(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱収縮性基材層は、80℃の温水に10秒間浸漬した時の、流れ方向または幅方向の少なくとも1方向に対する寸法収縮率が10%以上である熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
周縁部に前記熱溶着領域を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体を、前記熱溶融樹脂層が内側になるように対向させて周縁部を熱溶着して袋状に成形したことを特徴とする包装袋。
【背景技術】
【0002】
缶コーヒーや熱い飲料を入れる紙カップなどの場合、熱くて素手で持つのがためらわれるような場合がある。またレトルト食品など喫食に当って100℃まで加熱するものの場合には、火傷の危険性さえある。
【0003】
一方、冷凍食品の場合、流通、販売、冷蔵庫内での保存の各段階において、常温にさらされる機会があり、その都度結露が発生しやすい。
【0004】
包装材や包装袋に断熱性を持たせることができれば、これらの問題を解決することができるが、高価な断熱材層を1層付加することは、包装材のコストアップに直接影響するため、実用化が困難であった。
【0005】
熱収縮性フィルムが加熱によって収縮する性質を利用して、積層体に断熱性を発揮させようとする技術がいくつか知られている。特許文献1に記載された断熱発現容器は、熱収縮率の異なる基材を、間隔をあけた貼り合わせ個所で貼り合わせて積層体と成し、その積層体を貼り合わせ個所間に於ける熱収縮率が大きな方を内側として、薄肉容器の外壁面に固着又は装着してなる容器である。
【0006】
特許文献1に記載された断熱発現容器は、例えば紙カップの胴部の手で持つ位置に、この積層体を2枚貼り付けることにより、内容物の熱で積層体が膨らみ、断熱性を発揮するため、手で持っても熱くない紙カップが実現できるとしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された断熱発現容器は、容器の外壁面に接する面に熱収縮性基材を配置しているため、折角の熱収縮性基材が十分に収縮することができないという矛盾を内包している。
【0008】
特許文献2に記載された熱遮断性包装フィルムは、厚さ20〜100μmの熱収縮性フィルムの少なくとも片面に、厚さ6〜50μmの非熱収縮性フィルムが接着層を介して形成されている包装用フィルムであって、接着層が全面ではなく部分的に形成されており、かつ以下の条件を満足することを特徴とする熱遮断性包装用フィルムである。
a)熱遮断性包装用フィルムを熱収縮させた場合に、熱収縮性フィルムと非熱収縮性フィルムの接着層が形成されていない部分に空気による断熱層が形成されること。b)熱遮断性包装用フィルムを表面温度60℃の容器に被せた後、10%熱収縮させて、該容器を熱遮断性包装用フィルムで被覆したときの熱遮断性包装用フィルムの表面温度が、該容器の表面温度より1℃以上低下すること。
【0009】
特許文献2に記載された熱遮断性包装用フィルムは、熱収縮性フィルムが外側でも内側でもよく、かつ、他の容器に固着して用いるものではなく、装着して用いるものであるから、特許文献1に記載された断熱発現容器における問題点は克服されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載された熱遮断性包装フィルムは、熱収縮性フィルムと非熱収縮性フィルムとを部分的に接着したものであり、使用に当たっては、他の容器に被せた後に収縮させて使用するものである。従って、熱遮断性包装フィルム自体で包装容器を形成することはできない。
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、筒状あるいは袋状に容易に成形することができる、断熱性を有する積層体、並びにこの積層体を用いた包装材及び包装袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、2層以上のプラスチックフィルム層を有する積層体であって、
最外層である第1層に熱収縮性基材層を有し、
最内層に
熱シール性を有する熱溶融樹脂層を有し、
前記第1層と、これに隣接する第2層とは耐熱性接着剤層によって積層されており、
該耐熱性接着剤層がパターン状に形成されて10%以上の欠膠部分を有するパターンラミネート領域と、該耐熱性接着剤層が欠膠部分を有しない熱溶着領域とを
有し、前記欠膠部分では前記第1層と第2層とが接着しておらず、
熱収縮方向に対して先端部および後端部に前記熱溶着領域を有する、
ことを特徴とする積層体である。
【0014】
本発明に係る積層体は、最内層に熱溶融樹脂層を有し、かつ熱溶着領域を有するので、一般的な包装材料フィルムと同様に筒状や袋状に、自由に成形加工することができる。また積層体が加熱された時、パターン領域において、最外層の熱収縮性基材層が収縮するため、発生するしわにより空気層が生まれ、断熱性を発揮する。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、前記熱収縮性基材層が、80℃の温水に10秒間浸漬した時の、流れ方向または幅方向の少なくとも1方向に対する寸法収縮率が10%以上である熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、前記積層体が、ガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体である。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は
、請求項1または2に記載の積層体を、前記熱溶融樹脂層が内側になるように前記両端部を熱溶着して筒状に成形したことを特徴とする包装材である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、周縁部に前記熱溶着領域を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体を、前記熱溶融樹脂層が内側になるように対向させて周縁部を熱溶着して袋状に成形したことを特徴とする包装袋である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る積層体は、最内層に熱溶融樹脂層を有し、一方熱収縮性基材層からなる第1層と、これに隣接する第2層とが耐熱性接着剤層によって積層されており、該耐熱性接着剤層がパターン状に形成されて10%以上の欠膠部分を有するパターンラミネート領域と、該耐熱性接着剤層が欠膠部分を有しない熱溶着領域とに区画されているので、この熱溶着領域を利用して、一般的な包装材料フィルムと同様に、製袋加工その他熱溶着を伴う加工が可能であり、筒状や袋状に成形してさまざまな用途に応用できるものである。
【0020】
また本発明に係る積層体は、パターンラミネート領域が、加熱された際に、熱収縮性基材層が収縮することで、積層体にしわを生じ、空気層が生まれるため、断熱性を発揮する。このため、例えば電子レンジで加熱した食品を手で持って扱うことができる包装袋や、流通、販売時において霜が付着しにくい冷凍食品用包装袋などを実現することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明のように、熱収縮性基材層として、80℃の温水に10秒間浸漬した時の、流れ方向または幅方向の少なくとも1方向に対する寸法収縮率が10%以上である熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合においては、材料の入手も容易であり、熱収縮特性にも優れ、耐性的にもさまざまな用途に利用可能な積層体とすることができる。
【0022】
また請求項3に記載の発明のように、積層体が、ガスバリア層を含む場合には、長期保存を前提とした用途にも使用可能となる。また例えば、レトルト食品用包装袋に利用した場合、レトルト殺菌時の高温によって熱収縮性基材層を収縮させることができるので、改めて熱収縮工程を設ける必要がない。
【0023】
請求項4に記載の発明のように、熱収縮方向に対して先端部および後端部に熱溶着領域を有する積層体を、熱溶着樹脂層が内側になるように両端部を熱溶着して筒状に成形した包装材は、例えば熱くて手では持てない缶コーヒーの外筒などの用途に好適に用いられる。
【0024】
請求項5に記載の発明のように、周縁部に熱溶着領域を有する積層体を、熱溶着樹脂層が内側になるように対向させて周縁部を熱溶着して袋状に成形した包装袋は、断熱性を有する包装袋としてさまざまな用途に利用可能である。特にガスバリア層を含む積層体を用いた場合には、例えばレトルト食品用に用いた場合、加熱して喫食する際に、火傷する怖れもなく、安心して使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層体及びこれを用いた包装材並びに包装袋について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る積層体の一実施態様を示した断面模式図である。また
図2は、
図1の積層体を加熱した状態を示した断面説明図である。
【0027】
本発明に係る積層体(1)は、2層以上のプラスチックフィルム層を有する積層体であって、最外層である第1層に熱収縮性基材層(2)を有し、最内層に熱溶融樹脂層(6)を有する。本発明に係る積層体(1)は、第1層と、これに隣接する第2層とは耐熱性接着剤層(3)によって積層されており、耐熱性接着剤層(3)がパターン状に形成されて10%以上の欠膠部分(9)を有するパターンラミネート領域(7)と、耐熱性接着剤層(3)が欠膠部分を有しない熱溶着領域(8)と、を有することを特徴とする。
【0028】
図1に示した実施態様においては、第2層が熱溶融樹脂層(6)であり、第1層である熱収縮性基材層(2)と熱溶融樹脂層(6)とが、耐熱接着剤層(3)によって積層されている。この例では、積層体(1)の両端部が欠膠部分(9)を有しない熱溶着領域(8)となっており、中央部が欠膠部分(9)を有するパターンラミネート領域(7)となっている。
【0029】
図2は、
図1の積層体(1)を加熱した状態を示した断面説明図である。本発明に係る積層体(1)を加熱すると、熱収縮性基材層(2)は収縮するが、その他の層は、熱収縮性基材層(2)ほどには収縮しない。このため積層体(1)は、収縮によるしわ(10)を生じ、欠膠部分(9)に空気が入り込んで空気層(11)を生み出す。この空気層(11)としわ(10)とによって、積層体全体としての断熱効果が生まれる。
【0030】
図3、
図4は、本発明に係る積層体(1)の他の実施態様を示した断面模式図である。
図3に示した実施態様においては、最外層である熱収縮性基材層(2)と最内層である熱溶融樹脂層(6)との間に、中間層(4)が存在し、第2層となっている。熱収縮性基材層(2)と中間層(4)とが耐熱性接着剤層(3)によって積層されており、耐熱性接着剤層(3)が欠膠部分(9)を有するパターンラミネート領域(7)が形成されている。中間層(4)と熱溶融樹脂層(6)とは、接着剤層(5)によって積層されている。
【0031】
図4に示した実施態様においては、さらに中間層(4)の熱溶融樹脂層(6)側にガスバリア層(12)が形成されている。ガスバリア層(12)は、この例では、中間層(4)の裏面側に直接設けられているが、独立した層であってもよい。
【0032】
次に積層体(1)を構成する各層の材料について説明する。
熱収縮性基材層(2)としては、一般的にシュリンク包装等に使用するシュリンクフィルムを用いることができる。材質としては、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などが一般的である。これらの中でも、80℃温水浴に10秒間浸漬した時の、流れ方向または幅方向の収縮率が、10%以上であるPETフィルム(S−PET)は、本発明の積層体には最も適している。
【0033】
中間層(4)としては、各種の包装材料用フィルムを用いることができる。例を挙げれ
ば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸PETフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONY、NY)などである。
【0034】
熱溶融樹脂層(6)としては、包装材料用のシーラント層として用いられる各種材料が使用可能である。例としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
【0035】
ガスバリア層(12)としては、中間層(4)や熱溶融樹脂層(6)として用いるフィルムの表面にアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などを蒸着したガスバリアフィルムの他、各種ガスバリア性フィルムを使用することができる。ガスバリア性フィルムの例としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムが挙げられる。またアルミニウム箔などの金属箔を用いることもできる。
【0036】
耐熱性接着剤層(3)としては、公知の熱硬化型接着剤を用いることができる。具体的には、ポリイソシアネート硬化型ポリウレタン樹脂接着剤、紫外線硬化型アクリルウレタン樹脂接着剤などである。
【0037】
図5は、本発明に係る積層体(1)の一実施態様を示した平面模式図である。また、
図6は、
図5に示した積層体(1)を筒状に加工した包装材(13)の一例を示した断面模式図である。
【0038】
図5に示した例では、高さ100mm、幅250mmの積層体(1)において、中央部に耐熱性接着剤層がドット状に形成されたパターンラミネート領域(7)が設けられており、左右両端部すなわち熱収縮方向(16)に対して先端部および後端部に、欠膠部分のない幅10mmの熱溶着領域(8)が設けられている。
【0039】
この積層体(1)を熱溶融樹脂層(6)が内側になるように円筒状に丸めて、両端の熱溶着領域(8)を、熱溶融樹脂層(6)同士が対向するように重ね合わせて熱シールし、さらにシール部分を折り返して外面に接着すると
図6に示したような円筒状の包装材(13)ができ上がる。
【0040】
この包装材(13)は、高さ105mm、直径64mmのボトル(15)に被せて、熱風で加熱することにより、表面が細かいしわ状になると共に全体が収縮してボトル表面に密着する。包装材(13)は、しわと空気層の働きにより、断熱性を発揮するため、ボトル内に熱い飲料などを収納しても容易に手で持つことが可能となる。
【0041】
図7は、本発明に係る積層体(1)を袋状に加工した包装袋(14)の一例を示した斜視図である。この例では、2枚の積層体を熱溶融樹脂層が内側になるように対向させて周縁部を熱溶着して袋状に成形したものである。周縁部には耐熱性接着剤層(3)が欠膠部分を含まない熱溶着領域(8)が設けられているので、容易に熱シールすることができる。また熱シール強度も十分に発揮させることができる。
【0042】
一方、包装袋(14)の中央部分は、全面がパターンラミネート領域(7)となってお
り、全面にしわ(10)とこれに基づく空気層(11)が形成されているため、断熱性が発揮される。この包装袋(14)をレトルト食品用の包装袋として用いると、加熱直後の高温の状態でも手で触ることができるし、また冷凍食品用の包装袋として用いると結露しにくい包装袋として利用することができる。
【0043】
図8〜11は、パターンラミネート領域(7)における耐熱性接着剤層(3)の塗布パターンの例を示したものである。
図8の例では、直径1.5mmのドット状に塗布された耐熱性接着剤層(3)が、3mmピッチで配列されている。従って接着剤の着肉面積率は、約20%である。
【0044】
図9の例では、耐熱性接着剤層(3)がちりめん模様状に塗布されており、接着剤の着肉面積率は、約60%である。
【0045】
図10の例では、耐熱性接着剤層(3)が、幅5mmのストライプ状に塗布されており、接着剤の着肉面積率は、50%である。
【0046】
図11の例では、直径0.3mmのドット状に塗布された耐熱性接着剤層(3)が、0.5mmピッチで配列されている。従って接着剤の着肉面積率は、約30%である。
以下実施例に基いて、本発明に係る積層体及びこれを用いた包装材、包装袋についてさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0047】
カップ用スリーブについて検討した。層構成としては、熱収縮性基材層/印刷層/耐熱性接着剤層(パターンコート)/熱溶融樹脂層とした。
まず、熱収縮性基材層の裏面に印刷加工を施した後、印刷面にドライラミネート用接着剤(三井武田ケミカル社製 A626)をパターン状に塗布し、熱溶融樹脂層(シーラントフィルム)と貼り合わせ、積層体を得た。
【0048】
積層体の熱溶融樹脂層面を内側にして端部を熱シールして筒状に成形し、スリーブ状の包装材とした。この包装材をカップ容器に被せ、シュリンク加熱用トンネルを通してカップ容器に密着させると同時に表面にしわを発生させた。
【0049】
<包装材の評価>
このカップ容器について、シュリンク適性と断熱性を評価した。シュリンク適性は、シュリンク時に、スリーブがカップに密着していれば○、密着せず不均一な浮きや脱落が発生する場合は×とした。また断熱性は、カップに90℃の湯を注ぎ、スリーブ表面温度が手で持てる温度(60℃)以下であれば○、60℃を超える場合は×とした。
【0050】
熱収縮性基材層の材質、銘柄、熱溶融樹脂層の材質、銘柄、及び耐熱性接着剤層の塗布パターンを変化させて、実施例1〜5、比較例1、2の各積層体を作成し、同様にスリーブを作成して評価した。これらを表1に示す。
なお表中の略号、銘柄名等は、以下の通りである。
熱収縮性基材層:
TAS:グンゼ社製 熱収縮性PETフィルム(S−PET)
TNB:グンゼ社製 熱収縮性PETフィルム
RX40S:三菱樹脂社製 熱収縮性PETフィルム
S2600:東洋紡社製 熱収縮性PETフィルム
GMPS:グンゼ社製 熱収縮性PSフィルム(S−PS)
E5100:東洋紡社製 PETフィルム(非熱収縮性)
熱溶融樹脂層(シーラントフィルム):
MCS:三井化学東セロ社製 LLDPE TUX(商品名)MC−S
Lスマート:三井化学東セロ社製 LLDPE エルスマート(商品名)
UB106:タマポリ社製 LLDPE UB106
ES1:グンゼ社製 ヒートシールOPP(HSOPP) ES1
FHK2:フタムラ化学社製 CPP FHK2
【0051】
【表1】
【0052】
実施例1〜5では、熱収縮性基材層の欠膠部分が収縮した結果、熱溶融樹脂層に凹凸ができ、挿入したカップ表面との間に空気層を形成した状態で全体が収縮するためシュリンク適性は良好であった。また断熱性については、フィルムの種類、厚さ、接着パターン等により差があるが、いずれも取扱い適性は良好であった。
【0053】
これに対して比較例1、2では、シュリンクトンネル通過後も収縮せず、カップ容器への装着ができなかった。
【0054】
次に、包装袋について検討した。層構成としては、熱収縮性基材層/印刷層/耐熱性接着剤層(パターンコート)/中間層/接着剤層(ベタ)/熱溶融樹脂層とした。
まず、熱収縮性基材層の裏面に印刷加工を施した後、印刷面にドライラミネート用接着剤(三井武田ケミカル社製 A626)をパターン状に塗布し、中間層のフィルムと貼り合わせた。次いで中間層のフィルム面に上記と同じドライラミネート用接着剤を全面に塗布し、熱溶融樹脂層(シーラントフィルム)と貼り合わせ、積層体を得た。
【0055】
積層体を常温でエージングし、接着剤を完全に硬化させた後、シーラント面を対向させて3辺を熱シールし、袋状に製袋した。この包装袋に調理済みのミートボールを調理ソースと共に充填し、開口部を150℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールして密封した後、ボイル槽に浸漬して90℃、30分の殺菌処理を施した。
【0056】
<包装袋の評価>
包装袋について、霜付き防止効果と断熱性について評価した。上記の包装体を−18℃で冷凍保存した後、店頭陳列用冷凍庫(−5℃)に1週間陳列した際に霜が包装体の正面についた場合は×、付かなかった場合は○と評価した。
【0057】
また断熱性の評価として、包装体を沸騰した湯に浸漬し、10分間温め調理を行った後、取り出し、包装体表面が手で持てる温度(60℃以下)であれば○、60℃を上回る場合は×と評価した。
【0058】
各層の材質、厚さ、銘柄等を変化させて実施例6〜10及び比較例3、4のサンプルを作成した。その結果を表2に示す。なお、表中の略号、銘柄名等は、以下の通りである。但し表1と共通のものは、省略した。
中間層、ガスバリア層:
M251:ユニチカ社製 ガスバリア性ナイロン複層フィルム エンブロン
(商品名)M251
GL−ARH:凸版印刷社製 ガスバリア性アルミナ蒸着PETフィルム
GL−ARH(商品名)
GL−AEY:凸版印刷社製 ガスバリア性アルミナ蒸着ナイロンフィルム
GL−AEY(商品名)
ONBC:ユニチカ社製 ナイロンフィルム エンブレム(商品名)ONBC
熱溶融樹脂層(シーラントフィルム):
LIX−NP:東洋紡社製 LLDPE リックス(商品名)フィルム NP
TUX−HZ:三井化学東セロ社製 LLDPE T.U.X(商品名)−HZ
【0059】
【表2】
【0060】
実施例6〜9では、熱収縮性基材層の欠膠部分が収縮した結果、中間層/熱溶融樹脂層に凹凸ができ、表面との間に空気層を形成した結果、霜防止性、断熱性については、フィルムの種類、厚さ、接着パターン等により差があるが、いずれも保存性、取扱い適性とも良好であった。実施例10では、霜防止性、断熱性については、同等であったが、ガスバリア層がないため、賞味期限は短くなった。
【0061】
これに対して、比較例3、4では、ボイル殺菌後も第1層が収縮しないため霜防止性、断熱性とも得られなかった。
【0062】
以上のように、本発明に係る積層体は、内面にシーラント層を有するため、通常の加工方法によって、スリーブ等の包装材や包装袋等に加工することができる。そして加熱によって表面にしわを発生するため、断熱性が生まれ、霜付着防止効果や断熱効果を発揮する。