特許第6211270号(P6211270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6211270極紫外線マスクブランクの欠陥検出のための検査システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211270
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】極紫外線マスクブランクの欠陥検出のための検査システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20171002BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20171002BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20171002BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20171002BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20171002BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
   G01N21/88 H
   G01B11/30 A
   G03F1/24
   G03F1/84
   G03F7/20 521
   H01L21/30 531M
【請求項の数】36
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-516140(P2012-516140)
(86)(22)【出願日】2010年6月10日
(65)【公表番号】特表2012-531042(P2012-531042A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】US2010038202
(87)【国際公開番号】WO2010147846
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年5月15日
【審判番号】不服2016-3630(P2016-3630/J1)
【審判請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/218,866
(32)【優先日】2009年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/249,920
(32)【優先日】2009年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502442049
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KLA−TENCOR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストコフスキー・スタンリー・イー.
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 松川 直樹
【審判官】 森 竜介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−92407号公報(JP,A)
【文献】 特開平04−328549号公報(JP,A)
【文献】 特表2005−514670号公報(JP,A)
【文献】 特開平01−185434号公報(JP,A)
【文献】 特表2005−525565号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/027
G03F7/20-7/24
G03F9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無地の物体の表面上における位相欠陥及び/又は粒子を検査するための方法であって、
約250ナノメートル未満の波長を有する深紫外の照明光線を生成し、
約0.15から0.5の間の部分干渉シグマを有する光学素子の一群を経由する照明光線を通過させ、
所定の脱焦点範囲で、前記無地の物体の前記表面上に照明光線を合焦させ、
反射光線が前記表面から反射するように前記所定の脱焦点範囲で照明光線を用いて前記無地の物体の表面を検査し、
前記所定の脱焦点範囲で前記反射光線に基づき、隆起欠陥と窪み欠陥とを区別するために前記位相欠陥を特定するための結果画像を生成し、分析すること、を備え、
前記位相欠陥は、高さ約10ナノメートル未満で半値全幅(FWHM)約200ナノメートル未満である、方法。
【請求項2】
前記位相欠陥は、高さ約2ナノメートル未満及びFWHM約100ナノメートル未満である請求項1の方法。
【請求項3】
前記所定の脱焦点範囲は約+1から+3の間の被写界深度(DOF)の第1の副範囲と、約−1から−3DOFの間の第2の副範囲とを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記結果画像の生成は、前記結果画像又は前記反射光線から生成される検出信号内の信号対雑音(SNR)比を最大化するために前記結果画像又は前記検出信号に対するフィルターを適用することを備える請求項1の方法。
【請求項5】
TDI較正効果を備える系統的雑音を前記結果画像から除去するために補正係数を適用することを更に備える請求項1の方法。
【請求項6】
前記補正係数は検査中に前記反射光線の初期捕捉から特定され、適用される請求項5の方法。
【請求項7】
前記補正係数は前記反射光の強度変化から特定される請求項5の方法。
【請求項8】
前記結果画像の分析は前記位相欠陥を検出するための少なくとも約7の限界信号閾値を適用することを備える請求項1の方法。
【請求項9】
前記無地の物体は極紫外線マスク(EUV)ブランクを備える請求項1の方法。
【請求項10】
前記無地の物体は透過性の物体である請求項1の方法。
【請求項11】
前記無地の物体の表面は、石英又は反射防止膜(ARC)を備える請求項1の方法。
【請求項12】
前記結果画像の作成および分析は、前記無地の物体の表面の2つの初期画像を作成するように構成されている二次視野(TDI)検出器を用いて反射光線を捕捉することを備える請求項1の方法。
【請求項13】
前記2つの初期画像は2つの異なる脱焦点値について構成される請求項12の方法。
【請求項14】
前記2つの異なる脱焦点値は、符号が逆である請求項13の方法。
【請求項15】
前記2つの初期画像は、約0のDOFのために構成されている焦点画像を備える請求項13の方法。
【請求項16】
前記焦点画像は、前記無地の物体の表面上の汚染を検出するために用いられる請求項15の方法。
【請求項17】
前記2つの初期画像の比較に基づいて欠陥を位相欠陥及び表面汚染欠陥に分類することを更に備える請求項15の方法。
【請求項18】
前記結果画像の生成は、2つの初期画像を合わせることを備える請求項12の方法。
【請求項19】
前記無地の物体の表面に対する追加の検査パスを実行すること、および信号対雑音比を増大させるために前記結果画像に結合された追加の結果画像を作成することを更に備える請求項1の方法。
【請求項20】
前記照明光線は実質的に法線角度で前記無地の物体の表面上に合焦され、前記照明光線及び反射光線は経路を共有する請求項1の方法。
【請求項21】
前記照明光線は斜角で前記無地の物体の表面上に合焦され、前記照明光線及び反射光線は経路を共有せず、前記方法はさらに、前記反射光線の0次成分を減衰させること、前記コントラスト及び信号対雑音比を向上させるために、結像開口を用いて前記反射光線の0次成分の位相をシフトさせること、を備える請求項1の方法。
【請求項22】
無地の物体の表面上における深さ約10ナノメートル未満の表面凸凹欠陥を検出するためのシステムであって、
約250ナノメートル未満の波長を有する深紫外の照明光線を生成するためのレーザーと、
脱焦点値を含む約−3から+3の間の被写界深度(DOF)のフォーカス範囲内で前記無地の物体の表面上に照明光線を合焦するための部分干渉シグマが約0.15から0.5の間の光学素子のセットと、
前記無地の物体の表面を検査するために前記無地の物体を前記照明光線に対して移動させるためのステージと、
照明ビームに応答して表面から反射された反射光線を捕捉するための時間遅延積分(TDI)検出器と、
少なくとも1つのメモリー及び、前記光学素子に所定の脱焦点範囲で前記照明光線を前記無地の物体の前記表面上に合焦させ、前記所定の脱焦点範囲で反射された光線に基づき、結果画像を生成し表面凸凹欠陥を特定するために結果画像を分析して、隆起欠陥と窪み欠陥とを区別するための少なくとも1つのプロセッサと、を備えるコンピューターシステムとを備え、
前記隆起欠陥および窪み欠陥は、高さ約10ナノメートル未満で半値全幅(FWHM)約200ナノメートル未満の位相欠陥を含む、システム。
【請求項23】
前記所定の脱焦点範囲は、約+1から+3の間の被写界深度(DOF)の第1の副範囲と、約−1から−3DOFの間の第2の副範囲とを含む、請求項22のシステム。
【請求項24】
前記所定の脱焦点範囲は、2つの符号が異なる脱焦点値を含む、請求項22のシステム。
【請求項25】
前記所定の脱焦点範囲は、脱焦点値および約0の合焦点値を含む、請求項22のシステム。
【請求項26】
前記コンピュータシステムは、更に、2つの初期画像を生成し、分析するために構成されている、請求項22のシステム。
【請求項27】
前記2つの初期画像は、2つの異なる脱焦点値で合焦された照明光線から生成される、請求項26のシステム。
【請求項28】
前記2つの異なる脱焦点値は、符号が逆である、請求項27のシステム。
【請求項29】
前記2つの初期画像は、脱焦点値および約0の被写界深度を有する合焦値で合焦された照明光線から生成される、請求項26のシステム。
【請求項30】
前記2つの初期画像の比較に基づいて、欠陥を位相欠陥または表面異物欠陥に分類することを更に備える、請求項29のシステム。
【請求項31】
前記照明光線は、深紫外線領域または極紫外線領域の波長を有する、請求項22のシステム。
【請求項32】
前記結果画像の生成は、前記結果画像又は前記反射光線から生成される検出信号内の信号対雑音(SNR)比を最大化するために前記結果画像又は前記検出信号に対するフィルターを適用することを備える請求項22のシステム。
【請求項33】
前記フィルターを適用することは、整合フィルターを適用することを含む、請求項32のシステム。
【請求項34】
前記照明光線は、深紫外線領域または極紫外線領域の波長を有する、請求項1の方法。
【請求項35】
前記フィルターを適用することは、整合フィルターを適用することを含む、請求項4の方法。
【請求項36】
前記位相欠陥は、高さ約2ナノメートル未満及びFWHM約100ナノメートル未満である請求項22のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2009年10月8日出願の名称を「EUV(極紫外線)マスクブランクの欠陥検出のための検査システム及び方法」とする米国仮出願番号61/249,920に基づく優先権を主張し、当該米国仮出願は引用により全体があらゆる目的で本明細書に組み入れられる。本出願は又2009年6月19日出願の名称を「EUV(極紫外線)マスクブランクの欠陥検出のための検査システム及び方法」とする米国仮出願番号61/218,866に基づく優先権を主張し、当該出願は引用により全体があらゆる目的で本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
現在の最先端のフォトリソグラフィー技術はシリコン基板上にパターンを描画(撮像)するために193ナノメートルの紫外線(UV)光源を用いる。この種の技術は約200〜250ナノメートルの大きさの技術ノード(例えば、平行線の1/2ピッチのような最小フィーチャサイズ)を生じることが可能である。しかしながら、より速くより複雑な集積回路は絶え間なくより小さいノードを要求する。液浸フォトリソグラフィーはこの点でいくつかの改善をなし45ナノメートルノード及び32ナノメートルノードさえも生成可能にする。液浸フォトリソグラフィーにおいて、フォトリソグラフィーシステムの最終レンズ及び試料は両方とも水のような液媒体内に浸漬される。この仕組みは、これにより、多くの処理の問題を生じることがある。
【0003】
他の「次世代」フォトリソグラフィー技術がより小さいノードを更に生成するために最近提案されている。有望な例は極紫外線(EUV)リソグラフィー、X線リソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、集束イオンビームリソグラフィーリソグラフィー、及びナノインプリントリソグラフィを含む。これらの新しいアプローチは新しい試練に出くわすことがある。例えば、ナノインプリントリソグラフィは泡の欠陥を生じることがあり、EUVリソグラフィーは微小なマスク欠陥にさえ非常に影響されやすいことがある。
【発明の概要】
【0004】
極度に小さい欠陥を含む表面欠陥のための、極紫外線(EUV)マスクブランクのような、無地の物体を検査するための新奇の検査方法及びシステムが提供される。欠陥は高さ約1ナノメートルに過ぎない凸凹のような、様々な位相物体、及び小粒子を含んで良い。検査は再構成された深UV検査システムのような、約250ナノメートル未満の波長で行われる。部分干渉シグマは約0.15から0.5の間に設定される。位相欠陥は、例えば1つの正の焦点深度(DOF)及び1つの負のDOFにおいて、1つ以上の脱焦点(ピンぼけ)化された検査パスを用いて発見可能である。特定の実施形態において、DOFは約−1から−3及び/又は+1から+3の間である。複数の検査パスの結果は欠陥種類を区別するために結合されて良い。信号対雑音(SNR)比を改善するために検査方法が整合フィルター、閾値及び/又は補正係数の適用を伴って良い。
【0005】
特定の実施形態において、無地の物体の表面上における位相欠陥及び/又は粒子を検査のための方法は、約250ナノメートル未満の波長を有する照明光線を生成し、約0.15から0.5の間の部分干渉シグマの光素子のセットを介した照明光線を通過させ」、所定の脱焦点範囲で、無地の物体の表面上に照明光線を合焦(集束)させ、反射された光線が表面から反射するように、照明光線を用いて無地の物体の表面を検査し、結果の分析に基づき、位相欠陥を特定するために結果画像を構成し分析することを伴う。
【0006】
特定の実施形態において、位相欠陥は高さ約10ナノメートル未満で半値全幅(FWHM)約200ナノメートル未満である。より具体的には、位相欠陥は高さ約2ナノメートル未満でFWHM約100ナノメートル未満である。脱焦点範囲は約+1から+3の間の被写界深度(DOF)又は約−1から−3の間のDOFであってよい。
【0007】
特定の実施形態において、方法は又、第2の所定の脱焦点範囲における無地の物体の表面上の第2の照明光線を伴う。1つの光線は脱焦点範囲が約+1から+3の間の被写界深度(DOF)で別の光線は脱焦点範囲が約−1から−3の間のDOFであってよい。方法は時間遅延積分(TDI)検出器を用いて反射光線を捕捉することを伴う。反射光線の経路はTDI検出器の解像度により規定される走査方向に沿って幅が約100ピクセルから1000ピクセルの間であって良い。
【0008】
特定の実施形態において、照明光線は深紫外線又は極端紫外線である。特定の実施形態において、照明光線は約193ナノメートルの波長を有する。部分干渉シグマは約0.2から0.4の間であってよい。
【0009】
特定の実施形態において、結果画像の分析は結果画像又は検出信号内の信号対雑音(SNR)比を最大化するために反射光線から生成される結果画像又は検出信号へのフィルターを構築し、又は適用することを伴う。特定の実施形態において、方法は又TDI較正効果を含む系統的雑音を結果画像から除去するために補正係数を適用することを伴う。例えば、補正係数は反射光線の初期捕捉の検査中に決定及び適用されて良い。同一又は他の実施形態において、補正係数は反射光の強度変化から決定されて良い。特定の実施形態において、方法は位相欠陥を検出するための少なくとも約9の信号閾値を適用することを伴う。
【0010】
特定の実施形態において、新奇方法で検査される無地の物体は極紫外線マスク(EUV)ブランクであってもよい。より一般的には、無地の物体は透過性物体であってよい。特定の実施形態において、無地の物体の表面は石英又は反射防止膜(ARC)を含む。
【0011】
特定の実施形態において、方法は無地の物体の表面の2つの初期画像を作成するための二次視野(TDI)検出器を用いて反射光線を捕捉することを伴う。2つの初期画像は2つの異なる脱焦点値のために構成されてよい。例えば、2つの異なる脱焦点値は符号が逆であってよい。特定の実施形態において、2つの初期画像は約0のDOFのために構成された焦点画像を含んで良い。焦点画像は無地の物体の検査面上の汚染の検出に用いられて良い。また、方法は、2つの初期画像の比較に基づき欠陥を位相欠陥及び表面汚染欠陥に分類することを伴っても良い。同一又は他の実施形態において、結果画像を得るために2つの初期画像は合わされてもよい。
【0012】
特定の実施形態において、方法は、更に、無地の物体の表面に対する追加の検査パスの実行及び信号対雑音比を増大ざせるために結果画像に結合された追加の結果画像の作成を含む。特定の実施形態において、照明光線は実質法線角度で無地の物体の表面上に合焦される。照明光線及び反射光線は経路を共有する。他の実施形態において、照明光線は斜角で無地の物体の表面上に合焦される。照明光線及び反射光線は経路を共有しない。これらの実施形態において、方法は更に、反射光線の0次成分の減衰及び/又はコントラスト及び信号対雑音比を向上するための結像開口を用いて隙間反射光線の0次成分の位相をシフトすることを伴っても良い。
【0013】
特定の実施形態において、無地の物体の表面上の深さ約10ナノメートル未満の表面凸凹欠陥を検出するためのシステムが設けられる。システムは約250ナノメートル未満の波長を有する照明光線を生成するためのレーザー及び 約−3から+3の間の被写界深度(DOF)のフォーカス範囲内で無地の物体の表面上に照明光線を合焦するための部分干渉シグマが約0.15から0.5の間の光学素子のセットを含んで良い。システムは物体の表面を検査するための照明光線に対する無地の物体を動かすためのステージ、照明光線に応答して表面から反射された光線を捕捉するための時間遅延積分(TDI)検出器及び少なくとも1つのメモリー及び、反射された光線に基づき、結果画像を生成し表面凸凹欠陥を特定するために結果画像を分析するための少なくとも1つのプロセッサとを備えるコンピューターシステムもまた含んで良い。
【0014】
本発明のこれらの及びその他の態様が更に図面を参照して以下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】様々な種類の欠陥を示す極紫外線(EUV)マスクブランクの側面略図である。
図2】特定の実施形態による2種類の位相欠陥の検出を例証するEUVマスクブランクの表面の側面略図である。
図3】焦点及び特定の脱焦点で及び同相中心点として示される光学システム点拡がり関数及び位相ずれ(90℃)リングの4つの模擬画像を示す図である。
図4】2種類の位相欠陥のための焦点位置の関数としてのコントラストのプロットを示す図である。
図5】特定の実施形態による無地の物体の表面を検査するための方法に対応する処理のフローチャートである。
図6】特定の実施形態による無地の物体の表面を検査するための検査システムの素子の略図である。
図7】特定の実施形態による1ナノメートルの高さの位相欠陥のための半値全幅(FWHM)の関数としての捕捉確率のプロットを示す図である。
図8A】シリコンキャップされた多層試料の上の高さ2ナノメートルFWHM80ナノメートルの隆起の未処理及び挿入画像を示す図である。
図8B】シリコンキャップされた多層試料の上の高さ2ナノメートルFWHM80ナノメートルの隆起の未処理及び挿入画像を示す図である。
図9A】石英基板表面上の様々な欠陥の2つの画像を示す図である。
図9B】石英基板表面上の様々な欠陥の2つの画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記載において、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示される。本発明はこうした具体的な詳細のいくつか又は全てなしに実践されて良い。他の例において、周知の処理操作は詳細に記載されないが本発明を必ずしも不明確にするものではない。本発明は具体的な実施形態に関して記載されるが、本発明を実施形態に制限するものではないことが理解されるべきである。
【0017】
導入
本明細書に記載される新奇の検査方法は極紫外線(EUV)マスクブランク及びその他の半導体部品の検査のために使用可能である。具体的な実施例において、多層EUVマスクブランクは特定の構成の深紫外線(DUV)検査システムを用いて隆起やへこみのような位相欠陥を検査される。これらの方法は高さ1ナノメートル及び全幅半値(FWHM)50ナノメートルの小さい欠陥の検出に使用可能である。換言すると、これらの技術は22ナノメートルのハーフピッチ(hp)ノードの検査目標を達成し高い処理速度で実行可能である。検査システムは約0.15から0.5の間の部分干渉シグマに設定される。反射光線は時間遅延積分(TDI)検出器に捕捉され分析のためにコンピューターシステムに送られて良い。信号対雑音比(SNR)は特別に設計されたフィルター、閾値及び補正係数を適用することで改善可能である。
【0018】
図1は特定の実施形態によるEUVマスクブランクの側面略図である。EUVマスクブランクは一般的に低熱膨張(LTE)ガラス板のような基板102を含む。基板は露光を行うためにEUV波長で良好な反射率を供給するための材料の複数の層104で覆われる。特定の実施形態において、複数の層104は約7ナノメートルのピッチで配列されるモリブデン(Mo)及びシリコン(Si)層の30〜40の反復ペアを含む。複数の層104はキャッピング層を含んで良い。他の実施形態において、試料は石英、反射防止膜(ARC)及びその他の特長を含んで良い。
【0019】
EUVマスクブランク及びその他の試料は表面欠陥を有することがある。欠陥は一般に、窪み112及び隆起114のような位相欠陥及び粒子116と特徴付けられる。これらの隆起及び窪みは基板、102での欠陥から生じる。かくして、層も一般に歪んでいる。隆起及び窪みはほぼ純粋な光位相物体だが、粒子は振幅及び位相特性の両方を有する。両方の種類の欠陥はEUVリソグラフィーに非常に損傷を与えることがあり注意深く検査する必要がある。例えば、1ナノメートル隆起で生じる位相シフトは印刷可能な欠陥を生むのに十分である。
【0020】
化学線(例えば、13.5ナノメートル)検査ツールをこれらの欠陥の検査に用いることが可能であるが、非学問的な使用に適した高速処理構成で数年の間利用可能とは見込まれない。現在利用可能なシステムは処理能力又は感度のいずれかの制限を有する。例えば、日本の横浜のレーザーテックが供給するマルチビーム共焦点顕微鏡は反射信号をモニターすることにより表面外乱を検出する。しかしながら、これらの顕微鏡は感度が悪くEUVマスクブランク欠陥の検査に一般に適していない。光力を高めれば感度が増すことがあるがしばしばEUVマスクブランクに損傷を与えることがある。暗視野13.5ナノメートル顕微鏡はEUVマスクブランク検査を意図されるが、こうした暗視野システムは極度に遅く生産の使用に適しないことがある。
【0021】
DUV検査システムEUVマスクブランク上の小さい表面欠陥及びその他同様の試料の検査のための構成となりうる。具体的な実施形態において、カリフォルニア、ミルピタスのKLA Tencorから提供されるTeron600検査システムは一般的なEUVマスクブランク上の高さ1ナノメートル及びFWHM80ナノメートルもの小さい検査位相欠陥のために再構成される。検査結果はカリフォルニア、バークレーのローレンス・バークレー国立研究所で化学線の高度な検査ツールから得られたものと比較され2つの検査システムとの間で一致することが分かった、実験結果のいくつかは以下により詳細に記載される。DUVシステムは粒子欠陥の検査にも構成可能であることも分かっている。
【0022】
本明細書で提案される様々な欠陥検出技術の背景を伝えるために光学的検査原理をここで簡潔に説明する。暗視野検出は表面からの散乱放射線の収集及び分析に関する。この技術は粒子や鋭い端部のような、小さい欠陥に敏感である。しかし大きい浅い欠陥及び滑り線及び積層欠陥のような、いくつかの結晶学的欠陥のような、いくつかの表面地形は効果的に光を散乱しないことがある。明視野検出は表面からの反射放射線の収集及び分析に関する。この技術は検査面の上の変動(例えば、傾斜)に敏感である。明視野検出の反射光線の様々な態様が表面付近の有益な情報を明らかにすることがある。例えば、反射光線の強度は表面材料情報を明らかにすることがある。反射光線の位相および方向は他方で表面地形及び材料情報を明らかにすることもある。
【0023】
図2は特定の実施形態による2種類の位相欠陥の検査を例証するEUVマスクブランクの表面の側面略図である。検査表面の実質平坦な部位202が窪み204及び隆起206から反射された光線の位相シフト差を示すために参照として示される。表面の粗さは背景雑音全体の一部となることがある、追加の位相変動を生むことに留意頂きたい。(素子202のような)平坦部と(素子204及び206のような)穴欠陥の両方を含む、表面の粗さは一般に全試料表面にわたり概ね一貫している。かくして、特別設計のフィルターを適用することで粗さは少なくとも部分的に補正可能である。こうしたフィルターは信号対雑音比を実質増やすことがある。
【0024】
窪み204が検査中のとき、反射光線は平坦部202からの反射光線と同じ振幅を有する。しかしながら、窪み204からの反射光線は平らな面(X)のものと比べると負の位相差(Y)を有する。同様に、隆起206が検査されるとき、反射光線は同じ振幅を有するが、参照(X)に比べると、ここで正の位相差(Z)を有する。特定の実施形態において、検査面の一部又は全面は位相シフトを特定するために位相値参照として使用可能である。
【0025】
横方向の小さい欠陥のための光振幅(D)は以下の式で表すことが可能である:
【0026】
【数1】
【0027】
位相(φ)は点拡がり関数にわたり積分された平均欠陥位相に相当する。平らな周囲の光振幅(s)は1に設定されている。画像コントラストは点拡がり関数を用いて複数の光振幅を組み合わせることで得ることが可能である。かくして、欠陥強度のコントラストは次の式で表すことが可能である。
【0028】
【数2】
小さい位相値(φ)には、正弦状関数は線形関数として近似可能である。
【0029】
しかしながら、コントラスト値は浅い欠陥には比較的小さい。コントラストを増やすために、平らな周囲(S)及び欠陥(D)の相対位相をずらすように照明光線を脱焦点化可能である。焦点(ほぼ0に等しい焦点深度(DOF))で、点拡がり関数は実部のみ有する。しかしながら、脱焦点状態の下で(DOF<0又はDOF>0)、点拡がり関数はリング形状に対応する虚部を有する。この現象は図3に示され、焦点及び特定の脱焦点での光学点拡がり関数の4つの模擬画像を有する。画像は同相中心点及び逆相(90℃)リングの両方として捕捉された。換言すると、画像コントラストは互いに90°位相がずれた、中心点及びリングを混ぜることで達成可能である。かくして、コントラストは次の式で表すことが可能である:
【0030】
【数3】
【0031】
この最後のコントラスト表現において、コントラスト値は小さい位相値で位相値(φ)に線形比例する。隆起及び窪みは逆のコントラスト符号を有し、正から負のDOFに切り替わるときにコントラスト符号が反転する。図4は2種類の位相欠陥のための焦点位置、すなわちDOF、の関数としてのコントラストのプロットを示す。1つの欠陥は表面の上に延びる隆起でもう1つの欠陥は表面の下に突き出るくぼみである。両方の種類の欠陥は同じ寸法、例えば高さ1ナノメートル及びFWHM約70ナノメートルを有し、同じシステム、例えば、DUV検査システムを用いて検査される。コントラストは焦点、すなわちDOF〜0で、ほぼゼロである。それゆえ、位相欠陥は1つ以上の脱焦点位置(DOF<0またはDOF>0)を用いて検査される。複数の検査パスが行われ及び/又は複数のビームが同じパスで用いられるとき、複数の脱焦点設定が用いられて良い。例えば、正及び負のDOFの組み合わせが用いられて良い。同じ又は他の実施形態において、脱焦点(DOF<0またはDOF>0)及び焦点位置(DOF〜0)の組み合わせを用いてよい。合焦点位置が、例えば、下記のように粒子を検出するために用いられて良い。
【0032】
位相欠陥と違って、粒子は異なる光学特性を有する。粒子は結像開口の外のより多い光を散乱し振幅及び位相物体の慮法であると考えられる。更に、粒子は一般に一標準的な位相欠陥、又はより具体的には、EUVマスクブランク位相欠陥の一般的な高さより大きい。それゆえ、異なるDOFがしばしば位相欠陥検出のためよりも粒子検出のために必要とされる。より具体的には、大部分「振幅物体」である、粒子は焦点近く(DOF 〜 0)で最もよく検出される。しかしながら、粒子は脱焦点状態でさえ、顕著な変調をもたらすことが可能である。
【0033】
プロセスの実施形態
本明細書に記載される新奇の表面検査技術は約250ナノメートル未満の波長を有する光線での検査面の照射に関する。ビームは約0.15から0.5の間の部分干渉シグマを有する光学素子の一群を通される。ビームは焦点及び/又は脱焦点状態の1つ以上で検査面の上に合焦される。反射光線は検出器によって収集され検査面の結果画像を生成するために用いることが可能である。この操作は様々なフィルター及び閾値の設計及び/又は適用に関して良い。こうした技術の態様はStan Stokowski、Joshua Glasser、Gregg Inderhees及びPhani Sankuratri著の「193nmシステムでのEUVマスクブランクの検査」という題名の写真器具技術者協会(SPIE)会報の7636巻のpp.76360Z−76360Z−9(2010)に記載され、その全体は本明細書に参照として組み込まれる。
【0034】
図5は特定の実施形態による位相欠陥及び/又は無地の物体の表面上の粒子を検査するためのプロセス500に対応するフローチャートを示す。このプロセスは高さ約10ナノメートル未満でFWHM約200ナノメートル未満、例えば、約10x200ナノメートル未満の、位相欠陥の検出に使用可能である。より特定の実施形態において、これらの技術は約5x150ナノメートル未満、又は約3x100ナノメートル未満、又は約2x80ナノメートル未満、又は約1x50ナノメートル未満ですらある位相欠陥の検出に用いられる。無地の物体はEUVマスクブランク又はいかなる他の同様な透過物体であってよい。特定の実施形態において、検査物体の表面は石英及び/又は反射防止膜(ARC)を含む。
【0035】
プロセス500は照明光線の生成(ブロック502)で開始されて良い。特定の実施形態において、照明光線は約250ナノメートル未満の波長を有する。より具体的には、照明光線はDUV又はEUVであってよい。レーザーのような、様々な照明光源がこの目的のために使用可能である。いくつかの照明光源の追加の記載が図6との関係において以下に記載される。
【0036】
プロセスは光学素子の群を通じた照明光線の通過(ブロック504)で進められて良い。光学素子のいくつかの実施例は集光レンズ、映写レンズ、ビーム分割器、鏡、ビーム操縦装置及びビーム調整器を含む。集光及び映写レンズはその開口数が検査システムの部分干渉シグマが約0.15から0.5の間になるような結果になるように選択されて良い。部分干渉シグマは集光レンズ開口数の映写レンズ開口数に対する割合であることに留意いただきたい。特定の実施形態において、部分干渉シグマは約0.2から0.4の間、又はより具体的には約0.25から0.3の間、又は約0.15から0.3の間、又は約0.15から0.2の間である。
【0037】
照明光線はそれから検査試料の表面上に合焦される(ブロック506)。脱焦点範囲は約+1から+3の間のDOF、−1から−3の間のDOF又は+1から−1の間のDOFであってよい。特定の実施形態において、(負及び正DOF範囲の両方をあらわす)絶対DOF値は約1.25から2.75の間、又はより具体的には約1.5から2.5の間、又は約2である。特定の実施形態において、方法は異なるDOFでの複数の照射ビームで表面を照射すること及び/又は異なるDOFでの照射ビームで表面の検査パスを反復することに関する。例えば、2つのビームは符号が逆のDOF値を有してよい。より具体的には、1つのビームは約+1から+3の間のDOFを有し、もう1つは約−1から−3の間のDOFを有してよい。別の実施例において、1つのビームは約+1から+3の間のDOFで脱焦点化され、もう1つのビームは焦点が合って、すなわち約0のDOFであってよい。2つ目の(焦点が合った)照射ビームは粒子及びその他の汚染を検出するための画像(すなわち、焦点画像)を生成して良い。一般に、異なるDOFで生成された複数の画像は欠陥を位相及び表面汚染欠陥に分類するために使用可能である。特定の実施形態において、複数の画像は後の操作の結果画像の作成中に併せられる。
【0038】
プロセス500は表面の検査(ブロック508)及び1つ以上の検出器を用いた1つ以上の反射光線の捕捉(ブロック510)を続ける。反射光線又は少なくともビームの捕捉分は検出器の解像度に基づいて特徴付けられて良い。特定の実施形態において、検出器にわたる反射光線の走査パスは走査方向に沿って幅が約100ピクセルから1000ピクセルの間又は、より具体的には、幅が約300ピクセルから600ピクセルの間である。ビーム経路の長さは少なくとも約500ピクセル又は、より具体的には、少なくとも約1000ピクセルである。複数の反射ビームが生成された場合、その後これらのビームを捕捉するために多重場検出器を使用可能である。
【0039】
プロセス500は結果画像の生成(ブロック510)及び様々な欠陥を特定するための結果画像の分析(ブロック512)で進められてよい。この生成及び分析プロセスは複数の画像の合成又は比較、様々なフィルター、閾値、集結値の適用及びその他の技術の実行に関して良い。EUVマスクブランクは無地の物体なので、ほとんど又はほぼ全ての系統的雑音源はこれらの操作中に除去可能である。例えば、系統的雑音はモニター及び検出信号又は画像からフィルターされることが可能である。系統的雑音のほとんどを除去することで、残りの信号がまだランダムノイズ、ショット及びスペックルを包含することがある。しかしながら、実際の非ノイズ信号及びこれらの雑音指数によって生み出された信号は異なる空間的パワースペクトルを有し互いに分離されうる。それゆえ、更にSNRを向上するためにフィルターを設計及び適用可能である。特定の実施形態において、フィルターの適用はSNRを少なくとも約2倍又は少なくとも約3倍又は少なくとも約4倍も増やすことがある。部分干渉シグマが約0.25未満又は約0.20未満にも設定されたとき、より良く「整合した」フィルターが設計されうることが発見されている。
【0040】
特定の実施形態において、TDIゲイン及びオフセットの画素間差によって生じる結果画像から系統的雑音を除去するために補正係数が適用される。例えば、補正係数は較正手順から特定され検査/走査中に適用されて良い。更に、検査が起きるにつれて検出された欠陥が無い場合各ピクセル列の平均値がモニターされ適用される補正係数を特定する。
【0041】
特定の実施形態において、結果画像の分析は位相欠陥を検出するための少なくとも約7の限界信号値の適用を備える。限界信号値は雑音信号の標準偏差に対する比率として定義される。SNRの増加の別のやり方は複数の検査パスの実行である。しかしながら、各追加の検査パスは検査システムのスループットを遅くする。
【0042】
特定の実施形態において、照明光線は実質法線角度で表面上に焦点を合わされ、照射及び反射光線が経路を共有する結果となる。他の実施形態において、照明光線は斜角で表面上に焦点を合わされ、照射及び反射光線は経路を共有しない。別の実施形態において、反射光線の0次成分が検出器に到達する前に更に減少されて良い。更に、反射光線の0次成分の位相はコントラスト及び信号対雑音比を向上するために結像開口を用いて移動可能である。
【0043】
装置の実施形態
特定の実施形態において、無地の物体の表面上の位相欠陥を検査するためのシステムは約250ナノメートル未満の波長を有する照明光線を生成するための光源及び約0.15から0.5の間の部分干渉シグマを有する一群の光学素子を含む。これらの光学素子は上記の1つ以上のDOF値で検査表面上に照明光線の焦点を合わせるために用いられて良い。更に、検査システムは無地の物体の表面を検査するために無地の物体を照明光線に対して移動するためのステージを含んで良い。1つ以上の反射光線は時間遅延積分(TDI)検出器のような検出器によって捕捉されてよい。特定の器具詳細もまたW.H.Broadbent、D.S.Alles、M.T.Giusti、D.F.Kvamme、R.−F.Shi、W.L.Sousa、R.Walsh、Y.Xiongによる「Results from a new 193nm Die−to−database Reticle Inspection Platform」という題の2010年4月13日から15日まで日本の横浜で開かれたPhotomask Japan 2010 conferenceで発表されたプレゼンテーションに記載され、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。その他の記述は米国特許番号6,271,916及び米国特許番号6,201,601に設けられ、これも全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0044】
上記のように、具体的に構成された検査システムの1つの実施例はカリフォルニア、ミルピタスのKLA−Tencorから入手可能なTeron600である。このシステムはダイトゥデータベース及びダイトゥダイの両方の検査モードで作動可能な最近開発された193nm波長高解像度レチクル欠陥検査プラットフォームである。このシステムは光学的及びEUV用途の両方に適している。
【0045】
一般に、検査システムは複数の収納装置を含んで良い。主収納装置のような1つの収納装置は、光学的、ステージ、及び/又は試料ローダーを含んで良い。この収納装置は適切な性能を提供するために振動、熱変動及び汚染を最小化する設計である。別個の位置で、システムはブロア、熱交換器、制御電子回路及び電源のような様々な支援システムを含んで良い。これらの部品を別に保つことは敏感な光学への衝撃を最小化する。
【0046】
図6は特定の実施形態による検査システムのある素子の概略図である。システム600はコヒーレント光線を供給することがある光源602を含む。光源の1つの実施例は準連続発振レーザーである。光源は高いパルス繰り返し率、低ノイズ、高出力、安定性、信頼性及び拡張性を一般に設けるべきである。光源は光レベル制御、スペックル雑音減少、及び高いビームの均一性を設けるために使用可能な精密なビーム位置及びビーム調整装置のためのビーム操縦装置を含んで良い。ビーム操縦装置及び/又はビーム調整装置は、例えば、レーザーから離れた物理装置であって良いことに留意いただきたい。
【0047】
検査システムは上記の1つ以上の値の部分干渉シグマを有する光学素子の一群を含む。これらの素子は又、これも上述される様々なDOF値で検査表面上に照明光線の焦点を合わせるために用いられて良い。簡潔さのために、図6は集光レンズ604、結像レンズ608、検出器レンズ613、及びビーム分割器606を示す。しかしながら、検査システムは具体的な検査機能を達成するのに必要な他の光学素子を含んで良いことを当業者であればご理解いただけるであろう。結像レンズ608は特有の低収差要件を満たすために比較的大きくて良い。結像レンズは異なる大きさのピクセル、例えば各ピクセルが約100nm未満又は、より具体的には、約75nm未満又は60nm未満に調整可能である。検査システムは異なるDOF値で表面612を同時に検査可能であって良い。
【0048】
反射ビームはそれから検出器614に送られる。特定の実施形態において、検出器は時間遅延積分(TDI)検出器である。一般的なTDI検出器は検査表面の同じ領域の複数の露光を蓄積し、入射光の収集に有効な積分時間を効果的に増やす。鮮明な画像を確実にするために物体の動きは露光と同期される。一般に、検出器は変換器、収集機、電荷結合素子(CCD)又は他の種類の放射センサーを含んで良い。
【0049】
図6は照明光線が検査面に対して実質法線角度で試料表面612に向けられるある実施例を示す。他の実施形態において、照明光線は斜角に向けられて良く、これは照射及び反射ビームの分離を可能にする。これらの実施形態において、反射光線の0次成分を検出器に到達する前に減少するために減衰器が反射ビーム経路上に位置して良い。更に、結像開口は反射光線の0次成分の位相をずらすために反射ビーム経路上に位置して良い。
【0050】
検出器は一般的にコンピューターシステム616又は、より一般的には検出器614からのアナログ信号を処理のためのデジタル信号に変換する構成のアナログ・デジタル変換機を含んで良い信号処理装置に取り付けられて良い。コンピューターシステム616は強度、位相、及び/又は1つ以上の反射ビームの他の特性を分析する構成であって良い。コンピューターシステム616は結果テスト画像及びその他の検査特性を表示するためのユーザーインターフェース(例えば、コンピュータースクリーン)を設けるための構成(例えば、プログラミング命令付き)であってよい。コンピューターシステム616は又DOF変更のような、入力を設けるために、1つ以上の入力装置(例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック)を含んで良い。コンピューターシステム616は又、例えば、試料位置(例えば、合焦及び走査)及びその他の検査パラメータ及び検査システム素子の構成の制御のための、ステージ610に接続されて良い。特定の実施形態において、コンピューターシステム616は上記の検査技術を実行するための構成である。コンピューターシステム610は一般的に入力/出力ポート、及び1つ以上のメモリーに適切なバス又はその他の通信機構経由で接続された1つ以上のプロセッサを有する。
【0051】
こうした情報及びプログラム命令は本明細書に記載されるシステム/方法を運用するために用いられて良いので、本発明は本明細書に記載される様々な操作を実行するための、プログラム命令/コンピューターコードを含む、機械可読媒体に関する。機械可読媒体の実施例はハードディスク、フレキシブルディスク、及び磁気テープのような磁気メディア、CD−ROMディスクのような光媒体、光ディスクのような光磁気媒体、読み出し専用メモリー(ROM)及びランダムアクセスメモリー(RAM)のようなプログラム命令を蓄積及び実行するための特別の構成のハードウェア装置を含んでも良いが、これに制限されるものではない。プログラム命令の実施例はコンパイラーによって生成される機械コード、及びインタープリターを用いたコンピューターによって実行されうるより高いレベルのコードを包含するファイルの両方を含む。
【0052】
実験
位相欠陥及び一般的なEUVマスクブランク表面と石英表面上の粒子を特定するために一連の実験が行われた。1つの実験において、特別な構成のKLA−Tencor Teron 600 DUV検査システムを用いて既知の大きさの複数の窪みの列を包含するプログラムされた欠陥マスクが検査された。プログラムされた欠陥マスクは13マスクの大きさの増大する位相窪みを含む。例えば、ブロック12は高さ1ナノメートルxFWHM90ナノメートルの欠陥を有し、ブロック11は1.5x100ナノメートルの欠陥を有し、ブロック1〜10は次第により大きくなる欠陥を有した。Teron 600システムはブロック1〜11では100%の捕捉確率及びブロック12では74%の捕捉確率を示した。
【0053】
これらの実験結果に基づき、検査システムに追加の変更がなされた。例えば、結果画像に適用されたフィルターは表面の粗さに対してより良く同調された。更に、FWHMが独立変数のときに1ナノメートルの高さの位相欠陥の捕捉確率が評価された。これらの評価は図7に示される。最も左の曲線702は一般的な表面の粗さを持つ試料の検査に用いられた初期検査パラメータに対応する。70ナノメートルFWMHより狭い欠陥では捕捉率は急激に落ちる。新しいフィルター及び他の検査パラメータは真ん中の曲線704に明らかなように追加で5〜7ナノメートル分、感度の向上を可能にした。しかしながら、実質より良い結果はより低い表面の粗さを有する試料に対して達成可能であった。最も左の曲線706は2.5倍より低い表面の粗さを有する試料の確率曲線を示す。
【0054】
別の実験において、シリコンキャップされた多層試料の上の2x80ナノメートルの大きさを有する隆起及び窪み欠陥が検査され画像が分析された。全ての欠陥が100%の割合で捕捉された。図8A及び図8Bは1つの隆起欠陥の原画像及び補間画像を示す。比較的小さい欠陥でさえ画像上ではっきり確認可能である。
【0055】
ルテニウム(Ru)及びシリコン(Si)キャップされた多層試料の反射性の検査パスの結果を調査するために別の実験が行われた。(すなわち、検査強度レベルでの)検査中のDUV又はEUV露光が反射率の変化を生じることがあるという懸念を軽減するためにこの実験が行われた。実験は各試料に行われた20から50の検査パスに関連した。最大検査強度のDUV及びEUV露光の両方が用いられた。この反復検査の前後の反射性は13.5nmで測定されフィルム構造はX線反射性(XRR)技術を用いて測定された。反射性の測定可能な変化は検出されなかった。
【0056】
別の実験において、石英基板の上の欠陥が分析された。石英基板は一般にシリコンキャップされた又はルテニウムキャップされた基板に比べて比較的低い反射率を有する。かくして、適切なSNRを達成するためにこれらの基板は比較的より高い光強度を必要とすることがある。図9A及び図9Bは石英表面上の様々な欠陥の2つの画像を示す。図9Aは2つの明るい点の両方の窪み、及び暗い点の隆起を示す。図9Bは又3つの窪みを示す。更に、図9Bの蛇行線は石英上のフィルム汚染を示すと考えられる。
【0057】
概して、これらの実験は位相欠陥検出のための22nmノードの要件は本明細書に記載される検査方法及び器具を用いて満たされることを示した。EUVマスクブランクの表面の粗さは将来減り、これが更に提案された方法及び器具の感度限度を更に増加することであろう。
【0058】
結論
前述の本発明は理解の明晰さの目的でいくつかの詳細を記載したが付属の特許請求の範囲内で特定の変更及び変容が行われて良いことは明らかである。本発明のプロセス、システム及び器具の実践の多くの代替方法があることに留意いただきたい。したがって、本実施形態は例示であり制限とは考えられず、本発明は本明細書に記載された詳細に限定されるものではない。
適用例1:無地の物体の表面上における位相欠陥及び/又は粒子を検査するための方法であって、約250ナノメートル未満の波長を有する照明光線を生成し、約0.15から0.5の間の部分干渉シグマを有する光学素子の一群を経由する照明光線を通過させ、所定の脱焦点範囲で、前記無地の物体の前記表面上に照明光線を合焦させ、反射光線が前記表面から反射するように照明光線を用いて前記無地の物体の表面を検査し、前記反射光線に基づき、前記位相欠陥を特定するための結果画像を生成し、分析すること、を備える方法。
適用例2:前記位相欠陥が高さ約10ナノメートル未満で半値全幅(FWHM)約200ナノメートル未満である適用例1の方法。
適用例3:前記位相欠陥が高さ約2ナノメートル未満及びFWHM約100ナノメートル未満である適用例1の方法。
適用例4:前記所定の脱焦点範囲が約+1から+3の間の被写界深度(DOF)又は−1から−3の間のDOFである適用例1の方法。
適用例5:第2の所定の脱焦点範囲で、前記無地の物体の表面上に第2の照明光線を集束させることを更に備え、前記所定の脱焦点範囲は約+1から+3の間の被写界深度(DOF)で前記第2の所定の脱焦点範囲は約−1から−3DOFの間である、適用例1の方法。
適用例6:前記結果画像の生成および分析は、時間遅延積分(TDI)検出器を用いて反射光線を捕捉することを備える適用例1の方法。
適用例7:前記反射光線の経路が前記TDI検出器の解像度により規定された走査方向に沿って幅が約100ピクセルから1000ピクセルの間である適用例6の方法。
適用例8:前記照明光線が深紫外線又は極端紫外線である適用例1の方法。
適用例9:前記照明光線が約193ナノメートルの波長を有する適用例1の方法。
適用例10:前記部分干渉シグマが約0.2から0.4の間に調節される適用例1の方法。
適用例11:前記結果画像の分析は、前記結果画像又は前記反射光線から生成される検出信号内の信号対雑音(SNR)比を最大化するために前記結果画像又は前記検出信号に対するフィルターを構築すること又は適用することを備える適用例1の方法。
適用例12:TDI較正効果を備える系統的雑音を前記結果画像から除去するために補正係数を適用することを更に備える適用例1の方法。
適用例13:前記補正係数は検査中に前記反射光線の初期捕捉から特定され、適用される適用例12の方法。
適用例14:前記補正係数は前記反射光の強度変化から特定される適用例12の方法。
適用例15:前記結果画像の分析は前記位相欠陥を検出するための少なくとも約7の限界信号閾値を適用することを備える適用例1の方法。
適用例16:前記無地の物体は極紫外線マスク(EUV)ブランクを備える適用例1の方法。
適用例17:前記無地の物体は透過性の物体である適用例1の方法。
適用例18:前記無地の物体の表面は、石英又は反射防止膜(ARC)を備える適用例1の方法。
適用例19:前記結果画像の作成および分析は、前記無地の物体の表面の2つの初期画像を作成するように構成されている二次視野(TDI)検出器を用いて反射光線を捕捉することを備える適用例1の方法。
適用例20:前記2つの初期画像は2つの異なる脱焦点値について構成される適用例19の方法。
適用例21:前記2つの異なる脱焦点値は、符号が逆である適用例20の方法。
適用例22:前記2つの初期画像は、約0のDOFのために構成されている焦点画像を備える適用例20の方法。
適用例23:前記焦点画像は、前記無地の物体の表面上の汚染を検出するために用いられる適用例22の方法。
適用例24:前記2つの初期画像の比較に基づいて欠陥を位相欠陥及び表面汚染欠陥に分類することを更に備える適用例22の方法。
適用例25:前記結果画像の生成は、2つの初期画像を合わせることを備える適用例19の方法。
適用例26:前記無地の物体の表面に対する追加の検査パスを実行すること、および信号対雑音比を増大させるために前記結果画像に結合された追加の結果画像を作成することを更に備える適用例1の方法。
適用例27:前記照明光線は実質的に法線角度で前記無地の物体の表面上に合焦され、前記照明光線及び反射光線は経路を共有する適用例1の方法。
適用例28:前記照明光線は斜角で前記無地の物体の表面上に合焦され、前記照明光線及び反射光線は経路を共有しない適用例1の方法。
適用例29: 前記反射光線の0次成分を減衰させることを更に備える適用例28の方法。
適用例30:前記コントラスト及び信号対雑音比を向上させるために、結像開口を用いて前記反射光線の0次成分の位相をシフトさせること更に備える適用例29の方法。
適用例31:無地の物体の表面上における深さ約10ナノメートル未満の表面凸凹欠陥を検出するためのシステムであって、約250ナノメートル未満の波長を有する照明光線を生成するためのレーザーと、約−3から+3の間の被写界深度(DOF)のフォーカス範囲内で前記無地の物体の表面上に照明光線を合焦するための部分干渉シグマが約0.15から0.5の間の光学素子のセットと、前記無地の物体の表面を検査するために前記無地の物体を前記照明光線に対して移動させるためのステージと、照明ビームに応答して表面から反射された反射光線を捕捉するための時間遅延積分(TDI)検出器と、少なくとも1つのメモリー及び、反射された光線に基づき、結果画像を生成し表面凸凹欠陥を特定するために結果画像を分析するための少なくとも1つのプロセッサと、を備えるコンピューターシステムとを備えるシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B