保護基としては、それだけに限らないが、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、−Si(Raa、−P(Rcc、−P(Rcc、−P(=O)aa、−P(=O)(Raa、−P(=O)(ORcc、−P(=O)N(Rbb、および−P(=O)(NRbbがあり、式中、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義した通りである。硫黄保護基は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、3版、John Wiley & Sons、1999年に詳細に記載されたものを含む。
【0038】
本明細書において、2つの実体が互いに「コンジュゲート」または「ライゲーション」されているとき、これらの実体は、直接的または間接的な共有結合性または非共有結合性の相互作用によって連結している。ある特定の実施形態では、会合は、共有結合性である。他の実施形態では、会合は、非共有結合性である。非共有結合性の相互作用として、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気的相互作用、静電相互作用などが挙げられる。ある特定の実施形態では、2つの実体は、任意選択でリンカー基によって共有結合的に接続されている。
【0039】
本明細書において使用される場合、用語「塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わないでヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適した、適切な医学的判断の範囲内の塩を指し、かつ妥当な利益/リスク比に見合っている薬学的に許容される塩を含めた任意のおよびすべての塩を指す(J. Pharmaceutical Sciences(1977年)66巻:1〜19頁で詳細に薬学的に許容される塩を記載するBergeらを参照)。薬学的に許容される無毒性の酸性塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などを用いて、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などと用いて、あるいはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などがある。適切な塩基に由来する薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN(C1〜4アルキル)の塩がある。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがある。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、無毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、ならびに対イオンを使用して形成されるアミン陽イオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩などがある。
【0040】
投与が企図される「対象」としては、それだけに限らないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、青年)、または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、もしくは高齢成人))ならびに/あるいは他の非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、商業的に関連した哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/またはイヌなど)、ならびにトリ(例えば、商業的に関連したトリ、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、および/またはシチメンチョウなど)がある。ある特定の実施形態では、動物は、哺乳動物である。動物は、雄であっても雌であってもよく、発達の任意の段階におけるものであり得る。非ヒト動物は、トランスジェニック動物であってもよい。
【0041】
本明細書において、「状態」、「疾患」および「障害」という用語は、互換的に使用される。
【0042】
本明細書において、「阻害」、「阻害すること」、「阻害する」および「阻害剤」などは、特定の生物学的プロセスの活性を低減し、遅延させ、停止し、または防止する化合物の能力を指す。
【0043】
本明細書において、本開示における「細胞」という用語は、任意の属または種の真核生物および原核生物の細胞を包含することを意味し、特に、哺乳動物細胞が対象となる。「細胞」はまた、正常細胞と疾患状態の細胞、例えばがん性細胞の両方を包含することを意味する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の細胞は、生細胞である。
【0044】
本明細書において、「試料」という用語は、任意の化学的試料または生体試料を含む。化学的試料は、任意の化学的混合物または化学的化合物を指す。生体試料は、限定することなく、細胞培養物またはその抽出物、動物(例えば、哺乳動物)から得られる生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、もしくは他の体液またはこれらの抽出物を含む。例えば、用語「生体試料」は、単細胞微生物(細菌および酵母など)、ならびに多細胞生物(植物および動物など、例えば、脊椎動物または哺乳動物、特に、診断または調査されるべき健康もしくは見かけ上健康なヒト対象または状態もしくは疾患に影響されたヒト患者)を含めた任意の生体から得られる、それによって排泄される、またはそれによって分泌される任意の固体もしくは流体試料を指す。生体試料は、固体材料、例えば、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、細胞ホモジネート、もしくは細胞画分など、または生検、または生体液を含めた任意の形態であり得る。生体液は、任意の部位から得ることができる(例えば、血液、唾液(または頬細胞を含有する洗口液)、涙、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、羊膜液、腹膜液、および胸膜液、またはこれらからの細胞、房水もしくは硝子体液、または任意の体分泌液)、漏出液、浸出液(例えば、膿瘍または感染もしくは炎症の任意の他の部位から得られる流体)、あるいは関節(例えば、正常な関節、または疾患、例えば、関節リウマチ、骨関節炎、痛風、もしくは敗血症性関節炎などに影響された関節)から得られる流体)。生体試料は、任意の器官または組織(生検または剖検標本を含む)から得ることができ、あるいは細胞(初代細胞であっても、培養細胞であっても)、または任意の細胞、組織、もしくは器官によってコンディショニングされた媒体を含み得る。生体試料として、組織学的目的で採取された凍結切片などの組織の切片も挙げることができる。生体試料には、細胞または組織ホモジネートの部分的または完全な分画によって生成されるタンパク質、脂質、炭水化物、および核酸を含む生体分子の混合物も含まれる。試料は、好ましくはヒト対象から採取されるが、生体試料は、任意の動物、植物、細菌、ウイルス、酵母などからのものであり得る。用語の動物は、本明細書において使用される場合、発達の任意の段階におけるヒトおよび非ヒト動物を指し、例えば、哺乳動物、トリ、爬虫類、両生類、魚、虫、および単細胞を含む。細胞培養物および生組織試料は、多数の動物であると見なされる。ある特定の例示的な実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、またはブタ)である。動物は、トランスジェニック動物またはヒトクローンであってもよい。必要に応じて、生体試料は、予備分離技法を含めた予備処理に付すことができる。
【0045】
「生理的条件」という用語は、生細胞と適合性のある条件、例えば主に生細胞と適合性のある温度、pH、塩分などの水性条件を包含することを意味する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
式(I):
【化51】

の化合物、またはその塩
(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし前記8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは任意選択で置換されたヘテロアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは任意選択で置換されたヘテロアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、
ただし、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない)。
(項目2)
【化52】

が−CH=CH−である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
【化53】

が−CH=CH−である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
およびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成する、項目1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(項目5)
式(II):
【化54】

のもの、またはその塩
(式中、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される)である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
【化55】

が−CH=CH−である、項目5に記載の化合物。
(項目7)
【化56】

が−CH=CH−である、項目5に記載の化合物。
(項目8)
が水素であり、G10が、任意選択で置換されたアルケニルである、項目5から7のいずれか一項に記載の化合物。
(項目9)
10が式(G−i):
【化57】

のものである、項目8に記載の化合物。
(項目10)
前記化合物が表1に列挙した化合物の1つである、項目5に記載の化合物。
(項目11)
前記化合物が式:
【化58-1】

【化58-2】

の1つである、項目5に記載の化合物。
(項目12)
前記化合物が式:
【化59】

のものである、項目11に記載の化合物。
(項目13)
以下の式:
【化60】

の1つの化合物、またはその塩
(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし前記8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
11およびR12のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、−OR、−CHOR、−(CHOC(O)R、−SR、−N(R、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−(CHC(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOからなる群から選択され、
tは、1〜5の整数であり、両端を含み、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、
ただし、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない)。
(項目14)
【化61】

が、−CH−CH−CH−CH−である、項目1または項目13に記載の化合物。
(項目15)
アジド含有分子を画像化する方法であって、
(a)前記分子のアジド基に対し前記分子をライゲーションさせてトリアゾール生成物を形成する条件下で、前記化合物を、前記アジド含有分子を含有する試料とともに項目1に記載の化合物をインキュベートするステップと、
(b)前記トリアゾール生成物から放出された蛍光シグナルを検出するステップと
を含む、方法。
(項目16)
前記インキュベートするステップが、金属触媒の非存在下で実施される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記化合物が、前記アジド基に共有結合的に連結している、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記試料が細胞を含有し、前記アジド含有分子が前記細胞上または細胞内に位置する、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記化合物が、化合物1または化合物2のものである、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記アジド含有分子が、生体分子である、項目15から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記生体分子が、DNA、RNA、タンパク質またはグリカンである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記生体分子が、細胞表面上にある、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記生体分子が、細胞内にある、項目20に記載の方法。
(項目24)
前記生体分子が、鳥類、哺乳動物、ウイルス、寄生虫、真菌、または細菌起源のものである、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記生体分子が、ヒト起源のものである、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記生体分子が、疾患または身体状態に関連している、項目20に記載の方法。
(項目27)
前記疾患が、がんまたは炎症である、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記疾患が、関節リウマチである、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記分子が、有機分子である、項目15に記載の方法。
(項目30)
試料におけるアジド含有分子を検出する方法であって、
(a)項目1に記載の化合物を、アジド含有分子を有する疑いのある試料と接触させるステップと、
(b)前記試料から放出された蛍光シグナルのレベルを検出するステップと、
(c)前記試料における前記アジド含有分子の存在を決定するステップと
を含み、前記化合物の非存在下での前記蛍光シグナルのレベルと比較して増強された蛍光シグナルは、前記アジド含有分子の存在を示す、方法。
(項目31)
前記インキュベートするステップが、金属触媒の非存在下で実施される、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記試料が細胞を含有し、前記アジド含有分子が前記細胞上または細胞内に位置する、項目30から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記化合物が、化合物1または化合物2である、項目30から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記アジド含有分子が、生体分子である、項目30から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記生体分子が、DNA、RNA、タンパク質またはグリカンである、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記生体分子が、細胞表面上にある、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記生体分子が、細胞内にある、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記生体分子が、鳥類、哺乳動物、ウイルス、寄生虫、真菌、または細菌起源のものである、項目34に記載の方法。
(項目39)
前記生体分子が、ヒト起源のものである、項目34に記載の方法。
(項目40)
前記生体分子が、疾患または身体状態に関連している、項目34に記載の方法。
(項目41)
前記疾患が、がんまたは炎症である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記疾患が、関節リウマチである、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記アジド含有分子が、有機分子である、項目30に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、蛍光発生的CuAAC反応の概略図である。
【0047】
図2図2は、化合物1の例示的な合成スキームを示す。
【0048】
図3図3は、化合物1とベンジルアジドの間の反応を示す図である。(3a)化合物1とベンジルアジドのSPAAC反応における正規化蛍光強度の時間経過。(3b)H−NMRによってモニターした、CDCNにおける化合物1とベンジルアジドの反応に関する1/[化合物1]対時間のプロット。測定は、19mMの濃度で3回反復した。
【0049】
図4図4は、アルキン基を有する緑色発光クマリンである化合物Cの例示的な合成スキームを示す。
【0050】
図5図5は、化合物1−Aおよび1−Bの例示的な合成スキームを示す。
【0051】
図6図6は、化合物1、ならびに化合物1−Aおよび1−Bの分光学的特性を示す表である。
【0052】
図7図7は、(7a)化合物1、1−A、および1−B(45μM、10%DMSOを含有するPBS緩衝液、pH7.4、37℃)の吸収および蛍光発光スペクトル(λex=330nm)(8a)、ならびに(7b)10%DMSOを含有するPBS緩衝液中、1とN−アジドアセチルマンノサミンの37℃におけるライゲーション反応に関する、435nm(λex=330nm)における正規化蛍光強度の時間経過を示す。
【0053】
図8図8は、AcManNAzとともにインキュベートし、非洗浄および非固定化条件下で化合物1により標識したCL1−5生細胞の低速度蛍光およびオーバーレイ画像を示す写真である。細胞の蛍光画像(上の列)および細胞の明視野オーバーレイ画像(下の列)。対照:AcManNAcとともにインキュベートした細胞(スケールバー:25μm)。
【0054】
図9図9は、共焦点顕微鏡によって可視化した、CL1−5細胞におけるプローブ標識シアリル複合糖質の局在を示す写真である。200μMのAcManNAzとともにインキュベートした細胞を、100μMの化合物1で標識し、フルオレセインコンジュゲートWGAレクチン(ゴルジについて)およびヨウ化プロピジウム(核について)で染色した。
【0055】
図10図10は、H−NMRによってモニターした、CDOD−DO(5:1、v/v)溶液中での化合物1とN−アジドアセチルマンノサミンの反応に関する1/[1]対時間のプロットである。反応は、H−NMRによってモニターした。
【0056】
図11図11は、化合物1、1−Aおよび1−B(45μM、PBS緩衝液中10%DMSO、pH7.4、37℃)の吸収(11a)および蛍光発光(11b)スペクトル(λex=330nm)を示す。
【0057】
図12図12は、AcManNAzとともにインキュベートし、非洗浄および非固定化条件下で化合物1により標識したCL1−5生細胞の低速度蛍光およびオーバーレイ画像を示す写真である。細胞の蛍光画像(上の列)および細胞の明視野オーバーレイ画像(下の列)。対照:AcManNAcとともにインキュベートした細胞(スケールバー:10μm)。
【発明を実施するための形態】
【0058】
(本開示の詳細な記載)
本開示は、新規な式(I)のベンゾシクロオクチン化合物を提供する。これらの化合物は、毒性のある金属触媒が存在しない状態で、ひずみ促進アジド−アルキン環化付加(SPAAC)を起こす。本開示による例示的なクマリン−シクロオクチン化合物は、アジド化合物と反応して、標的分子における検出を容易にする増強された蛍光を有するトリアゾール生成物を生じる。提供される化合物は、生細胞の画像化において著しい進展をもたらし、in vivoでの生化学的事象のリアルタイム検出に適用できる。
【0059】
一態様では、本開示は、式(I):
【化4】
の化合物、またはその塩を提供する(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、
ただし、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない)。
【0060】
式(I)の化合物では、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない。
【0061】
本明細書で一般に定義される通り、X、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSである。ある特定の実施形態では、X、X、X、およびXは、8員の炭素環内にある。ある特定の実施形態では、X、X、X、およびXは、8員の複素環内にある。ある特定の実施形態では、X、X、およびXは、炭素原子であり、Xは、N、O、P、またはSである。ある特定の実施形態では、X、X、およびXは、炭素原子であり、Xは、N、O、P、またはSである。ある特定の実施形態では、X、X、およびXは、炭素原子であり、Xは、N、O、P、またはSである。ある特定の実施形態では、X、X、およびXは、炭素原子であり、Xは、N、O、P、またはSである。
【0062】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0063】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0064】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0065】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0066】
ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環または複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された5員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、非置換フェニルを形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOの群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOからなる群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。
【0067】
ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環または複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたシクロプロピルを形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された4員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された5員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOの群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOからなる群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。
【0068】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0069】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0070】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0071】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0072】
ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環または複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された5員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOの群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された5員の複素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、またはOのうち1つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。ある特定の実施形態では、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、S、N、およびOからなる群からそれぞれ独立に選択される2つのヘテロ原子とともに、任意選択で置換された6員の炭素環を形成する。
【0073】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、式(II):
【化5】
のもの、またはその塩である(式中、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される)。
【0074】
本明細書で一般に定義される通り、Gは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、Gは、Hである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Gは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−OHである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、Gは、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Gは、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Gは、NHである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、Gは、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0075】
本明細書で一般に定義される通り、G10は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、G10は、Hである。ある特定の実施形態では、G10は、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOである。ある特定の実施形態では、G10は、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、G10は、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、G10は、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、G10は、−ORであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、G10は、−OHである。ある特定の実施形態では、G10は、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、G10は、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、G10は、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、G10は、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、および任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、G10は、NHである。ある特定の実施形態では、G10は、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、G10は、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、G10は、NHRであり、Rは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、G10は、−C(O)Rであり、Rは、水素または任意選択で置換されたC1〜6アルキルである。ある特定の実施形態では、G10は、−C(O)Hである。ある特定の実施形態では、G10は、−C(O)Rであり、Rは、任意選択でC1〜6置換アルキル(optionally substituted C1−6 alkyl)である。ある特定の実施形態では、G10は、任意選択で置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、G10は、式:
【化6】
のものであり、Rは、本明細書で定義した通りであり、R10aおよびR10bの各事例は独立に、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されたC1〜6アルキルである。
【0076】
本明細書で一般に定義される通り、R10aおよびR10bの各事例は独立に、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されたC1〜6アルキルである。ある特定の実施形態では、R10aは、水素である。ある特定の実施形態では、R10aは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R10bは、水素である。ある特定の実施形態では、R10bは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、G10は、以下の式:
【化7-1】
の1つである。
【0077】
本明細書で一般に定義される通り、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基である。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。ある特定の実施形態では、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、Rは、硫黄保護基である。
【0078】
本明細書で一般に定義される通り、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。ある特定の実施形態では、Rは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。
【0079】
本明細書で一般に定義される通り、Rの各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。ある特定の実施形態では、Rは、窒素保護基である。ある特定の実施形態では、2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成する。
【0080】
式(I)および(II)のある特定の実施形態では、
【化7-2】
は、−CH=CH−である。式(I)のある特定の実施形態では、
【化7-3】
は、−CH=CH−である。
【0081】
式(II)のある特定の実施形態では、Gは水素であり、G10は、任意選択で置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、G10は、式(G−i):
【化8】
のものである。
【0082】
ある特定の実施形態では、提供される化合物は、以下の式:
【化9】
の1つのものである。
【0083】
式(II−a)〜(II−f)のある特定の実施形態では、Gは、水素である。式(II−a)〜(II−f)のある特定の実施形態では、Gは、水素である。式(II−a)〜(II−f)のある特定の実施形態では、Gは、水素である。式(II−a)〜(II−f)のある特定の実施形態では、G、G、およびGは、すべて水素である。式(II−e)のある特定の実施形態では、Rは、水素または任意選択で置換されたC1〜6アルキルである。式(II−e)のある特定の実施形態では、Rは、水素である。式(II−e)のある特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。
【0084】
式(II−a)および(II−b)のある特定の実施形態では、G10は、式:
【化10】
のものであり、Rは、本明細書で定義した通りであり、R10aおよびR10bの各事例は独立に、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されたC1〜6アルキルである。式(II−a)および(II−b)のある特定の実施形態では、G10は、以下の式:
【化11】
の1つのものである。
【0085】
式(I)および(II)の例示的化合物を、表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【0086】
クマリン縮合シクロオクチンプローブを使用して、アジド付属生体分子を含めたアジド化合物を検出した。銅を含まない条件下でアジド化合物とSPAAC反応させた後、トリアゾール環の形成によって蛍光クエンチングが放出され、蛍光発生現象が生じる。化合物1は、アジドとSPAACを起こして、蛍光性トリアゾール生成物を生じるようなタイプのプローブの一例である。
【0087】
別の実施形態では、緑色発光クマリンベースの蛍光発生化合物2を使用した。インドリウム部分を、電子吸引基として、クマリンコアの3位に導入する。励起すると、ICTプロセスによって発光波長の深色シフトが生じると予測される。
【0088】
別の態様では、本開示は、以下の式:
【化12】
の化合物、またはその塩を提供する(式中、
、X、X、およびXは、8員の炭素環または複素環内にあり、ただし前記8員の環が複素環である場合、X、X、X、およびXのうち3つは、炭素原子であり、X、X、X、およびXのうち1つは、N、O、P、またはSであり、
、G、GおよびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、=O、=NOH、=N−OR、=N−NH、=N−NHR、=N−N(R、および−NHSOから選択され;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し;またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
およびGのそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、またはGおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された炭素環もしくは複素環を形成し、
およびG10のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール(heteoaryl)、−OR、−CHOR、−OC(O)R、−SR、−N(R、−N(R)C(O)R、−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択され、
11およびR12のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、−OR、−CHOR、−(CHOC(O)R、−SR、−N(R、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−(CHC(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOからなる群から選択され、
tは、1〜5の整数であり、両端を含み、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリールであり、または酸素に付着している場合には酸素保護基であり、または硫黄に付着している場合には硫黄保護基であり、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、もしくは窒素保護基であり、または2つのRは、介在する窒素と一緒になって、複素環を形成し、
の各事例は独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールであり、
ただし、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない)。
【0089】
式(II)の化合物では、GおよびGが、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換されたフェニルを形成する場合、GおよびGは、それらに介在する原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環を形成し、XはNではない。
【0090】
式(II)の化合物では、変数X、X、X、X、G、G、G、G、G、G、G、G、およびG10は、本明細書で定義した通りである。
【0091】
本明細書で一般に定義される通り、R11は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、−OR、−CHOR、−(CHOC(O)R、−SR、−N(R、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−(CHC(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、R11は、Hである。ある特定の実施形態では、R11は、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R11は、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、R11は、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、任意選択で置換されたアリールアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、−CHPhである。ある特定の実施形態では、R11は、−(CH−C(O)N(Rである。ある特定の実施形態では、R11は、−CH−C(O)NHRであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R11は、−CH−C(O)NHRであり、Rは、式:
【化13】
のものである。ある特定の実施形態では、R11は、−ORであり、Rは独立に、水素または任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、−OHである。ある特定の実施形態では、R11は、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、R11は、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、R11は、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素または任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、NHである。ある特定の実施形態では、R11は、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R11は、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、R11は、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0092】
本明細書で一般に定義される通り、R12は独立に、水素、ハロゲン、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、−OR、−CHOR、−(CHOC(O)R、−SR、−N(R、−(CH−N(R)C(O)R、−(CH−C(O)N(R、−CN、−NO、−C(O)R、−(CHC(O)OR、−S(O)R、−SO、−SON(R、および−NHSOから選択される。ある特定の実施形態では、R12は、Hである。ある特定の実施形態では、R12は、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R12は、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、メチル、エチル、またはn−プロピルである。ある特定の実施形態では、R12は、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたアリールアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、任意選択で置換されたアリールアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、−CHPhである。ある特定の実施形態では、R12は、−(CH−C(O)N(Rである。ある特定の実施形態では、R12は、−CH−C(O)NHRであり、Rは独立に、水素、任意選択で置換されたC〜Cアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R12は、−CH−C(O)NHRであり、Rは、式:
【化14】
のものである。ある特定の実施形態では、R12は、−ORであり、Rは独立に、水素または任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、−OHである。ある特定の実施形態では、R12は、−ORであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、−OCHまたは−OCである。ある特定の実施形態では、R12は、−ORであり、Rは、酸素保護基である。ある特定の実施形態では、R12は、−N(Rであり、Rの各事例は独立に、水素または任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、NHである。ある特定の実施形態では、R12は、NHRであり、Rは、任意選択で置換されたC〜Cアルキルである。ある特定の実施形態では、R12は、NHCHまたはNHCである。ある特定の実施形態では、R12は、NHRであり、Rは、窒素保護基である。
【0093】
式(I)または(II)のある特定の実施形態では、
【化15】
は、−CH−CH−CH−CH−である。
【0094】
本開示はまた、本明細書に記載の通りベンゾシクロオクチン化合物を調製するための合成方法に関する。本開示はまた、このようなベンゾシクロオクチン化合物が有機アジドと反応して、増強された蛍光を有するトリアゾール生成物を形成することを実証する。
【0095】
図2は、以下のステップを含む、化合物1の合成を示す。
(a)1−ベンゾスベロンを、濃硫酸中0℃において硝酸カリウムで処理して、化合物4:
【化16】
を得るステップ(Murineddu, G.ら、J. Med. Chem. 2005年、48巻、7351頁)、
(b)化合物4を、還元試薬としてスズ金属を用いて濃HCl中で処理して、アミン中間体を得、その後酸性条件下で亜硝酸ナトリウムによりジアゾ化し、ヒドロキシル化して、化合物5:
【化17】
を得るステップ(Smith, P. A. S.;Berry, W. L. J. Org. Chem. 1961年、26巻、27頁)、
(c)化合物5を、無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、炭酸カリウムの存在下で臭化ベンジルにより処理して、ベンジルオキシ化合物6:
【化18】
を得るステップ、
(d)BF・OEtの存在下で0℃において(トリメチルシリル)ジアゾメタンを使用する、化合物6の環拡大反応によって、シクロオクタノン生成物7:
【化19】
を得るステップ、
(e)化合物7を、メタノール中NaBHで処理し、その後2,6−ルチジンの存在下でトリイソプロピルシリルトリフルオロメチルスルホネート(TIPSOTf)を用いて処理して、シリルエーテル8:
【化20】
を得るステップ、
(f)化合物8のベンジル基を水素化によって除去し、その後アセトニトリル中、無水MgCl、トリエチルアミンおよびパラホルムアルデヒドで処理して、サリチルアルデヒド生成物9:
【化21】
を得るステップ、
(g)化合物9を、エタノール中、マロン酸ジエチル、ピペリジンおよび酢酸で処理して、クマリン生成物10:
【化22】
を得るステップ、
(h)化合物10を、酢酸および濃HClの媒体中で処理して、化合物11:
【化23】
を得るステップ、
(i)化合物11のスワーン酸化によってケトン12:
【化24】
を得るステップ、
(j)化合物12をエノールトリフレートに変換し、その後カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)で処理して、化合物1を得るステップ。
【0096】
一実施形態では、化合物1を、エタノール/水(1:1)中、銅(I)触媒の非存在下でベンジルアジドと反応させて、環化付加生成物を2つのトリアゾール位置異性体(reigoisomer)3aおよび3bの混合物として得た。これらの2つのトリアゾール(trizaole)異性体を分離し、それらの光物理的特性をそれぞれ調査した。化合物1と同様、化合物3aおよび3bは、λmax=330nmにおいて吸収帯を呈していたが、吸光係数は実質的により高かった(約2.5倍)。照射すると、化合物1、3aおよび3bは、すべてλmax=400nmにおいて蛍光発光を示した。トリアゾール化合物3aの量子収率(Φ=0.23)および3bの量子収率(Φ=0.22)は、化合物1の量子収率(Φ=0.011)の20倍高かった。アルキン付属クマリン化合物Aは、化合物1と類似の光学的特性を呈する。しかし、化合物Aは、CuAAC反応を進行させるために銅(I)触媒を必要とする。
【化25】
【0097】
ベンジルアジドによる化合物1の環化付加は、二次反応であった。図3aは、反応中の正規化蛍光強度の時間経過を示している。図3bは、H−NMRスペクトルにおいてベンジル位のプロトンシグナルの積分領域によってモニターされる通り、CDCN(19mM)中の環化付加反応の進行を示している。二次速度定数(κ)を決定すると、25℃で0.015M−1−1であった。比較すると、化合物1は、3−アルコキシシクロオクタインよりも反応性が高いが(OCT、κ=0.002M−1−1)、11−アルコキシ−ジベンゾシクロオクチンよりも低い(DIBO、κ=0.06M−1−1)。(Agardら、J. Am. Chem. Soc. 2004年、126巻、15046頁;Ningら、Angew. Chem. Int. Ed. 2008年、47巻、2253頁)。
【0098】
生物学的適用では、蛍光発生化合物2は、長い波長(約500nm)の吸収および蛍光を呈する。2のSPAAC反応に由来するトリアゾール生成物は、水溶液中、高い蛍光量子収率を示す。7−アルキニルクマリン足場の3位においてインドリウム部分を含有する化合物Cを、化合物2のモデルとして使用した。
【化26】
【0099】
図4は、以下のステップを含む、化合物Cの合成を示す。
(a)2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドを、ピペリジンの存在下でグルタコン酸ジエチルにより処理して、クマリンエステル13:
【化27】
を得るステップ、
(b)化合物13を、トリフルオロメタンスルホン酸(trifluoromethylsulfonic)無水物(TfO)およびピリジンで処理して、トリフレート14:
【化28】
を得るステップ、
(c)化合物14を、PdCl(PPh、CuIおよびジイソプロピルエチルアミンの存在下で、トリメチルシリルアセチレンと薗頭反応させて、アルキニル付属クマリン15:
【化29】
を得るステップ、
(d)化合物15のオゾン分解によって、化合物16:
【化30】
を得るステップ、
(e)化合物16とN−(4−スルホネートブチル)−2,3,3−トリメチルインドリウム17の塩基媒介性縮合反応の後、フッ化テトラブチルアンモニウムを用いる脱シリル化(desilylstion)によって、化合物Cを得るステップ。
【化31】
【0100】
化合物Cは、λmax500nmにおいて吸収を示し(ε=8,600M−1cm−1)、λmax515nmにおいて弱い蛍光を示した(Φ=0.017)。標準のCuAAC条件下で、化合物Cをベンジルアジドと反応させて、トリアゾール生成物18を得た。この生成物18は、水溶液中、λmax500nmにおいて吸収を示し(ε=32,000M−1cm−1)、λmax520nmにおいて強い蛍光を示した(Φ=0.56)。
【化32】
【0101】
一態様では、本開示は、有機分子または生体分子、特にアジド基を含有する分子を検出および/または画像化する方法(in vivoまたはin vitro)に関する。例としては、それだけに限らないが、アミノ酸、ポリペプチド(ペプチドおよびタンパク質を含む)、糖(モノサッカライド、オリゴサッカライド、およびポリサッカライドを含む)などがある。このような分子は、少なくとも1つのアジド基を含有することができ、または少なくとも1つのアジド基を含有するように修飾することができる。
【0102】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の通りアジド含有分子を画像化する方法を提供する。該方法は、(a)分子のアジド基に対し化合物をライゲーションさせてトリアゾール生成物を形成する条件下で、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1または化合物2)を、アジド含有分子を含有する試料とともにインキュベートするステップと、(b)トリアゾール生成物から放出された蛍光シグナルを検出するステップとを含むことができる。
【0103】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の通り、試料、例えば生物試料におけるアジド含有分子を検出する方法(in vivoまたはin vitro)を提供する。該方法は、
(a)本明細書に記載の化合物(例えば、化合物1または化合物2)を、アジド含有分子を有する疑いのある試料と接触させるステップと、
(b)試料から放出された蛍光シグナルのレベルを検出するステップと、
(c)試料におけるアジド含有分子の存在を決定するステップと
を含む。化合物の非存在下での蛍光シグナルのレベルと比較して増強された蛍光シグナルは、アジド含有分子の存在を示す。
【0104】
本明細書に記載の画像化および/または検出方法のある特定の実施形態では、インキュベートするステップは、金属触媒の非存在下で実施される。ある特定の実施形態では、化合物は、アジド基に共有結合的に連結している。ある特定の実施形態では、試料は、細胞を含有し、アジド含有分子は、細胞上または細胞内に位置する。ある特定の実施形態では、アジド含有分子は、生体分子である。ある特定の実施形態では、生体分子は、DNA、RNA、タンパク質またはグリカンである。ある特定の実施形態では、生体分子は、細胞表面上にある。ある特定の実施形態では、生体分子は、細胞内にある。ある特定の実施形態では、生体分子は、鳥類、哺乳動物、ウイルス、寄生虫、真菌、または細菌起源のものである。ある特定の実施形態では、生体分子は、ヒト起源のものである。ある特定の実施形態では、生体分子は、疾患または身体状態に関連している。ある特定の実施形態では、疾患または身体状態は、がん(例えば悪性腫瘍)、関節リウマチ、および炎症からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、分子は、有機分子である。
【0105】
一部の実施形態では、本開示は、in vivo画像化のために、例えば生物(例えば、ヒト)の細胞の代謝的または他の状態を決定するために使用される。非限定的な例として、対象の方法は、個体(例えば、げっ歯類、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、およびヒトを含めた哺乳動物)のがん細胞のin vivo画像化に適用することができる。
【0106】
例示的ながんとしては、それだけに限らないが、肺がん、前立腺がん、乳がん、結腸直腸がん、卵巣がん、リンパ腫、および白血病がある。
【0107】
「炎症」という用語は、疼痛(有害物質および神経刺激の発生による痛み)、発熱(血管拡張による熱)、発赤(血管拡張および血流増大による赤み)、膨潤(流体の過度な流入または流出の制限による腫瘍)、および/または機能の喪失(部分的または完全な、一時的または永久的なものであり得る機能喪失)の徴候を特徴とする疾患、障害または状態を指す。炎症は、多くの形態をとり、炎症としては、それだけに限らないが、急性、接着性、萎縮性、カタル性、慢性、硬化性、散乱性、播種性、滲出性、フィブリン性、線維化性、限局性、肉芽腫性、過形成性、肥大性、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、可塑性、増殖性、繁殖性、偽膜性、化膿性、硬化性、血清塑性(seroplastic)、漿液性、単純性、特異性、亜急性、化膿性、毒性、外傷性、および/または潰瘍性の炎症が含まれる。
【0108】
例示的な炎症としては、それだけに限らないが、座瘡、貧血(例えば、再生不良性貧血、溶血性の自己免疫性貧血)、喘息、動脈炎(例えば、多発性動脈炎、側頭動脈炎、結節性動脈周囲炎、高安動脈炎)、関節炎(例えば、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチおよびライター関節炎)、強直性脊椎炎、穀粉症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫疾患、アレルギーまたはアレルギー性反応、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、滑液包炎、慢性前立腺炎、結膜炎、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、皮膚筋炎(cermatomyositis)、憩室炎、糖尿病(例えば、I型真性糖尿病、2型真性糖尿病)、皮膚状態(例えば、乾癬、湿疹、熱傷、皮膚炎、掻痒症(そう痒))、子宮内膜症、ギラン−バレー症候群、感染症、虚血性心疾患、川崎病、糸球体腎炎、歯肉炎、過敏症、頭痛(例えば、片頭痛、緊張性頭痛)、イレウス(例えば、術後イレウスおよび敗血症中のイレウス)、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎(有痛性の膀胱症候群)、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、好酸球性胃炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性大腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、またはその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎(diversion colitis)、ベーチェット症候群、不確定大腸炎)および炎症性腸症候群(IBS)から選択される)、狼瘡、多発性硬化症、モルフェア、重症筋無力症(myeasthenia gravis)、心筋虚血、ネフローゼ症候群、尋常性天疱瘡、貧血(aneaemia)、消化性潰瘍、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、脳障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、およびアルツハイマー病)に関連する神経性炎症(neuroinflammation)、前立腺炎、頭蓋の放射線傷害に関連する慢性炎症、骨盤の炎症疾患、再灌流傷害、限局性腸炎、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、硬皮症(schleroderma)、強皮症(scierodoma)、サルコイドーシス、脊椎関節症(spondyloarthopathies)、シェーグレン症候群、甲状腺炎、移植拒絶反応、腱炎、外傷または傷害(例えば、凍傷、化学的刺激物質、毒素、瘢痕、熱傷、身体的傷害)、血管炎、白斑およびウェゲナー肉芽腫症に関連する炎症がある。ある特定の実施形態では、炎症性障害は、関節炎(例えば、関節リウマチ)、炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、喘息、乾癬、子宮内膜症、間質性膀胱炎および前立腺炎(prostatistis)から選択される。ある特定の実施形態では、炎症状態は、急性炎症状態である(例えば、感染症から生じる炎症)。ある特定の実施形態では、炎症状態は、慢性炎症状態である(例えば、喘息、関節炎および炎症性腸疾患から生じる状態)。
【0109】
本明細書に記載の方法で検査されるアジド含有分子は、天然に存在するものであってもよい。あるいは、アジド含有分子は、元々アジド基を含有しない分子を、当技術分野で公知の方法を使用して修飾することによって調製することができる。アジド含有分子は、細胞表面上または細胞内にあってもよく、この細胞は、培養細胞、または宿主動物、例えば哺乳動物、例えばマウス宿主(例えば、ラット、マウス)、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)の細胞を含めた細胞のいずれかであり得る。一部の実施形態では、アジド含有分子は、無細胞反応においてin vitroで存在する。他の実施形態では、分子は、細胞内に存在し、かつ/または細胞表面上に表示される。対象の多くの実施形態では、アジド含有分子は、生細胞内、生細胞の表面上、生存生物内、例えば生存多細胞生物内にある。適切な生細胞には、生存多細胞生物の一部である細胞、多細胞生物から単離された細胞、不死化細胞株などが含まれる。
【0110】
アジド含有分子がポリペプチドである場合、ポリペプチドは、D−アミノ酸、L−アミノ酸、またはその両方から構成されていてもよく、他の部分を含むように自然に、合成により、または組換えによりさらに修飾されていてもよい。例えば、ポリペプチドは、リポタンパク質、糖タンパク質、またはこのような他の修飾タンパク質であってもよい。
【0111】
一般に、アジド含有分子は、本開示に従って修飾シクロアルキンと反応するために、少なくとも1つのアジドを含むが、2個または2個より多く、3個または3個より多く、5個または5個より多く、10個または10個より多くのアジドを含むことができる。標的分子内に存在し得るアジドの数は、反応の最終生成物の所期の適用、アジド含有分子自体の性質、および本明細書に開示した通り本開示を実施する際に当業者に容易に明らかとなる他の考察に従って変わることになる。
【0112】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アジド部分を含有する標的基質に治療剤を送達するために、治療剤(例えば、抗がん薬物)とさらにコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、がん薬物(cancer drugs)の送達に使用される。
【0113】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の(例えば生体分子を画像化または検出する)方法のいずれかにおける例示的化合物は、式:
【化33】
のものである。
【実施例】
【0114】
実施例1:例示的化合物の合成
方法および材料
すべての試薬は、市販されており、別段の指定のない限り、さらに精製することなく使用した。すべての溶媒は、別段の指定のない限り無水グレードであった。すべての非水性反応を、別段の注記のない限り、アルゴンのわずかな陽圧の下、オーブンで乾燥させたガラス製品内で実施した。反応を磁気によって撹拌し、シリカゲルによる薄層クロマトグラフィーによってモニターした。カラムクロマトグラフィーは、粒径40〜63μmのシリカゲルで実施した。分光学的に純粋な化合物について、収量を記録する。融点は、Electrothermal MEL−TEMP(登録商標)1101D融点装置で記録したが、補正はしていない。NMRスペクトルは、Bruker AVANCE 600分光計で記録した。化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS)に対してδ値で示す。結合定数JはHzで示す。内部標準は、H−NMRスペクトルについてはCDCl(δ=7.24)、MeOH−d(δ=3.31)またはDO(δ=4.79)、13C−NMRスペクトルについてはCDCl(中心線のδ=77.0)またはMeOH−d(δ=49.15)であった。分裂パターンを、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(ブロード)およびdd(二重線の二重線)として報告する。IRスペクトルは、Thermo Nicolet 380 FT−IR分光計で記録した。旋光は、Perkin−Elmer Model 341旋光計で記録した。高分解能ESI質量スペクトルは、Bruker Daltonics分光計で記録した。
3−ニトロ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[7]アンヌレン−5−オン(4)
【化34】
【0115】
KNO(2.8g、27.7mmol)の濃HSO(7.5mL)溶液を、ベンゾスベロン(4.0g、25mmol)の濃HSO(28mL)中混合物に、0℃で30分かけて滴下添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次にクラッシュアイスに注いだ。沈殿物を濾過し、水ですすぎ、乾燥させた。粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4)によって精製して、純粋なニトロ生成物4(3.69g、72%)を得た。C1111NO;白色針状物質、mp90〜92℃(lit.S1mp89〜90℃)(Murineddu, G.ら、J. Med. Chem. 2005年、48巻、7351頁);TLC(EtOAc/ヘキサン、1:4)R=0.31;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.53 (1 H, d, J = 2.5 Hz), 8.22 (1 H, dd, J = 8.3, 2.5 Hz), 7.37 (1 H, d, J = 8.3 Hz), 3.01 (2 H, t, J = 6.4 Hz), 2.77 (2 H, t, J = 6.1 Hz), 1.94-1.90 (2 H, m), 1.85-1.81 (2 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 203.4, 148.0, 147.0, 139.8, 131.0, 126.2, 123.9, 40.4, 32.4, 24.7, 20.5
3−ヒドロキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[7]アンヌレン−5−オン(5)
【化35】
【0116】
化合物4(2.05g、10mmol)およびSn(8.31g、70mmol)の濃HCl(45mL)およびエタノール(25mL)中混合物を、50分間加熱還流させた。混合物を室温に冷却し、溶液を、30%NaOH水溶液で塩基性にした。混合物をセライトのパッドを通して濾過し、エタノールで洗浄した。濾液をEtOAc(5×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSOにより乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、ほとんど純粋なアミン生成物(1.45g)を黄色がかった固体として得た。
【0117】
冷たい(0℃)先に調製したアミン化合物(1.45g、8.3mmol)の10%HSO水溶液(40mL)に、NaNO(687mg、9.96mmol)の水(3mL)中の溶液を注意深く添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次にスルファミン酸を添加して、過剰の亜硝酸を分解した。懸濁液を濾過し、濾液を10%HSO水溶液(100mL)およびトルエン(50mL)に注いだ。混合物を3日間室温で撹拌した。水層を分離し、EtOAc(5×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4)によって精製して、実際に純粋なフェノール生成物5(1.11g、全収率76%)を得た。C1112;黄色固体、mp98〜100℃(lit.S2mp96〜99℃)(Smith, P. A. S.;Berry, W. L. J. Org. Chem. 1961年、26巻、27頁);TLC(EtOAc/ヘキサン、3:7)R=0.37;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.33 (1 H, d, J = 2.8 Hz), 7.07 (1 H, d, J = 8.2 Hz), 6.94 (1 H, dd, J = 8.2, 2.8 Hz), 6.27 (1 H, s, OH), 2.84 (2 H, t, J = 5.7 Hz), 2.72 (2 H, t, J = 6.4 Hz), 1.86-1.76 (4 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 206.7, 154.7, 139.2, 133.9, 131.3, 119.8, 114.9, 40.8, 31.6, 25.3, 20.8.
_3−ベンジルオキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[7]アンヌレン−5−オン(6)
【化36】
【0118】
化合物5(1.25g、7.1mmol)の無水DMF(10mL)溶液を、炭酸カリウム(2.1g、15.2mmol)および臭化ベンジル(1mL、8.4mmol)で処理した。懸濁液を室温で24時間激しく撹拌した。混合物を水(20mL)に注ぎ、EtO(4×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(3×20mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:9)によって精製して、純粋なベンジルオキシ生成物6(1.85g、98%)を得た。C1818;淡黄色油;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)R=0.37;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.41 (2 H, d, J = 7.2 Hz), 7.37-7.35 (3 H, m), 7.31 (1 H, d, J = 7.4 Hz), 7.10 (1 H, d, J = 8.3 Hz), 7.02 (1 H, dd, J = 8.3, 2.9 Hz), 5.06 (2 H, s), 2.86 (2 H, t, J = 5.8 Hz), 2.71 (2 H, t, J = 6.2 Hz), 1.84-1.78 (4 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 205.6, 157.4, 139.5, 136.7, 134.2, 131.0, 128.5 (2 ×), 127.9, 127.5 (2 ×), 119.7, 113.2, 70.1, 40.7, 31.6, 25.3, 20.8.
3−ベンジルオキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[8]アンヌレン−6−オン(7)
【化37】
【0119】
(トリメチルシリル)ジアゾメタン(5mL、ヘキサン中約2M溶液、10mmol)のCHCl(10mL)中の溶液を、撹拌した化合物6(1.6g、6mmol)およびBF・OEt(820μL、10mmol)のCHCl(20mL)溶液に、0℃で1時間かけて滴下添加した。混合物を0℃で12時間撹拌し、次にクラッシュアイスに注いだ。水層をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮してオレンジ色の油を得、それをシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:19)によって精製して、純粋なシクロオクタノン生成物7(1.23g、73%)を得た。C1920;無色油;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)R=0.29;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.40 (2 H, d, J = 7.4 Hz), 7.37-7.34 (2 H, m), 7.31-7.29 (1 H, m), 7.09 (1 H, d, J = 8.4 Hz), 6.84 (1 H, dd, J = 8.4, 2.7 Hz), 6.75 (1 H, d, J = 2.7 Hz), 5.01 (2 H, s), 3.72 (2 H, s), 2.74 (2 H, t, J = 5.8 Hz), 2.31 (2 H, t, J = 5.3 Hz), 1.81-1.77 (2 H, m), 1.72-1.68 (2 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 211.8, 157.4, 136.9, 134.7, 133.4, 131.2, 128.5 (2 ×), 127.9, 127.5 (2 ×), 116.0, 114.4, 70.0, 48.8, 41.0, 32.3, 31.5, 24.7.
3−ベンジルオキシ−6−トリイソプロピルシリルオキシ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[8]アンヌレン(8)
【化38】
【0120】
化合物7(4.8g、17.1mmol)のメタノール(40mL)中の溶液を、NaBH(970mg、25.7mmol)とともに0℃で1時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をCHCl(80mL)に溶解し、1MのHCl水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、アルコール粗生成物を無色泡状物質として得た(4.8g)。
【0121】
トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート(9.2mL 34.2mmol)を、先に調製したアルコール(4.8g、17.0mmol)および2,6−ルチジン(8mL、68.7mmol)の無水CHCl(50mL)の冷たい(0℃)溶液に、3分間かけて滴下添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次にCHCl(100mL)で希釈した。溶液を飽和NaHCO水溶液(50mL)、1MのHCl水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:9)によって精製して、純粋なシリルエーテル生成物8を得た(7.2g、全収率96%)。C2842Si;無色シロップ;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)R=0.51;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.41 (2 H, d, J = 7.4 Hz), 7.37-7.34 (2 H, m), 7.31-7.28 (1 H, m), 6.99 (1 H, dd, J = 6.6, 2.5 Hz), 6.75-6.74 (2 H, m), 5.01 (2 H, s), 3.96-3.93 (1 H, m), 2.91-2.83 (2 H, m), 2.77-2.72 (1 H, m), 2.65-2.61 (1 H, m), 1.76-1.72 (1 H, m), 1.71-1.64 (1 H, m), 1.50-1.41 (3 H, m), 1.18-1.15 (1 H, m), 1.07-1.05 (21 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 156.8, 138.5, 137.3, 134.1, 130.1, 128.5 (2 ×), 127.8, 127.5 (2 ×), 116.7, 112.5, 73.8, 70.0, 40.9, 34.5, 32.3, 32.0, 20.8, 18.2 (6 ×), 12.4 (3 ×).
3−ヒドロキシ−6−トリイソプロピルシリルオキシ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロベンゾ[8]アンヌレン−2−カルバルデヒド(9)
【化39】
【0122】
化合物8(7.1g、16.2mmol)のメタノール(50mL)およびEtOAc(20mL)溶液を、Pd/C(100mg)を用いて水素雰囲気下で処理した。1時間撹拌した後、混合物を、セライトを通して濾過し、EtOAcですすいだ。濾液を濃縮して、淡褐色シロップ(5.6g)を得、それを、無水アセトニトリル(150mL)中、無水MgCl(4.64g、48.6mmol)、トリエチルアミン(13.5mL、97.2mmol)およびパラホルムアルデヒド(4.86g、162mmol)で処理した。懸濁液を12時間加熱還流した。混合物を室温に冷却し、得られた濃い黄色の懸濁液を、1MのHCl水溶液(200mL)で酸性にした。溶液をEtOAc(5×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(200mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:19)によって精製して、純粋なサリチルアルデヒド生成物9(5.3g、2つのステップで87%)を得た。C2236Si;淡黄色シロップ;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)R=0.71;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 10.77 (1 H, s), 9.79 (1 H, s), 7.24 (1 H, s), 6.76 (1 H, s), 4.03-3.99 (1 H, m), 2.94-2.88 (2 H, m), 2.81-2.76 (1 H, m), 2.71-2.67 (1 H, m), 1.80-1.75 (1 H, m), 1.72-1.66 (1 H, m), 1.52-1.46 (2 H, m), 1.43-1.38 (1 H, m), 1.24-1.16 (1 H, m), 1.07-1.05 (21 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 195.9, 159.5, 148.2, 133.8, 133.7, 119.5, 118.8, 73.2, 41.0, 34.4, 32.2, 32.1, 20.6, 18.1 (6 ×), 12.4 (3 ×).
_エチル6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−2−オキソ−10−トリイソプロピルシリルオキシ−2H−シクロオクタ[g]クロメン−3−カルボキシレート(10)
【化40】
【0123】
化合物9(3.6g、9.57mmol)およびマロン酸ジエチル(2.88mL、19.0mmol)のエタノール(30mL)中の溶液を、ピペリジン(0.3mL、3.03mmol)および氷AcOH(0.1mL、1.73mmol)で処理した。混合物を4時間加熱還流し、次に室温に冷却した。混合物を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:9)によって精製して、純粋なクマリン生成物10(3.75g、83%)を得た。C2740Si;白色固体、mp91〜93℃;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:9)R=0.20;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.45 (1 H, s), 7.30 (1 H, s), 7.14 (1 H, s), 4.38 (2 H, q, J = 7.1 Hz), 4.05-4.02 (1 H, m), 3.03-2.96 (2 H, m), 2.87-2.82 (1 H, m), 2.78-2.76 (1 H, m), 1.76-1.74 (1 H, m), 1.69-1.59 (2 H, m), 1.48-1.44 (2 H, m), 1.38 (3 H, t, J = 7.1 Hz), 1.19-1.16 (1 H, m), 1.11-1.03 (21 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 163.4, 157.2, 153.4, 148.6, 145.6, 139.0, 129.2, 118.0, 117.1, 116.4, 73.1, 61.8, 41.0, 34.5, 32.4, 32.0, 20.6, 18.1 (6 ×), 14.2, 12.4 (3 ×).
_10−ヒドロキシ−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロオクタ[g]クロメン−2−オン(11)
【化41】
【0124】
化合物10(473mg、1mmol)の濃HCl(5mL)および酢酸(5mL)溶液を、12時間加熱還流した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:3)によって精製して、純粋なクマリン生成物11(213mg、87%)を無色固体として得た。
6,7,8,9−テトラヒドロ−11H−シクロオクタ[g]クロメン−2,10−ジオン(12)
【化42】
【0125】
ジメチルスルホキシド(0.25mL、3.52mmol)のCHCl(3mL)溶液を、撹拌した塩化オキサリル(0.15mL、1.77mmol)のCHCl(3mL)溶液に、−78℃において窒素雰囲気下で滴下添加した。溶液を−78℃で30分間撹拌し、次にアルコール11(300mg、1.23mmol)のCHCl(15mL)溶液を添加した。混合物を−78℃でさらに30分間撹拌し、次にトリエチルアミン(1.2mL、8.6mmol)を添加した。混合物を室温にして30分間温め、次に水(20mL)に注いだ。混合物をCHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4)によって精製して、純粋なオキソ−クマリン生成物12(253mg、85%)を無色固体として得た。
_10,11−デヒドロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−シクロオクタ[g]クロメン−2−オン(1)
【化43】
【0126】
KHMDS(トルエン中0.5M溶液、2.2mL、1.1mmol)を、化合物12(242mg、1mmol)の無水THF(20mL)溶液に−78℃で滴下添加した。−78℃で30分間撹拌した後、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(TfNPh、375mg、1.05mmol)のTHF(2mL)溶液を滴下添加した。混合物を0℃に温め、30分間撹拌した。KHMDS(トルエン中0.5M溶液、2.2mL、1.1mmol)を、混合物に再び滴下添加した。0℃で1時間撹拌した後、混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、NaHCOの飽和水溶液(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー((EtOAc/ヘキサン、1:4)によって精製して、純粋なクマリン縮合シクロオクチン1(137mg、全収率61%)を無色固体として得た。
_エチル(E)−3−(7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル)−アクリレート(13)
【化44】
【0127】
グルタコン酸ジエチル(4.5mL、32mmol)を、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(4.14g、30mmol)のメタノール(90mL)中の溶液に添加し、その後、6滴のピペリジンを添加した。混合物を24時間加熱還流させ、ゆっくり室温に冷却し、次に−20℃に冷却した。黄色固体を濾過し、ジエチルエーテルですすぎ、乾燥させて、所望のクマリン化合物13を得た(7.02g、90%)。C1412;淡黄色固体;TLC(EtOAc/ヘキサン、3:7)R=0.25;1H NMR (600MHz, CD3OD) δ 8.13 (1H, s), 7.55 (1H, dd, J=16.5, 0.6Hz), 7.51 (1H, d, J=8.6Hz), 6.91 (1H, d, J=16.5Hz), 6.79 (1H, dd, J=8.6, 2.4Hz), 6.70 (1H, d, J=2.4, 0.6Hz), 4.22 (2H, q, J=6.9Hz), 1.30 (3H, t, J=6.9Hz).
_エチル(E)−3−[7−(トリメチルシリル)エチニル−2−オキソ−2H−クロメン−3−イル]−アクリレート(15)
【化45】
【0128】
ヒドロキシクマリン13(7.02g、27mmol)およびピリジン(11.8mL、145.8mmol)のCHCl(150mL)中の冷たい(0℃)溶液に、TfO(11.8mL、70.2mmol)を添加した。室温で16時間撹拌した後、混合物をCHCl(150mL)で希釈し、1MのHCl水溶液(100mL)および飽和NaHCO水溶液(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、ショートシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーによって、CHClの溶出により精製して、トリフレート生成物14を得た(9.0g、85%)。
【0129】
先に調製したクマリントリフレート(9.0g、22.9mmol)、PdCl(PPh(0.801g、1.14mmol)およびCuI(0.432g、2.27mmol)の無水DMF(100mL)中混合物を、約1時間かけて窒素でフラッシュした。ジイソプロピルエチルアミン(7.5mL)を添加した。混合物を90℃に加熱し、次にトリメチルシリルアセチレン(4.9mL、35mmol)を滴下添加した。90℃で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(CHCl/ヘキサン、1:1)によって精製して、カップリング生成物15(5.53g、71%)を淡黄色固体として得た。
_7−(トリメチルシリル)エチニル−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルバルデヒド(16)
【化46】
【0130】
オゾンを、エチルエステル15(1.04g、3.06mmol)の溶液中に−78℃で発泡させた。溶液の黄色は、約5分で消失した。酸素を溶液中に10分間発泡させ、その後ジメチルスルフィド(0.8mL、10.82mmol)を一度に添加した。混合物を室温に温め、さらに6時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4)によって精製して、所望の3−ホルミルクマリン16を得た(720mg、87%)。C1514Si;淡黄色固体;TLC(EtOAc/ヘキサン、3:7)R=0.51;1H NMR (600MHz, CDCl3) δ 10.22 (1H, s), 8.35 (1H, s), 7.58 (1H, d, J=8.0Hz), 7.42 (1H, s), 7.38 (1H, d, J=8.1Hz), 0.26 (9H, s).
_(E)−7−エチニル−3−[N−(4−スルホナトブチル)−3,3−ジメチル−3H−インドリウム−2−イル]エテニル−2H−クロメン−2−オン(C)
【化47】
【0131】
ピロリジン(83μL、1mmol)を、3−ホルミルクマリン16(135mg、0.5mmol)およびスルホン化インドリウム塩17(147mg、0.5mmol)のエタノール(10mL)中懸濁液に添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、次に減圧下で濃縮乾燥させた。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、1:5〜1:2)によって精製して、中間体生成物を得た(123mg、45%)。
【0132】
フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M溶液、0.46mL、0.46mmol)を、先に調製した中間体化合物(123mg、0.23mmol)のメタノール(10mL)中の溶液に0℃で添加した。混合物を0℃で2時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、1:3)によって精製して、所望の生成物C(61mg、56%)を真紅色の固体として得た。
_3−アミノ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾシクロヘプテン−5−オン(S1)
【化48】
【0133】
ニトロ化合物4(2.05g、10mmol)およびSn(8.31g、70mmol)の濃HCl(45mL)およびエタノール(25mL)中混合物を、50分間加熱還流させた。混合物を室温に冷却し、30%NaOH水溶液で塩基性にした。混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、エタノールで洗浄した。濾液をEtOAc(5×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、分析的に純粋なアミノ生成物S1(1.44g、82%)を得た。C1113NO、黄色がかった固体、mp102〜104℃(lit.[S1]mp103〜105℃);TLC(EtOAc/ヘキサン、3:7)R=0.29;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.02 (1 H, d, J = 2.6 Hz), 6.96 (1 H, d, J = 8.0 Hz), 6.72 (1 H, dd, J = 8.0, 2.6 Hz), 3.65 (2 H, br s, NH), 2.79 (2 H, t, J = 5.5 Hz), 2.67 (2 H, t, J = 6.6 Hz), 1.81-1.74 (4 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 206.2, 144.9, 139.3, 131.6, 130.7, 118.8, 114.5, 40.8, 31.5, 25.4, 20.9; HRMS calcd for C11H14NO: 176.1070, found: m/z 176.1069 [M + H]+.
_10−ベンジル−6,7,8,9−テトラヒドロ−シクロオクタトリアゾロ[5,4−g]クロメン−2(2H)−オン(1−A)
【化49】
【0134】
化合物1(50mg、0.22mmol)のCHCN(5mL)溶液を、ベンジルアジド(44μL、0.33mmol)で処理した。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、3:7)によって精製して、所望のトリアゾール生成物1−A(75mg、95%)を得た。C2219、無色固体、mp60〜62℃;TLC(EtOAc/ヘキサン、1:1)R=0.35;1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.75 (1 H, s), 7.65 (1 H, d, J = 9.4 Hz), 7.37-7.32 (3 H, m), 7.24 (1 H, s), 7.20-7.19 (2 H, m), 6.39 (1 H, d, J = 9.4 Hz), 5.50 (2 H, s), 2.69-2.67 (2 H, m), 2.65-2.63 (2 H, m), 1.79-1.75 (2 H, m), 1.67-1.64 (2 H, m); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 161.0, 152.4, 143.1, 136.1, 135.3, 135.0, 134.4, 129.0 (2 ×), 128.7, 128.4, 128.1, 127.1 (2 ×), 126.9, 116.7, 116.4, 51.9, 30.8, 30.6, 23.9, 20.0; HRMS calcd for C22H20N3O2: 358.1550, found: m/z 358.1548 [M + H]+.
_N−[2−(11−オキソ−4,6,7,11−テトラヒドロクロメノ[7’,6’:3,4]シクロオクタ[1,2−d][1,2,3]トリアゾール−3(5H)−イル)アセトアミド−2−デオキシ−α,β−D−マンノピラノース(1−B)
【化50】
【0135】
化合物1(50mg、0.22mmol)のMeOH(5mL)および水(1mL)中の溶液を、N−アジドアセチルマンノサミン(142mg、0.33mmol)で処理した。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、1:9)によって精製して、所望のトリアゾール生成物1−B(98mg、92%)を得た。C2326、無色固体、mp170〜172℃(dec.);TLC(MeOH/CHCl、1:8)R=0.25;1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (1 H, d, J = 9.5 Hz),7.59 (1 H, s), 7.52 (1 H, s), 6.48 (1 H, d, J = 9.5 Hz), 5.15 (1 H, d, J = 2.9 Hz), 5.11 (1 H, d, J = 6.9 Hz), 4.98-4.85 (1 H, m), 4.89-4.81 (2 H, m), 4.44-4.38 (1 H, m), 3.61-3.59 (3 H, m), 3.53-3.45 (2 H, m), 3.42-3.37 (1 H, m), 3.16-3.14 (2 H, m), 2.86-2.82 (2 H, m), 2.72-2.70 (2 H, m), 1.78 (2 H, br s), 1.61 (2 H, br t, J = 5.5 Hz); 13C NMR (150 MHz, DMSO-d6) δ 165.2, 160.1, 151.9, 143.8, 140.6, 137.0, 135.9, 134.7, 128.8, 118.6, 116.1, 115.2, 92.5, 90.4, 72.9, 72.1, 71.0, 70.5, 68.2, 67.5, 61.5, 61.0, 54.7, 54.2, 50.0, 49.9, 30.6, 29.9, 22.8, 19.6; HRMS calcd for C23H27N4O8: 487.1829, found: m/z 487.1827 [M + H]+.
実施例2:生体分子の検出および画像化
分光学的材料および方法
【0136】
化合物1、ならびにトリアゾール生成物1−Aおよび1−Bのすべての分光学的測定を、PBS緩衝液中10%DMSOの混合物において実施した(図11)。UV−visスペクトルおよび蛍光スペクトルを、Molecular Devices Spectramax M5分光計で記録した。実験ごとに、吸光度スペクトルを吸光度範囲0.07〜0.7(l=10cm)内で測定した。量子収率を、積分蛍光発光360〜550nm(330nmにおいて励起)対吸光度の勾配から、硫酸キニーネ(Φ=0.54±0.03)[S3]を蛍光標準として使用して決定した。量子収率を、以下の等式に従って4点の平均として計算した:Φsample=Φstandard(Astandard/Asample)(Fsample/Fstandard)(nsample/nstandard。ここで、「Φ」は、量子収率であり、「A」は、励起周波数における吸光度であり、「F」は、発光曲線下面積であり、「n」は、溶媒の屈折率である。
【0137】
図6の表1は、模擬生理的条件(10%DMSOを含有するPBS緩衝液、pH7.4、37℃)下で記録した、化合物1ならびにトリアゾール生成物1−Aおよび1−Bの吸収および蛍光データを示す。トリアゾール1−Aおよび1−Bの形成には、蛍光強度の有意な増大と、クマリン発光の標準範囲に入る大きいストークスシフトが伴っていた(図8a)。330nmにおいて励起すると、化合物1は、405nmに中心を有する弱い発光帯を生じ、量子収率は低かったが(Φ=0.011)、トリアゾール1−Aおよび1−Bの両方は、435nmにおいて強い蛍光を呈し、量子収率はそれぞれ0.23および0.21であった。
蛍光分光法による時間経過の測定
【0138】
生体分子標識に対してより典型的であると思われる条件下でSPAAC反応をプローブするために、化合物1とN−アジドアセチルマンノサミン(ManNAz)の反応について、蛍光応答および時間経過を調査した。この実験では、ManNAzの90%超が40分で消費され、蛍光強度が1時間未満で定常値に達したことが示された(図8b)。
【0139】
化合物1(30μmol)およびN−アジドアセチルマンノサミン(15μmol)のPBS緩衝液中10%DMSO(2.5mL)混合物中溶液を、37℃でインキュベートした。330nmにおいて励起すると、5分間隔で435nmの蛍光発光強度がモニターされた。点ごとに、5秒間にわたって蛍光強度を測定し、合計3点で平均した。対照実験では、N−アセチルマンノサミン(15μmol)を溶液に添加したことを除いて、同じ条件を使用した。
_H NMRによる化合物(1)の反応速度の測定
【0140】
実験I:化合物1およびベンジルアジドを、CDCNに予め溶解させ、次に20mMの等モル濃度で混合した。反応を1時間にわたってH−NMR分析によってモニターした。各成分の濃度を、H−NMRスペクトルにおける複数の化学シフトにおいて積分することによって、初期化合物1の濃度に基づいて決定した。1/[1](M−1)対時間(秒)をプロットすることによって、線形回帰分析を使用して、二次速度定数を単位M−1−1で決定した。この手順を、20mMの濃度で3回反復して、25℃で速度定数0.012M−1−1を得た(図4B)。
【0141】
実験II:化合物1およびN−アジドアセチルマンノサミンを、CDOD/DO(5:1、v/v)に予め溶解させ、次に20mMの等モル濃度で混合した。反応を1時間にわたってH−NMR分析によってモニターした。各成分の濃度を、H−NMRスペクトルにおける複数の化学シフトにおいて積分することによって、初期化合物1の濃度に基づいて決定した。1/[1](M−1)対時間(秒)をプロットすることによって、線形回帰分析を使用して、二次速度定数を単位M−1−1で決定した。この手順を、20mMの濃度で3回反復して、25℃で速度定数0.010M−1−1を得た(図11)。
実施例3:生細胞における蛍光標識の顕微鏡分析
【0142】
細胞中の蛍光標識されたアジド複合糖質を観測するために、CL1−5細胞(肺がん細胞株)をチャンバスライド上に播種し(1ウェル当たり細胞2.5×10個/0.5mL)、培地(10%FBS、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、1mMのL−グルタミンおよび1mMのピルビン酸ナトリウムを補充したRPMI−1640)中、200μMの対照糖(過アセチル化(peracetylated)N−アセチルマンノサミン、AcManNAc)またはアジド糖(過アセチル化アジド−N−アセチルマンノサミン、AcManNAz)のいずれかとともに3日間インキュベートした。
【0143】
生細胞の低速度画像化では、細胞を培養条件に維持するために、インキュベーターを備えた共焦点顕微鏡(TCS−SP5−MP−SMD、Leica)を使用して実験を実施した。予め洗浄した細胞を、10%DMSOを含むPBS緩衝液中、100μMの化合物1とともにインキュベートし、450nmの発光において5分間隔で細胞の画像を取得した。
【0144】
アジド−グリカンの局在を比較するために、プローブ標識細胞をPBSで洗浄し、PBS中3%パラホルムアルデヒドで室温において20分間固定化し、PBS中0.2%Triton X−100で室温において20分間透過処理し、PBS中3%ウシ血清アルブミンで室温において30分間ブロックした。細胞を、ゴルジについてはフルオレセインコンジュゲートWGAレクチンで、核についてはヨウ化プロピジウム(PI)で染色した(図12)。
【0145】
生細胞の画像化における化合物1の性能を調査した。侵襲性が高い肺がん細胞であるCL1−5を、過アセチル化アジド−N−アセチルマンノサミン(AcManNAz、200μM)の存在下で3日間培養して、アジド−シアル酸を発現した細胞を代謝的に産生した。負の対照として、CL1−5細胞を、過アセチル化N−アセチルマンノサミン(AcManNAc、200μM)の存在下で増殖させた。時間経過実験は、100μMの化合物1を処理することによって実施し(1回)、細胞を5分間隔で非洗浄および非固定化条件に曝露することによって実施した(図8および図12)。AcManNAzで処理した細胞は、時間依存性の蛍光強度の増大を示し、細胞標識は、1.5時間後に完了した。それとは対照的に、対照細胞は蛍光染色をほとんど呈していなかった。このことはバックグラウンド標識が無視できることを示している。さらに、生細胞におけるアジド含有複合糖質の局在を、共焦点顕微鏡によって可視化した。その後、化合物1によって標識した細胞を、フルオレセインコンジュゲートWGAレクチン(ゴルジマーカー)およびヨウ化プロピジウム(PI、核マーカー)で染色した。クマリンプローブに由来する青色蛍光シグナルは、細胞質ゾルにおいて明らかに示される標識シアリル化グリカンに由来するものであり(図4)、これらのグリカンは、部分的にゴルジ装置染色と共局在していたが、核染色とは共局在していなかった。
【0146】
均等物および範囲
請求項において、冠詞、例えば、「a」、「an」、および「the」などは、それとは反対に示されていない限り、または文脈から別段に明白でない限り、1つまたは1つを超えるを意味し得る。群の1つまたは複数の項の間に「または」を含む請求項または記載は、それとは反対に示されていない限り、または文脈から別段に明白でない限り、群の項の1つ、1つより多くのもの、またはすべてが、所与の生成物またはプロセス内に存在し、これらの中で使用され、またはこれらと別段に関連している場合、満たされていると見なされる。本発明は、群の正確に1つの項が所与の生成物またはプロセス内に存在し、これらの中で使用され、またはこれらと別段に関連している実施形態を含む。本発明は、群の項の1つ超またはすべてが所与の生成物またはプロセス内に存在し、これらの中で使用され、またはこれらと別段に関連している実施形態を含む。
【0147】
さらに、本開示は、列挙された請求項の1つまたは複数に由来する1つまたは複数の限定事項、要素、条項、および記述用語が別の請求項に導入されているすべての変形形態、組合せ、および順序を包含する。例えば、別の請求項に従属している任意の請求項を、同じ基本請求項に従属している任意の他の請求項に見出される1つまたは複数の限定事項を含むように改変することができる。要素がリストとして、例えば、マーカッシュ群形式で提示されている場合、要素の各亜群も開示されており、任意の要素(単数または複数)をその群から除くことができる。一般に、本開示または本開示の態様が特定の要素および/または特徴を含むように言及されている場合、本開示のある特定の実施形態または本開示の態様は、このような要素および/または特徴からなり、または本質的になることが理解されるべきである。単純にする目的のために、このような実施形態は、本明細書にその通りの言葉で具体的に示されていない。用語「含む」および「含有する」は、オープンであることを意図し、追加の要素またはステップを含むことを可能にすることも留意される。範囲が与えられている場合、終点は含まれる。さらに、別段の指定のない限り、または文脈および当業者の理解から別段に明白でない限り、範囲として表現されている値は、文脈により別段に明らかに要求されない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、本開示の異なる実施形態において述べられた範囲内の任意の特定の値またはサブ範囲を想定することができる。
【0148】
本願は、様々な発行済み特許、公開済み特許出願、ジャーナル論文、および他の刊行物を参照し、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれている。組み込まれた参考文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、明細書が支配するものとする。さらに、先行技術の中に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項の任意の1つまたは複数から明示的に除外され得る。そのような実施形態は、当業者に公知であると見なされるので、これらは、除外が本明細書で明示的に示されていなくても除外され得る。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連しているか否かにかかわらず、任意の理由で任意の請求項から除外することができる。
【0149】
当業者は、ごく日常的な実験方法を使用して、本明細書に記載の具体的な実施形態の多くの等価物を認識し、または確認することができる。本明細書に記載の本実施形態の範囲は、上記記載に限定されるように意図されておらず、むしろ、添付の特許請求の範囲に示されている通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本記載に対する様々な変更および改変を行うことができることを理解する。
(参考文献)
【数1】
【0150】
本明細書で引用したすべての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されているように参照により本明細書に組み込まれている。
【0151】
前述の発明を、理解を明確にする目的で例示および実施例によって幾分詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および改変を前述の発明に対して行われ得ることが、本発明の教示を踏まえると当業者に容易に明らかとなる。
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