特許第6211215号(P6211215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211215圧接された複数の半導体構成素子のための改良されたディスクセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211215
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】圧接された複数の半導体構成素子のための改良されたディスクセル
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20140101AFI20171002BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   H01L25/04 Z
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-571468(P2016-571468)
(86)(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公表番号】特表2017-510998(P2017-510998A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2015053289
(87)【国際公開番号】WO2015128220
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】102014102493.1
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516257420
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ ビポラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies Bipolar GmbH & Co. KG
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリオ シェンク
(72)【発明者】
【氏名】イェンス プジィビラ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー バーテルメス
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ドアン
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−9344(JP,A)
【文献】 特開昭61−134068(JP,A)
【文献】 特開2004−335777(JP,A)
【文献】 特開平11−214599(JP,A)
【文献】 実開昭57−37256(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00−25/18
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊締力(F)を生ぜしめる緊締手段(4,13)を用いて複数の半導体構成素子を圧接するためのディスクセル(1)であって、
ケーシング(2,3,7,8)と、
該ケーシング内に収容された、第1の構成形式の少なくとも1つの第1の半導体構成素子(6)と、
前記ケーシング内に収容された、第1の構成形式とは異なる第2の構成形式の少なくとも1つの第2の半導体構成素子(5)と、を備え、
前記ケーシング(2,3,7,8)は、前記第1及び第2の半導体構成素子(6,5)に被さるように係合していて、前記第1及び第2の半導体構成素子を緊締する、前記緊締力(F)に対して実質的に直角に向けられた、少なくとも1つの金属の押圧板(2)を有しており、該押圧板(2)は、前記緊締力(F)が局所的に制限されて(9)該押圧板(2)に作用し、これにより該押圧板(2)を介して前記第1及び第2の半導体構成素子(6,5)が緊締されるように形成されており、前記第1の半導体構成素子(6)は、前記緊締力(F)の局所的な作用範囲(9)の下側に配置されており、前記第2の構成素子(5)は、少なくとも部分的に、前記局所的な作用範囲(9)の外側に配置されていることを特徴とする、ディスクセル。
【請求項2】
前記第1の半導体構成素子(6)は、少なくともその一方の接触面(15,15’)でもって、少なくとも非緊締状態では、付属の対応面、例えば前記押圧板(2)に全面的に支持されてはいない、請求項1記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項3】
前記第1の半導体構成素子(6)は、非緊締状態において湾曲して形成されている、請求項2記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項4】
前記接触面と前記付属の対応面との間の最大内法間隔は、非緊締状態において、5μm〜150μm、好適には10μm〜100μmの範囲内である、請求項2又は3記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項5】
前記接触面(15,15’)は、前記第1の半導体構成素子(6)の、半導体材料から成る層(10)により規定されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項6】
前記押圧板(2)に対する前記緊締力の、局所的に制限された前記作用範囲(9)は、前記押圧板(2)の、前記半導体構成素子(5,6)とは反対の側の隆起部(18)により規定されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項7】
前記第1の半導体構成素子(6)の周は、前記緊締力の前記作用範囲(9)の外側に位置しているか、又は前記作用範囲(9)と一致している、請求項1から6までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項8】
前記押圧板(2)は円形に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項9】
少なくとも前記第1の半導体構成素子(6)は、前記押圧板(2)に直ぐ隣接して配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項10】
前記押圧板(2)に、流体冷却用の少なくとも1つの通路(11)が組み込まれている、請求項1から9までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項11】
前記第1の半導体構成素子(6)は1つのみ設けられており、前記第2の半導体構成素子(5)は複数設けられており、これらの第2の半導体構成素子(5)は、所定の又は異なる間隔を空けて、前記第1の半導体構成素子(6)の周りに配分されて配置されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項12】
前記第1の半導体構成素子(6)は、円形の面構造体として形成されており、該第1の半導体構成素子(6)の半径方向の周を取り囲む1つ又は複数の同心円に沿って均等に配分されて配置された複数の前記第2の半導体構成素子(5)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの前記第2の半導体構成素子(5)は、方形の、好適には正方形の、円形の、又は台形の面構造体として形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項14】
前記第1の半導体構成素子(6)は、ダイオード又はサイリスタ等の、モノリシック型の半導体構成素子である、請求項1から13までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記第2の半導体構成素子(5)は、絶縁されたゲート電極を備えるバイポーラトランジスタである、請求項1から14までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項16】
前記押圧板(2)が2つ設けられており、これらの押圧板(2)の間で前記各半導体構成素子(5,6)が緊締されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の複数の半導体構成素子のためのディスクセル(1)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載のディスクセル(1)と、複数の緊締手段(4,13)とから成るユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体構成素子、特に複数のパワー半導体構成素子のためのディスクセル(Scheibenzelle)に関する。一般にこのようなディスクセルは、少なくとも1つの半導体構成素子の収容と電気的な接触接続とに役立ち、通常はヒートシンクと熱伝導式に接触している。このディスクセルの重要な意義は、外部からの半導体構成素子の圧接による電気的及び熱的な接続にあると同時に、半導体構成素子の気密閉鎖にある。既知のディスクセルは、主としてケーシングと、少なくとも1つの半導体構成素子とを有している。この場合、ディスクセルは市販可能なユニットである。更に、その幾何学的な寸法に関して同じ構成形式を有する複数の半導体構成素子が収容されたディスクセルが知られている。この点では、このことは問題ない。それというのも、構成形式が一致する場合、各構成素子は、その機械的な荷重限界に関しても一致しているからである。問題となるのは、複数の構成素子に、例えば異なる幾何学形状に基づいて既に機械的に異なる荷重を加えることが可能な場合に、これらの構成素子を緊締することである。ケーシング内部への複数の半導体構成素子の純粋な実装は通常問題ないのに対して、ディスクセルが一般にエンドユーザのところで電気的かつ熱的に接触接続するために緊締される場合には、機械的に最も弱い構成素子が、緊締時に容易に損傷を負う恐れがある。そのため、従来、異なる荷重限界に基づき、異なる構成形式の半導体構成素子は、各構成素子の緊締を別個に調整することができるようにし、これにより最終的には各構成素子の異なる機械的な荷重限界を考慮できるようにするために、それぞれ別個のディスクセル内で緊締されねばならなかった。この方法は、構成部品数が増大し、ディスクセルの構成体積が不都合に大きくなり、かつ緊締構造及び/又は場合により必要な固有の緊締調整に比較的手間がかかる、という欠点を有している。
【0002】
上位概念に記載の、ディスクセルを含むユニットは、引っ張りねじ締結又は圧縮ねじ締結等の緊締手段をさらに有しており、これらの緊締手段は、半導体構成素子の固定、及び本発明による複数の半導体構成素子の電気的及び熱的な圧接に用いられる。まさにパワー半導体エレクトロニクスに生じている、熱的な交番荷重における問題に関して、耐高電圧性で耐高電流性の構成素子を接触接続させるために、上記のような圧接コンタクトが開発された。このような耐高電圧性の半導体構成素子の例は、ハイパワーコンバータにおける中心的な構成素子である、高電圧サイリスタである。特にこのような装置には、構成素子の確実性に対して高い要求が課されている。これらの構成素子は、半導体材料から成る比較的脆弱な層を有しているので、構成素子は常に、圧接による過剰な機械的荷重において破壊される危険に晒されている。
【0003】
この場合、電子構成素子のコンタクト領域と、電流を案内するコンタクトとの間では、主として機械的にもたらされる力により、機械的延いては電気的及び熱的な接触の形成及び維持も行われる。このことは、−例えば緊締装置又はばね装置を介した−機械的な力を適宜に調整することにより、上記の機械的な位置固定にむすびついた機械的な製造誤差に基づく熱的な交番荷重を十分に考慮することができるという利点を有している。
【0004】
これらの欠点を背景として、本発明に課された課題は、複数の異なる半導体構成素子にもかかわらず、高い集積密度が達成されており、構成部品数も所要ディスクセル数も削減されており、構成体積が減少しており、緊締調整を簡単にすることができ、及び/又は各構成素子の異なる機械的な荷重限界をより良好に考慮することができる、複数の半導体構成素子のためのディスクセル、及び複数の緊締手段を備えたディスクセルから成るユニットを提供することにある。この課題は、本発明に基づき請求項1記載の特徴を有するディスクセルによって解決される。本発明の特に有利な別の構成は、従属請求項に開示されている。指摘しておくと、各特許請求項に個別に記載された特徴は、技術的に有意な任意の形式で互いに組み合わせられてよく、本発明の別の構成を示すものである。明細書は、本発明を特に図面との関連において付加的に特徴付けて詳述するものである。
【0005】
本発明は、複数の半導体構成素子のためのディスクセルに関する。本発明によるディスクセルは、ケーシングを有している。ケーシングは、好適にはセラミック等の非導電性材料から成る壁を有している。壁は、例えばリング状である。好適には、各半導体構成素子は気密に包囲されて、ケーシング内部に収容されている。更に、ディスクセルは、ケーシングに収容された第1の構成形式の少なくとも1つの第1の半導体構成素子と、ケーシングに収容された第2の構成形式の少なくとも1つの第2の半導体構成素子とを有している。つまり、「ディスクセル」とは、1つのケーシングと、以下「構成素子」とも略称される複数の半導体構成素子とから成る1つのユニットを規定するものである。ディスクセルが緊締されておらず及び/又はヒートシンクに取り付けられていない場合でも、好適には構成素子は、ケーシング内に紛失しないように収容されている。「異なる構成形式」という用語は広義に解釈され、例えば異なる外側寸法及び/又は幾何学形状、又は外側寸法は同じだが層構造は違う場合も意味しているが、圧接時の異なる接触力をも含んでいてよい。好適には少なくとも、緊締方向に対して平行な、種々異なる構成形式の機械的な荷重限界の相違である。
【0006】
本発明では、ケーシングは、第1及び第2の半導体構成素子に被さるように係合していて、第1及び第2の半導体構成素子を緊締する、緊締力に対して実質的に直角に向けられた、少なくとも1つの金属の押圧板を有している。押圧板は、緊締力が局所的に制限されて押圧板に作用し、これにより押圧板を介して第1及び第2の半導体構成素子が緊締されるように形成されている。第1の半導体構成素子は、緊締力の局所的な作用範囲の下側に配置されており、第2の構成素子は少なくとも部分的に、即ち部分的乃至完全に、好適には完全に、局所的な作用範囲の外側に配置されている。
【0007】
本発明は更に、上述したディスクセルと、緊締手段によって生じる緊締力の作用下で第1及び第2の半導体構成素子を緊締すると共に、第1及び第2の半導体構成素子を電気的に接触接続させるために設けられた複数の緊締手段と、から成るユニットに関する。緊締力は、例えばばね又はねじ手段により、好適には引っ張りねじ締結又は圧縮ねじ締結により生ぜしめられる。
【0008】
1つの構成では、第1の構成形式の構成素子と第2の構成形式の構成素子とは、上述した押圧板と、押圧力を吸収する対応板との間で緊締され、この場合、対応板は、例えばヒートシンクに全面的に接触している。1つの好適な構成では、第1の構成形式の構成素子と第2の構成形式の構成素子とは、本発明によって形成された2つの押圧板の間で緊締される。好適には、押圧板及び対応板が形成されていることにより、又は複数の高さ補償板が設けられていることにより、時間的に緊締の前に行われる押圧板と対応板との接近時に、第1の半導体構成素子と第2の半導体構成素子とに対する接触接続が同時に行われるようになっている。
【0009】
換言すると、押圧板の、作用範囲を越えた突出寸法は、力経路の分割に役立つ。第1の半導体構成素子が緊締力の力経路内に配置されているのに対して、押圧板の突出部分の下に配置された第2の半導体構成素子は、押圧板にわたって分岐された力経路内に位置している。つまり、金属の、好適には円形の押圧板は、弾性的な曲げバーとして作用し、1つ又は複数の第2の半導体構成素子に対する作用を、ばね弾性的に緩和する。これにより、1つ又は複数の第2の半導体構成素子に対する押当て力延いては機械的荷重も、1つ又は複数の第1の半導体構成素子に比べて低下している。このことは、例えば、緊締力に対する接触抵抗の決定的な依存性が低い半導体構成素子を第2の半導体構成素子として、分岐された力経路内に配置するために利用することができる。好適には、第2の半導体構成素子は、緊締方向での機械的な荷重限界が、第1の半導体構成素子の緊締方向での機械的な荷重限界よりも低い構成形式を有している。第2の半導体構成素子は、本発明に基づき、分岐された力経路の範囲に位置している。例えば、第1の構成素子と第2の構成素子との間には、通常緊締力に対して直角に向けられた半導体層の厚さの相違に基づいて、異なる荷重限界が生じる。本発明によるディスクセルの設計に基づき、第1の構成素子の最大緊締時でさえも、第2の構成素子の「緩和された」荷重が保証され、これにより、第1の構成素子の緊締力による最大荷重にもかかわらず、第2の構成素子の、より小さな荷重を保証することができるようになっている。つまり、機械的にあまり荷重を加えることのできない構成素子を、より高い荷重を加えることのできる構成素子と、1つのディスクセル内で対にすることが可能である。特に、相応するユニットにおいては、つまり第2の構成素子が、機械的に等しい荷重又はより小さな荷重を加えることのできる構成素子である場合には、第2の構成素子の機械的な破壊の危険無しで第1の構成素子を緊締することが、確実に可能である。これにより、熱的及び電気的な接触接続の理由から目標とされる第1の構成素子の最大荷重においても、第2の半導体構成素子の破壊を確実に防止することができる。
【0010】
好適には、押圧板は、各半導体構成素子の相応の接触接続面に当て付けられており、延いては同時に、各半導体構成素子の直接的な、電気的及び熱的な接触接続に役立つ。
【0011】
1つの別の構成では、第1の半導体構成素子は、少なくともその一方の接触面でもって、少なくとも非緊締状態では、全面的に支持されてはいない。換言すると、この半導体構成素子は、その当接対応部材、例えば本発明による押圧板又は押圧力を吸収する対応板と共に、中空室を形成している。これにより、第1の半導体構成素子が緊締作用に基づき変形させられ、半導体構成素子の接触部は、緊締力の増大と共に、構成素子の弾性変形又は塑性変形に基づき拡大するという可能性が生じる。即ち、半導体構成素子が緊締を、「ばね作用により緩和」する。これにより、第2の半導体構成素子の緊締を、第1の半導体構成素子の反力に基づき、より良好に調整することができる。好適には、このことは、半導体構成素子の各面において湾曲した接触面によって解決される。例えば第1の半導体構成素子の半導体材料、例えばシリコンから成る外側の層は、上記接触面から離反するように湾曲した表面を有している。
【0012】
1つの別の構成では、第1の半導体構成素子、つまり例えば層構造は、全体的に、非緊締状態において湾曲して形成されている。
【0013】
1つの別の構成では、接触面と、付属の対応面との間の最大内法間隔は、非緊締状態において、5μm〜150μm、好適には10μm〜100μmの範囲内である。内法間隔とは、全面的に接触している状態と、無荷重で接触している状態との間に生じ得る、高さの最大の差である。
【0014】
1つの好適な構成では、第1の半導体構成素子の外周は、緊締力の作用範囲外に位置しているか、又は上記作用範囲の外周と一致している。よって、単に外周においてのみ支持されていて、非緊締状態では接触面の内側領域が外周よりも高くなっていない第1の半導体構成素子との組合せでは、皿状の半導体構成素子の場合に、第1の半導体構成素子の高い可撓性が達成される。
【0015】
本発明によるディスクセルの1つの好適な構成では、第1の半導体構成素子が1つのみ設けられているのに対して、第2の半導体構成素子は複数設けられており、第2の半導体構成素子は、それぞれ同一間隔又は異なる間隔を空けて(この場合、それぞれ異なる間隔も一緒に含まれていることが望ましい)、第1の半導体構成素子を取り囲むように配分されて配置されている。この構成により、冒頭で述べた、半径方向での機械的荷重の段階付けといった利点を放棄する必要なしに、集積密度を高めることができる。好適には、押圧板の局所的な作用範囲は、その幾何学的な中心点を対象としている。
【0016】
好適には、第1の半導体構成素子は、円形の面構造体として形成されており、第1の半導体構成素子の半径方向の周を取り囲む1つ又は複数の同心円に沿って均等に配分されて配置された複数の第2の半導体構成素子が設けられている。
【0017】
1つの好適な構成では、能動的な冷却のために、冷却媒体が押圧板を通流することができるようにするために、複数の流体案内通路が押圧板に組み込まれている。
【0018】
第1の半導体構成素子は、例えば円形の面構造体として形成されている。第1の半導体構成素子は、例えば10〜100mmの範囲、好適には20〜80mmの範囲、より好適には60mm等の、50〜70mmの範囲の直径を有している。1つの構成において設けられる、第1の半導体構成素子の周りに配置された複数の第2の半導体構成素子は、例えば第1の半導体構成素子を取り囲む1つのリング内に配置されており、このリングの内径/外径は、10/20〜100/200mmの範囲、好適には20/40〜80/160mmの範囲、より好適には60/120mm等の、50/100〜70/140mmの範囲である。
【0019】
1つの別の構成では、電気的な接触接続のために設けられる最大面(能動面とも云う)は、それぞれ一定の比率になっている。とりわけ高い表面被覆密度を達成するために、第1の構成素子対第2の構成素子の能動面の比は、1:1〜1:4の範囲、更に有利には1:1.5〜1:2.5の範囲にあり、例えば1:2である。本発明によるディスクセルの特に高い表面被覆密度延いては集積密度を得るために、少なくとも1つの第2の半導体構成素子は、方形の、好適には正方形の、又は台形の面構造体として形成されている。
【0020】
好適には、第1の半導体構成素子は、ダイオード又はサイリスタ等の、モノリシック型の半導体構成素子である。
【0021】
好適には、少なくとも1つの第2の半導体構成素子は、絶縁されたゲート電極を備えるバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0022】
好適には、相上下して位置する第1の構成形式の半導体構成素子と第2の構成形式の半導体構成素子とは、緊締力に対して直角方向で互いに間隔を開けて配置されており、例えばこの間隔は2mm〜10mmである。
【0023】
本発明は更に、上述した各実施形態のうちの1つのヒートシンクとディスクセルとから成り、上述した相応する技術的利点を有するユニットに関する。
【0024】
以下に、本発明を図面に基づき詳しく説明する。各図面は例示に過ぎず、単に1つの好適な変化態様を成すものであるに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ディスクセルと複数の緊締手段とから成る、本発明によるユニットの第1の実施形態の断面図である。
図2】ディスクセルと複数の緊締手段とから成る、本発明によるユニットの第2の実施形態の断面図である。
図3図1及び図2に付属する詳細図である。
【0026】
図1には、ディスクセル1と、緊締手段4,13とから成る、本発明による第1のユニットが断面図で概略的に示されている。ディスクセル1は、気密に閉鎖されたケーシング2,3,7,8を有している。このケーシング2,3,7,8は、セラミックから成る、電気絶縁性のリング8を有しており、リング8はその両端面に金属コーティングを有している。リング8の両端面はそれぞれ、このコーティングを介して、銅から成るリングディスク7にろう接されている。リングディスク7は、それぞれ押圧板2又は押圧力を吸収する対応板3により、気密に閉じられている。押圧板2と、押圧力を吸収する対応板3との間には、第1の構成形式の、1つのみの円盤形の第1の半導体構成素子6と、第2の構成形式の、複数の第2の半導体構成素子5、ここでは複数のIGBTとが緊締されている。第2の半導体構成素子5は、第1の半導体構成素子6の外周の周りに均等に配分されて配置されている。半導体構成素子5,6は、それぞれ緊締方向に対して直角に延在する半導体層10,10’を有している。半導体構成素子5,6の、押圧板2と対応板3とに接触接続している各面には、半導体構成素子5,6を電気的に接触接続するための金属層が更に設けられている。電気的な接触接続及び必要とされる放熱は、押圧板2及び対応板3を介して行われる。放熱のために、押圧板2と対応板3とには、1つ又は複数の流体案内通路11,12が通されている。押圧板2の通路11と、対応板3の通路12とは、緊締方向に対して直角に向けられた1つの仮想平面内に配置されている。図1に示したユニットにおいて、対応板3はヒートシンク13に全面的に支持されている。緊締手段は、押圧プランジャ4,18を有しており、押圧プランジャ4,18を介して、例えば押圧ねじ(図示せず)によって生じる緊締力Fが、円形の押圧板2に作用する。作用面9は、押圧板2の平床形の隆起部18によって規定される。隆起部18は、押圧板2と一体的に形成されていてもよいし、又は押圧板2の別個の構成部材として形成されていてもよい。第1の半導体構成素子6が作用範囲9のすぐ下に配置されているのに対して、第2の半導体構成素子5は、作用範囲9を越えて張り出した、押圧板2の外側部分の下に配置されている。押圧板2の弾性的な可撓性に基づき、力経路が第2の半導体構成素子5を通って分岐されると、第2の半導体構成素子5の機械的荷重は、第1の半導体構成素子6の機械的荷重に比べて小さくなる。例えば第1の半導体構成素子6と第2の半導体構成素子5とが同一の機械的な最大荷重限界を有さない場合には、本発明による押圧板2の構成に基づき、電気的及び熱的な接触接続の理由から目標とされる第1の半導体構成素子6の最大荷重に到達するまで、第2の半導体構成素子5の機械的な破壊を防ぐことができる。
【0027】
図2には、本発明によるユニットの第2の実施形態が示されている。このユニットは、図1に示したユニットとは、緊締手段4,13の構成が異なり、かつ本発明による押圧板2が1つのみではなく、2つの押圧板2が設けられている点で異なっている。これにより、半導体構成素子5,6の両面に、上述した有利な効果が生じるようになっている。
【0028】
図3には、図1図2の両方に関する詳細図が示されている。図3には、押圧板2同士の間又は押圧板2と対応板3との間に位置する第1の半導体構成素子6の層構造が、単に押圧板2又は対応板3と接触接続しているに過ぎない、非緊締状態で示されている。第1の半導体構成素子6の層構造は全体的に湾曲しているが、図示の湾曲は縮尺通りには描かれていない。半導体層10から離れるように、金属のモリブデン層17に向かって湾曲した層構造は、接触面15,15’の領域の第1の構成素子6の両面において、寸法Xだけ半導体構成素子6を「湾曲させる/反らせる」ために役立つ。これにより、緊締の強まりと共に、上記の予湾曲に抗して、第1の構成素子6の層構造の曲げが生じることになる。予湾曲に基づく、好適には弾性的な曲げモーメントは、緊締に抗して作用し、第1の半導体構成素子6の最大荷重限界に対する緊締力Fの調整及びスケーリングを簡単にする。これにより、緊締時の第2の半導体構成素子5の機械的な破壊の危険が最小限にされている。
図1
図2
図3