特許第6211150号(P6211150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリソ電子工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6211150-コネクタ 図000002
  • 特許6211150-コネクタ 図000003
  • 特許6211150-コネクタ 図000004
  • 特許6211150-コネクタ 図000005
  • 特許6211150-コネクタ 図000006
  • 特許6211150-コネクタ 図000007
  • 特許6211150-コネクタ 図000008
  • 特許6211150-コネクタ 図000009
  • 特許6211150-コネクタ 図000010
  • 特許6211150-コネクタ 図000011
  • 特許6211150-コネクタ 図000012
  • 特許6211150-コネクタ 図000013
  • 特許6211150-コネクタ 図000014
  • 特許6211150-コネクタ 図000015
  • 特許6211150-コネクタ 図000016
  • 特許6211150-コネクタ 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6211150
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/41 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   H01R13/41
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-145790(P2016-145790)
(22)【出願日】2016年7月25日
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】進藤 英博
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実公平04−014865(JP,Y2)
【文献】 特開2015−082434(JP,A)
【文献】 特開2004−362814(JP,A)
【文献】 特開2006−310089(JP,A)
【文献】 特開2013−101915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと前記ハウジングに固定される固定部を有する端子とを備えるコネクタにおいて、
前記ハウジングは、前記端子の前記固定部を圧入して固定する端子固定部を有し、
前記端子の前記固定部における前記端子固定部と圧接する側面には、前記端子固定部の挿入口を形成する壁面から離間する凹部と、前記凹部の前記側面における前記端子固定部の前記挿入口側の端に位置する突出部とが形成され、
前記突出部は、前記壁面から離間していることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
ハウジングと前記ハウジングに固定される固定部を有する端子とを備えるコネクタにおいて、
前記ハウジングは、前記端子の前記固定部を圧入して固定する端子固定部を有し、
前記端子の前記固定部における前記端子固定部と圧接する側面には、前記端子固定部の挿入口を形成する壁面から離間する凹部が形成され、
前記凹部と前記壁面との間には間隙が形成され、
前記間隙が前記端子固定部の前記挿入口側から奥側にかけて角度を付けて屈曲する屈曲形状となっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記凹部が形成されている前記側面と前記端子固定部を形成する壁面とは、前記挿入口から前記凹部を超える奥まった位置で圧接している請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子固定部の前記挿入口が面取りされており、前記突出部が前記挿入口の面取り形状に沿って突出する請求項1記載のコネクタ。
【請求項5】
前記固定部は、前記側面から屈曲部を介して連続する他の側面を有し、
前記凹部は、前記屈曲部と前記他の側面とに連続して形成されている請求項1〜請求項4何れか1項記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっきが施された端子を備えるコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタに用いられる端子は、導電性を高めたり、はんだ付けを可能とする等の理由から各種のめっきが施されているが、その中でも他の金属に比べて毒性が低い等の理由から錫めっきが施されることが多い。
【0003】
しかし、錫めっき処理が施された端子には、針状の結晶であるウィスカが発生することが知られている。ウィスカは錫めっきが施された部材の応力が加わる部分に発生し、端子の場合にはハウジングに対して圧入により固定される固定部におけるハウジングとの接触面の縁部で特に発生しやすくなっている。
【0004】
このウィスカが発生、伸長すると、隣接する端子に接触して短絡を生じたり、コネクタ使用者の指に触れて折れて飛散し、コネクタが実装された回路基板の回路パターンの短絡を生じたりするという問題がある。
【0005】
そこで、コネクタの端子の圧入部分におけるウィスカの発生に対処するための技術として、例えば特許文献1には端子を圧入するハウジングの挿入口周辺に凹部を設け、当該凹部により発生するウィスカを覆うことで使用者がウィスカに触れることを防止し、ウィスカが飛散しないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−310089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1に記載のコネクタによれば、ハウジングの凹部にウィスカを隠すことができ、ウィスカの飛散防止効果を発揮できる。しかしながら、ハウジングに凹部を設けるための樹脂成形金型が複雑化し、コネクタの製造コストが著しく上昇してしまうという問題がある。また、ハウジングに凹部を設けると、ハウジングの機械的強度を低下させるという問題もある。
【0008】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、ウィスカの飛散を効果的に防止しながらも、コネクタの製造コストの著しい上昇を抑え、またハウジングの強度を低下させることのないコネクタの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
【0010】
本発明は、ハウジングと前記ハウジングに固定される固定部を有する端子とを備えるコネクタについて、前記ハウジングは、前記端子の前記固定部を圧入して固定する端子固定部を有し、前記端子の前記固定部における前記端子固定部と圧接する側面には、前記端子固定部の挿入口を形成する壁面から離間する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
ウィスカは、端子の固定部の側面におけるハウジングの端子固定部の壁面に対する圧接面と壁面から離間して圧接しない凹部との境界で発生し、その境界(凹部の縁部)は端子固定部の内部の奥側に位置する。したがって、端子の固定部の側面の前記圧接面と前記凹部との境界で発生したウィスカは凹部とハウジングにより形成される間隙内で伸長することになり、当該間隙を越えるほど伸びなければ端子固定部の外部に露出できない。このようにして本発明のコネクタではウィスカを外部に露出し難くなり、端子間の短絡を防止することが可能となる。また、発生したウィスカが使用者の指に触れて飛散し、コネクタが実装された基板の回路パターンの短絡を生じたりすることを防止できる。したがってコネクタにウィスカが発生、伸長した場合でも安定した接続を確保することができ、信頼性の高いコネクタとすることができる。また、ウィスカの外部への露出や飛散の防止を、ハウジングの構造によらずに行うことができる。そのため従来技術のコネクタのようなハウジングの製造コストの著しい上昇や強度の低下の問題を防止することができ、コネクタの製造コストを抑えつつ高品質なものとすることができる。
【0012】
前記凹部は、前記側面における前記端子固定部の前記挿入口側の縁部に形成することができる。
【0013】
凹部が前記端子の固定部の側面における前記ハウジングの端子固定部の挿入口側の縁部に形成されているため、前記端子の側面における最も外部に露出する部位でのウィスカの発生を回避することができる。
【0014】
前記端子の固定部の側面は、前記凹部を超える奥側位置に前記ハウジングの端子固定部の壁面と圧接する圧接面を有する。
【0015】
これによれば、前記端子の固定部の圧接面が凹部を超える奥側に位置するので、ウィスカの発生位置を端子固定部の挿入口から離れた凹部の奥側にすることができ、ウィスカによる短絡の防止をより効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコネクタによれば、発生したウィスカが端子の凹部内で伸長し外部に露出し難くなるため、ウィスカによる端子同士の短絡や基板回路における短絡の発生を効果的に防止することができる。これによりウィスカの発生に関わらずコネクタを搭載した電子機器の品質を良好に保つことができる。また、ウィスカの外部への露出や飛散の防止を、ハウジングの構造によらずに行うことができるため、コネクタの製造コストの著しい上昇や強度の低下の問題を防止することができ、これを搭載した電子機器の製造コストの著しい上昇を抑えつつ信頼性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係るコネクタの正面斜視図。
図2図1のコネクタの背面斜視図。
図3図1のコネクタの正面図。
図4図1のコネクタの背面図。
図5図1のコネクタの側面図。
図6図1のコネクタの平面図。
図7図1のコネクタの底面図。
図8図1のコネクタの固定ハウジングを除いた状態を示す上方斜視図。
図9図8の状態の下方斜視図。
図10図1のコネクタに用いられる端子の背面斜視図。
図11図10の端子の正面斜視図。
図12図10の端子の背面図。
図13図10の端子の左側面図。
図14図10の端子の右側面図。
図15図10の端子が可動ハウジングに挿入された状態を示す部分拡大断面図。
図16】変形例に係るコネクタに用いられる端子を示す部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るコネクタについて図面を参照しつつ説明する。本明細書、特許請求の範囲、図面では図1に示すコネクタ1の幅方向をX方向、前後方向をY方向、高さ方向をZ方向とし、X方向の右側面の側を「右」、左側面の側を「左」、Y方向の正面側を「前」、背面側を「後」とし、Z方向の平面側を「上」、底面側を「下」として説明する。但し、これらの上下左右前後の特定は本発明のコネクタ1の実装方向及び使用方向を限定するものではない。
【0019】
コネクタ[図1図9
コネクタ1は、回路基板に固定される固定ハウジング2と、固定ハウジング2に対して移動自在に設けられる可動ハウジング3と、一端側が固定ハウジング2に保持されるとともに他端側が可動ハウジング3に保持される複数の端子4と、を備えて構成されている。
【0020】
固定ハウジング[図1図7
固定ハウジング2は、合成樹脂の成形体からなり、上面21及び下面25で開口する中空の箱形形状をしている。固定ハウジング2の内部には可動ハウジング3が端子4を介して変位可能に収容されている。
【0021】
固定ハウジング2の前面22は、複数の矩形の孔部22aを行列状に配置した格子状の面となっていて、孔部22aから内部の可動ハウジング3が視認可能となっている。この前面22により可動ハウジング3のY方向における前方への過剰な変位を規制しつつ、固定ハウジング2の軽量化と放熱の効率化を実現することができる。
【0022】
固定ハウジング2の裏面27は大きく開放された開放窓27aが形成されていて、開放窓27aの上側窓枠の左右には開放窓27aから突出した突出部27bが形成されている。開放窓27aにより、可動ハウジング3と端子4の一部が視認可能であり、固定ハウジング2を軽量化でき、さらに放熱を効率的に行うことができる。また、突出部27bにより可動ハウジング3のY方向における後方への過剰な変位を規制することができる。
【0023】
固定ハウジング2の上面にはコネクタ1の接続対象物である相手端子が挿入される矩形の挿入孔21aが幅方向に複数(本実施形態では5つ)一列に形成されている。
【0024】
固定ハウジング2の下面25の前方には下面25側から見て一段低い第1凹部25cが形成されており、第1凹部25cの後方には可動ハウジング3を収容する空間25dが形成されている。第1凹部25cには端子4が圧入され固定される固定孔25aが形成されている(図7)。また空間25dには可動ハウジング3が挿入される収容部25bが形成されている。可動ハウジング3と収容部25bとの間には可動間隙が形成されていて、当該可動間隙により可動ハウジング3が収容部25bの内部で変位可能となっている。
【0025】
固定ハウジング2の左右の側面26の下方には、コネクタ1を回路基板上に固定するためのはんだ付けに供する固定金具5が圧入される、下方へ向けて開口する挿入孔26aと、固定金具5を幅方向に固定する長板状の規制部26bが形成されている。そして固定金具5は挿入孔26aに圧入されて固定されている。
【0026】
固定ハウジング2の前面22の左右両側の下端部には、X方向及びY方向に突出するフランジ部23が設けられている。このフランジ部23によりコネクタ1が回路基板に設置された状態で前方に倒れるのを防止できる。また、フランジ部23の下面には柱状の位置決め突起24が形成されている。位置決め突起24が回路基板に設けた位置決め孔に挿通されることで、コネクタ1を回路基板の所定位置に設置することができる。
【0027】
可動ハウジング[図8図9
可動ハウジング3は、合成樹脂の成形体からなり、固定ハウジング2の収容部25bの内部で幅方向、前後方向及び上下方向に移動自在に配置されている。
【0028】
可動ハウジング3には、各端子4の一端側(第1固定部45)がそれぞれ圧入される「端子固定部」としての複数の固定孔32が幅方向に一列に並んで設けられている。端子4の第1固定部45は、可動ハウジング3の固定孔32の挿入口321(図15)から固定孔32内へと圧入される。固定孔32は可動ハウジング3の上面に設けられた開口部31に連続していて、開口部31から挿入された相手端子が可動ハウジング3内の端子4の接触部46と接触可能になっている。開口部31は漏斗状のテーパ面として形成されていて、相手端子の挿入をガイドする。
【0029】
可動ハウジング3の幅方向両側の上部には突出部37が設けられており、下部には突出部37から連続する脚部34が設けられている。左右の突出部37の間に形成される空間には、端子4を固定ハウジング2と可動ハウジング3に圧入し固定するときに使用する治具が挿入される。この治具によりその際の可動ハウジング3の上方への変位を規制して、端子4のばね部47が過剰に伸長するのを防ぐようにしている。また、左右の脚部34の間は、端子4のばね部47が弾性変形する空間36となる。
【0030】
可動ハウジング3の幅方向両側の側面には突出部37から脚部34にかけて溝35が形成されており、これにより可動ハウジング3を軽量化して、柔らかいばね部47であっても変位可能に支持できるようにしている。
【0031】
隣接する固定孔32の間には隔壁38が下方に突出しており、隣接する一方の端子4にウィスカが発生した場合でも隣接する他方の端子4への伸長を防ぎ、端子4間の短絡防止を確実にしている。
【0032】
端子[図10図15
端子4は、金属板の打抜き加工及び曲げ加工によって形成され、コネクタ1において互いに幅方向に間隔をおいて配列されている。
【0033】
端子4は、相手端子と接触する接触部46と、可動ハウジング3に固定される「固定部」としての第1固定部45と、固定ハウジング2に固定される第2固定部44と、第1固定部45と第2固定部44とを繋ぐ弾性変形可能なばね部47と、回路基板に接続される基板接続部41を備えて形成されており、全体に錫めっきが施されている。
【0034】
接触部46は、相互に対向する一対のばね片として形成されており、接続対象物である相手端子を挟むようにして導通接触する。
【0035】
端子4の「固定部」としての第1固定部45は、接触部46が連続している側面45a、45cと、相互に対向するこれらの側面45a、45cを繋ぐ側面45bとの三側面が連続する壁状に形成されている。
【0036】
側面45bとは反対側の側面45a、45cの板縁には、端子4を可動ハウジング3の固定孔32に圧入して抜け止めするための係止突起45dが設けられている。係止突起45dは固定孔32の右側の孔面に対して押圧接触し、その反力が側面45a、45cを通じて側面45bに伝達することで、側面45bを固定孔32の左側の孔面に圧接させる。
【0037】
側面45bには、平面部45hと、平面部45hに対して窪む凹部45eと、凹部45eの下端に位置する突出部45gが形成されている。
【0038】
平面部45hは、前述のように係止突起45dの圧入によって側面45bが固定孔32の左側の孔面に圧接する「圧接面」となる部分である。その圧接位置は、挿入口321からみて凹部45eを超えた固定孔32の奥側位置となる。
【0039】
凹部45eは平面部45hとは異なり、固定孔32の左側の孔面に圧接しない部分であり、図15で示すように凹部45eと固定孔32の壁面との間には間隙Sが形成される。したがって凹部45eはウィスカの発生原因となる構造要素にはならない。凹部45eは、固定孔32に対して圧接する側面45bに形成されているが、側面45bと側面45aとの屈曲部、また側面45bと側面45cとの屈曲部にも連続して形成されており、さらにそれらの屈曲部に隣接する側面45aと側面45cの部分にも形成されている。それらの屈曲部や側面45a,側面45cの一部にも形成したのは、側面45bと同様に固定孔32の壁面に圧接することがあるからである。
【0040】
突出部45gは、端子4の第1固定部45を可動ハウジング3の固定孔32に圧入する際に、端子の圧入装置の治具による挿入力を受ける部分であり、こうした突出部45gが形成されていることで強い挿入力を受けても第1固定部45の変形を抑制しつつ第1固定部45を圧入することができる。また、端子4の製造工程では、板状の母材を打抜きそれぞれの屈曲した部分が形成される前の端子4の原形について凹部45eをプレス加工により形成した後、各部が屈曲されて端子4が完成する。この凹部45eの形成後に行われる屈曲時に第1固定部45も屈曲加工して形成されるが、このとき突出部45gは側面45bとともに治具に把持されて屈曲加工が行われる。そのため突出部45gは第1固定部45の屈曲加工が行われる際にこれを行い易くするための部位としても機能する。さらに突出部45gは、端子4の第1固定部45が可動ハウジング3の固定孔32に圧入し固定された後は、固定孔32の挿入口321を塞ぐ「蓋」のように突出してウィスカを挿入口321の外部に伸長させ難くする機能も有する。本実施形態では、固定孔32の挿入口321が面取りされており、突出部45gが挿入口321の面取り形状に沿って突出することで、間隙Sが固定孔32の奥側に対して入口側が角度を付けて屈曲する屈曲形状となる。そのため固定孔32の内部で発生し直線状に伸長するウィスカは突出部45gに突き当たり固定孔32の外部への伸長が阻止されることとなる。
【0041】
第1固定部45が固定孔32内に固定されると、係止突起45dが固定孔32の壁面に食い込むとともに、係止突起45dと反対側に位置する側面45bの平面部45hが固定孔32の壁面に押圧接触した状態となる。この押圧力により側面45bの平面部45hと固定孔32の壁面とが圧接する平面部45hの端部45f(側面45bの平面部45hと凹部45eとの境界部)でウィスカが発生しやすくなる。
【0042】
第2固定部44は、固定ハウジング2の下面25に形成された固定孔25aに圧入される、ばね部47よりも幅広の板状の構成であり、左右の側面にそれぞれ2つずつ係止突起44aが形成されている。第2固定部44が固定孔25aに圧入されると係止突起44aが固定孔25aの壁面に食い込み、第2固定部44が固定孔25a内に固定される。
【0043】
ばね部47は、第1固定部45と第2固定部44とを連結する屈曲形状の弾性片であり、可動ハウジング3はばね部47によって固定ハウジング2の内部でXYZ方向に変位可能に浮動状態で弾性支持される。
【0044】
基板接続部41は、第2固定部44から伸長してコネクタ1の回路基板への実装時に回路パターンにはんだ付けされる。
【0045】
コネクタ1の相手端子との導通接続
接続対象物である相手端子をコネクタ1に接続する際には、相手端子を固定ハウジング2の上面21にある挿入孔21aから挿入する。挿入された相手端子は、挿入孔21aから更に可動ハウジング3の開口部31を通じて可動ハウジング3内部へと挿入される。そして相手端子は、端子4の一対の接触部46を押し広げながら導通接触する。これにより相手端子と端子4との電気的な接続が確立される。
【0046】
コネクタ1の作用・効果
コネクタ1によると、端子4の第1固定部45における側面45bの平面部45hが「圧接面」として固定孔32の壁面に圧接するため、当該平面部45hの挿入口321の側の端部45fでウィスカが発生しやすくなる。そして端部45fから発生したウィスカは側面45bの凹部45eが固定孔32の壁面との間に形成する間隙Sの内部で伸長することになり、その間隙S(凹部45e)を超えるほど伸びなければ外部に露出できない(図15参照)。本実施形態ではさらに、突出部45gが挿入口321の面取り形状に沿って突出することで、間隙Sが固定孔32の奥側に対して入口側が角度を付けて屈曲する屈曲形状となる。そのため直線状に伸長するウィスカは凹部45eの外部に露出し難くなり、隣接する端子4どうしの短絡を防止することができる。また、固定孔32から飛び出したウィスカが使用者の指に触れて飛散し、コネクタ1が実装された基板の回路パターンの短絡を生じたりすることを防止することができる。これによりコネクタ1にウィスカが発生、伸長した場合でも安定した接続を確保することができ、信頼性の高いコネクタとすることができる。
【0047】
また、ウィスカによる端子4間や回路パターンの短絡の防止を、可動ハウジング3の形状を複雑化することなく、端子4の形状(凹部45e)によって行うことができるため、可動ハウジング3の金型の製造コストの増加や可動ハウジング3の強度の低下を防止することができる。これによりコネクタ1の製造コストの増加を抑え、コネクタ1の強度の低下も防止しつつウィスカによる短絡防止を行うことができる。
【0048】
更に、凹部45eが第1固定部45の固定孔32と圧接する側面45bの下端部全体に亘り形成されていることにより、当該側面45bにおいて発生するウィスカによる短絡の防止をより効果的に行うことができ、コネクタ1の信頼性を高めることができる。
【0049】
また、凹部45eが形成されている側面45bと固定孔32を形成する壁面とが挿入口321から凹部45eを超える奥まった位置で接触していることにより、ウィスカが発生する箇所である端部45fを凹部45eの奥にすることができ、ウィスカによる短絡の防止をより効果的に行うことができる。
【0050】
更に、端子4の表面に形成された錫めっき層によりウィスカの発生が問題となるが、コネクタ1においては凹部45eが形成されていることによりウィスカの発生による短絡の防止がなされていることから、安全性の高い錫めっき層を安心して用いることができ、環境への安全性の高いコネクタ1とすることができる。
【0051】
変形例[図16
前記実施形態では凹部45eよりも下端側に窪まずに残存した側面45bの一部である突出部45gを形成する例を示したが、例えば図16で示すように突出部45gが無く、凹部45e’の底面がそのまま第1固定部45の下端まで形成されている態様とすることもできる。これによっても第1固定部45の固定孔32内への圧入は可能である。突出部45gを省略することにより凹部45e’の容積を上述した凹部45eよりも大きく確保することができ、ウィスカの発生による短絡の防止効果をより高めることができる。
【0052】
前記実施形態では固定ハウジング2と可動ハウジング3について、端子4を固定する「端子固定部」として固定孔32を例示したが、溝状の端子固定部としてもよい。これによっても端子4を固定できる。
【符号の説明】
【0053】
1 コネクタ
2 固定ハウジング
3 可動ハウジング
4 端子
5 固定金具
21 上面
21a 挿入孔
22 前面
22a 孔部
23 フランジ部
24 位置決め突起
25 下面
25a 固定孔
25b 収容部
25c 第1凹部
25d 空間
26 側面
26a 挿入孔
26b 規制部
27 裏面
27a 開放窓
27b 突出部
31 開口部
32 固定孔(端子固定部)
321 挿入口
34 脚部
35 溝
36 空間
37 突出部
38 隔壁
41 基板接続部
44 第2固定部
44a 係止突起
45 第1固定部(固定部)
45a、45b、45c 側面
45d 係止突起
45e、45e’ 凹部
45f 端部
45g 突出部
45h 平面部
46 接触部
47 ばね部
S 間隙
【要約】
【課題】コネクタの製造コストの上昇を抑え、かつハウジングの強度を低下させることなくウィスカの飛散を防止するコネクタの提供。
【解決手段】可動ハウジング3には、端子4の第1固定部45を圧入して固定する固定孔32を有する。端子4には第1固定部45の側面45bには、固定孔32の挿入口321の側の位置に、固定孔32の壁面から離間する凹部45eを設ける。これにより固定孔32における凹部45eよりも奥側位置にウィスカの発生位置をもってくることができ、凹部45eから外部へのウィスカの飛び出しを抑制することができる。
【選択図】図15
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16