特許第6211921号(P6211921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211921
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20171002BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20171002BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171002BHJP
【FI】
   F21S8/12 110
   F21S8/12 125
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-268371(P2013-268371)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125842(P2015-125842A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】永縄 祐仁
(72)【発明者】
【氏名】達川 正士
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−276917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21W 101/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室内に、投射型ビームユニットとして、内側ビームユニットと該内側ビームユニットよりも横方向外方側に配置される外側ビームユニットとが、該外側ビームユニットを該内側ビームユニットよりも後方側にずらした状態で配置され、該内側ビームユニット及び該外側ビームユニットに、少なくとも、投影レンズと、入射光を該投影レンズに向けて反射するリフレクタと、が備えられている車両用灯具において、
少なくとも前記内側ビームユニットに、光源が、構成部品として設けられ、
前記内側ビームユニットにおけるリフレクタの前方開口端が、前記外側ビームユニットを基準として、近い部分である第1部分と該第1部分よりも遠い部分である第2部分とに分けて構成され、
前記内側ビームユニットにおける第1部分が、該内側ビームユニットにおける第2部分よりも後方側に位置され、
前記外側ビームユニットにおけるリフレクタは、その内面に、前記内側ビームユニットにおける光源に基づく光のうち、前記第1部分の前方を横切る光が入射されるように配置され、
前記外側ビームユニットにおけるリフレクタに、前記内側ビームユニットにおける前記第1部分の前方開口端前方を横切る光が入射される領域において、該外側ビームユニットの主リフレクタ部に連続してサブリフレクタ部が備えられ、
前記サブリフレクタ部が、該サブリフレクタ部に対する前記入射光を前記外側ビームユニットにおける主リフレクタの焦点に向けて反射するように設定されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1において、
前記光源が、前記内側ビームユニットにだけ設けられている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具には、特許文献1に示すように、灯室内に、投射型ビームユニットとして、内側ビームユニットと該内側ビームユニットよりも横方向外方側に並設される外側ビームユニットとを、該外側ビームユニットを該内側ビームユニットよりも後方側にずらした状態で配置したものが提案されている。このものによれば、横方向内方側から横方向外方側に向かうに従って後方に向けて湾曲する灯室前面形状(前面カバー形状)に沿わせて、内側ビームユニットと外側ビームユニットとを配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記車両用灯具における各ビームユニットにおいては、投影レンズから出射される照射光が、前方に向うに従って横方向に拡がることになっており、その照射光のうちでも、内側ビームユニットに基づく横方向内側に広がる照射光に関しては、その照射光と車両用灯具における内側側壁部材(内側エクステンション等)とが干渉することを回避する必要がある。このため、内側ビームユニットは、その内側側壁部材から横方向外方に所定距離だけ離間されている。
また、内側ビームユニットと外側ビームユニットとは、互いに干渉することを避けるために横方向に一定距離離間しなければならず、この距離の確保も前照灯装置を製造するに際して受け入れなければならないものとなっている。このため、上記車両用灯具においては、その全体長さが横方向において比較的大きなものとならざるを得ない状況にある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、灯室内に、投射型ビームユニットとして、内側ビームユニットと該内側ビームユニットよりも横方向外方側に並設される外側ビームユニットとが、該外側ビームユニットを該内側ビームユニットよりも後方側にずらした状態で配置されている車両用灯具において、横方向における全体長さを短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
灯室内に、投射型ビームユニットとして、内側ビームユニットと該内側ビームユニットよりも横方向外方側に配置される外側ビームユニットとが、該外側ビームユニットを該内側ビームユニットよりも後方側にずらした状態で配置され、該内側ビームユニット及び該外側ビームユニットに、少なくとも、投影レンズと、入射光を該投影レンズに向けて反射するリフレクタと、が備えられている車両用灯具において、
少なくとも前記内側ビームユニットに、光源が、構成部品として設けられ、
前記内側ビームユニットにおけるリフレクタの前方開口端が、前記外側ビームユニットを基準として、近い部分である第1部分と該第1部分よりも遠い部分である第2部分とに分けて構成され、
前記内側ビームユニットにおける第1部分が、該内側ビームユニットにおける第2部分よりも後方側に位置され、
前記外側ビームユニットにおけるリフレクタは、その内面に、前記内側ビームユニットにおける光源に基づく光のうち、前記第1部分の前方を横切る光が入射されるように配置され、
前記外側ビームユニットにおけるリフレクタに、前記内側ビームユニットにおける前記第1部分の前方開口端前方を横切る光が入射される領域において、該外側ビームユニットの主リフレクタ部に連続してサブリフレクタ部が備えられ、
前記サブリフレクタ部が、該サブリフレクタ部に対する前記入射光を前記外側ビームユニットにおける主リフレクタの焦点に向けて反射するように設定されている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2記載の通りとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、内側ビームユニットにおける第1部分の前方開口端が、第2部分よりも後方側に位置されていることから、第1部分より前方に延びて存在していたこれまでのリフレクタ部分での光の反射がなくなる一方、第1部分における前方開口端内面付近でのリフレクタによる反射光(従前よりも後方に引っ込ませた反射点での反射光)が、投影レンズを通って横方向内方側に最も広がる照射光となり、その照射光に基づき照射光の横方向内方側への広がりを抑制できる。このため、内側ビームユニットと車両用灯具における内側側壁部材(内側エクステンション等)との間の距離を狭めることができる。
また、第1部分より横方向外方に広がりつつ前方に延びて存在していたこれまでのリフレクタ部分が存在しなくなり、内側ビームユニットと外側ビームユニットとの間の干渉しないための距離を狭めることができる。
したがって、灯室内に、投射型ビームユニットとして、内側ビームユニットと該内側ビームユニットよりも横方向外方側に並設される外側ビームユニットとが、該外側ビームユニットを該内側ビームユニットよりも後方側にずらした状態で配置されている車両用灯具において、横方向における全体長さを短縮することができる。
【0008】
また、外側ビームユニットにおけるリフレクタは、その内面に、内側ビームユニットにおける光源に基づく光のうち、第1部分における前方開口端の前方を横切る光が入射されるように配置されていることから、外側ビームユニット(の照射)において、従来、車両用灯具における内側側壁部材(内側エクステンション等)に干渉してしまっていた光(横方向内方側への光)を有効に利用できる。
【0009】
さらに、外側ビームユニットにおけるリフレクタに、内側ビームユニットにおける第1部分の前方開口端前方を横切る光が入射される領域において、外側ビームユニットの主リフレクタ部に連続してサブリフレクタ部が備えられ、サブリフレクタ部が、サブリフレクタ部に対する入射光を外側ビームユニットにおける主リフレクタの焦点に向けて反射するように設定されていることから、サブリフレクタからの反射光は、外側ビームユニットにおける主リフレクタ部の焦点ないしはその周辺部で反射されて主リフレクタ部に入射され、それが、その主リフレクタ部で反射されて、投影レンズを通って横方向内方側に最も広がる照射光となる。このため、この照射光に基づき照射光の横方向内方側への広がりを抑制(外側ビームユニットの光線と内側ビームユニットとの干渉を抑制)できることになり、内側ビームユニットにおける光(従来、車両用灯具における内側側壁部材(内側エクステンション等)に干渉してしまっていた光(横方向内方側への光))の有効利用を図りつつ、外側ビームユニットと内側ビームユニットとの間の間隔を狭めることができる(車両用灯具において、横方向における全体長さを短縮することができる)。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、光源が、内側ビームユニットにだけ設けられているにもかかわらず、その内側ビームユニットの光源を外側ビームユニットにおいて有効に利用して、あたかも外側ビームユニットにおいても独自の光源に基づく照射が行われているようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る車両用灯具としての左前照灯を示す正面図。
図2】第1実施形態に係る左前照灯(前照灯)を示す水平断面図。
図3】第1実施形態に係る左前照灯(前照灯)における内側ビームユニットを示す拡大縦断面図。
図4】第1実施形態を説明する作用説明図。
図5】第1実施形態に係る内側ビームユニットの作用を説明する説明図。
図6】第2実施形態を説明する作用説明図。
図7】第2実施形態に係る前照灯を示す平面図。
図8】第2実施形態に係る前照灯を斜め前方から示す斜視図。
図9】第2実施形態に係る前照灯を斜め後方から示す斜視図。
図10】第2実施形態において用いられる外側ビームユニットにおけるリフレクタの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1図3において、符号1Lは、第1実施形態に係る車両用灯具としての左前照灯を示す。この左前照灯1Lは、車両前部における車幅方向左側に配置されて、車幅方向右側に配置される車両用灯具としての右前照灯(図子略)と共に前方を照射する。この左前照灯1Lと右前照灯の構成は、車幅方向中央部を基準とした対称的な関係の下で同じ構成とされており、以下、左前照灯1Lについて説明し、右前照灯については、その説明を省略する。
【0013】
前記左前照灯1Lは、図1図2に示すように、その外観が、前方が開口されたランプボディ2と、そのランプボディ2の開口を覆う前面カバー3とにより形成されている。
【0014】
前記ランプボディ2は、図2に示すように、上下方向に起立する背壁部2aと、その背壁部2aの周縁部から前方に張り出す周壁部2bと、により構成されている。背壁部2aは、一定高さを維持しつつ横方向(図2中、左右方向)に延びており、その背壁部2aには、その横方向内側部分2aa(図2中、右側部分)とその横方向外側部分2ab(図1中、左側部分)との間において段差部2acが設けられ、背壁部2aの横方向外側部分2abが背壁部2aの横方向内側部分2aaよりも後方(図2中、下方)に引っ込んでいる。周壁部2bは、背壁部2aの横方向外側部分2abが横方向内側部分2aaに比して後退した位置に位置されていることに伴い、周壁部2bの横方向外側部分2bbが横方向内側部分2baよりも後方に引っ込んでいる。この周壁部2bは、背壁部2aと協働して収納空間4を区画しており、周壁部2bの先端部は、横長形状の開口5を区画している。
【0015】
前記前面カバー3は、図1図3に示すように、前記ランプボディ2の周壁部2b先端部に対して着脱可能に取付けられている。この前面カバー3は、ランプボディ2の開口5に対応して横長形状とされており、その前面カバー3の前面は、横方向内方側から横方向外方側に向かうに従って後方に傾斜ないし湾曲されている。これにより、前面カバー3とランプボディ2とは、横方向内方側から横方向外方側にかけて後方にシフトした灯室6を形成している。この前面カバー3は、透光性を有する材料をもって形成されており、その灯室6において発光する光は、前面カバー3を介して外部に照射される。
【0016】
前記灯室6内には、図2図3に示すように、板状の金属製支持部材(例えばアルミダイキャスト製品)7が配設されている。支持部材7は、ランプボディ2の背壁部2aにエイミングスクリュ8a、エイミングピボット8b等を介して支持されており、その支持部材7の板面は、前後方向を向きつつ、背壁部2aから前方側に離間された状態で配置されている。支持部材7には、該支持部材7を階段状に折り曲げることにより、第1段部9、第2段部10が形成されており、その第1段部9、第2段部10は、横方向外側に向けて順次、後方にやや後退しつつ並んでいる(図2参照)。第1段部9及び第2段部10は、その各後面7a(図1中、上面)が、平坦面とされた状態で後方に向けられており、その各後面7aには、熱を放熱するための放熱フィン12がそれぞれ取付けられている。
【0017】
図2図3に示すように、前記第1段部9の前面7bには、投射型ビームユニットとしての内側ビームユニット(ロービームユニット)LUiが取付けられ(固定され)、前記第2段部10の前面7bには、投射型ビームユニットとしての外側ビームユニット(ロービームユニット)LUoが取付けられ(固定され)ている。このため、内側ビームユニットLUiと外側ビームユニットLUoとは、横方向に並びつつ、外側ビームユニットLUoが内側ビームユニットLUiよりも後方側にずれた状態で配置されている。この内側ビームユニットLUi及び外側ビームユニットLUoは、ランプボディ2内において、内側エクステンション23と外側エクステンション24との間に配置されており、内側エクステンション23は、投影レンズ16iの内側側方位置からその投影レンズ16iの前方に向けて延びている。尚、図1においては、内側ビームユニットLUi、外側ビームユニットLUoの前方に前面カバー3が存在するが、見易くするために便宜上、これらユニットLUi,LUoについては、実線をもって描かれている。
【0018】
前記内側ビームユニットLUiは、図2図3に示すように、車両前後方向に延びる光軸L上に配置された投影レンズ16iと、その投影レンズ16iの後方焦点よりも後方において配置された光源としての発光素子(LED)17iと、その発光素子17iからの光を投影レンズ16iに向けて反射するリフレクタ18iと、そのリフレクタ18iの下方側において、レンズホルダ20に端縁として形成されてリフレクタ18iからの反射光の一部を遮光する遮光シェード19iと、を備える構成とされている。これにより、内側ビームユニットLUiは、基本的に、ロービーム照射に基づき前方(例えば25m前方に配置された仮想鉛直スクリーン上)にロービーム配光パターンを形成する。
尚、レンズホルダ20の上記端縁(遮光シェード19i)に至るまでの上面は、鏡面21とされている。
【0019】
前記リフレクタ18iは、図2図4に示すように、前方が開口された略ドーム形状に形成されている。このため、リフレクタ18iの前方開口は、前記遮光シェード19iの鏡面21と協働して略半楕円形状に形成され、その内部の断面開口も、その形状を維持しつつ、後方に向うに従って縮径されている。
このリフレクタ18iの前方開口端22iは、外側ビームユニットLUoを基準として、近い部分である第1部分(平面視において光軸Lよりも外側ビームユニットLUoに近い部分)22i−1が該第1部分22i−1よりも遠い部分である第2部分(平面視において光軸Lよりも外側ビームユニットLUoに遠い部分)22i−2に対して異なった構成とされている。リフレクタ18iの前部が、第1部分22i−1側(具体的には、平面視において、光軸Lよりもやや外側ビームユニットLUo側に離れた位置から該外側ビームユニットLUo側に近づく部分)において、下方に向かうに従ってその第1部分22i−1から後方に向けて延びるように切欠かれた状態となっており(切欠かれた部分を二点差線をもって示す)、これに伴い、リフレクタ18iにおける第1部分22i−1(前方開口端22i)は、下方に向うに従って後方に引っ込んで、その切欠かれた状態の部分において、内側ビームユニットLUiにおける第2部分22i−2よりも後方側に位置され、その第1部分22i−1のうちの最も後方側に引っ込んでいる部分は、前記発光素子17iよりも後方に位置されている。
これにより、図2に示すように、リフレクタ18i前部における第1部分22i−1側が切欠かれていない状態(従前の場合:図2中、仮想線参照)においては、その状態の前方開口端22i付近内面での反射光に基づく投影レンズ16iからの照射光Lii’が横方向内方側に広がって内側エクステンション23に干渉することになるが、本実施形態においては、そのような照射光Lii’が生じなくなる一方、リフレクタ18iにおける第1部分側22i−1を切欠いた状態にされたときの前方開口端22i付近内面での反射光に基づく投影レンズ16iからの照射光Liiを得て、光軸Lに対する照射光Liiの傾斜を、従前の場合(リフレクタにおける第1部分22i−1側が切欠かれていない状態での前方開口端22i付近内面での反射光に基づく投影レンズ16iからの照射光Lii’の場合)よりも光軸L側に近づける(小さくする)ことができる。このため、従前において、内側ビームユニットLUiを内側エクステンション23よりも所定間隔だけ車幅方向外方に離す必要があったが、本実施形態においては、光軸Lに対する照射光Liiの傾斜が小さくなった分、内側ビームユニットLUiが内側エクステンション23に近づけられている。
【0020】
前記外側ビームユニットLUoは、図2図4図5に示すように、基本的に前記内側ビームユニットLUiと同じ構成とするべく、車両前後方向に延びる光軸L上に配置された投影レンズ16oと、入射光を投影レンズ16oに向けて反射するドーム状のリフレクタ18oと、そのリフレクタ18oからの反射光の一部を遮光する遮光シェード19oと、が備えられている。しかし、本実施形態においては、外側ビームユニットLUoには、光源としての発光素子(LED)が設けられておらず、リフレクタ18oは、その前方開口端22oが、内側ビームユニットLUiにおけるリフレクタ18i同様、内側ビームユニットLUiを基準として、近い部分である第1部分22o−1に対して該第1部分22o−1よりも遠い部分である第2部分22o−2が異なった構成とされている。
【0021】
具体的には、リフレクタ18oは、前記内側ビームユニットLUiのリフレクタ同様、略ドーム形状に形成されているが、外側ビームユニットLUoにおける第2部分22o−2側のリフレクタ18o内面には、外側ビームユニットLUoと内側ビームユニットLUiとの前後方向にずれた配置関係等に基づき、内側ビームユニットLUiにおける第1部分22i−1前方を横切る光Licが入射されることになっており、その領域にサブリフレクタ部18os(サブリフレクタ部18osに相当する個所における従前の構成を仮想線で示す)が備えられている。サブリフレクタ部18osは、リフレクタ18oにおいて、そのサブリフレクタ部18os以外の主リフレクタ部18omに連続して形成されており、そのサブリフレクタ部18osの内面は、図5に示すように、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iの位置Pi1と、外側ビームユニットLUoにおける主リフレクタ部18omの焦点位置Po1を、第1、第2焦点とする楕円(図5中、破線参照)の一部を構成するようにして形成されている。このため、サブリフレクタ部18osに対して前記入射光(内側ビームユニットLUiにおける第1部分22i−1の前方を横切る光が入射光)Licが入射されたときには、その入射光Licは、外側ビームユニットLUoにおける主リフレクタ部分18omの焦点(発光素子位置)Po1又はその周辺部に向けて反射され、それが、遮光シェード19oの鏡面21で反射されて主リフレクタ部18omに入射され、その入射光は、投影レンズ16oを通って照射光Loiとして外部に出射される(図4図5参照)。このため、その照射光Loiを、あたかも外側ビームユニットLUoに存在する発光素子に基づく光によって出射されているようにすることができる(図5中、Po1点での四角状の破線は、存在しない仮想上の発光素子を示す)。
【0022】
この場合、この外側ビームユニットLUoから出射される照射光Loiのうち、サイドリフレクタ部18osの先端部内面付近で反射された反射光に基づくものが、図5に示すように、横方向内方側に最も広がる照射光Loi1となり、その照射光Loi1は、車幅方向略中央から車幅方向外側に向けて傾斜される。
すなわち、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oにサブリフレクタ部18osを備えた場合には、投影レンズ16oを通って出射される照射光Loiは、横方向内方側への広がりが抑制(外側ビームユニットLUoの光線と内側ビームユニットLUiとの干渉が抑制)されたものとなり、これに基づき、内側ビームユニットLUiにおける光(従来、内側エクステンション23等に干渉してしまっていた光)の有効利用を図りつつ、外側ビームユニットLUoと内側ビームユニットLUiとの間の間隔が狭めたものとされている。
【0023】
したがって、上記左前照灯1Lにおいては、内側ビームユニットLUiにおける第1部分22i−1(前方開口端)が、第2部分22i−2(前方開口端)よりも後方側に位置されていることから、その第1部分22i−1より前方に延びて存在していたこれまでのリフレクタ部分での光の反射がなくなる一方、第1部分22i−1における内面付近でのリフレクタ18iによる反射光(従前よりも後方に引っ込ませた反射点での反射光)が、投影レンズ16iを通って横方向内方側に最も広がる照射光Liiとなり、その照射光Liiに基づき照射光の横方向内方側への広がりを抑制できる(図2参照)。このため、内側ビームユニットLUiと内側エクステンション23等との間の距離を狭めることができる。またこの場合、第1部分22i−1において、横方向外方に広がりつつ前方に延びて存在していたこれまでのリフレクタ部分が存在しなくなり、内側ビームユニットLUiと外側ビームユニットLUoとの間の干渉しないための距離を狭めることができる(図2図5参照)。
【0024】
しかも本実施形態においては、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oに、内側ビームユニットLUiにおける第1部分22i−1の前方を横切る光が入射される領域において、外側ビームユニットLUoの主リフレクタ部18omに連続してサブリフレクタ部18osが備えられ、そのサブリフレクタ部18osが、入射光Licを外側ビームユニットLUoにおける主リフレクタ部18omの焦点Po1に向けて反射するように設定されていることから、サブリフレクタ部18osからの反射光は、外側ビームユニットLUoにおける主リフレクタ部18omの焦点Po1ないしはその周辺部で反射されて主リフレクタ部18omに入射され、それが、その主リフレクタ部18omで反射された後、投影レンズ16oを通って横方向内方側に広がる照射光Loiとなる。このため、この照射光Loiの横方向内方側への広がりを抑制(外側ビームユニットLUoの光線と内側ビームユニットLUiとの干渉を抑制)できることになり、外側ビームユニットLUoと内側ビームユニットLUiとの間の間隔を狭めることができる。このように本実施形態においては、種々の観点から、前照灯としての左前照灯1lにおける横方向全体長さを短縮することができる。
【0025】
この場合、従来、内側エクステンション23等に干渉してしまっていた光(横方向内方側への光))が外側ビームユニットLUoに入射されて、それが、外側ビームユニットLUoから照射光として出射される。このため、内側ビームユニットLUiの光の有効利用を図ることができるだけでなく、その外側ビームユニットLUoからの照射光Loiをもって、外側ビームユニットLUoにも発光素子が存在しているかのように構成することができる。
【0026】
図6図9は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図6図9に示す第2実施形態は、外側ビームユニットLUoに発光素子(光源)を設けなくても、内側ビームユニットLUiにおける発光素子(光源)17iを利用して、その光を外側ビームユニットLUoからも照射できるようにしたものを示している。
この第2実施形態においては、内側ビームユニットLUiにおいて、リフレクタ18iと投影レンズ16iとの間に補助リフレクタ25が設けられている。この補助リフレクタ25は、リフレクタ18i及び投影レンズ16iよりも高い位置に配置され、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iに基づく光が、リフレクタ18i、遮光シェード19iを経て投影レンズ16iに入ることが補助リフレクタ25により阻害されないようにされている。その一方、その補助リフレクタ25にも、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iに基づく光が入射されるように設定されており、その入射光は補助リフレクタ25により反射されることになっている。このため、リフレクタ18iの前方開口端22iの上部分は、補助リフレクタ25に発光素子17iの光を入射すべく、後方に引っ込んだ形状とされている。
【0028】
前記補助リフレクタ25からの反射光領域には、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oが配置されている。補助リフレクタ25からの反射光は、本実施形態においては、補助リフレクタ25から斜め下方に向けて反射されて、外側ビームユニットLUoに隣接する側であって内側ビームユニットLUiにおけるリフレクタ18iの後方側に導かれることになっており、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oは、それを反射することになっている。
【0029】
前記外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oからの反射光領域には、遮光シェード19oを経て、投影レンズ16oが存在し、その反射光は、投影レンズ16oを通って照射光として出射されることになっている。
【0030】
本実施形態においては、補助リフレクタ25において、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iからの入射光が反射されるが、その反射光は、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oに入射される手前において、一旦、集光(1回反射後の仮想光源像)される。また、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oに入射される補助リフレクタ25からの反射光は、上述の通り、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oにより反射されて投影レンズ16oに向けて反射されるが、その反射光も一旦、集光される。この場合、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iの位置をPi1,補助リフレクタ25からの反射光の集光点をP2,外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oからの反射光の集光点をPo1とすると、補助リフレクタ25の内面は、上記Pi1,P2を第1、第2焦点とする楕円の一部を構成するように設定され、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oの内面は、上記P2,Po1を第1、第2焦点とする楕円の一部を構成するように設定されている。これにより、内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iからの光は、外側ビームユニットLUoにおける投影レンズ16oを経て照射光として出射できることになる。
【0031】
したがって、この第2実施形態においては、内側ビームユニットLUiは、その発光素子17iからの光を、自らの遮光シェード19i、投影レンズ16iを経て外部に照射光として出射できるだけでなく、その内側ビームユニットLUiにおける発光素子17iからの光を、補助リフレクタ25を利用して、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oに入射し、その反射光を外側ビームユニットLUoにおける投影レンズ16oから出射される照射光とすることができる。このため、内側ビームユニットLUiにだけ発光素子17iが存在して、外側ビームユニットLUoに発光素子が存在しないにもかかわらず、あたかも外側ビームユニットLUoに発光素子が存在しているかのようにして、外側ビームユニットLUoからも照射光を照射することができる。これにより、左前照灯1L(前照灯)を、見栄えを維持しつつ、安価に製造できることになる。
【0032】
第2実施形態においては、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oの内面を、上述の通り、P2,Po1を第1、第2焦点位置とする楕円の一部を構成するように形成したが、そのリフレクタ18o内面を、図10に示すように、放物面に近い形状としてもよい。
【0033】
以上、実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)第1実施形態において、外側ビームユニットLUoの主リフレクタ部18omの焦点位置(レンズホルダの鏡面上)に発光素子を設けること。
(2)第2実施形態において、外側ビームユニットLUoにおけるリフレクタ18oの光軸を加えることによって、ロービームを補ったり、オーバヘッドサインに使うこと。
【符号の説明】
【0034】
1L 左前照灯(車両用灯具)
6 灯室
16i,16o 投影レンズ
17i 発光素子
18i,18o リフレクタ
18os サブリフレクタ部
22i,22o 前方開口端
22i−1 内側ビームユニットにおける第1部分(前方開口端)
22i−2 内側ビームユニットにおける第2部分(前方開口端)
22o−1 外側ビームユニットにおける第1部分(前方開口端)
22o−2 外側ビームユニットにおける第2部分(前方開口端)
LUi 内側ビームユニット
LUo 外側ビームユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10