(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流検出センサは前記LD駆動電流を検出して電流検出値を出力し、前記電流検出回路は前記電流検出センサから得られた電流検出値より前記LD駆動電流値を算出して出力するように形成されており、
前記フォトセンサは前記レーザ光の強度を検出して光強度検出値を出力し、前記モニタ検出回路は前記フォトセンサから得られた光強度検出値より前記レーザ光の強度を算出して出力するように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ電源装置。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザダイオードを励起用レーザ光の光源とするレーザ加工装置が各種の物品の加工に利用されている。本出願人は、加工精度が高く、安全性に優れたレーザ加工装置を提案している(例えば、特許文献1、
図1参照)。
【0003】
このレーザ加工装置においては、レーザ光の進行方向に従って概略して説明すると、最初に、レーザ加工用のレーザダイオードによって励起用レーザ光を励起させ、続いて、励起用レーザ光を発振ファイバによって所定波長のファイバレーザ光として取り出し、続いて、光ファイバ等の導光手段によって加工ヘッドに導光し、続いて、加工ヘッドによって加工対象物にファイバレーザ光を照射してレーザ加工を施すように形成されている。
【0004】
前記レーザダイオードにはレーザ電源から所定のLD駆動電流(例えば、パルス状)が供給されて、設定されたファイバレーザ光が出力されるように形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載されているレーザ加工装置においては、レーザダイオードに対する安定的なLD駆動電流の供給とフィードバックを行うために、レーザ電源からレーザダイオードに供給されるLD駆動電流を測定する電流センサとLD電流測定回路が設けられている。電流センサは、たとえばホール素子からなり、無接触でLD駆動電流を検出するものである。LD電流測定回路は、電流センサの出力信号を入力してLD駆動電流の電流測定値(たとえば電流実効値)を演算する。LD電流測定回路で得られた電流測定値は、フィードバック信号としてレーザ電源に与えられるとともに、モニタ信号として装置全体の制御を行う制御部に与えられるように形成されている。
【0007】
また、発振ファイバから出力されるレーザ光の強度をモニタリングするとともにフィードバックを行うために、ビームスプリッタ、伝送用光ファイバ、フォトセンサおよびレーザ出力測定回路が設けられている。ビームスプリッタは、レーザ光の光路の途中に介装されて、入射したレーザ光のごく一部(たとえば1%)を所定方向つまりパワーモニタ用の前記フォトセンサ側へ反射し、残りの大部分(99%)をまっすぐ透過させる。伝送用光ファイバは、一端がビームスプリッタの近傍に配設されて他端がフォトセンサに接続されている。ビームスプリッタで反射されたレーザ光は伝送用光ファイバに導入されてフォトセンサに伝送される。フォトセンサは、ビームスプリッタからのモニタ光を光電変換して、レーザ光のレーザ出力(パワー)を表す電気信号(レーザ出力測定信号)を出力する。レーザ出力測定回路は、フォトセンサの出力信号を基に、アナログ信号処理によってレーザ光のレーザ出力測定値を求める。レーザ出力測定回路で得られたレーザ出力測定値は、フィードバック信号としてレーザ電源に与えられるとともに、モニタ信号として装置全体の制御を行う制御部に与えられるように形成されている。
【0008】
今日におけるレーザ光出力の強度の増大化に伴って、LD駆動電流およびレーザ光の出力のモニタリングとフィードバックを迅速かつ高精度に実行することが望まれている。例えば、上記のモニタ系が1系統である場合、仮に伝送用光ファイバが破損したりフォトセンサが故障したときには、正確なモニタリングができなかったり、制御を迅速に実行できないおそれがある。また、モニタリングのために取り出したレーザ光の強度が強い場合には、伝送用光ファイバやフォトセンサが早期に損傷してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、レーザ光の出力時にLD駆動電流およびレーザ光の出力を適正に監視することができ、異常が発生した場合には、迅速かつ適正に対応してアラームを発生させこと、ならびにLD駆動電流の供給を停止することのできるレーザ電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレーザ電源装置の1態様は、レーザダイオードにLD駆動電流を供給するレーザ電源ユニットと、前記LD駆動電流の値およびレーザダイオードから出力されたレーザ光の強度をそれぞれ検出してパワーモニタ信号として出力するパワーモニタユニットと、前記パワーモニタ信号に示される前記LD駆動電流値および前記レーザ光の強度に基づいて前記レーザ電源ユニットの出力を制御する制御ユニットとを有するレーザ電源装置において、前記パワーモニタユニットは、 前記LD駆動電流を検出して前記パワーモニタ信号の一部として出力する1組の電流検出センサおよび電流検出回路と、前記レーザ光の強度を検出して前記パワーモニタ信号の一部として出力する少なくとも2組のフォトセンサおよびモニタ検出回路と、前記LD駆動電流値および前記レーザ光の強度のうちの少なくとも一方が異常値である場合にアラーム信号を出力するアラーム判定回路と、前記2組のモニタ検出回路から受信した前記レーザ光の強度を比較して閾値を越えている場合にバランス逸脱信号を出力するバランス検出回路と、前記アラーム信号およびバランス逸脱信号のうちの少なくとも一方を受信した場合に前記エラー信号を出力するLD電源外部アラーム回路とを備えており、
前記2組フォトセンサのいずれかが故障した時において、前記パワーユニットが前記バランス逸脱信号を検出した場合、当該パワーモニタユニットは前記LD駆動電流の供給を停止するエラー信号を前記レーザ電源ユニットに出力するとともに、中継ユニットを通して前記制御ユニットへ直接出力し、前記電流検出センサおよび前記電流検出回路を用いたカレントフィードバックモードの運転時において、前記パワーモニタユニットが前記LD駆動電流値の異常値を検出した場合、当該パワーモニタユニットは前記LD駆動電流の供給を停止するエラー信号を前記レーザ電源ユニットに出力
するとともに、中継ユニットを通して前記制御ユニットへ直接出力し、前記2組のフォトセンサおよび前記モニタ検出回路を用いたパワーフィードバックモードの運転時において、前記パワーモニタユニットが前記レーザ光の強度の異常値を検出した場合、当該パワーモニタユニットは前記LD駆動電流の供給を停止するエラー信号を前記レーザ電源ユニットに出力
するとともに、中継ユニットを通して前記制御ユニットへ直接出力し、
前記制御ユニットは、パワーモニタユニットから前記レーザ電源ユニットに対する直接的なエラー信号の送付が故障した場合のバックアップとして、前記レーザ電源ユニットに対して電流供給を停止する停止指令信号を出力し、前記レーザ電源ユニットは、前記エラー信号
および停止指令信号に基づいて前記LD駆動電流の供給を停止することを特徴とする。これにより本発明によれば、レーザ光の出力時にLD駆動電流およびレーザ光の出力を適正に監視することができ、カレントフィードバックモードの運転時およびパワーフィードバックモードの運転時のそれぞれにおいて異常が発生した場合には、迅速かつ適正に対応してアラームを発生させたり、
エラー信号および停止指令信号に基づいてLD駆動電流の供給を停止することができる。
【0013】
また、本発明のレーザ電源装置の更に他の態様は、前記電流検出センサは前記LD駆動電流を検出して電流検出値を出力し、前記電流検出回路は前記電流検出センサから得られた電流検出値より前記LD駆動電流値を算出して出力するように形成されており、前記フォトセンサは前記レーザ光の強度を検出して光強度検出値を出力し、前記モニタ検出回路は前記フォトセンサから得られた光強度検出値より前記レーザ光の強度を算出して出力するように形成されていることを特徴とする。これにより本発明によれば、レーザ光の出力時にLD駆動電流およびレーザ光の出力を適正に監視することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレーザ電源装置は、レーザ光の出力時にLD駆動電流およびレーザ光の出力を適正に監視することができ、異常が発生した場合には、迅速かつ適正に対応してアラームを発生させこと、ならびにLD駆動電流の供給を停止することができるなどの効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のレーザ電源装置の実施形態を
図1から
図4により説明する。
【0017】
図1から
図2は本発明のレーザ電源装置の1実施形態を示している。
【0018】
図1は本実施形態のレーザ電源装置1の全体構成を示しており、パワー系とモニタ制御系とによって形成されている。
【0019】
パワー系は、電磁開閉器2を通して3相交流をレーザ電源ユニット3に供給し、このレーザ電源ユニット3によって所定のLD駆動電流(パルス電流)としてファイバレーザ発振ユニット4のレーザダイオード9(
図3参照)に供給し、このファイバレーザ発振ユニット4においてレーザ光FBを生成して外部に出力させるように形成されている。
【0020】
モニタ制御系は、パワーモニタユニット5によってLD駆動電流の大きさおよびレーザダイオード9(
図3参照)の励起に基づいてファイバレーザ発振ユニット4から出力されたレーザ光FBの強度をそれぞれ検出してパワーモニタ信号PMS若しくはエラー信号ESとしてレーザ電源ユニット3および制御ユニット6に出力させるように形成されている。その制御ユニット6は、受信したパワーモニタ信号PMS若しくはエラー信号ESに応じて電磁開閉器2およびレーザ電源ユニット3の運転を制御するように形成されている。制御ユニット6と電磁開閉器2およびパワーモニタユニット5とはインターロックユニット7および中継ユニット8を通して適宜の公知の通信手段を利用して情報伝達するように形成されている。
【0021】
更に説明すると、レーザ電源ユニット3においては、電流の進行方向に従って説明すると、まず、入力回路11によって電磁開閉器2からの3相交流の入力を受け、続いて平滑回路によって交流を平滑にするとともに絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いた駆動回路に充電してその充電電圧を次の出力ゲート回路12に放電し、続いて当該出力ゲート回路12によって所定の大きさに生成されたLD駆動電流(発振パルス電流)をファイバレーザ発信ユニット4のダイオード9に供給するように形成されている。なお、本発明におけるLD駆動電流として、パルス電流に替えてCW電流を適用することもできる。また、レーザ電源ユニット3においては、主としてLD駆動電流およびレーザ光FBの出力が正常な場合には、パワーモニタ信号PMSに基づいてフィードバック運転を実行させるフィードバック制御回路14が設けられている。さらに、レーザ電源ユニット3においては、LD駆動電流およびレーザ光FBの出力が異常な場合には、エラー信号ESを直に受信して出力ゲート回路12の出力ゲートを閉じてレーザ電源ユニット3からのLD駆動電流の出力を停止させる停止回路15がフィードバック制御回路14内に設けられている。また、フィードバック制御回路14は停止回路15のバックアップ作用を備えている。具体的には、停止回路15系に何らかのトラブルが発生した場合には、受信したエラー信号ESに基づいて力ゲート回路12の出力ゲートを閉じる指令を出力するように形成されている。
【0022】
ファイバレーザ発振ユニット4においては、例えば
図3に示すように、前記特許文献1と同様に形成されており、レーザダイオード9によって励起光MBを励起させ、続いて、励起光MBを発振ファイバ31によって所定波長のレーザ光FBとして取り出して外部に出力するように形成されている。
【0023】
具体的には、ファイバレーザ発振ユニット4は、発振用の発振ファイバ31と、この発振ファイバ31の一端面にポンピング用の励起用レーザ光MBを照射する電気光学励起部32と、発振ファイバ31を介して光学的に相対向する一対の光共振器ミラー33、34とを有しており、発振ユニット全体でレーザ電源ユニット3より供給される電気エネルギーをレーザ光のレーザエネルギーに変換する電光変換部を構成している。各光共振器ミラー33、34と発振ファイバ31の端面との間にはそれぞれ光学レンズ35、36を有している。レーザ光FBを用いるレーザ加工が行われる時は、レーザダイオード9が、レーザ電源ユニット3より所望のパルス波形を有するLD駆動電流を供給または注入されて発光駆動され、所定波長のパルス励起光MBを発生する。光学レンズ32は、レーザダイオード9からの励起光MBを発振ファイバ31の一端面に集光入射させる。レーザダイオード9と光学レンズ33との間に配置される光共振器ミラー33は、レーザダイオード9側から入射した励起光MBを透過させ、発振ファイバ31側から入射した発振光線を共振器の光軸上で全反射するように構成されている。発振ファイバ31は、図示省略するが、発光元素としてたとえば希土類元素のイオンをドープしたコアと、このコアを同軸に取り囲むクラッドとを有しており、コアを活性媒体とし、クラッドを励起光の伝播光路としている。上記のようにして発振ファイバ31の一端面に入射した励起光MBは、クラッド外周界面の全反射によって閉じ込められながら発振ファイバ31の中を軸方向に伝搬し、その伝搬中にコアを何度も横切ることでコア中の希土類元素イオンを光励起する。こうして、コアの両端面から軸方向に所定波長の発振光線が放出され、この発振光線が光共振器ミラー33、34の間を何度も行き来して共振増幅され、部分反射ミラーからなる片側の光共振器ミラー34より該所定波長を有するレーザ光FBが取り出される。なお、光共振器内において、光学レンズ35、36は、発振ファイバ31の端面から放出されてきた発振光線を平行光にコリメートして光共振器ミラー33、34へ通し、当該光共振器ミラー33、34で反射して戻ってきた発振光線を発振ファイバ31の端面に集光させる。また、発振ファイバ31を通り抜けた励起光MBは、光学レンズ36および光共振器ミラー34を透過したのち折り返しミラー37にて側方のレーザ吸収体38に向けて折り返される。光共振器ミラー34より出力されたレーザ光FBは、この折り返しミラー37をまっすぐ透過し、次いでビームスプリッタ25を通ってから最適入力状態として外部に出力される。
【0024】
次に、パワーモニタユニット5は、
図1から
図3に示すように形成されている。
【0025】
本実施形態のパワーモニタユニット5は、
図1から
図3に示すように、検出系として、LD駆動電流を検出してパワーモニタ信号PMSの一部として出力する1個の電流検出センサ21および電流検出回路22と、レーザ光FBの強度を検出してパワーモニタ信号PMSの一部として出力する2組のフォトセンサ23a、23bおよびモニタ検出回路24a、24bとを備えている。電流検出センサ21は、たとえばホール素子からなり、無接触でLD駆動電流を検出するものである。電流検出回路22は、電流センサ21の出力信号を入力してLD駆動電流の電流測定値(たとえば電流実効値)を演算する。各フォトセンサ23a、23bに対しては、レーザ光FBの光路の途中に介装されたビームスプリッタ25によって反射して取り出されたレーザ光FBの散乱光が外乱防止用の外光遮蔽筒体25aを通して入射させられる。各フォトセンサ23a、23bが受光する散乱光はレーザ光FBの約0.1%以下(たとえば、1W以下)の微量となるので、レーザ光FBのモニタによって損傷されることはない。また、従来例におけるモニタ用の伝送用光ファイバを省略することができ、構成も簡単なものとなり、故障箇所が削減されることとなる。残りの大部分のレーザ光FBはビームスプリッタ25をまっすぐ透過される。ビームスプリッタ25と各フォトセンサ23a、23bとの間には筒状の外光遮蔽筒体25aが配設されていて、外部からの光(外乱)の入射を阻止するようになっている。ビームスプリッタ25からの散乱光をモニタ対象とするので、2つのフォトセンサ23a、23bに対して等分に散乱光を入射させることができるとともに、各フォトセンサ23a、23bに入射される光強度を1W未満の低い状態として各フォトセンサ23a、23bの故障発生を防止することができる。そして、各フォトセンサ23a、23bは、ビームスプリッタ25からのモニタ光(散乱光)を光電変換して、レーザ光FBのレーザ出力(パワー)を表す電気信号(レーザ出力測定信号)を出力する。各モニタ検出回路24a、24bは、各フォトセンサ23a、23bの出力信号に基づいて、アナログ信号処理によってレーザ光FBのレーザ出力測定値を求める。電流検出回路22で得られた電流測定値は、比較器26に入力されて、比較器26において基準値と比較されて、比較電流値がアラーム判定回路27に向けて出力されるように形成されている。各モニタ検出回路24a、24bで得られたレーザ出力測定値は、バランス検出回路28に入力されて、バランス検出回路28において双方のレーザ出力測定値の差分を常時取って監視を行い、いずれかのフォトセンサ23a、23bが故障した場合にバランス逸脱信号をLD電源外部アラーム回路29へ出力するように形成されている。さらに、一方のモニタ検出回路24bで得られたレーザ出力測定値は、比較器30に入力されて、比較器30において基準値と比較されて、比較レーザ出力値がアラーム判定回路27に向けて出力されるように形成されている。アラーム判定回路27は、各比較器26、30から入力される比較電流値および比較レーザ出力値がともに正常値の場合にはそのままLD電源外部アラーム回路29へ出力し、いずれかが異常値である場合にはアラーム信号をLD電源外部アラーム回路29へ出力するように形成されている。LD電源外部アラーム回路29は、LD駆動電流の大きさおよびレーザ光の強度が共に正常値である場合には、比較器26、30からアラーム判定回路27を通して入力される比較電流値および比較レーザ出力値をそのままパワーモニタ信号PMSとしてレーザ電源ユニット3のフィードバック制御回路14に対してフィードバック信号として出力するとともに、フィードバック制御回路14を通して制御ユニット6に対してモニタ信号として出力するように形成されている。さらに、LD電源外部アラーム回路29は、アラーム判定回路27からアラーム信号が入力された場合並びにバランス検出回路28からバランス逸脱信号BSが入力された場合には、それぞれレーザ電源ユニット3の運転を停止させるエラー信号ESをレーザ電源ユニット3の停止回路15に出力するとともに、中継ユニット8を介して制御ユニット6へ出力するように形成されている。
【0026】
次に、本実施形態のレーザ電源装置1の作用を説明する。
【0027】
<運転開始の動作>
電磁開閉器2をONにしてレーザ電源ユニット3に通電すると、レーザ電源ユニット3が制御ユニット6からの運転指令(電流値指示信号)を受けて所定の大きさのLD駆動電流をレーザダイオードユニット4に出力する。具体的には、入力回路11によって電磁開閉器2からの3相交流の入力を受け、平滑回路によって交流を平滑し、最終段の出力ゲート回路12によって所定の大きさに生成されたLD駆動電流をファイバレーザ発振ユニット4に供給する。
【0028】
ファイバレーザ発振ユニット4においては、LD駆動電流を入力されたレーザダイオード9によって励起光MBを励起させ、続いて、励起光MBを発振ファイバ31によって所定波長のレーザ光FBとして取り出して外部に出力する。
【0029】
<運転の監視>
運転開始時より、電流検出センサ21によるLD駆動電流の検出と、両フォトセンサ23a、23bによるレーザ光FBの強度の検出とによる監視が開始されるとともに運転が終了するまで継続される。
【0030】
<正常運転時の動作>
LD駆動電流の大きさおよびレーザ光FBの強度がそれぞれ正常値である場合には、電流検出センサ21を用いたカレントフィードバックモードの運転と、両フォトセンサ23a、23bを用いたパワーフィードバックモードの運転とが実行される。
【0031】
(カレントフィードバックモードの運転動作)
電流検出センサ21によって検出され電流検出回路22によって算出されたLD駆動電流の電流測定値は、比較器26において、たとえば待機電流値や緩和発信設定電流値等の基準値と比較され、基準値より大きい場合に比較電流値がアラーム判定回路27に出力される。この基準値と比較することにより定常運転時のみにおけるカレントフィードバックモードの運転を可能としている。続いて、アラーム判定回路27においては、異常値となる過電流値より低い正常値の比較電流値の入力があると、そのままLD電源外部アラーム回路29に出力する。LD電源外部アラーム回路29は正常値を示す比較電流値をそのままパワーモニタ信号PMSとしてレーザ電源ユニット3のフィードバック制御回路14に対してフィードバック信号として出力するとともに、フィードバック制御回路14を通して制御ユニット6に対してモニタ信号として出力する。続いて、制御ユニット6からも、レーザ電源ユニット3のフィードバック制御回路14に対して、検出されたLD駆動電流値をあらかじめ設定した設定電流値に補正する指令(電流値指示信号)が送られて適正なLD駆動電流値がファイバレーザ発振ユニット4へ出力される。以後、この運転が継続される。
【0032】
(パワーフィードバックモードの運転動作)
一方のフォトセンサ23bによって検出され、モニタ検出回路24bで得られたレーザ出力測定値は、比較器30において、たとえばレーザ光FBとしての設定出力値より若干低い値からなる基準値と比較され、基準値より大きい場合に比較レーザ出力値がアラーム判定回路27に出力される。この基準値と比較することにより定常運転時のみにおけるパワーフィードバックモードの運転を可能としている。続いて、アラーム判定回路27においては、異常値となる過剰なレーザ光の強度を示す値より低い正常値の比較レーザ出力値の入力があると、そのままLD電源外部アラーム回路29に出力する。LD電源外部アラーム回路29は正常値を示す比較レーザ出力値をそのままパワーモニタ信号PMSとしてレーザ電源ユニット3のフィードバック制御回路14に対してフィードバック信号として出力するとともに、フィードバック制御回路14を通して制御ユニット6に対してモニタ信号として出力する。続いて、制御ユニット6からも、レーザ電源ユニット3のフィードバック制御回路14に対して、検出されたレーザ出力測定値をあらかじめ設定した設定レーザ出力値に補正する指令(電流値指示信号)が送られて適正なLD駆動電流値がファイバレーザ発振ユニット4へ出力される。以後、この運転が継続される。
【0033】
<異常時の動作>
レーザダイオード9のON・OFFにかかわらずにパワーモニタが故障した場合や、正常運転時に異常が発生した場合には、次のようにしてレーザ電源ユニット3の電流供給を停止させる。
【0034】
(パワーモニタが故障した場合の動作)
各フォトセンサ23a、23bおよび各モニタ検出回路24a、24bによって検出して得られた各レーザ出力測定値は、バランス検出回路28に入力されて、バランス検出回路28において双方のレーザ出力測定値の差分を常時取って監視を行っている。この差分としては、各レーザ出力測定値はあらかじめ設定した設定レーザ出力値になるものであるので、当該あらかじめ設定した設定レーザ出力値とするとよい。この監視中において、いずれかのフォトセンサ23a、23bが故障した場合、具体的にはバランス検出回路28において設定した差分の値が検出された場合に、バランス逸脱信号BSをLD電源外部アラーム回路29へ出力する。LD電源外部アラーム回路29は、バランス検出回路28からバランス逸脱信号BSが入力され
ると、レーザ電源ユニット3の運転を停止させるエラー信号ESをレーザ電源ユニット3の停止回路15に出力するとともに、中継ユニット8を通して公知の通信手段を利用して制御ユニット6へ直接出力する。このエラー信号ESの入力を受けたレーザ電源ユニット3は出力ゲート回路12のゲートを閉鎖してレーザ駆動電流の供給を緊急停止させる。中継ユニット8を通してエラー信号ESの入力を直接受けた制御ユニット6は、インターロックユニット7を通して公知の通信手段を利用して電磁開閉器2に対して遮断する指令(停止指令信号)を出力し、電磁開閉器2による電源遮断を実行してレーザ駆動電流の供給を緊急停止させることを確実に実行させる。さらに、制御ユニット6は、パワーモニタユニット5から停止回路15に対する直接的なエラー信号ESの送付が故障した場合のバックアップとして、レーザ電源ユニット3の停止回路15に対しても電流供給を停止する指令(停止指令信号)を出力し、レーザ駆動電流の供給を緊急停止させることを確実に実行させる。
【0035】
この場合における異常箇所の表示としては、パワーモニタエラーとレーザダイオードへのパワーサプライエラーとするとよい。
【0036】
(カレントフィードバックモードにおける異常時の動作)
カレントフィードバックモードの運転時において、過剰なLD駆動電流が供給されると電流検出センサ21、電流検出回路22および比較器26を通して出力される比較電流値が異常値となる。この異常な比較電流値の入力を受けたアラーム判定回路27はアラーム信号をLD電源外部アラーム回路29へ出力する。LD電源外部アラーム回路29は、アラーム判定回路27からアラーム信号が入力されると、レーザ電源ユニット3の運転を停止させるエラー信号ESをレーザ電源ユニット3の停止回路15に出力するとともに、中継ユニット8を介して制御ユニット6へ出力する。その後は前記のパワーモニタが故障した場合と同様にしてレーザ駆動電流の供給の緊急停止が迅速かつ確実に実行される。
【0037】
この場合における異常箇所の表示としては、パワーモニタエラーとレーザダイオードへのパワーサプライエラーとするとよい。
【0038】
(パワーフィードバックモードにおける異常時の動作)
パワーフィードバックモードの運転時において、レーザ光FBの強度が過剰に上昇すると、フォトセンサ23b、モニタ検出回路24bおよび比較器30を通して出力される比較レーザ出力測定値が異常値となる。この異常な比較レーザ出力測定値の入力を受けたアラーム判定回路27はアラーム信号をLD電源外部アラーム回路29へ出力する。LD電源外部アラーム回路29は、アラーム判定回路27からアラーム信号が入力されると、レーザ電源ユニット3の運転を停止させるエラー信号ESをレーザ電源ユニット3の停止回路15に出力するとともに、中継ユニット8を介して制御ユニット6へ出力する。その後は前記のパワーモニタが故障した場合と同様にしてレーザ駆動電流の供給の緊急停止が迅速かつ確実に実行される。
【0039】
この場合における異常箇所の表示としては、パワーモニタエラーとレーザダイオードへの電流供給エラーとするとよい。
【0040】
本実施形態においては、前記の3種類の異常に対応する動作において、エラー信号ESをパワーモニタ信号PMSの伝達経路と異なる経路をもって、パワーモニタユニット5からレーザ電源ユニット3の停止回路15と制御ユニット6へ直接出力するようにしたので、異常に対して迅速かつ確実に対応することができる。
【0041】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0042】
例えば、
図4に示すように、ファイバレーザ発振ユニット5の構成に合わせて、レーザ光FBの強度をモニタするための各フォトセンサ23a、23bの配置位置を変更するとよい。具体的には、
図4においては、発振ファイバ31に対して両端部にそれぞれ配置したレーザダイオード9、9aによって異なる波長の励起光を入射させてレーザ光FBを発振させている。発振されたレーザ光FBは、ベントミラー39a、39bによってそれぞれ直角に屈折させられて外部に出力される。この場合に、例えば、下流側のベントミラー39bを透過したごく一部のレーザ光FB(散乱光)を遮光カバー25aを通して各フォトセンサ23a、23bに入射させて、レーザ光FBの強度をモニタするとよい。