特許第6211253号(P6211253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211253
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】酸素供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20171002BHJP
【FI】
   A61M16/00 315
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-183159(P2012-183159)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-39654(P2014-39654A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年7月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】鰤岡 直人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
(72)【発明者】
【氏名】綱嶋 俊介
(72)【発明者】
【氏名】児玉 一幸
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101778(WO,A1)
【文献】 特開2002−301156(JP,A)
【文献】 特開2008−36349(JP,A)
【文献】 特表2012−508074(JP,A)
【文献】 特開平1−221170(JP,A)
【文献】 特開2004−305258(JP,A)
【文献】 特開2003−10331(JP,A)
【文献】 特開2006−129910(JP,A)
【文献】 特開2007−320940(JP,A)
【文献】 特表2008−501445(JP,A)
【文献】 特表2008−511399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
在宅酸素療法に用いられる酸素供給装置であって、
カニューラが接続される酸素出口と、
患者の吸気タイミングを特定する手段により特定される吸気タイミングに基づいて前記酸素出口からの酸素ガスの噴出を調整する同調弁と、
患者の酸素飽和度を測定する手段により得られる酸素飽和度の測定結果に基づいて前記同調弁を制御することで、前記酸素飽和度が閾値以上の場合に患者の吸気タイミングに同期化するように前記同調弁を開閉させて前記酸素出口から間歇的に酸素ガスを噴出させる間歇モードと、前記酸素飽和度が閾値未満の場合に前記同調弁を開状態で一定に維持させて前記酸素出口から連続的に酸素ガスを噴出させる連続モードとを切り替える制御を行う制御部と、
を有する酸素供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記間歇モードから前記連続モードに切り替えてから所定期間が経過したときに、前記連続モードから前記間歇モードに切り替える、
請求項1に記載の酸素供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、酸素飽和度が正常値から異常値に低下したことを条件として、前記間歇モードから前記連続モードに切り替えた後、酸素飽和度が前記正常値まで回復したときに前記連続モードから前記間歇モードに切り替える、
請求項1に記載の酸素供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、酸素飽和度が正常値か異常値かを判別する第1基準値よりも大きい第2基準値まで酸素飽和度が回復したときに前記連続モードから前記間歇モードに切り替える、
請求項3に記載の酸素供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素供給装置に関し、特に携帯型の酸素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、在宅医療とは、何らかの疾患を有する患者が入院せずに自宅等において医師の医学的指導管理下で治療を受けることの総称とされている。在宅医療の一種である在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy)は、患者(主に慢性呼吸不全患者)の動脈血酸素飽和度又はこれに対応する酸素関連のパラメータの数値改善を図り、ひいては患者のQOL(Quality of Life)の向上を図るための治療法である。
【0003】
在宅酸素療法には、酸素濃縮器、酸素ボンベ及び液化酸素装置等の、酸素供給装置が使用される。製造段階で装置内部に酸素が充填されるタイプである酸素ボンベ及び液化酸素装置に対し、酸素濃縮器は、患者に酸素ガスを供給する動作中に酸素ガスを装置内部で生成するタイプである。より具体的には、酸素濃縮器は、フィルタ及び吸気タンクを通して取り込んだ室内空気をコンプレッサにより圧縮し、圧縮空気を加減圧の切り替えを繰り返しながらシーブベッドに通過させることにより圧縮空気から酸素ガスを生成し、鼻腔カニューラを介して酸素ガスを患者体内に供給する。
【0004】
酸素濃縮器としては、在宅時の使用のために患者の自宅に設置されるいわゆる据置型が広く普及しているが、据置型に比べてコンパクトで外出時の使用に便利な携帯型もある。また、酸素ガス生成機構が不要であるためコンパクト且つ軽量に製造することが比較的容易な酸素ボンベ及び液化酸素装置は、携帯型として使用されることがより一般的である。
【0005】
携帯型の酸素供給装置、特に酸素ボンベ等は、酸素充填容量に限りがあるため、充填された酸素ガスをより無駄なく患者体内に送り込むことが求められる。携帯型の酸素濃縮器も、コンパクトであるがゆえに据置型に比べて低い酸素ガス生成能力となることがあるため、同様のことが求められる。そこで、従来では、酸素出口近傍部の陰圧を患者の吸気として検出し、この吸気タイミングに同期して間歇的に酸素ガスを噴出(間歇的酸素投与)させるよう動作する呼吸同調器が、装備されることがある(例えば特許文献1)。なお、一般的に、据置型の酸素濃縮器は酸素ガスを間歇的ではなく連続的に噴出させるよう動作する(連続的酸素投与)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4796918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、在宅酸素療法による治療を受ける患者の中には、呼吸が浅く1回換気量が少ない者もいる。このような患者は、間歇的酸素投与を受けていても、例えば歩行中に、低酸素状態になる、つまり十分な治療効果が得られないことがある。
【0008】
また、在宅酸素療法による治療を受ける患者に限らず、人間の吸気頻度、特に鼻からの吸気の頻度は通常、会話中や食事中には低下する。そのため、間歇的酸素投与を受けている患者は、会話中や食事中、吸気頻度の低下に伴う酸素投与頻度の低下により低酸素状態になることがある。
【0009】
また、間歇的酸素投与では通常、吸気1回あたりの酸素ガス噴出時間が患者の呼吸周期にかかわらず一定であるため、特に呼吸周期が長くゆっくりと息を吸う患者の場合は息を吸っている途中で酸素投与が終了し、十分に酸素を吸入しきれず、その結果として低酸素状態になることが考えられる。
【0010】
本発明の目的は、酸素ガスの無駄抑制と治療効果の向上との両立を図ることができる酸素供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る酸素供給装置は、
在宅酸素療法に用いられる酸素供給装置であって、
カニューラが接続される酸素出口と、
患者の吸気タイミングを特定する手段により特定される吸気タイミングに基づいて前記酸素出口からの酸素ガスの噴出を調整する同調弁と、
患者の酸素飽和度を測定する手段により得られる酸素飽和度の測定結果に基づいて前記同調弁を制御することで、前記酸素飽和度が閾値以上の場合に患者の吸気タイミングに同期化するように前記同調弁を開閉させて前記酸素出口から間歇的に酸素ガスを噴出させる間歇モードと、前記酸素飽和度が閾値未満の場合に前記同調弁を開状態で一定に維持させて前記酸素出口から連続的に酸素ガスを噴出させる連続モードとを切り替える制御を行う制御部と、
を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸素ガスの無駄抑制と治療効果の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る酸素供給装置の構成を示す図
図2図1の酸素供給装置における酸素投与モード切替の第1の動作例を示すフロー図
図3図1の酸素供給装置における酸素投与モード切替の第2の動作例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
〔酸素供給装置の構成〕
図1は本発明の一実施の形態に係る酸素供給装置の構成を概略的に示す図である。
【0016】
図1に示す酸素供給装置10は、酸素ボンベ11、同調弁12、酸素出口13、圧力センサ14、制御部15、タイマ16、操作部17及び通信部18を有する。同調弁12、酸素出口13、圧力センサ14、制御部15、タイマ16、操作部17及び通信部18の組合せは、呼吸同調装置を構成し、特に同調弁12及び圧力センサ14の組合せは、呼吸同調部を構成する。酸素ボンベ11及び呼吸同調装置はホースで相互に接続されている。
【0017】
酸素ボンベ11は、酸素ガス(医療用酸素)を収容する容器である。この容器からホースへの酸素出口11Aには圧力調整器又は流量調整器等の調整器が設けられており、そのため、酸素ボンベ11からは、一定の圧力又は流量で酸素を送り出すことができるようになっている。
【0018】
呼吸同調装置において、通信部18は、TCP/IP等の通信プロトコルに従って処理を行い、外部機器、特にパルスオキシメータ20との間で情報の送受信を行う。通信部18は、呼吸同調装置に内蔵された通信モジュールであってもよいし、インターフェースを介して呼吸同調装置に接続された外付けの通信モジュールであってもよい。
【0019】
なお、本実施の形態において酸素供給装置10の通信部18と通信可能なパルスオキシメータ20は、酸素飽和度の測定に用いられる生体情報測定装置の一種であるが、その測定のための構成は従来周知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。なお、後述するように酸素飽和度の測定結果は酸素投与モード切替制御のためにパルスオキシメータ20から酸素供給装置10に送信される必要があるが、そのためには、呼吸同調装置の通信部18と有線又は無線で通信状態を確立することができる通信モジュールがパルスオキシメータ20に装備されていれば良い。
【0020】
また、酸素飽和度は一般に、SpOと称される生体パラメータである。SpOは、ヒト動脈血ガス分析の動脈血酸素分圧(PaO)に由来する生体パラメータであり、したがってSpOの値はPaOの値と対応関係を有している。そのため、本実施の形態において酸素投与モード切替制御に利用する生体パラメータをSpOからPaOに置き換えることは容易である。よって、本実施の形態では便宜上、「酸素飽和度」の概念は、SpOのみならず、SpOから容易に置換可能な別の生体パラメータ(例えばPaO)をも含む、より広義の概念であるものとする。
【0021】
操作部17は、患者に投与する酸素ガスの流量(酸素流量)等の各種設定をユーザ(患者等)が行うための入力装置(例えば操作ボタン)である。操作部17において、例えば酸素流量の設定(より具体的には酸素流量値の入力)が行われると、設定された酸素流量値を指示する操作信号が制御部15に入力される。
【0022】
同調弁12は、例えば電磁弁であり、制御部15の制御を受けて開閉し、この開閉によって酸素ガス流路を開放及び遮断する。同調弁12は、開状態のとき、酸素ガスを、酸素出口13から酸素供給装置10の外部に噴出させることができる。このとき酸素ガスは、酸素出口13に接続された鼻腔カニューラ(図示せず)を介して患者体内に供給される。なお、開状態のときの同調弁12の開度は、設定された酸素流量値に応じて制御部15により制御される。
【0023】
圧力センサ14は、酸素出口13近傍の酸素ガス流路の圧力を検出する。患者の吸気タイミングではこの圧力は陰圧となる。よって、圧力センサ14は、患者の吸気により発生する陰圧を検出することができる。圧力センサ14は、陰圧が発生している期間を識別可能な検出信号を制御部15に出力する。
【0024】
なお、本実施の形態では、呼吸同調部において、酸素ボンベ11と接続する第1ポートと、酸素出口13と接続する第2ポートと、から成る二方弁を同調弁12として用いた場合を例にとっている。しかし、呼吸同調部の構成は、種々変更して実施可能である。例えば、さらに第3ポートを有する同調弁を用いて、その第3ポートに圧力センサ14を接続させても良い。
【0025】
制御部15は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)15Aを有し、呼吸同調装置内各部の動作を制御する。
【0026】
より具体的には、制御部15は、圧力センサ14からの検出信号に基づいて患者の吸気タイミングを特定し、吸気タイミングの始期から所定時間にわたって同調弁12を開閉させることで所定量の酸素ガスを流すように、同調弁12の開閉状態を制御する。この制御により、呼吸同調部は、酸素出口13からの酸素ガスの噴出を患者の吸気タイミングに同期化させ、これにより間歇的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させることができる。以下の説明では、このような間歇的酸素投与が行われる酸素供給装置10の酸素投与モードを「間歇モード」という。
【0027】
また、制御部15は、通信部18を介してパルスオキシメータ20から得られる情報つまり酸素飽和度の測定結果に基づいて、酸素投与モードを間歇モードと連続モードとの間で切り替える、酸素投与モード切替制御を行う。ここで、連続モードとは、連続的酸素投与が行われる酸素投与モードである。連続モードのとき、制御部15は、圧力センサ14からの検出信号にかかわらず、言い換えれば患者の吸気及び呼気のタイミングにかかわらず、同調弁12の開状態を維持させる。よって、連続モードでは、制御部15は、患者の吸気タイミングに同期化させずに連続的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させることができる。酸素投与モード切替の動作例については後述する。
【0028】
また、制御部15は、メモリ15Bを有する。制御部15は、呼吸同調装置において発生した全ての動作や事象をその発生日時と関連付けて器械動作ログとして取得し、取得した器械動作ログをメモリ15Bに格納する。制御部15は、発生日時等、時間に関する情報を、時計機能を有するタイマ16から取得することができる。
【0029】
以上、酸素供給装置10の構成について説明した。なお、本実施の形態では、酸素ボンベ11を用いているが、酸素ボンベ11に代わって液化酸素装置や酸素濃縮器を用いても良い。
【0030】
次いで、本実施の形態における酸素投与モード切替の動作例について、幾つか例を挙げて説明する。
【0031】
〔酸素投与モード切替の動作例1〕
図2は、酸素投与モード切替の第1の動作例を示すフロー図である。
【0032】
酸素供給装置10の使用が開始され、患者に対する酸素ガス供給(つまり酸素投与)が開始されると、制御部15は、酸素供給装置10を間歇モードで動作させる(ステップS100)。すなわち、制御部15は、圧力センサ14からの検出信号に基づいて、患者の吸気タイミングの始期に同調弁12を開かせて患者の吸気タイミングの終期に同調弁12を閉じさせることにより、間歇的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させる。
【0033】
酸素ガス供給を受けている間、患者は、パルスオキシメータ20を用いて自ら酸素飽和度の測定(自己測定)を行う。なお、この場合は、酸素ガス供給開始後、特に、(1)息苦しさを感じた時、(2)食事中、(3)トイレ後、(4)入浴中、(5)入浴後の着替え後に、確実に自己測定が行われるように予め医師から患者に対する指導がなされていることが、好ましい。患者が自己測定を行わなくても、パルスオキシメータ20が患者(例えば指尖又は耳朶等)に装着されている間は測定が連続的又は周期的に自動で行われるようにパルスオキシメータ20が制御されていても良い。
【0034】
酸素飽和度の測定が行われた後、制御部15は、通信部18を介してその測定結果として例えばSpOの値を取得する(ステップS110)。
【0035】
そして、制御部15は、SpOの値を所定の第1基準値S[%]と比較する(S120)。ここで、第1基準値Sは、SpOの値が正常値か異常値かを判別するための閾値である。一般的に、SpOの値は90[%]以上であれば正常と判断して良いが、正常な数値範囲は個々の患者で異なるため、第1基準値Sについては、医師が指定し、そしてユーザがこの指定に従って操作部17にて設定操作を行うことが、好ましい。
【0036】
SpOの値が第1基準値S未満と判定された場合は(S120:YES)、患者の低酸素状態が確認されたことを意味する。よって、この場合、処理フローはステップS130に進み、制御部15は酸素投与モードを間歇モードから連続モードに切り替えて、酸素供給装置10を連続モードで動作させる。すなわち、制御部15は、圧力センサ14の検出信号にかかわらず、つまり患者の吸気及び呼気のタイミングにかかわらず、同調弁12を常時開かせることにより、連続的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させる。
【0037】
一方、SpOの値が第1基準値S以上と判定された場合は(S120:NO)、患者は低酸素状態でないため、処理フローはステップS110に戻る。すなわち、この場合、制御部15は、酸素投与モードを連続モードに切り替えることなく、次の酸素飽和度測定結果を待つ。よって、SpOの値が第1基準値S以上である限り、酸素投与モードは間歇モードに維持される。
【0038】
酸素投与モードが連続モードに切り替えられた後、制御部15は、タイマ16を利用して酸素投与モード切替後の時間経過を計測する。そして、制御部15は、モード切替後、所定の第1期間(m[分])が経過するまでは(S140:NO)、酸素投与モードを連続モードに維持する。そして、モード切替後、m[分]が経過したとき(S140:YES)、処理フローはステップS100に戻り、制御部15は酸素投与モードを切り替えて連続モードから間歇モードに戻す。なお、mの値は例えば3[分]等であるが、この値も、医師が指定し、そしてユーザがこの指定に従って設定し得るパラメータであることが、好ましい。
【0039】
すなわち、本実施の形態によれば、呼吸同調部により間歇的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させる酸素供給得装置10において、患者の酸素飽和度測定結果から患者の低酸素状態が判明した場合に、患者の吸気タイミングに同期化させずに連続的に酸素出口13から酸素ガスを噴出させる。このように患者の酸素飽和度測定結果に基づいて自動的に酸素投与モードを間歇モードから連続モードへ切り替えることにより、吸気タイミング以外のタイミングでも一定量の酸素ガスを強制的に患者の鼻腔や口腔に送り込むことができるようになる。よって、患者を低酸素状態から回復させることができる。また、患者が低酸素状態でない場合は酸素投与モードが間歇モードに維持されるため、この場合は、酸素ガスが無駄に噴出することを抑制することができる。すなわち、本実施の形態の酸素投与モード切替制御により、酸素ガスの無駄抑制と治療効果の向上との両立を図ることができる。
【0040】
また、上記の動作は全て、制御部15により器械動作ログとして取得されるので、医師等は、酸素飽和度の変動履歴に加えて酸素投与モード切替履歴も詳細に確認することができる。
【0041】
なお、本例では、1回の酸素飽和度測定結果に基づいて酸素投与モード切替判断を行っているが、この判断の根拠として利用可能な情報は1回の酸素飽和度測定結果に限られない。例えば、複数回の酸素飽和度測定結果から酸素飽和度の変動傾向を算出し、酸素飽和度が低下傾向である場合にその度合いに基づいて酸素投与モード切替判断を行うようにしても良い。
【0042】
〔酸素投与モード切替の動作例2〕
図3は、酸素投与モード切替の第2の動作例を示すフロー図である。本例は第1の動作例を一部変更したものであるため、ここでは第1の動作例との相違点を中心に説明する。
【0043】
本例では、酸素投与モードが間歇モードから連続モードに切り替えられた後、制御部15は、パルスオキシメータ20から通信部18を介して酸素飽和度測定結果(SpO)を取得する(ステップS150)。
【0044】
そして、制御部15は、SpOの値を所定の第2基準値S[%]と比較する(S160)。ここで、第2基準値Sは、第1基準値Sと同じ値であっても良いし、第1基準値Sよりも大きい値であっても良い。すなわち、第2基準値Sは、SpOの値が正常値に回復したか否かを判別するための閾値である。この値についても、医師が指定し、そしてユーザがこの指定に従って操作部17にて設定操作を行うことが、好ましい。
【0045】
SpOの値が第2基準値S以上と判定された場合は(S160:YES)、正常値への回復が確認されたため、処理フローはステップS100に戻る。よって、この場合、制御部15は、酸素投与モードを切り替えて連続モードから間歇モードに戻す。
【0046】
このように、SpOの値が正常値に回復した場合は、連続モードをそれ以上継続させる必要がないので、間歇モードに戻すことで酸素ガスの無駄を抑制することができる。
【0047】
一方、SpOの値が第2基準値S未満と判定された場合は(S160:NO)、正常値への回復が確認されないため、処理フローはステップS150に戻る。よって、この場合、制御部15は、酸素投与モードを間歇モードに切り替えることなく、次の酸素飽和度測定結果を待つ。よって、SpOの値が第2基準値S未満である限り酸素投与モードは連続モードに維持されるので、低酸素状態の長期化回避を図ることができる。
【0048】
なお、第2基準値Sが第1基準値Sよりも大きい値に設定された場合は、患者のSpOの値が第1基準値Sよりも大きくなっている状況で酸素投与モードが連続モードから間歇モードに戻されるため、その後すぐにSpOの値が第1基準値Sを下回って酸素投与モードが再び連続モードになる可能性を低減させることができる。
【0049】
また、パルスオキシメータ20の測定誤差を想定して第2基準値Sを第1基準値Sよりも大きい値に設定しても良い。
【0050】
また、本例の処理フローを第1の動作例の処理フローと組み合わせて実施しても良い。すなわち、酸素投与モードを連続モードに切り替えた後、次の酸素飽和度測定結果を待っている間に所定期間が経過した場合には、酸素投与モードを自動で間歇モードに戻しても良い。
【0051】
〔実施例〕
5L/分の酸素流量で間歇的酸素投与を受ける続発性肺高血圧症の患者(84歳、男性)の場合、安静時に90%であったSpOの値が歩行時に81%まで低下したため、酸素投与モードを連続モードに切り替えて、引き続き患者を歩行させたところ、SpOの値が86%まで回復した。
【0052】
また、3L/分の酸素流量で間歇的酸素投与を受ける肺気腫及び肺性心の患者(81歳、男性)の場合、安静時に94%であったSpOの値が歩行時に88%まで低下したため、酸素投与モードを連続モードに切り替えて、引き続き患者を歩行させたところ、SpOの値が92%まで回復した。
【0053】
また、3L/分の酸素流量で間歇的酸素投与を受ける肺気腫及び肺性心の患者(77歳、男性)の場合、安静時に93%であったSpOの値が歩行時に86%まで低下したため、酸素投与モードを連続モードに切り替えて、引き続き患者を歩行させたところ、SpOの値が91%まで回復した。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10 酸素供給装置
11 酸素ボンベ
11A、13 酸素出口
12 同調弁
14 圧力センサ
15 制御部
15A CPU
15B メモリ
16 タイマ
17 操作部
18 通信部
20 パルスオキシメータ
図1
図2
図3