特許第6211210号(P6211210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211210エアバッグの改善またはエアバッグに関する改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211210
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】エアバッグの改善またはエアバッグに関する改善
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/23 20060101AFI20171002BHJP
   B60R 21/232 20110101ALI20171002BHJP
   D03D 1/02 20060101ALI20171002BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   B60R21/23
   B60R21/232
   D03D1/02
   D03D11/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-560810(P2016-560810)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公表番号】特表2017-512703(P2017-512703A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】SE2015050409
(87)【国際公開番号】WO2015156726
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】14163727.2
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ウートン、ゲーリー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン、ヘレン
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126429(JP,A)
【文献】 特開2004−270053(JP,A)
【文献】 特許第5291119(JP,B2)
【文献】 特開2007−062474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
D03D 1/02
D03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のエアバッグであって、当該エアバッグは、重ね合わせた2つの織物層から形成され、前記層の各々は、複数の糸から織られ、前記織物層は、前記2つの層の前記糸を互いに織り合わせることによって少なくとも部分的に互いに接続され、
少なくとも1つの膨張領域であって、前記膨張領域を膨張させるために2つの層の間の空間にガスを導入できるように、前記2つの織物層は実質的に互いに接続されない構造の、当該少なくとも1つの膨張領域と、
少なくとも1つの非膨張領域であって、前記織物層のうちの1つに関して、前記織物層を形成する第1の数の糸の交差点が存在し、かつ前記2つの層の間に第2の数の接続が存在する区域を備える、当該少なくとも1つの非膨張領域とを備え、
各接続において、前記織物層の糸は、他方の層にわたって延在して前記他方の層の糸の遠方側の上を通過し、前記第2の数は、前記第1の数の0.0033倍以下である、自動車用のエアバッグ。
【請求項2】
前記第2の数は、前記第1の数の0.00040倍以上である、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項3】
前記第2の数は、前記第1の数の約0.00055〜約0.0015倍である、請求項1または2に記載のエアバッグ。
【請求項4】
前記第2の数は、前記第1の数の約0.00080倍である、請求項3に記載のエアバッグ。
【請求項5】
自動車用のエアバッグであって、前記エアバッグは、重ね合わせた2つの織物層から形成され、前記層の各々は、第1の複数の糸および第2の複数の糸から織られ、前記第1の複数の糸の糸は、前記第2の複数の糸の糸と実質的に直交して配置され、前記織物層は、前記2つの層の前記糸を互いに織り合わせることによって少なくとも部分的に互いに接続され、前記エアバッグは、
少なくとも1つの膨張領域であって、前記膨張領域を膨張させるために2つの層の間の空間にガスを導入できるように、前記2つの織物層は実質的に互いに接続されていない、少なくとも1つの膨張領域と、
少なくとも1つの非膨張領域であって、前記第1の複数の糸のうちの180本の糸および前記第2の複数の糸のうちの152本の糸からなる区域を備え、前記区域内で前記2つの層の間に90個以下の接続が存在し、各接続において、前記織物層の糸は、他方の層にわたって延在して前記他方の層の糸の遠方側の上を通過する、少なくとも1つの非膨張領域と、を備える、自動車用のエアバッグ。
【請求項6】
前記区域内で前記2つの層の間に11個以上の接続が存在する、請求項5に記載のエアバッグ。
【請求項7】
前記区域内で前記2つの層の間に約15〜約40個の接続が存在する、請求項5または6に記載のエアバッグ。
【請求項8】
前記区域内で前記2つの層の間に約22個の接続が存在する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項9】
前記非膨張領域は、前記エアバッグが膨張したときに圧縮ガスを受容するように接続されていない、請求項1〜8のいずれかに記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記エアバッグは、前記エアバッグが膨張したときにそこを通ってガスが前記エアバッグの内側に送達される1つ以上のガス流入口を備え、前記非膨張領域を前記ガス流入口またはそれらのいずれかと接続するガス通路は存在しない、請求項9に記載のエアバッグ。
【請求項11】
前記エアバッグの膨張領域と前記非膨張領域との間に位置する1つ以上の継ぎ目領域をさらに備え、前記膨張領域の内側にあるガスが前記継ぎ目領域を通って前記非膨張領域の内側に到達することができないように、前記2つの層同士が継ぎ目領域にわたって接続されている、請求項1〜10のいずれかに記載のエアバッグ。
【請求項12】
前記層のうちの1つに関して、前記層は、織り合わされた経糸および緯糸から形成され、前記経糸および緯糸は、実質的に互いに直交する、請求項1〜11のいずれかに記載のエアバッグ。
【請求項13】
一枚織り(OPW)エアバッグであり、好ましくは膨張式カーテン(IC)エアバッグである、請求項1〜12のいずれかに記載のエアバッグ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のエアバッグを備える、エアバッグモジュール。
【請求項15】
請求項14に記載のエアバッグモジュールを備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグに関し、特に、膨張領域および非膨張領域の両方を有するエアバッグに関与する。
【背景技術】
【0002】
特定の種類のエアバッグには、膨張領域および非膨張領域の両方が存在するのが一般的である。例えば、図1は、従来の膨張式カーテン(IC)型エアバッグの略図を示す。膨張前は、この種類のエアバッグは、通常、サイドウィンドウの上に、自動車のルーフラインに沿って丸められた状態および/または折り畳まれた状態で格納される。エアバッグが作動すると(例えば、転覆状態が検出された場合)、エアバッグは、膨張して下方に広がり、フロントおよびリアサイドウィンドウ、ならびにBピラーを覆う。これは、自動車の乗員が車内側壁に投げ飛ばされた場合に緩衝材を提供し、また、乗員が窓を通って自動車の外に投げ出されるのを防止するのに役立つ障壁となる。
【0003】
図1を参照すると、エアバッグ1は、エアバッグ1の上縁部に沿って走る主要ガス送達経路2を含む多数の膨張領域と、互いに略平行であり、一方の端部で主要ガス送達経路と連通する一連の膨張セル3とを備える。膨張セル3の第1のグループ4は、展開後、自動車のフロントサイドウィンドウと整列し、膨張セル3の第2のグループ5は、自動車のリアサイドウィンドウと整列する。
【0004】
膨張セル3の第1のグループ4と第2のグループ5との間に、自動車のBピラーと略整列するエアバッグ1の非膨張領域6が存在する。
【0005】
この種類のエアバッグは、通常、重ね合わせた2つの織物層が織機上で同時に織られる、一枚織り(OPW)構造で形成される。当該技術分野において既知であるように、選択された領域において層が互いに織り合わされる。膨張領域2、3を形成するために、2つの層は互いに織り合わされない。したがって、層の間に空間が形成され、その中に膨張領域2、3を膨張させるためのガスが導入され得る。
【0006】
膨張領域2、3を直接取り囲む領域において、層は、膨張領域2、3のための実質的に気密性の境界を形成するように頑丈に織り合わされる。図1を参照すると、この種類の織り合わせ領域7は、ガス送達経路2の周囲、および膨張セル3の周囲に形成される。エアバッグ1の急速な展開中に膨張領域2、3が膨張する際、また事故の状況において自動車の乗員がエアバッグ1に投げ飛ばされた場合、相当な力がこれらの織り合わせ領域7に加わるため、これらは機械的に堅牢でなければならない。
【0007】
エアバッグ1が形成される2つの層は、通常、織り合わされた経糸および緯糸から形成される織物層を備える。経糸は、実質的に緯糸と直交する。各層の連続的領域において、各経糸は、その長さに沿って出会う各緯糸の下および上を交互に通過することができる。同様に、各緯糸は、その長さに沿って出会う各経糸の下および上を交互に通過することができる。「ヘリンボーン」パターン等の代替の織りパターンでは、一方の種類の糸が、その長さに沿って出会う他方の種類の2つ以上の連続する糸の下または上を通過することができる。当業者は、異なる適切な織りの種類が用いられてもよいことを理解するであろう。
【0008】
織り合わせ領域において、一方または両方の層を形成する経糸および/または緯糸のうちのいくつかは、他方の層までわたり、他方の層の糸と織り合わされ、したがって、2つの層の間に接続を形成する。
【0009】
膨張領域2、3と境を接する織り合わせ領域7は、頑丈で信頼性が高くなければならないため、これらの領域7では、2つの層の糸の大部分が2つの層の間の接続に関与している。例えば、これらの領域7内の糸の100%が、層間の相互接続に関与し得る。非膨張領域6は、織り合わせ領域7によって境界付けられており、膨張領域2、3のどちらとも接続されていない。したがって、非膨張領域6内では、エアバッグ1の2つの層が密接に織り合わされる必要はない。また、非膨張領域6は、自動車にエアバッグ1を設置する際にエアバッグ1を丸めやすくするのに役立つよう、低い剛性を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
改善されたこの種類のエアバッグを提供しようと努めることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の一態様は、自動車用のエアバッグを提供し、エアバッグは、重ね合わせた2つの織物層から形成され、層の各々は、複数の糸から織られ、織物層は、2つの層の糸を互いに織り合わせることによって少なくとも部分的に互いに接続され、エアバッグは、少なくとも1つの膨張領域であって、膨張領域を膨張させるために2つの層の間の空間にガスを導入できるように、2つの織物層は実質的に互いに接続されていない、少なくとも1つの膨張領域と、少なくとも1つの非膨張領域であって、織物層のうちの1つに関して、織物層を形成する第1の数の糸の交差点が存在し、かつ2つの層の間に第2の数の接続が存在する区域を備える、少なくとも1つの非膨張領域と、を備え、各接続において、織物層の糸は、他方の層にわたって延在して他方の層の糸の遠方側の上を通過し、第2の数は、第1の数の0.0033倍未満である。
【0012】
有利には、第2の数は、第1の数の0.00040倍以上である。
【0013】
好ましくは、第2の数は、第1の数の約0.00055〜約0.0015倍である。
【0014】
好都合には、第2の数は、第1の数の0.00080倍である。
本発明の別の態様は、自動車用のエアバッグを提供し、エアバッグは、重ね合わせた2つの織物層から形成され、層の各々は、第1の複数の糸および第2の複数の糸から織られ、第1の複数の糸の糸は、第2の複数の糸の糸と実質的に直交して配置され、織物層は、2つの層の糸を互いに織り合わせることによって少なくとも部分的に互いに接続され、エアバッグは、少なくとも1つの膨張領域であって、膨張領域を膨張させるために2つの層の間の空間にガスを導入できるように、2つの織物層は実質的に互いに接続されていない、少なくとも1つの膨張領域と、少なくとも1つの非膨張領域であって、第1の複数の糸のうちの180本の糸および第2の複数の糸のうちの152本の糸からなる区域を備え、区域内で2つの層の間に90個以下の接続が存在し、各接続において、織物層の糸は、他方の層にわたって延在して他方の層の糸の遠方側の上を通過する、少なくとも1つの非膨張領域と、を備える。
【0015】
有利には、区域内で2つの層の間に11個以上の接続が存在する。
【0016】
好ましくは、区域内で2つの層の間に約15〜約40個の接続が存在する。
【0017】
好都合には、区域内で2つの層の間に約22個の接続が存在する。
【0018】
有利には、非膨張領域は、エアバッグが膨張したときに圧縮ガスを受容するように接続されていない。
【0019】
好ましくは、エアバッグは、エアバッグが膨張したときにそこを通ってガスがエアバッグの内側に送達される1つ以上のガス流入口を備え、非膨張領域をガス流入口またはそれらのいずれかと接続するガス通路は存在しない。
【0020】
好都合には、エアバッグは、エアバッグの膨張領域と非膨張領域との間に位置する1つ以上の継ぎ目領域をさらに備え、膨張領域の内側にあるガスが継ぎ目領域を通って非膨張領域の内側に到達することができないように、2つの層同士が継ぎ目領域にわたって接続されている。
【0021】
有利には、層のうちの1つに関して、層は、織り合わされた経糸および緯糸から形成され、経糸および緯糸は、実質的に互いに直交する。
【0022】
好ましくは、エアバッグは、一枚織り(OPW)エアバッグであり、好ましくは膨張式カーテン(IC)エアバッグである。
【0023】
本発明のさらなる態様は、上記のいずれかによるエアバッグを備えるエアバッグモジュールを含む。
【0024】
本発明の別の態様は、上記によるエアバッグモジュールを備える自動車を含む。
【0025】
本発明がより容易に理解され得るように、次に、例として、添付の図面を参照してその実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来のICエアバッグの略図である。
図2図1のエアバッグの非膨張領域のための既知の織り構造の図である。
図3】本発明を具現化する織り構造の図である。
図4】本発明を具現化する織り構造の図である。
図5】本発明を具現化する織り構造の図である。
図6】本発明を具現化する織り構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
最初に図2を参照すると、例えば、図1に示す既知のエアバッグ1に使用され得るような、ICエアバッグの従来の非膨張領域の図が示される。
【0028】
図2は、セル8の格子を示しており、あるものは白色9で表され、他は影10で表される。図2は、エアバッグの非膨張領域を構成する織物層のうちの1つの織りの略図である。セルの格子は、織物層の経糸および緯糸に対応しており、格子の垂直方向の列が経糸を表し、格子の水平方向の列が緯糸を表す(または、代替としてその逆もある)。
【0029】
図2に示す層が2層織物の上層と見なされる場合、影付きセル10は、経糸が緯糸の上を通過する交差点を表し、白色セルは、経糸が緯糸の下を通過する交差点を表す。当業者は、図2に提示される全体的なパターンが、標準的な平織りの編みパターンのものであることを認識するであろう。
【0030】
図2のいくつかのセル11において、白色セルは、通常の織りパターンの過程で影付きセル10があると予想される位置に見られる。これらのセル11は、糸のうちの1本が他方の織物層(図示せず)にわたって延在し、それによって2つの織物層の間に接続を形成する位置を表す。
【0031】
図2は、180×152セルの格子(180本の「エンド」および152本の「ピック」を表す)、すなわち、糸の間に27,360個の交差点を有する、180本の経糸および152本の緯糸を表す27,360個のセルである(交差点は、これらの目的のために、層の平面に対して垂直な方向で織物層を見た場合に、経糸と緯糸とが互いに交差する位置である)。この格子内において、2つの織物層の間にいくつかの接続が形成される。接続は、好ましくは、層のうちの一方からの糸が層のうちの他方にわたって延在し、層のうちの他方の糸のうちの1本の遠方側の周囲を通過する位置として定義される。
【0032】
層のうちの一方の糸が層のうちの他方にわたって延在し、層のうちの他方の2つの連続する糸の遠方側の周囲を通過する場合、これは、好ましくは2つの接続として定義される。
【0033】
図2に示す例では、層の間に144個の接続点11が存在する。したがって、図示される層の経糸と緯糸の全ての交差のうち、(約)0.0052に相当する交差が2つの層の間の接続を表す。したがって、図2に示すパターンには0.0052の接続密度が存在すると言うことができる。エアバッグの非膨張領域がこの種類の反復パターン(すなわち、端部から端部および側部から側部まで任意の数だけ繰り返される図2のパターン)から形成される場合、非膨張領域は、全体として、約0.0052の接続密度を有するということを理解されたい。
【0034】
明確にするために、図3は、図2に示すパターンの領域の拡大図である。
【0035】
図2に示す織りパターンは、IC型エアバッグの非膨張領域に使用されてきた既知の織りパターンである。このように織られた非膨張領域の試験において、非膨張領域の平均剛性(すなわち、数回の測定後の平均的な剛性)は、King剛性スケールで測定される100〜140Nの領域に見られた(これらの測定を行うためにASTM D 4032による方法が使用された)。後に示す剛性値には、同じ測定方法が使用され、論じられる種々の非膨張領域は、実質的に同じ方法で、すなわち、同じ種類および密度の糸を用いて、ならびに糸の間の間隔またはピッチを同じにして形成された。したがって、剛性値は、まさに互いに同程度である。
【0036】
図4は、セル8のさらなる格子であり、この格子は、本発明を具現化する第1の織りパターンを表している。図4において、2つの層の間の接続を表す、比較的短い「線」がセル11から形成される。図4に示す実施形態において、これらの線は斜め(すなわち、経糸および緯糸の方向に対して斜め)であり、経糸および緯糸の両方の方向に対して実質的に45度に設定される。接続線の各々は、略直線状であり、線はジグザグ構成の進路をとるように配置される。
【0037】
図4も同様に、180×152セルの格子を示し、この格子内には22個の接続が存在する。したがって、このパターンは、(約)0.00080の接続密度を表す。
【0038】
試験後、この織りパターンを用いて形成された非膨張領域は、40〜80Nの範囲のKing剛性を有することが分かった。これは、図2に示す従来の織りパターンの剛性よりも著しく低いことが理解されよう。
【0039】
図5を参照すると、この図は、セル8のさらなる格子を示しており、この格子は、本発明を具現化する第2の織りパターンを表している。図5において、2つの層の間の接続を表す、セル11の実質的に連続的な線が形成される。図示される例において、この線は、ジグザグ構成を有する。図5も同様に、180×152セルの格子を示し、この格子内には90個の接続が存在する。したがって、このパターンは、(約)0.0033の接続密度を表す。
【0040】
試験後、この織りパターンを用いて形成された非膨張領域もまた、40〜80Nの範囲のKing剛性を有することが分かった。この場合も同様に、これは、図2に示す従来の織りパターンの剛性よりも著しく低い。
【0041】
図5に示すパターンの接続密度は、本発明を具現化する織りパターンの最大接続密度を表すと考えられる。接続密度がこの値を超えた場合、結果として得られる非膨張領域は望ましくない高い剛性を有する可能性が高くなり、そのため、梱包および設置のためにエアバッグを丸めることが困難になる。
【0042】
図6を参照すると、この図は、セル8のさらなる格子を示しており、この格子は、本発明を具現化する第3の織りパターンを表している。このパターンは、図3に示すパターンと類似しているが、ジグザグパターンをとる接続11の短い線の代わりに、ジグザグパターンをとる個別の離間された接続11が存在する。図6も同様に、180×152セルの格子を示し、この格子内には11個の接続が存在する。したがって、このパターンは、(約)0.00040の接続密度を表す。
【0043】
試験後、この織りパターンを用いて形成された非膨張領域も同様に、40〜80Nの範囲のKing剛性を有することが分かった。これもまた、図2に示す従来の織りパターンの剛性よりも著しく低い。
【0044】
図6に示すパターンの接続密度は、本発明を具現化する織りパターンの最小接続密度を表すと考えられる。接続密度がこの値よりも低い場合、エアバッグの2つの層は互いに十分に接続されず、エアバッグは、丸める/梱包する間、また展開する間に、その正しい構成を保持しないことが予想される。また、接続点が非常に少ない場合、品質検査中に、接続点が織りパターンにおける欠陥と間違われる可能性があることも分かった。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、(前述のような)一方の種類の180本の糸と織り合わされた他方の種類の152本の糸からなる領域には、約0.00055〜0.0015の接続密度に対応して、約15〜40個の接続が存在する。
【0046】
上に挙げた例において、接続点は、ジグザグまたはZパターンをとる線状に配置される。これが、望ましい剛性を有する織りパターンをもたらすことが分かった。
【0047】
これに加えて、接続点をこのように配置することにより、接続点と織りパターンにおける望ましくない欠陥とを比較的区別しやすくなる。製造の最終段階において、織物材料は、通常、何らかの欠陥を有するかどうかを調べるために入念に検査される。この検査は、人間オペレータによって、または1つ以上のカメラを有する機械によって実行され得る。いずれの技法においても、接続点を予想可能なパターンに配置することにより、接続点が欠陥と間違われる可能性を最小限に抑え、これらの接続点の線は欠陥であると判断されるべきではないということを認識するようにカメラシステムを訓練することができる。接続点が織りパターンにわたって均等に分布される場合、この検査ステップがより一層困難になるであろうことが予想される。
【0048】
ジグザグまたはZパターンは、織りパターンに関してほぼ1つの「レベル」を維持する反復および予想可能なパターンを提供する。
【0049】
使用において、上記のような非膨張領域を備えるエアバッグは、任意の好適な様式で形成されてもよい。例えば、織機の動作を制御するコンピュータシステムに、エアバッグの非膨張領域(複数可)のための適切な織りパターンがプログラムされた、OPWエアバッグを織るために使用される従来の織機が使用されてもよい。当業者は、どのようにこれが達成され得るかを容易に理解するであろう。エアバッグの一部または全ての織物は、次いで、例えば、織物の透過性を低下させるために、および/または織物に耐熱性/難燃性を付与するために、(当該技術分野で既知のように)コーティングされてもよい。
【0050】
完成したエアバッグは、通常の様式で自動車に設置するために丸められるおよび/または折り畳まれる。
【0051】
本発明の実施形態は、膨張および展開中にいずれの性能も喪失することなく、特に丸めおよび梱包に関して、改善された特徴を有するエアバッグを提供することを理解されたい。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含む」および「含んでいる」ならびにそれらの変形例は、指定された特徴、ステップ、または整数が含まれることを意味する。この用語は、他の特徴、ステップ、または整数の存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0053】
具体的な形態で、あるいは開示される機能を実行するための手段、または、必要に応じて、開示される結果を得るための方法もしくはプロセスに関して表現される、上述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示される特徴は、別個に、またはそのような特徴の任意の組み合わせにおいて、本発明をその多様な形態で実現するために用いられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6