(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正極または前記負極の集電体から導出された複数のタブと前記ラミネート外装体の内部で前記複数のタブと接続され、前記ラミネート外装体の外部へ導出されているリードとを有し、前記ラミネート外装体は、前記リードの周辺に前記ハードコート層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
前記複数のタブと前記リードとの接続部分の周辺に設けられている前記ハードコート層は、当該ハードコート層と前記金属層との間に前記熱融着性樹脂層が設けられていないことを特徴とする請求項3に記載の電気化学素子。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握されうる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0024】
電気化学素子とは、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタなど非水電解液を用いた、蓄電素子および、1次電池を含む。本実施形態では、リチウムイオン二次電池の例で説明する。本明細書において、「蓄電要素」は、電気的エネルギーを貯蔵する機能を有するものをさす。リチウムイオン二次電池を例にとると、具体的には、正極、負極、セパレータ、及び非水電解液とから構成される。
【0025】
尚、本明細書において、「ハードコート層」或いは「ハード性を有する」とは、JIS K5400で示される鉛筆硬度試験でH以上の硬度を示す絶縁性の樹脂層をいう。
【0026】
(実施形態1)
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電気化学素子10は、正極30と、負極20と、セパレータ40と、非水電解液とからなる蓄電要素15と、蓄電要素15を封入するラミネート外装体11とからなる。
図2は、
図1の電気化学素子10を
図1のA−A’の線でラミネート外装体に垂直に切った際の断面を模式的に示した図である。ラミネート外装体11は、樹脂層53、金属層52、熱融着性樹脂層51、ハードコート層50が順に積層されている。ハードコート層50は、熱融着性樹脂層51の内側の上下の面に一部だけ設けられている。また、セパレータ40は、正極30と負極20との間に存在し、非水電解液を保持する機能を有する。また、蓄電要素15は正極30および負極20を有している。正極30は正極合剤層31及び正極集電箔32が積層されており、負極20は負極合剤層21及び負極集電箔22が積層されている。正極集電箔32及び負極集電箔22はそれぞれから導出された、正極のタブ17、負極のタブ16を有している。それぞれのタブ16、17は、正極合剤層31及び負極合剤層21が積層されていない部分であり、電流を取り出すためにラミネート外装体11の内部でそれぞれ正極の電流取出し用リード13、負極20の電流取出し用リード12と接続される。電流取り出し用リード13、14はラミネート外装体11の外部にその一部が導出されている。さらにシーラント14は、ラミネート外装体を袋状にする際の熱融着時に熱融着領域と交差する部分に該当するリード13上に領域にある。なお、正極または負極を「電極」と呼ぶことがある。
【0027】
以下に、内側の一部にハードコート層50を有するラミネート外装体11について説明する。
【0028】
<ラミネート外装体>
図3に本実施形態の内側の一部にハードコート層を有するラミネート外装体を模式的に示し、構造について説明する。本実施形態の内側の一部にハードコート層50を有するラミネート外装体11は、外側から、樹脂層53、金属層52、熱融着性樹脂層51、ハードコート層50の順に積層されている。熱融着樹性脂層51はラミネート外装体11を袋状とする際に用いるため、ラミネート外装体の外周部周辺に連続して一周するよう設けられていればよい。
【0029】
<ハードコートの材料>
ハードコート層50を形成する材料は活性エネルギー線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂とに大別され、活性エネルギー線硬化型樹脂としては、UV光や、電子ビームなどを用い、熱硬化型樹脂は指定の熱量を与えることで、硬化する。電気化学素子10用のラミネート外装体は内側に熱融着性樹脂層を有しているため、活性エネルギー線硬化型のハードコート材料を使用することが望ましい。ハードコート層50の硬化時に熱融着性樹脂層が溶け出すことなく硬化できるためである。
【0030】
ハードコート層50を形成するのに好適な活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等が好適な例として挙げることができる。また、上記材料はアクリレート系の官能基を有している。
【0031】
更に、上記の活性エネルギー線硬化型樹脂を紫外線により硬化させるには、この樹脂中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類を混合し、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることもできる。
【0032】
活性エネルギー線硬化型樹脂形成用組成物に、活性エネルギー線に反応しにくい樹脂を組成物全体中で約50重量%を占める量までの範囲で混合することで、ハードコート層11の硬化時の架橋密度を低く設定することができ、ハードコート層11の可撓性が向上し、ハードコート層11でのクラックの発生を低減することができ好ましい。
【0033】
金属層52には、一般にアルミニウムやその合金の箔、ステンレス箔などを用いることができる。特に、アルミニウムおよびアルミ合金は軽いためアルミ箔を用いたアルミラミネート外装体は、電気化学素子10の外装体として望ましい。
【0034】
熱融着性樹脂層51は、種々のオレフィン樹脂を用いることができ、たとえば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン系のアイオノマー及びポリプロピレンを代表とするポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。
【0035】
また、外側の樹脂層53は、外力による傷防止のために、金属層52より外側に設けられる最外層である。ポリエチレンテレフタレート(PET)誘導体やナイロン誘導体などの材料を用いることが望ましい。
【0036】
また、樹脂層53、金属層52、熱融着性樹脂層51、ハードコート層50の各層の間には接着層を有していてもよい。
【0037】
一般に、蓄電要素15は、種々の角部、突起部を有し、ラミネート外装体11の熱融着性樹脂層に傷をつけてしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態の電気化学素子10は、ラミネート外装体11の内側の少なくとも一部にハードコート層50を有する。そのため、ラミネート外装体11に封入される蓄電要素15によって、ラミネート外装体11を傷つけることが減り、その結果、正極と負極のリード間の電気抵抗値を高く保つことできるため、電気化学素子10の自己放電特性が向上する。非水電解液を用いた電気化学素子の場合には、非水電解液による腐食及びこれに伴う電気抵抗値の低下を防ぐことができる。
【0038】
蓄電要素15が有する角部および突起部とハードコート層50の関係について、さらに詳細に説明する。
【0039】
角部及び突起部の例としては、負極の電流取出し用リード12と負極タブ16との接続部分、正極の電流取出し用リード13と正極タブ17との接続部分がある。特に、表層側の負極タブ16、または、表層側の正極タブ17の一部が折れ曲がった結果発生すると突起部60となる。蓄電要素15の最外層の端も角部61として挙げられる。特に電極の集電箔が折れ曲がった場合には、角部61が突起部となる。また、捲回された蓄電要素15は捲回体の端の部分が角部や突起部となる。
【0040】
たとえば、正極30や負極20とラミネート外装体10の金属層52との間の電気抵抗値は1MΩ以上あると、ラミネート外装体10の金属層13を介しての短絡電流を大幅に低減でき、自己放電特性のよい電気化学素子を得ることができる。
【0041】
本実施形態のラミネート外装体11が有するハードコート層50は、H以上の鉛筆硬度を有し、また、電気的絶縁性を有しているため、製造時や、使用時の振動などがあっても、前述の突起部60及び角部61によって樹脂層50や、金属層52が傷つけられることが減り、正極30や負極20とラミネート外装体11の金属層52との間の電気抵抗値を1MΩ以上に保つことができる。また、前記電気抵抗値が1MΩ以上あると、ラミネート外装体10の金属層13を介した正極30と負極20との間の電気抵抗値を2MΩ以上にすることができ、自己放電特性がよく電気的な信頼性が高い電気化学素子を得ることができる。
【0042】
また、ハードコート層51にアクリル樹脂材料を用いた場合は、特に、耐熱性も有しているため、高温での信頼性も向上させることができる。通常、熱融着性樹脂層51は他の層よりも軟化温度が低く設定されている。そのため、たとえば一般的な熱融着150℃程度以上の高温に長時間さらされると軟化し、蓄電要素15やリード16によって傷つけやすくなる。また、熱融着性樹脂層51が軟化すると、蓄電要素15に用いられる活物質や導電助剤と混ざりあうことがあり、熱融着性樹脂層51の電気抵抗値が低下する傾向がある。ラミネート外装体11の金属層52よりも内側にハードコート層50を有することで、熱融着性樹脂層51の軟化点以上の高温環境下において、ラミネート外装体11を介した急激な短絡を起こす可能性を下げることができる。
【0043】
<ハードコート層を有するラミネート外装体の作製方法>
熱融着性樹脂層51と外側の樹脂層53と金属層52とを積層する方法は、予めフィルム状に成膜された熱接着性樹脂層のフィルムを、ドライラミネーション法を用い、容易に行うことができる。
【0044】
ハードコート層50の塗布方法としては、一般にメタルマスク印刷法、スプレー法、ディップ法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などを使用することができる。ドクターブレード法、グラビアコート法は量産性に優れ、スプレー法、ディップ法は絞り工程を行い凹状になったラミネート外装体11にでも適合でき、望ましい。
【0045】
ハードコート層50のパターニングは、マスキングテープなどを用いて容易に行うことができるが、スクリーン印刷法や、間欠塗工やストライプ塗工などの手法を用いてパターニングすることができる。ハードコート層50は熱融着性を有しないため、ラミネート外装体11の最内側にハードコート層50を塗工する場合は、全面に塗布すると袋状に熱融着させることはできない。そのため、熱融着性樹脂層51が最内側になる領域が必要となり、当該領域は必ずラミネート外装体11の周囲を一周するようにパターニングする必要がある。その際、熱融着性樹脂層51を同時にパターニングしてもよいし、ハードコート層50のみをパターニングしてもよい。
【0046】
<電気化学素子>
本実施形態の電気化学素子10は、上述工程を経ていられたラミネート外装体11のほかに、蓄電要素15を形成する、正極30と、負極20と、セパレータ40と、非水電解液と、電流取り出し用リード13からなる。以下に、正極30と、負極20と、セパレータ40と、非水電解液と、電流取り出し用リード13について説明する。
【0047】
正極30及び負極20は、正極集電箔22と負極集電箔32上にそれぞれ形成された正極合剤層31と負極合剤層21から形成される。
【0048】
正極合剤層31には、広く一般にリチウムイオンを放出可能な正極活物質を使用することができる。負極合剤層21には、炭素材料などの広く一般にリチウムイオンを吸脱着できる負極活物質を用いることができる。
【0049】
また、正極30、負極20共に適宜、ポリフッ化ビリニデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル誘導体、ウレタン誘導体などのバインダーと導電助剤を混合させるとよい。
【0050】
また、正極集電箔32と負極集電箔22は、電気化学素子の使用する素子の形状やケース内への集電箔32,22の配置方法などに応じて、適宜一般の集電箔から選択すればよい。一般に、リチウムイオン二次電池の正極集電箔32にはアルミニウムやその合金が、負極集電箔22には銅、ニッケル等が使用される。また、一般に、電気二重層キャパシタの集電箔32、22には、エッチングされたアルミニウムが使用される。
【0051】
非水電解液は、広く使用されている非水電解液を用いることができる。また、非水電解質に代えて、ゲル状の電解質及び無機物あるいは有機物の固体電解質を広く用いることができる。
【0052】
非水電解液は、例えば溶媒と塩を含む物を用いることができ、これは適宜添加物を含んでいてもよい。
【0053】
非水電解液の溶媒には、リチウムイオン伝導性のある溶媒が望ましい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状炭酸エステルを単体または適宜組み合わせて使用することができる。電気伝導度を高くし、かつ適切な粘度を有する非水電解液を得るため、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフルオロカーボネート(FEC)、アセトニトリル等を併用してもよい。非水電解液中の塩には、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、四フッ化ホウ酸トリメチルエチルアンモニウム塩、六フッ化リン酸トリメチルエチルアンモニウム塩などを用いることができる。
【0054】
非水電解質を保持するセパレータ40は、多孔質の膜であり、ポリオレフィンやセルロースの材質のものを使用することができる。
【0055】
電流取出し用リード13は、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属を広く用いることができ、電流を低抵抗にて取り出せるようにするために、0.1mm以上の厚さがあることが望ましい。前記リードには、ポリオレフィン等を用いたシーラント14を用いることができる。
【0056】
<電気化学素子の製造方法>
正極および、負極の製造は、まず、活物質と必要に応じ、導電助剤を、バインダー溶液に分散し塗布液を調製する。そして、この電極塗布液を集電体に塗布し、合剤層を集電体上に作製する。塗布する手段は、特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。その後、必要に応じ圧延処理を行うことができる。
【0057】
作製された、電極を所定の大きさにしたのちに、セパレータを介して正極と負極とが対向するように、捲回もしくは交互に積層する。
【0058】
その後、正極および負極の集電体から、電流取り出し用リードを超音波融着等の手法を用いて取り付ける。
【0059】
ラミネート外装体に、所定の形状に絞り加工を施したのちに、セパレータを介して正極と負極を対向させた状態で挿入した後、非水電解液が加えられる。
【0060】
非水電解液を加え、注液に用いたラミネート外装体の開口部を真空シールすることで完全に密閉する。熱融着性樹脂層51と対向する熱融着性樹脂層51とを互いに熱融着することによって容易に袋状にでき、密閉状態を形成することができる。
【0061】
(実施形態2)
本実施形態では、
図4に示した電気化学素子100について、特に実施形態1と異なる部分について述べる。
図4は、
図2と同様に、負極の電流取出し用リード106の取出し方向に平行かつ電極平面に垂直な平面での、電気化学素子100を模式的に示した断面図である。
【0062】
ラミネート外装体103は、外側から樹脂層107、金属層108、熱融着性樹脂層109、ハードコート層102の順に構成される。また、蓄電要素104には、正極および負極のそれぞれから導出された、複数の正極タブ、複数の負極タブ105、及びそれぞれのタブに接続された正極の電流取出し用リード、負極の電流取出し用リード106を有する。なお、正極タブと正極の電流取出し用リードについては図示されていないが、負極のタブ105と負極の電流取出し用リード106と同様に取り扱うことができる。
【0063】
また、本実施形態の電気化学素子100のラミネート外装体103のハードコート層102は、正極の電流取出し用リードおよび負極の電流取出し用リード106の周辺に設けられている。ここで、リードの周辺とは、ラミネート外装体103の内側で、それぞれのリードと対向する領域とその周囲を指す。リードと対向する領域のうちは、ラミネート外装体103のうちリードとラミネート外装体103の最内層とが直接接する領域に設けることが好ましい。また、リードと対向する領域の周囲とは、電気化学素子の製造後にリードが接触する可能性のある範囲を含めばよく、リードと対向する領域から外側にそれぞれのリードの厚さの2倍の距離以上あることが好ましい。より具体的には、製造時の位置ずれの公差に加えてリードの厚さの2倍程度の距離が好ましい。一般的には製造時の位置ずれの交差は、5mm以下である。
【0064】
本実施形態の電気化学素子100の蓄電要素104からは、複数の負極タブ105が導出されている。複数の負極タブを用いると、例えば1つの蓄電要素の容量が5Ah以上の場合に、電気化学素子の内部抵抗値を低く設定することができる。その際、タブを複数とすることで、タブの強度が増してしまい、ラミネート外装体103を傷つける要因となりうるが、ラミネート外装体103の内側で、それぞれのリードと対向する領域と、リードの周囲に鉛筆硬度H以上のハードコート層102を有することで、自己放電特性の良好な電気化学素子100を得ることができる。
【0065】
さらに、電気化学素子100から、10A以上の電流を取り出す場合は、さらに電気化学素子100の内部抵抗を低く設定する必要がり、正極の電流取出し用リードや負極の電流取出し用リード106の厚さについても増す必要がある。その際、負極の電流取出し用リードは、50μm以上の厚さが望ましく、ラミネート外装体103の内側で、それぞれのリードと対向する領域と、リードの周囲に鉛筆硬度H以上のハードコート層102を有することで、自己放電特性の良好な非水電気化学素子100を得ることができる。
【0066】
さらに、100A以上の電流を取り出す電気化学素子100用の負極の電流取出し用リードであれば、100μm以上の厚さが望ましく、その場合は、ラミネート外装体103の内側で、それぞれのリードと対向する領域と、リードの周囲に鉛筆硬度2H以上のハードコート層102を有することで、自己放電特性の良い電気化学素子100を得ることができる。
【0067】
(実施形態3)
本実施形態では、
図5に示した電気化学素子200について、特に実施形態1と異なる部分について述べる。
図5は、
図2と同様に、負極の電流取出し用リードの取出し方向に平行かつ電極平面に垂直な平面での、電気化学素子200を模式的に示した断面図である。なお、複数の正極タブおよび、正極の電極取出し用リードは図示されていないが、複数の負極タブ206および、負極の電流取出し用リード201と同様に取り扱うことができる。
【0068】
本実施形態の電気化学素子200のラミネート外装体203は、外側から順に樹脂層209、金属層208、熱融着性樹脂層207、ハードコート層204から構成される。また、ラミネート外装体203の内部に配置される図示しない蓄電要素から、複数の負極タブ206、複数の負極タブ206に接続された負極の電流取出し用リード201、負極電流取り出し用リード201の一部に設けられたシーラント202を有する。ハードコート層204は、複数の負極タブ206と負極の電流取出し用リード201の接続部分の周辺に設けられている。また、同様に、複数の正極タブと正極の電流取出し用リードとの接続部分の周辺にもハードコート層204が設けられている。
【0069】
ここで、複数の負極タブ206とそれぞれのリード201との接続部分の周辺とは、ラミネート外装体203において、それぞれのリード201とそれぞれの複数の負極タブ206との接続部分に対向する領域及び接続部分に対向する領域の周囲である。
【0070】
負極の電流取出し用リード201と複数の負極タブ206との接続部分に対向する領域は、ハードコート層50が設けられていない場合にラミネート外装体203の内面と接続部分とが直接接する領域をいう。負極の電流取出し用リード201と複数の負極タブ206とは、複数の負極タブ206同士及びひとつまたは複数の負極タブ206及び負極の電流取出し用リード201が接続部分において直接接続されている。接続部分は、直接接続されている箇所だけでなく、接続するために負極の電流取出し用リード201及び複数の負極タブ206がたばねられてまとまっている部分を含む。そして、負極の電流取出し用リード201及び複数の負極タブ206は、超音波融着法、抵抗溶接法、レーザー溶接法などの方法によって接続される。
【0071】
負極の電流取出し用リード201と複数の負極タブ206との接続部分に対向する領域の周囲とは、それぞれの複数の負極タブ206の全体の厚さ、もしくは、それぞれのリード201の厚さの大きい方の2倍の距離以上あればよい。5mm以下の範囲をいう。
【0072】
なお、ここでは、負極の電流取出し用リード201及び複数の負極タブ206を例に挙げて説明したが、正極タブ及び正極の電流取り出し用リードについても同様に取り扱うことができる。
【0073】
たとえば10枚以上の複数の負極タブ206と、リード201とを接続する際には、融着時の圧力などの融着時に用いるエネルギーを大きくする必要がある。そのため、融着部周辺のタブ206が突起部205を発生しやすく、ラミネート外装体203の内側を傷つけやすい。ラミネート外装体203内側の複数の負極タブ206とリード201との接続部分の周辺にハードコート層204を設けることで、電気抵抗値が高く自己放電特性の良い、電気化学素子を得ることができる。
【0074】
(実施形態4)
本実施形態では、
図6および
図7に示したラミネート外装体300を用いた電気化学素子について、特に実施形態1と異なる部分について述べる。なお
図7は
図6のB−B’でラミネート外装体300を垂直に切った際の断面図を模式的に示した図である。本実施形態の電気化学素子のラミネート外装体300は、外側の樹脂層304、金属層303、金属層303の内側にハードコート層301及び熱融着性樹脂層302を有する。ハードコート層301と金属層303との間に熱融着性樹脂層302を有しない点が特徴である。
【0075】
金属層303と、ハードコート層301との間に熱融着性樹脂層302を有しないことで、熱融着工程において、熱融着性樹脂層302と共にハードコート層301が流れ出てしまう恐れがなくなる。
【0076】
特に、強い熱融着工程が必要となるのは、長期の信頼性を保つために、金属層303を厚くした場合などで、ラミネート外装体を袋状とする際に、強い条件での熱融着を必要とする。
【0077】
上記のような、熱融着工程を用いても、ラミネート外装体300の金属層303とハードコート層301との間に、熱融着性樹脂層を有しないことで、自己放電特性のよい電気化学素子を得ることができる。
【0078】
(実施形態5)
本実施形態では、
図8および、
図9に示したラミネート外装体400を用いた電気化学素子について、特に実施形態1と異なる部分について述べる。本実施形態の電気化学素子で用いられるラミネート外装体400は、金属層403とハードコート層401と外周のハードコート層405と熱融樹脂層402と外層の樹脂層404を有している。ここで、ハードコート層401と外周のハードコート層405と金属層403との間に熱融着性樹脂層402を有していてもかまわないが、外周のハードコート層405と金属層403の間には、熱融着性樹脂層402がないほうが望ましい。
【0079】
ラミネート外装体400の外周部にハードコート層405を有することで、熱融着性樹脂層402の熱融着性樹脂が、ラミネート外装体400の外側に流れ出る恐れがなくなり、熱融着性樹脂層402が薄くなりすぎることがなく、自己放電特性の良い電気化学素子を得ることができる。また、特に容量の大きい電気化学素子の場合、ラミネート外装体400を袋状にする際のシール条件を高温側へシフトしより強い熱融着が求められる。外周部にハードコート層405を有することで、容量の大きい電気化学素子でも、熱融着性樹脂402の熱融着樹脂の流出が少なくすみ、適切量の熱融着性樹脂にて熱融着が行えるため、自己放電特性などの信頼性を向上させることができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
実施例1では、ハードコート層を内側に有するラミネート外装体を用い、シーラントを有するリードを熱シールした後に、電気抵抗値と、樹脂の流失に関して評価した。また、電気化学素子を作製し、自己放電試験を行った。
【0082】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
最外層としてポリエチレンテレフタレート(厚み30μm)のシートと、金属層としてアルミニウム(厚み30μm)のシートと、熱融着性樹脂としてポリプロピレンのシート(厚み30μm)とを用意し、接着剤を用いて張り合わせて長方形のラミネート外装体(100mmx200mm)を得た。その後、ドクターブレード法を用いてポリプロピレン上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布した。その際、ラミネート外装体の最外周部から3mm程度幅で、活性エネルギー線硬化型樹脂を有しないようにパターニングした。その後に、UV光を照射し、活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させ、内側にハードコート層を有するラミネート外装体を得た。その際、ハードコート層はH以上の鉛筆硬度を示した。
【0083】
(タブとリードの作製)
ニッケル製のリード(幅2mm、長さ20mm、厚さ0.5mm)とシーラントとしてポリプロピレンとを用意し、シーラントでニッケルリードをはさんで取り付けた。また、銅箔(12μm)を10枚と、ニッケルリードを1枚用意し、銅箔10枚の上にニッケルリードを乗せ、超音波融着機を用いて、融着させた。
【0084】
(テストピースの作製と樹脂の流出確認)
内側にハードコート層を有するラミネート外装体の熱融着性樹脂層が対向し、重なるように半分に折った。その後、銅箔10枚が超音波融着されたニッケルリードのシーラント部分がラミネート外装体の熱融着性樹脂層と熱融着性樹脂層で挟み込むように配置した。その際、銅箔が外装体の中に入るようにした。その後、シーラントに該当する部分をとラミネート外装体の外側からインパルスシーラーを用いて、熱融着した。同様にして残りの辺をインパルスシーラーと真空シーラーを用いて、密閉することで、テストピースを得た。その際、熱融着性樹脂が外装体の外側へ流出したことを確認した。結果について表1に示した。
【0085】
(テストピースの抵抗測定)
テストピースのポリエチレンテレフタレート層の一部をはぎ、アルミ層を露出させ、ニッケルリードとの間の抵抗を測定した。テストピースを20個作製した際に、1MΩ以上を合格とした際に、20個合格であり、合格率は100%であった。結果を表1に示す。
【0086】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
次に、非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池を用いることで、電気化学素子の自己放電試験を行った。
【0087】
まず、正極活物質として、LiMn
2O
4を用い、導電助剤およびバインダーと混合して、正極塗料を作製した。ドクターブレード法にて正極塗料を正極集電箔(アルミニウム20μm)上に塗布し、その後圧延し正極を得た。
【0088】
負極活物質として、グラファイトを用い、導電助剤およびバインダーと混合して、負極塗料を作製した。ドクターブレード法にて負極塗料を負極集電箔(銅12μm)上に塗布し、その後圧延し負極を得た。
【0089】
正極と負極を所定の大きさにカットした後に、それぞれ、合剤層を剥離させたタブを作製した後に、セパレータを介して交互に正極が1枚、負極が2枚を積層し、積層体を得た。積層体には、電流を取り出す目的で、正極にはポリプロピレンのシーラントを有するアルミニウムリードを、負極にはポリプロピレンのシーラントを有するニッケルを取り付けた。
【0090】
あらかじめ作製しておいた、最外周部を除く内側にハードコート層を有するラミネート外装体に、積層体を収納し、電解液(EC:DEC=3:7(vol)、LiPF
6:1.0M)をいれ、真空シールし封入した。その後所定の初期充電を行うことで、リチウムイオン二次電池を得た。満充電状態から1C(1時間率)での放電容量は、1Ahであることを確認した。同様にして100個のリチウムイオン2次電池を作製した。
【0091】
自己放電試験として、得られたリチウムイオン2次電池を、0.4Ah程度に充電し、35℃の環境下にて1ヶ月放置し、その後それぞれのリチウムイオン2次電池の残存容量を検査した。その際、0.36Ah以上容量が残っているものを合格とすると、合格率は98%であった。結果を表1に示す。
【0092】
(実施例2)
実施例2では、リードの周辺部にハードコート層を有するようにパターニングしたラミネート外装体を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0093】
(内側の外周部にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
熱融着樹脂層(ポリプロピレン)上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布する際に、リードの周辺のみにパターニングしたほかは、実施例1と同様に内側にハードコート層を有するラミネート外装体を作製した。
【0094】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0095】
(テストピースの作製と樹脂流出の確認)
実施例1と同様にテストピースを作製した。熱融着性樹脂の流失は確認された。
【0096】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に、試験を行った。合格率は95個であった。
【0097】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
実施例1と同様に、非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池の自己放電特性を評価した。その際、積層数を増やし、正極を5枚、負極を6枚とすることで、5Ahの容量を得た。その際、ハードコート層がリードの周辺部となっていることを確認した。その際10Aの電流が取り出せることを確認した。その後、得られたリチウムオン2次電池を2Ah程度に充電し、その他は実施例1と同様に自己放電試験を行った。その際の合格は95%であった。
【0098】
(実施例3)
実施例3では、複数のタブとリードの接続部分の周辺にハードコート層を有するようにパターニングしたラミネート外装体を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0099】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
ポリプロピレン上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布する際に、複数のタブとリードの接続部分の周辺部のみにパターニングしたほかは、実施例1と同様に内側にハードコート層を有するラミネート外装体を作製した。
【0100】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0101】
(テストピースの作製と樹脂流出の確認)
実施例1と同様にテストピースを作製した。熱融着性樹脂の流失は確認された。
【0102】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に、試験を行った。合格数は90個であり、合格率は90%であった。結果を表1に示す。
【0103】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
実施例1と同様に非水電解液を用いた電気化学素子としてリチウムイオン2次電池を用い、自己放電特性を評価した。その際、積層数を増やし、正極を10枚、負極を11枚とすることで、10Ahの容量を得た。その際、ハードコート層が複数のタブとリードの接続部分の周辺部となっていることを確認した。その際100Aの電流が取り出せることを確認した。その後、その後、得られたリチウムオン2次電池を4Ah程度に充電し、実施例1と同様に自己放電試験を行った。その際の合格は90%であった。
【0104】
(実施例4)
実施例4では、熱融着性樹脂層が外周部のみに設けられ、その他の部分はハードコート層と金属層との間に熱融着性樹脂層を有しないラミネート外装体を用いた。
【0105】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
最外層としてポリエチレンテレフタレート(厚み30μm)のシートとを、金属層としてアルミニウム(厚み30μm)のシートとを、熱融着性樹脂としてポリプロピレンのシート(厚み30μm)を用意し、接着剤を用いて張り合わせラミネート外装体を得た。その際、ハードコート層となる部分については、熱融着性樹脂が四角形の外周辺を構成するような窓が開いた形のシートとした。熱融着性樹脂の幅は3mmであった。その後、ドクターブレード法を用いて金属層上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布した。その際、ラミネートフィルムの最外周部に3mm程度幅で、活性エネルギー線硬化型樹脂を有しないようにパターニングした。その後に、UV光を照射し、活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させ、内側にハードコート層を有するラミネート外装体を得た。その際、ハードコート層はH以上の硬度を示した。
【0106】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0107】
(テストピースの作製と樹脂流出の確認)
実施例1と同様にテストピースを作製した。熱融着性樹脂の流失は確認された。
【0108】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に、試験を行った。合格数は19個であった。
【0109】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
実施例1と同様に非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池を用い自己放電特性評価した。その際、積層数を増やし、正極を10枚、負極を11枚とすることで、10Ahの容量を得た。その際、ハードコート層が複数のタブとリードの接続部分の周辺部となっていることを確認した。その際100Aの電流が取り出せることを確認した。その後、その後、得られたリチウムオン2次電池を4Ah程度に充電し、実施例1と同様に自己放電試験を行った。その際の合格は90%であった。
【0110】
(実施例5)
実施例5では、外周部にハードコート層を有するラミネート外装体を用いた。
【0111】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
最外層としてポリエチレンテレフタレート(厚み30μm)のシートとを、金属層としてアルミニウム(厚み30μm)のシートとを、熱融着性樹脂としてポリプロピレンのシート(厚み30μm)を用意し、接着剤を用いて張り合わせラミネート外装体を得た。その後、ドクターブレード法を用いてポリプロピレン上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布した。その際、ラミネート外装体の最外周部に1mm程度の幅の活性エネルギー線硬化型樹脂領域と、その内側にラミネート外装体のシール領域として3mm幅の熱融着性樹脂が露わになっている未塗布部、さらにその内側に活性エネルギー線硬化型樹脂領域を設けるようにパターニングした。その後に、UV光を照射し、活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させ、内側の外周部にもハードコート層を有するラミネート外装体を得た。その際、ハードコート層はH以上の硬度を示した。
【0112】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0113】
(テストピースの作製と樹脂流出の確認)
実施例1と同様にテストピースを作製した。熱融着性樹脂の流失は確認されなかった。
【0114】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に、試験を行った。合格数は20個であった。
【0115】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
実施例1と同様に非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池を用いて、自己放電特性を評価した。その際、積層数を増やし、正極を10枚、負極を11枚とすることで、10Ahの容量を得た。その際、ハードコート層が複数のタブとリードの接続部分の周辺部となっていることを確認した。その際100Aの電流が取り出せることを確認した。その後、得られたリチウムオン2次電池を4Ah程度に充電し、実施例1と同様に自己放電試験を行った。その際の合格は92%であった。結果を表1に示す。
【0116】
(比較例1)
比較例1では、ハードコート層を用いない構成のラミネート外装体を用いたほかは、実施例1と同様に評価した。
【0117】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
最外層としてポリエチレンテレフタレート(厚み30μm)のシートとを、金属層としてアルミニウム(厚み30μm)のシートとを、熱融着性樹脂としてポリプロピレンのシート(厚み30μm)を用意し、接着剤を用いて張り合わせラミネート外装体を得た。
【0118】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0119】
(テストピースの作製と樹脂の流出確認)
実施例1と同様に行った。テストピースを作製する際、端部から樹脂の流失が確認された。
【0120】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に行った。その際の合格率は80%であった。
【0121】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
実施例1と同様に非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池を用いて、自己放電特性を評価した。ラミネート外装体として比較例1の外装体を用いた以外は、実施例1と同様に1Ahのリチウムイオン2次電池を得た。得られたリチウムオン2次電池を0.4Ah程度に充電し、電気化学素子を作製した。その際の自己放電試験の合格率は80%であった。
【0122】
(比較例2)
比較例2では、比較例1と同様にハードコート層を用いない構成のラミネート外装体を用いた。電気化学素子として、10Ahのリチウムイオン2次電池を用いて、自己放電特性を評価した。
【0123】
(内側にハードコート層を有するラミネート外装体の作製)
最外層としてポリエチレンテレフタレート(厚み30μm)のシートとを、金属層としてアルミニウム(厚み30μm)のシートとを、熱融着性樹脂としてポリプロピレンのシート(厚み30μm)を用意し、接着剤を用いて張り合わせラミネート外装体を得た。
【0124】
(タブとリードの作製)
実施例1と同様に作製した。
【0125】
(テストピースの作製と樹脂の流出確認)
実施例1と同様に行った。テストピースを作製する際、端部から樹脂の流失が確認された。
【0126】
(テストピースの抵抗測定)
実施例1と同様に行った。その際の合格率は60%であった。
【0127】
(非水電解液を用いた電気化学素子の作製と自己放電試験)
比較例1と同様に非水電解液を用いた電気化学素子として、リチウムイオン2次電池を用いて、自己放電特性を評価した。その際積層数を増やし10Ahのリチウムイオン2次電池を得た。得られたリチウムオン2次電池を4Ah程度に充電し、実施例1と同様に自己放電試験を行った。自己放電試験の合格率は70%であった。結果を表1に示す。
【表1】
【0128】
実施例1から実施例5では、ラミネート外装体の一部以上に鉛筆硬度がH以上のハードコート層を有するラミネート外装体を用いて、電気化学素子を作製し、自己放電特性を評価した。その際、電気化学素子の例としてリチウムイオン2次電池を作製した。
【0129】
実施例1では、熱融着部以外のラミネート外装体の内側にハードコート層を有するラミネート外装体を用いて、1Ah程度のリチウムイオン2次電池を作製した。その際の自己放電特性合格率は、98%であった。
【0130】
実施例2では、正極と、負極のそれぞれのタブが複数枚用いた5Ahのリチウムイオン2次電池とした。ハードコート層をラミネート外装体のリード周辺に用いた。その際の自己放電特性合格率は、95%であった。
【0131】
実施例3では、厚いリードが必要な10Ah以上のリチウムイオン2次電池を例にとった。ハードコート層をラミネート外装体の、正極と負極のそれぞれの複数タブと、正極と負極のそれぞれの電流取出し用リードとの接続部分周辺へ用いた。その際の自己放電特性の合格率は、90%であった。
【0132】
実施例4では、ハードコート層と金属層との間に熱融着性樹脂を有しない構成にて、パターニングとしては、実施例1と同様のラミネート外装体を用いて、10Ahのリチウムイオン2次電池を作製した。その際の自己放電特性合格率は、90%であった。
【0133】
実施例5では、最外周部と熱融着部以外のラミネート外装体の内側にハードコート層を有するラミネート外装体を用いて、10Ahのリチウムイオン2次電池を作製した。その際の自己放電特性合格率は92%であった。
【0134】
比較例1では、通常のラミネート外装体を用いて、1Ahのリチウムイオン2次電池を作製した。その際の自己放電特性合格率は、80%であった。また、実施例2では容量を大きくして、10Ahのリチウムイオン2次電池を作製した。その際の事項放電特性合格率は、70%であった。