特許第6211264号(P6211264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211264
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】スロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 23/04 20060101AFI20171002BHJP
   F02D 11/02 20060101ALI20171002BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   B62K23/04
   F02D11/02 R
   G01B7/30 H
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-268510(P2012-268510)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-113882(P2014-113882A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 祐介
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 寿
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−265398(JP,A)
【文献】 実開平05−050307(JP,U)
【文献】 米国特許第04570118(US,A)
【文献】 特開平07−260412(JP,A)
【文献】 米国特許第06323641(US,B1)
【文献】 特開平02−130403(JP,A)
【文献】 特開平07−260413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 23/04
F02D 11/02
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバー先端に取り付けられて回転操作なスロットルグリップと、
該スロットルグリップに固定されるとともに、当該スロットルグリップと共に回転する磁石と、
該磁石の磁場変化に応じた出力電圧を得ることができる磁気センサと、
該磁気センサの出力電圧に基づき前記スロットルグリップの回転角度を検出する検出手段と、
を具備し、前記検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に基づいて車両のエンジンが制御されるスロットルグリップ装置であって、
前記磁石は、前記スロットルグリップの回転操作範囲に亘ってヘリカル状に延設され、前記スロットルグリップの回転角度に応じて前記磁気センサとの間の離間寸法が変化する傾斜面を有するとともに、当該傾斜面は、前記磁気センサの出力電圧と前記スロットルグリップの回転角度との関係が比例関係となるよう、当該磁気センサの配設方向に対して湾曲して所定の曲率を有した形状とされ、且つ、前記磁石は、厚さ寸法が延設方向に亘って略同一とされたことを特徴とするスロットルグリップ装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記傾斜面の全域に亘って同一極に着磁されて成ることを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項3】
前記磁石及び磁気センサは、前記スロットルグリップの回転軸方向に対向して配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルグリップの回転角度に基づいて車両のエンジンが制御されるスロットルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の二輪車においては、スロットルグリップの回転角度をポテンションメータ等のスロットル開度センサにて検出し、その検出値を電気信号として当該二輪車が搭載する電子制御装置等に送るよう構成されたものが普及されるに至っている。そして、かかる検出信号に基づき電子制御装置が所定の演算を行い、その演算結果に基づいてエンジンの点火時期或いは排気バルブの開閉が制御されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スロットルグリップに磁石を固定させるとともに、当該磁石と対向した位置にホール素子から成る磁気センサを配設し、当該スロットルグリップの回転角度を磁気センサにて検出し得るスロットルグリップ装置が提案されている。この従来のスロットルグリップ装置に係る磁石は、スロットルグリップの回転方向に沿って円弧状に形成され、その側面に対向して磁気センサが配設されており、スロットルグリップの回転操作に伴って生じる磁束密度の変化を磁気センサにて検出することで、スロットルグリップの回転角度を電気的に検出し得るよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−112880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスロットルグリップ装置においては、スロットルグリップの回転方向に沿って円弧状に形成された磁石の側面に対向して磁気センサが配設されていたので、スロットルグリップの回転操作範囲に亘って磁石と磁気センサとの間の離間寸法が略同一となっており、スロットルグリップの回転角度を精度よく検出するのが困難であるという問題があった。
【0006】
すなわち、従来のスロットルグリップ装置は、磁石の延設方向に対する略中間位置にS極とN極との境界を設定することで、スロットルグリップの回転操作に応じて磁石から磁気センサに対する磁場変化を生じさせるよう構成されていたので、当該S極とN極との間の境界を精度よく設定するのが容易ではなく、スロットルグリップの回転角度の検出に誤差が生じてしまう虞があったのである。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スロットルグリップの回転角度をより精度よく検出することができるスロットルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバー先端に取り付けられて回転操作なスロットルグリップと、該スロットルグリップに固定されるとともに、当該スロットルグリップと共に回転する磁石と、該磁石の磁場変化に応じた出力電圧を得ることができる磁気センサと、該磁気センサの出力電圧に基づき前記スロットルグリップの回転角度を検出する検出手段とを具備し、前記検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に基づいて車両のエンジンが制御されるスロットルグリップ装置であって、前記磁石は、前記スロットルグリップの回転操作範囲に亘ってヘリカル状に延設され、前記スロットルグリップの回転角度に応じて前記磁気センサとの間の離間寸法が変化する傾斜面を有するとともに、当該傾斜面は、前記磁気センサの出力電圧と前記スロットルグリップの回転角度との関係が比例関係となるよう、当該磁気センサの配設方向に対して湾曲して所定の曲率を有した形状とされ、且つ、前記磁石は、厚さ寸法が延設方向に亘って略同一とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記磁石は、前記傾斜面の全域に亘って同一極に着磁されて成ることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のスロットルグリップ装置において、磁石及び磁気センサは、スロットルグリップの回転軸方向に対向して配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、磁石は、スロットルグリップの回転角度に応じて磁気センサとの間の離間寸法が変化する傾斜面を有するので、スロットルグリップの回転角度をより精度よく検出することができるとともに、当該傾斜面は、磁気センサの出力電圧とスロットルグリップの回転角度との関係が比例関係となる形状とされたので、当該出力電圧とスロットルグリップの回転角度との関係を比例関係に補正する別個の処理等が不要となり、より円滑かつ正確にスロットルグリップの回転角度を検出させることができる。
【0014】
また、磁石は、スロットルグリップの回転操作範囲に亘ってヘリカル状に延設されて成るので、スロットルグリップの回転角度に応じて磁気センサとの間の離間寸法が変化する傾斜面を容易に得ることができ、より高精度にスロットルグリップの回転角度を検出させることができる。
【0015】
さらに、磁石の傾斜面は、磁気センサの出力電圧とスロットルグリップの回転角度との関係が比例関係となるよう、当該磁気センサの配設方向に対して湾曲して所定の曲率を有した形状とされたので、より一層精度よくスロットルグリップの回転角度を検出することができる。
【0016】
請求項の発明によれば、磁石は、傾斜面の全域に亘って同一極に着磁されて成るので、傾斜面から発生する磁力を磁石の延設方向に亘って略一定とすることができ、磁気センサで検出される磁場変化を安定して生じさせることができる。
【0017】
請求項の発明によれば、磁石及び磁気センサは、スロットルグリップの回転軸方向に対向して配設されたので、当該回転軸に直交する面内で磁石と磁気センサとを対向させたものに比べ、装置の小型化を容易に図ることができるとともに、ヘリカル状に形成された磁石が成す傾斜面を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ装置を示す正面図及び側面図
図2】同スロットルグリップ装置における第1ケース部材を取り外した状態を示す正面図及び側面図
図3図1におけるIII−III線断面図
図4図3におけるIV−IV線断面図
図5図2におけるV−V線断面図
図6図1におけるVI−VI線断面図
図7】同スロットルグリップ装置を示す分解斜視図
図8】同スロットルグリップ装置における磁気センサと磁石との位置関係を示す斜視図
図9】同スロットルグリップ装置における磁石を示す正面図及び側面図
図10】同スロットルグリップ装置における磁気センサと磁石との位置関係を示す平面図
図11】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが回転する過程の磁気センサと磁石との位置関係を示す模式図
図12】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが回転する過程の磁気センサと磁石との位置関係を示す模式図
図13】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが回転する過程の磁気センサと磁石との位置関係を示す模式図
図14】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップが回転する過程の磁気センサと磁石との位置関係を示す模式図
図15】同スロットルグリップ装置における磁気センサと検出手段との電気的接続を示すブロック図
図16】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップの回転角度と磁気センサ及び検出手段の離間寸法との関係を示すグラフ
図17】同スロットルグリップ装置におけるスロットルグリップの回転角度と磁気センサの出力電圧との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ装置は、二輪車のハンドルバーに取り付けられたスロットルグリップの回転角度を検出し、その検出信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に送るためのもので、図1〜7、図15に示すように、スロットルグリップ2と、磁石3と、磁気センサ4と、検出手段6と、ケース部材8と、リターンスプリング9と、フリクション用板バネ10とから主に構成されている。
【0020】
スロットルグリップ2は、二輪車のハンドルバーHの先端部に取り付けられ、当該ハンドルバーHに対して回転軸Lを中心として回転操作可能とされたもので、運転者が把持し得る把持グリップ部2aと、その内部に固定されて把持グリップ部2aと一体化されたグリップパイプ2bとから構成されている。グリップパイプ2bは、例えば硬質樹脂材を所定形状に成形して成るもので、その基端部(図2、3中左端部)には、他の部位より大径部位とされたガイド部2baが形成されている。
【0021】
かかるガイド部2baの端面には、図4に示すように、収容凹部2bbが成形されており、当該収容凹部2bbに磁石3が嵌めこまれて固定されている。かかる磁石3は、所定形状に形成された永久磁石から成り、スロットルグリップ2におけるガイド部2baに固定されるとともに、スロットルグリップ2と共に回転するものである。この磁石3と対向した位置(後述するケース部材8の内部)には、磁気センサ4が配設されている。
【0022】
かかる磁気センサ4は、磁石3の磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁石3の磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。なお、本実施形態に係る磁気センサ4は、所定の電気回路が印刷されたプリント基板5に形成されている。
【0023】
検出手段6は、磁気センサ4の出力電圧に基づきスロットルグリップ2の回転角度を検出するもので、図15に示すように、磁気センサ4と電気的に接続されるとともに、二輪車に搭載されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)7にも電気的に接続される。これにより、検出手段6で検出されたスロットルグリップ2の回転角度に基づいて車両のエンジンが制御され得るようになっている。
【0024】
一方、ハンドルバーHにおけるスロットルグリップ2の基端側には、半割り状に成形された第1ケース部材8a及び第2ケース部材8bから成るケース部材8が固定されている。このケース部材8は、ハンドルバーHを挟んだ状態にて第1ケース部材8a及び第2ケース部材8bを合致させつつ取付ネジBにて組付けて成るもので、その内部には、図7に示すように、第1収容部8ba、第2収容部8bb及び第3収容部8bcが形成されている。なお、第1ケース部材8aにも、第1収容部8ba及び第3収容部8bcと対応する収容部が形成されている。
【0025】
第1収容部8baには、スロットルグリップ2を構成するグリップパイプ2bのガイド部2baが回転可能に挿通されて組み付けられ、スロットルグリップ2の回転操作時において、ガイド部2baにて回転動作が案内され得るようになっている。また、第2収容部8bbには、図6に示すように、プリント基板5が収容されるとともに、当該プリント基板5が第2収容部8bbに収容された状態において、図8に示すように、磁気センサ4と磁石3とがスロットルグリップ2の回転軸L方向に対向するようになっている。
【0026】
しかるに、本実施形態に係るプリント基板5には、2つの磁気センサ4が形成されており、これら磁気センサ4からそれぞれ検出手段6に出力電圧が送信されるようになっている。これにより、一方の磁気センサ4に故障等の不具合が生じても他方の磁気センサ4からの出力電圧に基づいて車両のエンジンを正常に制御することができる。なお、プリント基板5に1つの磁気センサ4のみを形成し、専らその磁気センサ4からの出力電圧に基づいて車両のエンジンを制御するようにしてもよい。
【0027】
また、第3収容部8bcには、捩りコイルバネから成るリターンスプリング9が収容されている。このリターンスプリング9は、一端がグリップパイプ2bのガイド部2baに連結されるとともに、他端がケース部材8の所定部位に連結されており、スロットルグルップ2を常時初期位置に向けて付勢するものである。すなわち、初期位置にあるスロットルグリップ2をリターンスプリング9の付勢力に抗して回転操作すると、車両のスロットルの開度が次第に大きくなるよう制御されるとともに、把持グリップ部2aを握る手を緩めると、リターンスプリング9の付勢力によりスロットルグリップ2が初期位置に向かって自然と戻り、スロットルの開度が次第に小さくなるよう構成されているのである。
【0028】
さらに、本実施形態に係るケース部材8内には、図5に示すように、フリクション用板バネ10が配設されている。かかるフリクション用板バネ10は、例えば板状の金属部材から成り、一端がビスbにて固定されるとともに、他端がグリップパイプ2bのガイド部2baに対してバネ力(付勢力)を有しつつ接触した状態で組み付けられている。これにより、スロットルグリップ2を回転操作する際、その回転操作の方向とは逆向きにフリクション用板バネ10による付勢力が付与されることとなり、従来のワイヤを介してスロットル操作するものと略同等の操作感を得ることができる。
【0029】
ここで、本実施形態に係る磁石3は、図9に示すように、スロットルグリップ2の回転操作範囲に亘ってヘリカル状(円弧状に回転しながら回転面に対して垂直の方向にも変位する3次元的な曲線形状)(螺旋状)に延設され、当該スロットルグリップ2の回転角度に応じて磁気センサ4との間の離間寸法が、図16で示す如く変化する傾斜面3aと、該傾斜面3aと連続して磁石3の両端に形成された端面3bとを有するものである。このうち、端面3bは、磁石3が収容凹部2bb内に取り付けられた状態において、スロットルグリップ2の回転軸Lに対して略直交した面から成る。
【0030】
特に、本実施形態に係る磁石3の傾斜面3aは、スロットルグリップ2の回転角度に応じて磁気センサ4との間の離間寸法が図16で示す如き変化するものとされており、これにより、図17に示すように、磁気センサ4の出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係が比例関係となる形状となるよう設定されている。より具体的には、磁石3の傾斜面3aは、磁気センサ4の出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係が比例関係(図17で示す関係)となるよう、当該磁気センサ4の配設方向(図10における紙面に対して垂直方向)に対して所定の曲率(湾曲)を有した形状とされている。
【0031】
また、磁石3は、図9に示すように、厚さ寸法sが延設方向(ヘリカル方向)に亘って略同一とされるとともに、傾斜面3aの全域に亘って同一極(S極又はN極)に着磁されて成る。すなわち、磁石3は、磁気センサ4と対向する傾斜面3aがS極、その裏面がN極に着磁され、或いは磁気センサ4と対向する傾斜面3aがN極、その裏面がS極に着磁されているのである。なお、磁石3は、スロットルグリップ2の回転軸L方向から見ると、図10に示すように、弧状に形成されており、当該スロットルグリップ2と共に磁石3が同図中矢印方向に回転する過程において、磁気センサ4が磁石3の傾斜面3a又は端面3bと常に対向した状態とされるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態に係るスロットルグリップ装置1の作用について説明する。
二輪車のエンジンを始動させた後、運転者が把持グリップ部2aを把持しつつスロットルグリップ2を回転操作すると、磁石3が同方向に回転し、図11〜14に示すように、当該磁石3と磁気センサ4との間の離間寸法がt1、t2、t3及びt4の順に変化することとなる。これら離間寸法t1〜t4とスロットルグリップ2の回転角度との関係は、図16に示すような関係とされる。なお、図11においてはスロットルグリップ2の回転角度が0度(初期位置)、図12においては同回転角度が20度、図13においては同回転角度が40度、図14においては同回転角度が60度の状態を示している。
【0033】
ここで、本実施形態に係る磁石3の傾斜面3aは、既述のように、磁気センサ4の出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係が比例関係(図17参照)となる形状とされているので、別個の補正手段等によるデータの補正を行わなくても、検出手段6によるスロットルグリップ2の回転角度の検出を精度よく行わせることができる。しかして、スロットルグリップ2の回転角度の検出値は、車両のECU7に電気信号として送信され、当該スロットルグリップ2の回転角度に応じたエンジンの制御(具体的にはスロットル制御)が行われることとなる。
【0034】
上記実施形態によれば、磁石3は、スロットルグリップ2の回転角度に応じて磁気センサ4との間の離間寸法が変化する傾斜面3aを有するので、スロットルグリップ2の回転角度をより精度よく検出することができるとともに、当該傾斜面3aは、磁気センサ4の出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係が比例関係となる形状とされたので、当該出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係を比例関係に補正する別個の処理等が不要となり、より円滑かつ正確にスロットルグリップ2の回転角度を検出させることができる。
【0035】
特に、本実施形態に係る磁石3は、スロットルグリップ2の回転操作範囲に亘ってヘリカル状(螺旋状)に延設されて成るので、スロットルグリップ2の回転角度に応じて磁気センサ4との間の離間寸法が変化する傾斜面を容易に得ることができ、より高精度にスロットルグリップ2の回転角度を検出させることができる。また、本実施形態に係る磁石3の傾斜面3aは、磁気センサ4の出力電圧とスロットルグリップ2の回転角度との関係が比例関係となるよう、当該磁気センサ4の配設方向に対して所定の曲率を有した形状とされたので、より一層精度よくスロットルグリップの回転角度を検出することができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る磁石3は、傾斜面3aの全域に亘って同一極(S極又はN極の何れか一方)に着磁されて成るので、傾斜面3aから発生する磁力を磁石3の延設方向に亘って略一定とすることができ、磁気センサで検出される磁場変化を安定して生じさせることができる。またさらに、磁石3及び磁気センサ4は、スロットルグリップ2の回転軸L方向に対向して配設されたので、当該回転軸Lに直交する面内で磁石と磁気センサとを対向させたものに比べ、装置の小型化を容易に図ることができるとともに、ヘリカル状に形成された磁石3が成す傾斜面3aを有効に利用することができる。
【0037】
以上、本実施形態に係るスロットルグリップ装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルバーHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
スロットルグリップの回転角度に応じて磁気センサとの間の離間寸法が変化する傾斜面を有するとともに、当該傾斜面は、磁気センサの出力電圧とスロットルグリップの回転角度との関係が比例関係となるよう、当該磁気センサの配設方向に対して湾曲して所定の曲率を有した形状とされた磁石を具備し、当該磁石の厚さ寸法が延設方向に亘って略同一とされたスロットルグリップ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 スロットルグリップ装置
2 スロットルグリップ
3 磁石
3a 傾斜面
4 磁気センサ
5 プリント基板
6 検出手段
7 ECU
8 ケース部材
9 リターンスプリング
10 フリクション用板バネ
H ハンドルバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17