(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池100は、ケース1と、電極組立体60と、電極端子(負極端子19および正極端子119)と、電流遮断装置2とを備えている。リチウムイオン二次電池100は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載されて、モータに電力を供給する。また、リチウムイオン二次電池100は、モータが回生発電した電力によって充電される。
【0013】
ケース1は、矩形箱状の本体部分62と、本体部分62を閉塞する矩形平板状の蓋部分63とを備えている。本体部分62及び蓋部分63は、金属製(例えば、ステンレス、アルミニウム等)である。以下の説明では、本体部分62及び蓋部分63を、単にケース1と称することがある。ケース1の内部には、正極電極及び負極電極を備える電極組立体60が収容されている。ケース1と電極組立体60は、絶縁シート61によって絶縁されている。正極集電タブ65が正極電極に固定されている。負極集電タブ67が負極電極に固定されている。また、ケース1の内部には、電解液が収容されている。
【0014】
電解液としては、非水系の溶媒に支持塩(電解質)を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水系の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステルを含んでいる溶媒、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの溶媒、又はこれらの混合液を使用することができる。また、支持塩(電解質)として、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6等を使用することができる。
【0015】
電極端子(負極端子19及び正極端子119)は、ケース1(蓋部分63)に固定されている。図示は省略するが、負極端子19とケース1、及び正極端子119とケース1との間は、絶縁シート等により絶縁されている。負極端子19は、電流遮断装置2,負極リード68を介して、負極集電タブ67(負極電極)に電気的に接続している。電流遮断装置2の詳細は後述する。なお、電流遮断装置2と負極リード68は、導電性を有する接続部材13によって接続されている。正極端子119は、正極リード64を介して正極集電タブ65(正極電極)に電気的に接続している。負極リード68及び正極リード64は、ケース1(蓋部分63)に取り付けられている絶縁シート66によって、ケース1と絶縁されている。
【0016】
図2及び
図3を参照し、電流遮断装置2について説明する。電流遮断装置2は、ケース1内部に収容されている。電流遮断装置2は、電極組立体60と電極端子(負極端子19)との間に配置されている。電流遮断装置2の構造を、ケース1の内部(
図2及び
図3の下方)からケース1の外側(
図2及び
図3の上方)に向けて順に説明する。電流遮断装置2は、変形板3と、通電板4と、接点板5と、封口蓋体7とを備えている。
【0017】
変形板3は、金属製の薄板により形成されている。変形板3は、断面視において1層構造になっている。変形板3は、受圧面22を備えている。受圧面22は、ケース1の内部を向いている。受圧面22は、ケース1の内部に収容された電解液に面している。受圧面22は、ケース1内の空間に露出しており、ケース1内の内圧を受圧する。
【0018】
変形板3はダイアフラムである。変形板3は変形可能に形成されている。変形板3は、導通時には下に凸の状態であり、非導通時には上に凸の状態になる。変形板3は、ケース1内の内圧を受けることにより、下に凸の状態から上に凸の状態に変形する。変形板3は、ケース1内の圧力が閾値を超えて上昇したときに変形する。
【0019】
変形板3の外周部は、絶縁性の支持部材11によって固定されている。また、変形板3の外周部は、通電板4の外周部に溶接で固着されている。すなわち、変形板3の外周部は溶接処理されている。変形板3と通電板4を溶接することにより、変形板3と通電板4の間の空間を気密に保つことができる。変形板3と通電板4を溶接するために、変形板3は、溶接可能な金属材料で形成されている。
【0020】
受圧面22を含む変形板3は、スズ(Sn)および亜鉛(Zn)を含有する銅合金により形成されている。変形板3を形成する銅合金におけるスズ(Sn)の含有率は7.0wt%(重量%)以下であることが好ましく、4.5wt%以上かつ7.0wt%以下であることが更に好ましい。亜鉛(Zn)を含有する銅合金としては、例えば黄銅(真鍮)、洋白、丹銅、快削黄銅、鍛造用黄銅などを用いることができ、より好ましくは、洋白または丹銅を用いることができる。変形板3の銅合金における亜鉛(Zn)の含有率は特に限定されるものではないが、26.0wt%以下であることが好ましい。
【0021】
変形板3は、電流遮断装置2の外側部分に配置され、電流遮断装置2の外面を形成している。変形板3によって、通電板4と接点板5が、電解液が存在する雰囲気から遮断されている。また、変形板3は、ガスの流通を阻止する。変形板3の中央部には、接点板5の側に向けて突出する絶縁性の突起12が設けられている。突起12の形状は、例えば筒状である。突起12は当接部24を備えている。
【0022】
通電板4は接続部材13を備えている。通電板4は、接続部材13を介して電極組立体60と電気的に接続されている。接続部材13は、通電板4の外周の一部に設けられている。接続部材13は、負極リード68と電気的に接続される。通電板4の接続部材13が設けられていない外周部は、絶縁性の支持部材11によって支持されている。通電板4の外周部は変形板3に固定された状態で、支持部材11に保持されている。
【0023】
通電板4には第1接点部6が形成されている。第1接点部6は、通電板4が接点板5と接する部分である。通電板4の中央部15は、通電板4の他の部分と比較して、厚みが薄い。すなわち、通電板4の変形板3側の中央に、窪みが設けられている。変形板3の突起12の当接部24が、通電板4の薄い部分(中央部15)に接する。すなわち、当接部24は、通電板4の第1接点部6に接する。通電板4には、破断溝16が設けられている。破断溝16は、通電板4の変形板3が接触する部分の周囲に形成されている。通電板4の破断溝16が設けられる部分が破断することにより、第1接点部6は、通電板4から分離可能である。第1接点部6が破断溝16よりも通電板4の中央側に形成されている。破断溝16は、当接部24が当接する部分の周囲に設けられている。そのため、当接部24が第1接点部6に接したときに、その衝撃によって、通電板4が破断されやすい。破断溝16は、平面視したときに、当接部24の外周よりも外側に設けられている。
【0024】
接点板5は、金属製の薄板により形成されている。接点板5は、ダイアフラムである。接点板5は、変形可能に形成されている。接点板5は、導通時には下に凸の状態になる。接点板5は、非導通時には上に凸の状態になる。接点板5は、突起12に押圧されることにより、下に凸の状態から上に凸の状態に変形する。接点板5の外周部は、絶縁性の支持部材11で固定されている。接点板5には第2接点部23が形成されている。第2接点部23は、接点板5が通電板4と接する部分である。接点板5の中央部は、通電板4と接する第2接点部23を構成している。第2接点部23は第1接点部6と接触している。なお、接点部6、23は、単に、通電板4の中央部と接点板5の中央部が接触した状態であってもよい。あるいは、接点部6、23は、通電板4の中央部と接点板5の中央部を溶接等で固着することにより接触していてもよい。
【0025】
接点板5の外周部と通電板4の外周部との間に絶縁性のシール部材17が配置されている。そのため、接点板5の外周部と通電板4の外周部は、電気的に絶縁されている。シール部材17は、接点板5と通電板4との間をシールし、かつ接点板5と通電板4との間の空間と支持部材11との間をシールする。
【0026】
封口蓋体7は導電性を有している。封口蓋体7は、接点板5の上方(負極端子19側)に設けられている。封口蓋体7の雌ネジ部8は、ケース1に固定された負極端子19の雄ネジ部9とネジ結合されている。シール部材10が、封口蓋体7の上面とケース1の内面との間に装着されている。封口蓋体7とケース1は、シール部材10によって電気的に絶縁されている。
【0027】
封口蓋体7の外周部は、絶縁性の支持部材11で支持されている。封口蓋体7の外周部は、接点板5と接触しており、接点板5と電気的に導通している。封口蓋体7には凹部18が形成されている。凹部18は封口蓋体7の内面(接点板5側の面)に形成されている。凹部18は、上方(接点板5から離れる側)に窪んでいる。すなわち、封口蓋体7の中央部が、封口蓋体7の外周部(接点板5と接触している部分)よりも上方に窪んでいる。変形板3の突起12が通電板4に接触すると、接点板5が上方に変形する。凹部18は、接点板5を上方に変形させるための空間である。
【0028】
支持部材11は、絶縁性を有している。支持部材11は例えば樹脂モールドで成形されている。支持部材11を平面視するとリング状である。支持部材11の断面は略U字状である。この略U字状の部分に、変形板3の外周部、通電板4の外周部、接点板5の外周部、絶縁性のシール部材17、及び封口蓋体7の外周部が位置している。また、略U字状の部分によって、変形板3、通電板4、接点板5、シール部材17、及び封口蓋体7が、一体的に保持されている。支持部材11の外面には、金属製のカシメ部材20が被覆されている。カシメ部材20によって、上記部材の保持が確実に行われる。また、カシメ部材20によって、電流遮断装置2の内部が密封されている。
【0029】
上記の構成を備えるリチウムイオン二次電池100では
図2に示すように、矢印21で示す通電経路が形成される。矢印21は、電極組立体60と負極端子19とを接続する通電経路を示している。上記したように、通電板4の接続部材13が、ケース1の内部に配置された電極組立体60(
図1を参照)と電気的に接続されている。通電板4の中央部に、接点板5と接触する第1接点部6が設けられている。また、接点板5の中央部に、通電板4と接触する第2接点部23が設けられている。さらに、接点板5の外周部が、封口蓋体7と電気的に接続されている。これにより、電極組立体60から負極端子19に至る直列な通電経路が形成されている。電流遮断装置2は、通電経路上に配置されている。
【0030】
また、上記の構成を備えるリチウムイオン二次電池100では、電流遮断装置2が電極組立体60と負極端子19とを電気的に接続する。また、電流遮断装置2は、電極組立体60が収容されているケース1の内部とケース1の外部とのガスの流通を阻止する。ケース1の内部(電流遮断装置2の外部)のガスが電流遮断装置2の内部に流通しないようにシールされている。電流遮断装置2は、ケース1内の内圧が所定レベルを超えて上昇したときに、電極組立体60と負極端子19との直列な通電経路を遮断する。
【0031】
ケース1の内圧が所定レベルを超えて上昇すると、変形板3がケース1の内圧の上昇によってケース1の外方(上方)に向けて変形する。突起12の当接部24が第1接点部6に接触し、通電板4及び接点板5の接点部6、23に衝撃を与える。その結果、第1接点部6及び第2接点部23が、通電板4から分離する。変形板3は、ケース1の内圧の上昇によってケース1の外方に向けて変形するときに、変形板3の外周部の支持点を超えて変形し、反転する。電流遮断装置2を組み立てるとき、又はケース1の内圧が通常(所定レベル以下)のときは、変形板3は、ケース1の内方(下方)に凸の状態を保っている。変形板3が反転することにより、変形板3が変形するときの変位量(ストローク)を十分に確保することができる。
【0032】
上記した「所定レベルの内圧」とは、リチウムイオン二次電池100が過充電(過電圧)状態になるときや、リチウムイオン二次電池100が過昇温状態(活物質の熱暴走温度)になるときのケース1内の内圧を意味する。「所定レベルの内圧」は、リチウムイオン二次電池100の容量,出力電圧等の条件により設定される。
【0033】
例えばリチウムイオン二次電池100が過充電されると、密閉されたケース1の内部でガスが発生し、ケース1の内圧が上昇する。この場合、
図3に示すように、ケース1の内圧が変形板3に作用し、変形板3が上方に変形(反転)する。変形板3が上方に変形すると、突起12が通電板4にぶつかり、通電板4が破断溝16を起点として破断される。通電板4の第1接点部6と接点板5の第2接点部23とが、通電板4から分離される。接点板5は、反転状態、あるいは、通電板4と接合される前の状態となる。その結果、通電経路21が破断され、電流が遮断される。すなわち、負極端子19と電極組立体60との導通が遮断される。換言すると、リチウムイオン二次電池100の電流の流れが遮断される。
【0034】
通電経路21が破断した後は、突起12によって、通電板4と接点板5が再接触することが防止される。なお、変形板3は、外周部が支持部材11に固定されている以外に、他の部品と接触していない。そのため、変形板3は、ケース1の内部圧力によって安定して作動する。また、変形板3に設けられた突起12が通電板4にぶつかるときに、通電板4に衝撃力が加わる。そのため、接点部6、23の破断荷重がばらついていても、破断荷重のばらつきを補うことができる。電流遮断装置2が駆動するときのケース1の内圧、すなわち、電流を遮断するときのケース1の内圧を安定させることができる。
【0035】
上述のように、ケース1の内圧が上昇して変形板3が上方に変形したときに接点部6、23に衝撃が加わり接点部6、23が通電板4から分離される。また、通電経路が破断された後に接点板5と通電板4とが電気的に絶縁された状態が維持される。
【0036】
上述の説明から明らかなように、上述の構成を備えるリチウムイオン二次電池100では変形板3の受圧面22がスズを含有する銅合金により形成されており、銅合金におけるスズの含有率が7.0wt%以下である。これにより、後述するようにリチウムに対する受圧面22の脆化耐性を高めることができる。
【0037】
また、変形板3の銅合金におけるスズの含有率が4.5wt%以上であると、変形板3を溶接処理したときに溶接性を高めることができる。
【0038】
以上、一実施形態について説明したが、具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
[第2実施形態]
上記実施形態では変形板3は断面視において1層構造であったが、この構成に限定されるものではない。他の実施形態では、
図4に示すように、変形板3は断面視において2層構造になっている。変形板3は、第1層31と、第1層31に積層された第2層32とを備えている。
【0040】
第1層31は受圧面22を有している。第1層31はケース1の内部を向いている。第1層31は電流遮断装置2の外部を向いている。第1層31は電解液側に形成されている。第1層31は電解液に面している。
【0041】
第2層32は第1層31の受圧面22と反対側に積層されている。第2層32は電流遮断装置2の内部を向いている。第2層32は通電板4側に形成されている。第2層32は通電板4に面している。第2層32に突起12が設けられている。
【0042】
受圧面22を含む第1層31は、第2層32の材料よりもリチウム(Li)と合金化しにくい材料により形成されている。第1層31に用いるリチウム(Li)と合金化しにくい材料としては、例えば、純銅、ニッケル、樹脂などが挙げられる。また、第1層31に用いるリチウム(Li)と合金化しにくい材料としては、スズ(Sn)を含有する銅合金が挙げられる。本実施形態では、第1層31は、スズ(Sn)を含有する銅合金により形成されている。第1層31に用いる銅合金は、上述の第1実施形態で説明した変形板3に用いる銅合金と同様である。すなわち、第1層31の銅合金におけるスズ(Sn)の含有率は7.0wt%(重量%)以下であることが好ましく、4.5wt%以上かつ7.0wt%以下であることが更に好ましい。
【0043】
一方、第2層32は、第1層31の材料よりも溶接性の高い金属により形成されている。例えば、銅合金におけるスズ(Sn)の含有率が7.0wt%より多い材料により形成されている。しかし、スズ(Sn)の含有率が7.0wt%より多いと、リチウム(Li)と合金化しやすくなる。
【0044】
このような構成によれば、変形板3の第1層31がスズを含有する銅合金により形成されており、銅合金におけるスズの含有率が7.0wt%以下である。これにより、第1層31がリチウムと合金化しにくく、電解液に対する脆化耐性を高めることができる。その一方、第2層32には電解液に対する脆化耐性が不要となるため、変形板3に所望の機械的特性を付与することができる。すなわち、電流遮断装置2では、変形板3が変形することで、変形板3の突起12が通電板4に衝突し、通電板4を破断溝16で破断する。このため、変形板3には通電板4を破断するための機械的特性が求められる。本実施形態では、2層構造の変形板3を用いることで、変形板3に求められる機械的特性と化学的特性(電解液に対する脆化耐性)の両者を容易に実現することができる。
【0045】
[実施例]
以下、実施例及び比較例を用いた試験に基づいて本明細書に開示する技術について更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
[脆化耐性の評価試験]
脆化耐性の評価試験では、評価極及び対極を備えるリチウムイオン二次電池を用いた。評価極として実施例1〜8及び比較例1を用いた。実施例1〜8及び比較例1は、スズ(Sn)を含有する銅合金である。評価極に用いた実施例1〜8及び比較例1に係る銅合金におけるスズ(Sn)の含有率を表1に示す。また、対極として金属リチウム箔を用いた。対極の厚さは500μmとした。
【0047】
直径11mmの評価極、直径13mmの対極、およびセパレータを用いて電極体電池を作製した。評価極と対極の間にセパレータを配置した。セパレータとして、ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター、および、Celgard社製Celgard2400を用いた。
【0048】
評価極、対極、およびセパレータを備える電極体電池を電池ケースに収容した。電池ケースとして、宝泉株式会社製CR2032型コイン電池用部材を用いた。また、電池ケース内に電解液を注入した。電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)を1Mの濃度で溶解した非水電解液を用いた。電解液を注入した電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池を得た。
【0049】
上記のリチウムイオン二次電池を用いて、温度25℃、電流0.2mAの条件下において1Vまで充電し、10分間休止した後、電流0.2mAの条件下において0.01Vまで放電し、10分間休止するサイクルを行った。このサイクルを50サイクル繰り返すことによりサイクル試験を行った。実施例1〜8及び比較例1の評価極を用いてそれぞれサイクル試験を行った。
【0050】
実施例1〜8及び比較例1の評価極の脆化耐性を評価した。脆化耐性の評価では、サイクル試験後の評価極を180°折り曲げる試験を行った。評価極を180°折り曲げたときに評価極に割れが生じない場合を合格「○」とした。一方、評価極を180°折り曲げたときに評価極に割れが生じた場合を不合格「×」とした。脆化耐性の評価結果を表1に示す。また、実施例1〜8及び比較例1に係る評価極の写真を
図5に示す。
【0051】
表1及び
図5に示すように、銅合金におけるスズ(Sn)の含有率が7.0wt%以下である場合には、評価極に割れが生じなかった。これにより、銅合金におけるスズ(Sn)の含有率が7.0wt%以下である場合には電解液に対して脆化耐性を有することが確認できた。
【表1】
【0052】
[溶接性の評価試験]
溶接性の評価試験では、第1実施形態の構成を備えるリチウムイオン二次電池を用いた。リチウムイオン二次電池における電流遮断装置の変形板の外周部と通電板の外周部とを溶接した。実施例1〜8及び比較例1に係る変形板を用いた。変形板はスズ(Sn)を含有する銅合金により形成されている。実施例1〜8及び比較例1に係る変形板の銅合金におけるスズ(Sn)の含有率を表2に示す。
【0053】
上記のリチウムイオン二次電池を用いて、変形板の外周部と通電板の外周部とを溶接した状態で、変形板と通電板の間にヘリウムガスを注入してヘリウムリーク試験を行った。
【0054】
実施例1〜8及び比較例1の変形板の溶接性を評価した。溶接性の評価では、ヘリウムガスを注入したときに変形板の外周部からヘリウムガスがリークしない場合を合格「○」とした。一方、ヘリウムガスを注入したときに変形板の外周部からヘリウムガスがリークした場合を不合格「×」とした。溶接性の評価結果を表2に示す。
【0055】
表2に示すように、銅合金におけるスズ(Sn)の含有率が4.5wt%以上である場合には、ヘリウムガスがリークしなかった。これにより、銅合金におけるスズ(Sn)の含有率が4.5wt%以上である場合には変形板が確実に溶接されていることが確認できた。
【表2】
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。