(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の風向調整装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図3及び
図5において、10は風向調整装置で、この風向調整装置10は、ルーバ装置あるいはベンチレータなどとも呼ばれるもので、例えば自動車の被取付部材であるインストルメントパネルなどに取り付けられ、空調装置に接続されて、車室内に風を吹き出し、空調を行う車両用空調装置を構成している。なお、以下、風が吹き出す下流側(風下側)すなわち乗員側を前側、風の上流側(風上側)を後側とし、両側方向及び上下方向については、自動車に取り付けた状態を例として説明する。
【0016】
そして、この風向調整装置10は、
図1ないし
図5に示すように、ケース体11と、このケース体11に回動可能に軸支された複数、例えば3枚の第1ルーバとしての第1リアフィン12と、これら第1リアフィン12よりも後方の位置でケース体11に回動可能に軸支された例えば1枚の第2ルーバとしての第2リアフィン13と、これらリアフィン12,13を連結する(第1)リンクとしてのリアリンク14と、第1リアフィン12よりも前方の位置でケース体11に回動可能に軸支された複数、例えば3枚の第3ルーバとしてのフロントフィン15と、これらフロントフィン15を連結する(第2)リンクとしてのフロントリンク16と、フィン12,13,15の操作用の操作ノブ17とを備えている。
【0017】
ケース体11は、例えば合成樹脂などにて、第1面部としての上板部21、第2面部としての下板部22、及び(一方及び他方の)側面部としての両側の(一方及び他方の)側板部23,24を設けた略角筒状に形成され、内側が通風路26、前側が吹出口27、後側が空調装置のエアダクトに接続される接続口28となっている。そして、このケース体11は、例えば上板部21及び下板部22が水平方向に沿って平面状で、下板部22が上板部21よりも一側方に延び、一方の側板部23が下板部22の一側から上板部21の一側へと徐々に他方の側板部24に接近するように傾斜し、かつ、他方の側板部24が上下方向に沿って垂直平面状となっており、通風路26の風と交差(直交)する方向に沿う平面での断面視で略台形状となっている。すなわち、吹出口27及び接続口28が台形状となっている。そして、このケース体11(風向調整装置10)は、他方の側板部24を車幅方向の外側、すなわち車外側に位置させてインストルメントパネルなどに取り付けられている。
【0018】
また、一方の側板部23には、通風路26内へと突出する軸受部30が一体に形成されている。この軸受部30は、上下方向に沿って一方の側板部23から下方に突出する側部軸受部である垂直軸受面部30aと、水平方向に沿って一方の側板部23から突出し垂直軸受面部30aの下端部と連続する下部軸受部である水平軸受面部30bとを備え、正面から見て逆L字状となっている(
図3)。
【0019】
また、第1リアフィン12は、前部縦ルーバ、あるいは第1縦ルーバなどとも呼ばれ、上下方向を長手方向として互いに両側方向に配置され、それぞれケース体11の上板部21及び下板部22に形成された図示しない丸孔などの垂直軸受に上下方向すなわち垂直方向を回転軸として回動可能に軸支されて通風路26内に位置する。この第1リアフィン12は、細長矩形板状の第1羽根部である第1ルーバ本体としての第1リアフィン本体32と、この第1リアフィン本体32の長手方向すなわち上下方向の両端部分から通風路26を通過する風と交差する方向である上下方向に突設され垂直軸受に嵌合して回動可能に軸支される円柱状の第1回動軸部33と、この第1回動軸部33から後方、すなわち通風路26の風上側である第2リアフィン13側へと離間しかつこの第1回動軸部33と平行に第1リアフィン本体32の下端部から突設された第1リンク軸部34とを備えている。そして、この第1リアフィン12のうち、一方の側板部23寄りである左側が左リアフィン12a、中央が中央リアフィン12b、他方の側板部24寄りである右側が右リアフィン12cとなる。すなわち、左リアフィン12aは、第1リアフィン本体32を構成する左リアフィン本体32aと、第1回動軸部33を構成する左回動軸部33aと、第1リンク軸部34を構成する左リンク軸部34aとを備え、中央リアフィン12bは、第1リアフィン本体32を構成する中央リアフィン本体32bと、第1回動軸部33を構成する中央回動軸部33bと、第1リンク軸部34を構成する中央リンク軸部34bとを備え、右リアフィン12cは、第1リアフィン本体32を構成する右リアフィン本体32cと、第1回動軸部33を構成する右回動軸部33cと、第1リンク軸部34を構成する右リンク軸部34cとを備えている。
【0020】
さらに、左リアフィン12aは、一方の側板部23の上端部近傍の位置に配置されている。換言すれば、この左リアフィン12aは、上板部21の左側縁部近傍に位置している。また、この左リアフィン12aの左リアフィン本体32aの上端部には、一方の側板部23の傾斜形状に対応して回動時のこの一方の側板部23との干渉を防止するように傾斜した第1逃げ部36,36が前後両側にそれぞれ形成されている。
【0021】
また、中央リアフィン12bは、上下方向の中央部近傍にて前縁部に、半円状に切り欠き形成された切欠部37を備え、この切欠部37の前端部には、上下方向に延びる棒状の接続軸部である縦操作受部38が上下方向に沿って形成されている。この縦操作受部38には、操作ノブ17が回動可能に接続され、この操作ノブ17の操作と連動して第1リアフィン12が互いに平行に保持したまま第1リアフィン群として左右に回動するように構成されている。
【0022】
そして、各リアフィン12a,12b,12cは、第1回動軸部を構成する回動軸部33a,33b,33cが、左右方向、すなわち通風路26を通過する風に対して交差(直交)する方向に略一直線上に位置して通風路26内に配置されている。
【0023】
また、第2リアフィン13は、後部縦ルーバ、あるいは第2縦ルーバとも呼ばれ、上下方向を長手方向として配置され、ケース体11の一方の側板部23の軸受部30の水平軸受面部30b及び下板部22に形成された図示しない垂直軸受に上下方向すなわち垂直方向を回転軸として回動可能に軸支されて通風路26内に位置する。この第2リアフィン13は、第2羽根部である第2ルーバ本体としての第2リアフィン本体42と、この第2リアフィン本体42の長手方向すなわち上下方向の両端部分から通風路26を通過する風と交差する方向である上下方向に突設され突設され垂直軸受に嵌合して回動可能に軸支される円柱状の第2回動軸部43と、この第2回動軸部43から前方、すなわち通風路26の風下側である第1リアフィン12側へと離間しかつこの第2回動軸部43と平行に第2リアフィン本体42の下端部から突設された第2リンク軸部44とを備えている。なお、この第2リアフィン13は、ケース体11の形状によっては、第1リアフィン12と同様に上板部21と下板部22とに形成された丸孔などの垂直軸受に回動可能に軸支されていてもよい。
【0024】
また、第2リアフィン本体42には、一方の側板部23の傾斜形状に対応して回動時のこの一方の側板部23との干渉を防止するように傾斜した第2逃げ部46,46が前後両側に上端部から下端部に亘ってそれぞれ形成されている。したがって、この第2リアフィン本体42は、三角形板状となっている。
【0025】
そして、第2リアフィン13は、第2回動軸部43が、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりも後方に離間された位置で、かつ、第1リアフィン12を構成する左リアフィン12aよりも一方の側板部23寄り(左寄り)の位置にて通風路26内に配置されている。すなわち、この第2リアフィン13は、第1リアフィン12を構成する左リアフィン12aよりも一方の側板部23に近接した位置に配置されている。また、第2リアフィン13は、正面視で、第1リアフィン12の各リアフィン12a,12b,12c間の距離と略等しい距離、左リアフィン12aから一側方(左側)へと離間されている。したがって、リアフィン12,13は、左右方向に略等間隔に離間されている。さらに、この第2リアフィン13の第2リアフィン本体42の第2回動軸部43よりも前側の部分は、中立状態(
図1(b)及び
図2(b))において、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)の第1リアフィン本体32(リアフィン本体32a,32b,32c)の第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後側の部分と、側方から見て前後方向に離間されておらず、重なって(ラップして)いる。
【0026】
また、リアリンク14は、第1リアフィン12の第1リンク軸部34と第2リアフィン13の第2リンク軸部44とを回動可能に連結するもので、第1リアフィン12及び第2リアフィン13の配置方向である左右方向を長手方向とする細長い棒状の(第1)リンク本体としてのリアリンク本体51と、このリアリンク本体51の長手方向の一端部から後方に向けて屈曲状に突出する、前後方向に沿って長手状の屈曲部52とを一体に備えている。したがって、このリアリンク14は、平面視でL字状となっている。また、このリアリンク14のリアリンク本体51には、第1リアフィン12の第1リンク軸部34を回動可能に受ける円孔状の第1リンク軸受部53が開口されている。したがって、この第1リンク軸受部53は、左リアフィン12aの左リンク軸部34aを受ける左リンク軸受部53aと、中央リアフィン12bの中央リンク軸部34bを受ける中央リンク軸受部53bと、右リアフィン12cの右リンク軸部34cを受ける右リンク軸受部53cとを備えている。さらに、屈曲部52には、第2リアフィン13の第2リンク軸部44を回動及び摺動可能に受ける前後方向に沿って長手方向を有する長孔状の第2リンク軸受部54が開口されている。したがって、このリアリンク14は、第1リアフィン12の後方で、かつ、第2リアフィン13の前方に位置している。
【0027】
また、フロントフィン15は、横ルーバとも呼ばれ、左右方向(水平方向)を長手方向として互いに上下方向に配置され、ケース体11の一方及び他方の側板部23,24に形成された図示しない丸孔などの水平軸受に水平方向を回転軸として回動可能に軸支されて通風路26内、あるいは通風路26の下流側の端部である吹出口27に位置する。このフロントフィン15は、細長矩形板状の第3羽根部である第3ルーバ本体としてのフロントフィン本体62と、このフロントフィン本体62の長手方向すなわち左右方向の両端部分から通風路26を通過する風と交差する方向である左右方向に突設され水平軸受に嵌合して回動可能に軸支される円柱状の第3回動軸部63と、この第3回動軸部63から後方、すなわち通風路26の風上側であるリアフィン12,13側へと離間しかつこの第3回動軸部63と平行にフロントフィン本体62の右端部から突設された第3リンク軸部64とを備えている。そして、このフロントフィン15のうち、上板部21寄りである上側が上フロントフィン15a、中央が中央フロントフィン15b、下板部22寄りである下側が下フロントフィン15cとなる。すなわち、上フロントフィン15aは、フロントフィン本体62を構成する上フロントフィン本体62aと、第3回動軸部63を構成する上回動軸部63aと、第3リンク軸部64を構成する上リンク軸部64aとを備え、中央フロントフィン15bは、フロントフィン本体62を構成する中央フロントフィン本体62bと、第3回動軸部63を構成する中央回動軸部63bと、第3リンク軸部64を構成する中央リンク軸部64bとを備え、下フロントフィン15cは、フロントフィン本体62を構成する下フロントフィン本体62cと、第3回動軸部63を構成する下回動軸部63cと、第3リンク軸部64を構成する下リンク軸部64cとを備えている。
【0028】
さらに、上フロントフィン15a及び中央フロントフィン15bは、互いに略等しい長さに形成されており、上回動軸部63a及び中央回動軸部63bが、一方の側板部23の軸受部30の垂直軸受面部30aと他方の側板部24とに形成された水平軸受に回動可能に軸支されている。また、下フロントフィン15cは、フロントフィン15a,15bよりも長く形成されており、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置と他方の側板部24とに形成された水平軸受に回動可能に軸支されている。さらに、フロントフィン15a,15b,15cは、本実施の形態では吹出口27の傾斜に対応して、上フロントフィン15aから下フロントフィン15cへと徐々に前側に位置するように配置されている。
【0029】
そして、フロントフィン15は、操作ノブ17の操作と連動して、互いに平行に保持したままフロントフィン群として上下に回動するように構成されている。
【0030】
また、フロントリンク16は、フロントフィン15のフロントフィン15a,15b,15cを回動可能に連結するもので、フロントフィン15の配置方向である上下方向を長手方向とする細長い棒状の(第2)リンク本体としてのフロントリンク本体71と、フロントフィン15の第3リンク軸部64を回動可能に受ける円孔状の第3リンク軸受部73とを備えている。したがって、この第3リンク軸受部73は、上フロントフィン15aの上リンク軸部64aを受ける上リンク軸受部73aと、中央フロントフィン15bの中央リンク軸部64bを受ける中央リンク軸受部73bと、下フロントフィン15cの下リンク軸部64cを受ける下リンク軸受部73cとを備えている。
【0031】
そして、操作ノブ17は、車両の乗員などの使用者が風向を変える際に摘んで操作するための摘み部であり、フロントフィン15のフロントフィン本体62、本実施の形態では中央フロントフィン15bの中央フロントフィン本体62bに嵌合された操作ノブ本体75を備え、この操作ノブ本体75の後側部に、両側一対の棒状をなす係合部としてのフィン係合部77が設けられ、これらフィン係合部77同士の間に、第1リアフィン12の例えば中央リアフィン12bの縦操作受部38が摺動自在に係合するようになっている。
【0032】
そして、操作ノブ17を上下左右に操作することにより、リアリンク14を介して第1及び第2リアフィン12,13を連動して左右方向に回動させて風向を左右に調整し、フロントリンク16を介してフロントフィン15を連動して上下方向に回動させて風向を上下方向に調整できる。
【0033】
なお、図示しないが、第1リアフィン12後方すなわち風上(上流)側に位置し、通風路26を開閉するシャッターバルブを配置することもできる。
【0034】
次に、風向調整装置10の組み立て手順を説明する。
【0035】
まず、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)の第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)を、リアリンク14の第1リンク軸受部53(リンク軸受部53a,53b,53c)に嵌合するとともに、第2リアフィン13の第2リンク軸部44を、リアリンク14の第2リンク軸受部54に遊嵌して、第1リアフィン12及び第2リアフィン13をリアリンク14によって連結する。
【0036】
次いで、このリアリンク14によって連結した第1リアフィン12及び第2リアフィン13を、リアリンク14とともに、予め形成したケース体11に組み付ける。このとき、第2リアフィン13は、第2回動軸部43をケース体11の垂直軸受に嵌合するとともに、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)は、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を、ケース体11の垂直軸受に嵌合する。この結果、通風路26において、第1リアフィン12が前側、第2リアフィン13が後側に位置する。
【0037】
さらに、フロントフィン15のフロントフィン15a,15b,15cを、第3リンク軸部64のリンク軸部64a,64b,64cをフロントリンク16の第3リンク軸受部73のリンク軸受部73a,73b,73cに嵌合して、フロントリンク16によって連結する。このとき、操作ノブ17は、中央フロントフィン15bに予め嵌合しておく。
【0038】
そして、このフロントリンク16によって連結したフロントフィン15をケース体11に組み付ける。このとき、フロントフィン15のフロントフィン15a,15b,15cは、第3回動軸部63の回動軸部63a,63b,63cをケース体11の水平軸受に嵌合する。この結果、通風路26において、フロントフィン15が第1リアフィン12の前方に位置し、風向調整装置10が完成される。
【0039】
次に、風向を上下左右に調整する配風動作を説明する。なお、説明をより明確にするために、
図1においては、フロントフィン15及びフロントリンク16を省略している。
【0040】
まず、操作ノブ17を中央フロントフィン15bに沿って左右にスライドさせると、操作ノブ17のフィン係合部77が縦操作受部38を押動し、直接には中央リアフィン12bを、中央回動軸部33bを中心として左右に回動させる。この状態で、リアリンク14に対して第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方の第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結された第1リアフィン12の各リアフィン12a,12b,12cは互いに平行な状態で連動して回動するとともに、リアリンク14に対して第1回動軸部33及び第1リンク軸部34よりも後方でかつ第2回動軸部43よりも前方の第2リンク軸部44が連結された第2リアフィン13は、第1リアフィン12と反対方向に連動して回動(逆連動)し、風向が左右に変更すなわち調整される。
【0041】
例えば、
図1(b)及び
図2(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17(
図3)を一側方(車幅方向内側)である左方へと操作する(
図1(a)及び
図2(a))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が左方、後側が他側方である右方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結されているリアリンク14が相対的に右方、すなわち操作ノブ17(
図3)の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54に遊嵌された第2リアフィン13の第2リンク軸部44が、第2リンク軸受部54内に沿って後方へとスライドしつつ、このリアリンク14の移動方向である右方へと移動することで、第2リアフィン13が、第2リンク軸部44よりも後方に位置する第2回動軸部43を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0042】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が左傾斜し、第2リアフィン13が右傾斜することで、第1リアフィン12の右リアフィン12cの右リアフィン本体32cの後側が他方の側板部24に近接(接触)するとともに、第2リアフィン13の第2リアフィン本体42の後側が一方の側板部23に近接(接触)する。このため、通風路26において、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置に沿って流れる直進風は、第2リアフィン13により左右方向の中央側(右方)へと整流されて第1リアフィン12の左リアフィン12aに直接吹き付けられ、この左リアフィン12aにより左方に向けて整流される。このとき、この左リアフィン12aにより整流された風は、この左リアフィン12aによる整流方向である左方にルーバが存在しないため、第2リアフィン13によって吹き付けられて左リアフィン12aから左方へと跳ね返った風が再度右方へと跳ね返されて乱流が発生することがなく、確実にそのまま左方へと整流される。また、通風路26のその他の位置を流れる風は、第1リアフィン12のリアフィン12a,12b,12cにより左方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風全体が、吹出口27から前側へと直進したり右方に流れたりすることなく左方へと確実に整流される。
【0043】
一方、
図1(b)及び
図2(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17(
図3)を他側方である右方(車幅方向外側)へと操作する(
図1(c)及び
図2(c))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結されているリアリンク14が相対的に左方、すなわち操作ノブ17(
図3)の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54に遊嵌された第2リアフィン13の第2リンク軸部44が、第2リンク軸受部54内に沿って後方へとスライドしつつ、このリアリンク14の移動方向である左方へと移動することで、第2リアフィン13が、第2リンク軸部44よりも後方に位置する第2回動軸部43を中心として、前側が左方、後側が右方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0044】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が右傾斜し、第2リアフィン13が左傾斜することで、第1リアフィン12の右リアフィン12cの右リアフィン本体32cの前側が他方の側板部24に近接(接触)するとともに、第2リアフィン13の第2リアフィン本体42の前側が一方の側板部23に近接(接触)して、これらの位置で通風路26を遮断する。このため、通風路26において、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置に沿って流れる直進風は、第2リアフィン13により遮断され、他方の側板部24に沿って流れる直進風は、第1リアフィン12の右リアフィン12cにより遮断される。さらに、通風路26のその他の位置を流れる風は、第1リアフィン12のリアフィン12a,12bにより右方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風は、操作ノブ17を左方へと操作したときよりも少ない風量で右方、すなわち乗員から離間する方向(車幅方向外側)へと確実に整流される。
【0045】
したがって、操作ノブ17(
図3)を左右いずれの方向に操作した場合でも、風が前側へと直進することなく左右に確実に配風され、配風性能(風向制御性)が確保される。
【0046】
一方、操作ノブ17(
図3)を上下に操作すると、直接には
図5に示す中央フロントフィン15bが中央回動軸部63bを中心として上下に回動する。この状態で、フロントリンク16により中央フロントフィン15bに連結されたフロントフィン15a,15cが、中央フロントフィン15bと平行な状態で連動して回動し、風向が上下に変更すなわち調整される。
【0047】
したがって、操作ノブ17を上下左右に操作することにより、任意の方向に風向が調整される。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、第1リアフィン12の第1回動軸部33をケース体11に回動可能に軸支するとともに、第2リアフィン13の第2回動軸部43を第1回動軸部33よりも通風路の風上側にてケース体11に回動可能に軸支し、かつ、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりも通風路26の風上側に位置する第1リンク軸部34と、第2リアフィン13の第2回動軸部43よりも通風路26の風下側に位置する第2リンク軸部44とを、リアリンク14によって回動可能に連結することにより、例えば複数のギヤなどを用いることなく、単一のリアリンク14のみで第1リアフィン12と第2リアフィン13とを互いに逆方向に連動回動させることができる。したがって、部品点数を必要以上に増加させることなく良好な配風性能を得ることができる。
【0049】
また、回動軸部33,43に対して交差する方向に沿って配置されたリアリンク14のリアリンク本体51の一端部に、通風路26の風上方向に屈曲する屈曲部52を設け、この屈曲部52を第2リアフィン13の第2リンク軸部44と連結することにより、第1リアフィン12と第2リアフィン13とを回動させたときに、ケース体11の一方の側板部23に沿って流れる直進風を、第1リアフィン12よりも風上の位置で第2リアフィン13によって確実に制御でき、所望の方向へと確実に風を吹き出すことができる。
【0050】
しかも、第2リアフィン13の第2リンク軸部44を回動及び摺動可能に受ける第2リンク軸受部54を屈曲部52に沿って長孔状に形成できるので、第2リアフィン13及び第1リアフィン12の回動ストロークをより大きく取ることができる。
【0051】
さらに、第2リアフィン13の第2回動軸部43を、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりもこの第1回動軸部33と交差する左右方向に位置するケース体11の一方の側板部23寄りに位置させて、第2リアフィン13の通風路26の風下側の端部である前側部分がこの側板部23に近接する方向(左方)に回動することでこの側板部23との間の通風路26を閉塞することにより、この側板部23に沿って流れる直進風を第2リアフィン13によって確実に遮断してこの直進風がそのまま直進して吹き抜けることがなく、配風性能をより向上できる。
【0052】
また、第2リアフィン13によって一方の側板部23に沿って流れる直進風を遮断できるので、
図1の想像線L1及び
図3の想像線L2に示す従来例のような、ケース体11の一方の側板部23を狭く潰した、いわゆる壁塞ぎ設定が不要となるため、ケース体11(通風路26)の有効開口が広がり、通気抵抗を低減できるとともに、乗員側から潰した壁(
図3の想像線L2)が見えることがなく、見栄えを向上できる。
【0053】
さらに、第2リアフィン13を、ケース体11の通風路26において、相対的に車幅方向の内側となる一方の側板部23近傍に配置することにより、乗員側から離反する方向、本実施の形態では右方へと吹き出す不必要な風の風量を抑制できる。
【0054】
そして、部品点数の増加を抑制できるとともに、配風性能を向上するためのスペースを第1リアフィン12と第2リアフィン13との間に取る必要がなく、ケース体11を小型化できる。
【0055】
次に、第2の実施の形態を
図6を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。また、説明をより明確にするために、
図6においては、フロントフィン15及びフロントリンク16を省略している。
【0056】
本実施の形態の風向調整装置10は、上記の第1の実施の形態の第2リアフィン13が2枚設定され、第1リアフィン12及び第2リアフィン13が左右対称に配置されているものである。
【0057】
そして、この第2リアフィン13のうち、一方の側板部23寄りである左側が左後部リアフィン13a、他方の側板部24寄りである右側が右後部リアフィン13bとなる。すなわち、左後部リアフィン13aは、第2リアフィン本体42を構成する左後部リアフィン本体42aと、第2回動軸部43を構成する左後部回動軸部43aと、第2リンク軸部44を構成する左後部リンク軸部44aとを備え、右後部リアフィン13bは、第2リアフィン本体42を構成する右後部リアフィン本体42bと、第2回動軸部43を構成する右後部回動軸部43bと、第2リンク軸部44を構成する右後部リンク軸部44bとを備えている。
【0058】
さらに、左後部リアフィン13aは、左後部回動軸部43aが、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりも後方に離間された位置で、かつ、第1リアフィン12を構成する左リアフィン12aよりも一方の側板部23寄り(左寄り)の位置にて通風路26内に配置されている。すなわち、この左後部リアフィン13aは、第1リアフィン12を構成する左リアフィン12aよりも一方の側板部23に近接した位置に配置されている。
【0059】
また、右後部リアフィン13bは、右後部回動軸部43bが、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりも後方に離間された位置で、かつ、第1リアフィン12を構成する右リアフィン12cよりも他方の側板部24寄り(右寄り)の位置にて通風路26内に配置されている。すなわち、この右後部リアフィン13bは、第1リアフィン12を構成する右リアフィン12cよりも他方の側板部24に近接した位置に配置されている。
【0060】
さらに、第2リアフィン13のリアフィン13a,13bは、正面視で、第1リアフィン12の各リアフィン12a,12b,12c間の距離と略等しい距離、リアフィン12a,12cから側方へと離間されている。したがって、リアフィン12,13は、左右方向に略等間隔に離間されている。
【0061】
また、リアリンク14は、左右方向を長手方向とする細長い板状のリアリンク本体51の前部寄りの位置に、第1リンク軸受部53(リンク軸受部53a,53b,53c)が開口されているとともに、このリアリンク本体51の両端部の後部に、前後方向に沿って長手方向を有する長孔状の第2リンク軸受部54が開口されている。したがって、この第2リンク軸受部54は、左後部リアフィン13aの左後部リンク軸部44aを受ける左後部リンク軸受部54aと、右後部リアフィン13bの右後部リンク軸部44bを受ける右後部リンク軸受部54bとを備えている。
【0062】
そして、操作ノブ17を中央フロントフィン15bに沿って左右にスライドさせると、操作ノブ17のフィン係合部77が縦操作受部38を押動し、直接には中央リアフィン12bを、中央回動軸部33bを中心として左右に回動させる。この状態で、リアリンク14により第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方の第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結された第1リアフィン12の各リアフィン12a,12b,12cは互いに平行な状態で連動して回動するとともに、リアリンク14に第1回動軸部33及び第1リンク軸部34よりも後方でかつ第2回動軸部43(回動軸部43a,43b)よりも前方の第2リンク軸部44(リンク軸部44a,44b)が連結された第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)は、第1リアフィン12と反対方向に連動して回動(逆連動)し、風向が左右に変更すなわち調整される。
【0063】
例えば、
図6(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17を一側方(車幅方向内側)である左方へと操作する(
図6(a))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が左方、後側が他側方である右方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結されているリアリンク14が相対的に右方、すなわち操作ノブ17の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54(リンク軸受部54a,54b)に遊嵌された第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)の第2リンク軸部44(リンク軸部44a,44b)が、第2リンク軸受部54(リンク軸受部54a,54b)内に沿って後方へとスライドしつつ、このリアリンク14の移動方向である右方へと移動することで、第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)が、第2リンク軸部44(リンク軸部44a,44b)よりも後方に位置する第2回動軸部43(回動軸部43a,43b)を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0064】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が左傾斜し、第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)が右傾斜することで、第2リアフィン13の左後部リアフィン13aの左後部リアフィン本体42aの後側が一方の側板部23に近接(接触)するとともに、右後部リアフィン13bの右後部リアフィン本体42bの前側が他方の側板部24に近接(接触)する。このため、通風路26において、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置に沿って流れる直進風は、左後部リアフィン13aにより左右方向の中央側(右方)へと整流されて第1リアフィン12の左リアフィン12aに直接吹き付けられ、この左リアフィン12aにより左方に向けて整流される。このとき、この左リアフィン12aにより整流された風は、この左リアフィン12aによる整流方向である左方にルーバが存在しないため、第2リアフィン13によって吹き付けられて左リアフィン12aから左方へと跳ね返った風が再度右方へと跳ね返されて乱流が発生することがなく、確実にそのまま左方へと整流される。また、他方の側板部24に沿って流れる直進風は、右後部リアフィン13bにより遮断される。さらに、通風路26のその他の位置を流れる風は、第1リアフィン12のリアフィン12a,12b,12cにより左方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風全体が、吹出口27から前側へと直進したり右方に流れたりすることなく左方へと確実に整流される。
【0065】
一方、
図6(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17を他側方である右方(車幅方向外側)へと操作する(
図6(c))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結されているリアリンク14が相対的に左方、すなわち操作ノブ17の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54(リンク軸受部54a,54b)に遊嵌された第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)の第2リンク軸部44(リンク軸部44a,44b)が、第2リンク軸受部54(リンク軸受部54a,54b)内に沿って後方へとスライドしつつ、このリアリンク14の移動方向である左方へと移動することで、第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)が、第2リンク軸部44(リンク軸部44a,44b)よりも後方に位置する第2回動軸部43(回動軸部43a,43b)を中心として、前側が左方、後側が右方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0066】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が右傾斜し、第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)が左傾斜することで、第2リアフィン13の左後部リアフィン13aの左後部リアフィン本体42aの前側が一方の側板部23に近接(接触)するとともに、右後部リアフィン13bの右後部リアフィン本体42bの後側が他方の側板部24に近接(接触)する。このため、通風路26において、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置に沿って流れる直進風は、左後部リアフィン13aにより遮断される。また、他方の側板部24に沿って流れる直進風は、右後部リアフィン13bにより左右方向の中央側(左方)へと整流されて第1リアフィン12の右リアフィン12cに直接吹き付けられ、この右リアフィン12cにより右方に向けて整流される。このとき、この右リアフィン12cにより整流された風は、この右リアフィン12cによる整流方向である右方にルーバが存在しないため、右後部リアフィン13bによって吹き付けられて右リアフィン12cから右方へと跳ね返った風が再度左方へと跳ね返されて乱流が発生することがなく、確実にそのまま右方へと整流される。さらに、通風路26のその他の位置を流れる風は、第1リアフィン12のリアフィン12a,12b,12cにより右方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風全体が、吹出口27から前側へと直進したり左方に流れたりすることなく右方へと確実に整流される。
【0067】
したがって、本実施の形態によれば、上記の第1の実施の形態と同様に、複数のギヤなどを用いることなく、単一のリアリンク14のみで第1リアフィン12と第2リアフィン13とを互いに逆方向に連動回動させることができるので、部品点数を必要以上に増加させることなく良好な配風性能を得ることができる。
【0068】
また、第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)の第2回動軸部43(回動軸部43a,43b)を、第1リアフィン12の第1回動軸部33よりもこの第1回動軸部33と交差する左右方向に位置するケース体11の側板部23,24寄りに位置させて、第2リアフィン13の通風路26の風下側の端部である前側部分がこの側板部23,24に近接する方向に回動することでこの側板部23,24との間の通風路26を閉塞することにより、この側板部23,24に沿って流れる直進風を第2リアフィン13(リアフィン13a,13b)によって確実に遮断してこの直進風がそのまま直進して吹き抜けることがなく、配風性能をより向上できる。
【0069】
なお、上記の第2の実施の形態において、上記の第1の実施の形態のリアリンク14の屈曲部52をリアリンク本体51の両端部にそれぞれ設け、これら屈曲部52の位置に設けた第2リンク軸受部54によって第2リアフィン13の第2リンク軸部44を連結するように構成してもよい。
【0070】
次に、第3の実施の形態を
図7を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。また、説明をより明確にするために、
図7においては、フロントフィン15及びフロントリンク16を省略している。
【0071】
本実施の形態の風向調整装置10は、第1リアフィン12及び第2リアフィン13がそれぞれ3枚ずつ設定されているものである。
【0072】
そして、この第2リアフィン13のうち、一方の側板部23寄りである左側が左後部リアフィン13c、中央が中央後部リアフィン13d、他方の側板部24寄りであり右側が右後部リアフィン13eとなる。すなわち、左後部リアフィン13cは、第2リアフィン本体42を構成する左後部リアフィン本体42cと、第2回動軸部43を構成する左後部回動軸部43cと、第2リンク軸部44を構成する左後部リンク軸部44cとを備え、中央後部リアフィン13dは、第2リアフィン本体42を構成する中央後部リアフィン本体42dと、第2回動軸部43を構成する中央後部回動軸部43dと、第2リンク軸部44を構成する中央後部リンク軸部44dとを備え、右後部リアフィン13eは、第2リアフィン本体42を構成する右後部リアフィン本体42eと、第2回動軸部43を構成する右後部回動軸部43eと、第2リンク軸部44を構成する右後部リンク軸部44eとを備えている。
【0073】
さらに、左リアフィン12aは、左回動軸部33aが、第2リアフィン13を構成する左後部リアフィン13cよりも前方で、かつ、一方の側板部23寄り(左寄り)の位置にて通風路26内に配置されている。すなわち、この左リアフィン12aは、第2リアフィン13を構成する左後部リアフィン13cよりも一方の側板部23に近接した位置に配置されている。
【0074】
また、右リアフィン12cは、右回動軸部33cが、第2リアフィン13を構成する右後部リアフィン13eよりも前方で、かつ、他方の側板部24寄り(右寄り)の位置にて通風路26内に配置されている。すなわち、この右リアフィン12cは、第2リアフィン13を構成する右後部リアフィン13eよりも他方の側板部24に近接した位置に配置されている。
【0075】
さらに、第1リアフィン12のリアフィン12a,12b,12cは、正面視で、第2リアフィン13の各リアフィン13c,13d,13e間の距離よりも広い間隔で、互いに略等しい距離、左右方向へと離間されている。
【0076】
また、リアリンク14は、第1リンク軸受部53(リンク軸受部53a,53b,53c)が、それぞれ前後方向に沿って長手方向を有する長孔状に形成されている。さらに、このリアリンク14には、第2リアフィン13に対応して、3つの第2リンク軸受部54が設定されている。すなわち、第2リンク軸受部54は、左後部リアフィン13cの左後部リンク軸部44cを受ける左後部リンク軸受部54cと、中央後部リアフィン13dの中央後部リンク軸部44dを受ける中央後部リンク軸受部54dと、右後部リアフィン13eの右後部リンク軸部44eを受ける右後部リンク軸受部54eとを備えている。
【0077】
そして、操作ノブ17を中央フロントフィン15bに沿って左右にスライドさせると、操作ノブ17のフィン係合部77が縦操作受部38を押動し、直接には中央リアフィン12bを、中央回動軸部33bを中心として左右に回動させる。この状態で、リアリンク14により第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方の第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が連結された第1リアフィン12の各リアフィン12a,12b,12cは互いに平行な状態で連動して回動するとともに、リアリンク14に第1回動軸部33及び第1リンク軸部34よりも後方でかつ第2回動軸部43(回動軸部43c,43d,43e)よりも前方の第2リンク軸部44(リンク軸部44c,44d,44e)が連結された第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)は、第1リアフィン12と反対方向に連動して回動(逆連動)し、風向が左右に変更すなわち調整される。
【0078】
例えば、
図7(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17を一側方(車幅方向内側)である左方へと操作する(
図7(a))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が左方、後側が他側方である右方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が第1リンク軸受部53(リンク軸受部53a,53b,53c)内に沿って前方へとスライドしつつ、リアリンク14が相対的に右方、すなわち操作ノブ17の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54(リンク軸受部54c,54d,54e)に嵌合された第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)の第2リンク軸部44(リンク軸部44c,44d,44e)がリアリンク14とともにこのリアリンク14の移動方向である右方へと移動することで、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)が、第2リンク軸部44(リンク軸部44c,44d,44e)よりも後方に位置する第2回動軸部43(回動軸部43c,43d,43e)を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0079】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が左傾斜し、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)が右傾斜することで、第1リアフィン12の左リアフィン12aの左リアフィン本体32aの前側が一方の側板部23に近接(接触)するとともに、右リアフィン12cの右リアフィン本体32cの後側が他方の側板部24に近接(接触)する。このため、通風路26において、一方の側板部23の軸受部30の下方の位置に沿って流れる直進風は、左リアフィン12aにより遮断される。また、通風路26のその他の位置を流れる風は、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)により右方へと整流されて第1リアフィン12のリアフィン12b,12cに直接吹き付けられ、これらリアフィン12b,12cにより左方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風全体が、吹出口27から前側へと直進したり右方に流れたりすることなく左方へと確実に整流される。
【0080】
一方、
図7(b)に示す中立(ニュートラル)状態から、操作ノブ17を他側方である右方(車幅方向外側)へと操作する(
図7(c))と、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)を中心として、前側が右方、後側が左方へと移動するように回動する。このため、第1回動軸部33(回動軸部33a,33b,33c)よりも後方に位置する第1リンク軸部34(リンク軸部34a,34b,34c)が第1リンク軸受部53(リンク軸受部53a,53b,53c)内に沿って前方へとスライドしつつ、リアリンク14が相対的に左方、すなわち操作ノブ17の操作方向と反対方向へと移動する。したがって、このリアリンク14の第2リンク軸受部54(リンク軸受部54c,54d,54e)に嵌合された第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)の第2リンク軸部44(リンク軸部44c,44d,44e)がリアリンク14とともにこのリアリンク14の移動方向である左方へと移動することで、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)が、第2リンク軸部44(リンク軸部44c,44d,44e)よりも後方に位置する第2回動軸部43(回動軸部43c,43d,43e)を中心として、前側が左方、後側が右方へと移動するように回動する。すなわち、第1リアフィン12と第2リアフィン13とが、互いに反対方向へと回動する。
【0081】
この結果、第1リアフィン12(リアフィン12a,12b,12c)が右傾斜し、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)が左傾斜することで、第1リアフィン12の左リアフィン12aの左リアフィン本体32aの後側が一方の側板部23に近接(接触)するとともに、右リアフィン12cの右リアフィン本体32cの前側が他方の側板部24に近接(接触)する。このため、通風路26において、他方の側板部24に沿って流れる直進風は、右リアフィン12cにより遮断される。また、通風路26のその他の位置を流れる風は、第2リアフィン13(リアフィン13c,13d,13e)により左方へと整流されて第1リアフィン12のリアフィン12a,12bに直接吹き付けられ、これらリアフィン12a,12bにより右方に向けて整流される。したがって、通風路26を通過する風全体が、吹出口27から前側へと直進したり左方に流れたりすることなく右方へと確実に整流される。
【0082】
したがって、本実施の形態によれば、上記の各実施の形態と同様に、複数のギヤなどを用いることなく、単一のリアリンク14のみで第1リアフィン12と第2リアフィン13とを互いに逆方向に連動回動させることができるので、部品点数を必要以上に増加させることなく良好な配風性能を得ることができる。
【0083】
また、第1リアフィン12(リアフィン12a,12c)の第1回動軸部33(回動軸部33a,33c)を、第2リアフィン13の第2回動軸部43よりもこの第2回動軸部43と交差する左右方向に位置するケース体11の側板部23,24寄りに位置させて、第1リアフィン12の通風路26の風下側の端部である前側部分がこの側板部23,24に近接する方向に回動することでこの側板部23,24との間の通風路26を閉塞することにより、この側板部23,24に沿って流れる直進風を第1リアフィン12(リアフィン12a,12c)によって確実に遮断してこの直進風がそのまま直進して吹き抜けることがなく、配風性能をより向上できる。
【0084】
なお、上記の第2及び第3の実施の形態において、
図8に示す第4の実施の形態のように、リアリンク14のリアリンク本体51を細長い棒状とし、このリアリンク本体51の両端に、前後方向に沿って長手方向を有する長孔状の第2リンク軸受部54を設けるとともに、この長孔状の第2リンク軸受部54とリアリンク本体51との間に、フィン12,13の回動時に変形していわゆる関節として作用するヒンジ部となる薄肉部79を設けてもよい。
【0085】
また、上記の各実施の形態において、リアフィン12,13を左右回動する構成、フロントフィン15を上下回動する構成としたが、例えばリアフィン12,13を上下回動する構成、フロントフィン15を左右回動する構成としてもよい。
【0086】
さらに、操作ノブ17は、フロントフィン15を介して第1リアフィン12と連結したが、例えば第2リアフィン13と連結してもよい。
【0087】
また、フロントフィン15は、必須の構成ではない。このフロントフィン15を設けない場合には、操作ノブ17は、第1リアフィン12(中央リアフィン12b)、あるいは第2リアフィン13のいずれかに直接連結してもよい。
【0088】
さらに、リアフィン12,13のそれぞれの枚数は、風向調整装置10の大きさなどに対応して適宜設定できる。
【0089】
そして、第2リアフィン13は、第1リアフィン12の少なくともいずれか一側方の後方に位置する構成だけでなく、第1リアフィン12の後方に位置する構成としてもよい。