(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6211981
(24)【登録日】2017年9月22日
(45)【発行日】2017年10月11日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機のリモートコントローラ
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20060101AFI20171002BHJP
F24H 9/20 20060101ALI20171002BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20171002BHJP
【FI】
F24H1/18 301A
F24H9/20 E
G09F9/302 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-77908(P2014-77908)
(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公開番号】特開2015-200429(P2015-200429A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】村山 成樹
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−214645(JP,A)
【文献】
特開2001−059646(JP,A)
【文献】
特開2002−039624(JP,A)
【文献】
特開平07−019902(JP,A)
【文献】
特開2007−285648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 9/20
G09F 9/302
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下横セグメントと、中横セグメントと、上横セグメントと、左上縦セグメントと、左下縦セグメントと、右上縦セグメントと、右下縦セグメントとを8の字状に配すると共に、前記下横セグメントと前記中横セグメントの間の下中横セグメントと、前記上横セグメントと前記中横セグメントの間の上中横セグメントとを有した9セグメント表示部を備え、前記下横セグメントと、前記中横セグメントと、前記上横セグメントと、前記左上縦セグメントと、前記左下縦セグメントと、前記右上縦セグメントと、前記右下縦セグメントとで給湯温度の指標を数字で表示可能とし、前記下横セグメントと、前記中横セグメントと、前記上横セグメントと、前記下中横セグメントと、前記上中横セグメントとで給湯用の湯水を貯湯する貯湯タンク内の残湯量とを表示可能とし、操作部の操作に応じて、前記9セグメント表示部の表示内容を給湯温度の指標と残湯量とで切り替えて表示することを特徴とする貯湯式給湯機のリモートコントローラ。
【請求項2】
所定の時間間隔で前記9セグメント表示部の表示内容を給湯温度の指標と残湯量とで切り替えて表示することを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機のリモートコントローラ。
【請求項3】
前記貯湯タンク内の残湯量が少ない場合は、前記9セグメント表示部の表示内容を残湯量とすることを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯機のリモートコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給湯用の湯水を貯湯する貯湯タンクを備えた貯湯式給湯機のリモートコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯機のリモートコントローラでは、7セグメント表示部で給湯温度を表示し、貯湯タンク内の残湯量は7セグとは別の専用に設けられた固定キャラクタのバー表示部で表示していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−214645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、表示部が複数必要となるため高コストとなるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、下横セグメントと、中横セグメントと、上横セグメントと、左上縦セグメントと、左下縦セグメントと、右上縦セグメントと、右下縦セグメントとを8の字状に配すると共に、前記下横セグメントと前記中横セグメントの間の下中横セグメントと、前記上横セグメントと前記中横セグメントの間の上中横セグメントとを有した9セグメント表示部を備え、前記下横セグメントと、前記中横セグメントと、前記上横セグメントと、前記左上縦セグメントと、前記左下縦セグメントと、前記右上縦セグメントと、前記右下縦セグメントとで給湯温度の指標を数字で表示可能とし、前記下横セグメントと、前記中横セグメントと、前記上横セグメントと、前記下中横セグメントと、前記上中横セグメントとで給湯用の湯水を貯湯する貯湯タンク内の残湯量とを表示可能とし、操作部の操作に応じて、前記9セグメント表示部の表示内容を給湯温度の指標と残湯量とで切り替えて表示するようにした。
【0006】
また、所定の時間間隔で前記9セグメント表示部の表示内容を給湯温度の指標と残湯量とで切り替えて表示するようにした。
【0007】
また、前記貯湯タンク内の残湯量が少ない場合は、前記9セグメント表示部の表示内容を残湯量とするようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、必要な表示を行いつつも表示部の数が減らせるため、貯湯式給湯機のリモートコントローラを安価に提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の貯湯式給湯機の概略構成図
【
図2】同一実施形態のリモートコントローラの表示部の正面図
【
図4】同一実施形態の給湯状態および給湯待機状態の表示部の正面図
【
図5】同一実施形態の風呂自動運転状態の表示部の正面図
【
図6】同一実施形態の沸き増し休止状態の表示部の正面図
【
図7】同一実施形態の時刻表示状態の表示部の正面図
【
図8】同一実施形態の残湯量少状態の表示部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1の下部に給水する給水管、3は貯湯タンク1の上部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐される給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを混合する混合弁、6は混合弁5で混合された湯を給湯栓7へ導く給湯管である。
【0011】
8は混合弁5で混合された湯水の温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6を流れる湯水の流量を検出する給湯流量センサ、10は給水バイパス管4を流れる水の温度を検出する給水温度センサ、11a〜eは貯湯タンク1の側面上下に複数個設けられて貯湯タンク1の貯湯温度を検出する貯湯温度センサ、このうち貯湯タンク1の最下部の貯湯温度センサ11eは、沸き上げ動作の終了を判定する沸き終い温度センサとして機能するものである。12は給水管2に設けられ給水圧を減圧する減圧弁、13は貯湯タンク1に連通された管路に設けられ貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0012】
14は貯湯タンク1内の上部に配置されて浴槽15内の浴槽水を循環して加熱するための風呂熱交換器、16は浴槽15と風呂熱交換器14とを浴槽水が循環可能に接続する風呂循環回路、17は風呂循環回路16途中に設けられて浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ、18は風呂循環ポンプ17の吸入側に設けられて浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、19は浴槽15内の水位を検出する水位センサである。
【0013】
20は給湯管6の給湯流量センサ9より下流側から分岐されて風呂循環回路16に接続された湯張り管、21は湯張り管20途中に設けられた湯張り開閉弁である。
【0014】
22は貯湯タンク1の下部からの湯水を循環させて貯湯タンク1上部に戻す加熱循環回路、23は加熱循環回路22の途中に設けられて循環する湯水を加熱するための水冷媒熱交換器、24は加熱循環回路22の水冷媒熱交換器23よりも上流側に設けられた加熱循環ポンプ、25は水冷媒熱交換器23に流入する水の温度を検出する入水温度センサ、26は水冷媒熱交換器23で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0015】
27は冷媒を圧縮して水冷媒熱交換器23の一次側に圧送する圧縮機、28は水冷媒熱交換器23から流出した冷媒を膨張させる膨張弁、29は膨張弁28で膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器、30は圧縮機27と水冷媒熱交換器23の一次側と膨張弁28と空気熱交換器29とを環状に接続する冷媒配管、31は空気熱交換器29へ加熱源となる空気を送風する送風機、32は外気温度を検出する外気温度センサであり、これらの要素によってヒートポンプ式の加熱手段33を構成している。
【0016】
34は給湯温度や各種必要な設定を行うためのリモートコントローラで、給湯設定温度や風呂設定温度を表示する表示部35と、各種必要な設定を指示するための操作部36と、このリモートコントローラの作動を制御するリモコン制御部37とを備えている。
【0017】
38はこの貯湯式給湯装置の作動を制御する制御部で、予め作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、カウント機能を備えたMPUを有し、給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、給水温度センサ10、貯湯温度センサ11a〜e、風呂温度センサ18、水位センサ19、入水温度センサ25、沸き上げ温度センサ26、外気温度センサ32にて検出される値が入力され、混合弁5、風呂循環ポンプ17、湯張り開閉弁21、加熱循環ポンプ24、圧縮機27、膨張弁28、送風機31の駆動を制御し、沸き上げ動作、給湯動作や風呂加熱動作等を制御するもので、リモートコントローラ34のリモコン制御部37と通信可能に接続されているものである。
【0018】
図2はリモートコントローラ34の正面図で、操作部36には、給湯設定温度および風呂設定温度を設定する温度設定スイッチ39と、浴槽15への所定湯量の湯張りに続いて所定の保温時間だけ保温運転を行う風呂自動運転を開始させる風呂スイッチ40と、貯湯タンク1内に一定量または一定時間の湯増しを行わせる湯増しスイッチ41と、貯湯タンク1内の残湯量が少なくなると自動で行われる湯増し動作を操作時点から所定時刻までの間禁止する休止スイッチ42と、その他の設定を行うためのメニュースイッチ43とが設けられている。
【0019】
図3はリモートコントローラ34の表示部35の全点灯状態の正面図で、LED光源による固定キャラクタ表示部(「高温」表示部44、「浴室優先」表示部45、「凍結予防」表示部46、「満タン」表示部47、「湯増し」表示部48、「休止」表示部49、「℃」表示部50、51)と、給湯栓7へ給湯する湯の設定温度(給湯設定温度)を表示する2桁の7セグメント表示部52と、浴槽15へ給湯する湯の設定温度(風呂設定温度)のうち十の位を表示する7セグメント表示部53と、一の位を表示する9セグメント表示部54とが設けられている。
【0020】
9セグメント表示部54は、下横セグメント54aと、中横セグメント54bと、上横セグメント54cと、左上縦セグメント54dと、左下縦セグメント54eと、右上縦セグメント54fと、右下縦セグメント54gとを通常の7セグメント表示部と同じように8の字状に配すると共に、下横セグメント54aと中横セグメント54bの間の下中横セグメント54hと、上横セグメント54cと中横セグメント54bの間の上中横セグメント54iと、を有して構成され、下横セグメント54aと、中横セグメント54bと、上横セグメント54cと、左上縦セグメント54dと、左下縦セグメント54eと、右上縦セグメント54fと、右下縦セグメント54gとで給湯温度の指標である給湯設定温度のうち一の位を数字で表示可能とし、下横セグメント54aと、中横セグメント54bと、上横セグメント54cと、下中横セグメント54hと、上中横セグメント54iとで給湯用の湯水を貯湯する貯湯タンク1内の残湯量とをバー状に表示可能としている。
【0021】
左上縦セグメント54dおよび左下縦セグメント54eは、その右辺の最上部から最下部までが直線状に形成され、右上縦セグメント54fおよび右下縦セグメント54gは、その左辺の最上部から最下部までが直線状に形成され、下横セグメント54a、中横セグメント54b、下横セグメント54c、下中横セグメント54h、上中横セグメント54iはその左右の両端が直線状に形成されていることで、下横セグメント54a、中横セグメント54b、下横セグメント54c、下中横セグメント54h、上中横セグメント54iを用いて貯湯タンク1内の残湯量を表示する際の視認性を向上させているものである。
【0022】
ここで、各表示部44〜51および7セグメント表示部52、53、9セグメント表示部54の各セグメントはスタイルフォーム(図示せず)で仕切られ、その内方にはそれぞれ個別にチップLED(図示せず)が配されているものである。
【0023】
図4はリモートコントローラ34の表示部35の給湯状態および給湯待機状態での正面図で、
図2の「給湯」のプリント文字の真下に位置する7セグメント表示部52が給湯設定温度を表示すると共に「℃」表示部50が点灯し、また、「ふろ」のプリント文字の真下に位置する7セグメント表示部53および「℃」表示部51が消灯状態とされると共に9セグメント表示部54の下横セグメント54a、下中横セグメント54h、中横セグメント54b、上中横セグメント54i、上横セグメント54cを貯湯温度センサ11a〜eで検出している貯湯タンク1内の残湯量に応じた数だけ点灯状態とすることで残湯量を表示している。ここでは図示しない風呂リモコンに給湯設定温度の変更権が設定されているため「浴室優先」表示部45が点灯状態とされている。
【0024】
図5はリモートコントローラ34の表示部35の風呂自動運転状態での正面図で、7セグメント表示部52が給湯設定温度を表示すると共に「℃」表示部50が点灯状態とされ、7セグメント表示部53および9セグメント表示部54が風呂設定温度を表示すると共に「℃」表示部51が点灯状態とされている。ここで、リモートコントローラ34の風呂スイッチ40が操作されることで他の表示状態からこの表示状態に遷移されるものである。
【0025】
図6はリモートコントローラ34の表示部35の沸き増し休止状態での正面図で、7セグメント表示部52が給湯設定温度を表示すると共に「℃」表示部50が点灯し、7セグメント表示部53および「℃」表示部51が消灯状態とされると共に9セグメント表示部54の下横セグメント54a、下中横セグメント54h、中横セグメント54b、上中横セグメント54i、上横セグメント54cを貯湯温度センサ11a〜eで検出している貯湯タンク1内の残湯量に応じた数だけ点灯状態とすることで残湯量を表示し、「休止」表示部49が点灯状態とされている。ここで、リモートコントローラ34の休止スイッチ42が操作されることで他の表示状態からこの表示状態に遷移されるものである。
【0026】
図7はリモートコントローラ34の表示部35の時計表示状態での正面図で、7セグメント表示部52が時間を表示し、7セグメント表示部53および9セグメント表示部54が分を表示し、「℃」表示部50、51が消灯状態とされ、時計を表示している旨を明確にしている。この時計表示状態は、給湯待機状態においてメニュースイッチ43を長押しすることで切り替わるようになっている。
【0027】
図8はリモートコントローラ34の表示部35の残湯量少状態での正面図で、9セグメント表示部54による残湯量表示以外の表示を全て消灯すると共に、9セグメント表示部54の残湯量表示を点滅表示させるようにして、貯湯タンク1内の残湯量が残り少なくなっていることを視覚的に認識しやすく表示しているもので、貯湯温度センサ11a〜eで検出している貯湯タンク1の残湯量が所定の残湯量以下となると、他の表示状態からこの表示状態に遷移されるものである。
【0028】
ここで、風呂自動運転中において残湯量少状態が継続している間は、この
図8の表示状態と
図5の風呂自動運転中の表示状態とを所定の時間間隔で切り替えて繰り返し表示するようにして、風呂自動運転中である旨も同時に表示できるようにしている。
【0029】
なお、給湯設定温度が所定温度以上の高温設定がなされているときは、全ての表示状態において「高温」表示部44を点灯状態として、高温の給湯がなされる旨を注意喚起するようにしている。
【0030】
以上のように、給湯設定温度あるいは風呂設定温度を表示する表示部と貯湯タンク1の残湯量を表示する表示部とを兼用できるので、必要な表示を行いつつも表示部の数が減らせるため、貯湯式給湯機のリモートコントローラ34を安価に提供することができるものである。
【0031】
なお、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で改変可能なものであり、例えば、9セグメント表示部54は、横向きのセグメントが5本で構成されているが、それ以上の数を設けてもよいものであり、給湯温度の指標として温度そのものを表示するようにしていたが、これに変えて、例えば「0〜9」のように温度の高さの指標を一桁の数字で段階的に表すようにしてもよいものである。
【0032】
また、各セグメントの光源はチップLEDとして説明したが、これに限られず、蛍光表示管等の自発光素子で各セグメントを構成してもよいものである。
【符号の説明】
【0033】
1 貯湯タンク
34 リモートコントローラ
36 操作部
54 9セグメント表示部
54a 下横セグメント
54b 中横セグメント
54c 上横セグメント
54d 左上縦セグメント
54e 左下縦セグメント
54f 右上縦セグメント
54g 右下縦セグメント
54h 下中横セグメント
54i 上中横セグメント