(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211098
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】透明基板の両側のコーティングにパターンを形成する方法と装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20171002BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20171002BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20171002BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20171002BHJP
【FI】
G06F3/041 660
G06F3/044 126
B32B7/02 104
B23K26/00 N
B23K26/00 H
【請求項の数】30
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-553155(P2015-553155)
(86)(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公表番号】特表2016-507102(P2016-507102A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】GB2014050053
(87)【国際公開番号】WO2014114908
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】1301100.2
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512104823
【氏名又は名称】エム−ソルヴ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユック クワン
【審査官】
星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/065032(WO,A1)
【文献】
特開2012−169081(JP,A)
【文献】
特開2012−226767(JP,A)
【文献】
特開2007−243059(JP,A)
【文献】
特開2008−140130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/044
G06F 3/041
B23K 26/00
B32B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の両側のコーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによってパターンを形成する方法であって、前記基板はその両側に第1及び第2の面を有し、前記方法は以下の段階、即ち
a)前記基板の第1の側に第1の透明コーティングを設けることであって、前記第1の透明コーティングが比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成されること、
b)前記基板をステージの上に載置すること、又は、前記基板をチャックの上に配置すること、
c)レーザーアブレーションによって前記第1の透明コーティングにおいて第1のパターンを形成するために、第1のレーザー光線を用いること、
d)前記第1のパターンの形成後、前記基板の第2の側に第2の透明コーティングを設けることであって、前記第2の透明コーティングが比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する材料で形成されること、
e)レーザーアブレーション又は改質によって前記第2の透明コーティングにおいて第2のパターンを形成するために第2のレーザー光線を用いることであって、前記第2の透明コーティングのアブレーションが前記第1の透明コーティングに目立った損傷を引き起こさずに実行されるよう、前記第2のレーザー光線のエネルギー密度が前記第1のレーザー光線のエネルギー密度より低いこと、
を含む方法。
【請求項2】
前記基板が、少なくとも0.05mmであってかつ0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満の厚さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の透明コーティングが、少なくとも0.5J/cm2のレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の透明コーティングが無機酸化物材料を含む、
請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレーザー光線が、0.5J/cm2以上のエネルギー密度を有する、
請求項1−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1のレーザー光線が、赤外線領域に波長を有するパルスレーザー光線である、
請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1のレーザー光線が、前記基板の前記第2の側から前記基板を通過して前記基板の前記第1の側の前記第1の透明コーティングへと向けられる、
請求項1−6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の透明コーティングが、0.5J/cm2未満のレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する、
請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第2の透明コーティングがナノ材料を含む、
請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ材料が金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、カーボンナノバッド、グラフェン、及び他のナノ粒子から選択される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のレーザー光線が、0.5J/cm2以下のエネルギー密度を有する、
請求項1−10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2のレーザー光線が、前記第1のレーザー光線の波長に近似する波長を有するパルスレーザー光線である、
請求項1−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2のレーザー光線が、前記第1のレーザー光線の波長と異なる波長を有するパルスレーザー光線である、
請求項1−11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2のレーザー光線が、前記基板の前記第1の側から前記第1の透明コーティングと前記基板を通過して前記基板の前記第2の側の前記第2の透明コーティングへと向けられる、
請求項1−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2のパターンが、前記第1及び/又は第2の透明コーティングを切断する一群の溝によって形成され、前記溝は前記溝から見て片方の側にある前記コーティングの部分を電気的に隔絶させる、
請求項1−14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第2のパターンが、前記第2のコーティングにおける改質された材料の1つ以上の線を含み、前記線は前記線から見て片方の側にある前記コーティングの部分を電気的に隔絶させる、
請求項1−15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2のパターンがセンサのTx電極及びRx電極を形成する、
請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記基板がステージに載置される又はチャックに配置される前に、前記第1の透明コーティングが前記基板に付加される、
請求項1−17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記基板が、前記第1及び第2の透明コーティングのレーザーパターニングの前に第1のドラムから巻き出され、第2のドラムに巻き取られる連続的なウェブの形状をしている、
請求項1−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第2の透明コーティングが転写フィルムによって前記基板の前記第2の面に付加される、
請求項1−19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記第2の透明コーティングを前記基板の前記第2の面に固定する粘着層を硬化する硬化段階を更に含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
透明基板の両側に設けられた第1及び第2の透明コーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによってパターンを形成する装置であって、前記基板はその両面に第1及び第2の側を有し、前記装置は、
前記基板を載置できるステージ又は前記基板を配置できるチャックと、
レーザーアブレーションによって前記基板の前記第1の側の前記第1の透明コーティングにおいて第1のパターンを形成するための第1のレーザー光線を供給するよう構成される第1のレーザー源と、
レーザーアブレーション又は改質によって前記基板の前記第2の側の前記第2の透明コーティングにおいて第2のパターンを形成するための第2のレーザー光線を供給するよう構成される第2のレーザー源と、を含み、
前記第2の透明コーティングのアブレーションが前記第1の透明コーティングに目立った損傷を引き起こさずに実行されることができるよう、前記第2のレーザー光線のエネルギー密度が前記第1のレーザー光線のエネルギー密度よりも低い、
装置。
【請求項23】
前記基板が連続的なウェブの形状をしており、前記装置は、前記第1のパターンが形成される前に前記連続的なウェブを巻き出す第1のドラムと、前記第2のパターンが形成された後に前記連続的なウェブを巻き取る第2のドラムとを更に含む、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1のパターンが形成される間、前記連続的なウェブの端から端まで配置することができる第1のチャックと、前記第2のパターンが形成される間、前記連続的なウェブの端から端までを配置することができる第2のチャックと、を更に含む、
請求項23に記載の装置。
【請求項25】
その前記第1の側に前記第1の透明コーティングを有し、かつ、その前記第2の側に前記第2の透明コーティングを有する前記透明基板と組み合わさった請求項24に記載の装置であって、前記第1の透明コーティングは比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成され、前記第2の透明コーティングは比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する材料で形成される装置。
【請求項26】
請求項1に記載の方法で形成される製品であって、その第1及び第2の側の第1及び第2の透明導電コーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによって形成された第1及び第2のパターンを有する透明基板を含み、前記第1及び第2の透明導電コーティングは異なる材料で形成され、前記第1の透明導電コーティングは比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成され、前記第2の透明導電コーティングは比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する材料で形成される製品。
【請求項27】
前記第1の透明導電コーティングは無機酸化物材料を含み、前記第2の透明導電コーティングはナノ材料を含む、
請求項26に記載の製品。
【請求項28】
前記第1の透明導電コーティングは酸化インジウムスズ(ITO)を含み、前記第2の透明導電コーティングは銀ナノワイヤ材料を含む、
請求項27に記載の製品。
【請求項29】
二層静電容量式タッチセンサの一部を形成する、
請求項26、27又は28に記載の製品。
【請求項30】
請求項1に記載の方法を実行するための請求項22に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基板の両側(opposite sides)のコーティングにパターンを形成するための方法及び装置、特に二層静電容量式タッチセンサの製造におけるもの、及び、該方法で製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチタッチ可能な静電容量式タッチセンサをモバイル式スマートフォン、MP3プレーヤー、PDA、タブレットPC等のハンドヘルド装置に組み入れることが非常に望まれている。多くの場合、これらの装置は、ガラス製又はプラスチック製の、その背後に二層の透明な静電容量式センサが接着される透明フロントカバーシートを有している。このような構成では、望ましくないほどに厚くて重いカバー/センサモジュールになることがあるため、良好な投影型タッチパフォーマンス(good projected touch performance)を保ちつつ、二層センサの厚さを出来る限り減らすことが要求される。0.2mm以下のセンサ厚が望ましい。
【0003】
二層センサの分野における先行技術には、一般的に、送信(Tx)電極層及び受信(Rx)電極層を別々の基板上に作り、これらを一緒にラミネート加工することが含まれる。センサのための2基板は一般的にプラスチック製である。この場合、全体厚が0.2mm以下のラミネート加工された二層センサを製造するためには、取扱いの困難なおよそ0.075mm厚又は0.05mm厚のポリマー基板の使用が必要となると思われる。
【0004】
二層センサの分野におけるその他の先行技術には、単一の透明ガラス基板の両面(opposite faces)上に2つの類似する透明導電(TC)層を積層し、直接書き込みレーザーパターニングを用いて該層にTx電極及びRx電極を作ることが含まれる。しかしながら、一方の側のTCをパターニングするレーザー光線が他方のTCを損傷するという問題が、およそ0.4mm未満の厚さのガラス基板に関しては非常に深刻になることから、この工程は最小の基板厚に限定される。
【0005】
二層タッチセンサ上のTC層のパターニングは、一般的に、レジストの付加、マスクを介した露光、レジスト現像、TC層の化学エッチング、及び最後のレジスト剥離を含むリソグラフィー工程を使用して実行される。パターニングを必要とする材料層の全てに対して繰り返されねばならないこのような多段階工程は、大規模な資本設備が必要となり、また大量の化学物質が必要となるため、それらに関連した高額の費用が掛かる。高額なCOO(high cost of ownership)に寄与する主要因は、各々のセンサ設計について、パターニングされる全ての層に特別な高価なマスクが必要となることである。レーザー直接書き込みパターニングはこれらの短所を全て克服するものであるため、レーザーパターニング工程の使用を使用しつつも同時に単一の薄い基板上に二層センサを作成可能にすることが強く望まれている。2つの層は基板の両側に備えられており、そのために共に露出している(更なる層に覆われるのではなく、そのために2つの層に挟まれる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第2のコーティングにパターンが形成される際に、第1のコーティングに目立った損傷を与えず、基板の両側のコーティングに直接書き込みレーザーパターニングをするための方法と装置を提供することにより、上記の問題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、透明基板の両側のコーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによってパターンを形成する方法であって、基板はその両側に第1及び第2の面を有し、前記方法は以下の段階、即ち
a)基板の第1の側に第1の透明コーティングを設けることであって、第1の透明コーティングが比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成されること、
b)基板をステージの上に載置すること、又は、基板をチャックの上に配置すること、
c)レーザーアブレーションによって第1の透明コーティングにおいて第1のパターンを形成するために、第1のレーザー光線を用いること、
d)第1のパターンの形成後、基板の第2の側に第2の透明コーティングを設けることであって、第2の透明コーティングが比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度(relatively low laser ablation or modification threshold energy density)を有する材料で形成されること、
レーザーアブレーション又は改質によって第2の透明コーティングにおいて第2のパターンを形成するために第2のレーザー光線を用いることであって、第2の透明コーティングのアブレーションが第1の透明コーティングに目立った損傷を引き起こさずに実行されるよう、第2のレーザー光線のエネルギー密度が第1のレーザー光線のエネルギー密度より低いこと、
を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、透明基板の両側に設けられた第1及び第2の透明コーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによってパターンを形成する装置であって、基板はその両面に第1及び第2の側を有し、該装置は、
基板を載置できるステージ又は基板を配置できるチャックと、
レーザーアブレーションによって基板の第1の側の第1の透明コーティングにおいて第1のパターンを形成するための第1のレーザー光線を供給するよう構成される第1のレーザー源と、
レーザーアブレーション又は改質によって基板の第2の側の第2の透明コーティングにおいて第2のパターンを形成するための第2のレーザー光線を供給するよう構成される第2のレーザー源と、を含み、
第2の透明コーティングのアブレーションが第1の透明コーティングに目立った損傷を引き起こさずに実行されることができるよう、第2のレーザー光線のエネルギー密度が第1のレーザー光線のエネルギー密度よりも低い、
装置が提供される。
【0009】
本発明はまた、その第1の側に第1の透明コーティングを有し、かつ、その第2の側に第2の透明コーティングを有する透明基板と組み合わさった装置であって、第1の透明コーティングは比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成され、第2の透明コーティングは比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する材料で形成される装置にも関する。
【0010】
本発明は更に、上述の方法を実行するための上述の装置の使用に関する。
【0011】
本発明の更なる態様によると、上述の方法で形成される製品であって、その第1及び第2の側の第1及び第2の透明導電コーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによって形成された第1及び第2のパターンを有する透明基板を含み、第1及び第2の透明導電コーティングは異なる材料で形成され、第1の透明導電コーティングは比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する材料で形成され、第2の透明導電コーティングは比較的低いレーザーアブレーション又は改質の閾値エネルギー密度を有する材料で形成される製品が提供される。
【0012】
従って、本発明は、基板の一方の側の第1のコーティングに対し、基板の他の側の第2のコーティングにおいて直接書き込みレーザーパターニングによりパターンが形成される際に目立った損傷を与えることなく、薄い基板の両側のコーティングの直接書き込みレーザーパターニングを可能にする。これらのコーティングは両方とも、レーザーパターニングが行われる際に露出しているため、レーザーアブレーションの最中に自由に拡散し、蒸発する。このため、そのアブレーション特性は、他の層に挟まれた(そのため自由に拡散しない)層のアブレーション特性から大きく異なっている。このような、上に重なる層(overlying layer(s))により加えられる背圧はアブレーションの閾値を大幅に上昇させる傾向がある。
【0013】
「基板」という用語はその従来の意味を有している。即ち、基板とは、その上に(その後のパターニング等のために)他の材料を積層することが可能な基礎を提供する最初の層である。この文脈において、「薄い基板」とは、透明であり、かつ、第1のコーティング(基板の第1の側にある)においてパターンを形成するために使用されるエネルギー密度に近似したエネルギー密度を有するレーザーが第2のコーティング(同じ基板の反対側にある)においてパターンを形成するために使用される際に第1のコーティングを保護するには十分ではない厚さを有するが、他の材料をその上に積層することの出来る基礎として働くことの出来る厚さを有する単一層の基板である。
【0014】
基板は、好ましくは少なくとも0.05mmの厚さを有し、また0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満の厚さを有する。
【0015】
発明の他の好適かつ選択的な特徴は、明細書に付されたクレームと後続の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】コーティングを各側に備えた既知の基板の断面図である。
【
図2A】基板の各側のコーティングに通常備えられることのある既知の電極パターンの概略図である。
【
図2B】基板の各側のコーティングに通常備えられることのある既知の電極パターンの概略図である。
【
図3】コーティングにおける電極パターンの形成後の、
図1に図示されているもののような既知の基板の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る基板の両側のコーティングのパターンの形成における段階を図示した基板の断面図である。
【
図5】本発明に係る方法の実行に使用される装置の一形態の側面図である。
【
図6】そのような装置が基板に対して動く一つの方法を図示した概略斜視図である。
【
図7】そのような装置が基板に対して動く他の方法を図示した概略斜視図である。
【
図8A】本発明に係る方法を実行するための装置の他の形態の概略図である。
【
図8B】本発明に係る方法を実行するための装置の他の形態の概略図である。
【
図9】本発明の幾つかの実施形態において使用することの出来る転写フィルムの断面図である。
【
図10】
図9の転写フィルムを使用する方法における、基板の両側のコーティングのパターンの形成における段階を図示した基板の断面図である。
【
図11】
図10A−10Dに図示の段階を実施するために使用される装置の概略図である。
【
図12】
図4に図示された方法に類似の方法を実施するための製造ラインの概略図である。
【
図13】
図10に図示された方法に類似の方法を実施するための製造ラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以上の添付の図面を参照し、本発明を単なる例として、以下に更に説明する。
【0018】
本発明は、二層静電容量式タッチセンサパネルのための電極の製造における使用について特に言及して記述されるが、本発明は、透明基板の両側の露出したコーティングにおけるパターンの形成を必要とする他の応用においても使用することができる。
【0019】
図1は、典型的な二層投影型静電容量式タッチパネル(two− layer projected capacitive touch panel)に使用される基板1の断面図である。基板1は透明であり、硬質にしてガラス又は他の無機透明材料(シリカなど)で製造してもよいし、柔軟にしてポリエステル(PET)、ポリカーボネート(PC)、又はアクリル(PMMA)などのポリマーで製造してもよい。基板1の厚さは、基板を処理のためのステージに乗せることの出来る厚さであるが、一般に1mmの何分の1かである。上述したように、基板は好ましくは最低でも0.05mm厚であるが、典型的には0.5mm厚未満であり、好ましいケースでは0.2mm厚未満である。透明かつ導電性の材料よりなる薄い層2及び3は、基板1の両側に付加される。通常、これらの層2及び3は、この場合TCOs(透明導電性酸化物)と呼ばれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、又は他の酸化物などの無機酸化物材料で作られる。このような材料は物理蒸着(PVD)により付加することができるが、他の方法を使用してもよい。有機材料又はナノ粒子材料をベースにした他の透明導電層を使用することもできる。典型的に、このような層は印刷型工程(printing type processing)により付加されるが、これについても他の方法が使用されてもよい。透明導電(TC)材料という総称は、全ての適切な透明導電体を示すために使用される。典型的なTC層の厚さは30nmから数百nm(a few 100nm)までの範囲にある。通常、タッチパネルに使用されるTC層のシート抵抗は、スクウェアあたり10Ω(10Ω per square)からスクウェアあたり数百Ω(several 100Ω per square)の範囲内にある。可視領域にわたってのTCの光透過は、一般的に85%より大きく、多くの場合90%より大きい。
【0020】
図2A及び2Bは、典型的なタイプの二層投影型静電容量式タッチパネルの形成に使用される電極構造のタイプを示したものである。この2図は、透明基板1の両方の面の平面図である。両側にあるTC層2及び3は、基板表面を貫くTC層におけるの切れ目6及び7によって、複数の切り分けられた線形平行電極4及び5に分割される。電気的隔絶を行うこれらの切れ目(these electrically isolating break)は、化学エッチング若しくはプラズマエッチングを含むリソグラフィー工程によって作ることができ、又は、好ましくはレーザースクライビングによって作られる。切れ目は、理想的には肉眼で確認できないほど十分に細い。静電容量式センサの送信電極(Tx)及び受信電極(Rx)の組を形成するために、基板の一方の面の上にある電極は、反対側の面の上にある電極と直交する方向に延びている。ハンドヘルド装置に使用されるタッチパネルは一般的に矩形状であり、通常およそ80×120mmまでの大きさを有する。ノートブック型PCのためのタッチパネルは大幅に大きくなり、典型的には250×150mmまでの大きさである。TC層の電極の幅は、Rx電極のおよそ1mmからTx電極の数mm(many mm)までと多様である。電極のレイアウトは
図2に図示したものより複雑であってもよいが、一般的には、常に何らかのタイプの直交するX−Yアレイよりなる。
【0021】
勿論、タッチパネルの表面におけるタッチイベントによって誘導される電極間の静電容量の変化を監視するためには、各X電極と各Y電極の少なくとも一方の端部に電気的接続をもたらすことが必要であるが、そのような電気的接続方法は周知であるので、これ以上は記述しない。
【0022】
図3は、電極形成後の静電容量式センサのための基板の断面図である。隔絶電極帯(isolating electrode band)4を作るために、電気的隔絶を行う溝(electrically isolating groove)6が第1のTC層2に形成される。同様にして、第1のTC層2における隔絶電極帯と一般的に直交して延びる隔絶電極帯5を作るために、電気的隔絶を行う溝7が第2のTC層3に形成される。
【0023】
このような二層センサをリソグラフィー法によって薄い基板上に確実に作るためには、基板の両側に対し、レジスト付加、パターン露出、レジスト現像、TCエッチング、及びレジスト剥離を含む多くの工程段階が必要となる。これらの工程を簡略化することを目的とし、基板からのTC材料のアブレーションによってTC層において直接溝を形成するために、レーザーがよく使用される。一方の側に単一のTC層を有する基板の上では、このようなレーザーアブレーション工程は非常にうまく作用するが、同一のTC層を両側に有する基板では、第1の側のレーザーが第2のTC層への損傷を引き起こすことのない第1のTC層の選択的パターニング(或いは、第1のTC層への損傷を引き起こすことのない第2のTC層の選択的パターニング)は、基板が比較的厚い(例えば>0.7mm)場合又はレーザー波長が短い(例えば355nm以下)場合でなければ困難である。これらの要件は双方とも望ましくない。厚いセンサは、許容できない重量と厚さをセンサが組み込まれる装置に加えることになり、また、短い波長のレーザーの使用は高価であり、かつ、基板表面への損傷につながりやすいためである。
【0024】
このため、上述したように、このような薄い透明基板の両側の露出したコーティングにおいてTx電極構造及びRx電極構造を選択的に形成するための、レーザーに基づく信頼できるプロセスが必要とされている。
【0025】
図4は、本発明の実施形態に係る好ましい方法における工程段階を示している。出発点は、
図4Aに図示された第1の側が第1のTC層2でコーティングされた薄い基板1である。上述したように、薄いセンサを形成するには基板もまた薄くなる必要がある。基板は好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.2mm以下の厚さを有する。
【0026】
第1のTC層は、比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度、例えば約0.5J/cm
2より大きい値を有する材料で形成される。この層にとって適切なTC材料は酸化インジウムスズ(ITO)である。このようなTC材料は、スパッタリング等のPVD工程によってガラス基板やプラスチック基板に容易に付加することができる。ガラス基板又はプラスチック基板に積層されるITOや他のTCOについては、アブレーションの閾値エネルギー密度が通常0.5〜0.7J/cm
2の範囲にある。第1のTC層は、通常、レーザー処理のためにステージに基板が乗せられる前に付加されるが、基板がステージに支持されている間に付加されてもよい。
【0027】
図4Bは、基板1の第1の側の、必要とされる電極構造を作るためのレーザーアブレーションの工程によって、第1のTC層2において電気的隔絶を行う溝を形成するためにパルスレーザーからの光線8が使用される次の段階を図示している。赤外線(IR)領域、例えば波長約1064nmなどで動作する、パルス化されたダイオード励起固体(DPSS)レーザーが、ガラス基板やプラスチック基板からITO又は類似のTC材料を除去するのに好まれる。レーザー光線8は、基板1の第1の側の第1のTC層2の上に直接焦点を合わせることもできるが、代替的には、光線8’を基板1の第2の側に向け、基板1を通過させて第1のTC層2に背面から作用させることもできる。第1のレーザー光線は、第1のコーティングをアブレートするには十分なエネルギー密度、例えば0.5J/cm
2以上のエネルギー密度を上述の第1のコーティングに対して有している。
【0028】
図4Cは、基板1が反転され、第2のTC材料が溶液から、例えばスプレーヘッド10を用いたスプレー工程などによって第2の側に付加される次の段階を図示している。第2のTC材料は、TC材料のアブレーション又はTC材料が導電しなくなるようなTC材料の破壊(disruption)について、第1のTCのアブレーションについてのレーザーエネルギー密度閾値よりも、低いレーザーエネルギー密度閾値を有している。典型的には、TC材料のアブレーション又はTC材料の破壊のためのレーザーエネルギー密度閾値は、およそ0.5J/cm
2未満であると思われる。そのため、第2の透明コーティングに対するレーザーアブレーション又は改質のエネルギー密度閾値(laser ablation or modification threshold energy density)は、第1の透明コーティングに対するそれよりも低い。2つのコーティングの閾値の違いは、第1のコーティングに目立った損傷を引き起こさずに、レーザーアブレーション又は改質によって第2のコーティングにおいてパターンが形成されるのを可能にするのに十分なはずである。実施にあたっては、高い方のエネルギー密度の少なくとも20%の違いが望ましく、好適には少なくとも40%の違いが望ましい。
【0029】
第2のTCに適した材料は、銀若しくは他の金属のナノワイヤ(NWs)、カーボンナノチューブ(CNTs)、カーボンナノバッド(CNBs)、グラフェン、又は他のナノ粒子などのナノ材料である。他のTC材料、例えば有機層(例としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフエン:poly(3,4−ethylenedioxythiophene)又はPEDOT)など、アブレーション又は改質に好適なほどに低いエネルギー密度を有するものを使うこともできる。
【0030】
図4Dは、第2のレーザーからのレーザー光線11が第2のTC層3における電気的隔絶領域(electrically isolating region)12の生成に使用される最後の段階を図示している。電気的隔絶(electrical isolation)は、光線経路に沿った第2のTCのアブレートによる除去によって、又はレーザー経路の一方の側のTC材料を他の側のTC材料から電気的に隔絶させるためのTC層3内のナノ粒子の破壊によって行うことが可能である。第2のレーザーは、理想的には第1のレーザーに類似の種類及び波長のものであるが、代替的なレーザーの種類、例えば可視領域(例としては532nm近傍)で稼働するDPSSレーザー又はファイバーレーザーを使用することもできる。レーザー光線11は、基板1の第2の側の第2のTC層3の上に直接焦点を合わせることもできるが、代替的に、光線11’を基板1の第1の側に向け、第1のTC層2と基板1を通過させて第2のTC層3に背面から作用させてもよい。第2のレーザー光線は、第2のコーティングをアブレート(又は改質)するのには十分であるが、第1のコーティングに目立った損傷を引き起こすのに十分なほど高くはないエネルギー密度、例えば上述の第1及び第2コーティングについては0.5J/cm
2以下のエネルギー密度を有する。
【0031】
図4B及び4Dに示されているように、TC層2,3双方の外面は、レーザーアブレーション段階の最中に露出している。即ち、何れも更なる層によってカバーされていない。
【0032】
好ましい構成では、第1及び第2のTC双方のパターニングにIRパルスレーザーを使用する。他の好ましい構成では、基板の第1の側の第1のTC層のパターニングにIRレーザーを使用し、第2の側の第2のTC層のパターニングに可視領域(例えば532nmや515nmなど)で稼働するパルスレーザーを使用する。
【0033】
上述のしたもの以外の他の材料は、それらが十分に異なるレーザーアブレーション/改質の閾値エネルギー密度を有する限り、第1及び第2のコーティングの形成に使用されてもよい。一般的に、(上述の例のように)両層は異なる種類の材料で形成されるであろうが、幾つかの場合においては類似の材料で形成されてもよい(例えば、両者は、ナノ材料で、しかし異なるレーザーアブレーション/改質の閾値エネルギー密度によって形成されてもよい)。
【0034】
図5は、第1及び第2のTC層に切れ目を形成してその中に電極構造を作るために上述の方法を実行するための装置の一形態の側面を図示している。レーザー光線13は、アブレーションによって材料を直接的に除去するために、或いはTC材料を改質するために、レンズ14によって基板表面上の小さなスポット15に焦点を合わせられる。図内の両方向矢印によって示されているように、Tx電極又はRx電極を画定するための要求される溝パターンを作るために、2Dスキャナユニット16によって、ビームは基板の領域の上を移動する。
【0035】
図6は、多数の静電容量式タッチパネルを作るために、ガラス又はポリマーシートの基板17を
図5に示すレーザーの構成を用いてどのように処理することができるかを図示している。基板17は多数のタッチパネル18(この場合は20よりなるアレイ)を含み、XYステージ上に載置されている。基板17は、上側を第1のTC層によって全体にわたってコーティングされている。パルスレーザー19は、ミラー20及び20’を経由してスキャナ及びレンズユニット14に向けられる光線13を放射する。基板17はステージの上に配置され、パネル18のうちの1つがスキャナの下にあり、レーザーとスキャナがそのパネル18の全体又は一部の上を、第1のTC層をパターニングするために操作されるようにする。そしてステージは、パネル18の他の領域又は他のパネル18のいずれかがスキャナの下に位置するよう、基板を移動させるためにX及びYに進む(step)。この操作は、基板1上の全てのセンサパネルがパターニングされるまで続く。次に基板1は除去され、第2のTCがその第2の側に対しスプレーされ、それに続いて基板1が再び又XYステージの上に置かれ、第1の側と第2の側のパターンが互いに合うように適切な基準マークに位置合わせされる。そして第2の側のTCは、第1の側と同じ「ステップ・アンド・スキャン(step and scan)」モードで、しかしこの工程が前の段階で形成された第1のTC層に目立った損傷を引き起こすことがないように、(上述したような)より低いパルスレーザーエネルギー密度を使用してレーザーパターニングされる。
【0036】
図7は、基板が連続的なウェブの形状(form of continuous web)であるときに、このような二層センサを作るための代替的な構成を図示している。その上側にTC層を備えたウェブ材料(web material)21は、第1のドラム22から第2のドラム23へと、X方向に漸進的に動かされる。X方向に沿ったウェブ21の移動は連続的であってもよいし、断続的であってもよい。Xに沿った移動の正確さのために、ウェブ材料21の端から端まで(length of the web material 21)、リニアステージ上で移動するチャック24上に引き付けることが望ましい。パルスレーザー19は、ミラー20及び20’を経由してスキャナ及びレンズユニット14へと向けられる光線13を放射する。スキャナ14は、Y方向へと移動させることができるようにリニアステージの上に載置される。スキャナとチャック上の基板は、センサパネル18の1つがスキャナの下に位置し、レーザーとスキャナがそのパネル領域の全体又は一部の上を第1のTC層をパターニングするよう操作されるように、XとYのステージによって位置決めされる。そして、スキャナは、パネルの他の領域と他のセンサパネルとのいずれかがスキャナの下に位置付けされるように、Y方向に移動する。この操作は、基板上の全てのセンサパネルがウェブの幅全体にわたってパターニングされるまで続き、それに引き続いて、パターニングされるウェブの新たな領域を露出させるために、ウェブがX方向に前進する。ウェブに対するスキャナの相対的な運動を達成する代替的な方法は、ウェブが静止している間にスキャナがXとYの両方に移動することができれば可能である。そして、これらの段階は、第2のパターンをその中に形成するために基板の第2の側に第2のTC層を付加した後に繰り返される。
【0037】
図8Aは、
図7に図示した装置に類似の装置の概略側面図である。その第1の側に第1のTC層を備えた基板を含む材料31のウェブは第1のドラム32から巻き出される。第1のレーザーは(巻き出されたウェブの下側の)第1のTC層をパターニングするために使用され、例えばスプレーすることなどによって第2のTC層が材料のウェブの第2の側(上側)に付加され、第2のレーザーは第2のTC層をパターニングするために使用され、材料のウェブは第2のドラム33に巻き取られる。両方のレーザーパターニング段階の間、ウェブ材料は、
図7に関連して記述したように、リニアステージに載置される(或いはチャックに載置され、レーザーがX方向及びY方向に移動する)。
【0038】
図8Bは、第2のTC層が転写フィルム(以下で
図9と
図10に関連づけて更に説明する)を用いて付加される、
図8Aの装置に類似の装置の側面を概略的に図示している。
図8Bは、ラミネーティングローラ38及び39から転写フィルムが貼り付けられた後、第1のドラム35から巻き出され第2のドラム36に巻き取られる材料のウェブ34を図示している。
【0039】
図9は、基板に第2のTC層を付加するために使用できる転写フィルムの断面を図示している。転写フィルムは、キャリアフィルム50と、その上の粘着層51(典型的には5ミクロン厚程度)と、典型的には厚さ100nm未満であるその上のナノワイヤ(NW)層52と、例えば適切なプラスチックフィルムなどの除去可能な防護層53と、を含んでいる。適切な転写フィルムは日立ケミカルから入手可能なものである。
【0040】
このような転写フィルムは、蒸着の様な真空工程を必要とすることなくNW層52を基板に付加することを可能にする。代わりに、NW層52は(粘着層51と防護層53と共に)キャリアフィルム50から除去され、直接基板に付けられ(NW層をそこに貼るのに粘着層51を用いる)、それに引き続いて防護層53を剥がすことができる。
【0041】
このように、粘着層は基板とNW層との間に薄い誘電体層を形成し、そしてNW層は上述の方法における場合と同様にレーザーアブレーションでパターニングすることができる。
【0042】
この修正された工程の段階は
図10A−10Dに図示されている。
図10Aは、基板61と、基板61の第1の面の上に備えられた第1のTC層62を図示している。そして、溝69が、
図10Bに図示されているように、上からのレーザー光線68、又は、下から基板61を通過するレーザー光線68’のいずれかによるレーザーアブレーションで、TC層62において形成される。
【0043】
そして、NW層の形をとる第2のTC層65が上述の転写フィルムによって基板の第2の面の上にもたらされ、
図10Cに図示の粘着剤の層64によって第2の面に固定される。
【0044】
最後に、
図10Dに図示されているように、上からのレーザー光線67、又は、下から基板61(及び第1のTC層と粘着層64)を通過するレーザー光線67’のいずれかによるレーザーアブレーションによって、NW層65において溝又は改質されたストリップが形成される。
【0045】
図11は、リール・トゥ・リール設定(reel−to−reel set up)(
図8Bに図示の設定と類似のもの)で行われた場合における転写フィルムの基板への付加の方法をより詳細に図示している。この場合、薄膜ガラス(TFG)又はPET基板71が、その上にある酸化インジウムスズ(ITO)により形成された第1のTC層と共に使用される。TFG層は、典型的には約0.1mmの厚さを有することができる。ITO層はTFGフィルムの下側にあり、要求される下部電極構造(
図11には不図示)を形成するためにレーザーパターニングされる。転写フィルム(
図9に図示のものなど)はドラム72から巻き出され、キャリアフィルム50がそこから除かれてドラム73に巻き取られる。そして、転写フィルムは基板71の第2の面に付加されるためにラミネータ74を通過し、これは次にNW層52を基板71に貼り付ける粘着剤51を硬化するためにUV硬化ステージを通過する。そして保護フィルム53はNW層から除かれ、ドラム76に巻かれる。次にNW層は、上部電極構造(
図11には不図示)を形成するためにレーザーパターニングされる。
【0046】
そのため、結果として出来上がるラミネートは、TFG(又はPET)基板、その第1の面の上のITOの第1のTC層、及び粘着層によってその第2の面に固着されるNW層の形をとる第2のTC層を含む。第1のTC層のレーザーパターニングは、基板がラミネーションステージを通過する前に実行され、第2のTC層のレーザーパターニングは保護層53の除去の後に実行される。
【0047】
図12は、
図4に図示したものと類似の段階を含んだ方法を実行するための製造ラインの概略図である。段階80−その第1の面に第1のTC層が付加された基板が第1のドラムから巻き出され、段階81−インクジェット又はスクリーンプリンタが第1のTC層に対し、特定の領域にセンサ接続パッドとバスバーを形成するために、金属(通例はAg)を付加し、段階82−Agインクが硬化段階で硬化され、段階83−第1のTC層/Agのレーザーパターニングが実行されている最中に基板の端から端まで(length of the substrate)第1のチャックの上に位置し、基板はローラ84によって裏返され、段階85−第2のTC層を形成するために、NW材料が基板の第2の面にスプレーされ、段階86−NW層が硬化され、段階87−インクジェット又はスクリーンプリンタがAgパッド又はバスバー構造を第2のTC層に付加し、段階88−Agインクが硬化され、段階89−第2のTC層/Agのレーザーパターニングが実行されている最中に基板の端から端まで第2のチャックの上に位置し、段階90−センサ部分が基板から切除され、コンベヤ、スタック、又はカセットに搬送され(切除は機械的手段によってもよいがレーザー切除が望ましい)、段階91−基板が第2のドラムに巻き取られる。段階90は、必要であれば他の別個の道具によって実行されてもよく、ローラ84は、その後に更なる巻出しユニット(unwind unit)が続く巻き取りユニット(rewind unit)と取り替えてもよい。
【0048】
図13は
図10に図示したものと類似のステージを含んだ方法を実行するための製造ラインの概略図である。段階92−その第1の面に第1のTCが付加された基板が第1のドラムから巻き出され、段階93−インクジェット又はスクリーンプリンタが、センサ接続パッドとバスバーを形成するために、第1のTC(通例ITO)の上で、特定の領域において金属(通例はAg)を付加し、段階94−Agインクが硬化ステージで硬化され、段階95−第1のTC層/Agのレーザーパターニングが実行されている最中に基板の端から端まで第1のチャックの上に位置し、段階96−
図11に図示したもののような装置を使用し、転写フィルムによってNW層が基板の第2の面に付加され、段階97−インクジェット又はスクリーンプリンタがAgパッド又はバスバー構造をNW層に付加し、段階98−Agインクが硬化され、段階99−第2のTC層/Agのレーザーパターニングが実行されている最中に基板の端から端までは第2のチャックの上に位置し、段階100−センサ部分が基板から切除され、コンベヤ、スタック、又はカセットに搬送され(切除は機械的手段によってもよいがレーザー切除が望ましい)、段階101−基板が第2のドラムに巻き取られる。
【0049】
ガラス又はプラスチックでできた単一の薄い透明基板の上の二層静電容量式タッチセンサを製造するための上述の方法は以下の重要な特徴を有している。
1)第1の透明導電(TC)材料が基板の第1の側に備えられ、第1のTC材料は比較的高いレーザーアブレーションの閾値エネルギー密度を有する
2)前記第1の側から第1のTC層上に直接焦点を合わせられたレーザー、又は、基板の第2の側へと向けられて基板を通過し、背面から第1の側の第1のTC層へと到達するレーザーによってセンサのTx電極又はRx電極を形成するためのアブレーションでのTC材料の除去によって第1のTC層をパターニングするために、第1のパルスレーザーが使用される
3)第2のTC材料の層が基板の第2の側にスプレーされ(或いは付加され)、第2のTC材料は好ましくはナノ材料であり、かつアブレーションによる除去又は改質については比較的低いレーザー閾値エネルギー密度を有する
4)第2のパルスレーザーは、第1のTC層に目立った損傷を一切引き起こさずに、センサのTx電極又はRx電極を形成するために第2のTC層をアブレート又は改質するために使用され、第2のレーザーは第1のレーザーと同様の又は異なる波長を有し、第2のレーザーは第2の側の第2のTC層に直接焦点を合わせられるか、基板の第1の側から第1のTC層を通過するよう方向づけられ、基板を通過して背面から第2の側の第2のTC層と相互作用をする
5)第1及び第2のレーザーが第1及び第2の透明コーティングの中に電極構造を形成する際には、第1及び第2の透明コーティングが露出し、即ち、更なる層やコーティングによってカバーされない
【0050】
このように、上述の方法は、「カバー一体型(cover integrated)」二層静電容量式タッチセンサパネルを製造する改良された方法を提供し、該方法は、化学エッチング工程に代わって薄い基板の両側の電極パターンの直接的なレーザー書き込みを可能にし、上述の問題を減少させ又は回避することができ、それによってそのようなパネルの製造を簡略化し、その費用を軽減させる。