(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の生産計画作成装置では、計画配置対象物の大きさを考慮していないため、限られた作業場所に対して、より適正な作業計画を作成できない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、作業対象となる部品の大きさを考慮して、作業要求に対して限られた作業場所を効率良く割り付けることができる、作業場所計画装置、作業場所計画プログラム、及び作業場所計画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の作業場所計画装置、作業場所計画プログラム、及び作業場所計画方法は以下の手段を採用する。
【0008】
本発明の第一態様に係る作業場所計画装置は、要求される作業である作業要求毎に、該作業要求に要する面積であ
り、作業対象の部品の大きさによって決定される占有面積及び該占有面積の占有期間を記憶した記憶手段と、作業を行う作業場所を予め仮想的に複数に区分けした区分け領域に対して、前記占有面積及び前記占有期間に応じて前記作業要求を割り付ける割付手段と、前記割付手段による割り付けによって生じた未割り付けの前記作業要求に基づいて、前記割付手段による割り付けを評価する評価手段と、を備える。
【0009】
本構成によれば、作業を行う作業場所は予め仮想的に複数の区分け領域に区分けされており、作業要求に要する占有面積及び占有期間毎に区分け領域が割り付けられる。すなわち、本構成は、作業場所を一次元と考え、作業場所と期間とで二次元としたマップ上に作業要求を割り付ける。なお、占有面積は、主に作業対象の部品の大きさによって決定される。占有期間は、例えば作業要求毎の工期及び納期によって決定される。
【0010】
そして、記憶手段には作業要求に要する作業場所の占有面積及び占有期間が記憶され、割り付け手段によって、区分け領域に対して占有面積及び占有期間に応じて作業要求が割り付けられる。
さらに、割り付けにより生じた未割り付けの作業要求に基づいて、割り付けが評価手段によって評価される。未割り付けの作業要求は、例えば、占有面積及び占有期間が他の作業要求と重なり、割り付けられなかった作業要求である。
【0011】
このように、本構成は、作業場所を仮想的に区分けし、作業要求に要する占有面積及び占有期間に応じて、区分け領域を作業要求に割り付けるので、作業対象となる部品の大きさを考慮して、作業要求に対して限られた作業場所を効率良く割り付けることができる。
【0012】
上記第一態様では、前記作業要求に、変更が不可能な制約である第1制約、及び変更が可能な制約である第2制約が設定されており、前記割付手段が、前記区分け領域に対して、前記占有面積、前記占有期間、前記第1制約、及び前記第2制約に応じて前記作業要求を割り付け、前記評価手段が、未割り付けの前記作業要求及び前記第2制約の変更の度合いに基づいて、前記割付手段による割り付けを評価することが好ましい。
【0013】
本構成によれば、作業要求毎に制約が詳細に設定されるので、作業要求に対して全体としてより適切な作業場所を割り付けることができる。
【0014】
上記第一態様では、前記第2制約が、前記作業要求に割り付けられる前記区分け領域の優先度、前記作業要求の完了時期、及び受注確度の高い前記作業要求の優先的な割り付けであることが好ましい。
【0015】
本構成は、作業要求に対して全体としてより適切な作業場所を割り付けることができる。
【0016】
上記第一態様では、前記割付手段が、前記作業要求の納期を基準として作業を前倒しで完了可能な期間内で、前記作業要求を前記区分け領域に割り付け可能であり、前記評価手段が、未割り付けの前記作業要求の数、前記作業要求に割り付けられた前記区分け領域の優先度からのずれ、及び前記作業要求の完了時期の納期からのずれに基づいた評価値によって、前記割付手段による割り付けを評価することが好ましい。
【0017】
本構成によれば、より確実に作業要求を割り付けることが可能となる。
【0018】
上記第一態様では、前記第1制約に、前記作業要求に要する工具が含まれ、前記割付手段が、前記作業要求に設定された前記工具が前記作業要求に設定された前記占有期間内に使用できない場合、前記作業要求の完了時期を前倒しすることが好ましい。
【0019】
本構成によれば、より確実に作業要求を割り付けることが可能となる。
【0020】
本発明の第二態様に係る作業場所計画装置は、要求される作業である作業要求毎に、該作業要求に要する面積であ
り、作業対象の部品の大きさによって決定される占有面積及び該占有面積の占有期間を記憶した記憶手段を備えるコンピュータを、作業を行う作業場所を予め仮想的に複数に区分けした区分け領域に対して、前記占有面積及び前記占有期間に応じて前記作業要求を割り付ける割付手段と、前記割付手段による割り付けによって生じた未割り付けの前記作業要求に基づいて、前記割付手段による割り付けを評価する評価手段と、として機能させる。
【0021】
本発明の第三態様に係る作業場所計画装置は、要求される作業である作業要求毎に、該作業要求に要する面積であ
り、作業対象の部品の大きさによって決定される占有面積及び該占有面積の占有期間を記憶手段から読み出す第1工程と、作業を行う作業場所を予め仮想的に複数に区分けした区分け領域に対して、前記占有面積及び前記占有期間に応じて前記作業要求を割り付ける第2工程と、割り付けによって生じた未割り付けの前記作業要求に基づいて、割り付けを評価する第3工程と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、作業対象となる部品の大きさを考慮して、作業要求に対して限られた作業場所を効率良く割り付けることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る作業場所計画装置、作業場所計画プログラム、及び作業場所計画方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
本実施形態では、例えばタービンの部品等に対して要求される作業を行う作業場所が予め仮想的に複数の区分け領域に区分けされる。より具体的には、作業場所を工場とした場合、工場を所定方向に複数に区分けすることによって区分け領域が定められる。そして、作業要求(以下「オーダ」という。)に要する面積である占有面積及び占有面積の占有期間毎に区分け領域が割り付けられる。すなわち、本実施形態では、作業場所を一次元と考え、作業場所と期間とで二次元としたマップ(以下「作業計画マップ」という。)上にオーダを割り付ける。
【0026】
なお、本実施形態に係るオーダは、一例として、客先から受注する作業要求であり、例えばタービンを構成する部品の製造や修理等である。また、本実施形態に係る作業場所は、一例として工場であるが、これに限らず、作業場所は屋外等であってもよい。
また、占有面積は、主に作業対象の部品の大きさによって決定される。占有期間は、例えば作業要求毎の工期及び納期によって決定される。
【0027】
図1は、作業計画マップの一例である。
【0028】
図1の例では、縦軸が作業場所を区分けした区分け領域を示しており、一例として工場内の柱を基準に区分けされている。なお、作業計画マップでは、工場における通路も区分けの対象とされているが、通常、通路は作業場所としては使用されない。一方、作業計画マップの横軸は、期間であり、一例として一月を3分割している。
【0029】
そして、作業計画マップにおけるハッチングで示された各領域が、割り付けられたオーダであり、各オーダの縦の長さがオーダに要する占有面積に相当し、横の長さが占有期間に相当する。区分け領域は、オーダの占有面積及び占有期間を満たし、かつ他のオーダと重ならないようにオーダ毎に割り付けられる。
【0030】
図2は、本実施形態に係る作業場所計画装置10の電気的構成を示すブロック図である。作業場所計画装置10は、所謂パーソナルコンピュータである。作業場所計画装置10は、区分け領域に対して、占有面積及び占有期間に応じてオーダを割り付け、作業計画マップで示されるような作業計画を生成する。
【0031】
本実施形態に係る作業場所計画装置10は、作業場所計画装置10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)12、各種プログラム及び各種データ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)14、CPU12による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)16、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)18を備えている。
【0032】
さらに、作業場所計画装置10は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部20、各種画像を表示する、例えば液晶ディスプレイ装置等の画像表示部22、他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置や印刷装置等との間で各種データの送受信を行う外部インタフェース24を備えている。
【0033】
これらCPU12、ROM14、RAM16、HDD18、操作入力部20、画像表示部22、及び外部インタフェース24は、システムバス26を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU12は、ROM14、RAM16、及びHDD18へのアクセス、操作入力部20に対する操作状態の把握、画像表示部22に対する画像の表示、並びに外部インタフェース24を介した他の情報処理装置等との各種データの送受信等を各々行なうことができる。
【0034】
操作入力部20は、上述したオーダ及び絶対制約及び考慮制約が入力され、入力されたオーダや各種条件は、オーダデータとしてHDD18に記憶される。なお、絶対制約は、変更が不可能な制約である。考慮制約は、変更が可能な制約であり、換言すると、できるだけ満たされていることが望ましい制約である。
【0035】
下記表1は、絶対制約及び考慮制約の例を示している。なお、表1に示される絶対制約及び考慮制約は一例である。
また、詳細を後述するように、作業場所計画装置10で生成される作業計画の適否は、区分け領域が割り付けられなかった未割り付けのオーダ、及びオーダに設定されている考慮制約からのずれ(違反度)に基づいて判定される。このように、作業場所計画装置10は、オーダ毎に制約が詳細に設定されるので、オーダに対して全体としてより適切な作業場所を割り付けることができる。
【表1】
制約条件A1は、オーダが要する占有面積の広さであり、何れのオーダにも当てはまる絶対制約である。制約条件A2は、オーダが要する区分け領域が予め特定の区分け領域に指定されている場合の制約条件である。制約条件A3は、オーダが部品を分割する作業を要し、分割作業が可能な区分け領域が限定されている場合の制約条件である。
制約条件A2,A3は、全てのオーダに対して設定される制約条件ではないが、制約条件A2,A3が設定されたオーダに対しては絶対制約となる。
【0036】
また、制約条件A4は、制約条件A2が設定されていないオーダに設定される制約条件であり、オーダに割り付けられる区分け領域の優先度である。制約条件A5は、他社の工場等、自社工場以外でオーダの作業を行うとコストの増加を招くため、設定される制約条件であり、未割り付けのオーダを最小とすることを望ましいとする制約条件である。
【0037】
制約条件B1は、オーダの作業に要する期間の長さであり、何れのオーダにも当てはまる絶対制約である。制約条件B2は、占有期間の月日が予め指定されている場合の制約条件である。制約条件B3は、オーダの作業を行うために工具が必要な場合であり、その工具の保有数分しかオーダを同時に行えない。なお、工具には、部品を固定するための治具等も含まれる。
制約条件B2,B3は、全てのオーダに対して設定される制約条件ではないが、この制約条件が設定されたオーダに対しては絶対制約となる。
【0038】
また、制約条件B4は、制約条件B2が設定されていないオーダに設定される制約条件であり、オーダの完了時期(以下「作業完了時期」という。)を納期と同一としなくてもよく、前倒しで作業を完了させてもよいという制約条件である。
【0039】
さらに、制約条件C1は、各オーダに受注の確かさである受注確度が設定され、受注確度の高いオーダを優先的に区分け領域に割り付けるという制約条件である。
【0040】
また、HDD18は、工場の区分け領域を示す作業場所データを予め記憶している。
【0041】
図3は、HDD18に記憶される作業場所データの模式図である。
本実施形態では一例として、工場における最小領域を「番号」で管理し、複数の隣接する最小領域を統合した領域を区分け領域(A,B,C,D,E,・・・)としている。また、「○」で示される番号の最小領域は、作業場所として使用可能な領域である。「△」で示される番号の最小領域は、通路等であり、通常は使用しないが作業場所として使用可能な領域である。「×」で示される番号の最小領域は、作業場所として使用不可の領域である。
【0042】
さらに、HDD18は、
図4の例に示されるように、オーダの対象となりえる部品毎に、占有面積や占有期間となる工期や区分け領域の優先度を示した部品データを記憶している。
図4に示される部品データの区分け領域の優先度において、「◎」、「○」、「△」の順が各部品に対して作業を行うにあたり望ましい区分け領域の順番である。一方、「×」は、作業を行うにあたり望ましくない区分け領域である。なお、これに限らず、区分け領域の優先度は、例えば数値で示されてもよい。
【0043】
区分け領域の優先度として2つ以上の区分け領域が指定されている部品の場合、その部品は考慮制約として制約条件A4が設定されていることとなる。一方、区分け領域の優先度として1つの区分け領域だけ指定されている部品の場合、その部品は絶対制約として制約条件A2が設定されていることとなる。
このように、占有面積、占有期間、及び区分け領域の優先度は、部品毎に予め設定されている。
【0044】
図5は、HDD18に記憶されるオーダデータの一例である。
オーダは、「id」で管理される。また、「前倒し可能期間」は、オーダの納期を基準として作業を前倒しで完了可能な期間である。前倒し可能期間が「0」とされているオーダは、占有期間の月日が設定されていることとなり、制約条件B2で示される絶対制約が設定されているオーダである。
「受注確度」は、受注が確かなオーダの順に「A」、「B」、「C」、「D」とされる。なお、これに限らず、受注確度は、例えば100%、70%とのように数値で示されてもよい。
【0045】
図6は、オーダデータの他の例であり、作業に工具を要したり、部品の分割を要するオーダの例である。
【0046】
図7は、部品の分割を要するオーダ、すなわち制約条件A3が設定されたオーダに対して、作業可能な領域として限定される区分け領域を示した分割作業可能領域データの一例である。
図7の例では部品の分割を要するオーダは、区分け領域AからJの何れかと区分け領域KからPの何れかを組み合わせた区分け領域でのみ、作業が可能であることを示している。
【0047】
図8は、作業場所計画装置10の機能を示す機能ブロック図である。
【0048】
作業場所計画装置10は、割付部40、評価部42、及び優先順位変更部44を備え、これらの機能は、プログラムを実行するCPU12が有する。
【0049】
割付部40は、作業場所データに示される区分け領域に対して、オーダデータに示される占有面積及び占有期間、並びに絶対制約及び考慮制約に応じてオーダを割り付け、作業計画を生成する。
【0050】
評価部42は、割付部40による割り付けによって生じた未割り付けのオーダ等に基づいて、割付部40による割り付けを評価する。
【0051】
優先順位変更部44は、区分け領域が割り付けられるオーダの優先順位を変更する。
【0052】
そして、割付部40は、優先順位変更部44によって考慮制約の優先順位が変更されると、再び区分け領域に対してオーダを割り付け、評価部42は割り付けを評価する。
【0053】
図9は、本実施形態に係る作業場所計画装置10のCPU12で実行される作業場所計画処理(作業場所計画プログラム)の流れを示すフローチャートである。作業場所計画処理は、操作入力部20を介して、実行開始の指示が入力された場合に実行される。作業場所計画処理の実行は、オーダの入力毎や作業計画を見直す予め設定された期間毎に行われる。なお、作業場所計画処理は、局所探索法に基づいた処理である。
【0054】
まず、ステップ100では、HDD18に記憶されているオーダデータに示される複数のオーダを読み出し、オーダを受注確度の高い順に並び変える。
【0055】
次のステップ102では、受注確度の高い順に、固定されているオーダを区分け領域に割り付ける。固定されているオーダとは、例えば絶対制約によって区分け領域が指定されているオーダである。
【0056】
次のステップ104では、固定されていないオーダ、すなわちステップ102で割り付けられなかったオーダを、絶対制約及び考慮制約に応じて区分け領域に割り付け、作業計画を生成する。なお、上述したように考慮制約は変更可能であるため、考慮制約が変更されつつ、可能な限りオーダに区分け領域が割り付けられる。
【0057】
次のステップ106では、生成した作業計画を、未割り付けのオーダ及び考慮制約の変更の度合いに基づいた評価関数によって算出された評価値によって評価する。すなわち、未割り付けのオーダの数が少ないほど、考慮制約の変更の度合いが小さいほど作業計画の評価が高く、評価値は小さくなる。評価値が“0”となった作業計画が、最も好ましい作業計画である。
【0058】
次のステップ108では、評価値がそれまでに算出された評価値の最良値よりも良いか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ110へ移行し、否定判定の場合はステップ112へ移行する。なお、最初の割り付けにより作業計画を生成して評価値を算出した場合、比較する他の評価値が存在しないため、本ステップ108は省略される。
【0059】
ステップ110では、最良値を更新し、最良値を算出した作業計画をHDD18に記憶させる。
【0060】
ステップ112では、評価値が“0”、又は作業計画の生成回数が所定の反複回数に達したか否かを判定する。肯定判定の場合は、最良値を算出した作業計画を最も適した作業計画とし、本作業場所計画処理を終了する。一方、否定判定の場合は、ステップ114へ移行する。
【0061】
ステップ114では、区分け領域を割り付けるオーダの優先順位を変更して、ステップ104へ戻る。
【0062】
ここで、作業場所計画処理における割り付け、評価、及び優先順位の変更について詳細に説明する。上述したように、割り付けは割付部40で行われ、評価は評価部42によって行われ、優先順位の変更は優先順位変更部44で行われる。
【0063】
割付部40は、オーダの作業完了時期を設定する。作業完了時期と納期は同一であることが望ましい。作業完了時期と納期とにズレが生じると、作業を行った部品の保管場所を確保する必要が生じるためである。この保管場所の確保には、コストが生じることとなる。しかし、考慮制約B4が設定されているオーダの作業完了時期は、納期を基準として作業を前倒しで完了可能な期間内、すなわち[納期−前倒し可能期間]から納期の間であればよい。具体的には、納期が2012年12月末日であり、前倒し可能期間が1ヶ月であれば、作業完了時期は、2012年11月末日から2012年12月末日の間であればよい。
【0064】
そして、割付部40は、設定されている納期を作業完了時期とし、作業完了時期に合わせて、オーダが必要とする工具を使用可能か否かを判定する。工具が使用不可能な場合とは、すでに他のオーダによって工具が使用されている場合である。なお、工具の数は、実際の数に合わせて、予め定められている。
【0065】
作業完了時期に合わせた占有期間内に工具を使用できない場合、割付部40は、前倒し可能期間内で作業完了時期を前倒し、新たな作業完了時期に合わせて工具が使用可能な否かを判定する。新たな作業完了時期は、例えば一月を3分割している場合、納期から10日前倒しした時期となる。
【0066】
これを工具が使用可能となるまで、前倒し可能期間を満たす限り繰り返す。なお、オーダが工具を必要としない場合、上記処理は行われない。
【0067】
次に、割付部40は、区分け領域に対してオーダを割り付ける。割付部40は、
図10に示されるように、考慮制約によって区分け領域に優先度が設定されているオーダに対して、作業完了時期の変更と共に、区分け領域を変更することができる。この場合、オーダに対する作業完了時期と割り付けられた区分け領域との異なる組み合わせ毎に、後述するように評価部42が評価値を算出し、最も評価値のよい組み合わせが選択される。
【0068】
なお、通路は、通常では区分け領域とされないが、通路を跨いで区分け領域にオーダを割り付けることが望ましい場合は、通路の区分け領域として用いられもよい。
【0069】
割付部40は、オーダに対して工具や区分け領域を割り付けた場合、その工具や区分け領域を他のオーダは割り付け不可とする。
【0070】
また、考慮制約には、オーダを分割して作業することを可能とする制約が含まれても良い。この考慮制約が設定されているオーダは、複数の工程に分割され、各分割された全ての工程毎に異なる複数の区分け領域が割り付けられる必要がある。
【0071】
割付部40は、このような割り付けを各オーダ毎に行うことによって、
図11に示されるような作業計画を生成する。
【0072】
なお、前倒し可能期間内に工具が使用できないオーダや区分け領域を割りつけることができないオーダは、未割り付けのオーダとなる。
【0073】
次に、優先順位変更部44で行われるオーダの優先順位の変更について、
図12を参照して説明する。
【0074】
図12のリスト60を構成する各ブロック62は各々オーダを示しており、各オーダの番号は区分け領域を割り付けられる優先順位を示している。すなわち、番号が小さいオーダほど、区分け領域が割り付けられる優先順位が高い。このリスト60は、受注確度が同じオーダ毎に生成される。
そして、「○」が記述されているオーダは、区分け領域が割り付けられたオーダであり、「×」が記述されているオーダは、未割り付けのオーダである。優先順位の低いオーダほど、未割り付けとなる可能性が高くなり、
図12の例では、オーダ(3),(6),(8),(9)が未割り付けのオーダである。
【0075】
そこで、優先順位変更部44は、まず、優先順位の高い順から先に区分け領域が割り付けられたオーダ(以下「最先割付オーダ」といい、
図12の例ではオーダ(1))を選択する。
次に、優先順位変更部44は、優先順位の低い順から先に未割り付けのオーダ(以下「最遅未割付オーダ」といい、
図12の例ではオーダ(9))を選択する。
次に、優先順位変更部44は、選択した最遅未割付オーダの優先順位を最先割付オーダの前に変更し、最先割付オーダより後のオーダの優先順位を1ずつ繰り下げる。優先順位変更部44は、1回のステップ114の処理内において、この優先順位の変更を設定された所定回数(N1回)繰り返す。
【0076】
このようにして、同じ受注確度のオーダのリスト60内で、区分け領域が割り付けられるオーダの優先順位が変更される。
そして、割付部40は、このようにして変更された優先順位で次回の割り付けを行う。
【0077】
一方、全てのオーダに区分け領域が割り付けられた場合でも、優先順位変更部44は、ランダムに2つのオーダを選択して入れ替えることで、優先順位を変更する。優先順位変更部44は、1回のステップ114の処理内において、この優先順位の変更を設定された所定回数(N2回)繰り返す。
【0078】
評価部42による評価値の算出は、以下のようにして行われる。
【0079】
評価部42は、未割り付けのオーダ及び考慮制約の変更の度合いに基づいて、割付部40による割り付けを評価する。
より具体的には、評価部42は、未割り付けのオーダ、オーダに対する区分け領域の優先度からのずれ、及びオーダの作業完了時期の納期からのずれを評価指標とする。すなわち、考慮制約の変更の度合いは、オーダに対する区分け領域の優先度からのずれの大きさ、及びオーダの作業完了時期の納期からのずれの大きさである。
そして、評価部42は、評価指標に基づいた評価値を評価関数により算出し、割付部40による割り付けを評価する。
【0080】
各評価指標は、その値が大きいほどペナルティ値が与えられる。なお、評価指標に応じて重み付けの度合いが異なるので、ペナルティ値は、評価指標に応じて異なる。
【0081】
表2は、ペナルティ値の一例である。
【表2】
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る作業場所計画装置10は、要求される作業であるオーダ毎に、該オーダに要する面積である占有面積及び該占有面積の占有期間を記憶したHDD18と、作業を行う作業場所を予め仮想的に複数に区分けした区分け領域に対して、占有面積及び占有期間に応じてオーダを割り付ける割付部40と、割り付けによって生じた未割り付けのオーダに基づいて、割り付けを評価する評価部42と、を備える。
このように、作業場所計画装置10は、作業場所を仮想的に区分けし、オーダに要する占有面積及び占有期間に応じて、区分け領域をオーダに割り付けるので、作業対象となる部品の大きさを考慮して、オーダに対して限られた作業場所を効率良く割り付けることができる。
【0083】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
また、上記実施形態で説明した作業場所計画処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0085】
例えば、本発明は、評価値として最良値を算出した作業計画を所定の反複回数毎にHDD18から読み出す確率を設定し、作業計画を読み出した場合、作業計画に基づいてステップ114における優先順位の変更を行い、区分け領域に対するオーダの割り付けを繰り返してもよい。これにより、オーダの割り付けの繰返しを行うことにより、生成された作業計画の評価値が最良値からのずれが大きくなっても、そのずれを解消できる。
【0086】
また、上記実施形態では、固定されているオーダとして、1つの条件を指定(区分け領域の指定)する場合について説明したが、本発明は、これに限らず、固定されているオーダに複数の条件を指定する形態としてもよい。例えば、区分け領域の指定に加えて占有期間の月日の指定でオーダを固定する場合、占有期間の月日が指定されているオーダの区分け領域への割り付け処理が作業場所計画処理に追加され、反復処理が繰り返される。