(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示デバイスを動作する電力を供給する電源と、該電源から前記第2チップ及び前記表示デバイスへの電力の供給をオンオフするスイッチとをさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示カード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、非接触型カードに記録された情報を表示する表示カード及び該表示カードを備えたカードケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示カードは、
非接触型カードに内蔵された第1チップに記録された情報を表示する表示カードであって、
起電用コイルと、
前記起電用コイルから供給される電力又は他の電力により動作して前記第1チップに記録された情報を読み取る第2チップと、
前記起電用コイルから供給される電力又は他の電力により動作して前記第2チップにより読み取られた情報を表示する表示デバイスとを備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、表示カードを非接触型カードと重ね合わせ、非接触型カードに内蔵された第1チップに記録された情報を第2チップにより読み取るとともに、非接触型カードが外部機器の発生する磁界変化で起電して外部機器との間で情報を送受信する際に、表示カードもまた外部機器の発生する磁界変化を起電用コイルにより受けることで起電し、その起電力を使用し、又は起電を割り込み信号として他の電力を使用し、第2チップにより情報を読み取り、起電力又は他の電力を使用して表示デバイスを作動することで、第2チップにより読み取られた情報を表示デバイスに表示することができる。
【0009】
本発明の表示カードは、
前記第1及び第2チップは、それぞれ、Felica及びNFCに準拠することを特徴とする。
【0010】
これによれば、第1及び第2チップがそれぞれ異なる規格であるFelica及びNFCに準拠し、同時に作動しても干渉しないため、表示カードと非接触型カードとを1つのカードケース(パスケース(定期入れ)を含む)に収容して使用することができる。また、非接触型カードを用いた定期券として、Felicaに準拠したチップが広く用いられている。
【0011】
本発明の表示カードは、
前記表示デバイスは、電子ペーパーであることを特徴とする。
【0012】
これによれば、表示カードが薄く、表示カードと非接触型カードとを1つのカードケースに収容することが容易になる。
【0013】
本発明の表示カードは、
前記電子ペーパーは、書換え時以外には電力を要さないことを特徴とする。
【0014】
これによれば、電子ペーパーが表示する情報を書き換えるときのみ電力を要するため、起電用コイルが電力を供給しない時にも表示デバイスに情報が表示される。
【0015】
本発明の表示カードは、
前記表示デバイスを動作する電力を供給する電源と、該電源から前記第2チップ及び前記表示デバイスへの電力の供給をオンオフするスイッチとをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
これによれば、スイッチを用いて電源から電力を表示デバイスに供給することで、起電用コイルが電力を供給しない時にも表示デバイスを作動させて、その表示を更新することができる。また、表示に電力を必要とするデバイス、例えば液晶表示器を用いることができる。
この場合、起電用コイルは、それからの電力の供給によって非接触型カードが外部機器にかざされたこと(すなわち表示対象データが更新され得ること)を検出するために活用される。検出によって表示更新の処理を起動することができる。非接触型カードから情報を読取ることは、起電用コイルの電力を使用せずに行うことができる。
【0017】
本発明の表示カードは、
前記情報は、チャージ金額の残高であることを特徴とする。
【0018】
これによれば、非接触型カードに記録されたチャージ金額の残高が表示デバイスに表示され、それにより残高を知ることができる。非接触型カードが定期券等の鉄道カードである場合、チャージ金額の残高はユーザが知りたい情報であることが多い。多くの鉄道カードにおいてチャージ金額の残高は暗号化されずに記録されている。
【0019】
本発明のカードケースは、
非接触型カードに記録された情報を表示するカードケースであって、
前記非接触型カードを出し入れ可能に収容するケース本体と、
前記ケース本体内に設けられる上記の表示カードとを備えることを特徴とする。
【0020】
これによれば、情報を表示するカードケースが提供される。パスケースとして用いる場合、それに非接触型カードを挿入すると、パスケース内で非接触型カードと表示カードとを重ね合わせた箇所に置くことができる。起電コイルの誘導起電力又は電源からの電力によって、非接触型カードに記録された情報が表示カードに表示される。
【0021】
本発明のカードケースは、
前記ケース本体は、前記表示カードの前記情報を表示する表示領域を前記ケース本体外に露出する透視口を有することを特徴とする。
【0022】
これによれば、透視口を介して、電子ペーパーの表示領域に表示される情報を目視することができる。ここで「透視口」は、一方から他方を目視できるものを言う。開口及び透明な被覆体は透視口である。
【0023】
本発明のカードケースは、
前記ケース本体は、前記表示カードの前記表示デバイスを動作する電力を供給する別の電源を有することを特徴とする。
【0024】
これによれば、ケース本体が有する別の電源から電力を表示デバイスに供給することで、表示デバイスを作動させて、その表示を更新することができる。
【0025】
本発明のカードケースは、
前記第2チップによって読み取られた情報を記憶する記憶装置を備え
前記記憶装置の記憶容量は前記第1チップ及び前記非接触型カードの記憶容量よりも大きく、
前記第2チップは、前記読み取られた情報をFIFO形式で前記記憶装置に記憶させることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のカードケース。
【0026】
これによれば、非接触カード(第1チップ)の容量を超えて情報を記憶することができる。FIFO形式で記憶することにより、例えばチャージ金額の残高や乗車の記録について、最新の履歴を保存することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の表示カードによれば、非接触型カードに記録された情報を表示することが可能となる。
【0028】
本発明のカードケースによれば、非接触型カードを収容して、非接触型カードに記録された情報を表示することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0031】
(表示カード)
図1に、表示カード60の構成を示す。表示カード60は、例えばプラスチック製の1枚のカードに、起電用コイル20、ICチップ(第2チップ)30及び表示デバイス40(コントローラ42を備えている)を設けたものである。
【0032】
起電用コイル20は、導線を、基材12の裏面上にその外縁に沿って複数回周回して配設することで構成されている。導線の両端部は、ICチップ30及び表示デバイス40(コントローラ42を含む。以下同じ。)に接続されている。起電用コイル20には、周囲の磁界変化によって誘導起電力が発生する。発生した誘導起電力はICチップ30及び表示デバイス40に供給される。
【0033】
ICチップ30は、非接触型カード70に内蔵されたチップに記録された情報を読み取るものである。ICチップ30は、読み取った情報に基づき、コントローラ42を介して表示デバイス40の表示を更新する。ICチップ30として、一例として、NFCに準拠するものを採用する。非接触型カード70のチップ(第1チップ)はFelicaに準拠するものとする。非接触型カード70に表示カード60を重ねて2枚のカードを同時に使用することが可能である。
【0034】
表示デバイス40は、表示領域40aを有し、それにICチップ30から送信される情報を表示するデバイスである。本実施例では、表示デバイス40として、書換え時以外には電力を要さない例えば電気泳動方式の電子ペーパーを採用する。電子ペーパーが表示する情報を書き換えるときにのみ電力を要するため、起電用コイル20が電力を供給しない時にも表示領域40aに情報が表示される。
【0035】
非接触型カード70に表示カード60を重ね、外部機器(例えば改札機)にかざすと、外部機器の発生する磁界変化によって起電用コイル20に誘導起電力が発生する。この誘導起電力がICチップ30と表示デバイス40に供給される。ICチップ30と表示デバイス40が動作して、ICチップ30により読み取られた情報を表示デバイス40に表示する。
【0036】
表示カード60は、非接触型カード70と同様に非接触型のカードである。本明細書では、情報を読み取られる対象であるカードを「非接触型カード70」と呼び、情報を読み取り表示するカードについては「非接触型カード」でなく「表示カード60」と呼んで2種のカードを区別する。
【0037】
図2に、ICチップ30の処理を示す。
図2(A)は標準的な処理である。処理は、表示カード60が外部機器にかざされて起電用コイル20に誘導起電力が発生することで開始される(ステップ31)。
【0038】
ICチップ30は、非接触型カード70に内蔵されたチップに記録された情報を読み取り、情報取得を行う(ステップ33)。非接触型カード70(例えばSuica(登録商標))からの情報の読み取りは、例えば非特許文献1に記載された公知の手法によればよい。
【0039】
ここで、非接触型カード70から読み取られる情報は、例えば鉄道の乗車・降車の記録、チャージ金額の残高である。非接触型カード70は、外部機器(例えば改札機)にかざされる都度、情報を更新する。更新された情報が読み取られる。
【0040】
ICチップ30は、読み取った情報が前回と同一であるか否かを判定する(ステップ34)。このため、読み取った情報をICチップ30内に記録し、前回と同一でない場合にはその記録を更新するものとする。ステップ31の開始の直後にも、その前の処理で最後に読み取った情報がICチップ30に記録されている。なお、読み取った情報として、直前の1回分のみでなく、複数回分の履歴を記録することもできる。履歴の記録については、実施例4において詳述する。
【0041】
ICチップ30は、読み取った情報が前回と同一である場合には再び情報を読み取り、同一でない場合には表示デバイス40にその情報を表示させて(ステップ35)再び情報を読み取る。これにより、非接触型カード70に内蔵されたチップに記録された情報が更新された時に、表示デバイス40の表示が更新される。
【0042】
ここで、定期券として広く用いられている非接触型カード70は、多くの情報を暗号化して保持している。その中で、チャージ金額の残高を含む情報が暗号化されずに保持されており、読み取ることができる。
【0043】
図2(A)には処理の終了が示されていないが、表示カード60が外部機器から離間して起電用コイル20の誘導起電力が消滅したことで処理が終了する。
【0044】
図2(B)に、ICチップ30の代替処理を示す。代替処理を標準的な処理と比較すると、開始直後に所定の時間だけ待機すること(ステップ32)が加わり、読み取った情報が前回と同一であるか否かの判定(ステップ34)を行わない点で相違する。ステップ31,33及び35は同一である。
【0045】
この代替処理は、表示カード60と非接触型カード70とが同時に外部機器にかざされ、外部機器によって非接触型カード70に記録された情報が更新されるに要する時間がほぼ一定であることを前提としたものである。その一定の時間よりもやや長い時間を所定の時間(例えば1秒)として待機し(ステップ32)、その後に更新された情報を読みとり(ステップ33)、表示デバイス40にその情報を表示させる(ステップ35)。1回のみの情報取得によって表示デバイス40の表示が更新される。
【0046】
所定の時間を長めに設定すると、情報取得時には非接触型カード70に記録された情報が確実に更新されている。一方、所定の時間が経過した時には表示カード60が外部機器から離間していて誘導起電力がなく情報取得ができない可能性もある。この問題については、ユーザに所定の時間を知らせて確実に外部機器にかざしてもらう、表示カード60に誘導起電力を貯えるキャパシタを設けて所定の時間後にキャパシタからの電力によって更新された情報の読みとり(ステップ33)を実行する、その他の方策が考えられる。
【0047】
なお、代替処理においても、ステップ33と35の間において、読み取った情報が前回と同一であるか否かの判定を行い、同一でないときにのみ表示デバイス40にその情報を表示させることとしてもよい。
【0048】
(カードケース)
図3に、カードケース1の構成を、非接触型カード70が収容された状態で示す。
図3(A)はカードケース1の表側の構成を示し、
図3(B)はカードケース1の裏側の構成を示し、
図3(C)はカードケース1の断面(
図3(A)におけるS−S線断面)の構成を示す。カードケース1は、非接触型カード70を収容するとともに、それに記録された情報を表示するケースであり、ケース本体10及び表示カード60から構成される。なお、非接触型カード70は、一例としてFelicaに準拠するチップが内蔵された定期券等の鉄道カードであり、これにチャージ金額の残高等の情報が記録されているものとする。
【0049】
ケース本体10は、基材12、カバー14及び支持材16から構成される。
【0050】
基材12は、ケース本体10の構成各部を支持するケースの中心材であり、厚紙、樹脂等、適当な剛性を有する素材を用いて、非接触型カード70より大きいサイズの矩形板状に成形されている。
【0051】
カバー14は(
図1(B)参照)、樹脂、ポリエステル、布等の素材を用いて基材12と同じサイズの縦幅、若干小さいサイズの横幅の矩形状に成形されている。基材12とカバー14との間に表示カード60が挿入されている(
図1(C)参照)。カバー14には、
図1(B)に示すように、透視口14aが形成されている。表示カード60の表示デバイス40の表示領域40aが透視口14aから露出し、これにより、ユーザは透視口14aを介して表示デバイス40の表示領域40aに表示される情報を目視することができる。なお、表示カード60を挿入した基材12とカバー14とを封じて表示カード60が取り出されることがないように封入してもよい。
【0052】
支持材16(
図1(A)参照)は、カードケース1に収容する非接触型カード70を基材12との間に保持する部材であり(
図1(C)参照)、カバー14と同じ素材を用いて、基材12と同じサイズの縦幅、若干小さいサイズの横幅の矩形状に成形されている。支持材16には、透視口16aが形成されている。支持材16は、その上辺、下辺、及び右辺をカバー14によりカバーされた基材12の上辺、下辺、及び右辺にそれぞれ重ねて固定される。それにより、基材12と支持材16との間に、支持材16の左から非接触型カード70を出し入れする収容空間が形成される。非接触型カードを収容した際、非接触型カードの少なくとも中央が透視口16aから露出し、これにより、ユーザは透視口16aを介して非接触型カードの一面に記録される情報を目視することができる。
【0053】
カードケース1に非接触型カード70を収容すると、表示カード60と非接触型カード70とが重なって配置される。非接触型カード70を、カードケース1に収容した状態で、改札機等の外部機器にかざして使用すると、ICチップ30により読み取られた情報が表示デバイス40に表示される。
【0054】
本実施例において、非接触型カード70は、定期券等の鉄道カードであることが多いと考えられるが、他のものであっても表示カード60による情報表示は有用である。また、鉄道カードであるときにおいて、情報はチャージ金額の残高であるとすることが好ましい。それにより、非接触型カードに記録されたチャージ金額の残高が表示デバイス40に表示され、残高を知ることができる。
【実施例2】
【0055】
本実施例は、実施例1とは相違するカードケース1の構成を示すものである。他の点は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0056】
図4に、カードケース1の構成を、非接触型カード70が収容された状態で示す。
図4(A)及び(B)はカードケース1の断面(
図4(C)におけるS−S線断面)の構成を示し、
図4(C)はカードケース1の内面(
図4(B)におけるT方向から見た面)の構成を示す。
【0057】
カードケース1は、2つ折りのカードケースであり、基材12が外側の両面に設けられ、カバー14及び支持材16がそれぞれ内側に設けられている。
【0058】
カードケース1は、折り畳むと
図4(A)の形状となり、この状態で外部機器にかざして非接触型カード70を使用することができ、表示カード60が動作して表示デバイス40に情報が表示される。
【0059】
カードケース1を拡げると
図4(B)の形状となり、透視口14a及び16aから情報を目視することができる(
図4(C)参照)。通常はカードケース1が折畳まれており、情報を目視することができない。表示される情報を他人に知られたくない(例えば個人情報のプライバシー保護を望む)ユーザに配慮したものである。
【実施例3】
【0060】
本実施例は、電源を備えた表示カード60を使用するものである。他の点は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0061】
(表示カード)
図5に、表示カード60の構成を示す。表示カード60は、
図1に示した構成に、電源50、スイッチ52及び充電端子56を付加したものである。
【0062】
電源50は、厚さ0.4mm程度の超薄型のものとする。表示カード60に組み込むことができるものである。
【0063】
スイッチ52は、電源50からICチップ30及び表示デバイス40への電力の供給を制御する。起電用コイル20からICチップ30及び表示デバイス40に電力を供給する回線上に接点54が設けられ、電源50と接点54とを接続する回線にスイッチ52が設けられている。
【0064】
充電端子56は、例えばAC/DCコンバータを介して供給される外部電力を接続して電源50を充電するための端子である。
【0065】
(カードケース)
図6に、カードケース1の構成を、非接触型カード70が収容された状態で示す。
図6(A)はカードケース1の表側の構成を示し、
図6(B)はカードケース1の裏側の構成を示し、
図6(C)はカードケース1の断面(
図6(A)におけるS−S線断面)の構成を示す。
図6(A)及び
図6(C)は、実施例1における
図3(A)及び
図3(C)と同一である。
図6(B)は、実施例1における
図3(B)に、スイッチボタン52aが付されている。
【0066】
スイッチボタン52aを操作しない場合には、スイッチ52が切断され、実施例1と同様にカードケース1が使用される。改札機等の外部機器にかざして使用する場合には、スイッチボタン52aを操作せずに表示デバイス40に情報を表示することができる。
【0067】
スイッチボタン52aを操作する(押す)と、スイッチ52が接続され、電源50からICチップ30及び表示デバイス40に電力が供給され、カードケース1を外部機器にかざさずに、非接触型カード70から情報を読取って、表示デバイス40に情報を表示することができる。例えば、非接触型カード70を交換した直後にスイッチボタン52aを操作して交換後の非接触型カード70に記録されたチャージ金額の残高を表示することができる。なお、非接触型カード70からの情報の読取は、実施例1と同様に、カードケース1が外部機器にかざされた際にも行われる。その際の電力は、起電用コイル20によるものであっても電源50によるものであってもよい。
【0068】
表示カード60をカードケース1から取り出し、充電端子56に外部電源を接続して電源50を充電することができる。実施例1においては表示カード60をカードケース1から取り出す必要がなく、表示カード60をカバー14内に封入することもできた。本実施例においては、充電を可能にするため、封入せずに取り出し可能とする。
【実施例4】
【0069】
本実施例は、外部電源(バッテリ80)に接続可能な表示カード60を使用するものである。他の点は実施例3と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0070】
(表示カード)
図7に、表示カード60の構成を示す。表示カード60は、
図1に示した構成に、スイッチ52及び外部端子58を付加したものである。ICチップ30は、非接触型カード70の記憶容量よりも大きな記憶容量を有する。ICチップ30の記憶は不揮発性である。また、表示デバイス40は、液晶表示器である。
【0071】
スイッチ52は、外部端子58を介して外部電源(バッテリ80)からICチップ30及び表示デバイス40への電力の供給を制御する。起電用コイル20からICチップ30及び表示デバイス40に電力を供給する回線上に接点54が設けられ、外部端子58と接点54とを接続する回線にスイッチ52が設けられている。
【0072】
本実施例では、バッテリ80を用いるので、表示カード60は十分な電力源を有する。表示に電力を必要とするデバイス、例えば液晶表示器、を用いることができる。また、起電用コイル20の電力を使用せずに非接触型カード70から情報を読取ることができる。なお、実施例3においても、電源50から十分な電力を供給できるのであれば本実施例と同様にすることができる。十分な電力源を有する場合については、実施例3でなく本実施例において説明するものである。
【0073】
外部端子58は、表示カード60の右下端部の近傍に設けられて、外部電源に接続するための端子である。
【0074】
(カードケース)
図8に、カードケース1の構成を、非接触型カード70が収容された状態で示す。
図8(A)はカードケース1の表側の構成を示し、
図8(B)はカードケース1の裏側の構成を示し、
図8(C)はカードケース1の断面(
図8(A)におけるS−S線断面)の構成を示す。カードケース1は、実施例1におけるそれに対して、バッテリ80及びスイッチボタン52aがさらに設けられている。
【0075】
バッテリ80は、表示カード60のICチップ30及び表示デバイス40を動作するための電力を供給する外部電源であり、
図8(C)より分かるように、支持材16及びカバー14によりカードケース1の右端に形成された空間内に収容されている。バッテリ80として、例えばボタン型電池を使用することができる。また、カードケース1に収容できる限りにおいて、大型・長寿命のものを用いてもよい。バッテリ80は、配線を介してカードケース1に収容された表示カード60の外部端子58に接続される。
【0076】
スイッチボタン52aは、カードケース1の右下端部の近傍に設けられ、表示カード60のスイッチ52を操作するための部材である。本実施例においては、実施例3と相違して、スイッチボタンを操作しない場合にもスイッチ52が接続されている。カードケース1を改札機等の外部機器にかざして使用する場合には、スイッチ52を切断した状態において、実施例1と同様に使用することもできる。また、スイッチ52を接続した状態で使用しても問題ない。カードケース1を外部機器にかざさずに使用する場合には、スイッチ52を接続することで、バッテリ80から起電用コイル20を介してICチップ30及び表示デバイス40に電力が供給され、表示デバイス40に情報を表示、更新することができる。これにより、カードのチャージ金額の残高等を常時表示することができる。
【0077】
非接触型カード70外部機器(例えば改札機)にかざされると、起電用コイル20に電流が流れる。その電流を割り込み信号として、ICチップ30の読取機能が起動される。読取機能は、バッテリ80の供給する電力により、非接触型カード70から情報を読取る。
【0078】
ICチップ30の読取機能が起動される都度、非接触型カード70から読取られる情報(鉄道の乗車・降車の記録、チャージ金額の残高、その他)が、ICチップ30に記録される。ICチップ30は、非接触型カード70の記憶容量よりも大きな記憶容量を有し、読取りの多数回分(例えば1000回分)の情報を保持できるものとする。記憶容量及び保持する情報の量は設計事項として定めてよいが、本実施例では1000回分の情報が記憶できるものとする。なお、読取る情報は固定され1回の読取りのデータサイズが一定であるので、1000回分の情報を記憶するのに必要な容量を予め定めることができる。
【0079】
ICチップ30は、記憶容量の残量が読み取った情報を保存するのに不十分である場合には、最初に読み取った情報を削除するFIFO形式で情報を管理する。これにより、最新の履歴が保持されることとなる。保持された情報(履歴)は、USB等の外部接続端子(非図示)を介して外部機器から参照することができる。また、表示カード60に設けられたボタンの操作によって履歴を表示することとしてもよい。
【0080】
非接触型カード78は、多数回の情報を保持していない。表示カード60に多数回の情報を保持することによって、履歴を管理することができる。なお、保持された情報を、例えばマイクロUSB端子(非図示)を介して外部に送信されるものとしてもよい。
【0081】
以上に述べた、液晶表示器である表示デバイス40による表示、ICチップ30への履歴の記憶、記憶された情報の外部への送信は、バッテリ80の供給する電力により安定して行われる。
【0082】
なお、バッテリ80を取り出して交換することができるようにカードケース1に開閉蓋を設けてもよい。また、実施例3の表示カードを本実施例のカードケース1に収容して、充電端子56を介してバッテリ80を電源50に接続して、これを充電することとしてもよい。