特許第6211085号(P6211085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211085自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持するアッセンブリ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211085
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持するアッセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/08 20060101AFI20171002BHJP
   B60T 11/18 20060101ALI20171002BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20171002BHJP
   B60K 23/02 20060101ALN20171002BHJP
【FI】
   F16D25/08 D
   B60T11/18
   G05G1/30 E
   !B60K23/02 K
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-528875(P2015-528875)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-528605(P2015-528605A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】DE2013200124
(87)【国際公開番号】WO2014032666
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】102012215486.8
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ワグネ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック ウェイ
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−169688(JP,U)
【文献】 実開昭62−178267(JP,U)
【文献】 実開平02−112575(JP,U)
【文献】 実開昭59−176229(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0014970(US,A1)
【文献】 特開2011−094791(JP,A)
【文献】 実開昭64−057447(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/08
B60T 11/18
G05G 1/30
B60K 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持するアッセンブリであって、
シリンダハウジング(3)内に位置するピストン(5)のためのストッパリング(2)が一端に配置されているマスタシリンダ(1)と、
前記ストッパリング(2)に設けられた中央の孔(36)に通され、ピストン頭部に力を加える球面状の足部(7)を有する、略軸方向で操作されるピストンロッド(6)と、
を備えるアッセンブリにおいて、
前記ストッパリング(2)の、前記足部(7)とは反対側に、保持リング(4)が設けられており、
前記保持リング(4)は、前記球面状の足部(7)を通す略中央の孔(35)を有し、
前記ストッパリング(2)の中央の孔(36)は、扁平化部(12)を有し、
前記保持リング(4)は、前記ストッパリング(2)の中央の孔(36)に通される保持要素(17,18)を有し、
前記ピストンロッド(6)は、両前記中央の孔(35,36)を通して前記シリンダハウジング(3)内に導入可能かつ前記ピストンロッド(6)の長手方向軸線周りの回動によりロック可能であるように形成されており、
前記ピストンロッド(6)の足部(7)は、ロック位置では、前記ストッパリング(2)の扁平化部(12)の下に係合し、前記ピストンロッド(6)の軸方向運動時に前記ストッパリング(2)への衝突により前記シリンダハウジング(3)からの前記足部(7)の進出運動を阻止する少なくとも1つのストッパ(32)を有し、かつ
前記保持リング(4)の保持要素(17,18)が前記ピストンロッド(6)に関して周方向で前記ストッパリング(2)の扁平化部(12)から振れた位置に位置決めされており、前記ピストンロッド(6)がどの角度位置にあっても、軸方向運動時には前記足部(7)が前記ストッパ(32)でもって前記扁平化部(12)及び前記保持要素(17,18)の群のうちの少なくとも1つの要素に衝突し、これにより前記シリンダハウジング(3)からの前記足部(7)の進出運動が阻止されるように、前記保持リング(4)が前記ストッパリング(2)に関して位置決めされている、前記マスタシリンダ(1)の保持状態が存在する、
ことを特徴とする、自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持するアッセンブリ。
【請求項2】
前記保持リング(4)の孔(35)は、扁平化部(14)を有し、
該扁平化部(14)は、前記保持状態で、前記ストッパリング(2)の扁平化部(12)から振れた位置にある前記ストッパリング(2)の湾曲した領域(15)上に位置し、かつ
前記保持要素(17,18)は、前記ストッパリング(2)の孔(36)を通して前記湾曲した領域(15)内に係合する、
請求項1記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記保持要素(17,18)は、軸部(17)に設けられたクリップ(18)の形態で形成されており、該クリップ(18)は、前記軸部(17)の先端に設けられ、前記ストッパリング(2)の湾曲した領域(15)の背後に係合し、前記保持リング(4)を回動しないように前記ストッパリング(2)に結合する、請求項1又は2記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記ピストンロッド(6)は、前記足部(7)の、軸線に対して平行に互いに反対側に位置する面にそれぞれ1つの扁平化部(10)を有し、
前記ピストンロッド(6)の足部(7)は、前記ピストンロッド(6)の扁平化部(10)間の領域において膨らみを有して形成されており、かつ
前記ピストンロッド(6)の扁平化部(10)は、前記ストッパリング(2)及び前記保持リング(4)の扁平化部(12,14)に対応し、これにより
前記ピストンロッド(6)は、非保持状態で、前記足部(7)でもって前記保持リング(4)及び前記ストッパリング(2)の孔(35,36)を通して前記シリンダハウジング(3)内に導入可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載のアッセンブリ。
【請求項5】
前記ピストンロッド(6)は、前記保持リング(4)及び前記ストッパリング(2)の孔(35,36)を通した導入後、前記ピストンロッド(6)の長手方向軸線周りの回動によりロック可能であるように形成されている、請求項4記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記ピストンロッド(6)及び前記保持リング(4)は、前記ピストンロッド(6)が、前記保持リング(4)及び前記ストッパリング(2)の孔(35,36)を通した導入後、前記ピストンロッド(6)の長手方向軸線周りの回動によりロック可能であり、かつ同じ軸線周りの前記保持リング(4)の回動により保持可能であり、すなわち前記マスタシリンダ(1)の前記保持状態が存在するように形成されている、請求項4記載のアッセンブリ。
【請求項7】
前記ストッパリング(2)と前記保持リング(4)との間に、前記ピストンロッド(6)から異物を掻き取る掻き取りリング(16)、好ましくはエラストマーからなる掻き取りリング(16)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記掻き取りリング(16)は、実質的に圧着力のみにより前記ストッパリング(2)と前記保持リング(4)との間に軸方向で保持され、かつ/又は前記ピストンロッド(6)とともに該ピストンロッド(6)の軸線に対して略垂直に水平移動可能である、請求項7記載のアッセンブリ。
【請求項9】
前記掻き取りリング(16)は、前記保持リング(4)の保持要素(17,18)を通す開口を有する、請求項7又は8記載のアッセンブリ。
【請求項10】
自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持する方法であって、ピストンロッド(6)がストッパリング(2)の孔(36)を通してシリンダハウジング(3)内に導入され、
前記ピストンロッド(6)は、足部(7)を有し、
前記ピストンロッド(6)は、軸方向の抜けを防止するようにロックするために、該ピストンロッド(6)の長手方向軸線周りに回動され、これにより前記足部(7)は、軸方向運動時に、前記ストッパリング(2)の前記足部(7)側の面に突き当たることができる、
方法において、
前記ピストンロッド(6)を、前記ストッパリング(2)の前記孔(36)に通す前に、保持リング(4)の孔(35)に通し、
前記保持リング(4)と、前記ピストンロッド(6)の長手方向軸線とを互いに相対的に回動させ、
前記保持リング(4)の保持要素(17,18)を前記ストッパリング(2)の孔(36)を通して移動させ、かつ
前記保持要素(17,18)が前記シリンダハウジング(3)の長手方向軸線に対して相対的に回動防止された状態で前記シリンダハウジング(3)内に設けられ、少なくとも、前記足部(7)が軸方向運動時に前記ストッパリング(2)に突き当たらない前記ピストンロッド(6)の長手方向軸線に対して相対的な角度位置では、前記足部(7)が前記保持要素(17,18)に突き当たるように、前記保持リング(4)を前記ストッパリング(2)及び/又は前記シリンダハウジング(3)に固定する、
ことを特徴とする、自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系(Betaetigungsgestaenge)を保持するアッセンブリ及び方法に関する。この場合、操作ロッド系は、特に、シリンダハウジングと、シリンダハウジングに配置されるピストンと、シリンダハウジング内にピストンロッドを保持するストッパリングとを有するマスタシリンダを有している。
【0002】
マスタシリンダは、力を液圧式に伝達するために使用される。液圧式の伝達は、液圧媒体、例えば鉱油によるマスタシリンダからスレーブシリンダへの力の伝達に基づく。内燃機関により駆動される自動車のクラッチの操作装置の場合、一般にマスタシリンダはクラッチペダルに接続されている。その結果、クラッチペダルの操作は、マスタシリンダ内でのピストンの運動につながる。この運動は、液圧媒体を介してスレーブシリンダに伝達され、クラッチの操作、すなわちクラッチの断接に至る。
【0003】
マスタシリンダは、ハウジング内にピストンを有するシリンダを有している。ピストンは、操作のために一般にピストンロッドに接続されている。従来技術において、マスタシリンダのピストンのピストンロッドを保持クランプによりシリンダのハウジング内に取り付け、これによりピストンロッド、ピストン及びその他の部材がマスタシリンダの内部から脱落することを防止することが公知である。この保持クランプは、大抵の場合、クリップ結合を介してハウジングに結合される。この解決手段は、マスタシリンダのある特定の強度を保証するには、保持クランプも、保持クランプが固定されるハウジングの部分も、ある特定の壁厚さを有していなければならないという欠点を有している。このことは、軸方向で比較的高い構成スペースを要求する。形成すべき必要なクリップ結合は、対応する保持突起等がハウジングに形成されねばならず、これによりハウジングを製造する工具あるいは金型が複雑なものとなることにつながる。特に、不都合なバリ形成が生じる。バリ形成が不都合であるのは、保持クランプを組み付ける際に、バリが決まって裂断あるいは剪断され、望ましくない汚損、場合によっては品質上の問題に至る場合があるからである。
【0004】
このことから出発して、本発明の根底にある課題は、従来技術から見出される欠点を少なくとも低減し、特にピストンロッドの保持を簡単に可能とする、操作ロッド系のためのアッセンブリを提供することである。さらに、マスタシリンダ内にピストンロッドを保持する相応の方法も提供する。
【0005】
これらの課題は、独立請求項に記載の特徴により解決される。それぞれの従属請求項は、好ましい態様に関する。
【0006】
本発明の対象は、自動車に設けられた操作ペダルの操作ロッド系を保持するアッセンブリである。アッセンブリは、特にマスタシリンダを有している。マスタシリンダは、特に液圧式の操作系、具体的には特に摩擦クラッチ、好ましくは内燃機関により駆動される車両の摩擦クラッチの液圧式の操作系に好適である。マスタシリンダは、シリンダを有しており、シリンダは、シリンダハウジング内において運動軸線の方向で可動な、ピストンロッドを有するピストンを有している。さらにストッパリングが設けられており、ストッパリングを貫いてピストンロッドの球面状の足部が通される。このためにストッパリングは、対応する開口、すなわち孔を有している。特に好ましくは、ストッパリングは、外側でシリンダハウジングに結合されており、運動軸線の方向でのピストンロッドの可動性を制限する。この可動性は、ピストンロッドの軸方向の運動である。
【0007】
運動軸線は、シリンダ及びハウジングの長手方向軸線に相当する。運動軸線は、ピストンがハウジング内で往復運動可能な方向である。ストッパリングとは、ハウジングの一端に外側から係合する要素と解される。ストッパリングは、開口を画定する閉じた周面を有している。ストッパリングは、好ましくは特別な固定要素を有している。ストッパリングは、固定要素によりハウジングの外周部において結合される。つまりストッパリングは、運動軸線の方向でのピストンロッドの可動性を制限するストッパとして機能する。
【0008】
ストッパリングとシリンダハウジングとの間の結合は、好ましくは素材結合(stoffschluessig:分子間力、原子間力等の化学結合による束縛)、力結合(kraftschluessig:摩擦力等の力による束縛)及び/又は形状結合(formschluessig:形状による束縛)により形成される。特にストッパリングをハウジングに溶接又は接着すること及び/又は力結合及び/又は形状結合、例えばバヨネット継手を形成することが有利である。この場合、特に、ストッパとしての機能は、シリンダハウジングと結合する機能から空間的に隔てられている。こうして、必要な軸方向の構成スペースが従来技術において公知の解決手段と比較して明らかに小さい、ピストンロッドのためのストッパあるいはピストンロッドの足部のためのストッパを形成することが可能である。これは、結合の強度がハウジング内ではなく、ハウジング外において、ひいては構成スペースに影響を及ぼすことなく保証され得るからである。これにより、比較的小さな構造のマスタシリンダを形成すると同時に、マスタシリンダの製造時のコストを削減することが可能である。これは、ハウジングを製造する工具あるいは金型が明らかに簡単になる他、従来技術において公知の保持クランプを用いたものと比較して明らかに簡単な組み立ても可能となるからである。
【0009】
シリンダハウジング内にピストンロッドを確実に組み付けるために、ピストンロッドは、その際、ストッパリングの中央の孔を通してシリンダハウジング内に導入可能かつ自身の長手方向軸線周りの回動によりロック可能であるように形成されている。ピストンロッドの足部は、少なくとも1つのストッパを有している。ストッパは、ロック位置で、ストッパリングの扁平化部の下に係合する。これにより、ピストンロッドの軸方向の運動は、このストッパがストッパリングに当接すると、制限される。ストッパリングは、このためにストッパリングの孔の領域に扁平化部を有している。ストッパリングの扁平化部は、特にピストンロッド及びその足部の扁平化部に対応している。こうして、ピストンロッドは、第1の位置関係でストッパリングの孔に通され、回動によりロック位置に移行され得る。このロック位置でピストンロッドの扁平化部及びピストンロッドの足部の扁平化部は、ストッパリングの扁平化部から振れているあるいは偏向している。この位置で、シリンダハウジングからのピストンロッドの進出運動は、もはや不可能である。
【0010】
さらに付加的な保持リングが、ストッパリングの、足部とは反対側にあり、設けられている。この保持リングも、球面状の足部及びピストンロッドを通すことが可能な略中央の孔を有している。シリンダハウジング内にピストンロッドを保持するために、マスタシリンダの保持状態が存在する。この保持状態において保持リングは、保持リングの保持要素が、一方ではストッパリングの孔に通され、他方ではシリンダハウジングの長手方向軸線に関して周方向で、ストッパリングの扁平化部から振れているあるいは偏向しているように位置決めされているように、ストッパリングに関して位置決めされている。その結果、ピストンロッドの足部は、ピストンロッドのロック位置から外れた回動をしたときでも、今や、軸方向の運動の発生時には、少なくとも1つの保持要素に少なくとも衝突し、これにより相応に足部の軸方向の運動が制限され、シリンダハウジングからの進出運動が阻止される。
【0011】
本発明の好ましい態様において、保持リングの孔も、例えばストッパリングの孔の扁平化部に実質的に相当するものであってもよい扁平化部を有し、この扁平化部は、ピストンロッドの保持状態で、ストッパリングの扁平化部から振れた位置にある実質的に湾曲した領域上に位置し、かつ保持リングの保持要素は、ストッパリングの孔を通してこの湾曲した領域内に係合する。こうして、足部を衝突させることは、ストッパリングの扁平化部がピストンロッドの軸方向運動をもはや制限しない領域でも、保持リングの扁平化部又は保持要素に対して実現され得る。
【0012】
さらに、簡単にシリンダハウジング内でのピストンロッドの足部のためのストッパ領域を保持リングにより提供するとともに、保持リングをシリンダハウジングに対して相対運動しないようにするために、保持要素は、軸部に設けられたクリップの形態で形成されており、クリップは、軸部の先端に設けられ、かつ軸部は、保持リングがストッパリングの湾曲した領域の背後に係合し、回動しないようにストッパリングに結合されている適当な寸法を有している。ストッパリング自体は、回動防止された状態でシリンダハウジングに結合されているので、これによりシリンダハウジング内でのストッパリング及び保持リングの安定的な位置が保証されている。
【0013】
第1の位置でのピストンロッドの導入及び第2の位置でのピストンロッドのロックを可能にするために、本発明の別の態様において、ピストンロッドは、足部の、軸線に対して平行に互いに反対側に位置する面にそれぞれ1つの扁平化部を有し、ピストンロッドの足部は、ピストンロッドの扁平化部間の領域において膨らみを有して又は球面状に形成されており、かつピストンロッドの扁平化部は、ストッパリング及び/又は保持リングの扁平化部に対応し、これによりピストンロッドは、非保持状態で、足部でもってストッパリング及び保持リングの孔を通してシリンダハウジング内に導入可能である。
【0014】
さらにピストンロッドは、孔を通した導入後、ピストンロッドの長手方向軸線周りの回動によりロック可能であるように形成されている。
【0015】
ピストンロッドと保持リングとからなり、場合によってはストッパリングも含むアッセンブリは、好ましくは、ピストンロッドが、孔を通した導入後、ピストンロッドの長手方向軸線周りの回動により少なくともロック可能、すなわちストッパリングに対してロック可能であり、かつ保持リングとピストンロッドとの回動により保持可能であり、すなわちマスタシリンダの保持状態が存在する。この状態で、ピストンロッドの軸の回動、すなわち自身の長手方向軸線周りの回動によっても、ピストンロッドは、もはやマスタシリンダから導出不能である。
【0016】
ピストンの領域においてシリンダハウジング内に異物が侵入するのを回避するために、好ましくは、ストッパリングと保持リングとの間に、ピストンロッドから異物を掻き取る掻き取りリング、好ましくはエラストマーからなる掻き取りリングが配置されている。
【0017】
好ましい態様において、このアッセンブリ全体は、この場合、掻き取りリングが、実質的に圧着力によってのみストッパリングと保持リングとの間で所定の軸方向位置に保持され、かつ/又はピストンロッドとともにピストンロッドの軸線に対して略垂直に水平移動可能であるように形成されている。これにより、別の結合要素の用意は省略可能である。
【0018】
シリンダハウジング及び/又はストッパリングにおける保持リングの固定を可及的簡単に保証するために、好ましい態様において、掻き取りリングは、保持リングの保持要素を通す開口を有しているように形成されている。
【0019】
本発明に係る操作ロッド系を保持する方法では、ピストンロッドをまず保持リングの孔に通し、次にストッパリングの孔を通してシリンダハウジングに導入する。掻き取りリングにも、対応する孔が設けられていれば、ピストンロッドを、保持リングに通した後、二番目にこの孔に通す。
【0020】
さらにピストンロッドは、その際、足部を有し、シリンダハウジングからの軸方向の導出をロックするためにピストンロッドの長手方向軸線周りに回動させられ、その結果、足部が軸方向運動時に、ストッパリングの、足部側の面に突き当たるように構成されている。ピストンロッドを保持するために、保持リングと、ピストンロッドの長手方向軸線とを、ピストンロッドを保持リングに通した後の時点で、互いに相対的に回動させる。その後、保持リングの保持要素をストッパリングの孔と、場合によっては掻き取りリングの開口とに通し、その際に保持要素を、保持要素がストッパリングの扁平化部から振れた位置に位置決めされるように位置決めする。その後、保持リングをストッパリング若しくはシリンダハウジング又はその両方に固定して、保持要素が、シリンダハウジングの長手方向軸線に対して相対的に回動防止された状態とされ、その結果、ピストンロッドの足部が、ピストンロッドの相対的な角度位置に関わらず、軸方向運動時にはストッパリングの扁平化部又は保持リングの保持要素によって、ピストンロッドの運動自由度のうちの少なくとも軸方向において制限されるようにする。
【0021】
本発明の一実施の形態を以下の図面に図示する。しかし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、またこの実施の形態から、本発明にとって本質的なさらなる特徴を見出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】マスタシリンダの縦断面図である。
図2図1のマスタシリンダの断面図A−Aである。
図3図1に示したマスタシリンダの、保持リングを有する前部の斜視図である。
図4】保持リング及び掻き取りリングを有するマスタシリンダの別の斜視図である。
図5】本発明に係るマスタシリンダのピストンの断面図である。
図6】それぞれ異なる回動位置にあるピストンロッドとともにストッパリングを示す図である。
【0023】
図1は、マスタシリンダ1の縦断面図である。マスタシリンダ1は、自動車の図示しない操作ペダルに接続されている。マスタシリンダ1は、シリンダハウジング3を有している。シリンダハウジング3内には、軸方向の孔22が設けられている。孔22内には、ピストン5が配置されている。ピストン5は、シールリング23,23を介してシリンダハウジング3の孔22に対してシールされている。ピストン5は、一方の側でばね8に当接している。ばね8は、シリンダハウジング3のハウジング壁に支持されている。ピストン5は、他方の側、つまりばね8とは反対側に、好ましくは球面状の凹部11を有している。凹部11は、ピストンロッド6の球面状の足部7を収容するために用いられる。
【0024】
足部7は、外周面でもって凹部11の内周面に当接している。ピストンロッド6は、ピストンロッド6の足部7の横断面あるいは頭部9(図2)の横断面よりそれぞれ小さい横断面を有している。ばね8が弛緩しているときは、ピストンロッド6の約2/3が、シリンダハウジング3の開放端から突出している。シリンダハウジング3の開放端は、ストッパリング2により閉鎖されている。ピストンロッド6は、ストッパリング2に設けられた中央の孔36を通してシリンダハウジング3内に突入している。
【0025】
図1は、操作ペダルに荷重が加えられていないときのピストンロッド6を示している。除荷されたばね8は、ピストン5を付勢する。ピストン5は、ピストンロッド6の足部7を、ストッパリング2の、ピストン5側の下面に押し付ける。図示しない操作ペダルを操作すると、ピストンロッド6は、ピストンロッド6の頸部24でもってストッパリング2の中央の孔36を通して、シリンダハウジング3の内部に向かって移動される。ピストンロッド6の足部7は、足部7に設けられた扁平化部10でもってピストン5の凹部11に設けられた扁平化部13(図6)に当接している。操作ペダルの操作時、ピストンロッド6は、ピストン5をばね8の力に抗して移動させ、操作ペダルの除荷時、ばね8は、ピストン5をシリンダハウジング3内でストッパリング2の領域の初期位置に向かって移動させる。組み立てられた状態において、ピストンロッド6は、ストッパリング2の中央の孔36内で案内される。ピストンロッド6は、シリンダハウジング3内の、回動されてロックされた位置に存在する。足部7は、半径方向外側に位置するストッパ32を有している。足部7は、ストッパ32でもってストッパリング2の、足部7側の内側の制限部に突き当たる。ストッパリング2のこの内側の制限部は、図6に示すようなストッパリング2の扁平化部12に対応している。ストッパリング2の、足部7とは反対側には、孔35を有する保持リングあるいはリテーナリング4が設けられている。ピストンロッド6は、保持リング4の孔35を貫通している。保持リング4とストッパリング2との間には、掻き取りリング16が両者の間に締め付けられた状態で設けられている。掻き取りリング16は、異物がピストンロッド6によりシリンダハウジング3内に持ち込まれることがないようにしている。掻き取りリング16も、ピストンロッド6を貫通させるために相応の孔21を有している。
【0026】
図2は、図1に示したマスタシリンダの断面図A−Aである。看取可能であるように、足部7は、図1に示した上側に位置する半径方向のストッパ32を有する領域と、ストッパ32から周方向に間隔を置いた他面に設けられた扁平化部10とを有する輪郭を有している。扁平化部10は、ピストン5の凹部11の扁平化部13に対応する。こうして、ピストンロッド6とピストン5とは、一緒にのみ回動可能である。ストッパリング2は、この角度位置に湾曲した領域15を有している。この湾曲した領域15は、ピストンロッド6の90°回動時、足部7のストッパ32がストッパリング2のこの湾曲した領域15を通過し得るように構成されてなる。この湾曲した領域15を半径方向で画定するために、保持リング4は、この箇所に扁平化部14を有している。扁平化部14は、図3及び図4に示してある。扁平化部14には、これらの斜視図で見て、保持要素あるいはリテーナエレメントとして、軸部17とクリップ18とからなるクリップエレメントが対応している。軸部17及びクリップ18は、少なくとも保持リング4の互いに対向する側に設けられている。保持リング4の、軸部17に設けられたクリップ18は、ストッパリング2の下に係合し、ここでは回動及び軸方向運動を防止するように保持リング4を固定する。これにより同時に、掻き取りリング16がストッパリング2と保持リング4との間で締め付けられることも実現される。保持リング4の軸部17により、湾曲した領域15におけるストッパリング2の孔36の半径は、足部7がいかなる回動位置でもこの領域に嵌合して通過することがない程度に制限される。足部7のストッパ32は、それぞれ孔35,36に到達する以前にクリップ18に衝突することになる。こうして、マスタシリンダ1内でのピストンロッド6の保持が実現され、ピストンロッド6が長手方向軸線周りに回動しても、マスタシリンダ1からピストンロッド6が誤って抜け落ちることはなくなる。
【0027】
図3は、マスタシリンダ1の前領域の正面図である。ストッパリング2は、スナップフック31を有するスナップ継手30を介して形状結合式にシリンダハウジング3の外側に固定されている。ストッパリング2は、扁平化部12を有する孔36を有している。扁平化部12は、ストッパリング2の両スナップフック31を結ぶ線に対して略垂直に位置する孔36の領域に設けられている。ピストンロッド6が扁平化部12にロックされた位置で、足部7の看取不能なストッパ32は、ストッパリング2の扁平化部12の下に係合している。保持リング4の扁平化部14の下には、軸部17及びクリップ18の形態の保持要素が存在している。保持要素は、この箇所で孔36の半径を局所的に減じている。
【0028】
図4は、ピストンロッド6と、ピストンロッド6の頭部9とともに、マスタシリンダ上部を示す別の斜視図である。ピストンロッド6の軸方向運動は、ピストンロッド6の頭部9の下縁28が相応の軸方向の変位時に保持リング4に衝突することによっても制限される。保持リング4の扁平化部14に設けられた軸部17及びクリップ18は、開口19を通して掻き取りリング16を貫通することができる。破線としてここにストッパリング2の扁平化部12の位置を示してある。扁平化部12は、扁平化部14に対して略垂直に位置し、ひいてはクリップ18に対しても略垂直に位置する。クリップ18は、ここではシリンダハウジング3内に位置しており、看取できない。
【0029】
図5は、マスタシリンダ1の別の断面図である。操作方向でピストンロッド6を操作することにより、ピストン5は、ばね8に抗してマスタシリンダ1の孔22内に押し込まれる。
【0030】
図6は、2つの別個の図で、1つの中央の孔36を有するストッパリング2をそれぞれ示している。孔の外側輪郭は、扁平化部12を有している。扁平化部12は、ピストンロッド6の頸部24及び足部7に設けられている別の扁平化部10と協働する。ピストンロッド6の頸部24の扁平化部10のそれぞれが、中央の孔36の扁平化部12のそれぞれと対向するように、ピストンロッド6が位置決めされると、ピストンロッド6は、シリンダハウジング3内に導入可能である。ピストンロッド6の足部7の、ピストン5側の縁部には、ストッパ32が設けられている。シリンダハウジング3内に導入したピストンロッド6を約90°回動(矢印20)させると、足部7のストッパ32は、中央の孔36の扁平化部12の領域でストッパリング2の下に係合する。ピストンロッド6のこの90°の回動実施後、ピストンロッド6の頸部24及び足部7の扁平化部10は、ストッパリング2の中央の孔36の扁平化部12に対して約90°の角度にある。ストッパ32が今やストッパリング2の中央の孔36の扁平化部12の背後に係合するので、この位置でのピストンロッド6の軸方向の引き抜きは、もはや不可能である。
【0031】
図6は、主にストッパリング2の機能を説明するためのものであるので、保持リング4及び掻き取りリング16の図示は、ここでは見通しを確保するために省略した。特に保持リング4の機能は、既に図1乃至図4で説明してある。保持リング4のこの保持は、特に、外部から作用する力によりマスタシリンダ1のばね8の力が克服され、同時にピストンロッド6の軸の回動が実施されるときに、効力を発揮する。その際、ストッパリング2の湾曲した領域15内にある保持リング4の軸部17及びクリップ18は、確実に足部7の抜けを防止する。これは、足部7がその与えられた形状に基づいて、ロック位置から外れた位置でも、詳細には保持リング4の孔35に嵌合しないからである。足部7のストッパ32は、相応にクリップ18に突き当たる。
【0032】
つまり保持リング4により、特にばね8の力の克服時、又はマスタシリンダ1の別の作動原理の場合のばね8の非存在時、又は輸送中に、いかなる理由でピストンロッド6のロックが克服されてしまっても、ピストンロッド6の保持は保証される。
【符号の説明】
【0033】
1 マスタシリンダ
2 ストッパリング
3 シリンダハウジング
4 保持リング
5 ピストン
6 ピストンロッド
7 足部
8 ばね
9 頭部
10 扁平化部
11 凹部
12 扁平化部
13 扁平化部
14 扁平化部
15 領域
16 掻き取りリング
17 軸部
18 クリップ
19 開口
20 矢印
21 孔
22 孔
23 シールリング
24 頸部
28 下縁
30 スナップ継手
31 スナップフック
32 ストッパ
35 孔
36 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6