(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211245
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】導電性材料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 5/00 20060101AFI20171002BHJP
B22F 1/00 20060101ALI20171002BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20171002BHJP
B22F 9/00 20060101ALI20171002BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20171002BHJP
H01B 1/02 20060101ALI20171002BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20171002BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20171002BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20171002BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
H01B5/00 K
B22F1/00 J
B22F1/00 L
B22F7/04 D
B22F9/00 B
H01B1/00 K
H01B1/02 A
H01B1/22 Z
H01B13/00 503C
H01B13/00 503D
H05K1/09 A
H05K1/09 D
H05K3/12 610B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-20212(P2012-20212)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-161544(P2013-161544A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月26日
【審判番号】不服2016-9202(P2016-9202/J1)
【審判請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】507342478
【氏名又は名称】株式会社 ナノ・キューブ・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】中 崎 義 晃
(72)【発明者】
【氏名】谷 澤 祐 二
(72)【発明者】
【氏名】音 山 貴 史
【合議体】
【審判長】
池渕 立
【審判官】
橋本 憲一郎
【審判官】
河本 充雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−202943(JP,A)
【文献】
特開2005−174828(JP,A)
【文献】
特開2007−258123(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/032841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B1/00-1/24
H01B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子と、平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子とを含んでなり、
前記第1の銅粒子と前記第2の銅粒子との割合が、質量基準において1:0.054〜1:0.36の範囲であることを特徴とする、導電性材料。
【請求項2】
前記第2の銅粒子がコロイド状態にある、請求項1に記載の導電性材料。
【請求項3】
前記第2の銅粒子が、水と、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、炭素数2〜12のモノまたはジアルキルアミン、三級アミン、およびアラビアゴム、キサンタンガム、ポリサッカロイド、でんぷん、ゼラチン、および寒天からなる群から選択される少なくとも1種とからなる分散媒中に分散したコロイド状態にある、請求項2に記載の導電性材料。
【請求項4】
粘度が10cP以上である、請求項3に記載の導電性材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性材料を用いて焼結導電体を製造する方法であって、
分散媒中に分散したコロイド状態にある平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子を調製し、
平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子とコロイド状態にある前記第2の銅粒子とを混合し、
前記混合物を、空気中または不活性ガス雰囲気下で150℃以下の温度で加熱し、分散剤の一部を除去しながら、前記第2の銅粒子を溶融させて前記第1の銅粒子と前記第2の銅粒子とを焼結させる、
ことを含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記加熱の前に、フィルム基材上に前記混合物を塗布することを含んでなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルム基材上に前記混合物を配線パターンが形成されるように塗布する、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性材料に関し、さらに詳細には、低温焼成が可能な銅粒子からなる導電性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や情報端末等の小型、軽量化に伴い、これら機器に使用される電子部品も小型化される傾向にあり、電子部品を実装するプリント配線基板においても、より微細な配線パターンを形成できるような材料が求められている。
【0003】
微細な配線パターニングは、従来からフォトリソグラフィー法によって銅箔をエッチングすることにより行われてきたが、近年、フォトリソグラフィー法よりも安価でプリント配線板を形成できる印刷法によって微細配線パターンを実現しようという試みがなされている。例えば、金属微粒子を含むインクを直接、基板上に印刷し、焼成することにより配線パターンを形成することが試みられている。しかしながら、導電性を向上させるためには、金属微粒子が溶融して互いに融着する程度まで加熱する必要があり、数百℃の温度を必要とすることから、可撓性の基板である樹脂フィルム上に配線パターニングを行うと、基板が焼成温度に耐えられないという問題があった。
【0004】
上記の問題を解消するため、より低い温度で焼成できる導電性材料が提案されている。例えば、特開2006−279038号公報(特許文献1)には、低温焼成できるプリント配線板用の導電性材料が開示されており、粒径の互いに異なるナノオーダーの金属粒子を混合することによって、180℃〜300℃での焼成が可能になるとされている。また、特開2009−295965号公報(特許文献2)には、好ましい粒径範囲が60nm〜100nmの第1の金属粒子と、好ましい粒径範囲が2nm〜10nmの第2の金属粒子とを混合することにより、焼成が140℃未満の温度で焼成できるような導電性材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−279038号公報
【特許文献2】特開2009−295965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に記載のように、金属粒子の粒径が小さくなればなるほど見かけ上の融点が低下するため低温で焼成することができる(サイズ効果)。しかしながら、ナノオーダーの粒径を有する金属粒子は非常に高価であるため、汎用のプリント配線基板に適用するのが困難であった。また、上記のような数ナノオーダーの粒径を有する金属粒子は、その製造プロセスに起因して、現在のところその供給量が少なく、大量にナノ微粒子を使用することができない。
【0007】
本発明者らは、今般、粒径がミクロンオーダーサイズの銅粒子であっても、粒径がナノオーダーサイズの銅粒子を特定の割合で混合することにより、焼結温度を低くできることがわかった。そして、このような混合物からなる導電性材料を印刷技術と組み合わせることにより、樹脂フィルムのような基板上にも線幅の細い配線を形成できるとの知見を得た。
【0008】
したがって、本発明の目的は、樹脂フィルムのような基板上にも線幅の細い配線を形成できる、焼結温度の低い導電性材料を提供することである。
【0009】
また、本発明の別の目的は、上記のような導電性材料を焼結した導電体を提供することである。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、上記導電体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による導電性材料は、平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子と、平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子とを含んでなり、
前記第1の銅粒子と前記第2の銅粒子との割合が、質量基準において1:0.054〜1:0.36の範囲であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明による態様においては、前記第2の銅粒子がコロイド状態にあることが好ましい。
【0013】
また、本発明による態様においては、前記第2の銅粒子が、水と、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、炭素数2〜12のモノまたはジアルキルアミン、三級アミン、およびアラビアゴム、キサンタンガム、ポリサッカロイド、デンプン、ゼラチン、および寒天からなる群から選択される少なくとも1種とからなる分散媒中に分散したコロイド状態にあることが好ましい。
【0014】
また、本発明による態様においては、導電性材料の粘度が10cP以上である
【0015】
また、本発明の別の態様である導電体は、導電性材料を焼結した導電体であって、隣接する前記第1の銅粒子の空隙に、前記第2の銅粒子が入り込み、前記第1の銅粒子と前記第2の銅粒子とが互いに融着していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の別の態様である導電体の製造方法は、分散媒中に分散したコロイド状態にある平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子を調製し、
平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子とコロイド状態にある前記第2の銅粒子とを混合し、
前記混合物を、不活性ガス雰囲気下で150℃以下の温度で加熱し、分散剤の一部を除去しながら、前記第2の銅粒子を溶融させて前記第1の銅粒子と前記第2の銅粒子とを焼結させる、
ことを含んでなることを特徴とするものである。
ましい。
【0017】
また、本発明による態様においては、前記加熱の前に、フィルム基材上に前記混合物を塗布することを含んでなることが好ましい。
【0018】
また、本発明による態様においては、前記塗布がパターニングにより行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による導電性材料は、平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子と、平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子とを、質量基準において1:0.054〜1:0.36の割合で含むため、焼結温度を150℃以下とすることができる。そのため、導電性材料を印刷技術と組み合わせることにより、樹脂フィルムのような基板上にも線幅の細い配線を形成できる。また、本発明による導電性材料は、比較的高価な材料である第2の銅粒子を質量割合で0.5〜26%程度しか含まないため、材料全体としての製造コストが安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1および第2の銅粒子の配合割合が適切な場合の導電性材料の断面模式図である。
【
図2】第2の銅粒子の配合割合が少ない場合の導電性材料の断面模式図である。
【
図3】実施例1で用いたナノ銅粒子コロイド溶液のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<導電性材料>
本発明による導電性材料は、平均粒子径が1μm〜80μmの第1の銅粒子と、平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子とを必須成分として含む。本明細書中、「平均粒径」とは、第1の銅粒子については、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等によって測定される数平均粒径(D50)を意味し、第2の銅粒子については、透過型電子顕微鏡観察により測定される銅粒子の直径を複数測定し、その平均を算出した値をいうものとする。
【0022】
第1の銅粒子は、平均粒径が1μm〜80μmの範囲にあるものである。この程度の粒径を有する銅粒子は、通常、融点が約1083℃であり、高温で焼成しなければ銅粒子どうしが融着して導電性を有する材料にはならない。一方、平均粒径がナノオーダーにある銅粒子は、サイズ効果により見かけの融点が下がり、例えば平均粒子径が1nm〜30nmの範囲にある銅粒子では、その溶融温度は150℃程度となる。本発明においては、このようなナノサイズの第2の銅粒子を、第1の銅粒子に、質量基準において1:0.054〜1:0.36の範囲で添加することにより、150℃程度の温度であっても、第2の銅粒子を溶融させて第1の銅粒子と前記第2の銅粒子とを焼結させることができることを見出したものである。その理由は定かではないが以下のように考えられる。
【0023】
第1の銅粒子と第2の銅粒子とは、それらの粒径が、数十倍ないし数万倍程度異なるため、両者を混合した場合、第2の銅粒子は、隣接する第1の銅粒子の空隙に入り込む。第1および第2の銅粒子の含有量が質量基準において1:0.054〜1:0.36の範囲にある場合、
図1に示すように、隣接する第1の銅粒子の空隙に第2の銅粒子が入り込み、第2の銅粒子が溶融した場合に第1の銅粒子のバインダーとして機能するため、焼結した際に高い導電性を実現できるものと考えられる。一方、第2の銅粒子の配合割合が1:0.054よりも低い場合、
図2に示すように、第1の銅粒子によって形成される空隙に第2の銅粒子が充填されるものの、隣接する第1の銅粒子の空隙に第2の銅粒子が入り込みにくくなるため、導電性に劣るものと思われる。第2の銅粒子の配合割合は多いほど、見かけの溶融温度が下がり、また、導電性材料の導電率も低下するものの、平均粒径が1nm〜30nmの範囲にある銅粒子(第二の銅粒子)は、後記するように特殊な製造方法によらなければ製造できないため、現状では非常に高価であり、その使用に際してはできるだけ少ないことがコストの観点からは好ましいと言える。本願発明においては、上記したように、平均粒径が1nm〜30nmの範囲にある銅粒子(第二の銅粒子)が、平均粒径が1μm〜80μmの範囲にある第一の銅粒子どうしを結合させるバインダーとしての機能を有するため、上記したような少量であっても、即ち、銅粒子全体に対して第2の銅粒子が質量割合で0.5〜26%程度しか含まれていなくても、導電性材料の導電性を向上させることができる。
【0024】
本発明において使用する平均粒径が1μm〜80μmの範囲にある第1の銅粒子は、従来公知の方法によって製造することができ、例えば、湿式還元法やアトマイズ法によって製造することができるが、より粒子形状が均一で、粒度にばらつきのないものが得られるアトマイズ法によって製造されたものを好適に使用することができる。このような銅粒子は、市販のものを使用してもよく、例えば、エプソンアトミックス株式会社等から入手できるPF−7F等を好適に使用することができる。
【0025】
本発明において使用する平均粒径が1nm〜30nmの範囲にある第2の銅粒子は、水中プラズマ法、マイクロウェーブ法、活性液面連続真空蒸着法等によって得ることができる。水中プラズマ法とは、例えば、塩化銅水溶液中に電極を挿入し、電極間にプラズマを発生させることにより、10nm程度の粒子径を有する銅粒子を得る方法である。また、マイクロウェーブ法とは、銅塩と還元剤とを含む混合溶液を昇温してマイクロ波を照射し、混合溶液を冷却することによりナノオーダーの銅粒子を得る方法であり、例えば、特開2008−75181号公報に記載されたような方法によって上記したような平均粒径を有する銅粒子を得ることができる。また、活性液面連続真空蒸着法とは、銅の固体原料を真空中で加熱した蒸発させ、原子状となった銅を、界面活性剤を含んだ液体表面に吸着させることによりナノオーダーの銅粒子を得る方法であり、例えば、特開2008−150630号公報に記載されたような方法によって上記したような平均粒径を有する銅粒子を得ることができる。上記した製造方法のなかでも、粒径が小さく均一なものが得られる活性液面連続真空蒸着法によって製造された第2の銅粒子を好適に使用することができる。
このような銅粒子は、市販のものを使用してもよく、例えば、立山マシン株式会社等から入手できる5nm銅ナノ粒子分散液等を好適に使用することができる。
【0026】
本発明による導電性材料においては、上記した第2の銅粒子がコロイド状態で存在することが好ましい。コロイド状態とすることにより、後記のように導電性材料をインクとして印刷技術に適用する際、第2の銅粒子のインク中での分散安定性を向上させることができる。
【0027】
第2の銅粒子をコロイド状態とするには、上記したような平均粒径が1〜20nmの範囲にある銅粒子を適当な分散媒によって溶媒中に分散させればよい。溶媒としては、水、エチレングリコール、トルエン等の有機溶剤が挙げられ、また、分散媒としては、銅粒子と配位結合が可能なノニオン、カチオン、アニオン系界面活性剤を制限なく使用できる。溶媒として水を使用する場合、分散媒は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、炭素数2〜12のモノまたはジアルキルアミン、三級アミン、およびアラビアゴム、キサンタンガム、ポリサッカロイド、デンプン、ゼラチン、または寒天を使用することが好ましい。このような分散媒を使用することにより、導電性材料中での銅粒子の分散安定性のみならず、銅粒子の酸化を抑制することができるため、導電性材料を焼結した際の導電性が著しく向上する。
【0028】
上記した第2の銅粒子のコロイドには、第2の銅粒子が質量基準において20〜40%含まれていることが好ましい。コロイド中の第2の銅粒子の含有量が20%よりも低いと、第1および第2の銅粒子の含有量の割合を上記した範囲とするために、多量のコロイド溶液が必要となり、導電性材料を焼結して導電体とする際の加熱工程に時間を要してしまう。一方、コロイド中の第2の銅粒子の含有量が40%よりも高いと、導電性材料中で第2の銅粒子どうしが凝集してしまい、導電性インクを調製した場合に、第2の銅粒子の分散状態が不均一となる場合がある。
【0029】
第1の銅粒子と第2の銅粒子とを上記した範囲となるように混合することにより、両者が均一に分散した導電性材料を調製することができる。
【0030】
<導電体の製造方法>
第1の銅粒子と第2の銅粒子とを含む導電性材料は焼結することにより導電体とすることができる。本発明による導電性の製造方法について、以下、説明する。
【0031】
先ず、分散媒中に分散したコロイド状態にある平均粒径が1nm〜30nmの第2の銅粒子を調製する。コロイド溶液中の第2の銅粒子の含有量は、上記したように質量基準において20〜40%含まれていることが好ましい。
【0032】
次いで、このコロイド状態にある第2銅粒子と第1の銅粒子とを、質量基準において1:0.054〜1:0.36の範囲となるように混合する。この混合物の粘度は、第2の銅粒子の調製時に使用した分散媒(水など)の種類や量によって異なってくるが、混合物の基材への塗布性等を考慮すると、1〜100mPa・s程度であることが好ましい。後記するような塗布法によって本発明の導電性材料を基材上に塗布する場合は、上記したような粘度範囲にあることが好ましいが、所望の塗膜の厚さ(高さ)を1回の塗布により実現するためには、ある程度の粘度を有していた方が好ましく、概ね10mPa・s程度の粘度がより好ましい。例えば、分散媒として水を使用し、コロイド溶液中の第2の銅粒子の含有量を40質量%とした場合、第2銅粒子を含むコロイド溶液に対して第1の銅粒子を、質量基準で約1.1の割合で添加して混合物を調製すると、混合物の粘度は約10mPa・s程度となる。
【0033】
続いて、上記した混合物を基材上に塗布する。所望の配線パターンとなるように塗布するには、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等を好適に使用することができる。各印刷法によって適したインク粘度があるため、コロイド溶液の調製の際に、導電性材料が所望の粘度となるように適宜調製することができる。
【0034】
本発明においては、後記するように、150℃程度の低温で銅粒子を焼結させることができる。そのため、基材としては、可撓性を有する樹脂フィルム等を好適に使用することができ、導電体材料をフレキシブル配線基板等にも適用することができる。このような樹脂フィルムとしては、特に制限なく使用することができ、従来のプリント配線用基板の他、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム等が挙げられる。
【0035】
基材上に導電性材料を塗布した後、導電性材料を、不活性ガス雰囲気中で150℃以下の温度で加熱する。加熱により第2の銅粒子が溶融して第1の銅粒子間のバインダーとして機能するため、第1の銅粒子と第2の銅粒子とが焼結して一体化して導電体となる。また、塗布液中に含まれていた溶媒や分散媒が加熱により除去されるため、純度の高い導電体を形成することができる。不活性ガス雰囲気は、銅粒子が加熱の際に酸化されないようにするためのものであり、例えば、窒素やアルゴン等をフローさせながら、加熱することによって、銅粒子の酸化を防ぐことができる。
【0036】
上記のようにして得られる導電体は、粒径がナノオーダーの銅粒子の含有割合が0.5〜26%程度であっても導電性に優れるため、比較的安価な導電性材料が提供できる。また、この導電性材料は印刷技術を用いて所望のパターンに形成することができるため、プリント配線板に線幅の細い配線を形成できる。また、焼結温度を150℃以下とすることができるため、変形温度が180℃程度である汎用樹脂フィルムのような基板上にも線幅の細い配線を形成できる。
【実施例】
【0037】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0038】
実施例1
<ナノ銅粒子コロイド溶液の調製>
平均粒径が1nm〜30nmにある第2の銅粒子として、銅ナノ粒子分散液(立山マシン株式会社製)を使用し、この第2銅粒子を、水/ポリビニルピロリドンの混合溶媒(質量比で1:0.)中に20%の含有量となるように添加して撹拌することによりコロイド溶液を調製した。この溶液中のナノ銅粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、その粒径を測定した。100個の銅粒子の直径を測定し、その平均値を算出したところ8nmであった。
【0039】
<導電性材料の調製>
上記のようにして得られたコロイド溶液7.2g(第2の銅粒子3.6gを含有)に、平均粒径が1.8μmの第1の銅粒子(PF−1F、エプソンアトミックス株式会社)を10g添加し、撹拌することにより導電性材料を調製した。第1の銅粒子と第2の銅粒子との混合割合は、1:0.36であった。
【0040】
<導電体の作製>
上記のようにして得られた導電性材料を、ガラス基板上に塗布し、窒素雰囲気下、150℃に加熱し、30分間保持して銅粒子の焼結を行うことにより導電体を得た。得られた導電体の導電率を測定したところ、1.5×10
6S/mであった。
【0041】
実施例2〜3
実施例1において、第1の銅粒子と第2の銅粒子の粒子径および混合割合を、下記表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして導電体を作製し、導電率の測定を行った。
【0042】
比較例1〜3
実施例1において、第1の銅粒子と第2の銅粒子の粒子径および混合割合を、下記表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして導電体を作製した。しかしながら、比較例1〜3については、窒素雰囲気下、150℃に加熱し、30分間保持しても銅粒子が焼結せず、導電性を測定することができなかった。
【0043】
結果は、下記の表1に示される通りであった。
【表1】
【符号の説明】
【0044】
1 導電性材料
2 第1の銅粒子
3 第2の銅粒子