(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電気ケトルとして例えば、水を入れ、電気で水をわかして蓋体を外すことなく蓋体内の弁部材を開放して給湯する電気ケトルがある。このような電気ケトルは、水を入れた容器本体を電源台に載置し、スイッチを入れることにより内部の水を短時間に沸騰し、沸騰すると蒸気を感知して自動的にスイッチが切れるものであり、広く普及している。
【0003】
図14にそのような電気ケトルの一例を示す。電気ケトルは、容器本体1と蓋体2と電源台3を有する。容器本体1は、内部に水が入れられる容器であり、下部にヒーター4を有し、側部に取手5を有する。
【0004】
前記蓋体2は、弁部材6を有しており、蓋体2の上面に設けられる押圧ボタン7を操作すると弁部材6が下動し、容器本体1内と注出口8を連通する。その状態で電気ケトルを持ち上げて注出口8側に傾けて容器本体1内の湯を給湯することになる。
【0005】
蓋体2には、その下面に蒸気口9を有し、その上面に蒸気排出口10を有するとともに、蒸気口9と蒸気排出口10とを連通し、転倒止水弁11が介在する第1蒸気通路12を有する。
【0006】
また、容器本体1と取手5との間には、上部から下部にまで伸びる第2蒸気通路である蒸気ダクト13を有し、蒸気ダクト13の上端は第1蒸気通路12に連通し、蒸気ダクト13の下端は容器本体1の下部に配置される蒸気検知手段14の近傍に開口する。
【0007】
容器本体1内の水が沸騰すると、蒸気は、蒸気導入口9より第1蒸気通路12を介して蒸気排出口10より外部に排出されるとともに、第1蒸気通路12を流れる蒸気の一部は蒸気ダクト13内に浸入し、下方へ流れて蒸気検知手段14に至り、スイッチボタン15をオフにする(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
ところで、上記従来の蒸気の排出構造は、第1蒸気通路12より蒸気排出口10に流れる経路と、第2蒸気通路である蒸気ダクト13より蒸気検知手段14に流れる2経路あり、第1蒸気通路12に流れる蒸気は蒸気排出口10より勢いよく外部に放出され、蒸気ダクト13に流れる蒸気は少なくなる。そのため、蒸気排出口10より勢いよく外部に放出される蒸気により火傷をする等の危険が生じたり、或いは蒸気検知手段14による蒸気検知が遅れる弊害が生じる。
【0009】
本願出願人は、上記の弊害をなくすために、蒸気経路を1系統にし、全ての蒸気を蒸気検知手段に流し、蒸気検出手段を経た後の蒸気を蒸気結露部で結露させる電気ケトルをすでに出願している(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
この電気ケトルの蒸気結露部は、外気に連通する第1排出口及び第2排出口を有し、第1排出口は蒸気結露部の前方側である注出口側の底部に開口し、常時は弁部材のシールパッキンにより閉鎖され給湯時に弁部材が開すると注出口に連通し、第2排出口は蒸気結露部の後方側である取手側の上部に常時外気に連通する形態で開口している。
【0011】
ところで、上記電気ケトルの場合、蒸気結露部に溜まる結露水は、取手を持っての給湯時に注出口から容器本体内の湯とともに排出されて問題を生じないが、第1及び第2排出口の2個の排出口を設ける必要があるとともに、第1排出口を常時閉鎖しなければならず必然的に構造が複雑になる。
【0012】
このような弊害をなくすために、2つの排出口を第1排出口のみにし、第1排出口を常時開放することが考えられる。しかし、蒸気結露部をそのような構造にすると、給湯時以外に電気ケトルが注出側に傾くと蒸気結露部内の結露水が流れ出たり、2回目以降の湯沸かし時の蒸気圧や蓋取付時の圧力によって結露水が注出口から吹き出す恐れが生じる。
【実施例】
【0026】
図1に電気ケトル全体の斜視図を示し、
図2〜
図4に
図1のA−A線、B−B線及びC−C線の一部断面図及び一部断面斜視図を示し、
図5〜
図7に蓋本体の斜視図を示す。なお、以下においては電気ケトルの注出口側を前方側とし、注出口と反対の取手側を後方側とし、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0027】
電気ケトルである電気ケトルSは、容器本体20、外ケース24、底ケース25、蓋体40及び電源台26を有する。なお、電気ケトルSは、容器本体20と外ケース24とを有する2重構造のものとして説明するが、外ケース24がない1重構造のものでもよい。
【0028】
容器本体20は、水等を入れる内ケースであり、上方が開口した筒状の部材で、その上方には内方に張り出した環状のフランジ21を有し、フランジ21の内径部が容器開口22となり、その容器開口22の上面に蓋体40のシール部材66が当接する。また、容器本体20の下面には、加熱手段であり
図14に示すような図示しないヒーター及びソケットを有する。
【0029】
前記外ケース24は、容器本体20の外方に隙間を有して位置する筒状の樹脂製の部材であり、その表面に色ないし模様等を施すことができるためデザイン性が向上する。そして、外ケース24と容器本体20との間には断熱空間が形成されるため、外ケース24が熱くならず安全性が高まる。
【0030】
前記底ケース25は、外ケース24の下方に位置する樹脂製の皿状部材であり、電源台26に載置される。
【0031】
前記電源台26は、底ケース25の下方に位置する断面逆皿状の樹脂製の部材であり、電気ケトルSを安定した状態で支持する。電源台26内にはその中央に円柱状の図示しない接続端子が立設する。そして、電源台26の上に電気ケトルSを乗せて電源台26の図示しないプラグをコンセントに差し込み、取手35に設けられる押動スイッチ36を押し下げると接続端子を介してヒーターに通電される。
【0032】
図13に示すように、前記容器本体20のフランジ21の上方には環状で且つ上方側に向かって若干広がる形状の肩部30が一体に形成されている。肩部30の前方側には、外方に向かって先細り形状の注出口31を有し、注出口31と反対側の後方側には、下側に第1肩蒸気開口32を有し、上側に第2肩蒸気開口33を有し、第1肩蒸気開口32及び第2肩蒸気開口33は同じ円形で、それぞれには同形で筒状の第1肩パッキン32a及び第2肩パッキン33aが嵌合する。
【0033】
また、容器本体20の左右の内面には、係合部34、34が設けられており、蓋体40に設けられる係止片が係合して蓋体40を固定する。
【0034】
肩部30の後方側には、第1肩蒸気開口32及び第2肩蒸気開口33を覆う形態で取手35が設けられる。取手35内には図示しないスイッチ収納ケース及び蒸気検知部38等が配設される。
【0035】
そして、スイッチ収納ケースには取手35の上端から上方に突き出る押動スイッチ36がリンク係合し、押動スイッチ36を押すとスイッチがオンし、容器本体20内の水が沸騰し、その蒸気が蒸気検知部38に当たると押動スイッチ36が上動してスイッチがオフする。
【0036】
また、肩部30の第1肩蒸気開口32及び第2肩蒸気開口33に対向する取手35内には若干の容積の取手空間37が形成されるとともに、その取手空間37内に蒸気検知部38が設けられる。蒸気検知部38は、例えば、薄い板状のバイメタルスイッチであり公知のものである。
【0037】
前記蓋体40は、蓋カバー41及び蓋本体45を有し、肩部30に対し着脱自在にされる樹脂部材である。蓋カバー41は、蓋本体45の上方を覆う平面視略円形で縦断面円弧状の樹脂部材であり、その上面には、
図1に示すように蓋体40と肩部30の係合部34、34との結合及び解除を行うための2個の開閉レバー42、42が左右方向に対向して配置され、更に2個の開閉レバー42、42間で且つ前方寄りには弁部材58を開閉するための押圧ボタン43が配置される。
【0038】
前記蓋本体45は、下方寄りに略水平な区画壁46と、上下方向の外周壁47を有し、その上下に上方が開口した大きな空間の上部室48と、下方が開口した小さな空間の下部室49を形成する。そして上部室48には、2個の開閉レバー42、42と、1個の押圧ボタン43が配置される。
【0039】
2個の開閉レバー42、42は、共に指で押圧する把持部42a、42aと把持部42a、42aの外方に形成される図示しない係止片を有し、図示しないスプリングを介して対向して配置されるもので、常時はお互い離れる方向に付勢され、それぞれの係止片を肩部30の係合部34、34に係合して蓋体40を閉蓋する。
【0040】
また、押圧ボタン43は、弁部材58の上端部に図示しないスプリングを介して当接し、上方から押されると下動し、図示しないストッパ機構により、下動した位置で停止され、再度押されると停止が解除されてスプリングの作用により上動する公知のものである。そして、上部室48には蒸気が浸入しないようにされている。
【0041】
前記下部室49は、容器本体20で発生する蒸気が侵入する空間で、その前方側には、同心状で円形の外垂直壁50及び内垂直壁51が垂下している。外垂直壁50は内垂直壁51よりも長いがいずれも下部室49を形成する外周壁47より短く、その下端は下部室49内に位置し、内垂直壁51の下端には弁部材58のシールパッキン59が当接する。
【0042】
そして、内垂直壁51とその上部の区画壁46とで下方開放の中空室52を形成する。また、
図6及び
図7に示すように、円形の内垂直壁51内の後方側には、内垂直壁51と同じ高さのコ字状垂直壁53が設けられ、内垂直壁51の一部とコ字状垂直壁53とでコ字状空間54が形成される。そして、コ字状空間54には給湯時に中空室52に空気を取り入れるための吸気通路65の他端が開口する。
【0043】
内垂直壁51の下端に弁部材58のシールパッキン59が当接すると、内部に注出空間である中空室52を形成する。この中空室52の前方側には
図6に示すように注出ダクト55が連通するように一体に形成されており、蓋体40が肩部30を閉蓋するとこの注出ダクト55は注出口31に連接する。
【0044】
下部室49には、樹脂製で縦断面逆T字状の弁部材58が配設される。弁部材58は弁本体58a及び弁棒58bを有する一体成形部材である。弁本体58aは、平面視円形の部材であり、その外周部には略環状のシールパッキン59が嵌合される。なお、シールパッキン59は、
図12に示すように弁本体58aの上面は略矩形状の開口を有し、その外周部で内垂直壁51の下端に当接して容器本体20内と中空室52との連通を遮断し、その後方側の破線で示す領域Rで前記コ字状空間54を閉鎖する。
【0045】
弁棒58bは、弁本体58aの上面中央に立設し、弁部材58が下部室49に配置されると上部室48に進入し、その上端は押圧ボタン43の下端部近傍に至り、押圧ボタン43が押圧されると弁本体58aを下動する。
【0046】
弁部材58は、通常時、図示しないスプリングの作用により上動されており、弁本体58aの外周に嵌合されるシールパッキン59の上面は内垂直壁51及びコ字状垂直壁53の下端に当接し、容器本体20内と中空室52とを遮断し、コ字状空間54を閉鎖するが、押圧ボタン43が押し下げられる給湯時には弁部材58は下動し、容器本体20内と注出口31とを連通する。
【0047】
前記下部室49の後方側の外周壁47には、
図6及び
図7に示すように下部室49と外部とを連通する円形の第1蓋蒸気開口62と、第1蓋蒸気開口62の直上に第2蓋蒸気開口63を有する。そして、第1蓋蒸気開口62は下部室49に連通し、第2蓋蒸気開口63は
図5に示すように上部室48の後記する蒸気結露部70の蒸気導入口74に連通する。
【0048】
また、第1蓋蒸気開口62及び第2蓋蒸気開口63の右側には、吸気取入口64が開口する。前記区画壁46には前後方向に伸びる吸気通路65が設けられており、この吸気通路65の一端は前記吸気取入口64に連通し、吸気通路65の他端は前記コ字状空間54に連通する。そして、給湯時、
図4に示すように、蓋体40の外周面と肩部30の内周面との間から矢印(1)で示すように取り込まれる外気は、吸気通路65内を矢印(2)で示すように流れ、次いで矢印(3)で示すようにコ字状空間54を介して中空室52に取り込まれ、容器本体20内の湯の流出を助ける。
【0049】
前記蓋本体40の下端部には、環状のシール部材66が嵌合されており、蓋体40が肩部30に嵌合されると、シール部材66は容器開口22を閉鎖する。
【0050】
前記蓋本体45の上部室48には蒸気結露部70が形成される。蒸気結露部70は
図5に示すように略扇形状であり、後方側から前方側に向かって、扇状空間71、矩形状空間72及び前後方向に長い細長空間73を有する。
【0051】
前記扇状空間71は内周壁の面積を大きくするためのもので蒸気の結露を良好にする。扇状空間71の後方側の外周壁47の中央下部には蒸気導入口74が開口する。この蒸気導入口74は、第2蓋蒸気開口63及び第2肩蒸気開口33を介して蒸気検知部38が配置される取手空間37に連通するとともに、更に第1肩蒸気開口32、第1蓋蒸気開口62を介して容器本体20内に連通する。
【0052】
そのため、
図2で矢印(1)、(2)で示すように、容器本体20内で発生した蒸気は、下部室49、第1蓋蒸気開口62、第1肩蒸気開口32、蒸気検知部38が配置される取手空間37、第2肩蒸気開口33、第2蓋蒸気開口63及び蒸気導入口74を介してより広い空間である扇状空間71に流入し、膨張し、温度降下して結露する。
【0053】
また、扇状空間71にはカバー部材76をねじ止めするための2個の結露部ねじボス71a、71aが設けられ、これら結露部ねじボス71a、71aにはねじを螺合するための結露部ねじ開口71b、71bが形成される。
【0054】
前記矩形状空間72は扇状空間71より小さい空間であり、蒸気導入口74より導入される蒸気を前方側の壁に当てて広い範囲に拡散させるとともに、扇状空間71と矩形状空間72とで内周壁の面積をより大きくして蒸気の結露をより良好にする。
【0055】
前記細長空間73は矩形状空間72の一方側、この例では左側に前方に伸びる形態で設けられており、その先端には連通路75が上下方向に開口する。
図3に示すようにこの連通路75は垂直で、その下流側は中空室52に連通する。そして、連通路75の細長空間73側の連通路入口75aは細長空間73の底部は勿論のこと、扇状空間71及び矩形状空間72の底部よりも高い位置に設けられている。この例では中空室52よりも上方である。
【0056】
そのため、蒸気結露部70内に溜まった結露水が容易に中空室52内に流出することはない。即ち、給湯時以外に電気ケトルSを注出口31側に傾けても蒸気結露部70内の結露水が容易に流出することはなく、また、2回目以降の湯沸かし時の蒸気圧や蓋体40の取付時の圧力によっても結露水が注出口31から吹き出ることもない。更に、連通路75を垂直にすることにより連通路75内に結露水が溜まる弊害を防止することができる。
【0057】
なお、連通路入口75aは蒸気導入口74の軸心よりずれているため、蒸気結露部70に流入する蒸気が直接連通路入口75aから流出することはなくなる。より具体的には、蒸気導入口74の軸心は
図1のA−A線上にあり、連通路入口75aはB−B線上にある。このずれ量は多少でもよいができるだけ離れた方が蒸気及び結露水の流出量が少なくなるため好ましい。
【0058】
前記蒸気結露部70の上端部にはカバー部材76及びパッキン80が設けられる。前記カバー部材76は、蒸気結露部70の上方を覆う樹脂製の部材で、その全体を
図10に示す。
【0059】
カバー部材76は、蒸気結露部70と同様の略扇形状であり、後方側から前方側に向かって、扇状カバー部76a、矩形状カバー部76b及び前後方向に長い細長カバー部76cを有し、扇状カバー部76aは扇状空間71の上方をカバーし、矩形状カバー部76bは矩形状空間72の上方をカバーし、細長カバー部76cは細長空間73をカバーする。
【0060】
カバー部材76の扇状カバー部76aには下方に垂下する2個のカバーねじボス77、77が垂下し、これらカバーねじボス77、77にはそれぞれねじを挿通するためのねじ開口77a、77aが設けられる。
【0061】
カバー部材76の底面の外周端76d近傍には、外周端76dより長さの短い係止段部79が外周端76dに沿って垂下している。この係止段部79はパッキン80の外周部を挟持して蒸気結露部70内をシールする。また、カバー部材76の底面には複数の補強用のリブ78が設けられる。
【0062】
前記パッキン80は、
図11に示すように蒸気結露部70及びカバー部材76と同様の略扇形状であり、後方側から前方側に向かって、扇状パッキン部80a、矩形状パッキン部80b及び前後方向に長い細長パッキン部80cを有し、扇状パッキン部80aは扇状空間71の上方をカバーし、矩形状パッキン部80bは矩形状空間72の上方をカバーし、細長パッキン部80cは細長空間73をカバーする。扇状パッキン部80aには複数個の開口部81が設けられ、細長パッキン部80cの先端には細長開口部82が設けられる。また、パッキン80の底面には外周に沿う形態で短い長さの外周リブ80dが垂下している。この外周リブ80dの形状は蒸気結露部70の形状より若干大きい相似形で、蒸気結露部70の外周端に外方より嵌合する。
【0063】
その取付けは、まず、蒸気結露部70の外周端上にパッキン80の外周リブ80dを嵌合し、その後、カバー部材76を取り付け、ねじ開口77a、77aからねじを挿通し、挿通したねじを蒸気結露部70の結露部ねじ開口71bに螺合してカバー部材76及びパッキン80を蒸気結露部70にねじ止めする。
【0064】
蒸気結露部70にカバー部材76及びパッキン80をねじ止めすると、カバー部材76のリブ78によりカバー部材76とパッキン80との間にカバー空間83が形成される。このカバー空間83はパッキン80に設けられる複数個の開口部81を介して蒸気結露部70内と連通する。そのため、蒸気結露部70の表面積が増大して蒸気の結露効率が高まる。
【0065】
蒸気等の流れを
図3により説明する。容器本体20内に水を入れて押動スイッチ36をオンすると、加熱手段により内部の水が沸騰する。すると矢印(1)で示すように発生した蒸気は、下部室49より第1蓋蒸気開口62及び第1肩蒸気開口32を介して蒸気検知部38が配置される取手空間37に流入し、蒸気検知部38が蒸気を検知すると押動スイッチ36をオフする。即ち、蒸気検知部38は発生初期の蒸気を検知して押動スイッチ36をオフするため、蒸気の発生量を低く抑えることができる。
【0066】
次いで取手空間37内の蒸気は、矢印(2)で示すように第2肩蒸気開口33、第2蓋蒸気開口63及び蒸気導入口74を介して蒸気結露部70内に流入し、ほぼ全ての蒸気が結露する。そして、結露後の空気は矢印(4)で示すように連通路75を通って中空室52に至り、その後矢印(5)、(6)を通って注出口31から外部に出る。
【0067】
ところで、蒸気結露部70内で結露した結露水は蒸気結露部70内に溜まるが、連通路75の連通路入口75aは蒸気結露部70の底部より高い位置にあるため、給湯時以外に電気ケトルSを注出口31側に傾けても蒸気結露部70内の結露水が容易に流出することはなく、また、2回目以降の湯沸かし時の蒸気圧や蓋体40の取付時の圧力によっても結露水が注出口31から吹き出ることもない。
【0068】
なお、蒸気結露部70内に開口する蒸気導入口74は蒸気結露部70の底部近傍に設けられているため、蒸気結露部70に結露水がある量溜まると溜まった結露水は、前記した蒸気が流れる経路を逆に流れて容器本体20内に戻る。このように蒸気導入口74を蒸気結露部70の底部近傍に設けることにより蒸気結露部70に溜まる結露水を低減することができる。ところで、給湯時、電気ケトルSを傾けることにより蒸気結露部70内の結露水は中空室52に流出し、湯とともに排出される。
【0069】
図8に連通路の変形例を示す。上記したものとの相違は連通路のみであり、その他については同じであり同じ符号で示す。
【0070】
この例のものは、連通路90を傾斜し、その上流側の先端を連通路入口90aにするものである。このようにすることによっても上記のものと同様な効果を奏することができるとともに、連通路90内に結露水が溜まる弊害をも防止することができる。
【0071】
図9に連通路の更なる変形例を示す。上記したものとの相違は連通路のみであり、その他については同じであり同じ符号で示す。
【0072】
この例のものは、連通路95を水平にし、その上流側の先端を連通路入口95aにするものである。このようにすることによっても上記のものと同様な効果を奏することができる。この例の場合、連通路入口95aは中空室52の上端部近傍になる。なお、この例のものでは連通路95内に結露水が溜まる恐れがある。反面この例のものは、給湯時に電気ケトルSを傾けた場合の蒸気結露部70内の結露水の排出は他のものに比べてよくなる利点を有する。
【0073】
本願発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。