特許第6211212号(P6211212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211212
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】覆い付きマイクロニードルアレイ
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   A61M37/00 516
   A61M37/00 505
【請求項の数】36
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-562966(P2016-562966)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-511216(P2017-511216A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】US2015028154
(87)【国際公開番号】WO2015168214
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/996,148
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310007106
【氏名又は名称】キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ティー・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・デイブラー・ギャズビー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・エフ・ロス
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−514179(JP,A)
【文献】 特表2013−513408(JP,A)
【文献】 再公表特許第2007/116959(JP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0237925(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0079711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
マイクロニードル組立品と、膜とを備え、
前記マイクロニードル組立品は、
ベース面と、
前記ベース面から外向きに延長する複数のマイクロニードルと、前記マイクロニードル組立品のマイクロニードルによって少なくとも部分的に画定される経路とを備え、
前記膜は、前記複数のマイクロニードルの少なくとも一部分の上を覆い、
前記膜が、前記経路と流体連通しており、前記経路の長さに沿って開いた細長い開口部を備え、
前記膜が前記マイクロニードルの先端をカバーする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記細長い開口部の長さが、前記細長い開口部の幅の少なくとも2倍の大きさである装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記細長い開口部の長さが一方向に延長し、前記経路の長さが、前記細長い開口部の前記長さが延長する方向と実質的に同じ方向に延長する装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記経路が前記マイクロニードルによって少なくとも部分的に画定されたチャネルを備え、
前記チャネルの長さが一方向に延長し、
前記細長い開口部の長さが、前記チャネルの前記長さが延長する方向と実質的に同じ方向に延長する装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記膜がポリマーフィルムを含む装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記ベース面が前記マイクロニードル組立品のベース構造の第一の表面であり、
前記ベース構造が前記第一の表面から反対の第二の表面をさらに備え、
前記装置が、前記第二の表面に近接し、前記マイクロニードルと流体連通しているレザバーをさらに備え、前記レザバーが前記経路によって前記膜の前記細長い開口部と流体連通している装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記膜と前記マイクロニードルとの間にギャップが画定されるように、前記膜の少なくとも一部分が前記マイクロニードルから間隔を置いており、
前記ギャップが、少なくとも部分的に前記マイクロニードルを取り囲み、かつ少なくとも部分的に前記マイクロニードルに沿って延長する装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記細長い開口部の長さが、前記マイクロニードルの全長の10%〜80%の範囲内である装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置であって、
前記細長い開口部の幅が、前記チャネルの幅の70%〜130%の範囲内である装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記細長い開口部が向かい合った第一および第二の端部を含み、
前記第一の端部が前記第二の端部と前記マイクロニードルの先端の頂点との間に位置付けられ、
前記第一の端部と前記頂点との間の距離が前記マイクロニードルの全長の30%未満である装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記細長い開口部が向かい合った第一および第二の端部を含み、
前記第一の端部が前記第二の端部と前記マイクロニードルの先端の頂点との間に位置付けられ、
前記第一の端部と前記頂点との間の距離が前記マイクロニードルの前記先端の長さとほぼ等しい装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記マイクロニードルの前記先端の長さが、前記マイクロニードルの全長の10%〜30%の範囲内である装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
前記膜が、
前記マイクロニードルの少なくとも外側部分と向かい合わせて対面する接触状態にある外側部分と、
前記ベース面の少なくとも一部分に向かって面する内側部分とを備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記膜が、前記膜の前記内側部分と前記外側部分との間に延長するプリーツを画定する装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、
前記膜が、前記マイクロニードルに近接して位置付けられたプリーツを画定し、
前記プリーツの折り目が、前記経路および前記細長い開口部から成る群から選択される少なくとも一つの機構と整列していない装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
ギャップが前記マイクロニードルと、前記マイクロニードルと向かい合わせて対面する関係にある前記プリーツの少なくとも一部分との間に画定されるように、前記プリーツが前記マイクロニードルに隣接して位置付けられており、
前記プリーツの前記折り目が前記経路と整列しておらず、
前記プリーツの前記折り目が前記細長い開口部と整列していない装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置であって、
前記プリーツが、前記膜の第一および第二の部分であって、
前記折り目に沿ってお互いに結合されており、
前記折り目から離れた位置でお互いに向かい合わせて対面する関係にある第一および第二の部分を備える装置。
【請求項18】
装置であって、
マイクロニードル組立品と、膜とを備え、
前記マイクロニードル組立品は、
ベース面と、
前記ベース面から外向きに延長する複数のマイクロニードルと、
前記マイクロニードル組立品のマイクロニードルによって少なくとも部分的に画定される経路とを備え、
前記膜は、前記複数のマイクロニードルの少なくとも一部分の上を覆い、
前記膜が前記経路と流体連通している開口部を備え、
前記膜と前記マイクロニードルとの間にギャップが画定されるように、前記膜の少なくとも一部分が前記マイクロニードルから間隔を置いており、
前記ギャップが、少なくとも部分的に前記マイクロニードルを取り囲み、かつ少なくとも部分的に前記マイクロニードルに沿って延長し、
前記膜が前記マイクロニードルの先端をカバーする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記ギャップが実質的に完全に前記マイクロニードルの周りに延長する装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置であって、
前記ギャップが前記マイクロニードルの先端に向かって狭くなるように、前記ギャップのサイズが前記マイクロニードルの長さに沿って先細になる装置。
【請求項21】
請求項18に記載の装置であって、
前記膜が、
前記マイクロニードルの少なくとも外側部分と向かい合わせて対面する接触状態にある外側部分と、
前記ベース面の少なくとも一部分に向かって面する内側部分とを備え、前記ギャップが前記膜の前記内側部分と前記外側部分との間に位置付けられている装置。
【請求項22】
方法であって、
膜およびマイクロニードル組立品をお互いに重なり合う関係に配列する工程であって、
前記マイクロニードル組立品が、向かい合った第一および第二の面を含むベース、前記第一の面から外向きに延長する複数のマイクロニードル、および前記ベースを少なくとも通って延長する複数の穴を備え、
前記膜および前記マイクロニードル組立品を前記お互いに重なりあう関係に配列する前記工程が、前記膜が前記複数のマイクロニードルのうち一つのマイクロニードルの少なくとも一部分に近接していることから成る、該工程と、
前記膜に開口部を、前記開口部が前記複数の穴の少なくとも一つの穴と流体連通するように形成する工程であって、前記形成が、
前記膜が前記マイクロニードルの前記少なくとも一部分に近接している間に、貫通部材で前記膜を貫通することと、
前記ベースを少なくとも通って延長する前記少なくとも一つの穴に、前記貫通部材を導入することの両方から成る、該工程とを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記少なくとも一つの穴の中への前記貫通部材の前記導入が、前記貫通部材での前記膜の前記貫通前に起こる方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、
前記貫通部材での前記膜の前記貫通前に、前記少なくとも一つの穴に前記貫通部材を通過させる工程を含み、かつ
前記少なくとも一つの穴を通した前記貫通部材の前記通過が、前記少なくとも一つの穴への前記貫通部材の前記導入から成り、
前記少なくとも一つの穴への前記貫通部材の前記導入が、前記少なくとも一つの穴への開口部によって前記少なくとも一つの穴に前記貫通部材を導入することから成り、前記少なくとも一つの穴の前記開口部が前記ベースの前記第二の面によって画定される方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、
前記貫通部材がレーザービームである方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記開口部が第一の開口部であり、
前記方法が、前記レーザービームを分割する工程をさらに含み、前記分割が前記レーザービームの第一の部分および前記レーザービームの第二の部分を提供することから成り、
レーザービームでの前記膜の前記貫通が、前記レーザービームの前記第一の部分で前記膜を貫通することから成り、
前記方法が、前記膜の第二の開口部を、前記第二の開口部が前記少なくとも一つの穴と流体連通するように形成する工程をさらに含み、前記第二の開口部の前記形成が、前記レーザービームの前記第二の部分で前記膜を貫通することから成る、方法。
【請求項27】
方法であって、
膜およびマイクロニードル組立品をお互いに重なり合う関係に配列する工程であって、
前記マイクロニードル組立品が、ベース面から外向きに延長する複数のマイクロニードル、および複数の経路を備え、
少なくとも一部の経路が、経路整列方向にお互いに整列している工程と、 前記経路整列方向および前記膜の最大伸長の方向をお互いに対して所定の構成に配列する工程と、
前記膜を前記マイクロニードル組立品に取り付ける工程であって、その間、
前記膜および前記マイクロニードル組立品がお互いに重なり合う関係にあり、かつ
前記経路整列方向および前記膜の前記最大伸長の方向がお互いに対して所定の構成にあり、前記膜が前記マイクロニードルの先端をカバーする、該工程とを含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記膜の前記最大伸長の方向を少なくとも部分的に画定する工程をさらに含み、前記膜の前記最大伸長の方向と実質的に平行な方向に前記膜を引っ張る工程を含む、方法。
【請求項29】
装置であって、
マイクロニードル組立品と、膜とを備え、
前記マイクロニードル組立品は、
ベース面と、
前記ベース面から外向きに延長する複数のマイクロニードルと、前記複数のマイクロニードルによって少なくとも部分的に画定される複数の経路とを備え、
前記膜は、前記マイクロニードル組立品の上を覆い、前記膜が複数のプリーツを画定する装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、
前記プリーツの少なくとも一部が、前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の平面図のプリーツ整列方向にお互いに整列しており、
前記経路の少なくとも一部が、前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の平面図の経路整列方向にお互いに整列している装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって、
前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の前記平面図で、前記経路整列およびプリーツ整列方向がお互いに非平行である装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、
前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の前記平面図で、前記経路整列およびプリーツ整列方向がお互いに実質的に平行である装置。
【請求項33】
請求項30に記載の装置であって、
前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の前記平面図で、前記経路整列およびプリーツ整列方向がお互いに斜めに延長する装置。
【請求項34】
請求項30に記載の装置であって、
前記膜が、前記複数の経路とそれぞれ流体連通している複数の開口部をさらに画定し、
前記複数の開口部の少なくとも一部が、前記膜で覆われた前記マイクロニードル組立品の平面図の前記経路整列方向にお互いに整列している装置。
【請求項35】
請求項29に記載の装置であって、
前記膜が押出しフィルムを含む装置。
【請求項36】
請求項29に記載の装置であって、
前記マイクロニードル組立品の各マイクロニードルの全長が、1000マイクロメートル未満である装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願第61/996,148号(2014年4月30日出願)の利益を主張する。
【0002】
(参照による組み込み)
WO2012/020332(Ross)、WO2011/070457(Ross)、WO2011/135532(Ross)、US2011/0270221(Ross)、US2013/0165861(Ross)、および米国仮出願第61/996,148号(Baker等)のそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本主題は、皮膚を通して患者に薬物製剤を送達しうるマイクロニードルアレイに一般的に関連する。
【背景技術】
【0004】
多くの装置が、マイクロニードルアレイを使用して、薬物およびその他の医薬品化合物の経皮的送達を行なうためにこれまでに開発されてきた。マイクロニードルは、大きな従来型の針と比べて、患者に引き起こす痛みが少ないという利点がある。さらに、針を介した薬物の従来的皮下(しばしば、筋肉中)送達は、大量の薬物を一度に送達するように働き、それによって薬物の生物学的利用率のスパイクを生じることがよくある。特定の代謝プロフィールを持つ薬剤では、これは大きな問題ではない。しかし、多くの薬物は、患者の血流中で定常状態濃度を有することによって恩恵を受ける。かかる薬物の周知の例は、インスリンである。マイクロニードルアレイを含む経皮的薬物送達装置は、長期間に渡って一定速度で薬物をゆっくりと投与することが技術的に可能である。あるいは、マイクロニードルアレイを含む経皮的薬物送達装置は可変速度で薬物を投与しうる。従って、マイクロニードルアレイを含む経皮的薬物送達装置は、従来的皮下薬物送達方法に対して、いくつかの利点を提供する。
【0005】
新しい特性バランスを提供するマイクロニードルアレイまたは組立品が望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、マイクロニードル組立品のマイクロニードルを覆う膜の開口部の少なくとも一部の構成を制御することに関連する。例えば、開口部の構成は、開口部を形成する方法を制御することによって、および/または膜で覆う方法を制御することによって制御できる。
【0007】
本開示の一態様は、マイクロニードル組立品のマイクロニードルの少なくも一部を覆う膜を含む装置の提供であり、マイクロニードルは組立品のベース面から外向きに延長し、経路はマイクロニードル組立品のマイクロニードルによって少なくとも部分的に画定され、覆った膜は、細長い開口部が経路と流体連通するように経路の長さに沿って開いた細長い開口部を含む。経路は、マイクロニードルによって少なくとも部分的に画定されたチャネルを備えることができ、チャネルの長さおよび細長い開口部の長さは実質的に同じ方向に延長する。
【0008】
本開示の別の態様によると、装置は、マイクロニードル組立品のマイクロニードルの少なくとも一部を覆う膜を含み、マイクロニードルは組立品のベース面から外向きに延長し、経路はマイクロニードル組立品のマイクロニードルによって少なくとも部分的に画定され、膜とマイクロニードルとの間にギャップが画定されるように膜の少なくとも一部分はマイクロニードルから間隔を置いてもよい。ギャップは、少なくとも部分的にマイクロニードルを取り囲み、かつ少なくとも部分的にマイクロニードルに沿って延長する。覆った膜は、経路と流体連通する開口部を含むことができる。開口部が経路の長さに沿って開くように、開口部は細長くてもよい。
【0009】
ギャップは、膜の開口部の形成を少なくとも部分的に制御する形で構成されうる。より具体的な例として、ギャップの形状および/またはサイズは、膜の開口部の形状および/またはサイズを少なくとも部分的に制御する場合がある。一例では、ギャップのサイズおよび膜の開口部のサイズは相互に反比例する。別の例として、ギャップの形状は、膜の一つ以上のプリーツによって少なくとも部分的に画定される場合があるが、プリーツはオプションであり、省略されてもよい。プリーツが存在する場合、それらの少なくとも一部はお互いにプリーツ整列方向に整列する場合があり、プリーツ整列方向は、マイクロニードル組立品の経路の少なくとも一部が整列している経路整列方向と平行または非平行でありうる。
【0010】
本開示の一態様によると、方法は、膜がマイクロニードル組立品のマイクロニードルの少なくとも一部分と近接するように、膜およびマイクロニードル組立品をお互いに重なり合う関係に配列する工程と、開口部がマイクロニードル組立品の少なくとも一つの穴と流体連通するように、膜の開口部を形成する工程とを含み、開口部の形成は、膜がマイクロニードルの少なくとも一部分に近接している間に貫通部材で膜を貫通する工程と、少なくともベースを通って延長する少なくとも一つの穴の中に貫通部材を導入する工程の両方から成る。少なくとも一つの穴の中に貫通部材を導入する工程は、貫通部材で膜を貫通する前に起こる場合がある。より具体的には、貫通部材で膜を貫通する前に貫通部材は少なくとも一つの穴を通過する場合があり、膜からはマイクロニードル組立品の反対側にある少なくとも一つの穴への開口部を通って、貫通部材が少なくとも一つの穴の中に導入されうる。貫通部材はレーザービームである場合がある。
【0011】
本開示の別の態様によると、方法は、膜およびマイクロニードル組立品をお互いに重なり合う関係に配列する工程を含み、ここでマイクロニードル組立品の経路の少なくとも一部は、お互いに経路整列方向に配列され、また方法は、経路整列方向および膜の最大伸長方向をお互いに対して所定の構成に配列する工程をさらに含む。膜およびマイクロニードル組立品の両方がお互いに重なり合う関係にある間に、膜をマイクロニードル組立品に取り付けることができ、経路整列方向および膜の最大伸長の方向はお互いに対して所定の構成にある。膜の最大伸長の方向は、膜の最大伸長の方向と実質的に平行な方向に膜を引っ張ることによって少なくとも部分的に画定されうる。経路整列方向および最大伸長の方向の配列は、膜とマイクロニードル組立品との間の、相対的回転などの相対的動きを起こす工程から成る場合がある。プリーツが膜に形成される場合があり、プリーツは最大伸長の方向に延長できるが、プリーツはオプションであり省略されてもよい。
【0012】
前述は、基本的理解を提供するために、本開示の一部の態様を簡略化した要約を示している。前述の要約は広範囲ではなく、本発明の主要または重要な要素を特定すること、または本発明の範囲を線引きすることは目的としていない。前述の要約の目的は、以下に示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の一部の概念を簡略形態で示すことである。例えば、その他の態様が以下から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下で添付図面に言及するが、これらは必ずしも原寸に比例しては描かれておらず、概略図の場合がある。図面は例示目的のみであり、本発明を制限するとして解釈されるべきでない。
【0014】
図1】本開示の第一の実施形態による、薬物送達装置の膜で覆われたマイクロニードル組立品の一部分の底面図(すなわち、顕微鏡写真)である。
図2】第一の実施形態の薬物送達装置の一部分の概略拡大断面図であり、図2にはマイクロニードル組立品、マイクロニードル組立品のマイクロニードルを横切って覆われた膜、およびマイクロニードル組立品の後面を横切って延長し、レザバーまたはプレナムチャンバーを部分的に画定する制御膜が含まれる。
図3図1および2の膜で覆われたマイクロニードル組立品の一部分の概略拡大底面図であり、代表的な膜で覆われたマイクロニードルが示されている。
図4図1および2のマイクロニードル組立品の一部分の概略的な分離拡大横断面図であり、断面は実質的に図5の線4−4に沿って切り取られている。
図5図4のマイクロニードル組立品の一部分の概略拡大上面図であり、視界から隠されている代表的マイクロニードルが破線で示されている。
図6図5のマイクロニードル組立品の一部分の概略拡大底面図である。
図7】第一の実施形態によるマイクロニードル組立品の上を膜で覆うためのシステムおよび方法を概略的に示す。
図8図7のドレープ膜およびマイクロニードル組立品の概略上面図である。
図9】ドレープ膜の開口部の形成前の、膜で覆われたマイクロニードル組立品の一部分の概略拡大図であり、第一の実施形態による代表的な膜で覆われたマイクロニードルが示されている。
図10A】細長い開口部がレーザーによって形成されるのを示していることを除いて、第一の実施形態による図9と類似している。
図10B】第一の実施形態のマイクロニードルの概略的な分離側面図であり、ドレープ膜の細長い開口部はマイクロニードルのチャネル上に重ねて図示されている。
図11図11が覆われたマイクロニードル組立品の第二の実施形態を示していることを除いて、図3と類似している。
図12図12が覆われたマイクロニードル組立品の第二の実施形態を示していることを除いて、図9と類似している。
図13図13が覆われたマイクロニードル組立品の第二の実施形態を示していることを除いて、図10Aと類似している。
図14図14が覆われたマイクロニードル組立品の第三および四の実施形態を示していることを除いて、図1と類似している。
図15図15が覆われたマイクロニードル組立品の第三および四の実施形態を示していることを除いて、図1と類似している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的実施形態が以下に記述され、添付の図面に示されるが、いくつかの図にわたって類似の数字は類似の部分を指す。記述される実施形態は例を提供し、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。その他の実施形態および記述される実施形態の変更および改善は、当業者であれば思い浮かぶはずであり、このようなその他の実施形態、変更、および改善のすべては本発明の範囲内である。
【0016】
図1は、本開示の第一の実施形態による、薬物送達装置の一部として使用されうる膜で覆われたマイクロニードル組立品の一部分の顕微鏡写真である。また図2を参照して最もよく理解されるように、マイクロニードル組立品またはアレイ12の根本的形状の少なくとも一部が図1で見られるが、マイクロニードルアレイの実際の表面は、図1の非透明のドレープ膜14の後ろで視界からは実質的に隠されている。あるいは、ドレープ膜14はより透明でもよい。図1は、ドレープ膜14のオプションのプリーツ(例えば、図3、9および10Aのプリーツ16を参照)および開口部(例えば、図3および10Aの細長い開口部18を参照)さらに示し、これは以下でより詳細に検討される。プリーツ16は、以下でより詳細に検討されるように、本開示の実施形態の一部のバージョンではプリーツは省略されているため、オプションである。
【0017】
図2は、第一の実施形態の薬物送達装置10の少なくとも一部分の断面を概略的に示し、薬物送達装置は図1の膜で覆われたマイクロニードル組立品を含む。つまり、装置10は、マイクロニードルアレイまたは組立品12、ならびにマイクロニードル組立品のマイクロニードル20および前面22(例えば、ベース面)を少なくとも部分的に横切って覆う少なくとも一つの膜14を含む。前面22は、マイクロニードル組立品12の組立品ベース24のベースまたは前面と呼ばれる場合がある。マイクロニードル20は、組立品ベース24の前面22から延長しうる。装置10は、組立品ベース24の後面28を横切って延長する少なくとも一つの流量制御膜26またはその他の適切な膜をさらに含みうる。後面28および/または流量制御膜26は、マイクロニードル組立品12に流体を提供するためのレザバーまたはプレナムチャンバー29を部分的に画定する場合があり、流体は一般的には、流量制御膜26および/またはその他の適切な膜によってマイクロニードル組立品12に提供される。装置10は、以前に参照により本明細書に組み込まれた文書の一つ以上に開示されたものなど、その他の適切な形態をさらに含みうる。
【0018】
プレナムチャンバー29から供給された流体は、液体薬物製剤の形態である場合がある。非常に一般的に説明すると、膜で覆われたマイクロニードル20は、細長い開口部18(図3および10A)などにより、使用者の皮膚に液体薬物製剤を提供するなどのために、使用者(例えば、患者)の皮膚を貫通するためのものである。本開示の一態様によると、細長い開口部18およびプリーツ16(図3、9、および10A)のお互いに対する位置付け、および/またはプリーツ16のサイズは、細長い開口部のサイズ、従って薬物製剤と皮膚との間の接触面積を少なくとも部分的に制御するように選択される場合があり、これは以下でより詳細に検討される。しかし、以下でより詳細に検討されるように、プリーツ16はオプションであり省略されてもよい。
【0019】
図2は、例えば、ドレープ膜14と流量制御膜26の厚さが誇張されているため、概略図である。ドレープ膜14は、高分子(例えば、プラスチック)フィルム、または同種のものを含む、またはそのものである場合があり、マイクロニードル組立品12から別々に形成(例えば、押し出し)され、その後にマイクロニードル組立品に取り付けられうるが、これは以下でより詳細に検討される。随意に、ドレープ膜は、エンボス加工された、またはナノインプリントされた高分子(例えば、プラスチック)フィルム、または同種のものを含む、またはそのものである場合がある。例えば、参照により以前に本明細書に組み込まれた文書の少なくとも一つによって開示されるように、ドレープ膜14はナノトポグラフィを含む場合があるが、このような形態は省略されてもよい。つまり、ドレープ膜14の任意のエンボスまたはナノトポグラフィは省略されてもよい。一例として、ドレープ膜14は、約5ミクロンの厚さのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムを含む場合がある、またはドレープ膜は、ポリプロピレンフィルムなどのその他任意の適切な材料である場合がある。
【0020】
例えば、流量制御膜26は、薬物製剤、または同種のものの流量を制御するための当技術分野で知られている透過性、半透過性または微孔性材料から製作されうる。少なくとも理論的には、流量制御膜が省略された実施形態がありうる。別の例として、流量制御膜26は、一つ以上のその他の適切な膜と組み合わせる、および/または置換されうる。
【0021】
上記で言及したように、マイクロニードル20は、組立品ベース24の前面22から外向きの方向に延長すると説明されうる。組立品ベース24または同種のものからのこの外向きの方向は、理解を簡単にするために本開示の詳細説明部分で使用される場合がある基準系としての役割を果たしうる。例えば図2を参照すると、ドレープ膜14は、向かい合った内側および外側部分30、32、ならびにドレープ膜のそれぞれの内側部分と外側部分との間に延長する中間部分34を含むものとして特徴付けることができる。理解を簡単にするために本開示のこの詳細説明部分で使用するために、一つ以上の基準系が確立される一方、本発明はその他の適切な基準系を参照して記述および理解もされうるため、本発明は本開示のこの詳細説明部分に使用される基準系に限定されない。
【0022】
一般的に、ドレープ膜14の少なくともすぐ後ろはマイクロニードル組立品12に取り付けられており、ドレープ膜の内側部分30のそれぞれは組立品ベース24の前面22の少なくとも一部分と近接し、前を向いているかまたは向かい合わせて対面する関係にある場合がある。より具体的には、ドレープ膜14の内側部分30のそれぞれ、大部分、または少なくとも一部は、組立品ベース24の前面22の少なくとも一部分と向かい合わせて対面する接触状態にある場合がある。さらに具体的には、内側部分30と前面22との間の任意の対面接触は、実質的に連続した環状接触エリアを画定するように、隣接するマイクロニードル20の周りに実質的に連続的に随意に延長する場合がある。同様に、ドレープ膜14の外側部分32のそれぞれ、大部分、または少なくとも一部は、それぞれのマイクロニードル20の少なくとも外側部分と近接するかまたは向かい合わせて対面する接触状態にある場合がある。より具体的には、各外側部分32は、実質的に連続した環状接触エリアの実質的に全体を通して、それぞれのマイクロニードル20の外側部分と向かい合わせて対面する接触状態にある場合がある。ドレープ膜14がマイクロニードル組立品12と向かい合わせて対面する接触状態にある所では、ドレープ膜はマイクロニードル組立品と接着している場合があり、これは以下でより詳細に検討される。
【0023】
ドレープ膜14の中間部分34のそれぞれ、大部分、または少なくとも一部は、それぞれのマイクロニードル20の内側部分および組立品ベース24の前面22の両方と接触しておらず、かつ向かい合わせて対面する関係にある場合があり、その結果、中間部分34とマイクロニードル組立品12との間にギャップ36が画定される。各マイクロニードル20については、関連するギャップ36はマイクロニードルに少なくとも部分的に沿って延長する場合があり、ギャップもマイクロニードルの少なくとも一部分を少なくとも部分的に囲んで延長する場合があるか、またはギャップはマイクロニードルの少なくとも内側部分を実質的に完全に囲んで延長する場合がある。第一の実施形態では、一般的には、ギャップ36は環状であり、マイクロニードル20を完全に囲んで延長する。さらに、マイクロニードルの外側端部に向かってギャップが狭くなるように、ギャップ36はマイクロニードル20の長さに沿って先細であってよい。本開示の一態様によると、細長い開口部18およびギャップ36のお互いに対する位置付け、ギャップのサイズおよび/またはギャップの形状は、細長い開口部のサイズ、従って薬物製剤と皮膚との間の接触面積を少なくとも部分的に制御するように選択される場合があり、これについては以下でより詳細に検討される。随意に、プリーツ16は、ギャップ36のサイズおよび形状を調整するために含められるおよび/または制御されうるが、ギャップ36のサイズおよび形状はその他任意の適切な方法で調整してもよい。つまり、プリーツ16は、省略または大幅に最小化できる選択的形態である場合がある。
【0024】
図1に示され、図3の代表的な覆われたマイクロニードルの参照番号で特定されるように、ドレープ膜14はプリーツ16と呼ばれる場合がある折り目を随意に含みうる。より具体的に、また図3を参照すると、ドレープ膜14の中間部分34はそれぞれ、一対のプリーツ16と呼ばれる場合がある対になった折り目を含みうる。プリーツ16が存在する時、マイクロニードル20の少なくとも一部、大部分、またはそれぞれに実質的に近接して位置付けられた(例えば、実質的にかみ合い、そこから外向きに延長する)少なくとも一対のプリーツ16がある場合がある。各マイクロニードル20および関連する対になったプリーツ16については、各プリーツは、少なくとも一つの折り目40および折り目に沿ってお互いに結合されたドレープ膜14の向かい合った部分42を含むとして特徴付けることができる。各折り目40は、関連するマイクロニードル20の長さの少なくとも一部分に沿って弓状に延長する場合がある。
【0025】
各プリーツ16については、プリーツ16の一部でありプリーツの折り目40によって互いに結合されたドレープ膜14の向かい合った部分42のそれぞれはプリーツ部分42として呼ばれる場合がある。第一の実施形態の各プリーツ16については、プリーツのプリーツ部分42はお互いに向かい合わせて対面する関係にある場合がある。各プリーツ16については、折り目40で結合されていることを除いて、プリーツのプリーツ部分42の間に向かい合わせて対面する接触状態がある場合もない場合もある。つまり、少なくとも一部のプリーツ16のそれぞれについては、プリーツのプリーツ部分42の間に少なくともいくらかの向かい合わせて対面する接触状態がある場合がある。対照的例として、少なくとも一部のプリーツ16のそれぞれについては、プリーツの折り目40は、プリーツのプリーツ部分42の間に実質的にいかなる向かい合わせて対面する接触状態もないように、柔らかい丸みのあるひだを画定する、またはその一部であると言われる場合がある。少なくとも一部のプリーツ16のそれぞれについては、プリーツのプリーツ部分42は、プリーツの折り目40から離れる方向に、お互いに対して分岐的に延長する場合がある。
【0026】
図3では、ドレープ膜14の細長い開口部18は図3が平面図であるため細長くは見えない。対照的に、開口部18の細長いという性質は図1、10Aおよび10Bでは明らかであり、開口部がマイクロニードル20の長さに沿って延長しているのが示されている。細長い開口部18は図10Aに示されるよりも短くてもよく、細長い開口部は図10Aに示されるよりも組立品ベース24の前面22から離れて位置付けられる場合があり、これは以下でより詳細に検討される。また図3を参照すると、第一の実施形態の各マイクロニードル20は、使用者の皮膚の中におよび/または皮膚を通して送達するために、薬物製剤がマイクロニードル組立品12を通って流れることを可能にする2つの経路44(図3および4)を少なくとも部分的に画定する。第一の実施形態では、ドレープ膜の14のそれぞれの細長い開口部18は、それぞれの経路44の一部分と実質的に同一の広がりを持ち、実質的に同軸性である。つまり、経路44および細長い開口部18は、プレナムチャンバー29(図2)から使用者の皮膚の中におよび/または皮膚を通して薬物製剤を送達するために協力する。
【0027】
図3の経路整列矢印46と呼ばれうるもので概略的に示されるように、マイクロニードル20の経路44およびドレープ膜14の細長い開口部18は、経路整列方向46にお互いに実質的に整列している。同様に、プリーツが存在する場合、図3のプリーツ整列矢印47と呼ばれうるもので概略的に示されるように、プリーツ16およびそれらの折り目40はプリーツ整列方向47にお互いに実質的に整列している。プリーツ16を含む第一の実施形態のバージョンでは、経路44および細長い開口部18の実質的にすべてが、経路整列方向46にお互いに実質的に整列しており、プリーツ16およびそれらの折り目40の実質的にすべてが、プリーツ整列方向47にお互いに実質的に整列しており、経路整列方向46およびプリーツ整列方向47はお互いに平行でない。より具体的に、また図3に示されるように、経路整列方向46およびプリーツ整列方向47はお互いに斜めに延長し、これは以下でより詳細に検討される。上記を反復すると、マイクロニードル20はそれと関連する2つ未満または2つより多い経路44を持つ場合があり、経路44および細長い開口部18のすべてが経路整列方向46にお互いに整列する必要はない。
【0028】
プリーツ16は大きなプリーツ16と呼ばれる場合があり、ドレープ膜14は、大きなプリーツ16と比べて比較的小さい場合がある小さなプリーツ(例えば、図15を参照)など、その他のプリーツをさらに含む場合がある。小さなプリーツのプリーツ整列方向は、大きなプリーツのプリーツ整列方向47と交差して延長しうる。したがって、ドレープ膜14の少なくとも一部のプリーツ(例えば、少なくとも一部の大きなプリーツ16)は、プリーツ整列方向47にお互いに整列する場合があると一般的に言うことができる。同様に、少なくとも一部の経路44および細長い開口部18は、経路整列方向46にお互いに整列しうる。
【0029】
図4に示されるようにマイクロニードル組立品12を分離して考えると、それは例えば、参照によって本明細書にこれまでに組み込まれた文書の一つ以上に開示されたように少なくとも一般的に構成されうる。一般的に、マイクロニードル組立品12は、適切な基材またはサポートから外向きに延長する一つ以上のマイクロニードル20を含むように構成されることによるなど、流体薬物製剤を使用者の皮膚の中および/または皮膚を通して送達するように構成され、この基材またはサポートは支持プレートの形態であってもよく、それはより一般的には組立品ベース24と呼ばれる場合がある。
【0030】
図4の断面図に示されるように、上記を反復すると、組立品ベース24は向かい合った前面22および後面28ならびに前面22から外向きに延長する複数のマイクロニードル20を有する。組立品ベース24およびマイクロニードル20は一般に、金属材料、セラミック材料、ポリマー(例えば、プラスチック)材料および/またはその他任意の適切な材料などの、硬質、半硬質、または柔軟な材料シートから作られる場合がある。例えば、組立品ベース24およびマイクロニードル20は、反応性イオンエッチングまたはその他任意の適切な方法でシリコンから形成されうる。
【0031】
組立品ベース24は、薬物製剤がその間を流れるようにするために、全面22と後面28との間に延長し、それぞれで開いている一つ以上の穴48を一般的に画定する。例えば、穴48が、組立品ベース24の各マイクロニードル20の場所に画定され、薬物製剤を後面28からこのようなマイクロニードル20に送達できるようになる。しかし、その他の実施形態では、組立品ベース24は、各マイクロニードル20の場所に、および/または各マイクロニードルの場所から間隔を置いて位置付けられたその他任意の適切な数の穴48を画定する場合がある。
【0032】
各マイクロニードル20は、前面22(例えば、ベース面)から外向きに延長し、前面22から離れた先端52を持つ穿孔または針様の形状に移行する(例えば、円錐状もしくはピラミッド形状、または円錐状もしくはピラミッド形状に移行する円筒形状)ニードルベース50を含みうる。各マイクロニードル20の先端52は組立品ベース24から最も遠くに配置され、各マイクロニードル20の最小寸法(例えば、直径はたは断面幅)を画定しうる。さらに、各マイクロニードル20は、マイクロニードル20が角質層を貫通して使用者の表皮内へと通過するために十分な、前面22からその先端52までの任意の適切な全長54を一般的に画定する場合がある。マイクロニードルが表皮の内面を通って真皮内に貫通しないように、マイクロニードル20の全長54を制限することが望ましい場合があるが、これは薬物製剤を投与される患者の痛みを最小限に抑えるのに有利に役立つ場合がある。例えば、一つの実施形態では、各マイクロニードル20は、約800μm未満、約750μm未満、または約500μm(例えば、約200μm〜約400μmの範囲の全長54)、またはその間のその他任意の部分的範囲など、約1000マイクロメートル(μm)未満の全長54を持つ場合がある。マイクロニードル20の全長54は、装置10が使用者に使用される場所によって異なる場合がある。例えば、使用者の脚に使用される装置用のマイクロニードル20の全長54は、使用者の腕に使用される装置用のマイクロニードル20の全長54とはかなり異なる場合がある。各マイクロニードル20は、任意の適切なアスペクト比(すなわち、各マイクロニードル20の断面幅寸法56に対する全長54)を一般的に画定する場合がある。特定の実施形態では、アスペクト比は、3より大きい、または4より大きいなど、2より大きい場合がある。断面幅寸法56(例えば、直径)が各マイクロニードル20の全長54に対して変化する場合、アスペクト比は平均断面幅寸法56に基づいて決定される場合がある。
【0033】
各マイクロニードル20は、組立品ベース24に画定された穴48と流体連通する一つ以上のチャネル60を画定する場合がある。一般的に、チャネル60は、各マイクロニードル20上および/または各マイクロニードル内の任意の適切な位置に画定される場合がある。例えば、チャネル60は、各マイクロニードル20の外部表面に沿って画定される場合がある。より具体的な例として、各チャネル60は、マイクロニードル20の外部表面によって画定され、マイクロニードルの全長54に沿って延長する外向きの開放溝によって画定される場合がある。以下でより詳細に検討されるように、チャネル60は、薬物製剤が組立品ベース24の後面28から穴48を通ってチャネル内に流れることを可能にする経路44を少なくとも部分的に形成するように一般的に構成される場合があり、チャネル内に流れ込んだ時点で薬物製剤は開口部18(図3および10A)によって使用者の皮膚の中および/または皮膚を通って送達されうる。チャネル60は、任意の適切な断面形状を画定するように構成される場合がある。第一の実施形態では、各チャネル60は半円形を画定する場合がある。別の実施形態では、各チャネル60は、「v」型またはその他任意の適切な断面形状など、円以外の形状を画定する場合がある。
【0034】
マイクロニードル20によって画定されたチャネル60の寸法は、薬物製剤の毛細管流動を誘発するために特に選択される場合がある。一般的に理解されているように、毛細管流動は、チャネル60の壁に対する流体の接着力が液体分子間の粘着力よりも大きいときに発生する。具体的には、チャネル内の毛細管圧は、チャネル60の断面寸法に反比例し、対象流体の表面エネルギーに、流体とチャネルの間に画定される界面での接触角のコサインをかけたものに正比例する。従って、マイクロニードル組立品12を通した薬物製剤の毛細管流動を促進するため、チャネルの断面幅寸法62(例えば、チャネル60の直径)を選択的に制御する場合があり、寸法が小さいほど一般に毛細管圧が高くなる。例えば、いくつかの実施形態では、チャネル60の断面幅寸法62は、各チャネル60の断面積が、約1,250平方マイクロメートル(μm)〜約60,000μm、または約6,000μm〜20,000μm、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約1,000平方μm〜約125,000μmの範囲になるように選択される場合がある。
【0035】
マイクロニードル組立品12は、任意の適切な数のマイクロニードル20を一般的に含みうる。例えば、一つの実施形態では、マイクロニードル組立品12内に含まれるマイクロニードル20の実際の数は、約50マイクロニードル/平方センチメートル(cm)〜約1250マイクロニードル/cm、または100マイクロニードル/cm〜約500マイクロニードル/cm、またはその間のその他任意の部分的範囲など、約10マイクロニードル/cm〜約1,500マイクロニードル/cmの範囲である場合がある。
【0036】
マイクロニードル20は一般的に、さまざまな異なるパターンで組立品ベース24上に配置される場合があり、このようなパターンは、任意の特定の使用のために設計されうる。例えば、一つの実施形態では、マイクロニードル20は、長方形もしくは正方形の格子、または同心円など、均一な様式で間隔を置かれる場合がある。このような実施形態では、マイクロニードル20の間隔は、多くの要因に一般的に依存し、これにはマイクロニードル20の全長54および幅、ならびにマイクロニードル20を通して送達されることが意図されている薬物製剤の量とタイプが含まれるがこれに限定されない。
【0037】
引き続き図4を参照し、図5および6の上面図および底面図も参照すると、各チャネル60はその関連する穴48とその間にある開口部によって流体連通しており、これらの開口部は接合開口部64と呼ばれる場合がある。図4および5を参照すると、各穴48は、一対の接合開口部64の間に位置付けられた内面66によって部分的に画定されうる。図5は、ニードルベース50の周辺が視界から隠れており、破線で概略的に示されているため、概略図である。対照的に、図6は、穴48のほとんどが視界から隠れており、破線で概略的に示されているため、概略図である。
【0038】
接合開口部64は、特定のマイクロニードル20上の経路44の間で面積が異なる場合があり、特定のマイクロニードル組立品12上のマイクロニードル20間で異なる場合がある。各接合開口部64の面積は大きく異なる場合があり、例えば、マイクロニードル20の直径、経路44を通って移動する薬物製剤の粘度および送達される薬物製剤の量などの因子に依存する。各接合開口部64の面積は、ドレープ膜14の開口部18(図3および10A)の望ましいサイズによっても異なる場合があり、これは以下でより詳細に検討される。例えば、前面22での(例えば、その平面での)各接合開口部64の面積は約100平方マイクロメートル以上である場合があるが、より小さな面積も許容可能でありうる。その他の例では、前面22での(例えば、その平面での)各接合開口部64の面積は約150平方マイクロメートル以上である場合がある。第一の実施形態では、各接合開口部64および隣接チャネル60については、接合開口部およびチャネルは実質的に同軸性で、実質的に同じ直径を持つことができ、これは以下でより詳細に検討される。
【0039】
覆われたマイクロニードルアレイ12を作成するためのシステムおよび方法が、第一の例示的実施形態に従って以下で検討される。図7に概略的に示されるように、覆うプロセスは、お互いに重なり合う構成または重なり合う関係にある、ドレープ膜14およびマイクロニードル組立品12を含む。より具体的には、ドレープ膜14は、図7のマイクロニードル組立品12の前面22を覆うように配列される。図7の重なり合う構成では、組立品ベース24の後面28は、真空ボックス、ダウンドラフトシステム、またはダウンドラフトテーブル68によって、および/またはその他任意の適切な方法で支持されうる。ドレープ膜14は、マイクロニードル20の先端52(図2、4および6)によって少なくとも部分的に支持される場合がある。ドレープ膜14は、テンションローラー、幅出し機装置によって、および/またはその他任意の方法でも少なくとも部分的に支持される場合がある。
【0040】
図7のプリーツ整列矢印47は、テンションローラー、幅出し機、または同種のものを概略的に表示したものとして特徴付けることができる。テンションローラー、幅出し機、または同種のものは、ドレープ膜のプリーツ整列方向47およびドレープ膜14の最大伸長の方向の両方と実質的に同じ方向に、ドレープ膜14に張力を加えることができる。つまり、存在する時、プリーツ16は一般的に、ドレープ膜14の最大伸長の方向に形成される。覆いプロセスの間の、ドレープ膜14の引っ張りの代わりにまたはそれに加えて、ドレープ膜14の最大伸長の方向およびプリーツ整列方向47は、ドレープ膜が最小引張り強さの方向を与える形で元々製造されているおよび/またはそれまでに処理されているなど、その他の因子によって少なくとも部分的に制御される場合があり、最小引張り強度の方向は、最大伸長の方向およびプリーツ整列方向47の両方に実質的に平行でありうる。ドレープ膜14のプリーツ整列方向47および最大伸長の方向はお互いに実質的に平行でありうるため、最大伸長の方向も数字47で参照される場合がある。
【0041】
図7で示されるように、マイクロニードル組立品12と向かい合ったドレープ膜14の側面は、適切に装備されたフード72またはその他任意の適切な装置によって、圧力および/または熱がそれに加えられる場合がある。あるいはまたはさらに、熱はより直接的にマイクロニードル組立品12に加えることができる。上述の対面接触を提供するため、およびドレープ膜14の部分がマイクロニードル20の外側部分の開放側部チャネル60(図4および6)に少なくとも部分的に引き込まれるように、真空、圧力および加熱の適用の程度および持続時間を制御することができる。より具体的には、ドレープ膜14の内側および外側部分30、32とマイクロニードル組立品12のそれぞれの部分との間の上述の接触を提供するため、任意のギャップ36の構成を提供し制御するため、および任意のプリーツ16の構成を提供し制御するために、真空、圧力および加熱の適用の程度および持続時間を制御することができ、経路整列方向46(図3および8)と最大伸長の方向47(図3および8)との間の任意の角度(例えば、図8の角度76)を制御することができる。より一般的には、ギャップ36(図2)のサイズ、形状および任意の配向を調整するために、ドレープ膜14にプリーツ16を含めさせる、または含めさせないことなどによって、テンションローラー、幅出し機、または同種のもの、ダウンドラフトテーブル68、および装備されたフード72の一つ以上の動作を制御することができる。
【0042】
結果としてドレープ膜とマイクロニードル組立品12との間に形状の実質的な適合(例えば、密着)が得られ、またドレープ膜の加熱によって一般的にドレープ膜がマイクロニードル組立品に接着するようになる結果として、ドレープ膜14は一般的に固定してマイクロニードル組立品12に取り付けられる。任意の加熱は、それがマイクロニードル組立品12から外方を向いたドレープ膜14の表面上の任意のナノトポグラフィを破壊しないように制御する(例えば、制限する)ことができる。
【0043】
図8は、図7のように配列しうるドレープ膜14およびマイクロニードル組立品12の概略上面図である。図8では、マイクロニードル組立品12はドレープ膜14の下で視界から隠されており、したがって、マイクロニードル組立品は破線で概略的に示されている。図8に示されるように、経路整列方向46および最大伸長の方向47はお互いに平行でなく、より具体的には、それらはお互いに斜めである。第一の実施形態では、経路整列方向46と最大伸長の方向47との間に画定される角度76は、図3で経路整列方向46とプリーツ整列方向47との間に画定される対応する角度と実質的に同じである。図8に示されるように、数字76で示される角度は、経路整列方向46と最大伸長の方向47との間に画定される2つの角度の小さい方である。第一の実施形態では、角度76は、約20度〜約80度、または約30度〜約70度、または約40度〜約60度、またはその間のその他任意の部分範囲でありうる。より具体的には、角度76は図8では約50度として示されている。経路整列方向46とその他の方向(例えば、最大伸長の方向47および/またはプリーツ整列方向47)との間はその他の適切な角度でもありうる。例えば、角度76は、約10度〜約170度、または約20度〜約160度、または約30度〜約150度、または約40度〜約140度、または約50度〜約130度、または約60度〜約120度、または約70度〜約110度、または約80度〜約100度、または約90度、またはその間のその他任意の部分範囲でありうる。
【0044】
図9は、ドレープ膜14がマイクロニードル組立品に取り付けられた後であるがドレープ膜に細長い開口部18(図10A)が形成される前の、膜で覆われたマイクロニードル組立品12の一部分の概略拡大図である。例えば、ドレープ膜14が少なくともいくらか透明として示され、ギャップ36(図2)および、ギャップの形状および高さを少なくとも部分的に画定するために随意に含められうるプリーツ16の両方の最大高さMHを示すために、仮想の寸法線80が含まれているため、図9は概略的でありうる。ギャップ36およびプリーツ16の最大高さMAは、寸法線80とベースの前面22との間の最短距離である。図9では、寸法線80は、プリーツ16の折り目40の上端の高さを示す。
【0045】
図9を考慮に入れるが(例えば、図9のフレームまたは参照を使用して)、図2を逆さまに(すなわち、マイクロニードル組立品20が上向きになるように)考えると、プリーツ16を含む第一の実施形態のバージョンでは、ギャップ36の高さ、マイクロニードル20と接触していないドレープ膜の中間部分34の上端の高さ、およびマイクロニードル20と接触しているドレープ膜の外側部分32の下端の高さといった高さは、相互に実質的に等しく、一緒にすると、プリーツ整列方向47に対する(例えば、一対のプリーツの折り目40を実質的に含む垂直面に対する)環状位置の関数として各マイクロニードル22の外周の周りで変化する。これら3つの高さは、まとめて「接触高さ」と呼ばれる場合がある。プリーツ16を含む第一の実施形態のバージョンでは、接触高さは、プリーツ整列方向47と交差する垂直平面の最大接触高さ(例えば、最大高さMA)から、プリーツ整列方向47と交差する垂直平面と垂直な垂直平面の最小接触高さまで徐々に変化する。最小接触高さは、最大高さの約75%未満、約50%未満、約30%未満、またはその他任意の適切なパーセントでありうる。細長い開口部18(図3および10A)のサイズは、接触高さの関数として変化する場合があり、これは以下でより詳細に検討される。あるいは、プリーツ16が省略されるかまたは実質的に省略される時、ギャップ36の高さ、マイクロニードル20と接触していないドレープ膜の中間部分34の上端の高さ、およびマイクロニードル20と接触しているドレープ膜の外側部分32の下端の高さといった高さは、各マイクロニードル22の外周の周りでほぼまたは実質的に同じままとなりうる。
【0046】
図10Aを参照して最もよく理解されるように、細長い開口部18は、ドレープ膜14がマイクロニードルアレイ12に取り付けられた後に、一つ以上の貫通部材でドレープ膜14を貫通することによって形成されうる。第一の実施形態では、細長い開口部18は、マイクロニードル20の側部上のチャネル60(図4および6)と実質的に直接整列している。図10Aに示される細長い開口部18の外周の一部分は、破線で概略的に示されている。細長い開口部18の外周は、細長い開口部によって画定される開放エリアの周りに延長する。この開放エリアは、薬物製剤と使用者の皮膚との間の接触エリアを提供するためのものである。第一の実施形態では、覆われたマイクロニードル組立品12の(平面図の)1平方センチメートル内に位置付けられた細長い開口部18によって画定される開放エリアの合計は、少なくとも0.000005cm、または少なくとも約0.000005cmでありうる。つまり、細長い開口部18は、覆われたマイクロニードル組立品12の平方センチメートルあたりの開放エリアの合計で少なくとも0.000005cm、または少なくとも約0.000005cmを提供するために、チャネル60に沿って開いている場合がある。この合計開放表面積は、薬物製剤と使用者の皮膚との間の接触エリアを提供するためのものである。より具体的には、細長い開口部18は、覆われたマイクロニードル組立品12の平方センチメートルあたりの開放エリアの合計で少なくとも0.00007cm、または少なくとも約0.00007cmを提供するために、チャネル60に沿って開いている場合がある。さらに具体的には、細長い開口部18は、覆われたマイクロニードル組立品12の平方センチメートルあたりの開放エリアの合計で少なくとも0.0002cmを提供するために、チャネル60に沿って開いている場合がある。例えば、覆われたマイクロニードル組立品12の平方センチメートルあたりの合計量が約0.000005cm〜約0.0001cmの範囲内、またはより具体的には0.00007cm〜約0.0002cmの範囲内、またはその間のその他任意の部分範囲内になるように、約細長い開口部18はチャネル60の十分な長さに沿って開いている場合がある。
【0047】
第一の実施形態の覆われたマイクロニードル20については、細長い開口部18の外側端部は、先端52に実質的に近接して一般的に位置付けられ、細長い開口部18の向かい合わせた内側端部はベース50の前面22から間隔を置いている。図1および10Aに示される細長い開口部18の構成とは対照的に、図10Bは、細長い開口部18の内側端部とベース50の前面22との間により大きな距離が一般的にありうることを示す。つまり、細長い開口部18の少なくとも一部、大部分、またはそれぞれ、およびそれぞれのマイクロニードル20については、細長い開口部18は、ベース50よりもマイクロニードルの先端52に近い場合がある。より具体的には、細長い開口部18の端部は、先端52の円錐形、ピラミッド型、またはその他の適切な形状の部分に近接または隣接している場合がある。
【0048】
第一の実施形態のマイクロニードル20およびそれらに関連する細長い開口部18のそれぞれ、大部分、または少なくとも一部については、それらの間の関係は図10Bに示される通り、および以下で検討される通りでありうる。図10Bでは、ドレープ膜14の細長い開口部18は、マイクロニードル組立品12(図4)のマイクロニードル20のチャネル60上に重ね合わせた破線で概略的に示される。図10Bの側面図では、細長い開口部18は長さL1および幅W1を持ち、マイクロニードル20は、図4に示され上述された全長54に対応する全長L2を持ち、チャネル60は幅W2を持ち、立面距離Dまたは同種のものは、マイクロニードル20の先端52の頂点と、先端52に最も近い細長い開口部18の端部との間に画定される。長さL1、L2および距離Dは、お互いに同じ方向に延長する、またはより一般的には、それらはお互いに実質的に同じ方向に延長する。幅W1、W2は、お互いに同じ方向に延長する、またはより一般的には、それらはお互いに実質的に同じ方向に延長する。
【0049】
図面で示される第一の実施形態のバージョンでは、開口部18の長さL1は開口部18の幅W1よりも大きく、その結果開口部18は細長いかまたは細長くなる。より具体的な例として、細長い開口部18の長さL1は、細長い開口部の幅W1の少なくとも約2倍大きい場合があるか、または細長い開口部の長さL1は、細長い開口部の葉がW1の少なくとも3倍、4倍または5倍大きい場合がある。あるいは、例えば、開口部の長さL1が開口部の幅W1と比べてほぼ同じサイズ、またはその他任意の適切な比率となるように、装置10は、装置18の長さL1がより小さいように構成される場合がある。
【0050】
図面に示される第一の実施形態のバージョンでは、細長い開口部18の主軸は、チャネル60の主軸と平行、または実質的に平行である。細長い開口部18の長さL1は、マイクロニードル20の全長L2の少なくとも10%から80%以下の範囲内、またはその間の任意の部分範囲内でありうる。より一般的には、細長い開口部18の長さL1は、マイクロニードル20の全長L2の約10%〜約80%の範囲内、またはその間の任意の部分範囲内でありうる。より具体的には、細長い開口部18の長さL1は、マイクロニードル20の全長L2の少なくとも20%から50%以下の範囲内である場合があり、細長い開口部18の長さL1は、マイクロニードル20の全長L2の約20%〜約50%の範囲内、またはその間のその他任意の部分範囲内でありうる。さらに具体的には、細長い開口部18の長さL1は、マイクロニードル20の全長L2の約30%でありうる。
【0051】
細長い開口部18の短軸は、チャネル60の主軸に垂直、または実質的に垂直でありうる。細長い開口部18の幅W1は、チャネル60の幅W2の少なくとも70%から130%以下の範囲内、またはその間の任意の部分範囲内でありうる。より具体的には、細長い開口部18の幅W1は、チャネル60の幅W2の約70%〜約130%の範囲内、またはその間の任意の部分範囲内でありうる。より具体的には、細長い開口部18の幅W1は、チャネル60の幅W2の少なくとも90%から110%以下の範囲内である場合があり、細長い開口部18の幅W1は、チャネル60の幅W2の約90%〜約110%の範囲内、またはその間のその他任意の部分範囲内でありうる。
【0052】
マイクロニードル20の先端52の頂点と、先端52に最も近い細長い開口部18の末端との間の立面距離Dは、マイクロニードル20の全長L2の30%以下、またはその任意の部分範囲でありうる。より一般的には、マイクロニードル20の先端52の頂点と、先端52に最も近い細長い開口部18の末端との間の立面距離Dは、マイクロニードル20の全長L2の約30%未満、またはその任意の部分範囲でありうる。より具体的には、マイクロニードル20の先端52の頂点と、先端52に最も近い細長い開口部18の末端との間の立面距離Dは、マイクロニードル20の全長L2の10%以下、またはその任意の部分範囲でありうる。マイクロニードル20の先端52の頂点と、先端52に最も近い細長い開口部18の末端との間の立面距離Dは、マイクロニードル20の全長L2の約10%未満、またはその任意の部分範囲でありうる。
【0053】
特定の一例では、細長い開口部18の長さL1はマイクロニードル20の全長L2の約40%である場合があり、マイクロニードル20の先端52の頂点と先端52に最も近い細長い開口部18の端部との間の立面距離Dは、マイクロニードル20の円錐または実質的に円錐の先端52円錐の長さL3、またはその間の任意の部分範囲とほぼ等しい場合がある。先端52の長さL3は、マイクロニードル20の全長L2の約20%でありうる。より具体的には、先端52の長さL3は約60μmでありうる。より一般的には、先端52の長さL3は、マイクロニードル20の全長L2の約10%〜約30%の範囲内、またはその間の任意の部分範囲内でありうる。
【0054】
図10Aに概略的に示されるように、細長い開口部18を形成する貫通部材は、レーザービームまたはレーザービーム部分82の形態でありうる。図10Aでは、一番前のレーザービーム部分82の後ろで視界から隠れている細長い開口部18の外周の部分は、破線で概略的に示されている。レーザービーム部分82は、レーザー発振器86からもたらされる比較的幅広いプレカーサーレーザービーム84の部分であるか、またはその他のかたちでプレカーサービームに由来する場合がある。レーザー発振器86は、プレカーサービーム84を生成するかまたはその他の方法で提供するレーザーダイオードまたはその他任意の適切な装置を備えうる。マイクロニードル組立品12がレーザー発振器とドレープ膜14との間に位置付けられ、その結果プレカーサービーム84が後面28に隣接する組立品ベース24の側面から穴48(図4および5)に焦点を合わせるかまたはその他の方法で穴に向かってその中に方向付けられるように、レーザー発振器86および覆われたマイクロニードル組立品12は配置されうる。組立品ベース24の内面66(図4および5)および随意に組立品ベースの後面28も、プレカーサービーム84の一部分の経路を妨害するための一つ以上の妨害物またはマスクとして機能する場合がある。プレカーサービーム84の経路の妨害は、プレカーサービームを分割し、したがって少なくとも2つのビーム部分82を提供するとして特徴付けることができる。
【0055】
図10Aに示されるビーム部分82は円筒形であり、細長い開口部18がドレープ膜14の実質的にちょうどチャネル60(図4および6)の所に形成されるように、経路44(図3および4)が構成される場合がある。例えば、チャネル60に位置付けられたドレープ膜14の任意の部分は、ビーム部分82に一般的に露出しており、したがって除去される(例えば、蒸発する)。より包括的な例として、ビーム部分82の経路に位置付けられたドレープ膜14の任意の部分は一般的に除去され、図10Aに示される平行ビーム部分は接合開口部64(図5および6)と同軸であり、接合開口部と同じ周囲形状を持つ。上記を反復すると、接合開口部64の構成は異なる場合があり、少なくともこの理由のために、ビーム部分82の構成は、開口部18の構成が異なるように変化させうる。ビーム82、84は、接合開口部64とは無関係になど、その他の点でも異なる場合がある。
【0056】
さまざまな寸法に応じて、プレカーサービーム84は、複数の穴48(図4〜6)に同時に向けることができ、多数のビーム部分82に同時に分割することができる。代替的および/または追加的に、図10Aの矢印88で概略的に示されるように、プレカーサービーム84が穴48の中に連続的に向けられるように、レーザー発振器86と覆われたマイクロニードル組立品12との間の様々な方向の相対的動きがあってもよい。例えば、レーザー発振器86は、コンピュータ制御ガントリーシステムまたは同種のものの移動台に取り付けることができ、矢印88は、レーザー発振器がガントリーシステムまたは別の適切な装置によって動かされることを概略的に示している。
【0057】
記載された変形形態および当業者には明らかとなる変形形態を除いて、本開示の第二から第四の実施形態は第一の実施形態と同様である。例えば比較を提供するために、第一および第二の実施形態は、角度76(図8)の差および角度76の差によって生じる差を除いて、同一である。図11〜13を参照すると、第二の実施形態では、経路整列およびプリーツ整列方向46、47ならびに最大伸長の方向47はすべて実質的に同じ方向に延長し、その結果第二の実施形態の細長い開口部18は第一の実施形態の細長い開口部18よりも短い。より一般的には、ギャップ36(図2)のサイズおよびドレープ膜14の関連する開口部18のサイズは相互に反比例する場合がある。図11〜13に示されるようにプリーツ折り目40がチャネル60と整列する時、プリーツは、チャネル60の中に延長するドレープ膜14の量を減らす場合があるため、(例えば、レーザー形成された)細長い開口部18の長さはプリーツ16のサイズ(例えば、高さ)により依存しうる。図12および13では、プリーツ16の高さは仮想の寸法線80で概略的に示されている。
【0058】
第一および第二の実施形態両方の変形形態では、接合開口部64(図4および5)は、チャネル60に位置付けられたドレープ膜14の部分のみが(例えば、レーザーで)貫通されて細長い開口部18を形成するように構成される場合がある。第一の実施形態の変形形態では、細長い開口部18はプリーツ16の高さ(例えば、図9および10Aの寸法線80)より上および下の両方に延長する場合がある。対照的に、第二の実施形態の変形形態では、細長い開口部18はプリーツ16の高さ(例えば、図12および13の寸法線80)より上のみに延長する場合がある。したがって、プリーツ折り目40がニードルチャネル60と整列していない時、(例えば、レーザー形成された)細長い開口部18の長さはプリーツ16の高さにあまり依存しない。
【0059】
図14を参照すると、第三の実施形態の覆いプロセスが、ドレープ膜14がチャネル60に引き込まれるかまたは押し込まれることを含まない点を除いて、第三の実施形態は、第一の実施形態の変形形態と同様である場合がある。結果として、図14のドレープ膜14の開口部18はチャネル60の端部でのみ形成され、したがって開口部は細長くない場合があり、先端52に近接してのみ配置される。
【0060】
一つ以上の変形形態が、開口部18および一つ以上のその他の機構が異なって構成されうるように調整されることは、本開示の範囲内である。例えば、図15を参照して最もよく理解されるように、第四の実施形態の覆われたマイクロニードル組立品12では、各チャネル60はドレープ膜14の複数の開口部18に対して開いている場合がある。つまり、各チャネル60の上部および底部の近くにそれぞれ位置する別々の開口部18がある場合がある。これも図15に示されるように、プリーツ16は比較的大きなプリーツ(例えば、大きなプリーツ)および比較的大きなプリーツと交差して延長する比較的小さなプリーツ(例えば、小さなプリーツ)の両方を含む場合があり、比較的大きなプリーツは隣接マイクロニードル20の間にずっと随意に延長しうる。
【0061】
本開示の一態様によると、覆われたマイクロニードルアレイ12は、マイクロニードル20が皮膚の外側バリア層を貫通して、細長い開口部18およびドレープ膜14の任意の選択的ナノトポグラフィを生きた皮膚細胞としっかり接触させ、その結果細長い開口部18が、薬物製剤と生きた皮膚細胞との間に十分な接触表面積を提供し、ドレープ膜14の任意のナノトポグラフィ(例えば、ナノインプリントフィルム)が皮膚の浸透性を強化しうる形で、使用者の皮膚を通して薬物製剤を十分に提供しようとするように構成され使用されうる。本開示の一態様によると、覆われたマイクロニードルアレイ12は、細長い開口部18によって薬物製剤流体と皮膚との間に十分な合計接触表面積を提供しながら、皮膚とフィルム14との間に十分な接触を同時に提供でき、これらの結果は、例えば上述のようにギャップ36(例えば、覆われたナノインプリントフィルム14の任意のプリーツ形状を制御することによるなど)および/またはレーザー穿孔プロセスの構成を制御することによって達成されうる。
【0062】
本開示のこの詳細説明部分の理解を簡単にするために、「上部」、「底部」、「前」、「後」、「上」、「より上」、および「高さ」などの位置的基準系が使用されてきた。しかし、例えば、例示的実施形態の装置10は反転および非反転構成の両方で使用できるように構成されているため、本発明は、本開示のこの詳細説明部分で使用される位置的基準系に限定されない。
【0063】
前述の説明を簡単にするために、各マイクロニードル20は、それに関連した少なくとも一対のプリーツ16を持つとして説明されてきたが、ドレープ膜14がマイクロニードル20のそれぞれすべてに近接するプリーツを含まないことも例示的実施形態の範囲内である。さらに、プリーツ16は完全にまたは実質的に省略してもよい。同様に、その他の機構の一つ以上のそれぞれに対して前述で言及されてきたが、複数の機構の一つ以上の機構の間に変形形態があることは例示的実施形態の範囲内である。
【0064】
上述の例は本発明の範囲を制限することを決して意図しない。本開示は例示的実施形態を参照して上記で検討されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな追加、修正および変更をそれに対して行うことができることを当業者であれば理解するはずであり、その一部の態様が以下の請求項に記述される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15